(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】脚座および作業台
(51)【国際特許分類】
E04G 5/02 20060101AFI20220405BHJP
E06C 7/42 20060101ALI20220405BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E04G5/02 D
E06C7/42
E04G1/24 302L
(21)【出願番号】P 2017144889
(22)【出願日】2017-07-26
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0201746(US,A1)
【文献】特開2002-213170(JP,A)
【文献】特開2017-066627(JP,A)
【文献】特開2005-061012(JP,A)
【文献】実開昭58-156999(JP,U)
【文献】特開2006-348630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/02
E06C 7/42
E04G 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台の複数の脚部にそれぞれ取り付けられ、床面と接地する脚座であって、
前記脚座は、
前記床面に形成された、径75mm以上の孔に挿入できない大きさの接地部と、
前記作業台の脚部に取り付けられ、前記接地部の上側に位置する取付部と、を有し、
前記接地部が前記床面に接地された状態において、
前記取付部は、
左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、
前記接地部は、
前後方向の長さよりも
左右方向の長さが長いことを特徴とする脚座。
【請求項2】
前記接地部は、
更に、径75mm以上であって径150mm以下の孔に挿入できない大きさであることを特徴とする請求項1に記載の脚座。
【請求項3】
前記接地部は、
更に、径75mm以上であって径100mm以下の孔に挿入できない大きさであることを特徴とする請求項1または2に記載の脚座。
【請求項4】
前記接地部が前記床面に接地された状態において前記脚座を鉛直方向から見たときに、
前記接地部は、
前記孔を隙間なく塞ぐ形状であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の脚座。
【請求項5】
前記接地部は、
水平方向の長さのうち最も長い長さが前記孔の径よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の脚座。
【請求項6】
前記接地部が前記床面に接地された状態で鉛直方向から見たときに、
前記取付部は、
前記接地部に対して水平方向において偏って位置することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の脚座。
【請求項7】
前記取付部と前記接地部とは可撓性がある材料により一体で形成されることを特徴とする請求項1ないし
6の何れか1項に記載の脚座。
【請求項8】
複数の脚部のそれぞれに取り付けられ、床面に接地する脚座を備えた作業台であって、
前記脚座は、
前記床面に形成された、径75mm以上の孔に挿入できない大きさの接地部と、
前記作業台の脚部に取り付けられ、前記接地部の上側に位置する取付部と、を有し、
前記接地部が前記床面に接地された状態において、
前記取付部は、
左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、
前記接地部は、
前後方向の長さよりも
左右方向の長さが長いことを特徴とする作業台。
【請求項9】
前記取付部に前記作業台の脚部が取り付けられた状態において、
前記脚部の下端かつ外側端から
左右方向に向かう前記接地部の外側端までの距離のうち最も長い距離が、前記脚部の下端かつ前端から
前方向に向かう前記接地部の前端までの距離のうち最も長い距離、または、前記脚部の下端かつ後端から
後方向に向かう前記接地部の後端までの距離のうち最も長い距離よりも長いことを特徴とする請求項
8に記載の
作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚座および作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬式作業台や脚立式作業台等の作業台を床面に安定して接地するために、従来から作業台の脚部の下端に脚座を取り付けた作業台が知られている。特許文献1には、4つの脚にそれぞれゴム筒を被嵌固定した作業台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような作業台を、例えば建築工事の作業現場で使用するには脚座を床面に完全に接地させることが必要である。しかしながら、作業現場の床面は工事途中であるために脚座を床面に接地できない障害が多数、存在する。特に、床面にスリーブという開口部材の孔が存在する場合がある。スリーブは、コンクリートの床等に給排水の配管や電気関連の配線等を貫通させるために予め開けておく孔である。
ここで、作業台を接地させようとする作業者がスリーブの孔に気付かずに脚座を孔の上に配置してしまうことが想定される。このような状態では、脚座がスリーブの孔に挿入されてしまい、作業台を床面に安定して接地することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、作業台を床面に安定して接地できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の脚座は、作業台の複数の脚部にそれぞれ取り付けられ、床面と接地する脚座であって、前記脚座は、前記床面に形成された、径75mm以上の孔に挿入できない大きさの接地部と、前記作業台の脚部に取り付けられ、前記接地部の上側に位置する取付部と、を有し、前記接地部が前記床面に接地された状態において、前記取付部は、左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、前記接地部は、前後方向の長さよりも左右方向の長さが長いことを特徴とする。
本発明の作業台は、複数の脚部のそれぞれに取り付けられ、床面に接地する脚座を備えた作業台であって、前記脚座は、前記床面に形成された、径75mm以上の孔に挿入できない大きさの接地部と、前記作業台の脚部に取り付けられ、前記接地部の上側に位置する取付部と、を有し、前記接地部が前記床面に接地された状態において、前記取付部は、左右方向の長さよりも前後方向の長さが長く、前記接地部は、前後方向の長さよりも左右方向の長さが長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業台を床面に安定して接地することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る脚座および作業台について図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る作業台としての可搬式作業台1について説明する。
図1Aは、可搬式作業台1の斜視図である。
図1Bは、可搬式作業台1の正面図である。
図1Cは、可搬式作業台1の平面図である。なお、
図1Bに示す正面図において、左右方向を幅方向といい、幅方向における中央側を内側といい、中央から右側および左側を外側という。また、
図1Cに示すように、一点鎖線に近づく側を前側といい、一点鎖線から離れる側を後側というものとする。なお、
図1Cに示す一点鎖線は、可搬式作業台1の前後方向の長さにおける中心線である。
【0010】
可搬式作業台1は、天板10と、囲い部20と、主脚30と、ステー50と、脚座100とを備える。
天板10は、作業者が可搬式作業台1で作業するときの足場となる。天板10は、板状の部材であり、鉛直方向から見たときに前後方向に長い矩形状である。
【0011】
囲い部20は、作業者が天板10上で作業しているときに、作業者が可搬式作業台1から転落しないように作業者の周囲を取り囲む。囲い部20は、4つの支柱21と、一対の長手側桟部材22と、一対の短手側桟部材23とを有する。4つの支柱21は、それぞれ天板10の四隅に立設される。一対の長手側桟部材22は、天板10の4辺のうち長辺の上側で、支柱21間に架け渡される。なお、長手側桟部材22は、長手方向の略中央で分割して構成される。一対の短手側桟部材23は、天板10の4辺のうち短辺の上側で、支柱21間に架け渡される。なお、一対の短手側桟部材23は、支柱21に接続された状態から離脱させることで、作業者は主脚30と天板10との間を行き来することができる。
また、一対の長手側桟部材22および一対の短手側桟部材23は支柱21に沿った状態になるように折り畳むことができる。更に、支柱21は主脚30に沿った状態になるように折り畳むことができる。
【0012】
主脚30は、天板10を水平な状態に支持する。主脚30は、第1主脚31と第2主脚32とを有する。第1主脚31と第2主脚32はそれぞれ同様の構成であり、ここでは第1主脚31について説明する。
第1主脚31は、脚部33aと、脚部33bと、複数の桟部材36とを有する。
図1Bに示すように、脚部33aと脚部33bとは可搬式作業台1の幅方向における中心である中心線Lcを基準にして左右対称な構成である。脚部33a、33bはそれぞれ、上部が天板10の角部に接続され、下部が可搬式作業台1の床面(接地面)まで延びる棒状の部材である。脚部33a、33bは、天板10から可搬式作業台1の床面に向かうにしたがって、互いの距離が広がるように床面に対して配置される。
【0013】
脚部33aおよび脚部33bはそれぞれ、支柱脚34と伸縮脚35とを備える。支柱脚34は、脚部33の上部を構成する棒状の部材であって中空である。支柱脚34の上側の端部が天板10に接続する。伸縮脚35は、支柱脚34の下側の端部から支柱脚34に沿って下側に伸びる棒状の部材である。伸縮脚35の上部は、支柱脚34の内部に嵌まり込む。支柱脚34の内部に嵌まり込む伸縮脚35の長さは調整可能であり、支柱脚34の内部に入り込む伸縮脚35の長さを調整することで、脚部33aおよび脚部33bの全体の長さを調整できる。
図1Bおよび
図1Cでは、伸縮脚35を最も長くなるように調整した状態でロック部材37によりロックされている。
【0014】
桟部材36は、脚部33aと脚部33bとの間に架け渡される。桟部材36は、棒状の部材であり、第1主脚31の強度を向上させる。また、桟部材36は、作業者が天板10に昇降するときの踏み桟となる。桟部材36は、作業者が昇降しやすいように上下に間隔を空けて脚部33aおよび脚部33bに固定される。
ステー50は、天板10と第1主脚31、および、天板10と第2主脚32とを接続する。また、ステー50は、天板10と第1主脚31との角度、および、天板10と第2主脚32との角度を所定の角度にして可搬式作業台1を補強する。
【0015】
第1主脚31および第2主脚32は畳むことが可能である。第2主脚32を、第2主脚32と天板10との接続部を中心に、第2主脚32の桟部材36が天板10の下側の面に近づくように回転させる。また、第1主脚31を、第1主脚31と天板10との接続部を中心に、第1主脚31の桟部材36が天板10の下側の面に近づくように回転させる。こうして、第1主脚31および第2主脚32が畳まれた状態になり、作業者は可搬式作業台1を容易に搬送することができる。
なお、天板10、第1主脚31、第2主脚32およびステー50は、主としてアルミニウム合金等の金属製の材料で形成される。また、囲い部20のうち強度が必要な部材はアルミニウム合金等の金属製の材料で形成され、強度が必要ではない部材は合成樹脂で形成される。
【0016】
脚座100はそれぞれ、第1主脚31の脚部33a、33bの下端および第2主脚32の脚部33a、33bの下端に取り付けられる。脚座100は可搬式作業台1が床面に対して滑らないようにすると共に、床面に形成された所定の径(内径)以上の孔に挿入できような大きさに形成されている。
本実施形態の脚座100は、2種類の脚座100a、100bを備える。脚座100aは、第1主脚31および第2主脚32のそれぞれの脚部33aに取り付けられる。脚座100bは、第1主脚31および第2主脚32のそれぞれの脚部33bに取り付けられる。脚座100a、100bは可撓性がある材料、例えば軟質塩化ビニールで形成される。ただし、脚座100a、100bは合成ゴムや合成樹脂等の他の材料で形成してもよい。脚座100aと脚座100bとは、
図1Bに示す中心線Lcを基準にして対称な構成である。
【0017】
次に、
図2A~
図2Fを参照して、脚座100aについて説明する。
図2Aは、脚座100aの側面図であり、
図1Bに示すA方向(内側)から見た図である。
図2Bは、
図2Aの一部を拡大した拡大図である。
図2Cは、脚座100aの底面図である。
図2Dは、脚座100aの背面図であり、
図2AのB方向から見た図である。
図2Eは、脚座100aの平面図である。
図2Fは、脚部33a(伸縮脚35)を挿入する方向から見た脚座100aの平面図である。
図2Gは、
図2FのC点-C’点を通るように鉛直方向に切断した断面図である。
図2Hは、
図2FのE点-E’点を通るように鉛直方向に切断した断面図である。
【0018】
脚座100aは、取付部110と、接地部130と、リブ部150とを有する。
まず、取付部110について説明する。
取付部110は、脚座100aを脚部33aに取り付けるための部位である。取付部110は、接地部130から上側に向かって伸びる略ブロック状である。具体的には、取付部110は、上側が開口する筒状に形成され、下側が接地部130によって閉塞される。
図2Aに示すように内側から見たときに、取付部110は上側になるにしたがって前側に傾くように傾斜する。すなわち、取付部110は接地部130から矢印D1方向に延出する。また、
図2Dに示すように、取付部110は上側になるにしたがって内側に傾くように傾斜する。すなわち、取付部110は接地部130から矢印D2方向に延出する。
【0019】
取付部110は、前側壁111と、後側壁112と、内側壁113と、外側壁114と、底部115とを有する。前側壁111と、後側壁112と、内側壁113と、外側壁114とによって囲まれた空間は、脚部33aの伸縮脚35が挿入される取付空間116である。
【0020】
図2Fに示すように、前側壁111および後側壁112は取付空間116を挟んで対向し、互いに平行である。前側壁111および後側壁112は、幅方向の略中央が取付空間116側に向かって互いに近づく方向に突出する突出部117を有する。内側壁113および外側壁114は取付空間116を挟んで対向し、互いに平行である。また、前側壁111と後側壁112との距離は、内側壁113と外側壁114との距離よりも長い。したがって、取付部110は水平方向に沿った幅方向よりも水平方向に沿った前後方向に長く形成されている。また、内側壁113および外側壁114はそれぞれ、幅方向に挿通孔118が形成される。挿通孔118および取付空間116に挿入された伸縮脚35に図示しないボルトを挿通させることで、ボルトを介して伸縮脚35が取付部110に固定される。
【0021】
ここで、取付空間116に挿入される伸縮脚35について説明する。
図2Fには、伸縮脚35の断面形状をグレーで示している。伸縮脚35は、
図2Fにより示す断面が、伸縮脚35の延出方向に沿って連続する筒状である。伸縮脚35は、例えば、アルミニウム合金を押し出し成形することによって形成され、伸縮脚35の延出方向に対して略直交する方向に切断されることで形成される。
図2Fに示すように、伸縮脚35の断面形状は、前側壁111と、後側壁112と、内側壁113と、外側壁114とからなる取付部110の形状を略縮小させた形状であり、伸縮脚35が取付部110の取付空間116内にガタなく嵌め込まれる。伸縮脚35は、前側板38と、後側板39と、内側板40と、外側板41とを有する。前側板38および後側板39が対向し、内側板40および外側板41が対向する。前側板38および後側板39はそれぞれ、幅方向の略中央が取付部110の突出部117の形状に合致するように凹んでいる。したがって、伸縮脚35が取付空間116に挿入された状態において、伸縮脚35の延出する方向は、取付部110の延出方向(
図2Aの矢印D1および
図2Dの矢印D2)と一致する。
【0022】
取付部110の説明に戻り、底部115は、伸縮脚35の下端が当接することで伸縮脚35を支持する。底部115は取付部110の延出方向あるいは伸縮脚35の延出方向に対して略直交する面である。底部115は、内側壁113の取付空間116側で前側壁111から後側壁112までに亘って形成されると共に、外側壁114の取付空間116側で前側壁111から後側壁112までに亘って形成される。一方、底部115は前側壁111の突出部117のうち取付空間116側および後側壁112の突出部117のうち取付空間116側には形成されない。すなわち、底部115は左右に分断されており、中央に接地部130側(下側)に向かって凹む肉抜部としての凹部119が形成される。
内側壁113側の底部115が伸縮脚35のうち内側板40側の下端を支持し、外側壁114側の底部115が伸縮脚35のうち外側板41側の下端を支持する。
【0023】
次に、接地部130について説明する。
接地部130は、脚座100aを床面に接地させるための部位である。接地部130は取付部110の下側に位置しており、取付部110と一体で形成される。
本実施形態の接地部130は、作業現場の床面に開けられたスリーブの孔に挿入できない大きさに形成される。スリーブには、挿通させる配管や配線のサイズおよび数に応じた複数の種類の大きさが用意されている。一般的に建築工事の床を貫通させるために用いるスリーブとして、径(内径)50mm、75mm、90mm、100mm、125mm、150mm、175mm等の種類がある。このような種類のスリーブの孔が床面に存在する場合に、作業者がスリーブに気付かずに脚座100aをスリーブの孔の上に配置してしまうことが想定される。
【0024】
そこで、本実施形態の脚座100aの接地部130はスリーブの孔に挿入できない大きさに設定されている。
具体的には、接地部130は、径75mm以上の孔に挿入できない大きさである。ここで、径75mm以上に規定するのは、径75mmの孔は比較的に大きく、例えば従来の脚座では孔に挿入されてしまう虞がある。
更に、接地部130は、径75mm以上であって径150mm以下の孔に挿入できない大きさであることが好ましい。ここで、径150mm以下の孔に規定するのは、径150mmの孔よりも大きい孔はそもそも作業者が気付きやすい大きさであるためである。
更に、接地部130は、径75mm以上であって径100mm以下の孔に挿入できない大きさであることが好ましい。ここで、径100mm以下の孔に規定するのは、作業現場では径100mmよりも大きい孔に蓋を設置するように定めていることが多いためである。
このように、接地部130が所定の径の孔に挿入できない大きさを有することで、脚座100aの接地部130を孔の上に配置したとしても、接地部130が孔に挿入されずに孔の周囲の床面に接地することから、可搬式作業台1を安定して接地することができる。
【0025】
以下、具体的に接地部130について説明する。
接地部130は、取付部110の下側に位置する扁平なブロック状である。接地部130は取付部110の下側で前後方向および幅方向に広がって形成される。本実施形態の接地部130は略矩形状に形成され、前端面131と、後端面132と、内端面133と、外端面134と、表面部135と、裏面部136とを有する。
図2Aに示すように、前端面131と後端面132とは、上側に向かうほど前側に傾斜する面であって、互いに略平行である。また、
図2Dに示すように、内端面133と外端面134とは、上側に向かうほど内側に傾くように傾斜する面であって、互いに略平行である。なお、前端面131と、後端面132と、内端面133と、外端面134との境界である角部には曲面が形成される。また、表面部135は、平坦な面であって、外側に向かうほど上側に傾斜すると共に、後側に向かうほど上側に傾斜する。したがって、表面部135のうち後端面132と外端面134との角部が最も上側に位置する。
また、内端面133と外端面134との距離は、前端面131と後端面132との距離よりも長い。したがって、接地部130は水平方向に沿った前後方向よりも水平方向に沿った幅方向に長く形成されている。
【0026】
また、裏面部136は床面に接地する部位であり、複数の突起部137を有する。
突起部137は、床面に接地した状態で脚座100aを水平方向における前後方向のうち、前側に動かすための力が後側に動かすための力よりも小さいように形成される。
図2Aに示すように、突起部137は、先端に向かって斜め後側、すなわち、下側かつ後側に延出するように形成される。突起部137の下側の先端の断面は半円状の形状である。また、突起部137は前端面131から後端面132までに複数(例えば10個)並んで配置される。
【0027】
突起部137の断面形状は何れの位置でも略同形状である。したがって、
図2Bに示す突起部137の側面を参照して、突起部137の断面形状を説明する。
突起部137は、斜め後側に延出するように形成される。突起部137が斜め後側に延出するとは、突起部137の中心線Lnが、斜め後側に延出することを表す。中心線Lnは、突起部137の断面図を考えたときに、突起部137の前側の面138aの端部の任意の点と、この点と同じ高さにある突起部137の後側の面138bの点と、の中間点からなる線である。
【0028】
また、
図2Cに示すように、接地部130を裏側から見ると、突起部137は接地部130の内端面133から外端面134に亘って形成される。ここで、突起部137のうち前側および中央側(前側から8本の突起部137)は、内端面133から外端面134に至るまでに後側に凸となる3つの円弧状を経るように形成される。また、突起部137のうち内側かつ前側に偏った位置には、水抜き穴139が形成される。水抜き穴139は、取付部110の凹部119に連通しており、凹部119に溜まった水を外部に排出する。また、突起部137のうち後側(後側から2本の突起部137)は、内端面133から外端面134に至るまで直線状である。直線状の突起部137の間には、上側に向かって凹む肉抜部としての凹部140が形成される。
【0029】
次に、接地部130の大きさとスリーブの孔との関係について説明する。
図3は、
図2AのI-I線に沿って切断した断面図であって、脚座100aのうち接地部130を床面に対して鉛直方向から見た図である。また、
図3の二点鎖線に示す円200は、上述したスリーブの径75mm以上の孔を示している。
図3に示すように、接地部130を鉛直方向から見たときに接地部130は円200と重なり合う。ここでは、接地部130は円200からはみ出すことなく、円200を隙間なく完全に覆って塞ぐことができる。接地部130は、鉛直方向から見たときに前端面131と後端面132との間の距離(水平方向かつ前後方向の距離)のうち最も長い距離L1が円200の直径(孔の径)よりも長くなるように設定されている。また、接地部130は、鉛直方向から見たときに内端面133と外端面134との間の距離(水平方向かつ幅方向の距離)のうち最も長い距離L2が円200の直径(孔の径)よりも長くなるように設定されている。また、接地部130は、前端面131と外端面134との角部と、後端面132と内端面133との角部と、の間の距離(水平方向の距離)のうち最も長い距離L3が円200の直径(孔の径)よりも長くなるように設定されている。更に、接地部130は、前端面131と内端面133との角部と、後端面132と外端面134との角部と、の間の距離(水平方向の距離)のうち最も長い距離L4が円200の直径(孔の径)よりも長くなるように設定されている。
【0030】
なお、距離L3および距離L4のうち長い方の距離Lhは、接地部130のうち水平方向に最も長い距離に相当する。したがって、距離Lhを少なくとも75mmよりも大きく設定することで、接地部130が径75mm以上の孔に挿入されない。なお、距離Lhが大き過ぎると接地部130の体積が大きくなり製造コストが増えてしまうことから、距離Lhを200mm以下、更には150mm以下にすることができる。
【0031】
次に、取付部110と接地部130との関係について説明する。
本実施形態の脚座100aは、鉛直方向から見たときに接地部130が取付部110に対して水平方向において外側に偏って位置する。換言すると、取付部110は接地部130に対して水平方向において内側に偏って位置する。
ここで、
図2Hおよび
図2Gを参照して、接地部130が取付部110に対して偏って位置する状態を、取付空間116に固定された伸縮脚35を基準にして比較する。
まず、
図2Hに示すように、伸縮脚35の内側板40の下端から水平方向かつ幅方向に向かう内端面133までの距離のうち最も長い距離をLinとする。また、伸縮脚35の外側板41の下端から水平方向かつ幅方向に向かう外端面134までの距離のうち最も長い距離をLoutとする。このとき、距離Linは、距離Loutよりも短い。ここで、距離Loutと距離Linとの比は、例えば、0.2~0.8:1である。このように、接地部130は取付部110に対して外側に偏って位置する。
接地部130が取付部110に対して水平方向の外側に偏って位置するということは、脚座100aを可搬式作業台1の伸縮脚35に取り付けたときに、脚座100aの接地部130が伸縮脚35よりも外側に張り出すことを意味する。
【0032】
また、
図2Gに示すように、伸縮脚35の前側板38の下端から水平方向かつ前後方向に沿った前端面131までの距離のうち最も長い距離をLfとする。また、伸縮脚35の後側板39の下端から水平方向かつ前後方向に沿った後端面132までの距離のうち最も長い距離をLrとする。このとき、距離Lfと距離Lrとの比は、例えば、2~4:3である。また、距離Linと距離Lfとは略同一である。更に、距離Lfと距離Lrは、距離Loutよりも短い。このように、接地部130は取付部110に対して前側あるいは後側には偏らないように位置している。
【0033】
次に、リブ部150について説明する。
リブ部150は、脚座100aの強度を向上させる部位である。リブ部150は複数のリブ151から構成される。リブ151は板状であって、隣り合うリブ151同士が間隔を空けて配置される。リブ151は取付部110の外周面と接地部130の表面部135とを結合する。具体的には、取付部110の前側壁111に結合されたリブ151は前側に向かって延び、取付部110の後側壁112に結合されたリブ151は後側に向かって延びる。また、取付部110の内側壁113に結合されたリブ151は幅方向であって内端面133側に向かって延び、取付部110の外側壁114に結合されたリブ151は幅方向であって外端面134側に向かって延びる。ここで、上述したように距離Loutは、他の距離に比べて長いことから、取付部110の外側壁114と接地部130の表面部135とを結合するリブ151は、他のリブに比べて大きく形成される。
【0034】
脚座100aは、以上のように構成される。なお、脚座100bは、中心線Lcにおいて対称な形状であることから説明を省略する。ただし、脚座100bは、必ずしも対称である場合に限られず、本実施形態の脚座100bの機能を発揮できるように適宜、変更することができる。
【0035】
次に、脚座100aを可搬式作業台1に取り付けた場合の作用について説明する。
作業者は、可搬式作業台1の伸縮脚35のそれぞれに、上述した、径75mm以上の孔に挿入できない大きさの接地部130を有する脚座100aおよび脚座100bを取り付ける。したがって、作業者が可搬式作業台1の脚部33a、33bの何れかを径75mm以上の孔の上に配置した場合であっても、脚座100aおよび脚座100bが孔に挿入されることを防止できる。具体的には、脚座100aあるいは脚座100bが、孔を塞ぐようにして孔の周囲の床面と接地するために可搬式作業台1を安定して接地させることができる。
【0036】
また、上述したように、接地部130が取付部110に対して水平方向の外側に偏って位置することから、
図1Bおよび
図1Cに示すように、脚座100aの接地部130は伸縮脚35よりも外側に張り出す。外側に張り出した接地部130は、可搬式作業台1が幅方向に対して外力が付加されたときに、可搬式作業台1が幅方向に倒れないように支持する。すなわち、接地部130を所定の径の孔に挿入できないような大きさに形成する場合に、接地部130を伸縮脚35よりも外側に張り出すようにすることで可搬式作業台1の倒れ防止を図ることができる。
【0037】
また、接地部130は取付部110に対する外側への張り出しに比べて、前側および後側には張り出していない。このように、接地部130が前側および後側に張り出さないようにすることで、必要以上に大きくならないようにすることができ、製造コストを削減することができる。特に、接地部130が前側に張り出さないことで、可搬式作業台1を前後方向に移動したときに接地部130を容易に作業壁に近づけることができ、作業壁周辺の作業を容易に行うことができる。また、可搬式作業台1を容易に搬送する場合に脚座100a、100bの前側あるいは後側にキャスターを取り付ける場合があり、接地部130が前側および後側に張り出さないようにすることで、容易にキャスターを取り付けることができる。
【0038】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
本実施形態では、作業台として可搬式作業台1について説明したが、この場合に限られず、脚立式作業台に適用してもよい。脚立式作業台に適用する場合でも、第1主脚31あるいは第2主脚32の構成を適用することができる。
また、本実施形態では脚座100a、100bを伸縮脚35に取り付ける場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、伸縮脚35を備えない脚部33a、33bの場合には脚座100a、100bを支柱脚34に直接、取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:可搬式作業台 33a、33b:脚部 34:支柱脚 35:伸縮脚 100(100a、100b):脚座 110:取付部 130:接地部 150:リブ部