特許7052967IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

本願発明は、β-1,6-グルカンの切断活性を持たず、β-1,6-グルカンに対する特異的結合活性を有するβ-1,6-グルカナーゼ変異体と、このβ-1,6-グルカナーゼ変異体を用いたβ-1,6-グルカンの測定方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

真菌の細胞壁にはβ-1,3-グルカンのみならず、β-1,6-グルカンも多量に存在しており、真菌類の増殖時には外部環境にβ-1,6-グルカンが多量に放出される。β-1,6-グルカンは健常人の体内には存在せず、β-1,3-グルカンと同様に真菌増殖の指標となる可能性がある。また、現行のLAL試験によって検出するβ-1,3-グルカンは、一部の植物細胞壁中にも含まれており、セルロースを原料とする透析膜などを使用した透析患者や医療用ガーゼを使用した患者などではLAL試験の偽陽性がしばしば問題となる。一方、β-1,6-グルカンは植物細胞壁中には含まれておらず、偽陽性が生じにくい指標となると予想できる。Candida albicansなど、菌種によっては菌体外多糖におけるβ-1,3-/β-1,6-グルカン比は、β-1,6-グルカンの方が多いものも存在する(非特許文献1)。また、真菌にはその細胞壁を構成する多糖がβ-1,6-グルカンのみ、あるいはβ-1,3-グルカンをほとんど含まないもの(例えば、下記の表1に示したようなPustulan、Islandicanなど)が存在するため、真菌感染症の診断にあたっては、β-1,3-グルカンを指標とするLAL試験のみならずβ-1,6-グルカンの検出も併せて行うことが好ましい。しかしながら、β-1,6-グルカンに特異的に反応する凝固系因子は存在せず、従って、β-1,6-グルカンを標的とする真菌感染診断は不可能であった。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

発明者らは、β-1,6-グルカン分解酵素であるβ-1,6-グルカナーゼの酵素触媒領域に存在するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したβ-1,6-グルカナーゼ変異体を作成し、特定のアミノ酸残基を置換した変異体がβ-1,6-グルカンの切断活性を持たず、しかもβ-1,6-グルカンに対する特異的結合活性を有することを見出し、本願発明を完成させた。さらに、発明者らはこのβ-1,6-グルカナーゼ変異体・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

本願発明によって、従来は不可能であったβ-1,6-グルカンの迅速高感度測定が可能となり、真菌感染の診断精度が格段に向上する。さらに、血中のβ-1,6-グルカン濃度をモニタリングすることにより、抗真菌薬の投薬継続または終了の時期を判断することが容易となり、副作用がたびたび問題となる抗真菌薬の適正使用が可能となる。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 β-1,6-グルカナーゼ変異体をポリアクリルアミド電気泳動し、(A)CBB染色または(B)抗His-Tag抗体を用いてWB検出した結果である。
【図2】 β-1,6-グルカナーゼ変異体のβ-1,6-グルカン切断活性を、Pustulanの還元末端量の増加を指標に、Somogyi-nelson法で測定した結果である。
【図3】 β-1,6-グルカナーゼ変異体のβ-1,6-グルカン結合活性を、ELISA様試験を用いて測定した結果である。
【図4】 Aはβ-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qの温度安定性、BはそのpH安定性を評価した結果である。C、Dはバイオレイヤー干渉法によりβ-1,6-グルカナーゼ変異体E321QのpH安定性を詳細に解析した結果である。
【図5】 β-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qと種々のβ-1,6-グルカンとの反応性を、PustulanをコートしたELISAプレートを用いて競合的ELISA様試験により評価した結果である。
【図6】 未標識のβ-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qおよびビオチン標識化E321Qをそれぞれ用いて、可溶性PustulanをサンドイッチELISA様試験によって計測した結果である。
【図7】 PustulanをコートしたELISAプレートとビオチン化β-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qを用いて、競合的ELISA様試験によりPustulanを高感度に検出した結果である。
【図8】 血清添加培地を用いてCandida albicans を24時間培養した上清中のβグルカンを、β-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qを用いてサンドイッチELISA様試験あるいはリムルス試験によって検出した結果である。Aは試験の概要を示している。BはE321Qを用いたELISA様試験の結果であり、Cはリムルス試験によって検出した結果である。
【図9】 β-1,6-グルカナーゼ変異体E321QにNanoLucを融合し、不溶性担体に固定したE321QとのサンドイッチELISA様試験によって精製β1-,6-グルカンを高感度に検出した結果である。Aは発現させたE321Q-NLの遺伝子を模式的に示している。Bは精製したE321Q-NLをSDS-PAGEで分離し、CBB染色により検出した結果を示している。Cは磁気ビーズに固定したビオチン化E321Qと可溶性E321Q-NLを用いてβ-1,6-グルカンであるPustulan及びC. albicans培養上清(1000倍希釈)中多糖を検出した結果である。
【図10】 各種β-1,6-グルカナーゼ変異体を作成し、リガンドであるPustulanとの結合活性をELISA様試験およびバイオレイヤー干渉法によって比較した結果である。Aはβ-1,6-グルカナーゼの321番目のアミノ酸を各種アミノ酸に変換し、大腸菌によって発現させ、精製後にSDS-PAGEで分離し、銀染色で検出した結果である。Bは各種β-1,6-グルカナーゼ変異体のβ-1,6-グルカン(Pustulan)切断活性を、還元末端量の増加を指標にSomogyi-nelson法で測定した結果である。C、Dはバイオレイヤー干渉法により各種β-1,6-グルカナーゼ変異体のPustulan結合力を計測した結果である。EはELISA(直接法)によって各種β-1,6-グルカナーゼ変異体とPustulanの結合性を解析した結果である。
【図11】 不溶性担体に固定したSBP-1タグ融合β-1,6-グルカナーゼ変異体E321Qと、HiBiTタグ融合E321Aを用いて、サンドイッチELISA様試験によって精製β1,6-グルカン及び真菌培養上清中β-グルカンを短時間のうちに高感度に検出した結果である。Aは発現させたE321Q- SBP-1及びE321A-HiBiTの遺伝子を模式的に示している。Bは精製したE321A-HiBiT及びE321Q-SBP1をSDS-PAGEで分離し、銀染色により検出した結果を示している。Cは磁気ビーズに固定したE321Q-SBP1と可溶性E321A-HiBiTを用いてβ-1,6-グルカンであるPustulan及びC. albicans培養上清(1000倍希釈)中多糖を検出した結果である。
【図12】 血清添加培地を用いてCandida albicans を24時間培養した上清をマウスに尾静脈投与し、時間ごとの血中β-1,6-グルカン濃度をβ-1,6-グルカナーゼ変異体を用いて測定した結果である。
【図13】 6種類のβ-1,6-グルカナーゼ(EC 3.2.1.75)のアミノ酸配列の相同配列領域を対応させて示したアライメント図である。

代表図 図1本件の代表的な図

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