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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】空調チャンバ及び空調設備
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/068 20060101AFI20220405BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220405BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20220405BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F24F13/068 A
F24F13/02 A
F24F13/06 B
F24F13/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017168611
(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公開番号】P2019045070
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岸本 孝文
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-194524(JP,A)
【文献】米国特許第06311735(US,B1)
【文献】特開2002-147828(JP,A)
【文献】特開2007-278626(JP,A)
【文献】特開2007-147185(JP,A)
【文献】特開2018-136072(JP,A)
【文献】特開平10-019353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/068
F24F 13/02
F24F 13/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏又は床下に設けられる空調チャンバであって、
複数の板部を含んで多角形状に形成され、隣接する板部同士がヒンジ部を介して繋がり変形可能に構成され、かつ前記複数の板部のうち、1つの板部に空調ダクトが接続される接続部が形成され変形することで角部を構成する前記ヒンジ部の位置を変えて前記接続部の位置を変えることが可能な周壁と、
変形不能な矩形状を成し、一端側が天井側又は床側に設けられた空調グリルに接続された前記周壁の他端側の開口を閉塞させる蓋部材と、
を有する空調チャンバ。
【請求項2】
前記板部は板金で形成され、前記ヒンジ部は、別部材で形成されている請求項1に記載の空調チャンバ。
【請求項3】
前記板部は樹脂で形成され、前記ヒンジ部はインテグラルヒンジである請求項1に記載の空調チャンバ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の空調チャンバを備えた空調設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調チャンバ及び空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、空調機械室の空調装置の上方に空調ダクトを介して接続される空調チャンバが設けられた技術が開示されている。この先行技術では、空調ダクトと空調チャンバとは互いに非連結の状態とされ、互いに相対移動可能とされている。また、空調ダクトと空調チャンバとの間には、弾性を有する気密部材が介在されており、これにより、空調ダクトや空調チャンバに破損や変形を抑制することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-153709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、空調ダクトと空調チャンバとで接続する向きが決まっており、空調ダクトが周辺の壁や梁等に干渉する場合、干渉を回避するため、空調チャンバや空調ダクト等の接続配置が制限される。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、空調チャンバや空調ダクト等の接続配置の制限を緩和することができる空調チャンバ及び空調設備を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための第1の態様は、天井裏又は床下に設けられる空調チャンバであって、複数の板部を含んで多角形状に形成され、隣接する板部同士がヒンジ部を介して繋がり変形可能に構成され、かつ前記複数の板部のうち、1つの板部に空調ダクトが接続される接続部が形成された周壁と、前記周壁の一端側の開口を閉塞させる蓋部材と、を有している。
【0007】
第1の態様では、天井裏又は床下に設けられる空調チャンバは、複数の板部を含んで多角形状に形成された周壁を備えている。この周壁は、隣接する板部同士がヒンジ部を介して繋がっており、変形可能に構成されている。さらに、周壁を構成する複数の板部のうち、1つの板部には、空調ダクトが接続される接続部が形成されている。また、当該周壁の一端側の開口は、蓋部材によって閉塞されている。
【0008】
すなわち、本態様では、空調チャンバの周壁が、複数の板部で構成され、隣接する板部同士はヒンジ部を介して連結されているため、当該ヒンジ部を介して、隣接する板部同士を折曲させたり伸張させたりすることができる。そして、周壁の折曲位置を変えることによって、接続部の位置を変えることができる。一方、周壁の一端側の開口が蓋部材によって閉塞されることによって、室内空間、周壁、空調ダクトの間に流路が確保される。
【0009】
以上のような構成により、本態様では、空調ダクトが周辺の壁や梁等に干渉する場合、空調チャンバの接続部の位置を変えることによって、当該空調ダクトが周辺の壁や梁等に干渉することを回避することができる。このように、空調チャンバの接続部の位置を変えることにより、空調チャンバを配置する際の自由度を高くすることができ、多様性が向上する。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記板部は板金で形成され、前記ヒンジ部は、別部材で形成されている。
【0011】
第2の態様では、板部は板金で形成されており、別部材で形成されたヒンジ部を介して、隣接する板部同士が繋がっている。
【0012】
第3の態様は、第1の態様において、前記板部は樹脂で形成され、前記ヒンジ部はインテグラルヒンジである。
【0013】
第3の態様では、板部は樹脂で形成されており、インテグラルヒンジを介して、隣接する板部同士が繋がっている。つまり、本態様では、周壁はインテグラルヒンジを介して複数の板部が一体に形成されている。
【0014】
第4の態様は、空調設備において、第1の態様~第3の態様の何れか1の態様の空調チャンバを備えている。
【0015】
第4の態様では、第1の態様~第3の態様の何れか1の態様の空調チャンバを備えているため、小屋裏収納や床下収納の位置や大きさに合わせて空調チャンバの接続部の位置を変えて対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明は、空調チャンバや空調ダクト等の接続配置の制限を緩和することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は、本実施の形態に係る空調チャンバを備えた空調設備が設けられた小屋裏を示す平断面図であり、(B)は、(A)の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図2図1(A)において、2-2線に沿って切断したときの断面図である。
図3】(A)は、本実施の形態に係る空調チャンバの構成を示す分解斜視図であり、(B)~(D)は、本実施の形態に係る空調チャンバの作用を説明するための斜視図である。
図4】本実施の形態に係る空調チャンバの周壁の構成を示す一部拡大斜視図である。
図5】本実施の形態に係る空調チャンバの作用を説明するための図1(A)に対応する平断面図である。
図6】本実施の形態に係る空調チャンバの周壁の変形例を示す一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般に、図示はしないが、全館空調システムが設けられた建物には、空調設備が備えられている。空調設備には、室内装置としての室内機及び室外装置としての室外機が含まれており、室内機、室内機に接続される空調ダクト、及び空調ダクトが接続される空調チャンバなどの空調設備機器により、室内空間を空調する一システムが構成されている。
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態に係る空調チャンバを備えた空調設備について説明する。
【0020】
(空調設備の構成)
まず、本実施の形態に係る空調設備10の一部を構成する空調チャンバ12について説明する。図1(A)には、本実施の形態に係る空調チャンバ12を備えた空調設備10が設けられた小屋裏(天井裏)14の平断面図が示されており、図1(B)には、図1(A)において、空調チャンバ12を含む要部が拡大された要部拡大平面図が示されている。また、図2には、図1(A)で示す2-2線に沿って切断したときの縦断面図が示されている。
【0021】
図1(A)に示されるように、小屋裏14には小屋裏収納部16が設けられており、図2に示されるように、小屋裏14を区画する天井パネル18には、装着孔20が形成されている。この装着孔20は略矩形状を成しており、当該装着孔20を通じて、室内空間22と小屋裏14とが連通可能とされている。そして、装着孔20の内側には、空調グリル24の裏面24A側から突出する取付片26が嵌め込まれるようになっている。
【0022】
ここで、本実施の形態に係る空調チャンバ12の周壁28は、例えば、板金で形成された矩形板状の8枚の板部30を含んで構成されている。8枚の板部30は、全て略同じ形状を成しており、隣接する板部30同士は、例えば、図4に示されるように、蝶番で構成されたヒンジ部32によって繋がれている。このヒンジ部32を介して、隣接する板部30同士を折曲させたり(折曲部34)伸張させたり(伸長部36)することができる。
【0023】
そして、本実施形態では、図3(A)に示されるように、この8枚の板部30及びヒンジ部32によって、平面視で矩形状の周壁28が構成されると共に、8枚の板部30のうち、1枚の板部30Aには、空調ダクト38(図2参照)が接続される接続部40が形成されている。
【0024】
このため、図3(B)、(C)や図3(B)、(D)に示されるように、隣接する板部30同士を折曲させたり伸張させたりして、周壁28の折曲位置Pを変えることによって、当該接続部40の位置を変えることができる。
【0025】
また、図3(A)に示されるように、空調チャンバ12の周壁28の上端側の開口42は、平面視で矩形状を成す箱形の蓋部材44によって閉塞可能とされる。蓋部材44は、周壁28の上端部28Aに対して外側から嵌め込み可能とされており、図2に示されるように、蓋部材44が周壁28の上端部28Aに嵌め込まれることによって、周壁28の開口42は閉塞される。なお、蓋部材44の側壁44Aと周壁28の上端部28Aには、シール部材46が接着されている。
【0026】
ところで、空調グリル24の取付片26が天井パネル18の装着孔20の内側に嵌め込まれた状態で、当該装着孔20は当該空調グリル24によって覆われるようになっている。この装着孔20の外側には、当該装着孔20と略平行となるように木部材48が配置されており、木部材48と空調グリル24の取付片26の間には、空調チャンバ12の周壁28の下端部28Bが配置可能とされている。
【0027】
当該木部材48と空調グリル24の取付片26の間に、空調チャンバ12の周壁28の下端部28Bが配置された状態で、空調チャンバ12内は、天井パネル18の装着孔20を介して室内空間22と連通可能とされる。そして、空調チャンバ12の下端部28Bは、装着孔20の外側に配置された木部材48と空調グリル24の取付片26の間に配置された状態で、ビス50を介して、当該木部材48に固定されている。
【0028】
また、空調チャンバ12の接続部40には、空調ダクト38の一端部38Aが接続可能とされており、当該接続部40に空調ダクト38が接続された状態で、空調ダクト38、空調チャンバ12、室内空間22で流路が確保される。そして、空調ダクト38の他端部は、室内機と接続されており、室内機により生成された空調空気が、空調ダクト38及び空調チャンバ12を経て室内空間22へ吹き出されるようになっている。なお、図示はしないが、空調チャンバ12の表面は、断熱シートによって覆われている。
【0029】
(空調チャンバの作用及び効果)
図2に示されるように、小屋裏14に設けられる空調チャンバ12の周壁28は、図3(A)、(B)に示されるように、複数の板部30がヒンジ部32を介して繋がる多角形状とされた周壁28によって構成されており、変形可能とされている。また、周壁28を構成する複数の板部30のうち、1つの板部30には、空調ダクト38(図2参照)が接続される接続部40が形成されている。
【0030】
すなわち、本実施形態では、空調チャンバ12の周壁28は、図4に示されるように、隣接する板部30同士がヒンジ部32を介して連結されているため、当該ヒンジ部32を介して、隣接する板部30同士を折曲させたり(折曲部34)伸張させたり(伸長部36)することができる。
【0031】
そして、図3(A)、(C)、(D)に示されるように、周壁28の折曲位置Pを変えることによって、接続部40の位置を変えることができる。当該接続部40の位置を変えた状態で、図2に示されるように、周壁28の上端側の開口42を蓋部材44で閉塞する。これにより、室内空間22、空調チャンバ12、空調ダクト38の間で流路が確保される。
【0032】
以上のような構成により、本実施形態では、図1(A)、(B)の二点鎖線で示されるように、空調ダクト38が、小屋裏収納部16や図示しない周辺の壁や梁等に干渉する場合であっても、空調チャンバ12の接続部40(図2参照)の位置を変えることによって、図1(A)、(B)及び図5の実線で示されるように、当該空調ダクト38が小屋裏収納部16等に干渉することを回避することができる。
【0033】
すなわち、本実施形態によれば、図3(A)、(C)、(D)に示されるように、空調チャンバ12の接続部40の位置を変えることにより、空調チャンバ12や空調ダクト38(図2参照)等の接続配置の制限を緩和することができる。これにより、本実施形態では、空調チャンバ12を配置する際の自由度を高くすることができ、空調チャンバ12において、多様性が向上する。
【0034】
なお、本実施形態では、空調チャンバ12の周壁28を構成する板部30は、8枚全て略同じ形状を成しているが、全てが同じ形状である必要はなく、また、8枚である必要はない。さらに、本実施形態では、周壁28は、平面視で矩形状を成しているが、多角形状であればよいため、必ずしも矩形状である必要はない。例えば、図示はしないが、平面視で三角形状を成す周壁であってもよい。
【0035】
また、当該空調チャンバ12の周壁28は、板金で形成された板部30と、隣接する板部30同士を繋ぐヒンジ部32によって構成されているが、これに限るものではない。例えば、図6に示されるように、空調チャンバ52の周壁54が樹脂で形成されてもよい。
【0036】
また、周壁54が樹脂で形成された場合、隣接する板部56同士をインテグラルヒンジ(インテグラルヒンジ部58)で繋ぐようにしてもよい。当該インテグラルヒンジ部58を介して、隣接する板部56同士を折曲させたり(折曲部60)伸張させたり(伸長部62)することができる。このように、インテグラルヒンジ部58を形成することで、周壁54は一部材で形成されることとなる。
【0037】
また、本実施形態では、図2に示されるように、空調チャンバ12が小屋裏14側に設けられた例について説明したが、当該空調チャンバ12の設置場所は、小屋裏14に限るものではない。例えば、図示はしないが、床下側に設置されても良い。
【0038】
さらにまた、ここでは、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 空調設備
12 空調チャンバ
14 小屋裏(天井裏)
28 周壁
30 板部
30A 板部
32 ヒンジ部
38 空調ダクト
40 接続部
42 開口
44 蓋部材
52 空調チャンバ
54 周壁
56 板部
58 インテグラルヒンジ部(ヒンジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6