(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】商品処理装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/02 20060101AFI20220405BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65B61/02
B65B57/00 A
(21)【出願番号】P 2017191457
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】津川 透乃
(72)【発明者】
【氏名】森平 透
(72)【発明者】
【氏名】太田 宏一
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237150(JP,A)
【文献】特開2006-105716(JP,A)
【文献】特開2006-290374(JP,A)
【文献】特開2015-040073(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105800007(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/02
B65B 57/00
B65B 5/08
B65B 57/10
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の印刷面に情報を印刷する印刷部と、
前記商品を処理する処理部と、
を備え、
前記印刷面は、前記商品の外表面、前記商品の包装、又は前記商品のラベルであり、
前記印刷部は、前記印刷面に複数の同じ個体識別情報を印刷し、
前記処理部は、
前記商品を包装する包装部、
前記商品が良品であるかを検査する検査部、
前記商品に前記ラベルを貼付するラベル貼付部、
の少なくとも1つを含む、商品処理装置。
【請求項2】
前記印刷面は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を少なくとも有し、
前記印刷部は、前記第1面及び前記第2面のそれぞれに、複数の同じ前記個体識別情報を印刷する、
請求項1に記載の商品処理装置。
【請求項3】
前記印刷面において隣接する複数の前記個体識別情報の間に
は隙間がない、
請求項1又は2に記載の商品処理装置。
【請求項4】
前記印刷部は、前記印刷面の面積の20%以上に、複数の同じ前記個体識別情報を印刷する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の商品処理装置。
【請求項5】
前記印刷部は、前記印刷面の面積の50%以上に、複数の同じ前記個体識別情報を印刷する、
請求項4に記載の商品処理装置。
【請求項6】
前記印刷部は、電子透かしの形態で、複数の同じ前記個体識別情報を印刷する、
請求項1から5のいずれか1つに記載の商品処理装置。
【請求項7】
前記包装は、箱、又は包装用フィルムである、
請求項1から6のいずれか1つに記載の商品処理装置。
【請求項8】
前記商品は、食品である、
請求項1から7のいずれか1つに記載の商品処理装置。
【請求項9】
複数の同じ前記個体識別情報の少なくとも1つを読み取る情報取得部、
をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1つに記載の商品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の製造は、包装、又は異物検査などの処理工程を含む。処理工程は商品処理装置によって実行される。例えば、包装の工程は、商品処理装置の一態様である製袋包装機によって実行される。特許文献1(特開2003-191901号公報)では、製袋包装機において、包材に製造番号が印刷されることに言及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
製造番号による個々の商品の特定は煩雑である。作業者は、商品のどこに製造番号が印刷されているかを判断し、次いで、目視又は読取機器で製造番号を読み取るという作業の負担を負う。
【0004】
本発明の課題は、個体識別の効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る商品処理装置は、商品の印刷面に情報を印刷する印刷部と、前記商品を処理する処理部と、を備える。印刷面は、商品の外表面、商品の包装、又は商品のラベルである。印刷部は、印刷面に複数の同じ個体識別情報を印刷する。
【0006】
この構成によれば、印刷面には複数の同じ個体識別情報が印刷される。したがって、読取機器が個体識別情報を認識する確率が高まるので、個体識別の効率が向上する。
【0007】
本発明の第2観点に係る商品処理装置は、第1観点に係る商品処理装置において、印刷面が、第1面及び第1面とは反対側の第2面を少なくとも有する。印刷部は、第1面及び第2面のそれぞれに、複数の同じ個体識別情報を印刷する。
【0008】
この構成によれば、第1面と第2面のそれぞれに、複数の同じ個体識別情報が印刷される。したがって、読取機器が、第1面及び第2面のいずれを読み取る場合においても、個体識別が可能である。
【0009】
本発明の第3観点に係る商品処理装置は、第1観点又は第2観点に係る商品処理装置において、印刷面において隣接する複数の個体識別情報の間には、実質的に隙間がない。
【0010】
この構成によれば、隣接する個体識別情報の間に隙間がない。したがって、読取機器が個体識別情報を認識する確率がさらに高まるので、個体識別の効率が向上する。
【0011】
本発明の第4観点に係る商品処理装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、印刷部が、前記印刷面の面積の20%以上に、複数の同じ前記個体識別情報を印刷する。
【0012】
この構成によれば、印刷面の面積の20%以上に個体識別情報が印刷される。したがって、読取機器が個体識別情報を読み取りやすい。
【0013】
本発明の第5観点に係る商品処理装置は、第4観点に係る商品処理装置において、印刷部が、印刷面の面積の50%以上に、複数の同じ個体識別情報を印刷する。
【0014】
この構成によれば、印刷面の面積の50%以上に個体識別情報が印刷される。したがって、読取機器が個体識別情報をさらに読み取りやすい。
【0015】
本発明の第6観点に係る商品処理装置は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、印刷部は、電子透かしの形態で、複数の同じ個体識別情報を印刷する。
【0016】
この構成によれば、個体識別情報は電子透かしの形態で印刷される。したがって、個体識別情報を必要としない消費者等を煩わせるおそれが少ない。
【0017】
本発明の第7観点に係る商品処理装置は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、包装は、箱、又は包装フィルムである。
【0018】
この構成によれば、包装は箱又は袋等である。したがって、箱又は袋等により包装された商品について、個体識別の効率が向上する。
【0019】
本発明の第8観点に係る商品処理装置は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、商品は、食品である。
【0020】
この構成によれば、商品は食品である。したがって、食品について、個体識別の効率が向上する。
【0021】
本発明の第9観点に係る商品処理装置は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、複数の同じ個体識別情報の少なくとも1つを読み取る情報取得部、をさらに備える。
【0022】
この構成によれば、商品処理装置は情報取得部をさらに備える。したがって、情報取得部が読み取った個体識別情報に基づいて、処理の内容を確認できる。
【0023】
本発明の第10観点に係る商品処理装置は、第1観点から第9観点のいずれか1つに係る商品処理装置において、処理部が、商品を包装する包装部、及び、商品が良品であるかを検査する検査部、の少なくとも1つを含む。
【0024】
この構成によれば、処理部は、包装部、及び検査部のいずれかを含む。したがって、商品の包装、又は検査の工程において個体識別を実行できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る商品処理装置によれば、個体識別の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、フィルムFで包装された商品Pの第1面S1を示す図である。
【
図2】
図2は、フィルムFで包装された商品Pの第2面S2を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る商品処理装置20にセットされるフィルムFの反復的な図柄PTを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る商品処理装置20の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、個体識別情報Iを印刷されたフィルムFを示す図である。
【
図8B】
図8Bは、バーコードリーダー202を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態の変形例に係る商品処理装置20によって個体識別情報を印刷されたフィルムF’を示す図である。
【
図10】
図10は、トレイTRを含む商品P’を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る商品処理装置90の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、包装されていない商品P”を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に係る商品処理装置30の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る商品処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明に係る商品処理装置の具体的な構成は、下記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0028】
<第1実施形態>
(1)フィルムFで包装された商品P
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る商品処理装置20が処理する商品Pの外観である。商品Pは、包装用のフィルムFによって包装されている。フィルムFに包装される物品は多岐にわたり、例えば食品である。ここでいう食品には、医薬品も含まれる。フィルムFは袋Bを形成している。
図1は袋Bの第1面S1を示し、
図2は袋Bの第2面S2を示す。第2面S2は、第1面S1の反対側に位置する。袋Bは、第2面S2の側に縦シール部XLを有する。袋Bは、対向する2辺に横シール部XTを有する。
【0029】
商品Pの印刷面Qには、後述する個体識別情報Iが印刷される。本実施形態でいう印刷面Qは、包装用フィルムFにおける、後述する印刷部23によって情報が印刷されるエリアを意味する。
【0030】
(2)フィルムF
図3は、商品Pの包装用のフィルムFを示す。フィルムFは、縦方向Lに長く延び、縦方向Lと垂直な横方向Tに広がる一定の幅を有している。フィルムFには、1つの袋Bに相当する図柄PTが、寸法Dごとに反復的に印刷されている。すなわち、区画Z1、区画Z2、区画Z3、区画Z4はそれぞれ図柄PTを有し、1つの袋Bを形成するために使用される。フィルムFが最終的に袋Bに加工されたとき、寸法Dは、袋Bのデザインによって、袋Bの上辺と下辺の距離、又は袋Bの左辺と右辺の距離となる。
【0031】
各区画は、第1エリアA1と第2エリアA2を有する。第1エリアA1は、袋Bの第1面S1に相当する部分である。第2エリアA2は、袋Bの第2面S2に相当する部分である。
【0032】
図柄PTは、基準マークMを含む。基準マークMは、後述する光電センサ29によって読みとられるためのものである。基準マークMは、第1エリアA1及び第2エリアA2のいずれにあってもよい。
【0033】
図柄PTは、印刷面Qを規定する線又は形状を含む。印刷面Qは、第1エリアA1及び第2エリアA2の両方にある。これに代えて、印刷面Qは、第1エリアA1又は第2エリアA2のいずれか一方にあってもよい。
【0034】
(3)商品処理装置20
図4は、本発明の第1実施形態に係る商品処理装置20を示す。商品処理装置20は、製袋包装機として構成されている。商品処理装置20は、フィルムFで形成された袋Bで物品を包装することによって、商品Pを製造する処理を行う。
【0035】
商品処理装置20は、ロール保持部21、搬送機構22、印刷部23、印刷検査部24、フォーマ25、縦シール機構26、横シール機構27、切断機構28、光電センサ29を備える。
【0036】
(3-1)ロール保持部21
ロール保持部21は、フィルムロールFRを保持する。フィルムロールFRは、心材と、心材に巻かれたフィルムFを有する。
【0037】
(3-2)搬送機構22
搬送機構22は、ロール保持部21から取り出したフィルムFを搬送する。搬送機構22は、参照符号を付していない複数のローラ、プルダウンベルト22a、排出コンベア22b等を有する。
【0038】
(3-3)印刷部23
印刷部23は、搬送中のフィルムFの印刷面Qに個体識別情報Iを印刷する。印刷部23は、例えばサーマル・プリント・ヘッドからなる。
図5は、印刷部23によって個体識別情報Iを印刷されたフィルムFを示す。
【0039】
それぞれの袋Bは異なる個体識別情報Iを持つ。1つの袋Bの第1エリアA1には、複数の同じ個体識別情報Iが印刷されている。1つの袋Bの第2エリアA2には、複数の同じ個体識別情報Iが印刷されている。1つの袋Bの第1エリアA1に印刷された複数の個体識別情報Iと、同じ袋Bの第2エリアA2に印刷された複数の個体識別情報Iとは、同じものである。
【0040】
個体識別情報Iは、バーコード、2次元バーコード、ドットコードなどの、光学的に読取可能なコードの形態で印刷されている。隣接する個体識別情報Iは、実質的に隙間なく配置されている。印刷面Qにおいて個体識別情報Iが占める面積の割合は20%以上であり、好ましくは50%以上である。
【0041】
個体識別情報Iは、番号であってもよい。さらには、反復的な図柄PTにそれぞれ含まれる印刷面Qに印刷される個体識別情報Iは、連続する番号であってもよい。例えば、区画Z1、区画Z2、区画Z3、区画Z4の印刷面Qに印刷されるそれぞれの個体識別情報Iは、この順に1ずつ増加する。
【0042】
印刷部23は、コードの態様で印刷された個体識別情報Iに加え、個体識別情報Iの数字又は文字による表記もまた印刷することが好ましい。さらに、印刷部23は、フィルムFの印刷面Qに製造年月日などの所定の情報を文字の形態で印刷してもよい。
【0043】
(3-4)印刷検査部24
図4に戻り、印刷検査部24は、カメラからなる。印刷検査部24は、印刷部23が印刷した所定の情報が、正しい態様でフィルムFに印刷されているか否かを検査する。
【0044】
(3-5)包装部
(3-5-1)フォーマ25
フォーマ25は、平面の状態で搬送されてきたフィルムFを丸め、当該フィルムFの2つの縦辺を重ね合わせるためのものである。フォーマ25は、筒状部材を有する。この筒状部材の内部空間は、包装されるべき物品をフィルムFで形成される袋Bに充填するための充填経路として用いられる。
【0045】
(3-5-2)縦シール機構26
縦シール機構26は、フォーマ25によって重ね合わされたフィルムFの2つの縦辺を固着させるものである。縦シール機構26は、ヒータを有する。ヒータの発する熱がフィルムFの当該重なり部分を一時的に軟化させることにより、固着が行われる。これにより、
図6に示すように、フィルムFに縦シール部XLが形成され、筒の形状を有するフィルム筒FTが作られる。
【0046】
(3-5-3)横シール機構27
図4に戻り、横シール機構27は、フィルム筒FTにおいて対向する2つの部分を固着させるものである。横シール機構27は、搬送経路を介して対向する第1部材27aと第2部材27bとを有する。第1部材27aと第2部材27bは、図示しないモータによって互いに接近したり、互いから離間したりすることが可能である。第1部材27aと第2部材27bが接近する時、フィルム筒FTの対向部分が互いに接触する。第1部材27aと第2部材27bは、いずれも、ヒータを有する。ヒータの発する熱がフィルム筒FTの当該接触部分を一時的に軟化させることにより、固着が行われる。これにより、
図7に示すように、フィルム筒FTに横シール部XTが形成される。横シール機構27の動作が終わるたびに、フィルム筒FTには、フォーマ25の内部空間を介して、1袋分の物品が充填される。
【0047】
(3-5-4)切断機構28
図4に戻り、切断機構28は、横シール機構27に設けられている。切断機構28は、刃28aと、受容部28bを有する。刃28aは、第1部材27aに設けられており、延出及び退避することができる。受容部28bは、第2部材27bに設けられており、延出した刃28aを受容することができる。切断機構28の切断動作においては、刃28aが受容部28bに向かって延出する。これにより、個別の商品Pが切り離される。
図7に示すように、切断機構28が切断する切断位置CPは、横シール部XTにある。
【0048】
(3-6)光電センサ29
図4に戻り、光電センサ29は、フィルムFに設けられた基準マークMを読み取るためのものである。光電センサ29の出力信号は、横シール機構27、及び切断機構28の動作タイミングの決定に用いられる。
【0049】
(4)読取機器
個体識別情報Iを読み取るための読取機器としては様々なものが考えられる。例えば、読取機器は、
図8Aに示すカメラ201であってもよい。あるいは、読取機器は、
図8Bに示すバーコードリーダー202であってもよい。あるいは、読取機器は、
図8Cに示すスマートグラスのようなウェアラブル端末203であってもよい。これらの読取機器は、例えば、画像からコードを抽出する画像処理部を有する。画像処理部は、ソフトウェア又はハードウェアにより構成される。
【0050】
さらに、読取機器による読み取りが失敗した場合に備えて、読取機器は、
図8Dに示すように数字又は文字で表記された個体識別情報Iを入力するためのキーボード204を併せ持っていてもよい。
【0051】
これらの読取機器は、商品処理装置20の一部である情報取得部として構成されてもよい。
【0052】
(5)特徴
(5-1)
印刷面Qには複数の同じ個体識別情報Iが印刷される。したがって、読取機器が個体識別情報Iを認識する確率が高まるので、個体識別の効率が向上する。
【0053】
(5-2)
第1面S1と第2面S2のそれぞれに、複数の同じ個体識別情報Iが印刷される。したがって、読取機器が、第1面S1及び第2面S2のいずれを読み取る場合においても、個体識別が可能である。
【0054】
(5-3)
隣接する個体識別情報Iの間に隙間がない。したがって、読取機器が個体識別情報Iを認識する確率がさらに高まるので、個体識別の効率が向上する。
【0055】
(5-4)
印刷面Qの面積の20%以上、又は50%以上に個体識別情報Iが印刷される。したがって、読取機器が個体識別情報Iを読み取りやすい。
【0056】
(5-5)
商品Pは食品である。したがって、食品について、個体識別の効率が向上する。
【0057】
(5-6)
商品処理装置20は情報取得部をさらに備えてもよい。この場合、情報取得部が読み取った個体識別情報Iに基づいて、処理の内容を確認できる。
【0058】
(6)変形例
以下に上述の実施形態の変形例を記す。複数の変形例を組み合わせてもよい。
【0059】
(6-1)包装
上述の実施形態では、商品PはフィルムFから形成された袋Bによって包装される。これに代えて、商品Pの包装は紙、樹脂、その他の材料からなる箱であってもよい。当該箱の外表面が印刷面である。印刷面には、上述の個体識別情報Iが印刷される。
【0060】
この構成によれば、包装は箱である。したがって、箱により包装された商品について、個体識別の効率が向上する。
【0061】
(6-2)個体識別情報Iの印刷態様
個体識別情報Iの印刷態様は、バーコード、2次元バーコード、ドットコードなどに代えて、人間の視覚で認識できない電子透かしであってもよい。
【0062】
図9は、変形例に係る包装用のフィルムF’を示す。フィルムF’は、フィルムFと同様に、商品処理装置20にセットされるものである。印刷面Qに印刷される内容は、人間の視覚によって認識できる絵、写真、文字、図形等からなる。個体識別情報IDは、画素の階調、又はその他の何らかの形態で印刷内容の中に含まれている。個体識別情報IDは、人間の視覚によって認識できなくともよい。個体識別情報IDの1つの表記は、例えば1cmの辺を有する正方形である。以上説明したものに限られず、電子透かしの仕様としてはあらゆるものが採用可能である。
【0063】
隣接する個体識別情報IDは、実質的に隙間なく配置されている。印刷面Qにおける個体識別情報IDが占める面積の割合は20%以上であり、好ましくは50%以上である。
【0064】
この構成によれば、個体識別情報Iを必要としない消費者等を煩わせるおそれが少ない。
【0065】
<第2実施形態>
(1)トレイTRを含む商品P’
図10は、本発明の第2実施形態に係る商品処理装置90が処理する商品P’の外観である。商品P’は、トレイTRに載置され、かつラップW(いわゆるプラスチック・ラップ)で包装された物品である。物品は多岐にわたり、例えば食品である。ここでいう食品には、医薬品も含まれる。ラップWには、ラベルLBが貼付されている。
【0066】
商品P’の印刷面Q’には、個体識別情報Iが印刷される。本実施形態でいう印刷面Q’は、ラベルLBを意味する。
【0067】
(2)商品処理装置90
図11は、本発明の第2実施形態に係る商品処理装置90を示す。商品処理装置90は、ラベル貼付装置として構成されている。商品処理装置90は、ラベルLBを印刷し、商品P’にそのラベルLBを貼り付ける処理を行う。商品処理装置90は、筐体91、搬送機構92、印刷部93、剥離部94、貼付ヘッド95、及び載置部96を有する。
【0068】
(2-1)搬送機構92
搬送機構92は、ラベルLBを、搬送経路FPに沿って、搬送方向Xに搬送する機構である。搬送経路FPは、ラベルロール97から始まり、印刷部93を経由して、貼付ヘッド95へと到る。
【0069】
ラベルロール97から引き出された未剥離テープは、テープ状の台紙98の上に多数のラベルLBが貼り付けられたものである。ラベルLBの裏面は糊が塗布された糊面であり、台紙98に貼り付けられている。
【0070】
(2-2)印刷部93
印刷部93は、商品P’の印刷面Q’であるラベルLBに個体識別情報Iを印刷する。
図10は、印刷部93によって個体識別情報Iを印刷されたラベルLBを示す。
【0071】
それぞれのラベルLBは異なる個体識別情報Iを持つ。1つのラベルLBには、複数の同じ個体識別情報Iが印刷されている。
【0072】
個体識別情報Iは、バーコード、2次元バーコード、ドットコードなどの、光学的に読取可能なコードの形態で印刷されている。隣接する個体識別情報Iは、実質的に隙間なく配置されている。印刷面Qにおける個体識別情報Iが占める面積の割合は20%以上であり、好ましくは50%以上である。
【0073】
個体識別情報Iに関するその他の事項は、第1実施形態と同様である。個体識別情報Iに対応する読取機器についても、第1実施形態と同様である。
【0074】
さらに、印刷部93は、商品P’の価格、重量、消費期限などの情報を、文字の形態でラベルLBに印刷してもよい。
【0075】
(2-3)剥離部94
剥離部94は、未剥離テープからラベルLBを剥がし、ラベルLBと台紙98を分離させるものであり、例えば、エッジを有するプレート又はシャフト、もしくは、小径のローラからなる。
【0076】
(2-4)貼付ヘッド95
貼付ヘッド95は、エアを吸引することによってラベルLBを吸着して保持することができる。貼付ヘッド95はまた、エアを噴射することによってラベルLBを商品P’へ向かって吹き飛ばし、貼り付けることができる。貼付ヘッド95は、例えば、真空ポンプ及びエア源の双方と接続された電磁弁に接続されたエアノズル装置である。
【0077】
(2-5)載置部96
載置部96は、ラベルLBを貼り付ける商品P’を置くためのものである。載置部96は、例えば、ベルトコンベアにおける、貼付ヘッド95の直下の箇所である。当該ベルトコンベアは、商品P’の重量を計量する計量部を有していてもよい。
【0078】
(3)基本動作
搬送機構92は、ラベルロール97から引き出した未剥離テープを、搬送経路FPに沿って搬送する。次に、未剥離テープは、印刷部93によって、個体識別情報Iを印刷される。その後、剥離部94が、ラベルLBを台紙98から分離する。ラベルLBは、貼付ヘッド95へ送られる。
【0079】
貼付ヘッド95は、エアを吸引することによってラベルLBを吸着し、載置部96に商品P’が載置されるまで待機する。その後、載置部96に商品P’が到達した時、貼付ヘッド95は、エアを噴射することによってラベルLBを商品P’へ向かって吹き飛ばす。これにより、ラベルLBは商品P’に貼り付けられる。
【0080】
(4)特徴
トレイTRを含む商品P’に貼付されるラベルLBに、複数の個体識別情報Iが印刷される。したがって、トレイTRを含む商品P’の個体識別の効率が向上する。
【0081】
(5)変形例
第1実施形態の変形例を本実施形態に適用してもよい。例えば、ラベルLBに印刷される個体識別情報Iは、電子透かしの形態で印刷されてもよい。
【0082】
<第3実施形態>
(1)包装されていない商品P”
図12は、本発明の第3実施形態に係る商品処理装置30が処理する商品P”の外観である。商品P”は、包装されていない物品である。物品は多岐にわたり、例えば食品である。ここでいう食品には、医薬品も含まれる。物品は例えば、果物である。
【0083】
商品P”の印刷面Q”には、個体識別情報Iが印刷される。本実施形態でいう印刷面Q”は、商品P”の外表面を意味する。
【0084】
(2)商品処理装置90
図13は、本発明の第3実施形態に係る商品処理装置30を示す。商品処理装置30は、X線異物検査機として構成されている。商品処理装置30は、商品P”にX線を照射し、透過光から害虫などの異物を発見することにより、商品P”が良品であるか不良品であるかを判別する処理を行う。商品処理装置30は、筐体31、搬送機構32、X線光源35、X線ラインセンサ36、印刷部37を有する。
【0085】
搬送機構32は、商品P”を取入口33から排出口34へ搬送方向Xに搬送する。X線光源35は商品P”にX線を照射する。X線ラインセンサ36は、商品P”を透過したX線を検出する。X線ラインセンサ36の出力は、図示しない画像処理部へ送信され、異物の有無の判定に用いられる。
【0086】
印刷部37は、商品P”の印刷面Q”である外表面に個体識別情報Iを印刷する。印刷に用いられるインクは、食用のものであることが好ましい。個体識別情報Iは、それぞれの商品P”ごとに異なる。1つの商品P”には、複数の同じ個体識別情報Iが印刷されている。
【0087】
個体識別情報Iは、バーコード、2次元バーコード、ドットコードなどの、光学的に読取可能なコードの形態で印刷されている。隣接する個体識別情報Iは、実質的に隙間なく配置されている。印刷面Qにおいて個体識別情報Iが占める面積の割合は20%以上であり、好ましくは50%以上である。
【0088】
個体識別情報Iに関するその他の事項は、第1実施形態と同様である。個体識別情報Iに対応する読取機器についても、第1実施形態と同様である。
【0089】
(3)特徴
商品P”の外表面に、複数の個体識別情報Iが印刷される。したがって、商品P”の個体識別の効率が向上する。
【0090】
(4)変形例
第1実施形態の変形例を本実施形態に適用してもよい。例えば、商品P”の印刷面Q”に印刷される個体識別情報Iは、電子透かしの形態で印刷されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
20 :商品処理装置
21 :ロール保持部
22 :搬送機構
23 :印刷部
24 :印刷検査部
25 :フォーマ
26 :縦シール機構
27 :横シール機構
28 :切断機構
30 :商品処理装置
35 :X線光源
36 :X線ラインセンサ
37 :印刷部
90 :商品処理装置
93 :印刷部
95 :貼付ヘッド
F、F’ :フィルム
I :個体識別情報
LB :ラベル
P、P’、P” :商品
Q、Q’、Q” :印刷面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】