(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】エアマット制御装置およびエアマット制御方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/10 20060101AFI20220405BHJP
A61G 7/018 20060101ALI20220405BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A47C27/10 A
A61G7/018
A47C27/08 A
A47C27/10 Z
(21)【出願番号】P 2017193453
(22)【出願日】2017-10-03
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000105213
【氏名又は名称】株式会社ケープ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 慧
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-217227(JP,A)
【文献】特開2013-211696(JP,A)
【文献】特開2005-295168(JP,A)
【文献】特開平03-267013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0182397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/10
A61G 7/018
A47C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のエアマットに接続可能であり、各種類のエアマットの状態を制御するエアマット制御装置であって、
前記各種類のエアマットの状態を制御するための前記エアマットの種類ごと
に、少なくとも前記エアマットの空気の状態に関する設定を記憶する記憶部と、
接続される前記エアマットの種類に応じて前記記憶部に記憶された前記
空気の状態に関する設定を切り替える制御部と、
前記制御部によって切り替えられた前記空気の状態に関する設定に基づいて、前記エアマットに空気を供給する空気供給部と、
を有するエアマット制御装置。
【請求項2】
前記エアマットの種類を識別する識別部をさらに有し、
前記制御部は、前記識別部によって識別された前記エアマットの種類に応じて前記設定を切り替える請求項1に記載のエアマット制御装置。
【請求項3】
前記エアマットに関連付けられたRFIDタグ、バーコードおよび2次元バーコードのうちの少なくとも一つから前記エアマットの種類を識別するための識別情報を取得する取得部をさらに有し、
前記識別部は、前記取得部によって取得された前記識別情報に基づいて、接続された前記エアマットの種類を識別する、請求項2に記載のエアマット制御装置。
【請求項4】
前記エアマットを接続する際に、前記エアマットの種類ごとに異な
る機械的構造
のパターンを認識する機械的認識部をさらに有し、
前記識別部は、前記機械的認識部によって認識された機械的構造
のパターンに基づいて、接続された前記エアマットの種類を識別する請求項2に記載のエアマット制御装置。
【請求項5】
前記エアマットを接続する際に、前記エアマットの種類ごとに異な
る電気的要素
の電気的特性値を認識する電気的認識部をさらに有し、
前記識別部は、前記電気的認識部によって認識された電気的要素
の電気的特性値に基づいて、接続された前記エアマットの種類を識別する請求項2に記載のエアマット制御装置
。
【請求項6】
前記エアマットの種類に関するユーザーからの入力を受け付ける受付部をさらに有し、
前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた前記入力に応じて前記設定を切り替える請求項1に記載のエアマット制御装置。
【請求項7】
前記エアマットを制御するための画面を表示してユーザーの指示を受け付ける表示操作部をさらに有し、
前記記憶部には、前記エアマットの種類ごとに前記表示操作部を制御するための設定が記憶され、
前記制御部は、前記エアマットの種類に応じて前記表示操作部を制御するための前記設定に基づいて前記表示操作部を制御する請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアマット制御装置。
【請求項8】
前記空気供給部は、空気を供給するポンプと、前記エアマットの各空気供給系統に空気を分配する分配器と、供給量を調整するバルブと、前記エアマットの接続部を接続するための接続機構とを含む請求項1~7のいずれか一項に記載のエアマット制御装置。
【請求項9】
複数種類のエアマットに接続可能であり、各種類のエアマットの状態を制御するエアマット制御装置において実行されるエアマット制御方法であって、
前記各種類のエアマットの状態を制御するための
前記エアマットの空気の状態に関する設定を、接続される前記エアマットの種類に応じて切り替え
る制御ステップと、
前記制御ステップで切り替えられた前記空気の状態に関する設定に基づいて、前記エアマットに空気を供給する供給ステップと、
を有するエアマット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマット制御装置およびエアマット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院ベッドや介護ベッドの上に患者や要介護者が長期に渡って横たわる際、ベッドの上にエアマットを載置して患者や要介護者が受ける圧力を分散し、床ずれ(褥瘡)等の発生を防止する技術が知られている。
【0003】
近年では、空気を供給するポンプを備えた制御装置をエアマットに接続し、ベッド装置や利用者の状態に応じてエアマットの設定を変更して適切な状態に制御する技術も知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、エアマットについても、利用者の体型や状態、載置するベッドの種類等に応じてそれぞれ異なる機能や性能を有する様々な種類のものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえば特許文献1記載の技術のように、従来のエアマットにおいては、そのエアマット専用の制御装置が使用され、エアマットと制御装置とは一対一の対としてセットで使用される。そのため、たとえば利用者がエアマットの機種やサイズを変更する場合には、制御装置もあわせて変更する必要があり、変更前の制御装置が無駄になってしまうという問題がある。また、変更前の制御装置に登録していたエアマットの設定を、新たな制御装置に初めから登録し直す必要があり、手間がかかってしまうという問題もある。さらに、制御装置ごとに操作方法が異なる場合は、新たな制御装置の操作方法を習得しなければならないという問題もある。また、病院や介護施設においてもエアマットと制御装置を対として在庫しておく必要があり、コストや保管スペース等の無駄が生じる虞もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エアマットを変更する際に、無駄なく手間なく効率的に変更でき、コストや保管スペースも節約可能なエアマット制御装置およびエアマット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エアマット制御装置は、複数種類のエアマットに接続可能であり、各種類のエアマットの状態を制御する。エアマット制御装置は、記憶部と制御部とを有する。記憶部は、各種類のエアマットの状態を制御するためのエアマットの種類ごとの設定を記憶する。制御部は記憶部に記憶された設定を切り替えて使用してエアマットの状態を制御する。
【0008】
エアマット制御方法は、複数種類のエアマットに接続可能であり、各種類のエアマットの状態を制御するエアマット制御装置において実行される。エアマット制御方法は、各種類のエアマットの状態を制御するための設定を、接続されるエアマットの種類に応じて切り替えてエアマットを制御する制御ステップを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエアマット制御装置によれば、接続されるエアマットの種類に応じて記憶部に記憶されたエアマットの種類ごとの設定を切り替えて使用してエアマットの状態を制御する。これにより、エアマットを変更する際に、無駄なく手間なく効率的にエアマットの設定を行うことができる。また、一つのエアマット制御装置が複数の種類のエアマットに対応できるので、エアマットと制御装置を対として在庫しておく必要がなくなり、コストや保管スペースも節約可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】エアマット制御装置が適用されるエアマットシステムの概略構成図である。
【
図3】エアマット制御装置のストレージに記憶される情報の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るエアマット制御装置によって実行される設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】エアマット制御装置の識別部においてエアマットの種類を識別する方法を例示する図である。
【
図6】第2実施形態に係るエアマット制御装置によって実行される設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS201の処理においてエアマット制御装置の表示操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、エアマット制御装置が適用されるエアマットシステムの概略構成図である。
【0013】
図1に示されるエアマットシステムは、たとえば、病院や介護施設等において用いられる。
【0014】
図1に示すように、エアマットシステムは、それぞれ種類が異なる複数のエアマット100a、100bおよび複数種類のエアマット100に接続可能なエアマット制御装置200を有する。ここで、エアマット100の種類とは、エアマット100の機種や同一機種におけるサイズ違いの製品等、エアマット100の機能、性能、サイズ、形状等の各種属性によってエアマット100を分類したものである。以下では、エアマット100a、100bをエアマット100と総称する。また、エアマット100の各構成についても、特に区別がある場合を除き、符号a、bを付さずに表記する。
【0015】
エアマット100は、接続チューブ130および接続部140を介してエアマット制御装置200に接続される。接続チューブ130および接続部140は、それぞれ独立して空気を移送可能な複数の送風チューブと、電気信号を伝達可能な配線とを有する。エアマット制御装置200は、接続チューブ130および接続部140を介してエアマット100に空気を供給すると共に、エアマット100に設けられたセンサー等との間で電気信号を送受信する。エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に応じてエアマット100の空気供給設定等の各種設定を切り替え可能であり、設定に基づいてエアマット100の状態を制御する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
<エアマット100>
エアマット100は、たとえば、ベッドマットレス110上に載置され、ベッドマットレス110の短手方向に伸びる袋状のエアセル120を、ベッドマットレス110の長手方向に複数並べて構成される。エアマット100は、それぞれ独立した複数の空気供給系統を有する。各空気供給系統には、それぞれ異なる送風チューブが接続され、各空気供給系統にそれぞれ独立して空気が供給される。各エアセル120は、複数の空気供給系統のいずれかに接続され、空気供給系統ごとに内圧が制御される。各エアセル120は、複数のグループに分けられ、グループごとに各エアセル120同士が連通されていてもよい。
【0017】
たとえば、
図1に示す例では、エアマット100は、3つの空気供給系統を有している。各エアセル120は、並べられた順に、順次3つのグループに分けられ、各グループ内のエアセル120同士が連通される。各グループは3つの空気供給系統にそれぞれ接続される。そして、3つの空気供給系統の内圧設定を周期的に変更することによって、各空気供給系統に接続されたエアセル120を周期的に膨張および収縮させて、エアマット100を波動させることができる。これにより、利用者に接触するエアセル120を周期的に変更することができ、同じエアセル120が長時間連続して利用者に接触することよるムレや圧迫を防止して褥瘡の発生を抑止できる。なお、エアセル120の種類、形状、個数、並び方等は、
図1に示す例に限定されず、いかなる態様でエアセル120が使用されてもよい。また、空気供給系統の数やエアセル120の接続方法等も、上記の例に限定されない。たとえば、エアマット100の側部にエアセルを設けて周期的に膨張および収縮させることにより、利用者の寝返りによる姿勢変更を促すようにしてもよい。
【0018】
さらに、エアマット100は、各エアセル120の内圧を検出する内圧センサーや、背上げした際のエアマット100の傾きを検出する角度センサー等の各種センサーを備えていてもよい。また、エアマット100は、温度調整手段、送風手段、表示手段や発音手段等、利用者の状態や使用環境等に応じて制御可能な各種の構成を備えることができる。なお、上記の内圧センサー等の各種構成は、接続チューブ130やエアマット制御装置200等、エアマット100以外の箇所に設けられていてもよい。
【0019】
また、エアマット100の接続部140には、エアマット100の種類を識別するための識別情報が記録されたRFIDタグ、バーコードまたは2次元バーコードが設けられる。あるいは、接続部140に、エアマット100の種類を識別するための機械的構造が設けられてもよい。また、接続部140に、エアマット100の種類を識別するための電気的要素が設けられてもよい。なお、上記のようなエアマット100の種類を識別するための構成は、エアマット100の接続部140以外の箇所に設けられていてもよい。
【0020】
<エアマット制御装置200>
エアマット制御装置200は、エアマット100の種類ごとの設定を記憶しており、接続されるエアマット100の種類に応じて設定を切り替えて使用してエアマット100の状態を制御する。エアマット制御装置200は、複数の空気供給系統に分けてエアマット100に空気を供給可能であり、各空気供給系統に接続されたエアセル120の内圧を制御可能である。また、エアマット制御装置200は、エアマット100に設けられた各種センサーから送信される信号を受信してエアマット100や利用者の状態を判断し、判断結果に応じてエアマット100の状態を制御する。たとえば、エアマット制御装置200は、エアマット100の角度センサーからの情報に基づいて利用者の背上げ状態を判断する。背上げしていると判断された場合、エアマット制御装置200は、利用者の腰の部分の底づきを防止するため、エアセル120の内圧を高めることができる。以下、エアマット制御装置200について詳細に説明する。
【0021】
【0022】
図2に示すように、エアマット制御装置200は、CPU210、ROM220、RAM230、ストレージ240、表示操作部250、識別部260、空気供給部270および通信部280を備え、これらは信号をやり取りするためのバス290を介して相互に接続されている。
【0023】
CPU210は、ROM220やストレージ240に記録されているプログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理を行う。CPU210は、プログラムを実行することによって、制御部および受付部として機能する。
【0024】
ROM220は、各種プログラムや各種データを格納する。
【0025】
RAM230は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0026】
ストレージ240は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。また、ストレージ240には、エアマットの種類ごとの識別情報、名称、サイズ、空気供給系統の系統数、モード、制御画面パターン等の設定が相互に関連付けられて記憶されている。上記の設定は、プリセット情報として装置の製造時や出荷時等に記憶されてもよく、あるいは、使用する際にオペレーター操作、記憶媒体からのインストール、ネットワーク経由でのダウンロード等によって記憶されてもよい。
【0027】
表示操作部250は、たとえば、タッチパネル方式の液晶ディスプレイや、各種操作ボタン等であり、各種情報を表示したり、各種入力を行ったりするために使用される。
【0028】
識別部260は、接続されるエアマット100の種類を識別する。識別部260には、たとえば、RFIDタグリーダー、バーコードリーダー、2次元バーコードを読み取り可能なカメラ等の入力装置が取得部として接続される。識別部260は、取得部を介して、エアマット100に付されたRFIDタグ、バーコード、2次元バーコード等から、エアマット100の種類を識別するための識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいてエアマット100の種類を識別する。あるいは、識別部260には、エアマット100の種類ごとに異なって設けられる機械的構造を認識するための機械的認識部が設けられてもよい。この場合、識別部260は、機械的認識部によって認識されたエアマット100の機械的構造に基づいてエアマット100の種類を識別する。また、識別部260には、エアマット100の種類ごとに異なって設けられる電気的要素を認識するための電気的認識部が設けられてもよい。この場合、識別部260は、電気的認識部によって認識された電気的要素に基づいてエアマット100の種類を識別する。取得部、機械的認識部および電気的認識部について、詳細は後述する。
【0029】
空気供給部270は、空気を供給するポンプと、各空気供給系統に分配する分配器と、供給量を調整するバルブと、エアマット100の接続部140を接続するための接続機構とを有する。空気供給部270は、RAM230またはストレージ240に記憶された各種設定や、内圧センサーからの内圧情報、CPU210からの指示等に基づいて、エアマット100の各エアセル120が所定の内圧になるように空気を供給する。空気供給部270の接続機構は、様々な種類のエアマット100を接続可能となるように構成される。空気供給部270は、エアマット100の空気供給系統の数に合わせて必要な空気供給系統に空気を供給できるように分配器やバルブ等を制御することができる。
【0030】
通信部280は、エアマット100やネットワーク上のサーバー等の外部機器と通信するための有線または無線の通信インターフェースである。通信インターフェースとしては、たとえば、USB、RS232C、イーサネット(登録商標)、Wi-FiまたはBluetooth(登録商標)等の各種規格が用いられる。
【0031】
なお、エアマットシステムの各構成は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0032】
<ストレージ240に記憶される情報>
図3は、エアマット制御装置のストレージに記憶される情報の一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、エアマット制御装置200のストレージ240には、たとえば、エアマット100の種類ごとの識別情報、名称、サイズ、系統数、モード、制御画面パターン等の情報が相互に関連付けられて記憶されている。
【0034】
識別情報は、エアマット100の種類を識別するための情報であり、たとえば英数字や記号等によって表現される情報である。識別情報としては、たとえばエアマット100の種類ごとに設定される型番情報や他の任意に設定される情報を適宜用いることができる。
【0035】
名称は、エアマット100の機種名や通称等を示す情報であり、上記の識別情報と同様にエアマット100の種類を識別するための情報として使用される。また、たとえば名称をエアマット制御装置200の表示操作部250に表示してユーザーに確認させることによって、エアマット100の設置ミスや情報の登録ミス等を検知できるようにしてもよい。なお、ストレージ240には、識別情報に加えて、または識別情報の代わりに、エアマット100の種類ごとに異なって設けられるエアマット100の機械的構造に関する情報が記憶されてもよい。また、ストレージ240には、エアマット100の種類ごとに異なって設けられるエアマット100の電気的要素に関する情報が記憶されてもよい。
【0036】
サイズは、エアマット100の種類ごとのサイズを示す情報であり、サイズに応じて空気供給部270を制御してエアマット100の状態を制御するために用いられる。たとえばエアマット制御装置200は、エアマット100のサイズに基づいて、エアマット100の内圧を制御するための空気供給量を算出する。これにより、エアマット制御装置200は、エアマット100に適切な量の空気を供給できる。
【0037】
系統数は、エアマット100の種類ごとの空気供給系統の数を示す情報であり、エアマット100の空気供給系統の数に応じて空気供給部270を制御してエアマット100の状態を制御するために用いられる。たとえばエアマット制御装置200は、エアマット100の系統数に応じて、空気供給部270の分配器やバルブを制御し、必要な空気供給系統に対して適切に空気を供給できる。
【0038】
モードは、エアマット100の種類ごとの対応可能なモードのパターンを示す情報であり、エアマット100の対応可能なモードのパターンに応じてエアマット100への空気供給や制御画面を制御するために用いられる。モードの種類としては、たとえば、利用者の背上げまたは足上げ状態に応じてエアセル120の内圧を制御する背上げモードまたは足上げモードや、利用者の拘縮状態に対応して内圧を制御する拘縮モード、利用者の症状に応じて動作を制御する安静モード等がある。対応可能なモードのパターンは、それぞれのモードに対する対応有無をパターンとして示すものである。モード設定として、対応可能なモードのパターンの他に、各モードの内圧設定に関する情報等が記憶されてもよい。
【0039】
制御画面パターンは、エアマット100の種類ごとの、エアマット制御装置200の表示操作部250に表示される制御用画面のパターンを示す情報である。エアマット制御装置200は、制御画面パターンに応じて表示操作部250に表示させる制御画面を変更する。ここで、エアマット制御装置200は、制御画面のための独立した情報を保有せずに、エアマット100の系統数やモード設定等の情報に基づいて、エアマット100の種類ごとに制御画面を変更してもよい。
【0040】
ストレージ240に記憶されるものとして説明した上記の情報は、ネットワークを介して接続される外部のサーバー等に記憶されてもよい。エアマット制御装置200は、外部のサーバーから取得した上記情報を使用してエアマット100を制御してもよい。
【0041】
<エアマット制御装置200によって実行される設定処理の概要>
図4は、第1実施形態に係るエアマット制御装置によって実行される設定処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図4に示すエアマット制御装置200の処理は、エアマット制御装置200のストレージ240にプログラムとして記憶されており、CPU210が各部を制御することにより実行される。
図4に示す処理は、利用者がエアマット100を利用する際等に実行される設定処理である。
【0042】
図4に示すように、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類を識別する(ステップS101)。たとえば、エアマット制御装置200は、識別部260に接続された取得部を介してエアマット100の識別情報を取得し、取得された識別情報に基づいてエアマット100の種類を識別する。あるいは、エアマット制御装置200は、識別部260に接続された機械的認識部を介してエアマット100の種類ごとに異なって設けられる機械的構造を認識し、認識された機械的構造に基づいてエアマット100の種類を識別してもよい。また、エアマット制御装置200は、識別部260に接続された電気的認識部を介してエアマット100の種類ごとに異なって設けられる電気的要素を認識し、認識された電気的要素に基づいてエアマット100の種類を識別してもよい。ステップS101の処理について、詳細は後述する。
【0043】
続いて、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類の識別に成功したか否かを判断する(ステップS102)。
【0044】
識別に成功していない場合(ステップS102:NO)、エアマット制御装置200は、ステップS101の処理に戻り、エアマット100の種類の識別処理を継続する。
【0045】
識別に成功した場合(ステップS102:YES)、エアマット制御装置200は、識別したエアマット100の種類に応じてエアマット100を制御するための各種設定を変更する(ステップS103)。たとえば、エアマット制御装置200は、識別されたエアマット100の種類に対応したサイズ、系統数、モード設定等の情報を切り替えて使用して、エアマット100に供給する適切な空気量や供給タイミングを算出する。エアマット制御装置200は、算出結果に基づいて、空気供給部270を制御するための設定を変更する。また、エアマット制御装置200は、識別されたエアマット100の種類に対応した制御画面パターンの情報を使用して表示操作部250を制御するための設定を変更する。
【0046】
続いて、エアマット制御装置200は、ステップS103の処理において切り替えた設定に基づいてエアマット100の状態を制御する(ステップS104)。ステップS104の処理が完了すると、エアマット制御装置200は、設定処理を終了し、設定に基づいてエアマット100の制御を継続して実行する。
【0047】
<ステップS101の識別処理>
次に、
図4のステップS101に示されるエアマット100の種類を識別する処理について説明する。
【0048】
図5は、エアマット制御装置の識別部においてエアマットの種類を識別する方法を例示する図である。
図5において、(a)は、識別部260にRFIDタグリーダー261が接続されている様子を示す。(b)は、識別部260に2次元バーコードを読み取り可能なカメラ262が接続されている様子を示す。(c)は、識別部260にエアマット100側に設けられる凸部のパターンを認識するための機械的認識機構263が接続されている様子を示す。(d)は、識別部260にエアマット100側に設けられる凹部のパターンを認識するための機械的認識機構264が接続されている様子を示す。(e)は、識別部260にエアマット100側に設けられる電気的要素を認識する電気的認識機構265が接続されている様子を示す。
【0049】
図5(a)に示すように、識別部260には、RFIDタグリーダー261が取得部として接続される。エアマット100の接続部140には、エアマット100の種類を識別するための識別情報が記録されたRFIDタグ151が設けられている。識別部260は、RFIDタグリーダー261を介してRFIDタグ151から識別情報を取得して、取得した識別情報に基づいてエアマット100の種類を識別する。
【0050】
図5(b)に示すように、識別部260には、2次元バーコードを読み取り可能なカメラ262が取得部として接続される。エアマット100の接続部140には、エアマット100の種類を識別するための識別情報が符号化された2次元バーコード152が設けられている。識別部260は、カメラ262を介して2次元バーコード152から識別情報を取得して、取得した識別情報に基づいてエアマット100の種類を識別する。なお、識別部260には、カメラ262の代わりにバーコードリーダーが設けられてもよく、エアマット100の接続部140に設けられたバーコードから識別情報を取得してエアマット100の種類を識別してもよい。
【0051】
なお、取得部は、上記の例に限定されず、エアマット100の識別情報を取得可能なものであればいかなる装置が用いられてもよい。また、識別情報が記録される媒体も上記の例に限定されず、識別情報を記録可能なものであればいかなる媒体が用いられてもよい。
【0052】
図5(c)に示すように、識別部260には、エアマット100に設けられる複数の凸部のパターンを認識するための機械的認識機構263が機械的認識部として接続される。エアマット100の接続部140には、エアマット100の種類ごとに異なる凸部パターン153が設けられている。識別部260は、機械的認識機構263を介して凸部パターン153を認識して、認識した凸部パターン153をストレージ240に記憶されたエアマット100の機械的構造に関する情報とマッチングすることによって、エアマット100の種類を識別する。機械的認識機構263は、たとえばエアマット100を接続する際に凸部パターン153の各凸部によってそれぞれ押下される複数のスイッチにより構成されてもよい。この場合、複数のスイッチの押下状況を取得することによって凸部パターン153を認識できる。あるいは、機械的認識機構263は、凸部パターン153に対して赤外線等を照射して反射光を受光および解析することによって凸部パターン153を認識する赤外線センサーであってもよい。また、機械的認識機構263は、複数のタッチを同時に検出できるタッチセンサーであってもよい。この場合、エアマット100を接続する際の凸部パターン153によるタッチの状況を取得することによって凸部パターン153を認識できる。
【0053】
図5(d)に示すように、識別部260には、エアマット100に設けられる複数の凹部のパターンを認識するための機械的認識機構264が機械的認識部として接続される。エアマット100の接続部140には、エアマット100の種類ごとに異なる凹部パターン154が設けられている。識別部260は、機械的認識機構264を介して凹部パターン154を認識して、認識した凹部パターン154をストレージ240に記憶されたエアマット100の機械的構造に関する情報とマッチングすることによって、エアマット100の種類を識別する。機械的認識機構264は、機械的認識機構263と同様に、複数のスイッチによって構成されてもよく、赤外線センサー、タッチセンサー等によって構成されてもよい。
【0054】
なお、機械的認識部は、上記の例に限定されず、エアマット100に設けられる機械的構造を認識可能なものであればいかなる機構や装置が用いられてもよい。また、機械的構造の態様も上記の例に限定されず、機械的認識部において認識可能なものであればいかなる構造が用いられてもよい。
【0055】
図5(e)に示すように、識別部260には、エアマット100に設けられる電気的要素155を認識するための電気的認識機構265が電気的認識部として接続される。エアマット100の接続部140には、たとえばエアマット100の種類ごとに異なる電気的要素155が設けられている。電気的要素155は、たとえば回路や素子、各種装置等であり、電気的信号を生成可能な構成であればいかなるものでもよい。識別部260は、電気的認識機構265を介して電気的要素155を認識して、認識した電気的要素155をストレージ240に記憶されたエアマット100の電気的要素155に関する情報とマッチングすることによって、エアマット100の種類を識別する。たとえば、電気的認識機構265は、電気的要素155の電気抵抗等の電気的特性値に基づいて電気的要素155を認識することができる。あるいは、電気的認識機構265は、電気的要素155から受信する電気的信号に基づいて電気的要素155を認識してもよい。
【0056】
以上のように、第1実施形態のエアマット制御装置200によれば、接続されるエアマット100の種類に応じてストレージ240に記憶されたエアマット100の種類ごとの設定を切り替えて使用してエアマット100の状態を制御する。これにより、エアマット100を変更する際に、無駄なく手間なく効率的にエアマット100の設定を行い、エアマット100を変更することができる。また、一つのエアマット制御装置200が複数の種類のエアマット100に対応できるので、エアマット100と制御装置200を対として在庫しておく必要がなくなり、コストや保管スペースも節約可能となる。
【0057】
また、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類を識別する識別部260を有し、識別部260によって識別されたエアマット100の種類に応じて設定を切り替える。これにより、エアマット100の種類を自動的に識別できるため、迅速かつ正確にエアマット100の設定を行うことができる。
【0058】
また、エアマット制御装置200は、エアマット100に関連付けられたRFIDタグ、バーコードおよび2次元バーコードのうちの少なくとも一つからエアマット100の種類を識別するための識別情報を取得してエアマット100の種類を識別する。これにより、より確実にエアマット100の種類を識別できる。
【0059】
また、エアマット制御装置200は、機械的認識部によって認識された機械的構造に基づいて、接続されたエアマット100の種類を識別する。これにより、エアマット100ごとに簡単な構成変更を行うだけでエアマット100の種類を識別できる。
【0060】
また、エアマット制御装置200は、電気的認識部によって認識された電気的要素に基づいて、接続されたエアマット100の種類を識別する。これにより、エアマット100ごとに電気的要素を変更するだけでエアマット100の種類を識別できる。
【0061】
また、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に応じて空気供給部270を制御するための設定に基づいてエアマット100の状態を制御する。これにより、エアマット100の種類に応じて空気供給部270を適切に制御できる。
【0062】
また、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に応じて表示操作部250を制御するための設定に基づいてエアマット100の状態を制御する。これにより、エアマット100の種類に応じて表示操作部250を適切に制御できる。
【0063】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のエアマット制御装置について説明する。
【0064】
上記の第1実施形態では、エアマット制御装置200が、接続されるエアマット100の種類を識別し、識別された種類に応じて設定を切り替えてエアマット100の状態を制御する例について説明した。しかし、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に関する入力を受け付けて、受け付けられた入力に応じて設定を切り替えてエアマット100の状態を制御してもよい。以下、エアマット制御装置200がエアマット100の種類に関する入力を受け付ける例について説明する。
【0065】
第2実施形態のエアマット制御装置200の構成は、
図2に示されるエアマット制御装置200の構成から識別部260を除いたものと同様であるため、その説明を省略する。以下、第2実施形態のエアマット制御装置200における処理について説明する。
【0066】
図6は、第2実施形態に係るエアマット制御装置によって実行される設定処理の手順を示すフローチャートである。
図7は、
図6のステップS201の処理においてエアマット制御装置の表示操作部に表示される画面の一例を示す図である。なお、
図6に示すエアマット制御装置200の処理は、エアマット制御装置200のストレージ240にプログラムとして記憶されており、CPU210が各部を制御することにより実行される。
【0067】
図6に示すように、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類の選択を受け付ける(ステップS201)。具体的には、エアマット制御装置200は、ストレージ240に記憶されたエアマット100の種類に関する情報に基づいて、エアマット100の種類の名称等の情報を表示操作部250に表示し、ユーザーからのエアマット100の種類の選択を受け付ける。
【0068】
続いて、エアマット制御装置200は、ユーザーからエアマット100の種類の選択を受け付けたか否かを判断する(ステップS202)。
【0069】
選択が受け付けられない場合(ステップS202:NO)、エアマット制御装置200は、ステップS201の処理に戻り、エアマット100の種類の受け付け処理を継続する。
【0070】
選択が受け付けられた場合(ステップS202:YES)、エアマット制御装置200は、選択されたエアマット100の種類に応じてエアマット100を制御するための各種設定を変更する(ステップS203)。ステップS203の処理は、
図4のステップS103の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
続いて、エアマット制御装置200は、ステップS203の処理において切り替えた設定に基づいてエアマット100の状態を制御する(ステップS204)。ステップS204の処理は、
図4のステップS104の処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS204の処理が完了すると、エアマット制御装置200は、設定処理を終了し、設定に基づいてエアマット100の制御を継続して実行する。
【0072】
以上のように、第2実施形態のエアマット制御装置200によれば、エアマット100の種類に関するユーザーからの入力を受け付け、受け付けられた入力に応じて設定を切り替える。これにより、ユーザーはエアマット100の種類を選択したり入力したりするだけでエアマット100を適切に設定することができる。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0074】
たとえば、上記の実施形態においては、エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に基づいて空気供給部270や表示操作部250を制御するための設定を変更する例について説明したが、これに限定されない。エアマット制御装置200は、エアマット100の種類に基づいてエアマット100を制御するためのあらゆる設定を切り替えて使用することができる。
【0075】
また、エアマット制御装置200は、
図4のステップS102の処理において、エアマット100の種類の識別に成功しなかった場合、その旨を示すメッセージを表示操作部250に表示してもよい。
【0076】
また、上記の実施形態においては、空気供給部270がエアマット制御装置200の一部として一体的に設けられる例について説明したが、エアマットシステムのハードウェア構成はこれに限定されない。たとえば、エアマット制御装置200と空気供給装置とが別体として設けられて相互に無線接続されるような形態であってもよい。
【0077】
また、上記の実施形態においては、エアマット100は、接続チューブ130および接続部140を介してエアマット制御装置200に接続されるものとして説明したが、接続部140を設けず、制御装置200に接続チューブ130を直接接続するような構成としてもよい。この場合、上記において接続部140に設けるものとして説明したRFIDタグ151等の構成は、エアマット100や接続チューブ130等といった、接続部140以外の箇所に設けられる。
【0078】
また、上記の第1および第2実施形態は、それぞれ独立した実施形態として説明したが、各実施形態が相互に組み合わせられて実施されてもよい。また、
図5の(a)~(e)についても、それぞれ独立したパターンとして説明したが、各パターンが組み合わせられて実施されてもよい。
【0079】
また、上述したフローチャートの各処理単位は、エアマット制御装置200の処理に関する理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。エアマット制御装置200が実行する処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0080】
上述した実施形態に係るエアマットシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、エアマットシステムの一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 エアマット、
110 ベッドマットレス、
120 エアセル、
130 接続チューブ、
140 接続部、
151 RFIDタグ、
152 2次元バーコード、
153 凸部パターン、
154 凹部パターン、
155 電気的要素、
200 エアマット制御装置、
210 CPU、
220 ROM、
230 RAM、
240 ストレージ、
250 表示操作部、
260 識別部、
261 RFIDタグリーダー、
262 カメラ、
263、264 機械的認識機構、
265 電気的認識機構、
270 空気供給部、
280 通信部、
290 バス。