(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ガス使用状況表示システム
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20220405BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20220405BHJP
G01F 15/06 20220101ALI20220405BHJP
【FI】
G01F3/22 D
G01F1/00 Y
G01F15/06
(21)【出願番号】P 2018111512
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000222211
【氏名又は名称】東洋ガスメーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】水越 靖
(72)【発明者】
【氏名】段 祐司
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 彰
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩史
(72)【発明者】
【氏名】水越 庸輔
(72)【発明者】
【氏名】稲土 清治
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-59041(JP,A)
【文献】特許第4282653(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0093001(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメーターと、データ読取部と、データ表示部とを備え、
前記データ読取部及び前記データ表示部は、ガス販売事業者が携行する機器に備えられるものであって、
前記ガスメーターはデータ蓄積部を有し、前記データ蓄積部はガスの使用量データを蓄積し、前記データ読取
部は、前記ガスメーターに近接したとき、有線又は無線通信機能によって前記データ蓄積部から直接ガスの使用量データを読み取り、
該使用量データを基に、前記データ表示部に転送するデータの生成を行い、前記データ表示部にデータを転送し、前記データ表示
部は、データが転送され次第、ガス使用量を各日各時間に区切り、一覧にして表示
可能な状態となることを特徴とするガス使用状況表示システム。
【請求項2】
各日各時間に区切られたガス使用量を、ガスの使用状況に応じて色分けして前記データ表示部において表示することを特徴とする請求項1記載のガス使用状況表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメーター内に蓄積したガス使用量データを、使用量に応じて色分けした各日各時間の一覧として表示することで、微少なガス使用量に対してガス漏れの危険があるか否かを敏速に判断することができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスメーターは従来、僅かな流量のガスが数日間流れ続けた際にガス漏れとして警告表示を行う機能を有しており、そのような微少なガス漏れの警告が発生した場合、一旦ガスの供給を停止して圧力降下を計測することによる漏洩検査、機密検査を行った後、再度ガスの供給が開始される。しかし、業務用などで常にガスを消費していると、ガス漏れが無いにもかかわらず前記機能が作動することがあり、この場合漏洩検査、気密検査を行った上でさらに消費者へ使用状況に関するヒアリングも行う。また、ガス漏れ修繕後、状況が改善されたかどうかを判定するのに15~30日の日数を要しており、多大な労力及び期間を要していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記実情に鑑みたものであり、ガス漏れの危険察知を敏速に行うことができるガス使用状況表示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1記載のガス使用状況表示システムは、ガスメーターと、データ読取部と、データ表示部とを備え、前記データ読取部及び前記データ表示部は、ガス販売事業者が携行する機器に備えられるものであって、前記ガスメーターはデータ蓄積部を有し、前記データ蓄積部はガスの使用量データを蓄積し、前記データ読取部は、前記ガスメーターに近接したとき、有線又は無線通信機能によって前記データ蓄積部から直接ガスの使用量データを読み取り、該使用量データを基に、前記データ表示部に転送するデータの生成を行い、前記データ表示部にデータを転送し、前記データ表示部は、データが転送され次第、ガス使用量を各日各時間に区切り、一覧にして表示可能な状態となることを特徴とする。
【0005】
本発明のうち請求項2記載のガス使用状況表示システムは、前記請求項1の記載に加えて、各日各時間に区切られたガス使用量を、ガスの使用状況に応じて色分けして前記データ表示部において表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、ガス供給設備の保全を行うガス販売事業者が、ガス消費者へのヒアリングを行わずとも消費者個々の日毎、時間毎の使用状況を知ることができるため、ガス漏れの危険察知を敏速に行える。
【0007】
また、ガスメーター内に蓄積した日々のガス使用状況のデータを取得し、その場で確認できる構成であるので、本発明により修繕から数日で状況が改善するか知ることもできる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、各日各時間に区切られたガス使用量が使用状況に応じた
色分けがされることで、視覚的に分かり易く、ガス使用状況を一目で把握することができるので、ガス漏れの危険察知を敏速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】データ表示部において表示される各日各時間に区切られたガス使用量の一覧を示す概略図である。
【
図3】ガス使用状況表示システムの構成を示す説明図である。
【
図4】データ表示部におけるカレンダー表示を示す概略図である。
【
図5】データ取得方法の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図3に示すように、本発明のガス使用状況表示システムは、ガスの使用量データ203を蓄積するデータ蓄積部4を備えたガスメーター1と、前記データ蓄積部4からガスの使用量データ203を読み取るデータ読取部10と、読み取ったデータを表示するデータ表示部20とで構成される。
【0012】
ガスメーター1は少なくとも30日間1時間毎、計720個のガスの使用量データ203を蓄積するデータ蓄積部4を備えており、1時間経過する度、前記データ蓄積部4にその1時間のガス使用量が記録されていく。また、ガスメーター1には、一般的にガスメーター内部で記録しているガスの残量情報をリセットするための容器リセットスイッチとして、リードスイッチ(磁器検出器)2が内蔵されている。また、夜間でも保安情報による警告を認識できるように、液晶パネル以外にLED(発光部)3が搭載されている。
【0013】
本実施例では、前記ガスの使用量データ203を読み取るデータ読取部10に対してデータ取得要求信号31を送信するデータ表示部20として、専用のアプリケーションをインストールしたスマートフォン20を用いる。アプリケーションを起動すると、GUIがスマートフォン20の画面に表示される。パターン選択画面において各データ名称に対応して表示されている選択ボタンの中から、作業者が30日間使用状況データに対応するボタンを選択(タップ)すると、スマートフォン20はデータ読取装置10へとデータ取得要求信号31を伝送する。なお、このときの接続インターフェースはUSBなどの有線接続あるいはBluetooth(登録商標)などの無線接続を用いる。
【0014】
データ読取部10は、ガスメーター1への近接を検知する近接スイッチ11と、ガスメーター1のリードスイッチ2に対して磁気信号32を出力する電磁石12と、ガスメーター1のLED3から光信号33によりデータを受信するフォトトランジスタ(受光部)13とを備える。
近接スイッチ11は、本実施例ではガスメーター1と接触することで機械的にスイッチがONとなり距離を認識する機械式近接スイッチを用いているが、光電形など、他の原理を用いた近接スイッチを用いてもよい。近接スイッチ11は、ガスメーター1と接触することで近接を検知し、この近接検知をきっかけにしてデータ読取部10はガスメーター1との通信を開始する。
【0015】
リードスイッチ2で受信したデータ選択信号32をガスメーター1が検出すると、データ蓄積部4は過去30日分の1時間ごとのガス使用量情報を、LED3からの光信号33に変換して出力する。
データ読取部10は、ガスメーター1からの光信号33を受信すると、送信するデータ34の生成を行い、インターフェースを介してスマートフォン20へデータ34の転送を行う。
【0016】
スマートフォン20へと転送されたデータ34は、
図1に示すような各日各時間のガス使用量一覧201としてデータ表示部20に表示される。なお、本実施例において、データ表示部としてスマートフォン20を用いているが、パソコンや専用の端末機器など他の形態であってもよい。
【0017】
30日間のガスの使用量データ203は、
図1及び
図2のような各日各時間で区切られたマス目状の一覧201として表示される。マス目202が、ある日の1時間を示し、その1時間に使用されたガスの量に対応する凡例210に沿った色でマス目202が塗りつぶされる。ガス使用量はL(リットル)で表示され、それぞれ大(例えば100L以上)211、中(例えば21L以上100L未満)212、小(例えば2L以上21L未満)213、小213未満214及び未取得データ215の5段階に分けられており、特に前記小213には、ガスメーターが検出可能な下限流量を超え且つ一般家庭における通常時(料理や風呂など)の使用量を下回るガス使用量が設定されていて、ガス漏れの危険を孕んでいるため、通常の使用量を示した色とは異なる目立った色でマス目202が塗りつぶされる。ガス漏れが疑われる場合は、前記小213が長時間連続して検出されるため、
図1及び
図2に示すように、当該色で塗られたマス目202がほぼ横一列に並んで表示される。なお、大211、中212及び小213の閾値は、アプリケーションにおいて自由に設定可能である。本実施例ではそれぞれ、前記大211は青色、前記中212は水色、前記小213は赤色でマス目202が着色されている。
上記に加えて、前記小213が検知された日、つまりマス目202が赤色で塗りつぶされた時間帯がある日は、スマートフォン20の画面をスクロールすることで表示される、
図4のようなカレンダー221の当該日付の下に、マス目202が塗りつぶされた色と同様の色で図形222が描かれるため、ガス漏れが疑われる日付を容易に確認することができる。
【0018】
上記の構成によって、
図1に示すような、各日各時間のガス使用量を使用量に応じて色分けした一覧201をデータ表示部20で見れば、ガス販売業者が一日のガス使用状況を一目で把握し、一時的なガスの連続使用であったのか、あるいはガス漏れのような長時間連続する微少な流れであるかをガス消費者へのヒアリングを行わずとも判断でき、また、その後の敏速な対応を可能とする。
加えて、前記小213のような微少なガスの流量を示す色として、前記大211や中212のような通常使用時のガスの流量を示す色とは異なる目立った色を使用すれば、微少なガスの流量が検知されたことが際立ち、視覚的に判別し易くなる効果が期待される。
【0019】
また、一定期間のガス使用状況を把握できるため、ガス漏れの修理において従来15~30日の期間を要して判断していた修繕の効果が数日で判定可能となるので、修繕に掛かる作業日数の短縮ができる。
【0020】
本実施例では、ガスメーターからデータを読み取るデータ読取部は、データ表示部から独立した装置を用いているが、両機能を併せ持った装置を用いてもよい。
本実施例において、蓄積されるガス使用状況のデータは30日間1時間ごとであるが、蓄積される期間は30日より長くても短くても良いし、時間の区切りも1時間ごとではなく、より細かくても、より粗くてもよい。
また、ガスの使用状況に応じたマス目の色分けは、例えば色の濃淡や網掛けとしてもよいし、マス目表示だけでなく、記号を用いた表示をしてもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 ガスメーター
4 データ蓄積部
10 データ読取部
20 スマートフォン(データ表示部)
201 ガス使用量一覧
203 ガスの使用量データ