(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】折畳式ステップ
(51)【国際特許分類】
E06C 5/02 20060101AFI20220405BHJP
B62D 33/023 20060101ALI20220405BHJP
B60R 3/02 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E06C5/02
B62D33/023 Q
B60R3/02
(21)【出願番号】P 2018112457
(22)【出願日】2018-06-13
(62)【分割の表示】P 2018031707の分割
【原出願日】2018-02-26
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318001315
【氏名又は名称】有限会社弘毅
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 民由
(72)【発明者】
【氏名】安藤 寛和
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-107000(JP,U)
【文献】実開昭59-106999(JP,U)
【文献】実開昭53-159007(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140389(US,A1)
【文献】特公平06-076725(JP,B2)
【文献】特開2002-242567(JP,A)
【文献】米国特許第04757876(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 5/02、5/04
E06C 9/14
B62D 33/023
B60R 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向と長手方向を有する複数の踏板と、
前記踏板の前端部の長手方向にそれぞれ設けられる前側長手軸と、
前記踏板の後端部の長手方向にそれぞれ設けられる後側長手軸と、
前記前側長手軸と前記後側長手軸とを連結する、前記踏板の短手方向にそれぞれ設けられる短手軸と、
前記踏板の両側部に設けられ、上段の前側長手軸と下段の前側長手軸と後側長手軸に連結するとともに、節点を備え、前記短手方向に延び出す一対の外側リンクと、
前記踏板の中間部に設けられ、上段の前側長手軸と後側長手軸と下段の後側長手軸に連結するとともに、前記短手方向に延び出す1つ以上の内側リンクと、
前記複数の踏板より上に、長手方向に設けられた上端部と、
前記上端部に連結された支持部と、を備え、
前記踏板の展開状態において、
前記外側リンクと内側リンクとが平行であり、それぞれ直線状に配置され、
前記外側リンクと前記短手軸とが側面視で三角形を成
し、前記支持部にレバーを有し、該レバーを動作させて、前記踏板を折畳状態から展開状態とし、該展開状態から前記レバーを動作させて前記折畳状態とすることを特徴とする折畳式ステップ。
【請求項2】
前記
踏板が前記折畳状態で、前記支持部の本体の上に重畳されて、設置状態となっていて、該設置状態から、脚部を展開し、支持部を除く部分を、回動状態とすることを特徴とする請求項1の折畳式ステップ。
【請求項3】
前記回動状態から、前記レバー
を動作させて、踏板を展開することを特徴とする請求
項2の折畳式ステップ。
【請求項4】
短手方向と長手方向を有する複数の踏板と、
前記踏板の前端部の長手方向にそれぞれ設けられる前側長手軸と、
前記踏板の後端部の長手方向にそれぞれ設けられる後側長手軸と、
前記前側長手軸と前記後側長手軸とを連結する、前記踏板の短手方向にそれぞれ設けられる短手軸と、
前記踏板の両側部に設けられ、上段の前側長手軸と下段の前側長手軸と後側長手軸に連結するとともに、節点を備え、前記短手方向に延び出す一対の外側リンクと、
前記踏板の中間部に設けられ、上段の前側長手軸と後側長手軸と下段の後側長手軸に連結するとともに、前記短手方向に延び出す1つ以上の内側リンクと、
前記複数の踏板より上に、長手方向に設けられた上端部と、
前記上端部に連結された支持部と、を備え、
該支持部は本体と、前記踏板を折り畳む、又は、展開するラチェット機構と、ラチェット機構を作動させるハンドルとして機能するレバーと、一端部がラチェット機構に接続され、他端部が最下段の踏板に固定されるワイヤーと、を備える折畳式ステップ。
【請求項5】
短手方向と長手方向を有する複数の踏板と、
前記踏板の前端部の長手方向にそれぞれ設けられる前側長手軸と、
前記踏板の後端部の長手方向にそれぞれ設けられる後側長手軸と、
前記前側長手軸と前記後側長手軸とを連結する、前記踏板の短手方向にそれぞれ設けられる短手軸と、
前記踏板の両側部に設けられ、上段の前側長手軸と下段の前側長手軸と後側長手軸に連結するとともに、節点を備え、前記短手方向に延び出す一対の外側リンクと、
前記踏板の中間部に設けられ、上段の前側長手軸と後側長手軸と下段の後側長手軸に連結するとともに、前記短手方向に延び出す1つ以上の内側リンクと、
前記複数の踏板より上に、長手方向に設けられた上端部と、
前記上端部に連結された支持部と、を備え、
前記支持部は、逆U字形状の板材であり、前記支持部は軸状の上端部に固定され、アオリの長手方向と平行な取付軸の上から嵌め込まれ、アオリと荷台の隙間に挟まれて固定される折畳式ステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両荷台等に取り付けて利用する折畳式ステップ、特に、大型卜ラック等の高所からの昇降が難しい場所において昇降に要する労力を軽減するための折畳式ステップである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明は、車両の床高さから軌道へ安全に降りるための避難装置であり、パンタグラフ式に多数のリンクにより支持された複数段のステップを折り畳み格納するものである。
【0003】
特許文献2の発明は、車両用非常脱出踏段装置であり、第1の踏み段12と、第2の踏み段14と、第3の踏み段18と、板状のストッパ17と、を備えている。
【0004】
特許文献3の発明は、取り扱いが容易で、かつ使用時に荷台への安全な昇降ができ、梯子型踏み台がアオリの起伏に伴い自重により折り畳み自在で、かつ不使用時にはアオリの裏側に梯子型踏み台をコンパクトに収納でき、使用時にステップを傾斜配列可能な車両荷台のステップ付アオリを提供する。この発明は、一対の前側支柱と一対の後側支柱と複数のステップとを有し、自重で開閉する平行四辺形リンク構造の梯子型踏み台をアオリの裏側に設けた。これにより、取り扱いが容易で、かつ使用時には多段ステップを利用して荷台への昇降を安全に行えて、梯子型踏み台がアオリの上下回動に伴い自重により折り畳み自在で、不使用時には梯子型踏み台をアオリの裏側にコンパクトに収納可能で、使用時には昇降し易いように多段ステップが傾斜状態で配列される。
【0005】
特許文献4の発明は、輸送車両の荷台での荷物の積みおろしは、本来踏み台用として設けられていない場所に足を掛けて荷台を乗り降りする必要があり、フォークリフト、脚立又は踏み台を用いて乗り降りする場合もあるが、手間がかかることを解決するためになされた。この発明は、支持柱10と、支持柱に回動可能に接続され、その回転軸が互いに平行であるように設けられる2以上の腕部13と、支持柱と略平行な状態で2以上の腕部と回動可能に接続され、同時に、2以上の腕部が互いに略平行となる状態で接続されている腕連動部材14と、を有する折り畳み式ステップであって、2以上の腕部は、互いに略平行な踏み板131を具備しており、支持柱には、折り畳みステップ使用時に折り畳みステップを設置部位に係止するための第1係止手段17が設けられていることを特徴とする折り畳み式ステップである。
【0006】
特許文献5の発明は、乗客が車両の床高さから軌道へ安全に降りるための避難装置であり、車両の非常口を閉塞する非常扉を、ロック機構のロックを解除することにより側外方に開く上部扉と、上記上部扉閉時その下縁部が係合することにより閉状態を保持され上部扉が開くことにより保合がはずれて自動的に外側下方に開くようになっている下部扉により構成し、該下部扉内に、下部扉開時下方に向けて展開し避難用階段を自動的に形成するパンタグラフ式に多数のリンクにより支持された複数段のステップを折畳格納すると共に、上記下部扉を、開時非常口の外方に突出し第1のステップとなる下部扉本体と、最下段のステップに一体的に設けられたカバーとにより構成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公昭58-20449号公報
【文献】実公平1-13644号公報
【文献】特開2015-704号公報
【文献】特開平10-169343号公報
【文献】実開昭55-52472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の発明は、リンクにてバランスをとるため各支点に負荷がかかるという問題がある。
【0009】
特許文献2の発明は、各踏板を側板のヒンジのみでつないでいるため、ヒンジが破損した場合、即座に落下するおそれがある。
【0010】
特許文献3の発明は、アオリにステップを固定しているため、アオリが動くと、ステップも動くため、ステップの安定性が不十分であるという問題がある。
【0011】
特許文献4の発明は、ステップを多段数にすることが難しいという問題がある。
【0012】
特許文献5の発明は、伸縮の際にリンクが干渉する問題がある。
【0013】
例えば、運送業等において使用されている12トンのトラックの上に荷物を載せたり、降ろしたりするのは大変な作業である。タイヤの上に人が乗って上がったり降りたりすることがある。4トントラックの荷台に足乗部があるが、足を乗せるのが大変であるし、安全性にも課題がある。トラックへの荷物の積み降ろしについて、作業効率と安全性の向上に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の折畳式ステップ1は、短手方向Xと長手方向Yを有する複数の踏板21~25と、踏板21~25の前端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる前側長手軸31~35と、踏板21~25の後端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる後側長手軸41~45と、前側長手軸31~35と後側長手軸41~45とを連結する、踏板21~25の短手方向Xにそれぞれ設けられる短手軸51~55と、踏板21~25の両側部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と下段の前側長手軸32~35と後側長手軸42~45に連結するとともに、節点61B~64Bを備え、短手方向Xに延び出す一対の外側リンク6と、踏板21~25の中間部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と後側長手軸41~44と下段の後側長手軸42~45に連結するとともに、短手方向Xに延び出す1つ以上の内側リンク7と、複数の踏板21~25より上に、長手方向に設けられた上端部120と、上端部120に連結された支持部8とを備え、踏板21~25の展開状態において、外側リンク6と内側リンク7とが平行であり、それぞれ直線状に配置され、外側リンク6と短手軸52~55とが側面視で三角形を成し、支持部8にレバー83を有し、レバー83を動作させて、踏板21~25を折畳状態から展開状態とし、展開状態からレバー83を動作させて折畳状態とすることを特徴とする。
【0015】
踏板21~25が折畳状態で、支持部8の本体81の上に重畳されて、設置状態となっていて、設置状態から、脚部9を展開し、支持部8を除く部分を、回動状態とすることを特徴とする。
【0016】
回動状態から、レバー83を動作させて、踏板21~25を展開することを特徴とする。
【0017】
本発明は、短手方向Xと長手方向Yを有する複数の踏板21~25と、踏板21~25の前端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる前側長手軸31~35と、踏板21~25の後端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる後側長手軸41~45と、前側長手軸31~35と後側長手軸41~45とを連結する、踏板21~25の短手方向Xにそれぞれ設けられる短手軸51~55と、踏板21~25の両側部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と下段の前側長手軸32~35と後側長手軸42~45に連結するとともに、節点61B~64Bを備え、短手方向Xに延び出す一対の外側リンク6と、踏板21~25の中間部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と後側長手軸41~44と下段の後側長手軸42~45に連結するとともに、短手方向Xに延び出す1つ以上の内側リンク7と、複数の踏板21~25より上に、長手方向に設けられた上端部120と、上端部120に連結された支持部8とを備え、支持部8は本体と、踏板21~25を折り畳む、又は、展開するラチェット機構82と、ラチェット機構82を作動させるハンドルとして機能するレバー83と、一端部がラチェット機構82に接続され、他端部が最下段の踏板に固定されるワイヤー84と、を備える折畳式ステップである。
【0018】
本発明は、短手方向Xと長手方向Yを有する複数の踏板21~25と、踏板21~25の前端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる前側長手軸31~35と、踏板21~25の後端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる後側長手軸41~45と、前側長手軸31~35と後側長手軸41~45とを連結する、踏板21~25の短手方向Xにそれぞれ設けられる短手軸51~55と、踏板21~25の両側部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と下段の前側長手軸32~35と後側長手軸42~45に連結するとともに、節点61B~64Bを備え、短手方向Xに延び出す一対の外側リンク6と、踏板21~25の中間部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と後側長手軸41~44と下段の後側長手軸42~45に連結するとともに、短手方向Xに延び出す1つ以上の内側リンク7と、複数の踏板21~25より上に、長手方向に設けられた上端部120と、上端部120に連結された支持部8とを備え、支持部208は、逆U字形状の板材であり、支持部208は軸状の上端部320に固定され、アオリ101の長手方向と平行な取付軸の上から嵌め込まれ、アオリ101と荷台102の隙間に挟まれて固定される折畳式ステップである。
【0019】
なお、上記において、符号は実施形態1のみに対応する符号を付し、実施形態2の符号は略した。
【発明の効果】
【0020】
外側リンクを踏板の両外側、内側リンクを踏板の中間部に配置するので、踏板の変形を防止し、安定性が増し、踏板への負荷が分散し、リンクが破損時のリスクを軽減できる。
【0021】
折畳式ステップの折畳や展開の際、リンクが干渉しないので、動作が安定する。
【0022】
折畳式ステップが高さの制約を受けにくく、多段数が可能である。
【0023】
折畳式ステップが設置対象物に対して、固定式、着脱式のどちらにも使用可能である。脱着式の場合には移動も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明実施形態1の折畳式ステップの展開状態の斜視図(内部は点線で示す。以下同様)である。
【
図5】本発明実施形態1の折畳式ステップ1の折畳状態(回転状態)の平面図である。
【
図8】本発明実施形態の折畳式ステップ1の折畳状態から引き起こした起立状態(設置状態)の平面図である。
【
図12】本発明実施形態1の使用状態の部分拡大図である。
【
図14】同、内側リンクの下部を示す斜視図である。
【
図15】同、ラチェット部の内部を示す平面図である。
【
図16】同、折畳式ステップ1の展開時のラチェット部の動作を示す説明図である。
【
図17】同、折畳式ステップ1の折り畳み時のラチェット部の動作を示す説明図である。
【
図18】同、折畳式ステップ1の不使用時のハンドルの折畳みの動作を示す説明図である。
【
図19】本発明実施形態2の折畳式ステップの展開状態の斜視図(内部は点線で示す。以下同様)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態1の折畳式ステップ1は、トラック100の荷台102へ固定するための支持部8を備えたもの、実施形態2の折畳式ステップ201は、トラック100のアオリ101の取付軸(図示略)の上に支持部208を取り付けるものであり、他のトラックに付け替えて使用することが可能である。折畳式ステップ1、201は、取り付ける場所さえあれば、自動車やトラック以外に、機械、電気、建設等の分野で使用が可能である。例えば、トラック以外の応用例として、工作機械等において、人が昇降する場所に使用できる。
【0026】
本発明の実施形態1の折畳式ステップ1は、
図1~
図14に示す通り、上段と下段の関係にあり、短手方向Xと長手方向Yを有する、複数の踏板21~25と、踏板21~25の前端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる前側長手軸31~35と、踏板21~25の後端部の長手方向Yにそれぞれ設けられる後側長手軸41~45と、前側長手軸31~35と後側長手軸41~45とを連結する、踏板21~25の短手方向Xにそれぞれ設けられる短手軸51~55と、踏板21~25の両側部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と下段の前側長手軸32~35と後側長手軸42~45に連結するとともに、節点61B~64Bを備え、短手方向Xに延び出す一対の外側リンク6と、踏板21~25の中間部に設けられ、上段の前側長手軸31~34と後側長手軸41~44と下段の後側長手軸42~45に連結するとともに、短手方向Xに延び出す1つ以上の内側リンク7と、軸状部材である上端部120に設けた支持部8と、を備えている。踏板21~25の展開状態において、外側リンク6と内側リンク7とが平行であり、それぞれ直線状に配置され、外側リンク6と短手軸52~55とが側面視で三角形を成すことを特徴とする。
図1において、第2内側リンク71Dは、やや見えにくいので、
図4等の他図を参照されたい。以下、詳細に説明する。
【0027】
なお、折畳式ステップ1は、その材料は金属が好ましいが、軽量化の為、アルミニウムが好適である。
【0028】
踏板21~25は四角形の板材であり、同型、同寸法である。
【0029】
前側長手軸31~35の両端部は踏板21~25の前端部の裏側で、短手軸51~55の前端部にそれぞれ連結されている。前側長手軸31~35は管でも棒材でもいずれでもよい。
【0030】
後側長手軸41~45の両端部は踏板21~25の後端部の裏側で、短手軸51~55の後端部にそれぞれ連結されている。後側長手軸41~45は管でも棒材でもいずれでもよい。
【0031】
短手軸51~55は踏板21~25の短手方向Xに設けられており、一対が両端部、他の一対が中間部に設けてある。
図13に示す通り、踏板21は、短手軸51の上面にピンで固定されている。後側長手軸41に平行に該後側長手軸よりも幅の小さな後側長手軸41Aが、中間部にある一対の短手軸51の後端に固定されている。第1内側リンク71Bが後側長手軸41Aの両端部に枢着されているが、直接、後側長手軸41に枢着してもよい。他の踏板22~25も同様な構造を備えているので、図示及び説明は上記を援用する。
【0032】
外側リンク6は、上部が上段踏板21~24の前側長手軸31~34に枢着され、下部が下段踏板22~25の後側長手軸42~45の端部に枢着される一対の第1外側リンク61A~64Aと、上部が上段踏板21~24の前側長手軸31~34に枢着され、下部が下段踏板22~25の前側長手軸32~35の端部に枢着されるとともに、中間部に節点61B~64Bを有する一対の第2外側リンク61C~64Cと、を備えている。
【0033】
内側リンク7は、上部が上段踏板21~24の後側長手軸41~44にそれぞれ枢着され、下部が下段踏板22~25の後側長手軸42~45にそれぞれ枢着され、中間部に節点71A~74Aを有する第1内側リンク71B~74Bと、上部が上段踏板21~24の前側長手軸31~34にそれぞれ枢着され、長孔71C~74Cを有し、該長孔71C~74Cを第1内側リンク71B~74Bの節点71A~74Aがそれぞれ摺動する第2内側リンク71D~74Dと、を備えている。
【0034】
図14に示す通り、第1内側リンク71Bの下端は後側長手軸42に設けられた枢軸部71Eに軸着されている。枢軸部71Eにはトーションバネ71Fの中心が掛止され、トーションバネ71Fの一端部は71Bの溝71Gに嵌め込まれ、他端部(図示略)は踏板22の裏面に当接されている。枢軸部71Eは、本体と、軸と、軸の両端のフランジ部を備えている。他の第1内側リンク72B~74Bも同様の構造であるので、図示及び説明は援用する。トーションバネ71Fはなくてもよい。
【0035】
踏板21より上に、長手方向軸である上端部120を備える。上端部120と踏板21は、第1外側リンク61A~64Aと同様な構造の第1外側リンク60Aと、第2外側リンク61C~64Cと同様な構造の第2外側リンク60Cにより、折り畳みと展開が可能に連結されている。節点60Bは節点61B~64Bと同様な構造である。
【0036】
上端部120の両端部には、第1外側リンク60Aと、第2外側リンク60Cが枢着されている。第2外側リンク60Cの中間部に節点60Bを設けている。第1外側リンク60Aの下部は後側長手軸41の端部に枢着され、第2外側リンク60Cの下部は前側長手軸31の端部に枢着されている。
【0037】
上端部120に連結された支持部8は、
図11、
図12に示す通り、トラック100のアオリ101を開いた状態で荷台102に設置される。支持部8はトラック100の荷台102に穴を開けてボルトで荷台102に固定される角形の本体81と、
図15~
図18に示す通り、踏板21~25を折り畳む、又は、展開するラチェット機構82と、ラチェット機構82を作動させるハンドルとして機能するレバー83と、一端部がラチェット機構82に接続され、他端部が最下段の踏板25に固定されるワイヤー84と、本体81内部に設けた補強材85と、本体81の両側に軸87によって枢着されて本体81の両側から水平に延び出し、上端部120に枢着されるリンク86と、を備えている。ラチェット機構82は、回転軸82aと、回転軸82aに固定される歯車82bと、レバー83の基部に内蔵され軸方向に移動できる爪部82cと、レバー83の動きを規制するストッパ82dと、を備えている。
【0038】
複数本(例えば4本)の脚部9が踏板25の下面に枢着され、踏板25に対して、折り畳みと展開が可能となっている。
【0039】
次に折畳式ステップ1の外側リンク6と内側リンク7の動作について
図4等を参照して説明する。
【0040】
折畳式ステップ1が展開状態では、踏板21~25は水平であり、第1外側リンク60A~64Aと直交する。第2外側リンク60C~64Cは直線状にある。節点71A~74Aが前側長手軸31~35から最も離れた長孔71C~74Cの位置にある。第1内側リンク71B~74Bは直線状にあり、第2内側リンク71D~74Dと直交し、第2外側リンク60C~64Cと平行である。
【0041】
折畳式ステップ1が折畳まれるときには、
図4の円で示す部分拡大図に示す通り、踏板21~25と第1外側リンク60A~64Aが接近する。節点71A~74Aが長孔71C~74C内を前側長手軸31~35の方へ移動し、第1内側リンク71B~74Bが山形に屈曲しながら折畳まれる。節点60B~64Bが後側長手軸41~45に接近し、第2外側リンク60C~64Cは節点60B~64Bを中心として折り畳まれる。前側長手軸31~35同士と、後側長手軸41~45同士が接近してゆく。折畳式ステップ1が最終的に折り畳まれたとき、節点71A~74Aは長孔71C~74Cの一番内側の位置(前側長手軸31~35に最も近い位置)まで移動する。
【0042】
折畳式ステップ1が折畳状態から展開状態になるときには、上記の動作と逆の動作が行われる。
【0043】
次に折畳式ステップ1の使用方法を説明する。
【0044】
トラック100の移動中は、
図8~
図10に示す通り、折畳式ステップ1は、踏板21~25が折畳状態で、本体81の上に重畳されて、設置状態となっている。この設置状態から、脚部9を展開し、支持部8を除く折畳式ステップ1を、軸87を回転軸として時計方向に180°、上端部120を回転軸として、時計方向に90°回転させ、
図5~
図7に示す通りの回動状態とする。
【0045】
この回動状態から、
図16に示す通り、レバー83を動作させて、踏板21~25を展開する。
図15を参照してラチェット機構82の動作とともに説明する。レバー83を手前のストッパ82dの位置(時計方向に回転させた最外位置)まで移動させる。レバー83をストッパ82dの位置まで持ってくると、爪部82cが移動して、歯車82bとの間の歯合が外れて、歯車82bがフリーの状態になるので、緊張しているワイヤー84が緩み、踏板21~25、外側リンク6、内側リンク7を展開できるようになる。トーションバネ71F~74Fの弾性力と踏板21~25の自重で支援されて踏板21~25、外側リンク6、内側リンク7が拡開し、踏板21~25が展開する。
【0046】
展開状態から回動状態を経て設置状態に戻すときは、
図17に示す通り、レバー83を左右へステップ動作を行うことにより、歯車82bが回転しワイヤー84を回転軸82aで巻きとり、踏板21~25と外側リンク6と内側リンク7を折畳み、回動状態とする。この回動状態から設置状態とする。
図18に示す通り、レバー83の上部を引くと、レバー83を折り畳むことができ、使用しないときの安全を確保できる。
【0047】
以上説明した折畳式ステップ1によれば、外側リンク6と内側リンク7とは、長手方向に位置をずらしてあるので、折畳式ステップの折畳や展開の際、リンクが干渉しないので、動作が安定する。
【0048】
外側リンク6を踏板21~25の両外側、内側リンク7を踏板21~25の中間に配置するので、展開状態において、踏板21~25の変形を防止できる。内側リンク7は上下に踏板21~25と連結するので、踏板21~25の平行度を保つことができる。踏板21~25への負荷が分散し、リンクが破損時のリスクを軽減できる。
【0049】
折畳式ステップ1の折畳みと展開が手軽にできる利点がある。特に、最近のトラックや自動車の、運転手不足で、年配者が多い現場の要望に応えることができる。
【0050】
トラック100の高所からの昇降に使うことができる。例えば、12トントラックの場合、地面から荷台までの高さが1.5m~1.4mくらいであり、結構高いが、スムーズに折り畳める。
【0051】
トラック100だけではなく、機械、電気装置等のいろいろな設置物に対しても使うことができる。
【0052】
設置対象物に対して、固定式であるので、着脱の必要がない。アオリ101に固定しないため、安定性が十分である。
【0053】
踏板21~25の数を変えることで、高さを可変にできる。3段~5段が例示されるが、限定されるわけではない。
【0054】
折畳式ステップ1の材料はアルミニウムを使い、軽量化を図っている。
【0055】
次に本発明実施形態2の折畳式ステップ201を
図19~
図22を参照して説明する。実施形態2の部品番号は対応する実施形態1の部品番号を200番台を追加した番号とし、実施形態1と共通する構成は説明を援用し、主に相違点を説明する。
【0056】
本発明の実施形態2の折畳式ステップ201は、
図19~
図22に示す通り、支持部8に代えて、支持部208とする。この支持部208は、逆U字形状の板材である。支持部208は軸状の上端部320に固定される。支持部208をアオリ101の長手方向と平行な取付軸(図示略)の上から嵌め込んで使用する。支持部208がアオリ101と荷台102の隙間に挟まれて固定されることになる。支持部208を持ち上げれば、当該取付軸から取り外すことができる。
【0057】
実施形態2は、実施形態1のラチェット機構82は使わずに、フック形状の一対の支持部208を荷台102とアオリ101の隙間にある、アオリ101の取付軸(図示略)に掛止して取り付けられる。この取付軸は荷台102に固定されているので、支持部208をアオリ101と荷台102の隙間へ差し込み、上方から取付軸に支持部208を装着すれば、折畳式ステップ201が荷台102に対して固定され、踏板221~225は安定する。
【0058】
実施形態2の効果は、実施形態1の効果と同様ではあるが、折畳式ステップ201の折畳や展開が手作業になる点、荷台102の一部を支持部208が占有しなくても済む点で相違する。
【0059】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得るものである。また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。例えば、外側リンク6、内側リンク7の構造は実施例に限定されず、他の形状や構造も含まれる。支持部8,208は実施例に限定されず、板状、管状、棒状等の適宜の形状や構造のものでもよい。外側リンク6と内側リンク7はそれぞれ一直線上に配置されているが、直線状であればよく、長手方向Yに位置がずれていてもよい。外側リンク6と短手軸52~55とが側面視で三角形を成すが、直角三角形でも、それ以外の三角形でもよい。内側リンク7は一対を設けたが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は車両、トラック、自動車、産業機械、電気設備等の産業機材への人の昇降の作業性や安全性を向上させることに利用が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,201・・・折畳式ステップ
21~25,221~225・・・踏板
31~35,231~235・・・前側長手軸
41~45,241~245,41A~44A・・・後側長手軸
51~55,251~255・・・短手軸
60A~64A,260A~264A・・・第1外側リンク
60B~64B,260B~264B・・・節点
60C~64C,260C~264C・・・第2外側リンク
71A~74A,271A~274A・・・節点
71B~74B,271B~274B・・・第1内側リンク
71C~74C,271C~274C・・・長孔
71D~74D,271D~274D・・・第2内側リンク
71E~74E,271E~274E・・・枢軸部
71F~74F,271F~274F・・・トーションバネ
71G~74G,271G~274G・・・溝
6,206・・・外側リンク
7,207・・・内側リンク
8,208・・・支持部
81・・・本体
82・・・ラチェット機構
82a・・・回転軸
82b・・・歯車
82c・・・爪部
82d・・・ストッパ
83・・・レバー
84・・・ワイヤー
85・・・補強材
86・・・リンク
87・・・軸
9,209・・・脚部
100・・・トラック
101・・・アオリ
102・・・荷台
120,320・・・上端部
X・・・短手方向
Y・・・長手方向