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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】竿供給装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 15/00 20060101AFI20220405BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A22C15/00
B07C5/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019138481
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021019542
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 郷将
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-045139(JP,A)
【文献】特開2019-97539(JP,A)
【文献】特開2006-197935(JP,A)
【文献】特開昭62-121681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 15/00
B07C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の竿が保管された場所から1本の竿を取り出し、当該竿を片持ち状態で把持する竿把持手段に引き渡す竿供給装置であって、
前記竿の保管場所から1本の竿を取り出す竿取出部材と、
前記竿取出部材から取り出された竿を前記竿把持手段に引き渡す竿転送部材と、
前記竿取出部材によって取り出された竿の曲がり量を測定する竿曲がり量測定手段と、
前記竿取出部材、竿転送部材および竿曲がり量測定手段の動作を制御するコントローラと、を備え、
当該コントローラは、前記竿曲がり量測定手段によって測定された竿の曲がり量が予め定めた値を超えたとき、前記竿把持手段への竿の引き渡しを阻止することを特徴とする竿供給装置。
【請求項2】
前記竿曲がり量測定手段は、平行光を放射する光源と当該平行光を受光する光センサとが一体となった曲がり量測定部材で構成され、
当該曲がり量測定部材を鉛直面内で回転させ、前記光源と前記光センサとの間に水平に置かれた竿によって遮られる光量を検出することにより竿の曲がり量を測定する、請求項1に記載の竿供給装置。
【請求項3】
前記曲がり量測定部材は、水平に支持された前記竿の両端部近傍にそれぞれ設置される、請求項2に記載の竿供給装置。
【請求項4】
前記竿取出部材は、外周部に前記竿を収容可能な溝が形成された円板で構成され、軸を中心に回転することにより、前記竿の保管場所から1本の竿を取り出して前記溝に収容する、請求項1乃至3のいずれかに記載の竿供給装置。
【請求項5】
前記竿曲がり量測定手段は、更に、前記竿を収容する凹部を有し、かつ軸を中心に旋回することにより、前記竿取出部材の溝から竿を取り出して水平に支持する一対の竿支持アームを備える、請求項4に記載の竿供給装置。
【請求項6】
前記竿曲がり量測定手段は、更に、前記竿取出部材の取出口に設置され、前記竿転送部材への竿の引き渡しを阻止するシャッターを備える、請求項4または5に記載の竿供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖状ソーセージを竿にループ状に掛けるソーセージ竿掛装置において、竿掛けに用いる竿を供給する竿供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、片持ち状態の竿を水平方向に移送し、その竿に連鎖状ソーセージを掛けるソーセージ竿掛装置を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
上述のソーセージ竿掛装置を採用した場合、片持ち状態の竿を水平方向に移送するだけで、一竿分の連鎖状ソーセージを竿に掛けることができるため、竿掛装置の構造が単純化し、装置を安価に実現できる。
【0004】
また本出願人は、上述のソーセージ竿掛装置において、竿を保管場所から取り出した後、竿の把持手段に引き渡す竿供給装置を提案した(同文献参照)。
【0005】
この竿供給装置は、円板の外周部に溝が形成された竿取出部材を回転させ、保管場所に保管された竿のうち一番下にある竿を竿分離手段の溝に収容して取り出した後、把持手段まで移送するものである。
【0006】
上述の竿供給装置を用いれば、竿掛けが終了した竿の排出と連動して、新たな竿を把持装置に供給できるため、ソーセージ竿掛装置の連続稼働が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-97539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したソーセージ竿掛装置において、把持手段に把持された竿が曲がっていると、竿を水平方向に移送した際に、竿の先端が連鎖状ソーセージのループから外れてしまい、竿掛けが失敗する恐れがある。
【0009】
このため、従来は、作業者が目視によって竿の曲がり具合を確認し、曲がり量が多い竿については、竿掛けに使用しないよう排除していたが、竿の選別を人手に頼っていたため、省力化を目的とした竿供給装置の特徴を十分生かし切れなかった。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、竿の曲がり量を測定する手段を組み込むことによって、一定の曲がり量を超える竿を自動的に排除し、人手に頼ることなく竿の連続供給を可能とした竿供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明に係る竿供給装置は、複数の竿が保管された場所から1本の竿を取り出し、当該竿を片持ち状態で把持する竿把持手段に引き渡す竿供給装置であって、
前記竿の保管場所から1本の竿を取り出す竿取出部材と、
前記竿取出部材から取り出された竿を前記竿把持手段に引き渡す竿転送部材と、
前記竿取出部材によって取り出された竿の曲がり量を測定する竿曲がり量測定手段と、
前記竿取出部材、竿転送部材および竿曲がり量測定手段の動作を制御するコントローラと、を備え、
当該コントローラは、前記竿曲がり量測定手段によって測定された竿の曲がり量が予め定めた値を超えたとき、前記竿把持手段への竿の引き渡しを阻止することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記竿曲がり量測定手段は、平行光を放射する光源と当該平行光を受光する光センサとが一体となった曲がり量測定部材で構成され、当該曲がり量測定部材を鉛直面内で回転させ、前記光源と前記光センサとの間に水平に置かれた竿によって遮られる光量を検出することにより竿の曲がり量を測定することが好ましい置。
【0013】
前記曲がり量測定部材は、水平に支持された前記竿の両端部近傍にそれぞれ設置されることが好ましい。
【0014】
前記竿取出部材は、外周部に前記竿を収容可能な溝が形成された円板で構成され、軸を中心に回転することにより、前記竿の保管場所から1本の竿を取り出して前記溝に収容することが好ましい。
【0015】
前記竿曲がり量測定手段は、更に、前記竿を収容する凹部を有し、かつ軸を中心に旋回することにより、前記竿取出部材の溝から竿を取り出して水平に支持する一対の竿支持アームを備えることが好ましい。
【0016】
前記竿曲がり量測定手段は、更に、前記竿取出部材の取出口に設置され、前記竿転送部材への竿の引き渡しを阻止するシャッターを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る竿供給装置を用いれば、曲がり量の大きい竿は、供給の途中で自動的に排除され、竿の選別に人手を必要としないため、省力化に寄与する。しかも、既存の竿供給装置に後付けで設置することができるため、実用上のメリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る竿供給装置の構成を示す側面図である。
図2】同正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る竿供給装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】フックに吊り下げられた連鎖状ソーセージを竿に移し替える動作を説明する図である。
図5】竿支持アームによって水平に支持された竿と、竿曲がり量測定手段の曲がり量測定部材との位置関係を示す正面図である。
図6】曲がり量測定部材の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る竿供給装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る竿供給装置1の側面図、図2は同正面図である。図1は、図2のA-A線で切断した状態を示す。また図3は、竿供給装置1の制御系のブロック図である。
【0020】
図1に示すように、竿供給装置1の上部には、竿の曲がり量を測定する竿曲がり量測定手段2が設置されている。また竿供給装置1の右側には、同装置から引き渡された竿を片持ち状態で把持する竿把持手段3および同手段によって把持された竿を水平方向に移送する竿移送手段4が設置されている。
【0021】
<ソーセージ竿掛装置の構成と動作>
本実施の形態に係る竿供給装置1について説明する前に、図4を参照して、出願人が先に提案した片持ち状態の竿を用いたソーセージ竿掛装置(特許文献1参照)の概略構成と基本的な動作を説明する。
【0022】
ソーセージ竿掛装置は、無端の循環体であるコンベアチェーン6(図4では2点鎖線で表示)に、連鎖状のソーセージSを吊り下げるフック5が複数個一定のピッチで取り付けられたものである。なお、図4ではフック5を3つだけ表示し、他は省略している。
【0023】
個々のフック5は、連鎖状ソーセージSを、ループを形成するように吊り下げることができる機能と、吊り下げられた連鎖状ソーセージSをループに挿通された竿Pに移し替えることができる機能を備えている。
【0024】
具体的には、フック本体51に、連鎖状ソーセージSを掛けるフック部52が回転可能な状態で取り付けられており、フック部52の前端に、連鎖状ソーセージSの結束部が掛かった状態で吊り下げられる。またフック本体51の前部上方には、ソーセージ製造装置(図示せず)に吊り下げられたソーセージSをフック部52に案内するガイド部53が取り付けられている。
【0025】
特許文献1に記載のソーセージ竿掛装置では、上述のフックを用い、竿把持装置3によって片持ち状態で把持された竿Pの先端を連鎖状ソーセージSのループに挿通させた状態で、竿Pを軸方向に移送しながらフック5から竿Pへのソーセージの移し替えを行っている。
【0026】
ソーセージ竿掛装置における竿掛け作業は、以下のA~Fの6つの工程に分かれており、フック5がチェーン6の軌道に沿って一周する間に、以下の各工程が実行される。
A:連鎖状ソーセージSのフック5への吊り下げ
B:連鎖状ソーセージSが吊り下げられたフック5の移送
C:保管場所からの竿Pの取り出しと移送
D:連鎖状ソーセージSのフック5から竿Pへの移し替え
E:連鎖状ソーセージSが掛けられた竿Pの排出
F:空フック5の移送
【0027】
上述の各工程について簡単に説明すると、工程Aにおいては、チェーン6を用いて、フック5を、スプロケット(図示せず)の周囲を旋回するように移送し、隣接するソーセージ製造装置(紙面に向かって右側に設置、図示せず)から送り出された連鎖状ソーセージSを、フック5のフック部52に吊り下げる。
【0028】
工程Bにおいては、1本の竿Pに掛けられる長さの連鎖状ソーセージSが吊り下げられた一群のフック5を、チェーン6を用いて竿掛けを行う領域(図4の中央部)まで移送する。
【0029】
工程Cにおいては、チェーン6に隣接する位置に設置された竿供給装置1(図1参照、紙面に向かって左側に配置)を用いて、竿の保管場所から1本の竿Pを取り出した後、竿移送手段4の下方に設けられた竿把持手段3(図1参照)に引き渡す。
【0030】
工程Dにおいては、竿把持手段3によって一方の端が把持された片持ち状態の竿Pを、竿移送手段4を用いて竿Pの軸心方向(図4に矢印で表示)に移送し、フック5に吊り下げられた連鎖状ソーセージSのループに挿通すると共に、フック5の移送に合わせて竿Pを移送する。それと同時に、移し替え実行手段7(図4参照)を用いて一竿分の連鎖状ソーセージSをフック5から竿Pに移し替える。
【0031】
工程Eにおいては、一竿分の連鎖状ソーセージSが掛けられた竿Pを、初期の位置に戻すと共に、竿排出手段(図示せず)を用いて排出する。
【0032】
工程Fにおいては、連鎖状ソーセージSが取り外された空のフック5を、チェーン6を用いて工程Aを行う領域まで移送する。
【0033】
次に、図4を参照して、フック5に吊り下げられた連鎖状ソーセージSを、竿把持手段3に把持された竿Pに移し替える際の動作を説明する。
【0034】
フック5のフック部52は、外部から力が加わっていない状態では、自重およびフック部52に架けられた連鎖状ソーセージSの重さのため時計方向に回転し、そのままではフック部52に架けられた連鎖状ソーセージSがフック5から落下してしまう。
【0035】
そこで、フック5の移送方向(図4に矢印で表示)に一対のローラガイド部材71、72を配置し、その間に形成された案内溝G1に、フック部52と一体になって回転するローラ(図示せず)を係合させることにより、フック部52の位置を保持している。
【0036】
フック5がチェーン6によって水平方向に移送されるとき、案内溝G1が高い位置にあるために、フック部52は斜め上方を向いた状態になり、連鎖状ソーセージSがフック5から落下することはない。
【0037】
一方、竿掛けの工程Dを行う領域には、移し替え実行手段7が設置されており、連鎖状ソーセージSをフック5から竿Pに移し替える箇所では、ローラが係合する案内溝G2が斜め下方に傾斜している。このため、左端のフック5に示すように、フック5の移送に伴ってフック部52が時計回りに回転して斜め下を向いた状態となり、連鎖状ソーセージSの結合部がフック部52の斜面を滑って竿Pまで落下する。
【0038】
このようにして、フック5と移し替え実行手段7の案内溝G1、G2との連携動作により、フック5から竿Pへの連鎖状ソーセージSの移し替えが行われる。
【0039】
上述したように、特許文献1に記載のソーセージ竿掛装置では、片持ち状態の竿Pを、フック5に吊り下げられた連鎖状ソーセージSの方向に移送すると共に、竿の先端をソーセージのループに挿通させた状態で、竿Pを軸方向に移送しながら、フック5から竿Pへの連鎖状ソーセージSの移し替えを行っている。
【0040】
<竿供給装置の構成と動作>
次に、図1図2および図3を参照して、本実施の形態に係る竿供給装置について説明する。
【0041】
竿供給装置1は、竿保管部材11、竿取出部材12、竿整列部材13、竿検知部材14、竿ガイド部材15、竿載置台16、取出口17および竿転送部材18で構成されている。図2に示すように、これらの部材は、竿供給装置1の左右に、筐体10に支持された状態で、それぞれ一対配置されている。
【0042】
なお、図2の筐体10に接するボックス内には、モータやシリンダ等の駆動手段が収容されているが、煩雑さを避けるため、省略している。同様の理由で、竿供給装置1の一部の部材(竿保管部材11、竿排出シャッター23等)も省略している。
【0043】
竿保管部材11は、ステンレス板の先端を折り曲げたものであり、複数の竿Pを保管する。竿取出部材12は、竿Pの保管場所から1本の竿Pを取り出すもので、円板の外周部に竿Pを収容する溝121が2個形成されている。
【0044】
竿取出部材12の回転軸122には、モータ123および位置センサ124(図3参照)が取り付けられており、竿取出部材12が、モータ123によって軸122を中心に矢印方向に回転すると、竿保管部材11に保管されている竿Pのうち一番下にある竿が溝122に入り込む。
【0045】
竿Pは、竿取出部材12の回転に伴って時計回りに移送された後、自重によって溝121から落下し、竿ガイド部材15および竿載置台16の間に形成された取出口17に案内されて竿転送部材18の凹部181に収容される。
【0046】
アーム状の竿転送部材18の回転軸182にはエアーシリンダ183(図3参照)が連結されており、エアーシリンダ183が伸長すると、図中二点鎖線で示すように、竿転送部材18は、軸182を中心として時計回りに旋回する。これに伴い、竿転送部材18の凹部181に収容された竿Pは、竿把持手段3の一部である竿載置部材32の凹部321に載置される。
【0047】
なお、竿把持手段3は竿Pの一方の端を把持するものであるため、紙面の奥側に配置された竿転送部材18については、凹部181に竿Pが収容された状態を維持する。
【0048】
竿取出部材12に沿って配置された竿整列部材13は、竿Pが整列した状態で竿取出部材12の溝121に入り込むのを手助けするもので、円弧状をしている。
【0049】
また、竿取出部材12の上方には竿検出部材14が設置されており、竿取出部材12の溝121に竿Pが収容されているか否かを検知する。検知結果は図3に示すコントローラ8のタッチパネル84に表示される。
【0050】
図2に示す竿姿勢保持部材123は、竿取出部材12に形成された溝121の底とほぼ等しい直径の円板で構成され、竿取出部材12の回転軸122に取り付けられている。竿姿勢保持部材123は、竿取出部材12による竿の移送途中で竿Pが斜めになって竿転送部材18への移送に支障が生じるのを防止している。
【0051】
次に、図3を参照して、制御系の構成について説明する。竿供給装置1の制御系は、竿取出部材12、竿検出部材14および竿転送部材18のそれぞれを駆動するモータやシリンダ、およびこれら部材の動作を制御するコントローラ8で構成されている。
【0052】
竿取出部材12は、円板を回転させるモータ123および円板の回転位置を検出する位置センサ124を備えており、コントローラ8は、位置センサ124の出力信号に従ってモータ123の回転を制御し、竿Pを竿保管部材11から取り出して取出口17まで移送する。
【0053】
竿検出部材14は、竿Pが通過したとき竿Pに押されて回転し、溝121に竿Pが収容されていること、すなわち保管場所から竿Pが取り出されたことを検知し、コントローラ8に通知する。
【0054】
竿転送部材18のシリンダ183は、竿転送部材18を回転させ、取出口17で受け取った竿Pを竿載置部材32まで転送する。
【0055】
図3に示す制御系には、更に、竿曲がり量測定手段2を構成する竿支持アーム21、曲がり量測定部材22および竿排出シャッター23のそれぞれを駆動するモータやシリンダが含まれるが、これらについては後述する。
【0056】
コントローラ8は、竿供給装置1の各部の動作および後述する竿曲がり量測定手段2の動作を制御するもので、制御部81、判定部82、記憶部83、タッチパネル84および電源85で構成されている。
【0057】
図示しないが、コントローラ8は、CPU,ROMおよびRAMを内蔵しており、ROMに格納されたプログラムを読み出してCPUで実行することにより、制御部81および判定部82のそれぞれの機能を実現している。
【0058】
制御部81は、記憶部83に格納された制御用データに基づいてモータ123を回転することによって竿取出部材12の回転位置を調整し、またシリンダ183を制御することによって竿転送部材18の位置を調整する。更に、後述するように、竿支持アーム21、曲がり量測定部材22および竿排出シャッター23の動作を制御する。
【0059】
判定部82は、後述する曲がり量測定部材22によって測定された竿の曲がり量と、記憶部83に予め格納された基準値とを比較して、竿の良否を判定する。判定方法については、後に図面を参照して詳述する。
【0060】
記憶部83は、通常、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、竿取出部材12および曲がり量測定部材22の制御に必要なデータ、ならびに曲がり量測定部材22による測定データを格納する。
【0061】
タッチパネル84は液晶ディスプレイで構成され、竿取出部材12の制御に必要なデータ、および竿の曲がり量の判定に必要な基準値データを入力するために用いられ、また測定データおよび判定結果を表示するために用いられる。
【0062】
電源85は外部の商用電源86に接続されており、図示しないケーブルを介して各部の動作に必要な電力を供給する。
【0063】
<竿曲がり量測定手段の構成と動作>
以下、前述の図1図3、並びに新たな図5および図6を用いて、竿供給装置1に組み込まれた、竿の曲がり量を測定する竿曲がり量測定手段2について説明する。
【0064】
図4を用いて説明したように、特許文献1記載のソーセージ竿掛装置は、片持ち状態の竿Pをフック5に吊り下げられた連鎖状ソーセージSの方向に移送すると共に、竿の先端をソーセージのループに挿通した状態で、フック5から竿Pへのソーセージの移し替えを行っている。
【0065】
従って、竿供給装置1から竿把持手段3に引き渡される竿が曲がっていると、竿Pを水平方向に移送したときに竿の先端が連鎖状ソーセージSのループから外れてしまい、竿掛けが失敗する恐れがある。そこで、本実施の形態では、竿供給装置1に竿の曲がり量を測定する手段2を組み込み、曲がり量が大きい竿については、竿把持手段3に引き渡すのを阻止している。
【0066】
図1に示すように、竿曲がり量測定手段2は、一対の竿支持アーム21、曲がり量測定部材22および一対の竿排出シャッター23で構成されている。
【0067】
保管場所から取り出され、円板状の竿取出部材12の溝121に収容された竿Pは、竿取出部材12が回転することによって時計回りに移送され、竿検出部材14に当接する。竿検出部材14は、アームが回転することによって竿Pを検出し、その信号をコントローラ8に送信する。竿取出部材12はコントローラ8の指示に従い、図1に示す位置で回転を停止する。
【0068】
先端に竿Pを収容する凹部211を有し、軸212を中心に旋回可能な一対の竿支持アーム21は、非動作時には、先端が垂れ下がった状態に保たれるが、竿取出部材12によって竿Pが移送され、上方で停止した時点で、図1の2点鎖線で示すように時計回りに旋回して凹部211に竿Pを収容し、更に実線で示す位置まで旋回した後、停止する。
【0069】
図5は、竿支持アーム21によって上方まで持ち上げられ、水平に支持された竿Pと曲がり量測定部材22との位置関係を横から見た図である。竿Pの両端部は、若干の隙間を隔てて曲がり量測定部材22に対向している。
【0070】
図1および図5に示すように、曲がり量測定部材22は、長方形状のベースプレート221の側面に、ボルトおよびナットを介し、一定の間隔を隔てて一対のサブプレート222が取り付けられたものである。一方のサブプレート222の裏面には光源(LED)223が取り付けられ、他方のサブプレート222の裏面には光センサ224が取り付けられている。サブプレート間に形成された空間には、竿Pの先端が挿入される。
【0071】
メインプレート221は、軸Oを中心に鉛直面内で回転可能な状態で、竿供給装置1の筐体10の取り付けられており、図2に示すように、筐体10の背面には駆動用のモータ225が固定されている。
【0072】
図1に示すように、竿支持アーム21が上昇する時点では、曲がり量測定部材22は水平状態に保持され、サブプレート222は左右に位置している。このため、竿Pの先端はサブプレート間の空間に挿入され、竿支持アーム21の旋回に支障はない。以降、曲がり量の測定が終了するまでこの状態が維持される。
【0073】
光源223から竿Pの直径と略等しい幅の平行光が照射され、当該平行光は、途中に存在する竿Pによって一部が遮蔽された後、光センサ224に入射する。図5および図6を参照して、竿の曲がり量の測定方法を説明する。
【0074】
図5に二点鎖線で示したのは、曲がりのないまっすぐな竿、実線で示したのは、中央部が曲がった竿であり、まっすぐな竿に比べ、左右の端部が上方に変位している。
【0075】
本実施の形態では、竿の左右端部近傍に設置した曲がり量測定部材22によって竿の変位量を測定し、その値の大きさから竿の曲がり量を判定している。
【0076】
図6を参照して、曲がり量測定部材22を用いた竿の曲がり量の測定方法を説明する。図6(a)~(c)は、一対の支持アーム21によって水平に支持された竿Pと、竿Pの端部近傍に設置された曲がり量測定部材22との位置関係を示している。
【0077】
曲がり量測定部材22のメインプレート221は、矢印で示すように、軸Oを中心にして鉛直面内で180度回転できるように構成されている。また軸Oは、曲がりのないまっすぐな竿Pを一対の竿支持アーム21で支持したときの竿の軸心に一致させている。
【0078】
図6(a)は、曲がりのないまっすぐな竿が、一対の竿支持アーム21で支持された状態を示しており、竿Pの軸心と曲がり量測定部材22の回転軸Oが一致しているため、光源223から放射された全ての光(矢印で示す)は竿Pによって遮られ、光センサ224に到達する光はゼロとなる。この状態は、メインプレート221を180度回転させても変わらない。
【0079】
図6(b)は、図5に実線で示したように、竿Pの中央部が下方に下がり、逆に両端部が上方に変位した状態を示している。竿Pの端部が上方に変位していることから、光源223から放射された平行光のうち下部の光は竿Pに遮られず、光センサ224に到達し、変位量に対応した大きさの出力信号が得られる。メインプレート221を180度回転させた場合、0度および180度すなわち光線が水平方向に照射されたとき、光センサに最大の出力信号が得られる。
【0080】
図6(c)は、竿Pの中央部が水平方向に曲がり、逆に、両端部が反対側に変位した状態を示している。竿が曲がっている場合、通常は、図6(b)に示すように、竿の中央部が下方に変位するが、曲がりの状態によっては、水平方向に変位する場合がある。
【0081】
竿が水平方向に曲がっている場合、図6(c)に実線で示すように、光源から放射された光線は、竿がまっすぐな場合と同様に、全て竿Pによって遮られ、光センサ224に到達しない。
【0082】
しかし、二点鎖線で示すように、メインプレート221を90度回転させると、竿Pと光源223の位置関係が、図6(b)に示す位置関係と同じになるため、光センサ224に出力信号が発生する。
【0083】
上述したように、曲がり量測定部材22のメインプレート221を180度回転させたとき、光センサ224の出力信号の最大値は、竿の曲がり量に対応している。従って、予め、竿Pの曲がり量と光センサ224の出力信号との関係を調べ、使用可能な最大の曲がり量に対応した光センサ224の出力信号を特定し、その値をコントローラ8の記憶部83に格納しておく。
【0084】
竿取出部材12によって保管場所から1本の竿Pが取り出される毎に、竿曲がり量測定手段2を用いて光センサ224の出力信号を検出する。そして検出した値を判定部82において記憶部83から読み出した基準値と比較すれば、竿掛けに不適切か否かを判定できる。
【0085】
なお、本実施の形態では、竿Pの両方の端部近傍に曲がり量測定部材22を設置している。これは曲がりの位置や形態が竿によって様々である点を考慮したもので、左右の光センサ224で検出した出力信号のうち大きい方の値を基準値と比較している。ただし、精度は若干低下するが、竿の一方の端部近傍にだけ曲がり量測定部材22を設置すれば、竿曲がり量測定手段2の構成を簡素化できる。
【0086】
竿曲がり量測定手段2によって曲がり量が測定された竿Pは、竿支持プレート21を逆転させることによって竿取出部材12の溝121に戻され、取出口17まで移送される。コントローラ8は、竿曲がり量測定手段2による測定によって曲がり量が基準値を超えていると判定した竿Pについては、シャッター23のシリンダ231を駆動することによって取出口17を閉鎖する。
【0087】
シャッター23によって取出口17が閉鎖されると、竿Pは自重によって竿載置台16の傾斜部を滑って下方に移動し、かぎ状に形成された先端部に保持される。その後、不適切な竿として廃棄されるか、曲がりを矯正した後、竿の保管場所に戻される。
【0088】
一方、竿曲がり量測定手段2による測定の結果、曲がり量が基準値以内であると判定された竿Pについては、取出口17を通って竿転送部材18の凹部181まで移送され、竿把持手段3に引き渡される。図1を参照して、竿把持手段3に引き渡された後、竿移送手段4によって連鎖状ソーセージSのフック5からの移し替えが行われる位置(図4参照)までの竿の移送について簡単に説明する。
【0089】
<竿の把持と移送>
図1の右側に、竿把持手段3の外観および竿移送手段4の断面を示す。竿把持手段3は、竿Pの一方の端部を把持するもので、竿移送手段4のブラケット44の下端に取り付けられた筐体31、筐体31に取り付けられた竿載置部材32および竿把持部材33で構成されている。図示しないが、筐体31内には、竿把持部材33を回転させるアクチュエータが収容されている。
【0090】
上述したように、竿転送部材18の旋回に伴い、竿Pは竿転送部材18の凹部181から竿載置部材32の凹部321に移し替えられる。その後、図1に二点鎖線で示すように、竿把持部材33を反時計回りに回転させ、竿載置部材32とで竿Pの一方の端を把持する。これにより竿Pは、竿把持手段3によって片持ち状態で把持される。
【0091】
次に、竿移送手段4について説明する。竿移送手段4の筐体40は、ボルトとナットを用いて竿供給装置1の筐体10に固定されている。筐体40の底部には、長尺のブラケット41が図示しない金具によって固定され、ブラケット41の側面にレール42が取り付けられている。レール42には、レールに沿って摺動可能なスライダ43が取り付けられており、スダイダ43の背面には、竿把持手段3の筐体31を支持するブラケット44が取り付けられている。
【0092】
筐体40の内部空間には、レール42と平行に無端のタイミングベルト45が配置されており、両端は一対のタイミングプーリ46に巻回されている。図示しないが、タイミングプーリ46の回転軸にはモータが取り付けられており、モータの回転により、タイミングベルト45は、レール42と平行な方向に移動する。
【0093】
図1に示すように、ブラケット44は、接続部材47によってタイミングベルト45に取り付けられているため、ブラケット44およびスライダ43は、タイミングベルト45の移動に伴い、レール42に沿って水平方向に移動する。
【0094】
従って、竿載置部材32および竿把持部材33によって一方の端部が把持された片持ち状態の竿Pは、図示しないモータが回転してタイミングベルト45が移動すると、その移動に伴って竿の軸線方向(すなわち水平方向)に移送され、連鎖状ソーセージSの竿掛けに供される。
【0095】
上述したように、本実施の形態に係る竿曲がり量測定手段2は、一対の竿支持アーム21で水平に支持された竿Pの両端近傍に設置された測定部材22によって、光源223から放射された平行光線が竿Pによって遮られる量を検出し、その値によって竿Pの曲がり量を測定するものである。
【0096】
曲がり量測定部材22は構造が単純であり、市販の部材を用いて安価に作製できる。更に、竿供給装置1における竿Pの移送経路の途中に、竿Pを支持するアーム21と竿Pへの取出しを阻止するシャッター23を取り付けるだけで実現でき、既存の竿供給装置1への後付けによる設置が可能であるため、実用上のメリットは大きい。
【0097】
なお、竿供給装置および竿曲がり量測定手段の構成は、図示したものに限定されない。同様の機能を実現できるものであれば、他の構成を採用してもよい。例えば、本実施の形態では、竿取出部材として、溝が形成された円板を用いたが、近接した場所に設置された2個のシャッターを用いて竿の取り出しを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
G1、G2 案内溝
P 竿
S 連鎖状ソーセージ
1 竿供給装置
2 竿曲がり量測定手段
3 竿把持手段
4 竿移送手段
5 フック
6 チェーン
7 移し替え実行手段
8 コントローラ
10 筐体
11 竿保管部材
12 竿取出部材
13 竿整列部材
14 竿検出部材
15 竿ガイド部材
16 竿載置台
17 取出口
18 竿転送部材
21 竿支持アーム
22 曲がり量測定部材
23 竿排出シャッター
32 竿載置部材
33 竿把持部材
51 フック本体
52 フック部
53 ガイド部
81 制御部
82 判定部
83 記憶部
84 タッチパネル
85 電源
121 溝
122 回転軸
123、225 モータ
124 位置 HYPERLINK "センサ" センサ
181、211 凹部
183、213、231 シリンダ
221 メインプレート
222 サブプレート
223 光源
224 光センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6