(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】大口径ズームレンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
G02B15/20
(21)【出願番号】P 2018082481
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】村上 仁
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-162564(JP,A)
【文献】特開2003-90958(JP,A)
【文献】特開2014-35480(JP,A)
【文献】特開2013-221976(JP,A)
【文献】特開2016-12119(JP,A)
【文献】特開2009-156893(JP,A)
【文献】特開2009-198656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も物体側に、正の屈折力を有する
第1レンズ群L1を有し、
正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、
負の屈折力を有する
第3レンズ群L
3と、
正の屈折力を有する
第4レンズ群L
4と、
正の屈折力を有する
第5レンズ群L
5からなり、
開口絞りSを前記
第5レンズ群L
5の近傍に配置し、
前記第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmA、負の屈折力を有するレンズ群LmB、正の屈折力を有するレンズ群LmCから構成され、
前記レンズ群LmBを光軸に対し略垂直方向に移動することで、像を光軸に対して垂直方向に移動させ、
広角端から望遠端への変倍に際して前記
第1レンズ群L1と
第5レンズ群L
5は像面
Iに対し固定であり、
前記第2レンズ群L2、前記
第3レンズ群L
3、
及び、前記
第4レンズ群L
4は、それぞれ隣接するレンズ群との光軸方向の間隔が変化
し、以下の条件を満足することを特徴とする大口径ズームレンズ。
(2) Δν>39
Δν:νn-νp
ただし、
νn:前記第3レンズ群L3に使用されている負レンズのアッベ数の平均値
νp:前記第3レンズ群L3に使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【請求項2】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の大口径ズームレンズ。
(1) 0.7<f1/fT<1.5
ただし、
f1:前記第1レンズ群L1の焦点距離
fT:全系の望遠端での焦点距離
【請求項3】
前記第3レンズ群L3は、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも3枚の負レンズで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の大口径ズームレンズ。
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の大口径ズームレンズ。
(3) 4.0<|fT/fn|<8.0
ただし、
fn:前記第3レンズ群L3の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の大口径ズームレンズ。
(4) ΔPgF_np>0.015
(5) ΔPgF_nn>0.005
ただし、
ΔPgF_np:前記第3レンズ群L3に使用されている正レンズの異常分散性の平均値
ΔPgF_nn:前記第3レンズ群L3に使用されている負レンズの異常分散性の平均値
ΔPgF_np_i=PgF_np_i―0.64833+0.00180×νd_i:
前記第3レンズ群L3に使用されているi番目の正レンズのうち、g線、F線間での異常分散性
ΔPgF_nn_j=PgF_np_j―0.64833+0.00180×νd_j:
前記第3レンズ群L3に使用されているj番目の負レンズのうち、g線、F線間での異常分散性
PgF_np_i:上記i番目の正レンズのg線、F線間における部分分散比
PgF_np_j:上記j番目の負レンズのg線、F線間における部分分散比
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の大口径ズームレンズ。
(6) νmAp>58
ただし、
νmAp:前記レンズ群LmAに使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【請求項7】
前記第2レンズ群L2は光軸方向に移動することでフォーカシングを行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の大口径ズームレンズ。
【請求項8】
前記第2レンズ群L2は広角端から望遠端状態への変倍時に像側へ移動することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の大口径ズームレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル一眼レフカメラ等に好適なズームレンズ及びズームレンズを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの画素数の増加や画素の高密度化が進んでおり、高い光学性能を有するズームレンズが望まれている。
【0003】
特に高い空間周波数まで解像するためには、色収差の低減が望まれている。しかし、一般にズーム比が大きい、あるいは大口径比の場合、変倍時の色収差の変動を抑えるのが困難になるという側面がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-19398号公報
【文献】特開平7-294816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、所謂4群アフォーカルズームレンズにおいて、変倍時固定の第1レンズ群を前群と後群に分割し、後群を合焦レンズ群として光軸方向に移動する方式が開示されている。
【0006】
しかし、上述した光学系では、合焦レンズ群の有効径が大きいため、合焦レンズ群の重量が大きくなりやすく、合焦動作のレスポンスが遅くなるという欠点があった。また、前群と後群の間隔は望遠端での移動量で決まるため、広角端ではデッドスペースとなる。そのため、光学系の全長が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、光学性能の面からも、前群と後群の間隔が離れていることで倍率色収差が発生しやすく、特に広角端での倍率色収差の補正が十分でない。
【0008】
特許文献2では、変倍時の軸上色収差の補正が十分でない。
【0009】
本発明は、変倍時の収差変動を小さくして良好な光学性能を得ることが可能で、ズーム比3倍程度、望遠端の焦点距離が200mm程度の、防振機能を有する大口径望遠ズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するための第1の発明は、最も物体側に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1を有し、正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、負の屈折力を有する第3レンズ群L3と、正の屈折力を有する第4レンズ群L4と、正の屈折力を有する第5レンズ群L5からなり、開口絞りSを前記第5レンズ群L5の近傍に配置し、前記第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmA、負の屈折力を有するレンズ群LmB、正の屈折力を有するレンズ群LmCから構成され、前記レンズ群LmBを光軸に対し略垂直方向に移動することで、像を光軸に対して垂直方向に移動させ、広角端から望遠端への変倍に際して前記第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は像面Iに対し固定であり、前記第2レンズ群L2、前記第3レンズ群L3、及び、前記第4レンズ群L4は、それぞれ隣接するレンズ群との光軸方向の間隔が変化し、以下の条件を満足することを特徴とする大口径ズームレンズ。
(2) Δν>39
Δν:νn-νp
ただし、
νn:前記第3レンズ群L3に使用されている負レンズのアッベ数の平均値
νp:前記第3レンズ群L3に使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【0011】
第2の発明は、以下の条件式を満足することを特徴とする第1の発明に記載された大口径ズームレンズ。
(1) 0.7<f1/fT<1.5
ただし、
f1:前記第1レンズ群L1の焦点距離
fT:全系の望遠端での焦点距離
【0012】
第3の発明は、前記第3レンズ群L3は、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも3枚の負レンズで構成されることを特徴とする第1の発明または第2の発明のいずれかに記載された大口径ズームレンズ
【0013】
第4の発明はさらに、以下の条件式を満足することを特徴とする第1の発明乃至第3の発明のいずれかに記載の大口径ズームレンズ。
(3) 4.0<|fT/fn|<8.0
ただし、
fn:前記第3レンズ群L3の焦点距離
【0014】
第5の発明は、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする第1の発明乃至第4の発明のいずれかに記載の大口径ズームレンズ。
(4) ΔPgF_np>0.015
(5) ΔPgF_nn>0.005
ただし、
ΔPgF_np:前記第3レンズ群L3に使用されている正レンズの異常分散性の平均値
ΔPgF_nn:前記第3レンズ群L3に使用されている負レンズの異常分散性の平均値
ΔPgF_np_i=PgF_np_i―0.64833+0.00180×νd_i:
前記第3レンズ群L3に使用されているi番目の正レンズのうち、g線、F線間での異常分散性
ΔPgF_nn_j=PgF_np_j―0.64833+0.00180×νd_j:
前記第3レンズ群L3に使用されているj番目の負レンズのうち、g線、F線間での異常分散性
PgF_np_i:上記i番目の正レンズのg線、F線間における部分分散比
PgF_np_j:上記j番目の負レンズのg線、F線間における部分分散比
【0015】
第6の発明は、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする第1の発明乃至第5の発明のいずれかに記載の大口径ズームレンズ。
(6) νmAp>58
ただし、
νmAp:前記レンズ群LmAに使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【0016】
第7の発明は、前記第2レンズ群L2は光軸方向に移動することでフォーカシングを行うことを特徴とする第1の発明乃至第6の発明のいずれかに記載の大口径ズームレンズ。
【0017】
第8の発明は、前記第2レンズ群L2は広角端から望遠端状態への変倍時に像側へ移動することを特徴とする第1の発明乃至第7の発明のいずれかに記載の大口径ズームレンズ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のズームレンズの実施例1に係る広角端のレンズ構成図である。
【
図3】実施例1のズーム中間域無限遠の縦収差図である。
【
図6】実施例1のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図8】実施例1の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の広角端無限遠の横収差図である。
【
図9】実施例1の防振時に振れ角度0.3°を補正した際のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図10】実施例1の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図11】本発明のズームレンズの実施例2に係る広角端のレンズ構成図である。
【
図12】実施例2の広角端無限遠の縦収差図である。
【
図13】実施例2のズーム中間域無限遠の縦収差図である。
【
図14】実施例2の望遠端無限遠の縦収差図である。
【
図15】実施例2の広角端無限遠の横収差図である。
【
図16】実施例2のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図17】実施例2の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図18】実施例2の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の広角端無限遠の横収差図である。
【
図19】実施例2の防振時に振れ角度0.3°を補正した際のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図20】実施例2の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図21】本発明の実施例3に係る広角端のレンズ構成図である。
【
図22】実施例3の広角端無限遠の縦収差図である。
【
図23】実施例3のズーム中間域無限遠の縦収差図である。
【
図24】実施例3の望遠端無限遠の縦収差図である。
【
図25】実施例3の広角端無限遠の横収差図である。
【
図26】実施例3のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図27】実施例3の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図28】実施例3の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の広角端無限遠の横収差図である。
【
図29】実施例3の防振時に振れ角度0.3°を補正した際のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図30】実施例3の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図31】本発明のズームレンズの実施例4に係る広角端のレンズ構成図である。
【
図32】実施例4の広角端無限遠の縦収差図である。
【
図33】実施例4のズーム中間域無限遠の縦収差図である。
【
図34】実施例4の望遠端無限遠の縦収差図である。
【
図35】実施例4の広角端無限遠の横収差図である。
【
図36】実施例4のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図37】実施例4の望遠端無限遠の横収差図である。
【
図38】実施例4の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の広角端無限遠の横収差図である。
【
図39】実施例4の防振時に振れ角度0.3°を補正した際のズーム中間域無限遠の横収差図である。
【
図40】実施例4の防振時に振れ角度0.3°を補正した際の望遠端無限遠の横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以降の記載は、レンズ群L1は第1レンズ群L1と、レンズ群L2は第2レンズ群L2と、レンズ群Lnは第3レンズ群L3と、レンズ群Lpは第4レンズ群L4と、レンズ群Lmは第5レンズ群L5とそれぞれ読み替えるものとする。
最も物体側に、正の屈折力を有するレンズ群L1を有し、
前記レンズ群L1の像側に負の屈折力を有するレンズ群Lnを有し、
前記レンズ群Lnの像側に正の屈折力を有するレンズ群Lpを有し、
最も像側に正の屈折力を有するレンズ群Lmを有し、
開口絞りSを前記レンズ群Lmの近傍に配置し、
広角端から望遠端への変倍に際して前記レンズ群L1とレンズ群Lmは像面に対し固定であり、前記レンズ群Ln、前記レンズ群Lpは、それぞれ隣接するレンズ群との光軸方向の間隔が変化することを特徴とする大口径ズームレンズ。
【0022】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに前記レンズ群Lmは、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmA、負の屈折力を有するレンズ群LmB、正の屈折力を有するレンズ群LmCから構成され、前記レンズ群LmBを光軸に対し略垂直方向に移動することで、像を光軸に対して垂直方向に移動させることを特徴としている。
【0023】
レンズ群Lmは変倍時に固定であるため、複雑な機構を要することなく防振機構を入れることができる。また、光線高が小さくなるレンズ群LmBを防振群とすることで、防振機構の小型化を図ることができる。
【0024】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
(1) 0.7<f1/fT<1.5
f1:前記レンズ群L1の焦点距離
fT:全系の望遠端での焦点距離
【0025】
条件式(1)は、レンズ群L1と全系の望遠端での焦点距離の比を規定している。
【0026】
条件式(1)の上限を超え、レンズ群L1の屈折力が弱くなると、レンズ群L1から射出する光線高が大きくなる。このため、レンズ群L1よりも像側に位置するレンズの径が大きくなり、結果としてレンズ径の巨大化を招き好ましくない。
【0027】
条件式(1)の下限を超え、レンズ群L1の屈折力が強くなると、特に望遠端での球面収差やコマ収差の発生を抑えるのが困難となる。
【0028】
なお、上述した条件式(1)の数値範囲については、その上限値を1.2、その下限値を0.9に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0029】
本発明の大口径ズームレンズはさらに、レンズ群Lnは、少なくとも1枚の正レンズと、少なくとも3枚の負レンズで構成されることを特徴としている。
【0030】
本発明において、レンズ群Lnは変倍に際して光軸上を移動し、前後のレンズ群との間隔が変化する。従って変倍時の軸上色収差、倍率色収差の変動を抑制するには、正レンズと負レンズを用いて色消しする必要がある。
【0031】
また、レンズ群Lnは全体として負の屈折力を有する。従ってレンズ群Lnに用いられる負レンズの枚数が多いほど各負レンズの屈折力を緩くすることができ、各負レンズで発生する諸収差を抑制することができる。本発明における大口径ズームレンズでは、レンズ群Lnが2枚以下の負レンズで構成されている場合、諸収差の抑制が困難となる。
【0032】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
(2) Δν>39
Δν:νn-νp
ただし、
νn:前記レンズ群Lnに使用されている負レンズのアッベ数の平均値
νp:前記レンズ群Lnに使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【0033】
条件式(2)は、レンズ群Lnに使用される負レンズの硝材のアッベ数と、正レンズの硝材のアッベ数の差を規定している。
【0034】
一般にあるレンズ群において、負レンズに使われている硝材のアッベ数と、正レンズに使われている硝材のアッベ数の差が大きいほど、各々のレンズの屈折力を弱くできるため、その群の色消し条件としては良い。
【0035】
条件式(2)の下限値を超え、レンズ群Lnに使用されている正レンズのアッベ数の平均値が小さくなると、レンズ群Lnで発生する倍率色収差を抑えるのが困難となり、特に広角端と望遠端での倍率色収差の変動を抑制するのが困難となる。また、望遠端での軸上色収差を抑制するのが困難となる。
【0036】
なお、上述した条件式(2)の数値範囲については、その下限値をさらに41に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0037】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
(3) 4.0<|fT/fn|<8.0
fn:前記レンズ群Lnの焦点距離
【0038】
条件式(3)は、全系の望遠端での屈折力と、レンズ群Lnの屈折力の比を規定している。
【0039】
変倍時の収差変動を抑えるためには、変倍時に可動の群の屈折力を小さくすることが望ましい。本発明で示す大口径ズームレンズにおいては、変倍作用の殆どをレンズ群Lnが担っており、従ってレンズ群Lnの屈折力を小さくするのが変倍時の収差変動を抑えるのに効果的である。しかし、レンズ群Lnの屈折力を小さくしすぎると、レンズ群Lnの移動量が大きくなり、全系の全長が大きくなる。
【0040】
条件式(3)の下限を超え、レンズ群Lnの屈折力が小さくなると、全系の全長が大きくなりすぎる。
【0041】
条件式(3)の上限を超え、レンズ群Lnの屈折力が大きくなると、レンズ群Lnで諸収差が十分に補正できなくなる。
【0042】
なお、上述した条件式(3)の数値範囲については、その上限値をさらに6.6、下限値をさらに5.0に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0043】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
(4) ΔPgF_np>0.015
(5) ΔPgF_nn>0.005
ΔPgF_np:前記レンズ群Lnに使用されている正レンズの異常分散性の平均値
ΔPgF_nn:前記レンズ群Lnに使用されている負レンズの異常分散性の平均値
【0044】
条件式(4)と条件式(5)はレンズ群Lnに含まれる正レンズと負レンズの異常分散性について規定したものである。
【0045】
変倍時にわたって高い空間周波数成分まで解像するには、バリエータ部での軸上色収差および倍率色収差の補正が求められる。1次スペクトルを補正するためには、条件式(2)に見られるようにバリエータ部で使用される正レンズと負レンズのアッベ数の差を大きくするとよい。しかし、現存する硝材では、負レンズに使用されるアッベ数の大きい低分散硝材は大きな異常分散性をもつ傾向があり、負レンズによる2次スペクトルの補正が過剰となる。そこで、正レンズにも異常分散性の大きな硝材を使用することで、バリエータ部での2次スペクトルを効果的に補正することが可能となる。
【0046】
なお、上述した条件式(4)の数値範囲については、その下限値をさらに0.02に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0047】
なお、上述した条件式(5)の数値範囲については、その下限値をさらに0.008に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0048】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする。
(6) νmAp>58
νmAp:前記レンズ群LmAに使用されている正レンズのアッベ数の平均値
【0049】
条件式(6)はレンズ群LmAに含まれる正レンズのアッベ数の平均値を規定したものである。
【0050】
本発明における大口径ズームレンズでは、広角端での軸上光線の有効光線径はリレーレンズ部の先頭付近において最大となる。従って広角端での軸上色収差を補正するためには、リレーレンズ部での色消しが必須となる。
【0051】
条件式(6)の下限を超え、レンズ群LmAに使用されている正レンズのアッベ数の平均値が小さくなると、リレーレンズ部での色消しが不足となり、広角端での軸上色収差を十分に補正できなくなる。
【0052】
なお、上述した条件式(6)の数値範囲については、その下限値をさらに62に規定することで、前述の効果をさらに確実にすることができる。
【0053】
本発明の大口径ズームレンズは、さらにレンズ群L1とレンズ群Lnの間に正の屈折力を有するレンズ群L2を有し、レンズ群L2は光軸方向に移動することでフォーカシングを行うことを特徴としている。
【0054】
前記レンズ群L2でフォーカシングを行うことで、フォーカシング時に全長が固定の所謂インナーフォーカス方式となり、前玉繰り出し方式に比べ、フォーカシングに係る機構の大型化を避けることが可能となる。また、前記レンズ群L2より後ろの群でフォーカシングを行う場合に比べて、同一物体距離に対してフォーカシングを行った際の変倍時の物点の位置変動を小さくできるため、カム形状の複雑化を避けることが可能となる。
【0055】
本発明の大口径ズームレンズは、さらに前記レンズ群L2は広角端から望遠端状態への変倍時に像側へ移動することを特徴としている。
【0056】
前記レンズ群L2と前記レンズ群L1との間隔が変倍時に変化することにより、特に非点収差を効果的に補正することが可能となる。また、正の屈折力を有する前記レンズ群L1に対し、望遠端状態で前記レンズ群L2が像側に移動することで、レンズ群L2の径を下げることが可能となる。これにより、フォーカス群である前記レンズ群L2の重量を小さくすることが可能となるため、迅速なフォーカシングが可能となる。
【0057】
なお、以降に示す説明および実施例では、レンズ群Lnをレンズ群L3、レンズ群Lpをレンズ群L4、レンズ群Lmをレンズ群L5とする5群構成として示したが、本発明における構成条件は6群、7群等の他の群構成にも適用可能である。具体的には、レンズ群Lnの前に正または負のレンズ群を少なくとも1つ配置する構成や、レンズ群Lpの前あるいは後ろに、正または負のレンズ群を少なくとも1つ配置する構成が挙げられる。
【0058】
次に、本発明の防振機構を有する大口径望遠ズームレンズに係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【0059】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面または開口絞りの番号、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数、ΔPgFはg、F線間における異常分散性を示している。
【0060】
BFはバックフォーカスを表している。
【0061】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面または開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0062】
[各種データ]には、無限遠合焦時における焦点距離等の値を示している。
【0063】
[可変間隔データ]には、各撮影距離状態における可変間隔及びBFの値を示している。
【0064】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側のレンズ面番号及びレンズ群全体の合成焦点距離を示している。
【0065】
尚、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同様の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【実施例1】
【0066】
実施例1の防振機能を有する大口径望遠ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1と、正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、負の屈折力を有する第3レンズ群L3と、正の屈折力を有する第4レンズ群L4と、正の屈折力を有する第5レンズ群L5からなる。また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は像面Iに対して固定であり、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔は増大し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔は増大し、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間隔は減少し、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の間隔は減少する。
【0067】
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際、第2レンズ群L2が像面側から物体側へ移動する。
【0068】
第1レンズ群L1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0069】
第2レンズ群L2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0070】
第3レンズ群L3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凹レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、両凹レンズからなる。
【0071】
第4レンズ群L4は、物体側から順に、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズからなる。
【0072】
第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmAと、負の屈折力を有するLmBと、正の屈折力を有するレンズ群LmCからなり、さらに、レンズ群LmAは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズからなり、レンズ群LmBは、像側に凸面を向けた平凸レンズと両凹レンズの接合レンズ、両凹レンズからなり、レンズ群LmCは、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズからなる。また、レンズ群LmBを光軸に対して略垂直方向の成分を持つように移動させることにより像位置補正を行う。また、開口絞りSは第5レンズ群L5の物体側に隣接して配置される。
【0073】
続いて、以下に実施例1に係る大口径ズームレンズの諸元値を示す。
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd ΔPgF
物面 ∞ (d0)
1 189.5296 2.0000 1.78590 43.93
2 100.9070 1.3304
3 103.0233 10.1269 1.43700 95.10
4 -327.2569 0.1500
5 81.0207 5.9581 1.43700 95.10
6 187.7830 (d6)
7 68.6936 1.6000 1.75520 27.53
8 53.0482 0.7682
9 58.6058 7.4703 1.59282 68.62
10 933.7963 (d10)
11 478.2971 1.0000 1.72916 54.67 -0.0047
12 33.2505 7.2491
13 -62.0546 1.0000 1.43700 95.10 0.0563
14 133.6832 1.1541
15 56.2816 2.7126 1.92286 20.88 0.0281
16 124.4795 3.9677
17 -57.3323 1.0000 1.43700 95.10 0.0563
18 323.9148 (d18)
19 179.0055 3.9667 1.87070 40.73
20 -93.9880 1.2422
21 -56.4251 1.0000 1.56732 42.84
22 -110.5373 (d22)
23(絞り) ∞ 1.5000
24 60.7197 2.8283 1.43700 95.10
25 140.0000 0.1500
26 59.5018 3.6822 1.43700 95.10
27 375.3464 2.3217
28 -86.9665 1.0000 1.72047 34.71
29 534.9858 7.1945
30 63.7871 7.6637 1.88300 40.80
31 -549.6994 0.3000
32 53.8860 1.0000 2.05090 26.94
33 26.7000 10.8148 1.43700 95.10
34 -81.7858 4.7579
35 ∞ 2.0493 1.92286 20.88
36 -96.9155 0.9000 1.72916 54.67
37 125.9923 0.8691
38 -667.7643 0.9000 1.67300 38.26
39 41.4092 4.3002
40 85.0000 6.5016 1.49700 81.61
41 -156.1920 4.9073
42 -28.2901 1.2000 1.49700 81.61
43 -87.5663 0.1500
44 127.2076 4.6605 1.76385 48.49
45 -84.0983 (BF)
[各種データ]
ズーム比 2.70
広角 中間 望遠
焦点距離 71.80 135.00 194.00
Fナンバー 2.92 2.92 2.92
全画角2ω 34.18 17.89 12.47
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全長 184.21 184.21 184.21
[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d0 ∞ ∞ ∞
d6 15.4610 24.1610 36.9610
d10 2.0000 17.9607 20.8000
d18 35.6337 17.1395 1.5000
d22 7.7664 1.6000 1.6000
BF 57.2938 57.2638 57.2638
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 196.48
L2 7 158.00
L3 11 -29.99
L4 19 108.30
L5 24 94.77
LmA 24 59.63
LmB 35 -47.34
LmC 40 83.58
【実施例2】
【0074】
実施例2の防振機能を有する大口径望遠ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1と、正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、負の屈折力を有する第3レンズ群L3と、正の屈折力を有する第4レンズ群L4と、正の屈折力を有する第5レンズ群L5からなる。また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は像面Iに対して固定であり、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔は増大し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔は増大し、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間隔は減少し、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の間隔は減少する。
【0075】
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際、第2レンズ群L2が像面側から物体側へ移動する。
【0076】
第1レンズ群L1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0077】
第2レンズ群L2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0078】
第3レンズ群L3は、物体側から順に、両凹レンズ、両凹レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの接合レンズ、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズからなる。
【0079】
第4レンズ群L4は、物体側から順に、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズからなる。
【0080】
第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmAと、負の屈折力を有するLmBと、正の屈折力を有するレンズ群LmCからなり、さらに、レンズ群LmAは、両凸レンズ、両凹レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの接合レンズ、両凸レンズからなり、レンズ群LmBは、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズと両凹レンズの接合レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズからなり、レンズ群LmCは、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズからなる。また、レンズ群LmBを光軸に対して略垂直方向の成分を持つように移動させることにより像位置補正を行う。また、開口絞りSは第5レンズ群L5の物体側に隣接して配置される。
【0081】
続いて、以下に実施例2に係る大口径ズームレンズの諸元値を示す。
数値実施例2
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd ΔPgF
物面 ∞ (d0)
1 312.2849 2.0000 1.65412 39.68
2 119.9473 8.9573 1.49700 81.61
3 -419.1095 0.1500
4 90.2984 5.1996 1.43700 95.10
5 188.3153 (d5)
6 69.0356 1.8000 1.65412 39.68
7 47.4298 0.3000
8 48.6153 10.2329 1.49700 81.61
9 2464.0596 (d9)
10 -1575.8104 1.0000 1.87070 40.73 -0.0069
11 45.4865 5.6467
12 -74.7484 1.0000 1.43700 95.10 0.0563
13 56.7917 3.6120 1.92286 20.88 0.0281
14 388.2183 2.3072
15 -82.2309 1.0000 1.69680 55.46 -0.0061
16 -3553.6764 (d16)
17 149.6177 3.9897 1.88300 40.80
18 -114.6182 1.5487
19 -59.4411 1.0000 1.92286 20.88
20 -87.8362 (d20)
21(絞り) ∞ 1.0000
22 38.3642 8.1179 1.59282 68.62
23 -277.1048 0.1500
24 -468.0774 1.0000 1.58144 40.89
25 67.3469 7.1528
26 36.5877 1.0000 1.95375 32.32
27 23.3032 5.4400 1.43700 95.10
28 66.0144 1.6596
29 58.3023 4.2139 1.59282 68.62
30 -274.5190 4.1261
31 -123.9838 2.5836 1.92286 20.88
32 -43.0059 0.9000 1.69680 55.46
33 69.9686 0.7366
34 128.1337 0.9000 1.59270 35.45
35 43.6360 6.5372
36 204.4138 4.5442 1.72916 54.67
37 -78.2998 2.5183
38 -31.5330 1.0000 1.67270 32.17
39 -117.4278 0.1500
40 122.8667 4.6591 1.72916 54.67
41 -76.6758 (BF)
[各種データ]
ズーム比 2.70
広角 中間 望遠
焦点距離 71.80 100.00 194.00
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
全画角2ω 34.72 24.51 12.47
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全長 172.79 172.79 172.79
[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d0 ∞ ∞ ∞
d5 13.8476 17.9186 38.8476
d9 2.1594 13.4677 23.3069
d16 41.0787 31.3414 1.5000
d20 7.5688 1.9269 1.0000
BF 58.9981 58.9362 58.9335
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 221.14
L2 6 173.47
L3 10 -34.17
L4 17 115.39
L5 22 96.71
LmA 22 61.15
LmB 31 -46.73
LmC 36 79.06
【実施例3】
【0082】
実施例3の防振機能を有する大口径望遠ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1と、正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、負の屈折力を有する第3レンズ群L3と、正の屈折力を有する第4レンズ群L4と、正の屈折力を有する第5レンズ群L5からなる。また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は像面Iに対して固定であり、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔は増大し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔は増大し、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間隔は減少し、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の間隔は減少する。
【0083】
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際、第2レンズ群L2が像面側から物体側へ移動する。
【0084】
第1レンズ群L1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0085】
第2レンズ群L2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0086】
第3レンズ群L3は、物体側から順に、両凹レンズ、両凹レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの接合レンズ、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズからなる。
【0087】
第4レンズ群L4は、物体側から順に、両凸レンズ、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズからなる。
【0088】
第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmAと、負の屈折力を有するLmBと、正の屈折力を有するレンズ群LmCからなり、さらに、レンズ群LmAは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズからなり、レンズ群LmBは、両凸レンズと両凹レンズの接合レンズ、両凹レンズからなり、レンズ群LmCは、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズからなる。また、レンズ群LmBを光軸に対して略垂直方向の成分を持つように移動させることにより像位置補正を行う。また、開口絞りSは第5レンズ群L5の物体側に隣接して配置される。
【0089】
続いて、以下に実施例3に係る大口径ズームレンズの諸元値を示す。
数値実施例3
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd ΔPgF
物面 ∞ (d0)
1 202.2943 2.0000 1.88100 40.14
2 113.1253 9.4701 1.49700 81.61
3 -419.1310 0.1500
4 84.8561 5.6654 1.49700 81.61
5 161.9303 (d5)
6 77.0255 1.8111 1.72825 28.32
7 52.1219 0.4431
8 54.2397 9.9668 1.59349 67.00
9 980.7875 (d9)
10 -2590.8123 1.0000 1.83481 42.72 -0.0068
11 39.9692 6.8926
12 -70.1308 1.0000 1.43700 95.10 0.0563
13 51.6125 3.8605 1.92286 20.88 0.0281
14 268.0920 2.6860
15 -71.9006 1.0000 1.72916 54.67 -0.0047
16 -323.0803 (d16)
17 139.2065 4.2137 1.80420 46.50
18 -103.0599 0.2661
19 -98.6234 4.0847 1.49700 81.61
20 -41.9100 1.0000 1.83400 37.34
21 -111.5124 (d21)
22(絞り) ∞ 0.2500
23 36.4944 7.0113 1.59282 68.62
24 150.6937 8.6989
25 44.3231 1.7788 1.80610 33.27
26 20.1350 7.1588 1.49700 81.61
27 -266.5739 3.3855
28 1187.2117 4.1225 1.80518 25.46
29 -46.4199 1.0000 1.69680 55.46
30 121.1379 1.0864
31 -275.7174 1.0000 1.70154 41.15
32 42.5372 6.4990
33 213.0998 4.3311 1.72916 54.67
34 -82.5773 3.1964
35 -26.7573 1.0000 1.62004 36.30
36 -98.9205 0.1500
37 159.7845 5.0625 1.77250 49.62
38 -57.1804 (BF)
[各種データ]
ズーム比 2.70
広角 中間 望遠
焦点距離 71.80 100.00 194.00
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
全画角2ω 34.55 24.39 12.47
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全 172.75 172.75 172.75
[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d0 ∞ ∞ ∞
d5 12.8712 15.6339 36.3784
d9 2.2244 12.8166 21.0172
d16 38.3804 29.3198 1.5000
d21 8.0298 3.7355 2.6100
BF 59.0135 58.9299 58.9262
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 200.07
L2 6 169.49
L3 10 -31.85
L4 17 125.33
L5 23 89.33
LmA 23 59.99
LmB 28 -45.86
LmC 33 73.10
【実施例4】
【0090】
実施例4の防振機能を有する大口径望遠ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群L1と、正の屈折力を有する第2レンズ群L2と、負の屈折力を有する第3レンズ群L3と、正の屈折力を有する第4レンズ群L4と、正の屈折力を有する第5レンズ群L5からなる。また、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群L1と第5レンズ群L5は像面Iに対して固定であり、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔は増大し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔は増大し、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間隔は減少し、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の間隔は減少する。
【0091】
無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングの際、第2レンズ群L2が像面側から物体側へ移動する。
【0092】
第1レンズ群L1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0093】
第2レンズ群L2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる。
【0094】
第3レンズ群L3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凹レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズからなる。
【0095】
第4レンズ群L4は、物体側から順に、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズからなる。
【0096】
第5レンズ群L5は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ群LmAと、負の屈折力を有するLmBと、正の屈折力を有するレンズ群LmCからなり、さらに、レンズ群LmAは、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズからなり、レンズ群LmBは、両凸レンズと両凹レンズの接合レンズ、両凹レンズからなり、レンズ群LmCは、両凸レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ、両凸レンズからなる。また、レンズ群LmBを光軸に対して略垂直方向の成分を持つように移動させることにより像位置補正を行う。また、開口絞りSは第5レンズ群L5の物体側に隣接して配置される。
【0097】
続いて、以下に実施例4に係る大口径ズームレンズの諸元値を示す。
数値実施例4
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd ΔPgF
物面 ∞ (d0)
1 176.0979 2.0000 1.88100 40.14
2 103.3186 9.5208 1.49700 81.61
3 -629.6468 0.1500
4 89.8494 5.6212 1.49700 81.61
5 181.2086 (d5)
6 78.6105 2.2000 1.72825 28.32
7 52.3109 0.4248
8 54.1812 10.1599 1.59349 67.00
9 1273.5047 (d9)
10 1446.3593 1.0000 1.80420 46.50 -0.0075
11 34.7040 6.7534
12 -60.5158 1.0000 1.43700 95.10 0.0563
13 90.4310 0.1500
14 58.8459 3.7448 1.94595 17.98 0.0385
15 301.3317 2.3998
16 -80.3629 1.0000 1.67300 38.26 -0.0038
17 -1835.0844 (d17)
18 129.9393 4.1578 1.77250 49.62
19 -109.8064 1.8247
20 -51.7704 1.0000 1.84666 23.78
21 -91.1453 (d21)
22(絞り) ∞ 0.2500
23 45.0935 7.1606 1.59282 68.62
24 -1809.7899 9.2749
25 42.4869 2.0000 1.80610 33.27
26 22.2000 6.7447 1.49700 81.61
27 831.9650 3.0000
28 77.4303 3.8487 1.85478 24.80
29 -136.8808 1.0000 1.69680 55.46
30 43.2331 2.4117
31 -168.1360 1.0000 1.70154 41.15
32 48.5225 5.7866
33 108.6823 5.4795 1.49700 81.61
34 -55.9763 2.3379
35 -28.3755 1.0000 1.68893 31.16
36 -45.8970 0.8032
37 93.4507 4.0700 1.77250 49.62
38 -269.3825 (BF)
[各種データ]
ズーム比 2.70
広角 中間 望遠
焦点距離 71.80 100.00 194.00
Fナンバー 2.90 2.90 2.90
全画角2ω 34.20 24.17 12.47
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全長 171.88 171.88 171.88
[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d0 ∞ ∞ ∞
d5 12.9969 12.6214 36.6370
d9 3.2015 14.8029 21.8614
d17 36.4867 27.3941 1.5000
d21 9.9234 7.7901 2.6100
BF 59.0130 58.9282 58.9277
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 203.58
L2 6 169.21
L3 10 -31.67
L4 18 164.04
L5 23 76.03
LmA 23 56.81
LmB 28 -45.97
LmC 33 66.19
【0098】
以下に上記各実施例に対応する条件式対応値を示す。
実施例 1 2 3 4
0.7<f1/fT<1.5 1.01 1.14 1.03 1.05
Δν>39 60.74 42.88 43.28 41.97
4.0<|fT/fn|<8.0 6.47 5.68 6.09 6.13
ΔPgF_np>0.015 0.028 0.028 0.028 0.038
ΔPgF_nn>0.005 0.036 0.014 0.015 0.015
νmAp>58 81.53 77.45 75.12 75.12
【符号の説明】
【0099】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
S 開口絞り
I 像面