(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H01L 27/06 20060101AFI20220405BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220405BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220405BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01L27/06 311B
H01L27/04 H
H01L27/04 R
H01L27/04 P
H01L27/06 102A
H01L27/06 311A
H01L27/06 311C
H01L27/04 A
(21)【出願番号】P 2018158020
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】椿野 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】成田 友樹
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-20548(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170913(WO,A1)
【文献】特開2006-245596(JP,A)
【文献】特開2017-5179(JP,A)
【文献】特開昭61-32563(JP,A)
【文献】特開平9-64198(JP,A)
【文献】特開2000-31386(JP,A)
【文献】特開2002-170929(JP,A)
【文献】特開2006-049846(JP,A)
【文献】特開平11-261011(JP,A)
【文献】特開平08-148650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 21/822
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1領域に配設され
ると共に2層目の配線により構成された外部端子と、
前記基板上の第1領域とは異なる第2領域に配設され、前記外部端子
に電気的に接続された
ゲート電極を有するトランジスタを含む内部回路と、
前記外部端子に接続孔を介して接続された第1層目の第1配線、及び前記ゲート電極に接続孔を介して接続された
前記第1層目の第2配線を含む信号配線と、
前記第1配線と前記第2配線との間に接続された抵抗と、
前記基板上の前記第1領域及び前記第2領域とは異なる第3領域に配設され、前記信号配線の
前記第1配線又は前記外部端子に接続され、前記外部端子に印加されるサージに対して前記内部回路を保護する保護回路と、
を備
え、
前記外部端子、前記第1配線、前記抵抗、及び前記第2配線は、この順に、接続される、
半導体集積回路。
【請求項2】
前記抵抗は、前記ゲート電極と同一層かつ同一材料、又は拡散層抵抗を含む
請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記外部端子は、平面視において矩形状に形成され、
前記内部回路は、前記外部端子の一辺側を前記第2領域として前記基板上に配設され、
前記保護回路は、前記外部端子の前記一辺側を前記第3領域として前記基板上に配設されている
請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記外部端子は、平面視において矩形状に形成され、
前記内部回路は、前記外部端子の一辺側を前記第2領域として前記基板上に配設され、
前記保護回路は、前記外部端子の前記一辺側とは反対の他辺側を前記第3領域として前記基板上に配設されている
請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記外部端子は、平面視において矩形状に形成され、
前記内部回路は、前記外部端子の一辺側を前記第2領域として前記基板上に配設され、
前記保護回路は、前記外部端子の前記一辺
側に隣接する他辺側を前記第3領域として前記基板上に配設されている
請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記保護回路は、前記外部端子が配設された前記第1領域から前記基板
の端部に至るまでを前記第3領域として前記基板上に配設されている
請求項4又は請求項5に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関し、特に保護回路を有する半導体集積回路に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、半導体集積回路に搭載された静電気保護回路が開示されている。静電気保護回路は、外部入力端子と内部回路の入力段トランジスタとの間に挿入されている。静電気保護回路では、外部入力端子にサージ(過電流)が印加されたとき、サージを電源端子か接地端子へ逃がして、入力段トランジスタの静電気破壊を防止することができる。
例えば、静電気保護回路に2層のアルミニウム配線を持つ配線構造が採用される場合、外部入力端子と静電気保護回路との接続、並びに静電気保護回路と入力段トランジスタとの接続には1層目配線が使用されている。また、静電気保護回路に接続される電源配線又は接地配線には2層目配線が使用されている。
【0003】
このように構成される静電気保護回路では、外部入力端子と入力段トランジスタとの間の領域に、既に2層の配線が配置されているので、他の素子間や回路間を接続する信号配線や電源配線を通すことが難しい。このため、これらの信号配線や電源配線は静電気保護回路を迂回して引き回されるので、半導体基板上での引き回しに要する占有面積が増大し、半導体集積回路の集積度が低下してしまう。従って、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、サージに対する保護性能を確保しつつ、配線の占有面積を効果的に減少させて集積度を向上させることができる半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1実施態様に係る半導体集積回路は、基板上の第1領域に配設された外部端子と、基板上の第1領域とは異なる第2領域に配設され、外部端子に信号配線を通して電気的に接続された内部回路と、基板上の第1領域及び第2領域とは異なる第3領域に配設され、信号配線に対して電気的に並列に外部端子に接続され、外部端子に印加されるサージに対して内部回路を保護する保護回路と、を備えている。
【0007】
第1実施態様に係る半導体集積回路は、外部端子に信号配線を通して電気的に接続された内部回路を備える。外部端子は基板上の第1領域に配設される。内部回路は基板上の第1領域とは異なる第2領域に配設される。
【0008】
ここで、半導体集積回路は、外部端子に印加されるサージに対して内部回路を保護する保護回路を備える。保護回路は、基板の第1領域及び第2領域とは異なる第3領域に配設され、信号配線に対して電気的に並列に外部端子に接続される。
仮に、2層配線構造が採用される場合、外部端子と内部回路との間の領域(第1領域と第2領域との間の領域)には、保護回路が配設されないので、信号配線とは別の層の配線を通すことができる。
このため、保護回路を備えるので、サージを吸収することができ、更に外部端子と内部回路との間を迂回する引き回し配線を減らすことができるので、配線の占有面積を効果的に減少させることができる。
【0009】
本発明の第2実施態様に係る半導体集積回路では、第1実施態様に係る半導体集積回路において、信号配線に電気的に直列に抵抗が接続されている。
【0010】
第2実施態様に係る半導体集積回路によれば、抵抗が信号配線に電気的に直列に接続され、外部端子と保護回路との接続経路に比し、外部端子と内部回路との間の信号配線のインピーダンスを高くすることができる。このため、外部端子にサージが印加されると、サージは内部回路よりも保護回路へ流れ易くなるので、保護回路においてサージを吸収し、サージ耐性を向上させることができる。
【0011】
本発明の第3実施態様に係る半導体集積回路では、第1実施態様又は第2実施態様に係る半導体集積回路において、外部端子は、平面視において矩形状に形成され、内部回路は、外部端子の一辺側を第2領域として基板上に配設され、保護回路は、外部端子の一辺側を第3領域として基板上に配設されている。
【0012】
第3実施態様に係る半導体集積回路によれば、平面視において矩形状に形成された外部端子の一辺側を第2領域として基板上に内部回路が配設され、外部端子の一辺側と同一側を第3領域として基板上に保護回路が配設される。ここで、外部端子の一辺側に内部回路、保護回路のそれぞれが配設されていても、信号配線に対して外部端子と保護回路との接続経路が電気的に並列に接続されているので、信号配線を跨いで信号配線とは別の層の配線を通すことができる。
【0013】
本発明の第4実施態様に係る半導体集積回路では、第1実施態様又は第2実施態様に係る半導体集積回路において、外部端子は、平面視において矩形状に形成され、内部回路は、外部端子の一辺側を第2領域として基板上に配設され、保護回路は、外部端子の一辺側とは反対の他辺側を第3領域として基板上に配設されている。
【0014】
第4実施態様に係る半導体集積回路によれば、平面視において矩形状に形成された外部端子の一辺側を第2領域として基板上に内部回路が配設され、外部端子の一辺側とは反対の他辺側を第3領域として基板上に保護回路が配設される。ここで、保護回路が配設される第3領域は、外部端子を中心として、内部回路が配設される第2領域に対して反対とされているので、外部端子と内部回路との間の領域には信号配線を跨いで信号配線とは別の層の配線を通すことができる。
加えて、仮に、保護回路が外部端子よりも基板端部に配設されるとき、この領域はデッドスペースとされ、このデッドスペースを利用して保護回路が配設されるので、より一層集積度を向上させることができる。
【0015】
本発明の第5実施態様に係る半導体集積回路では、第1実施態様又は第2実施態様に係る半導体集積回路において、外部端子は、平面視において矩形状に形成され、内部回路は、外部端子の一辺側を第2領域として基板上に配設され、保護回路は、外部端子の一辺に隣接する他辺側を第3領域として基板上に配設されている。
【0016】
第5実施態様に係る半導体集積回路によれば、平面視において矩形状に形成された外部端子の一辺側を第2領域として基板上に内部回路が配設され、外部端子の一辺に隣接する他辺側を第3領域として基板上に保護回路が配設される。ここで、保護回路が配設される第3領域は、外部端子と他の外部端子との間の領域とされているので、外部端子と内部回路との間の領域には信号配線を跨いで信号配線とは別の層の配線を通すことができる。
加えて、外部端子と他の外部端子との間の領域はデッドスペースとされ、デッドスペースを利用して保護回路が配設されるので、より一層集積度を向上させることができる。
【0017】
本発明の第6実施態様に係る半導体集積回路では、第4実施態様又は第5実施態様に係る半導体集積回路において、保護回路は、外部端子が配設された第1領域から基板端部に至るまでを第3領域として基板上に配設されている。
【0018】
第6実施態様に係る半導体集積回路では、外部端子が配設された第1領域から基板端部に至るまでを第3領域として基板上に保護回路が配設される。この第3領域はデッドスペースとされ、デッドスペースを利用して保護回路が配設されるので、より一層集積度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サージに対する保護性能を確保しつつ、配線の占有面積を効果的に減少させて集積度を向上させることができる半導体集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る半導体集積回路の要部回路構成図(平面レイアウト図)である。
【
図2】
図1に示される半導体集積回路の縦断面構造図である。
【
図3】本発明の第2実施の形態に係る半導体集積回路の
図1に対応する要部回路構成図である。
【
図4】本発明の第3実施の形態に係る半導体集積回路の
図1に対応する要部回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施の形態]
以下、
図1及び
図2を用いて、本発明の第1実施の形態に係る半導体集積回路を説明する。なお、本実施の形態並びに後述する他の実施の形態において、同一機能を有する構成要素、又は実質的に同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
(半導体集積回路1の回路構成)
図1に示されるように、本実施の形態に係る半導体集積回路1は基板2を主体に構成されている。半導体集積回路1は、複数の外部端子3と、内部回路4と、保護回路5とを含んで構成されている。
【0023】
詳細な縦断面構造は後述するが、基板2は例えばシリコン半導体基板(半導体チップ)を用いて構成されている。基板2は、平面視において、矩形状に形成されている。
【0024】
複数の外部端子3は、基板2の主面上において、基板2の端部2Eに沿った基板2の周辺領域としての第1領域A1に所定間隔を持って配列されている。ここで、端部2Eは、図示省略の半導体ウェーハからダイシングにより切り離され、端面が露出された基板2の端部という意味において使用されている。また、
図1では、簡略的に、外部端子3として3つの外部端子31、外部端子32及び外部端子33が示されているが、外部端子3の配置数はこれに限定されない。外部端子32は端部2Eに沿って外部端子31の上方に配設され、外部端子33は端部2Eに沿って外部端子31の下方に配設されている。なお、外部端子31~外部端子33は、総称して単に「外部端子3」として説明する場合がある。
外部端子3は、平面視において、矩形状、ここでは正方形状に形成されている。この外部端子3には、図示省略のボンディングワイヤの一端が電気的に接続される構成とされている。ボンディングワイヤの他端は、図示省略のインナーリード、又は図示省略の配線基板の配線に接続されている。
【0025】
内部回路4は、半導体集積回路1の内部集積回路の入力段回路として構成され、外部端子31(第1領域A1)とは異なる領域であって、基板2の中央領域としての第2領域A2において、基板2の主面上を含む主面部に配設されている。内部回路4は外部端子31に信号配線6を通して電気的に接続されている。
【0026】
本実施の形態において、内部回路4は、トランジスタ41及びトランジスタ42を有する入力インバータにより構成されている。ここでは、トランジスタ41にpチャネル絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated Gate Field Effect Transistor)が使用され、トランジスタ42にnチャネルIGFETが使用されている。なお、IGFETは金属/酸化膜/半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、金属/絶縁体/半導体型電界効果トランジスタ(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の双方を含む意味において使用されている。
【0027】
トランジスタ41の一方の主電極(ソース電極)は電源電圧Vccに接続され、他方の主電極(ドレイン電極)は次段内部回路への出力端子Outに接続されている。トランジスタ41の制御電極(ゲート電極)は信号配線6を通して外部端子31に電気的に接続されている。ここで、電源電圧Vccは、回路の動作電圧であり、例えば5Vである。
トランジスタ42の一方の主電極(ソース電極)は基準電圧Vssに接続され、他方の主電極(ドレイン電極)はトランジスタ41の他方の主電極と同一の出力端子Outに接続されている。トランジスタ42の制御電極(ゲート電極)は、トランジスタ41の制御電極と同一の外部端子31に電気的に接続されている。基準電圧Vssは、電源電圧Vccの電圧よりも低い回路の基準電圧(接地電圧)であり、例えば0Vである。
【0028】
保護回路5は、外部端子31(第1領域A1)及び内部回路4(第2領域A2)とは異なる領域であって、外部端子31と内部回路4との間の第3領域A3において、基板2の主面上を含む主面部に配設されている。保護回路5は、本来、外部端子31と内部回路4とを接続する信号配線6の途中に挿入されているが、本実施の形態では信号配線6に対して電気的に並列に外部端子31に接続されている。
【0029】
詳しく説明すると、保護回路5は、信号配線6の外部端子31側において、信号配線6から分岐されている。本実施の形態では、保護回路5は、順方向接続とされた保護ダイオード51と、逆方向接続とされた保護ダイオード52とを含んで構成されている。
保護ダイオード51は、アノード領域を外部端子31に接続し、カソード領域を電源電圧Vccに接続して構成されている。保護ダイオード52は、アノード領域を基準電源Vssに接続し、カソード領域を外部端子31に接続して構成されている。
保護回路5は、外部端子31に印加されるサージ(過電流)に対して内部回路4を保護する構成とされている。仮に、外部端子31に正のサージが印加されたとき、サージは保護ダイオード51を通して電源電圧Vccへ吸収される。また、外部端子31に負のサージが印加されたとき、サージは保護ダイオード52を通して基準電圧Vssへ吸収される。サージが吸収されることにより、内部回路4のトランジスタ41、トランジスタ42のそれぞれのサージ破壊を防止することができる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、外部端子31と内部回路4との間を接続する信号配線6に電気的に直列に抵抗7が接続されている。詳しく説明すると、抵抗7は信号配線6の保護回路5との分岐後と内部回路4との間に挿入されている。この抵抗7の抵抗値は例えば数Ω~10Ωと低く設定されている。つまり、抵抗7は、信号配線6に伝達される信号速度をほとんど低下させることなく、信号配線6のインピーダンスを抵抗7が挿入されない場合に比し高くして、保護回路5へサージを流しやすくしている。
【0031】
(半導体集積回路1の縦断面構造)
次に、上記半導体集積回路1の具体的な縦断面構造について説明する。
図2に示されるように、半導体集積回路1において、基板2は、シリコン単結晶基板21と、このシリコン単結晶基板21の主面上に成長させたエピタキシャル層22とを含んで構成されている。ここで、シリコン単結晶基板21、エピタキシャル層22はいずれもp型に設定されている。
【0032】
内部回路4のトランジスタ41は、
図2中、右側に示されるように、エピタキシャル層22の主面部に配設されたn型ウエル領域23の主面部に形成されている。トランジスタ41は、チャネル形成領域として使用されるn型ウエル領域23と、一対の主電極として使用される一対のp型半導体領域25と、ゲート絶縁膜27と、ゲート電極28とを備えている。p型半導体領域25はn型ウエル領域23の主面部に形成されている。ゲート絶縁膜27は、一対のp型半導体領域25の間の領域において、n型ウエル領域23の主面上に形成されている。ゲート絶縁膜27は、例えばシリコン酸化膜若しくはシリコン窒化膜の単層膜、又はそれらを積層した複合膜により形成されている。ゲート電極28はゲート絶縁膜27上に形成されている。ゲート電極28として、例えば抵抗値を低減する不純物が導入されたシリコン多結晶膜の単層、又はこのシリコン多結晶膜と高融点金属若しくは高融点金属シリサイド膜との複合膜を使用することができる。
【0033】
トランジスタ42は、エピタキシャル層22の主面部に配設されたp型ウエル領域24の主面部に形成されている。トランジスタ42は、チャネル形成領域として使用されるp型ウエル領域24と、一対の主電極として使用される一対のn型半導体領域26と、ゲート絶縁膜27と、ゲート電極28とを備えている。n型半導体領域26はp型ウエル領域24の主面部に形成されている。ゲート絶縁膜27、ゲート電極28のそれぞれはトランジスタ41のゲート絶縁膜27、ゲート電極28のそれぞれと同一層、かつ、同一材料により構成されている。
【0034】
一方、保護回路5の保護ダイオード51は、
図2中、左側に示されるように、エピタキシャル層22の主面部に配設されたn型ウエル領域23の主面部に形成されている。保護ダイオード51は、カソード領域をn型ウエル領域23とし、アノード領域をn型ウエル領域23の主面部に形成されたp型半導体領域25として構成されている。
また、保護ダイオード52は、エピタキシャル層22の主面部に配設されたp型ウエル領域24の主面部に形成されている。保護ダイオード52は、アノード領域をp型ウエル領域24とし、カソード領域をp型ウエル領域24の主面部に形成されたn型半導体領域26として構成されている。
【0035】
抵抗7は、
図2中、中央部に示されるように、エピタキシャル層22の主面部に配設されたn型ウエル領域23の主面部に形成されている。抵抗7は、n型ウエル領域23の主面部に形成されたp型半導体領域25により、所謂拡散層抵抗として構成されている。
ここで、抵抗7は、p型ウエル領域24の主面部に配設されたn型半導体領域26により、又はゲート電極28と同一層、かつ、同一材料により形成された所謂ポリシリコン抵抗により形成してもよい。
【0036】
上下配線間の層間絶縁層並びに上下配線間を接続する接続孔が省略されて、
図2に簡略的に示されるように、本実施の形態では、半導体集積回路1に2層配線構造が採用されている。
【0037】
外部端子3は2層目配線により構成されている。また、信号配線6は第1層目配線61及び第1層目配線62により構成されている。外部端子31は第1層目配線61の一端部に図示省略の接続孔を通して電気的に接続されている。第1層目配線61の他端部は抵抗7の一端部(p型半導体領域25の一端部)に電気的に接続されている。抵抗7の他端部(p型半導体領域25の他端部)は第1層目配線62の一端部に電気的に接続され、第1層目配線62の他端部はトランジスタ41、トランジスタ42のそれぞれのゲート電極28に電気的に接続されている。第1層目配線61の他端部、第1層目配線62の一端部はそれぞれ図示省略の接続孔を通して抵抗7に接続されている。第1層目配線62の他端部は図示省略の接続孔を通してゲート電極28に接続されている。
【0038】
電源電圧Vccは第2層目配線35により供給され、この第2層目配線35はトランジスタ41の一方の主電極(p型半導体領域25)に電気的に接続されている。第2層目配線35は、図示省略の接続孔及び第1層目配線を通して一方の主電極に接続されている。
基準電圧Vssは第2層目配線36により供給され、この第2層目配線36はトランジスタ42の一方の主電極(n型半導体領域26)に電気的に接続されている。第2層目配線36は、図示省略の接続孔及び第1層目配線を通して一方の主電極に接続されている。
トランジスタ41の他方の主電極(p型半導体領域25)、トランジスタ42の他方の主電極(n型半導体領域26)のそれぞれは第1層目配線63を通して出力端子Outに接続されている。
【0039】
また、外部端子31は第1層目配線64の一端部に電気的に接続され、第1層目配線64の他端部は保護ダイオード51のアノード領域(p型半導体領域25)、保護ダイオード52のカソード領域(n型半導体領域26)のそれぞれに電気的に接続されている。第1層目配線64は図示省略の接続孔を通してアノード領域、カソード領域のそれぞれに接続されている。
電源電圧Vccを供給する第2層目配線35は保護ダイオード51のカソード領域(n型ウエル領域23)に電気的に接続されている。基準電圧Vssを供給する第2層目配線36は保護ダイオード52のアノード領域(p型ウエル領域24)に電気的に接続されている。接続には図示省略の接続孔及び第1層目配線が使用されている。
【0040】
第1層目配線61等、第2層目配線35等のそれぞれとして、例えばアルミニウム合金配線が使用されている。アルミニウム合金配線は、アルミニウムに、アロイスパイクを抑制するシリコン、マイグレーションを抑制する銅のそれぞれを添加して形成されている。
【0041】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る半導体集積回路1は、
図1及び
図2に示されるように、外部端子31に信号配線6を通して電気的に接続された内部回路4を備える。外部端子31は基板2上の第1領域A1に配設される。内部回路4は基板2上の第1領域A1とは異なる第2領域A2に配設される。
【0042】
ここで、半導体集積回路1は、外部端子31に印加されるサージに対して内部回路4を保護する保護回路5を備える。保護回路5は、基板2の第1領域A1及び第2領域A2とは異なる第3領域A3に配設され、信号配線6に対して電気的に並列に外部端子31に接続される。
仮に、2層配線構造が採用される場合、外部端子31と内部回路4との間の領域(第1領域A1と第2領域A2との間の領域)、詳細には信号配線6の配置領域としての第4領域A4には、保護回路5が配設されないので、信号配線6とは別の層の配線を通すことができる。具体的には、
図1及び
図2に示される第4領域A4には、第1層目配線61及び62とは異なる第2層目配線を通すことができる。
このため、保護回路5を備えるので、サージを吸収することができ、更に外部端子31と内部回路4との間を迂回する引き回し配線を減らすことができるので、配線の占有面積を効果的に減少させることができる。すなわち、半導体集積回路1では、サージに対する保護性能を確保しつつ、配線の占有面積を効果的に減少させて集積度を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図1及び
図2に示されるように、抵抗7が信号配線6に電気的に直列に接続される。この抵抗7を備えることにより、外部端子31と保護回路5との接続経路に比し、外部端子31と内部回路4との間の信号配線6のインピーダンスを高くすることができる。このため、外部端子31にサージが印加されると、サージは内部回路4よりも保護回路5へ流れ易くなるので、保護回路5においてサージを吸収し、サージ耐性を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図1に示されるように、平面視において矩形状に形成された外部端子31の一辺側を第2領域A2として基板2上に内部回路4が配設される。加えて、外部端子31の一辺側と同一側を第3領域A3として基板2上に保護回路5が配設される。
ここで、外部端子31の一辺側に内部回路4、保護回路5のそれぞれが配設されていても、信号配線6に対して外部端子31と保護回路5との接続経路が電気的に並列に接続されているので、信号配線6を跨いで信号配線6とは別の層の配線を通すことができる。具体的には第2層目配線を通すことができる。
【0045】
なお、
図1に示される半導体集積回路1では、理解し易くするために、外部端子31だけに内部回路4及び保護回路5が配設されているが、実際には外部端子32、33のそれぞれにも内部回路4及び保護回路5が配設されている。
【0046】
[第2実施の形態]
次に、
図3を用いて、本発明の第2実施の形態に係る半導体集積回路1を説明する。本実施の形態並びに後述する第3実施の形態に係る半導体集積回路1は、保護回路5の配置位置を変えた例を説明するものである。
【0047】
本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図3に示されるように、第1実施の形態に係る半導体集積回路1の内部回路4と同様に、内部回路4は、基板2の中央領域であって、外部端子31の一辺側を第2領域A2として基板2上に配設されている。
【0048】
一方、保護回路5は、基板2の周辺領域であって、外部端子31の一辺側とは反対の他辺側を第3領域A3として基板2上に配設されている。すなわち、保護回路5は、外部端子31が配設された第1領域Aから基板2の端部2Eに至までの領域であって、通常では半導体素子や回路を配設しないデッドスペースに配設されている。
【0049】
このように構成される本実施の形態に係る半導体集積回路1によれば、第1実施の形態に係る半導体集積回路1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
さらに、本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図3に示されるように、平面視において矩形状に形成された外部端子31の一辺側を第2領域A2として基板2上に内部回路4が配設される。加えて、外部端子31の一辺側とは反対の他辺側を第3領域A3として基板2上に保護回路5が配設される。ここで、保護回路5が配設される第3領域A3は、外部端子31を中心として、内部回路4が配設される第2領域A2に対して反対とされているので、外部端子31と内部回路4との間の第4領域A4には信号配線6を跨いで信号配線6とは別の層の配線、すなわち第2層目配線を通すことができる。
加えて、保護回路5が外部端子31よりも基板2の端部2E側に配設され、この領域はデッドスペースとされ、このデッドスペースを利用して保護回路5が配設されるので、より一層集積度を向上させることができる。
【0051】
[第3実施の形態]
次に、
図4を用いて、本発明の第3実施の形態に係る半導体集積回路1を説明する。
【0052】
本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図4に示されるように、第1実施の形態に係る半導体集積回路1の内部回路4と同様に、内部回路4は、基板2の中央領域であって、外部端子31の一辺側を第2領域A2として基板2上に配設されている。
【0053】
一方、保護回路5は、基板2の周辺領域であって、外部端子31の一辺に隣接する他辺側を第3領域A3として基板2上に配設されている。すなわち、保護回路5は、外部端子31とそれに隣接する外部端子33(又は外部端子32)との間の領域であって、通常では半導体素子や回路を配設しないデッドスペースに配設されている。
【0054】
このように構成される本実施の形態に係る半導体集積回路1によれば、第1実施の形態に係る半導体集積回路1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
さらに、本実施の形態に係る半導体集積回路1では、
図4に示されるように、平面視において矩形状に形成された外部端子31の一辺側を第2領域A2として基板2上に内部回路4が配設される。加えて、外部端子31の一辺に隣接する他辺側を第3領域A3として基板2上に保護回路5が配設される。ここで、保護回路5が配設される第3領域A3は、外部端子31と他の外部端子33との間の領域とされているので、外部端子31と内部回路4との間の第4領域A4には信号配線6を跨いで信号配線6とは別の層の配線、すなわち第2層目配線を通すことができる。
加えて、外部端子31と外部端子33との間の領域はデッドスペースとされ、デッドスペースを利用して保護回路5が配設されるので、より一層集積度を向上させることができる。
【0056】
[上記実施の形態の補足説明]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において例えば以下の通り変形可能である。
例えば、本発明では、内部回路がバイポーラトランジスタを用いて構成されてもよい。
また、本発明では、抵抗、IGFET、バイポーラトランジスタのそれぞれの半導体素子、若しくはそれらの少なくとも1つの半導体素子と保護ダイオードとを組み合わせて保護回路を構成してもよい。例えば、IGFETでは、その一方の主電極を構成する半導体領域と、この半導体領域を主面部に配設するウエル領域とのpn接合部に形成された保護ダイオードを用いて、保護回路が構成されてもよい。さらに、本発明は、例えばIGFETと抵抗とを組み合わせて保護回路を構成してもよい。
また、本発明は、外部端子と出力段回路(内部回路)との間に保護回路が配設された半導体集積回路に適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…半導体集積回路、2…基板、3、31~33…外部端子、4…内部回路、41、42…トランジスタ、5…保護回路、51、52…保護ダイオード、6…信号配線、61~63…第1層目配線、35、36…第2層目配線、23…n型ウエル領域、24…p型ウエル領域、25…p型半導体領域、26…n型半導体領域、27…ゲート絶縁膜、28…ゲート電極。