IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECエンベデッドプロダクツ株式会社の特許一覧

特許7052995搬送システム、制御装置、制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】搬送システム、制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20220405BHJP
   B65G 35/06 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F16H19/04 E
F16H19/04 J
B65G35/06 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017218642
(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2019090459
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小玉 康彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬
【審査官】筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0039061(US,A1)
【文献】特開平07-242307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/04
B65G 13/04
B65G 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体と、複数の搬送ユニットと、制御部とを備え、
前記被駆動体は、
前記被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアを備え、
前記搬送ユニットの各々は、
前記二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、
前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、
前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、
搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、
を備え、
前記搬送ユニットは、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置され
前記制御部は、
パルス信号の入力を受けて、パルス数に応じた回転角度だけ前記第1ステッピングモータを回転させる第1モータドライバと、
前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、
パルス信号の入力を受けて、パルス数に応じた回転角度だけ前記第2ステッピングモータを回転させる第2モータドライバと、
前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、
複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、
複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、
を備え、
前記制御部は、2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する、
搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1ピニオンギアの回転方向に前記搬送ユニットが複数並べて配置された組み合わせ、および、前記第2ピニオンギアの回転方向に複数並べて配置された組み合わせのそれぞれについて、各搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、各搬送ユニットの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する、
請求項に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、各搬送ユニットの前記第1ピニオンギアの回転速度と前記第2ピニオンギアの回転速度とを同じ回転速度に制御する、
請求項に記載の搬送システム。
【請求項4】
被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、
パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、
前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、
パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、
前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、
複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、
複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、
を備え、
2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する、
制御装置。
【請求項5】
被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、
パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、
前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、
パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、
前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、
複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、
複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、
を備える制御装置が、
2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する、
制御方法。
【請求項6】
被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、
パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、
前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、
パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、
前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、
複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、
複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、
を備える制御装置が備えるコンピュータに、
2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御させ、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ギアの1つにラックギアがある。ラックギアは、直線状に構成されて歯を設けられ、ラックギアの歯にピニオンギアの歯が噛み合わせられる。この状態で、ラックギアはピニオンギアに駆動されてラックギア自らの長手方向に移動する。
【0003】
さらに、二次元に形成されたラックギアが知られている。
例えば、特許文献1には、インボリュート歯車を走行車輪として備え、二次元のラックギアで構成された走行板の上を走行する走行体が記載されている。
また、特許文献2には、二次元のラックギアで構成された駆動体を、異なる回転方向に配置された歯車(ピニオンギア)で駆動する多方向駆動装置が記載されている。
また、 特許文献3には、二次元の歯列付き床(二次元のラックギア)を構築する際の寸法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-267100号公報
【文献】特開2011-196487号公報
【文献】特開2017-082905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品を搬送する搬送システムを構築する際、搬送経路を柔軟に組めることが好ましい。二次元のラックギアおよびピニオンギアを用いれば、物品を搬送する方向に柔軟性を持たせることができる。さらに、物品を搬送する範囲および搬送するタイミングにも柔軟性を持たせられることが好ましい。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決することのできる搬送システム、制御装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、搬送システムは、被駆動体と、複数の搬送ユニットと、制御部とを備え、前記被駆動体は、前記被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアを備え、前記搬送ユニットの各々は、前記二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記搬送ユニットは、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置され、前記制御部は、パルス信号の入力を受けて、パルス数に応じた回転角度だけ前記第1ステッピングモータを回転させる第1モータドライバと、前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、パルス信号の入力を受けて、パルス数に応じた回転角度だけ前記第2ステッピングモータを回転させる第2モータドライバと、前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、を備え、前記制御部は、2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する
【0008】
本発明の第2の態様によれば、制御装置は、被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、を備え、2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する
【0009】
本発明の第3の態様によれば、制御方法は、被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、を備える制御装置が、2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御し、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御することを含む。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、プログラムは、被駆動体の底面に四角錐状の歯を下向きに設けられ、前記底面の歯のうち外周部に位置する歯には、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアを回転させる第1ステッピングモータと、前記第2ピニオンギアを回転させる第2ステッピングモータと、搬送ユニット自らの上の前記被駆動体を検出するセンサと、を備え、前記第1ピニオンギアによる搬送方向および前記第2ピニオンギアによる搬送方向それぞれに複数個並べて配置された搬送ユニットを制御する制御装置であって、パルス信号の入力を受けて、前記第1ピニオンギアを回転させる前記第1ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第1モータドライバと、前記第1モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第1ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第1モータドライバへ出力する第1AND回路と、パルス信号の入力を受けて、前記第2ピニオンギアを回転させる前記第2ステッピングモータを、パルス数に応じた回転角度だけ回転させる第2モータドライバと、前記第2モータドライバに対するパルス信号と、前記パルス信号の前記第2ピニオンギアへの入力の有無を切り替えるイネーブル信号との入力を受け、前記イネーブル信号がアクティブの場合に前記パルス信号を前記第2モータドライバへ出力する第2AND回路と、複数の前記第1AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第1AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第1マイクロコントローラと、複数の前記第2AND回路に共通の前記パルス信号と、前記第2AND回路毎に個別の前記イネーブル信号とを出力する第2マイクロコントローラと、を備える制御装置が備えるコンピュータに、2つの搬送ユニット間における前記被駆動体の受け渡し時に、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体が無いと判定した場合は、これら2つの搬送ユニットにおける前記被駆動体の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御させ、受け取り側の前記搬送ユニットに前記被駆動体があると判定した場合は、引き渡し側の前記搬送ユニットの前記被駆動体を停止させ、受け取り側の前記搬送ユニットから前記被駆動体を移動させるように、これら2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、搬送経路を柔軟に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る搬送システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態に係る駆動装置の全体構成を示す図である。
図3】同実施形態に係る搬送トレーの外形例の概略を示す図である。
図4】同実施形態に係る搬送ユニットの構成例を斜視図にて示す図である。
図5】同実施形態に係る搬送ユニットの内部を図4の矢印Vの方向から見た例を示す図である。
図6】同実施形態に係る搬送ユニットの内部を図4の矢印VIの方向から見た例を示す図である。
図7】同実施形態に係る平面歯車の歯と駆動歯車の歯との噛み合わせの例を示す図である。
図8】同実施形態に係る搬送システムを工場のラインに適用した第1例を示す図である。
図9】同実施形態に係る搬送システムを工場のラインに適用した第2例を示す図である。
図10】同実施形態に係る搬送システムを用いた倉庫における収納物の収納の第1例を示す図である。
図11】同実施形態に係る搬送システムを用いた倉庫における収納物の収納の第2例を示す図である。
図12】同実施形態に係る搬送システムを飲食店に適用した第1例を示す図である。
図13】同実施形態に係る搬送システムを飲食店に適用した第2例を示す図である。
図14】同実施形態で、並んで配置された搬送ユニットにおける概略構成を示す図である。
図15】同実施形態に係る制御装置における駆動モータの制御のためのハードウェア構成例を示す図である。
図16】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第1例を示す図である。
図17】同実施形態で、図16の例におけるマイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図18】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第2例を示す図である。
図19】同実施形態で、図18の例におけるマイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図20】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第3例を示す図である。
図21】同実施形態で、図20の例におけるマイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図22】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第4例を示す図である。
図23】同実施形態で、図22の例におけるマイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図24】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第5例を示す図である。
図25】同実施形態で、図24の例で一番上に示す状態から、上から2番目に示す状態への変化で、マイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図26】同実施形態で、図24の例で上から2番目に示す状態から、上から3番目に示す状態への変化で、マイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図27】同実施形態で、図24の例で上から3番目に示す状態から、一番下に示す状態への変化で、マイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図28】同実施形態に係る搬送ユニット間の搬送トレーの受け渡しの第6例を示す図である。
図29】同実施形態で、図28の例におけるマイクロコントローラからの出力信号の例を示す図である。
図30】本発明に係る搬送システムの最小構成の例を示す図である。
図31】本発明に係る制御装置の最小構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る搬送システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、搬送システム100は、搬送システムの本体である駆動装置101と、制御装置200と、上位システム300とを備える。駆動装置101は、被駆動体となる搬送トレー11と、複数の搬送ユニット20とを備える。
【0014】
搬送システム100は、被搬送物を搬送する(移動させる)システムである。
駆動装置101は、制御装置200の制御に従って被搬送物の搬送を実行する。
搬送トレー11は、上面に被搬送物を載置可能に構成されている。搬送トレー11は、被搬送物を載置した状態で搬送ユニット20の駆動によって移動することで、被搬送物を搬送する。
【0015】
搬送ユニット20は、搬送トレー11を駆動する。
制御装置200は、搬送ユニット20を制御して搬送トレー11を駆動させる。
上位システム300は、搬送システム100のユーザインタフェースとして機能する。上位システム300は、駆動装置101の動作に対する指示を行うユーザ操作を受け、ユーザ操作に基づく動作指令を制御装置200に通知する。例えば、上位システム300は、搬送トレー11の移動の始点となる搬送ユニット20および終点となる搬送ユニット20を指定して、搬送トレー11を移動させるよう制御装置200に指示する。
【0016】
また、上位システム300は、駆動装置101の動作に関する各種情報を表示する。例えば、搬送システム100が搬送トレー11の位置を検出するセンサを備え、上位システム300が、搬送トレー11の位置を表示するようにしてもよい。
上位システム300は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)またはEWS(Engineering Workstation)等のコンピュータを用いて構成される。
【0017】
制御装置200と上位システム300とが一体に構成されていてもよい。この場合、制御装置200は、例えばパソコンまたはEWS等のコンピュータを用いて構成される。
あるいは、制御装置200が搬送ユニット20に格納されていてもよい。例えば、各制御装置200内に設けられた搬送ユニット20を数珠つなぎで電気的に接続する、あるいは通信接続するようにしてもよい。この場合、制御装置200は、例えばマイコン(Microcomputer)等のコンピュータを用いて構成される。あるいは、制御装置200がASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いる等により、搬送ユニット20の制御専用のハードウェアとして構成されていてもよい。
【0018】
図2は、駆動装置101の全体構成を示す図である。
上述したように、搬送トレー11は上面の収納部11Aにて被搬送物(図示略)が載置可能とされる。また、搬送トレー11の下面には、所定方向に歯12Aが配列された平面歯車12が設けられている。
【0019】
図3は、搬送トレー11の外形例の概略を示す図である。図3(A)は、搬送トレー11を斜め上から見た斜視図、および、搬送トレー11の底面に設けられている平面歯車(二次元ラック(Rack)ギア)の歯の形状の斜視図を示す。図3(B)は、搬送トレー11の底面に設けられている平面歯車の歯の形状を、搬送トレー11の底面側から見た図で示す。
【0020】
平面歯車12の歯12Aは、図3(A)に示されるように、互いに直交する矢印(イ)及び矢印(ロ)方向に沿いマトリックス状に配置されている。
また、平面歯車12の歯12Aは全体として先端部に小平面の歯先12Bを有する四角錐状に形成されたものであるが、特に、外周部に位置する列の歯12A´は図3(B)に示されるように、四角錐を形成する斜面の角部を面取りしたチャンファ加工がなされている。
このチャンファ加工は、駆動歯車(ピニオン(Pinion)ギア)13,14が噛み合う際の当たりを軽減するために行うものであって、歯先12Bの一角部を中心とした四角錐斜面の角部面取り処理である。
【0021】
また、搬送トレー11は、互いに回転方向が異なる駆動歯車13,14を有する複数台の搬送ユニット20により、所定の搬送方向である矢印(イ)方向又は矢印(ロ)方向に移送される。
なお、本実施形態では、所定の搬送方向である矢印(イ)方向又は矢印(ロ)方向により、水平な搬送面が搬送ユニット20の支持板22(図5参照)上に形成されており、この搬送面を通じて、搬送トレー11が水平方向に移送される。
【0022】
搬送ユニット20は、図2に示されるように、所定の搬送方向(矢印(イ)及び矢印(ロ)方向)に沿って複数台がマトリックス状に隣接配置されるものであって、それぞれに設けられた駆動歯車13,14が、搬送トレー11上の平面歯車12と噛み合って動力を伝達することで、該搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に搬送する。駆動歯車13は、第1ピニオンギアの例に該当する。駆動歯車14は、第2ピニオンギアの例に該当する。
さらには、駆動歯車13と駆動歯車14とは同時に動作可能であり、これによって搬送トレー11を矢印(イ)および矢印(ロ)に対して斜め方向に搬送することも可能である。
【0023】
上述した搬送ユニット20の具体的構成について、図4図6を参照して詳細に説明する。
図4は、搬送ユニット20の構成例を斜視図にて示す図である。
図5は、搬送ユニット20の内部を図4の矢印Vの方向から見た例を示す図である。
図6は、搬送ユニット20の内部を図4の矢印VIの方向から見た例を示す図である。
各搬送ユニット20は、基部となる台座21と、台座21上に水平に設けられかつその各縁部に4つの開口22Aを有する支持板22と、台座21に回転軸13A,14Aを中心として回転自在に支持された駆動歯車13,14と、駆動歯車13,14をそれぞれ回転駆動する駆動機構23,24と、を具備する。
【0024】
駆動歯車13は、矢印(ロ)方向に沿う回転軸13Aを中心として回転自在に支持されるものであって、搬送ユニット20内の矢印(イ)方向に間隔をおいて2組配置されている。また、各組の駆動歯車13は一対の小歯車13Bを有しており、その上部は、支持板22の開口22Aから露出して、搬送トレー11の平面歯車12と噛み合うことで、該搬送トレー11を矢印(イ)方向に移送する。
また、駆動機構23は、図5に示されるように搬送ユニット20の下部に配置されるものであって、駆動モータ25と、該駆動モータ25の動力を駆動歯車13に伝達するための伝導歯車26、プーリ27、ベルト28を有している。
【0025】
一方、駆動歯車14は、矢印(イ)方向に沿う回転軸14Aを中心として回転自在に支持されるものであって、搬送ユニット20内の矢印(ロ)方向に間隔をおいて2組配置されている。また、各組の駆動歯車14は一対の小歯車14Bを有しており、その上部は、支持板22の開口22Aから露出して、搬送トレー11の平面歯車12と噛み合うことで、該搬送トレー11を矢印(ロ)方向に移送する。
また、駆動機構24は、図6に示されるように支持板22の直下に配置されるものであって、駆動モータ29と、該駆動モータ29の動力を駆動歯車14に伝達するための伝導歯車30、プーリ31、ベルト32を有している。
【0026】
そして、以上のような搬送ユニット20では、駆動機構23,24を選択的に駆動することにより、駆動歯車13又は14のいずれかを回転駆動することができ、これにより該駆動歯車13,14及びこれらと噛み合う平面歯車12を通じて、支持板22上の搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に移送することができる。
さらには、駆動機構23,24を同時に駆動することにより、駆動歯車13および14を同時に回転駆動することができる。これにより該駆動歯車13,14及びこれらと噛み合う平面歯車12を通じて、支持板22上の搬送トレー11を矢印(イ)および矢印(ロ)に対して斜めの方向に移送することができる。
【0027】
図7は、平面歯車12の歯と駆動歯車13の歯との噛み合わせの例を示す図である。平面歯車12の歯と駆動歯車14の歯との噛み合わせも同様である。
上記搬送ユニット20では、図7に示されるように、駆動歯車13,14の回転駆動により、搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に移送するに際し、平面歯車12の平らな歯先(符号12Bで示す)を支持板22の上面と摺動させることで、該搬送トレー11を矢印(イ)又は矢印(ロ)方向に案内する。
【0028】
次に図8図13を参照して搬送システム100の使用例について説明する。
図8は、搬送システム100を工場のラインに適用した第1例を示す図である。図8の例では、8個の搬送ユニット20がラインを構成している。このラインには、作業ロボット911および912が配置されている。
また、図8で搬送トレー11の流れを矢印で示している。搬送トレー11に作業対象(組み立て対象の装置等)を載置して搬送トレー11を移動させる。作業ロボット911および912の各々は、作業ロボット自らの近傍に搬送トレー11が来ると、作業対象に対して例えば部品の取り付け等の作業を行う。
【0029】
図8に示すラインでは、作業ロボット912が、作業ロボット911の作業の前後それぞれのタイミングで作業を行う。一般的なラインの場合、作業対象が一方向に流れるため、作業ロボット911の前後それぞれに作業ロボット912が必要になり、作業ロボット912の2台分の設備コストを要する。これに対し、図8に示すラインでは、作業ロボット912が作業を行う2回のタイミングのそれぞれで、作業対象を1台の作業ロボット912の近傍へ移動させ、この作業ロボット912に作業を行わせることができる。従って、図8に示すラインでは、作業ロボット912が1台でよく、この点で設備コストを抑制できる。
【0030】
また、図8に示すラインでは、搬送トレー11の流れを変化させることで、作業ロボットの配置を変化させる必要無しに、作業ロボットの作業回数および作業タイミングの変更に対応できる。例えば、作業ロボット911が、作業ロボット912の作業の前後それぞれのタイミングで作業を行う場合、搬送トレー11の経路を、この順で作業ロボットの近傍を通過する経路に変更すればよい。
【0031】
また、図8に示すラインでは、1つのラインで複数の製品を組み立てる場合など、製品によって作業ロボットの作業回数および作業タイミングが異なる場合にも対応可能である。
また、搬送システム100では、ギアを用いて搬送トレー11および作業対象を移動させる点で、例えばローラを用いて作業対象を移動させる場合よりも、作業対象の速度および停止位置を正確にコントロールできる。また、搬送トレー11の停止時も駆動モータ25および29を励磁しておくことで、搬送トレー11に作業対象を積載したときに反動で位置ずれすることを防止できる。
このように、搬送システム100は、作業ロボット等を配置して構築する生産ラインのような精度を必要とする搬送システムに用いて好適である。
【0032】
図9は、搬送システム100を工場のラインに適用した第2例を示す図である。図9の例では、10個の搬送ユニット20がラインを構成している。このラインでは、2人の作業者と作業ロボット913とが協働で作業を行っている。
また、図9で搬送トレー11の流れを実線の矢印で示し、作業ロボット913の作業範囲を破線の矢印で示している。
【0033】
図9のラインでは、ラインの幅方向に2台の搬送ユニット20を並べることでラインの幅を広く取っている。また、ラインの上流側(図8の上側)から下流側を見て、ラインの右側に作業者が位置し、ラインの左側に作業ロボット913が位置している。
このように、ラインの幅が広く、かつ、作業者と作業ロボット913とがラインの反対側に位置していることで、作業者の作業範囲と作業ロボット913の作業範囲とが重ならないようになっている。これにより、人と作業ロボット913とがぶつかる等の危険を回避することができ、この点で作業者の安全を確保できる。
【0034】
搬送ユニット20が搬送トレー11を方向自在に移動可能なことで、図9のラインの構築が可能になっている。特に、搬送ユニット20は、作業者と作業用ロボットとの間で(作業対象を載置した)搬送トレー11を移動させる際、ラインの上流から下流への方向(図9の上から下への方向)だけでなく、ラインの幅方向(図9の左右方向)にも移動させることができる。これにより、ラインの幅を広く取ることが可能になっている。
【0035】
図10は、搬送システム100を用いた倉庫における収納物の収納の第1例を示す図である。図10では、物品を取り出す前の状態における収納物の配置例を示している。
図10の倉庫では、30台の搬送ユニット20が5行×6列に配置されている。これらのうち23台の搬送ユニット20にそれぞれ1つずつ搬送トレー11が位置しており、各搬送トレー11に収納物が載置されている。
【0036】
収納物の取出の際、搬送システム100は、取出対象の収納物を載置した搬送トレー11を、図10に向かって右下隅の搬送ユニット20に移動させ、ここで収納物を人(取出要求者)に引き渡す。取出頻度の高い収納物ほど図10の下側(引き渡し場所に近いところ)に配置しておくようにしてもよい。
ここで、領域A11に位置する搬送トレー11が載置している収納物の取出要求があったとする。
【0037】
図11は、搬送システム100を用いた倉庫における収納物の収納の第2例を示す図である。図11では、図10の状態から物品を取り出した後の状態における収納物の配置例を示している。
図11の例では、取出対象の収納物を載置している領域A11の搬送トレー11を実線(白抜き)の矢印に沿って移動させるために、まず、移動経路にある搬送トレー11を破線の矢印に沿って移動させている。
【0038】
このように、搬送システム100を用いた倉庫では、搬送トレー11を移動させる際に移動経路にある搬送トレー11を移動させて移動経路を確保させればよく、予め通路を用意しておく必要がない。この点で、搬送システム100を用いた倉庫では、倉庫内のスペースを効率よく利用して多くの物を収納することができる。
搬送ユニット20が搬送トレー11を方向自在に移動可能なことで、図10および図11の収納品の配置が可能になっている。特に、搬送ユニット20は、搬送トレー11を図10および図11の縦横いずれにも移動可能である。これにより、倉庫内のスペースを効率よく利用して多くの物を収納しておき、実際に搬送トレー11を移動させる際に移動経路を確保することができる。
【0039】
図12は、搬送システム100を飲食店に適用した第1例を示す図である。図12の例では、例えば回転寿司等の飲食店で、飲食物を厨房から客席へ搬送し、さらに、使用後の食器類を回収するために、搬送ユニット20が厨房と客席との間に並べて配置されている。
また、図12で搬送トレー11の流れの例を矢印で示している。行L11における搬送ユニット20の並びが厨房から客席への飲食品配膳用のレーンとして構成されている。行L12における搬送ユニット20の並びが客席から厨房への食器等の返却用のレーンとして構成されている。
【0040】
このように、搬送システム100によれば多方向のレーンを組むことができ、飲食品の配膳と空いた食器等の回収とを共に搬送システム100で行うことができる。
また、搬送システム100では、ベルトコンベアによる一般的なレーンの場合と異なり、搬送ユニット20毎に運転又は停止を制御することができる。このため、例えば客席からの食器返却の際に搬送トレー11が配膳用のレーン(行L11)を横切る場合など、搬送が交差する場合、どちらか一方の搬送トレー11を一時的に停止させてスムーズに搬送を行うことができる。
また、搬送システム100が、厨房から個々の客席また飲食品を搬送するので、レーンを流れる注文品を客が取る場合と異なり、注文品の取り間違いを回避することができる。
【0041】
図13は、搬送システム100を飲食店に適用した第2例を示す図である。図13の例における搬送ユニット20の配置は、図12の場合と同様である。図13の例では、図12の場合よりも大きい搬送トレー11、図12の場合と同じ大きさの搬送トレー11、図12の場合よりも小さい搬送トレー11の3種類の搬送トレー11が用いられている点で、図12の例と異なる。
このように、搬送システム100では、大きさの異なる搬送トレー11を混在させることができる。
【0042】
搬送トレー11が1レーン分の幅からはみ出す場合、行L11および行L12の2つのレーンを一時的に同じ方向に動作させることで、このような搬送トレー11を流すことができる。例えば、配膳の場合は、行L12のレーンを通常と逆方向(行L11と同じ方向)に動作させる。食器等の返却の場合は、行L11のレーンを通常と逆方向(行L12と同じ方向)に動作させる。
【0043】
また、搬送トレー11の大きさは、搬送ユニット20の上面の大きさより小さくてもよい。搬送トレー11の平面歯車12について、図2の(イ)の方向の長さが、駆動歯車13間の間隔よりも長く、かつ、(ロ)の方向の長さが、駆動歯車14間の間隔よりも長ければよい。これにより、必ず1つ以上の駆動歯車13の歯、および、1つ以上の駆動歯車14の歯が平面歯車12の歯と噛み合っており、搬送トレー11を(イ)の方向、(ロ)の方向のいずれにも移動させることができる。
また、平面歯車12は、射出成型等によって安価に大量生産できることが期待される。平面歯車12を安価に大量生産できることで、例えば、従来の回転寿司で食器皿を載置しているトレーを全て搬送トレー11に置き換えて搬送システム100に適用することが可能である。
【0044】
次に、図14および図15を参照して、駆動モータ25および駆動モータ29の制御について説明する。
図14は、並んで配置された搬送ユニット20の概略構成を示す図である。図14では、搬送トレー11と、並んで配置された2つの搬送ユニット20(搬送ユニット20-1および20-2)が示されている。
【0045】
図14では、搬送ユニット20の側面を図2の矢印(ロ)の手前側から見た場合の搬送ユニット20内部の構成例が示されており、搬送ユニット20毎に、搬送ユニット20の各部のうち1つの駆動モータ25と、2つの駆動歯車13とが示されている。また、これら駆動モータ25から駆動歯車13の各々へ動力を伝達する2つのベルト28が示されている。
図14では、2つの駆動モータ25に符号25-1および25-2を付してこれらを区別している。このように、図14および図15では、並んで配置された搬送ユニット20の駆動モータ25の符号にハイフン(-)および通し番号(1、2、3、・・・)を付して、これら駆動モータ25を区別する。
【0046】
また、図14では、4つの駆動歯車13に符号13-11、13-12、13-21および13-22を付してこれらを区別している。距離L1は、駆動歯車13-11と13-12との距離を示す。距離L2は、駆動歯車13-12と13-21との距離を示す。距離L3は、駆動歯車13-21と13-22との距離を示す。同じサイズの搬送ユニット20を用いる場合、距離L1と距離L3とは等しくなる。
【0047】
図14の例で、矢印Aの方向の平面歯車12の長さは、距離L1、L2、L3の何れよりも長ければよい。これにより、駆動歯車13-11、13-12、13-21、13-22のうち少なくとも1つ以上の歯が平面歯車12の歯と噛み合って、搬送トレー11を矢印Aの方向(またはその逆方向)に移動させることができる。
【0048】
駆動モータ29、駆動歯車14およびベルト32についても、図14を参照して説明したのと同様である。
また、以下では、駆動モータ25および29としてステッピングモータを用いる場合を例に説明する。駆動モータ25および29としてステッピングモータを用いることで、複数の駆動モータで位相の同期(回転角度の同期)を高精度にとることができる。
【0049】
図15は、制御装置200における駆動モータの制御のためのハードウェア構成例を示す図である。図15に示す構成で、制御装置200は、マイクロコントローラ201と、駆動モータ25毎のAND回路202およびモータドライバIC203とを備える。
マイクロコントローラ201は、各駆動モータ25に共通のパルス信号STEPと、駆動モータ25毎のイネーブル信号EN1、EN2、EN3、・・・とを生成し出力する。
【0050】
AND回路202の各々は、パルス信号STEPと、イネーブル信号(EN1、EN2、EN3、・・・の何れか)とのANDをとる。
これにより、イネーブル信号ENi(i=1、2、3、・・・)がアクティブ(ON)のときはパルス信号STEPがモータドライバIC203に供給される。この場合、モータドライバIC203は、パルス信号STEPにおけるパルス数に応じた回転角度だけ駆動モータ25-iを回転させる。従って、モータドライバIC203は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数に応じた回転速度で駆動モータ25-iを回転させる。
【0051】
一方、イネーブル信号ENiが非アクティブ(OFF)のときはパルス信号STEPがモータドライバIC203に供給されない。この場合、モータドライバIC203は、駆動モータ25-iを停止させる。
各駆動モータ25に共通のパルス信号STEPを用いることで、これら駆動モータ25で位相の同期を高精度にとることができる。
【0052】
制御装置200は、駆動モータ29の各々についても駆動モータ25の場合と同様の制御を行う。駆動モータ25と駆動モータ29とに共通で1つのマイクロコントローラ201を用いることができる。これにより、駆動モータ25と駆動モータ29とで共通のパルス信号STEPを用いることになり、駆動モータ25と駆動モータ29との位相の同期をとり易い。
【0053】
駆動モータ25と駆動モータ29との位相の同期をとって同じ回転速度で回転させることで、搬送トレー11を駆動モータ25の回転軸、駆動モータ29の回転軸のいずれに対しても斜め45度の方向に移動させることができる。すなわち、搬送トレー11を搬送ユニット20の並びの方向に対して斜め45度の方向に移動させることができる。
また、制御装置200が備えるマイクロコントローラ201が1つでよい点で、制御装置200のハードウエアコストが小さい。
【0054】
あるいは、駆動モータ25用のマイクロコントローラ201とは別のマイクロコントローラ201を、駆動モータ29用のマイクロコントローラ201として用いるようにしてもよい。この場合、駆動モータ25と駆動モータ29とで別々のパルス信号STEPを用いることになり、駆動モータ25と駆動モータ29とを別々の回転速度で回転させ易い。
例えば、搬送トレー11に円運動など比較的複雑な動きをさせる場合、駆動モータ25用のマイクロコントローラ201とは別のマイクロコントローラ201を、駆動モータ29用のマイクロコントローラ201として用いるようにしてもよい。これにより、駆動モータ25と駆動モータ29とに別々の動きをさせることができる。
【0055】
制御装置200は、被搬送物を載置した搬送トレー11を動作させる際、駆動モータ25および29の加減速を制御して、被搬送物の重さで駆動モータ25および29が脱調することを防止する。後述するように、制御装置200は、駆動モータ25または29を起動させる際、徐々に回転速度を増加させる。また、制御装置200は、駆動モータ25または29を停止させる際、徐々に回転速度を減少させる。このように、制御装置200は、搬送トレー11の速度が急変しないように駆動モータ25および29を制御する。
【0056】
ここで、搬送トレー11を引き渡す側の搬送ユニット20、受け取る側の搬送ユニット20の両方で、平面歯車12が駆動歯車13にかかっている場合を考える。この場合、仮に、搬送トレー11を引き渡す側の搬送ユニット20の駆動歯車13が定速回転し、搬送トレー11を受け取る側の搬送ユニット20の駆動歯車13が加速中だと、これら駆動歯車13の位相が同期せず、駆動モータ25に負担がかかる。
【0057】
これに対し、搬送システム100では、制御装置200の制御によって駆動モータ25同士および駆動モータ29同士が同期して回転する。駆動モータ25同士および駆動モータ29同士が同期して回転することで、駆動歯車13同士および駆動歯車14同士が同期して回転する。これにより、駆動モータ25および29の負担を軽減させることができる。
また、マイクロコントローラ201は、動作させた駆動モータ25および29に対するイネーブル信号をアクティブにするといった比較的簡単な処理で駆動モータ25および29を制御することができる。
【0058】
ここで、搬送トレー11を図14の矢印Aの方向に搬送ユニット20-1から搬送ユニット20-2へ移動させる場合を例に、搬送システム100の動作について説明する。
搬送トレー11を図14の矢印Aの方向に搬送ユニット20-1から搬送ユニット20-2へ移動させる場合、マイクロコントローラ201は、イネーブル信号En1とEN2とを同時にアクティブにして駆動モータ25-1および25-2を同時に回転させる。
【0059】
このとき、搬送トレー11が距離L1だけ移動して、駆動歯車13-12に位置していた平面歯車12の先端が駆動歯車13-21にかかるまでの間に駆動モータ25-1および25-2の加速を完了させる。
駆動モータ25-1が既に定速回転しているときに、駆動モータ25-2を停止状態から起動させる場合、平面歯車12の先端が駆動歯車13-21にかかるまでの間に駆動モータ25-2の加速を完了させる。これにより、駆動モータ25-1と25-2との位相の同期をとることができる。
【0060】
平面歯車12の先端が駆動歯車13-21にかかった後は、制御装置200は、駆動モータ25-1と25-2との同期をとって定速回転させる。
平面歯車12の後端が駆動歯車13-12を通り過ぎた後、制御装置200は、駆動モータ25-1および25-2を減速させる。
このように、制御装置200が搬送トレー11を引き渡す側の搬送ユニット20-1と受けとる側の搬送ユニット20-2とを1つのセットとして、これらの駆動モータ25-1および25-2を同時に駆動することで、駆動歯車13-11、13-12、13-21および13-22の同期をとることができる。特に、駆動歯車13-12と13-21との同期をとることができ、搬送ユニット20-1と20-2との間で搬送トレー11の受け渡しをスムーズに行わせることができる。
【0061】
このように、平面歯車12の位置に応じた制御を行うために、平面歯車12の位置(または搬送トレー11の位置)を検出するためのセンサを設ける。かかるセンサとして光学式反射センサを用いるようにしてもよいが、特定の種類のセンサに限定されない。
光学式反射センサを用いる場合、例えば、搬送ユニット20の内部に上向きに、光学式反射センサの発光部と受光部とをペアで設置する。搬送トレー11が光学式反射センサにかかっている場合、発光部が発した光が搬送トレー11によって反射される。反射された光を受光部が受光することで、受光部に電流が流れる。
【0062】
一方、搬送トレー11が光学式反射センサにかかっていない場合、発光部が発した光は反射されず、受光部はこの光を受光しない。このため、受光部に電流が流れない。
このように、搬送トレー11の有無が受光部の電流の有無による電気信号に変換され、搬送トレー11の有無を検出することができる。
平面歯車12の位置を検出したい場合、搬送トレー11の底面に塗料を塗る等により、底面のうち平面歯車12の部分のみが光を反射するようにしてもよい。あるいは、光学式反射センサ等のセンサが搬送トレー11の位置を検出し、制御装置200が、搬送トレー11と平面歯車12との位置関係に基づいて平面歯車の位置を算出するようにしてもよい。
あるいは、センサを用いる方法に代えて制御装置200が、搬送トレー11の初期位置(または平面歯車12の初期位置)と、駆動モータ25および29の回転角度とに基づいて、搬送トレー11の現在位置(または平面歯車12の現在位置)を算出するようにしてもよい。
【0063】
搬送トレー11の位置(または平面歯車12の位置)を検出することで、制御装置200は、複数の搬送トレー11を衝突せずに移動させるように搬送ユニット20を制御することができる。
例えば、制御装置200は、2台の搬送ユニット20間で搬送トレー11の受け渡しを行わせる場合、受け取り側の搬送ユニット20に搬送トレー11(受け渡し対象の搬送トレー11とは別の搬送トレー11)があるか否かを判定する。受け取り側の搬送ユニット20に搬送トレー11が無いと判定した場合、制御装置200は、搬送トレー11の受け渡しを行わせる2台の搬送ユニット20を1つのセットとして同期して動作させ、搬送トレー11の受け渡しを行わせることができる。
一方、受け取り側の搬送ユニット20に搬送トレー11があると判定した場合、制御装置200は、搬送トレー11を引き渡す側の搬送ユニット20を停止させ、受け取り側の搬送ユニット20にある搬送トレー11を先に移動させる。これにより、搬送トレー11同士の衝突を防止することができる。
【0064】
次に、図16図29を参照して、制御装置200による搬送ユニット20の制御について、マイクロコントローラ201からの出力信号の例を示して説明する。
図16は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第1例を示す図である。
図16では、3台の搬送ユニット20が示されている。図16に向かって左側の搬送ユニット20から順にTBn、TBn+1、TBn+2の符号を付してこれらを区別する。
【0065】
図16では、搬送ユニットTBnと搬送ユニットTBn+1とを1つのセット(SET1)として、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1へ搬送トレー11を受け渡す場合の例を時系列で示している。図16の上側ほど過去の時間における状態を示している。
図16の一番上に示す状態では、搬送トレー11全体が搬送ユニットTBnの上に位置しており、搬送ユニットTBn+1にはかかっていない。
図16の上から2番目に示す状態では、平面歯車12の先端が、搬送ユニットTBn+1の駆動歯車13に到達している。
図16の上から3番目に示す状態では、平面歯車12の後端が、搬送ユニットTBnの駆動歯車13から外れている。
図16の一番下に示す状態では、搬送トレー11全体が搬送ユニットTBn+1上に位置しており、この受け渡しにおける目的の状態になっている。
【0066】
図16において、一番上に示す状態から、上から2番目に示す状態になるまでの時間をSTEP1と表記する。STEP1では、搬送ユニットTBnおよびTBn+1の両方の駆動モータ25を起動させ回転速度を上昇させる。
図16において、上から2番目に示す状態から、上から3番目に示す状態になるまでの時間をSTEP2と表記する。STEP2では、搬送ユニットTBnおよびTBn+1の両方の駆動モータ25を定速回転させる。
図16において、上から3番目に示す状態から、一番下に示す状態になるまでの時間をSTEP3と表記する。STEP3では、搬送ユニットTBnおよびTBn+1の両方の駆動モータ25を減速させ停止させる。
【0067】
図17は、図16の例におけるマイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図17のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。上記のように、このパルス数は、駆動モータの回転速度の指令値を示す。
「イネーブル信号(TBn、Mx)」は、搬送ユニットTBnの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。ここで、「Mx」は、回転方向がx軸方向の駆動モータを示す。ここでのx軸は、図2の矢印(イ)の方向であり、Mxは、駆動モータ25を示している。
「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。
【0068】
図17では、イネーブル信号(TBn、Mx)、イネーブル信号(TBn+1、Mx)共にSTEP1~STEP3でイネーブルになっている。これにより、搬送ユニットTBnの駆動モータ25と、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25とが1つのセットとして同期するように制御される。
STEP1では、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数が増加している。これにより、モータドライバIC203は、搬送ユニットTBn、TBn+1それぞれの駆動モータ25の回転速度を増加させる。
【0069】
STEP2では、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数が一定になっている。これにより、モータドライバIC203は、搬送ユニットTBn、TBn+1それぞれの駆動モータ25を定速回転させる。
STEP3では、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数が減少している。これにより、モータドライバIC203は、搬送ユニットTBn、TBn+1それぞれの駆動モータ25の回転速度を減少させる。
上記のように、制御装置200は、搬送ユニットTBn+1に搬送トレー11があるか否かを判定し、搬送トレー11が無いと判定した場合に、図16および図17の処理を行う。
【0070】
図18は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第2例を示す図である。
図18では、3台の搬送ユニット20が示されている。図16の場合と同じくTBn、TBn+1、TBn+2の符号を付してこれらを区別する。
図18では、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+2へ搬送トレー11を移動させる場合の例を示している。ここでは、搬送ユニットTBnと搬送ユニットTBn+1とを1つのセット(SET1)として搬送トレー11の受け渡しを行った後、搬送ユニットTBn+1と搬送ユニットTBn+2とを1つのセット(SET2)として搬送トレー11の受け渡しを行う。
【0071】
図19は、図18の例におけるマイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図19のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。「イネーブル信号(TBn、Mx)」は、搬送ユニットTBnの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。
【0072】
図19では、まず、搬送ユニットTBnおよびTBn+1を1つのセット(SET1)として、これら2つの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号をアクティブにして搬送トレー11の受け渡しを行っている。次に、搬送ユニットTBn+1およびTBn+2を1つのセット(SET2)として、これら2つの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号をアクティブにして搬送トレー11の受け渡しを行っている。それぞれの受け渡しでは、図17の場合と同様、STEP1で駆動モータ25を起動させて回転速度を増加させ、STEP1で駆動モータ25を定速回転させ、STEP3で駆動モータの回転速度を減少させた後停止させている。
【0073】
制御装置200は、搬送ユニットTBn+1に搬送トレー11があるか否かを判定し、搬送トレー11が無いと判定した場合に、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1への搬送トレー11の受け渡しを行う。その後、制御装置200は、搬送ユニットTBn+2に搬送トレー11があるか否かを判定し、搬送トレー11が無いと判定した場合に、搬送ユニットTBn+1から搬送ユニットTBn+2への搬送トレー11の受け渡しを行う。
【0074】
図20は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第3例を示す図である。
図20では、3台の搬送ユニット20(搬送ユニットTBn、TBn+1、TBn+2)が示されている点、および、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+2へ搬送トレー11を移動させる点で、図18の場合と同様である。
一方、図20は、搬送ユニットのセットの設定が図18の場合と異なる。図18では、搬送ユニットTBnおよびTBn+1、搬送ユニットTBn+1およびTBn+2それぞれを1つのセットとしている。これに対し、図20では、搬送ユニットTBn、TBn+1およびTBn+2の3台を1つのセット(SET1)としている。
【0075】
図21は、図20の例におけるマイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図21のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。「イネーブル信号(TBn、Mx)」は、搬送ユニットTBnの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。
【0076】
図21では、搬送ユニットTBn、TBn+1およびTBn+2を1つのセット(SET1)として、これら3つの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号をアクティブにして搬送トレー11の受け渡しを行っている。STEP1で、これら3つの駆動モータ25を起動して回転速度を増加させ、STEP2では定速回転させ、STEP3で回転速度を減少させ停止させている。
一連の動作で搬送トレー11は、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1を経由して搬送ユニットTBn+2に到達している。
制御装置200は、搬送ユニットTBn+1およびTBn+2に搬送トレー11があるか否かを判定し、いずれの搬送ユニット20にも搬送トレー11が無いと判定した場合に、図20および図21の処理を行う。
【0077】
図22は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第4例を示す図である。
図22では、3台の搬送ユニット20(搬送ユニットTBn、TBn+1、TBn+2)が示されている点、および、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1へ搬送トレー11を受け渡す点で、図16の場合と同様である。また、STEP1、STEP2およびSTEP3も図16の場合と同様である。
【0078】
一方、図22では、さらに搬送ユニットTBn+1から搬送ユニットTBn+2へ搬送トレー11を受け渡す点で、図16の場合と異なる。搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1へ受け渡す搬送トレー11に符号P1を付し、搬送ユニットTBn+1から搬送ユニットTBn+2へ受け渡す搬送トレー11に符号P2を付して両者を区別する。また、搬送トレーP1の受け渡しに係る搬送ユニットTBnおよびTBn+1を1つのセット(SET1)とし、搬送トレーP2の受け渡しに係る搬送ユニットTBn+1およびTBn+2をもう1つのセット(SET2)とする。
【0079】
図23は、図22の例におけるマイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図23のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。「イネーブル信号(TBn、Mx)」は、搬送ユニットTBnの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。
【0080】
図23では、搬送ユニットTBn、TBn+1およびTBn+2の3つの駆動モータ25の制御用のイネーブル信号をアクティブにして、2つの搬送トレー11の受け渡しを同時に行っている。パルス信号STEP(パルス信号)の出力は、図17の場合と同様である。
3台の搬送ユニット、2つの搬送トレーがそれぞれ同じ仕様であり、2つの搬送トレーを同じ速度で移動させれば、平面歯車12の先端が駆動歯車13にかかるタイミング、および、平面歯車12の後端が駆動歯車13から外れるタイミングも同じになる。従って、搬送トレーP1の受け渡しにおけるSTEP1~STEP3のタイミングは、搬送トレーP2の受け渡しにおいても同じになる。
制御装置200は、搬送ユニットTBn+2に搬送トレー11があるか否かを判定し、搬送トレー11が無いと判定した場合に、図22および図23の処理を行う。
【0081】
図24は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第5例を示す図である。図24では、搬送トレー11がレーンのコーナーに到達した場合に方向転換させる処理の例を示している。
図24では、5台の搬送ユニット20が示されている。上側の3台の搬送ユニット20には、図22の場合と同様にTBn、TBn+1、TBn+2の符号を付してこれらを区別する。また、下側の2台の搬送ユニット20には、右から順にTBn+3、TBn+4の符号を付してこれらを区別する。また、2つの搬送トレーには、符号P1、P2を付してこれらを区別する。
【0082】
図24では、搬送ユニット20間での搬送トレー11の受け渡しの例を時系列で示している。図24の上側ほど過去の時間における状態を示している。
図24の一番上に示す状態では、搬送ユニットTBnに搬送トレーP1が位置し、搬送ユニットTBn+1に搬送トレーP2が位置している。この状態から、搬送ユニットTBnから搬送ユニットTBn+1に搬送トレーP1を受け渡し、搬送ユニットTBn+1から搬送ユニットTBn+2に搬送トレーP1を受け渡して、図24の上から2番目に示す状態になっている。これらの受け渡しでは、搬送ユニットTBnとTBn+1とを1つのセット(SET1)とし、搬送ユニットTBn+1とTBn+2とを1つのセット(SET2)としている。これらの受け渡しは、図22の場合と同様である。
【0083】
図24の上から2番目に示す状態では、搬送ユニットTBn+1に搬送トレーP1が位置し、搬送ユニットTBn+2に搬送トレーP2が位置している。この状態から、搬送ユニットTBn+2から搬送ユニットTBn+3に搬送トレーP2を受け渡して上から3番目の状態になっている。この受け渡しでは、搬送ユニットTBn+2とTBn+3とを1つのセット(SET3)としている。
【0084】
図24の上から3番目に示す状態では、搬送ユニットTBn+1に搬送トレーP1が位置し、搬送ユニットTBn+3に搬送トレーP2が位置している。この状態から、搬送ユニットTBn+1から搬送ユニットTBn+2に搬送トレーP1を受け渡し、搬送ユニットTBn+3から搬送ユニットTBn+4に搬送トレーP2を受け渡して一番下に示す状態なっている。この受け渡しでは、搬送ユニットTBn+1とTBn+2とを1つのセット(SET4)とし、搬送ユニットTBn+3とTBn+4とを1つのセット(SET5)としている。
図24の一番下に示す状態では、搬送ユニットTBn+2に搬送トレーP1が位置し、搬送ユニットTBn+4に搬送トレーP2が位置している。
【0085】
図25は、図24の例で一番上に示す状態から、上から2番目に示す状態への変化で、マイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図25のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」、「イネーブル信号(TBn、Mx)」、「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」、および、「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、図23の場合と同様である。
【0086】
図25では、さらに、駆動モータの回転方向が示されている。「回転方向(TBn、Mx)」は、搬送ユニットTBnの駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の回転方向を示す。
駆動モータの回転方向は2値で示され、値が高(High)の場合がプラス(+)方向、低(Low)の場合がマイナス(-)方向である。図25図27では、プラス方向は、図24に示すプラス方向に搬送トレー11を移動させる回転方向である。マイナス方向は、図24に示すマイナス方向に搬送トレー11を移動させる回転方向である。
図25の例では、3つの駆動モータの何れもプラス方向の回転となっている。この点も、図23の場合と同様である。
【0087】
図26は、図24の例で上から2番目に示す状態から、上から3番目に示す状態への変化で、マイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図26のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。図26でも、STEP1で駆動モータを起動させて回転数を増加させ、STEP2で駆動モータを定速回転させ、STEP3で駆動モータの回転数を減少させて停止させている。
【0088】
「イネーブル信号(TBn+2、My)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。ここで、「My」は、回転方向がy軸方向の駆動モータを示す。ここでのy軸は、図2の矢印(ロ)の方向であり、Myは、駆動モータ29を示している。
「イネーブル信号(TBn+3、My)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。
「回転方向(TBn+2、My)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ29の回転方向を示す。「回転方向(TBn+3、My)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ29の回転方向を示す。これらの回転方向は、図24での搬送トレーP2の移動方向に応じてマイナス方向となっている。
【0089】
図27は、図24の例で上から3番目に示す状態から、一番下に示す状態への変化で、マイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図27のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。図27でも、STEP1で駆動モータを起動させて回転数を増加させ、STEP2で駆動モータを定速回転させ、STEP3で駆動モータの回転数を減少させて停止させている。
【0090】
「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+3、Mx)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+4、Mx)」は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。これらのイネーブル信号は、STEP1からSTEP3までの間アクティブになっている。
【0091】
回転方向(TBn+1、Mx)は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の回転方向を示す。回転方向(TBn+2、Mx)は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の回転方向を示す。これらの回転方向は、図24での搬送トレーP1の移動方向に応じてプラスになっている。
回転方向(TBn+3、Mx)は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ25の回転方向を示す。回転方向(TBn+4、Mx)は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ25の回転方向を示す。これらの回転方向は、図24での搬送トレーP2の移動方向に応じてマイナスになっている。
【0092】
図28は、搬送ユニット20間の搬送トレー11の受け渡しの第6例を示す図である。
図28でも、図24の場合と同様、5台の搬送ユニット20(搬送ユニットTBn、TBn+1、TBn+2、TBn+3およびTBn+4)と、2つの搬送トレー11(搬送トレーP1およびP2)が示されている。
図28では、搬送トレーP1は移動させず、搬送トレーP2を搬送ユニットTBn+4から搬送ユニットTBn+2へ斜めに移動させている。搬送ユニットTBn+1、TBn+2、TBn+3およびTBn+4を1つのセット(SET1)として、この移動を行っている。
【0093】
図29は、図28の例におけるマイクロコントローラ201からの出力信号の例を示す図である。図29のグラフの横軸は時間を示す。
「パルス数」は、パルス信号STEPにおける単位時間当たりのパルス数を示す。図29でも、STEP1で駆動モータを起動させて回転数を増加させ、STEP2で駆動モータを定速回転させ、STEP3で駆動モータの回転数を減少させて停止させている。
【0094】
「イネーブル信号(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+1、My)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+2、My)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+3、Mx)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+3、My)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+4、Mx)」は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ25の制御用のイネーブル信号の値を示す。「イネーブル信号(TBn+4、My)」は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ29の制御用のイネーブル信号の値を示す。
搬送ユニットTBn+1~TBn+4を1つのセットにして、搬送トレーP2を斜めに移動させることから、マイクロコントローラ201は、これら4つの搬送ユニット20の駆動モータ25および29のいずれについても、イネーブル信号をアクティブにしている。
【0095】
「回転方向(TBn+1、Mx)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+1、My)」は、搬送ユニットTBn+1の駆動モータ29の回転方向を示す。「回転方向(TBn+2、Mx)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+2、My)」は、搬送ユニットTBn+2の駆動モータ29の回転方向を示す。「回転方向(TBn+3、Mx)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+3、My)」は、搬送ユニットTBn+3の駆動モータ29の回転方向を示す。「回転方向(TBn+4、Mx)」は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ25の回転方向を示す。「回転方向(TBn+4、My)」は、搬送ユニットTBn+4の駆動モータ29の回転方向を示す。
図28で、搬送トレーP2をX軸、Y軸のいずれについてもプラス方向に移動させることから、これらの回転方向はいずれもプラスとなっている。
【0096】
以上のように、搬送トレー11の底面に歯を下向きに平面歯車12が設けられている。駆動歯車13および14は、平面歯車12と噛み合ってそれぞれ動力を伝達する。また、駆動歯車13と14とは、互いに回転方向が異なる。また、搬送ユニット20は、駆動歯車13の回転方向および駆動歯車14の回転方向のうち少なくとも何れかに複数個並べて配置されている。
【0097】
これにより、搬送システム100では、搬送ユニット20の組合せによって物品を搬送する範囲を設定および変更することができる。また、搬送ユニット20単位で動作と停止とを切り替えることができるので、物品を搬送するタイミングを制御し易い。例えば、複数の物品を搬送する際、搬送ユニット20単位で動作と停止とを切り替えて、複数の物品が衝突しないように、搬送の順序およびタイミングを制御することができる。
このように、搬送システム100によれば、物品を搬送する方向だけでなく、物品を搬送する範囲および搬送するタイミングにも柔軟性を持たせることができる。
【0098】
また、制御装置200は、複数の搬送ユニット20のうち、隣り合う2つの搬送ユニット20における搬送トレー11の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、当該2つの搬送ユニット20それぞれの駆動歯車13および14の回転を制御する。
この制御は、隣り合う2つの搬送ユニット20で、駆動歯車13の回転速度、駆動歯車14の回転速度のそれぞれを同じにするといった比較的簡単な制御で実行可能である。
このように、搬送システム100によれば、搬送ユニット20の制御が比較的簡単であり、この点で、制御装置200の負荷が小さくて済む。
【0099】
また、制御装置200は、駆動歯車13の回転方向に搬送ユニット20が複数並べて配置された組み合わせが、駆動歯車14の回転方向に複数並べて配置された組み合わせの、各搬送ユニット20における搬送トレー11の搬送方向および速度が同一の搬送方向および速度となるように、各搬送ユニット20の駆動歯車13および駆動歯車14の回転を制御する。
このように、搬送システム100では、駆動歯車13の回転方向、駆動歯車14の回転方向それぞれに複数の搬送ユニット20を1つのセットとして同じ搬送方向および速度となるように制御することで、搬送トレー11を斜め方向に移動させることができる。
【0100】
また、制御装置200は、各搬送ユニット20の駆動歯車13の回転速度と駆動歯車14の回転速度とを同じ回転速度に制御する
これにより、搬送トレー11を、駆動歯車13の回転方向、駆動歯車14の回転方向それぞれに対して斜め45度に搬送トレー11を移動させることができる。
【0101】
次に、図30および図31を参照して本発明の最小構成について説明する。
図30は、本発明に係る搬送システムの最小構成の例を示す図である。図30に示す搬送システム500は、被駆動体510と、複数の搬送ユニット520とを備える。被駆動体510は、二次元ラックギア511を備える。搬送ユニット520の各々は、第1ピニオンギア521および第2ピニオンギア522を備える。
【0102】
かかる構成にて、二次元ラックギア511は、被駆動体510の底面に歯を下向きに設けられている。第1ピニオンギア521および第2ピニオンギア522は、二次元ラックギア511と噛み合ってそれぞれ動力を伝達する。また、第1ピニオンギアと第2ピニオンギアとは、互いに回転方向が異なる。搬送ユニット520は、第1ピニオンギア521による搬送方向および第2ピニオンギア522による搬送方向のうち少なくとも何れかに複数個並べて配置されている。
【0103】
これにより、搬送システム500では、搬送ユニット520の組合せによって物品を搬送する範囲を設定および変更することができる。また、搬送ユニット520単位で動作と停止とを切り替えることができるので、物品を搬送するタイミングを制御し易い。このように、搬送システム500によれば、物品を搬送する方向だけでなく、物品を搬送する範囲および搬送するタイミングにも柔軟性を持たせることができる。
【0104】
図31は、本発明に係る制御装置の最小構成の例を示す図である。図31では、制御装置600が示されている。
【0105】
制御装置600は、被駆動体の底面に歯を下向きに設けられた二次元ラックギアと噛み合ってそれぞれ動力を伝達し、互いに回転方向が異なる第1ピニオンギアおよび第2ピニオンギアを備える搬送ユニットであって、第1ピニオンギアによる搬送方向および第2ピニオンギアによる搬送方向のうち少なくとも何れかに複数個並べて配置された搬送ユニットのうち、隣り合う2つの搬送ユニットにおける被駆動体の搬送方向が同一の搬送方向となるように、当該2つの搬送ユニットそれぞれの前記第1ピニオンギアおよび前記第2ピニオンギアの回転を制御する。
制御装置600の制御によれば、搬送ユニットの組合せによって物品を搬送する範囲を設定および変更することができる。また、搬送ユニット単位で動作と停止とを切り替えることができるので、物品を搬送するタイミングを制御し易い。このように、搬送システムによれば、物品を搬送する方向だけでなく、物品を搬送する範囲および搬送するタイミングにも柔軟性を持たせることができる。
【0106】
なお、制御装置200が行う処理の全部または一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0107】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0108】
11 搬送トレー
12 平面歯車
13、14 駆動歯車
20 搬送ユニット
25、29 駆動モータ
100 搬送システム
101 駆動装置
200 制御装置
201 マイクロコントローラ
202 AND回路
203 モータドライバIC
300 上位システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31