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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ズレ止めベルト
(51)【国際特許分類】
   A41F 9/02 20060101AFI20220405BHJP
   A41F 9/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A41F9/02 D
A41F9/00 D
A41F9/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018112474
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019214811
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503190268
【氏名又は名称】株式会社 アジャックス
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】白濱 貞之
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/159355(WO,A1)
【文献】登録実用新案第355583(JP,Z1)
【文献】登録実用新案第3070396(JP,U)
【文献】米国特許第7299527(US,B1)
【文献】特開2009-30184(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068524(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0297581(US,A1)
【文献】特開2000-54213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41F9/02
A44B11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に配置される縦糸と短手方向に配置される横糸との織物または編物の帯体で、前記帯体の一方面は平坦にて成り、他方面には複数の略矩形形状の凸部を前記長手方向に間隔を隔てて複数個有し、かつ、前記凸部は前記長手方向の一対の端辺同士が前記長手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は前記短手方向の一対の端辺同士が前記短手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有する前記帯体と、
前記帯体の前記一方面の前記短手方向の少なくとも1箇所に、前記長手方向に連続して形成され、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有するスベリ止め部と、
前記帯体を環状に保持するとともに、前記帯体の前記長手方向の保持する位置を変更して前記環状の大きさを調整する調整部とを備え、
前記調整部は、第一留め具および第二留め具を有し、
前記第一留め具は、前記環状の大きさを決定し、
前記第二留め具は、前記第一留め具で決定された前記環状の大きさの残りの前記帯体の位置を前記帯体の環状に保持し、
前記調整部は、前記短手方向の長さが前記帯体の前記短手方向の長さと同様に、かつ、前記長手方向の長さが前記帯体の厚さの二倍と同様の大きさにて成る開口部を有する環状部と、
上記環状部の前記長手方向の一方の一端軸および他方の他端軸の内、前記一端軸の前記短手方向の一端に連結された第一保持部と、
前記一端軸の前記短手方向の他端に連結されるとともに、前記第一保持部と所定距離離反して形成された第二保持部とをそれぞれ有する前記第一留め具および前記第二留め具を備え、
前記帯体の長手方向の一端は、前記帯体の前記他方面側から、前記第一留め具の前記第一保持部と前記第二保持部との離反されている箇所に挿入され、前記第一留め具の前記開口部に挿入され、前記帯体の前記一方面側に送出されて、前記帯体を厚さ方向に重ねて固着しているズレ止めベルト。
【請求項2】
前記帯体の前記長手方向の一端に近い方から任意の長さをそれぞれ隔てた凸部を、第一凸部、第二凸部、第三凸部とすると、
前記第一凸部は、前記第二留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に配置され、前記第一凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とにそれぞれ保持され、
前記第二凸部は、前記第一留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に配置され、前記第二凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とに保持され、
前記第三凸部は、前記第二留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に前記第一凸部に重なるように配置され、前記第三凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とに保持され請求項1に記載のズレ止めベルト。
【請求項3】
前記帯体の前記長手方向の他端には、前記帯体の厚さより厚さが薄く、かつ、前記帯体の摩擦係数より摩擦係数が小さく、かつ、両面が平坦にて成る通し布部が接続して形成される請求項2に記載のズレ止めベルト。
【請求項4】
前記スベリ止め部は、前記帯体の前記一方面の前記短手方向の両端側の2箇所に、前記長手方向に連続して形成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のズレ止めベルト。
【請求項5】
前記帯体の前記他方面の少なくとも1箇所に、予備スベリ止め部が形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のズレ止めベルト。
【請求項6】
前記縦糸には、第一糸と、前記第一糸より伸縮性の低い第二糸にて成り、
前記横糸には、前記第一糸より伸縮性の低い第三糸にて成り、
前記第一糸は、ゴム糸にて成り、
前記第二糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸の少なくともいずれか一つにて成り、
前記第三糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸のいずれかにて成る請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のズレ止めベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自由度が高く、かつ、使用感に優れたズレ止めベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の帯状物は、長手方向に弾性伸縮自在な帯状物本体と、上記帯状物本体の幅方向の一端側または両端側に、長手方向に帯状物に沿って所要間隔で複数設けてあり、弾性紐状物によって形成されている掛け部とを有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のシャツずれ防止ベルトは、シャツの裾ズレあがりを防ぐもので、2つのボタンで留めることができ、ラバー製のゴムにて形成される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-80501号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】“スポーツベルトシャツずれ防止ベルト”[平成30年5月28日検索]、インターネット<https://www.amazon.co.jp/Peace%E5%B7%A5%E6%88%BF-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%B7%A5%E6%88%BF-%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88-%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84%E3%81%9A%E3%82%8C%E9%98%B2%E6%AD%A2%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88-L/dp/B007M2T8J8>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の帯状物をズレ止めベルトとして使用するため、ズボンなどのウエスト部に装着するには、帯状物に掛け部を形成し、更に、この掛け部を設置するためのボタンをズボンのウエスト部に形成する必要がある。このように、帯状物を装着するためにはズボン自体にボタンなどの構成物を形成することが必須に成り自由度が低いという問題点があった。
【0007】
また、従来のシャツずれ防止ベルトは、使用するために、ズボンなどにボタンなどを必要としないものの、ラバー製のゴムにて形成されているため、締め付けがきつくて長時間の使用に耐えない、また、通気性が悪く長時間の使用に耐えないなど、使用感が悪いという問題点があった。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、自由度が高く、かつ、使用感に優れたズレ止めベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示されるズレ止めベルトは、
長手方向に配置される縦糸と短手方向に配置される横糸との織物または編物の帯体で、前記帯体の一方面は平坦にて成り、他方面には複数の略矩形形状の凸部を前記長手方向に間隔を隔てて複数個有し、かつ、前記凸部は前記長手方向の一対の端辺同士が前記長手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は前記短手方向の一対の端辺同士が前記短手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有する前記帯体と、
前記帯体の前記一方面の前記短手方向の少なくとも1箇所に、前記長手方向に連続して形成され、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有するスベリ止め部と、
前記帯体を環状に保持するとともに、前記帯体の前記長手方向の保持する位置を変更して前記環状の大きさを調整する調整部とを備え、
前記調整部は、第一留め具および第二留め具を有し、
前記第一留め具は、前記環状の大きさを決定し、
前記第二留め具は、前記第一留め具で決定された前記環状の大きさの残りの前記帯体の位置を前記帯体の環状に保持し、
前記調整部は、前記短手方向の長さが前記帯体の前記短手方向の長さと同様に、かつ、前記長手方向の長さが前記帯体の厚さの二倍と同様の大きさにて成る開口部を有する環状部と、
上記環状部の前記長手方向の一方の一端軸および他方の他端軸の内、前記一端軸の前記短手方向の一端に連結された第一保持部と、
前記一端軸の前記短手方向の他端に連結されるとともに、前記第一保持部と所定距離離反して形成された第二保持部とをそれぞれ有する前記第一留め具および前記第二留め具を備え、
前記帯体の長手方向の一端は、前記帯体の前記他方面側から、前記第一留め具の前記第一保持部と前記第二保持部との離反されている箇所に挿入され、前記第一留め具の前記開口部に挿入され、前記帯体の前記一方面側に送出されて、前記帯体を厚さ方向に重ねて固着している。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示されるズレ止めベルトによれば、自由度が高く、かつ、使用感に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1によるズレ止めベルトの構成を示す図である。
図2図1に示したズレ止めベルトを環状にした状態を示す斜視図である。
図3図1に示したズレ止めベルトの留め具の構成を示す平面図である。
図4図1に示したズレ止めベルトを装着する方法を示す図である。
図5図1に示したズレ止めベルトを装着する方法を示す図である。
図6図1に示したズレ止めベルトを装着した状態を示す図である。
図7図1に示したズレ止めベルトを装着した状態を示す図である。
図8】実施の形態1によるズレ止めベルトの他の構成を示す図である。
図9】実施の形態2によるズレ止めベルトの構成を示す図である。
図10図9に示したズレ止めベルトを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1によるズレ止めベルト1の構成を示す図である。図1はズレ止めベルト1を環状に形成する前の状態を示している。図1の図面上、上方の図は、ズレ止めベルト1の他方面22から見た状態を示す平面図、下方の図はズレ止めベルト1の一方面21から見た状態を示す平面図である。図2図1に示したズレ止めベルト1を調整部4を用いて環状にした状態の構成を示す斜視図である。
【0013】
図3図1に示したズレ止めベルト1の調整部4としての第一留め具41および第二留め具42の構成を示す平面図である。図4および図5図1に示したズレ止めベルト1を装着する方法を示す図である。図4はズレ止めベルト1の他方面22を表側にして装着した状態を示す図である。図5はズレ止めベルト1の一方面21を表側にして装着した状態を示す平面図である。
【0014】
図6および図7図1に示したズレ止めベルト1を装着した状態を示す図である。図6はズボン82を着用した状態を示す図である。図7はズボン82を着用した状態におけるズボン82とズレ止めベルト1とシャツ81との関係を、ズレ止めベルト1の厚さ方向Zについて示した図である。図8は実施の形態1によるズレ止めベルトの他の構成を示す図である。
【0015】
図において、ズレ止めベルト1は、帯体2と、スベリ止め部3と、調整部4とにて構成される。帯体2は、長手方向Xに配置される縦糸と短手方向Yに配置される横糸との織物または編物にて構成され、長手方向Xに伸縮する伸縮性を有する。例えば、縦糸には、第一糸と、第一糸より伸縮性の低い第二糸にて成る。例えば、横糸には、第一糸より伸縮性の低い第三糸にて成る。第一糸は、ゴム糸にて成る。第二糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸の少なくともいずれか一つにて成る。第三糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸のいずれかにて成る。
【0016】
帯体2は織物または編物にて構成されるため、長手方向Xおよび短手方向Yにおいて折り曲げ自在であり、過度な力を加えない限り、折り曲げても元の形状に復元する。帯体2の帯体2の短手方向Yの長さH1は、40mm±1mmに形成される。帯体2の厚さ方向Z(図7参照)の厚さT1は、1mm±1mmに形成される。
【0017】
帯体2の一方面21は平坦にて成り、他方面22には複数の略矩形形状の凸部5を長手方向Xに間隔を隔てて複数個形成される。凸部5は、長手方向Xの一対の端辺51同士が、長手方向Xに沿って平行に形成される。凸部5は、短手方向Yの一対に端辺52同士が短手方向Yに沿って平行に形成される。凸部5は、厚さ方向Zに伸縮する伸縮性を有する。
【0018】
凸部5の大きさは、例えば、凸部5の短手方向Yの長さH2は、35mm±1mmに形成される。凸部5の長手方向Xの長さW1は、12mm±1mmに形成される。また、長手方向Xにおいて隣接する凸部5同士の間隔W2は、2mm±1mmに形成される。尚、凸部5は、帯体2を織物または編物にて形成されるため、織り方または編み方のパターンにより容易に形成することが可能である。また、凸部5は図面上においては、便宜上、矩形形状にて示しているが、本来、帯体2は織物または編物にて形成されるため、矩形形状の角部はR形状にて形成される。
【0019】
スベリ止め部3は、帯体2の一方面20の短手方向Yの両端側の2箇所に、長手方向Xに連続して形成された第一スベリ止め部31および第二スベリ止め部32にて形成される。スベリ止め部3は、スベリが発生しない材質、すなわち、摩擦係数の高い材質で形成され、例えば、シリコーン樹脂をプリント加工して構成される。また、スベリ止め部3は、長手方向Xに伸縮する伸縮性を有し、帯体2の長手方向Xの伸縮性を阻害せず、スベリ止めの効果が得られるものである。また、スベリ止め部3は、ここでは、長手方向Xに連続する直線状にて形成する例を示しているが、例えば、長手方向Xに連続する波線状にて形成することも可能である。
【0020】
調整部4は、帯体2を環状に保持するとともに、帯体2の長手方向Xの保持する位置を変更して環状の大きさを調整する。ここでは、調整部4は、第一留め具41および第二留め具42により構成される。
【0021】
図3に示すように、第一留め具41および第二留め具42は、環状部70と、第一保持部91と、第二保持部92とを有する。環状部70は、開口部73を有する。開口部73の短手方向Yの長さH3は、帯体2が挿入可能な大きさであればよく、帯体2の短手方向Yの長さH1と同様に形成される。また、開口部73の長手方向Xの長さW3は、帯体2が二枚重なった状態で挿入可能であればよく、帯体2の厚さT1(凸部5が形成されていない箇所)の二倍と同様の大きさにて形成される。
【0022】
また、長手方向Xの長さW4は、開口部73の長さW3と同様の長さにて形成される。環状部70は長手方向Xの一方の一端軸71および他方の他端軸72を有する。第一保持部91は一端軸71の短手方向Yの一端に連結され形成される。第二保持部92は一端軸71の短手方向Yの他端に連結されるとともに、第一保持部91と所定距離離反して形成される。離反する短手方向Yの長さH4は、帯体2を短手方向Yに折り曲げながら着脱可能な大きさであればよく、20mm±1mmに形成される。
【0023】
帯体2の長手方向Xの一端201は、第一留め具41の一端軸71に係止される。具体的には、図1に示すように、帯体2の長手方向Xの一端を、帯体2の他方面22側から、第一留め具41の第一保持部91と第二保持部92との離反されている箇所から挿入し、第一留め具41の開口部73に挿入して、帯体2の一方面21側に送出して、帯体2を厚さ方向Zに重ねて縫い付ける。これにより、帯体2の一端201は、第一留め具41の一端軸71に係止できる。
【0024】
帯体2の長手方向Xの一端201に近い方から任意の長さをそれぞれ隔ててた凸部5を、第一凸部501(図1参照)、第二凸部502(図2参照)、第三凸部503(図2参照)とすると、第一凸部501は第二留め具42に係止され、第二凸部502は第一留め具41に係止され、第三凸部503は第二留め具42によりかつ第一凸部501上に係止される。第二凸部502の任意の位置は、ズレ止めベルト1の環状の大きさを決定するための位置となる。また、第一凸部501と第三凸部503との任意の位置は、ズレ止めベルト1の環状の大きさが調整された残りの帯体2の他端202側の部分の位置を保持するための位置となる。
【0025】
帯体2の長手方向Xの他端202には、帯体2の厚さT1より厚さが薄く、かつ、帯体2の摩擦係数より摩擦係数が小さく、かつ、両面が平坦にて成る通し布部6が縫い付けられ、接続して形成される。通し布部6は、例えば、サテン生地にて形成される。
【0026】
次に、上記のように構成された実施の形態1のズレ止めベルト1の使用方法について説明する。まず、図1に示したように、ズレ止めベルト1の帯体2の第一凸部501を、第二留め具42の開口部73に帯体2の他端202側から挿入して一端軸71上に配置し、第一凸部501の長手方向Xの一対の端辺52が、他端軸72と第一保持部91および第二保持部92とにそれぞれ保持された状態とする。
【0027】
この開口部73に帯体2を挿入する際には、上記に示したように帯体2の他端202側から挿入する。すなわち、通し布部6をまず開口部73に挿入して、その後、帯体2を開口部73に導くことができる。通し布部6は、帯体2より厚みが薄く、かつ、帯体2の摩擦係数より小さな摩擦係数を有するため、開口部73に容易に挿入することが可能と成る。このため、開口部73への帯体2の挿入は、通し布部6を長手方向Xに引っ張るだけで可能と成るため容易に行うことができる。
【0028】
次に、図1に示した状態のズレ止めベルト1を、使用者が着用しているシャツ81上のウエスト付近に、帯体2の他方面22が表側に成るように設置する。次に、第二凸部502を、第一留め具41の開口部73に帯体2の他端202側から挿入して一端軸71上に配置し、第二凸部502の長手方向Xの一対の端辺52が、他端軸72と第一保持部91および第二保持部92とに保持する。この開口部73に帯体2を挿入する際には、帯体2の他端202側から挿入することと成るため、上記に示した場合と同様に容易に行うことができる。このように、この第二凸部502を第一留め具41に保持した時点において、ズレ止めベルト1の環状の大きさは調整される。
【0029】
次に、ズレ止めベルト1の環状の大きさが調整された残りの帯体2の他端202側の部分の位置を保持するために、第三凸部503を、第二留め具42の開口部73に帯体2の他端202側から挿入して一端軸71上に第一凸部501に重なるように配置し、第三凸部503の長手方向Xの一対の端辺52が、他端軸72と第一保持部91および第二保持部92とに保持される(図4)。この開口部73に帯体2を挿入する際には、帯体2の他端202側から挿入することと成るため、上記に示した場合と同様に容易に行うことができる。
【0030】
この第一凸部501、第二凸部502、第三凸部503の位置を適宜調整して設定し、上記に示したように配置すると、環状の大きさは自由に調整可能と成る。具体的に、使用者のウエスト部分が、図2に示した場合の環状の大きさより小さく環状を形成する必要がある場合、環状の大きさを決定する第一留め具41に保持する第二凸部502と、ズレ止めベルト1の環状の大きさが調整された残りの帯体2の他端202側の部分の位置を保持するための第二留め具42に保持する第一凸部501および第三凸部503との長手方向Xの間隔は、図2に示した以上の長さになる。このような場合であっても、ズレ止めベルト1の環状の大きさが調整できるとともに、ズレ止めベルト1の環状の大きさが調整された残りの帯体2の他端202側の部分の位置を確実に保持できる。
【0031】
次に、このように環状の大きさが調整された後に、帯体2の他方面22を反転させて、図5に示すように、帯体2の一方面21を表側にする。そして、通常と同様にズボン82を着用すると、図6に示すように、ズボン82内であって、シャツ81とズボン82との間に、ズレ止めベルト1が装着される。図7に示すように、ズボン82側は、スベリ止め部3により、ズボン82とズレ止めベルト1とはズレが防止される。また、スベリ止め部3は帯体2の一方面20の短手方向Yの両端側の2箇所に、長手方向Xに連続して形成された、第一スベリ止め部31および第二スベリ止め部32を有するため、帯体2の短手方向Yの両端側のそれぞれにてズレを確実に防止できる。また、シャツ81側は、帯体2の凸部5により、シャツ81とズレ止めベルト1とはズレが防止される。これにより、ズレ止めベルト1はシャツ81とズボン82とのズレを防止でき、シャツ81がズボン82のウエスト部分から外に出ることが防止できる。
【0032】
また、凸部5は、矩形形状にて形成され、その長手方向Xの一対の端辺51同士が短手方向Yにて平行に形成され、かつ、凸部5はその短手方向Yの一対に端辺52同士が長手方向Xにて平行に形成されているため、長手方向Xに隣接する凸部5間には平坦の箇所の間隔W2が形成される。よって、図7に示すように、シャツ81側は、帯体2の長手方向Xに隣接する凸部5間において、短手方向Yに空気の流れる間隔W2の隙間となる。これにより、ズレ止めベルト1とシャツ81との間の蒸れを低減できる。また、帯体2は織物または編物にて構成されるため、帯体2の一方面21から他方面22への厚さ方向Zにおける通気性は優れている。
【0033】
尚、図4に示した、調整部4を利用したズレ止めベルト1の環状の大きさの調整は一例であり、使用者に装着する前に、予め、調整部4によりズレ止めベルト1の環状の大きさを調整した後に、使用者に装着してもよい。
【0034】
図4に示したように、環状の大きさを一旦設定すれば、同様の使用者が同様の状態にて使用する場合には、帯体2は長手方向Xに伸縮して、環状の大きさが伸び縮みするので、次回の使用からはズレ止めベルト1の着脱は、調整部4にて調整することなく、足先からウエスト部分まで持ち上げて着用したり、また、頭からかぶってウエスト部分まで下げて着用したり、当該環状の状態のままでの着脱が可能となる。
【0035】
図5に示した状態とすることなく、図4に示したように、帯体2の他方面22を表側にした状態にて使用することも可能である。その場合、シャツ81側は、スベリ止め部3により、シャツ81とズレ止めベルト1とはズレが防止される。また、ズボン82側は、帯体2の凸部5により、ズボン82とズレ止めベルト1とはズレが防止される。これにより、ズレ止めベルト1はシャツ81とズボン82とのズレを防止でき、シャツ81がズボン82のウエスト部分から外に出ることが防止できる。但し、図5に示した状態のように、ズレ止めベルト1の帯体2の凸部5がシャツ81側に装着される方が、先に示した蒸れの低減に優れ、かつ、使用者に凸部5が接するため使用感に優れていると言える。
【0036】
また、別の使用者が使用する場合、また、同一の使用者が使用する場合であっても状態が変更される場合などには、上記に示したように調整部4を用いて、ズレ止めベルト1の環状の大きさを変更して用いることができる。
【0037】
上記実施の形態1においては、調整部4を備える例を示したが、これに限られることはなく、帯体2は長手方向Xに伸縮性を有するため、ある程度の長手方向Xの長さ、すなわち環状の大きさに対する許容範囲がある。よって、図8に示すように、ズレ止めベルト1を、帯体2の長手方向Xの一端201と他端202との両端を縫い止めて接続して、環状に形成する。環状の大きさを調整する以外の使用方法などは上記実施の形態1において示した場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0038】
また、上記実施の形態1においては、スベリ止め部3を短手方向Yの両端側の2箇所に、長手方向Xに連続して形成する例を示したが、これに限られることはなく、スベリ止め部3を短手方向Yの1箇所、例えば、帯体2の短手方向Yの中央部に、長手方向Xに連続して形成してもよい。このように形成しても、帯体2の一方面21が接する箇所においては、帯体2の短手方向Yの1箇所においてズレが防止できる。
【0039】
尚、“スベリ止め部3を長手方向Xに連続して形成する”とは、帯体2の長手方向Xの全周全てに連続して形成する場合も考えられるが、これに限られるものではなく、スベリ止め部3はズレが防止できる程度に長手方向Xにある程度の長さ連続して形成されていれば良い。
【0040】
上記のように構成された実施の形態1のズレ止めベルトによれば、
長手方向に配置される縦糸と短手方向に配置される横糸との織物または編物の帯体で、前記帯体の一方面は平坦にて成り、他方面には複数の略矩形形状の凸部を前記長手方向に間隔を隔てて複数個有し、かつ、前記凸部は前記長手方向の一対の端辺同士が前記長手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は前記短手方向の一対の端辺同士が前記短手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し、前記長手方向に伸縮性を有する前記帯体と、
前記帯体の前記一方面の前記短手方向の少なくとも1箇所に、前記長手方向に連続して形成され、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有するスベリ止め部と、
前記帯体を環状に保持するとともに、前記帯体の前記長手方向の保持する位置を変更して前記環状の大きさを調整する調整部とを備えたので、
ズレ止めベルトの着用に対して、ズボンおよびシャツなどに他の構成物が必要なく着用できるため、自由度が増す。また、帯体の一方面が接する箇所においては、スベリ止め部によりズレが防止され、帯体の他方面が接する箇所においては、凸部によりズレが防止されるため、ズレ防止に有効的である。また、帯体は織物または編物にて形成されているため、通気性に優れて、かつ、装着性に優れているため、長時間使用しても違和感がなく使用感に優れている。また、帯体の他方面では、長手方向に隣接する凸部間において、空気の流れを得ることができるため、帯体の他方面が接する箇所において、蒸れが低減できる。また、調整部により環状の大きさを調整できるため使用範囲に対する自由度が増す。
【0041】
また、前記調整部は、前記短手方向の長さが前記帯体の前記短手方向の長さと同様に、かつ、前記長手方向の長さが前記帯体の厚さの二倍と同様の大きさにて成る開口部を有する環状部と、
上記環状部の前記長手方向の一方の一端軸および他方の他端軸の内、前記一端軸の前記短手方向の一端に連結された第一保持部と、
前記一端軸の前記短手方向の他端に連結されるとともに、前記第一保持部と所定距離離反して形成された第二保持部とをそれぞれ有する第一留め具および第二留め具を備え、
前記帯体の前記長手方向の一端に近い方から任意の長さをそれぞれ隔ててた凸部を、第一凸部、第二凸部、第三凸部とすると、
前記帯体の前記長手方向の一端は、前記第一留め具の前記一端軸に係止され、
前記第一凸部は、前記第二留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に配置され、前記第一凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とにそれぞれ保持され、
前記第二凸部は、前記第一留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に配置され、前記第二凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とに保持され、
前記第三凸部は、前記第二留め具の前記開口部に前記帯体が挿入され前記一端軸上に前記第一凸部に重なるように配置され、前記第三凸部の前記長手方向の一対の端辺が、前記他端軸と前記第一保持部および前記第二保持部とに保持され前記環状の大きさを調整するので、
環状の大きさを容易にかつ簡便に調整することができる。また、ズレ止めベルトの環状の大きさが調整された残りの帯体の他端側の部分の位置を確実に保持でき、使用性に優れている。
【0042】
また、前記帯体の長手方向の他端には、前記帯体の厚さより厚さが薄く、かつ、前記帯体の摩擦係数より摩擦係数が小さく、かつ、両面が平坦にて成る通し布部が接続して形成されるので、
ズレ止めベルトを環状の形状に容易に形成することができる。
【0043】
また、長手方向に配置される縦糸と短手方向に配置される横糸との織物または編物の帯体で、前記帯体の一方面は平坦にて成り、他方面には複数の略矩形形状の凸部を前記長手方向に間隔を隔てて複数個有し、かつ、前記凸部は前記長手方向の一対の端辺同士が前記長手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は前記短手方向の一対の端辺同士が前記短手方向に沿って平行に形成され、かつ、前記凸部は厚み方向に伸縮する伸縮性を有し、前記長手方向に伸縮性を有する前記帯体と、
前記帯体の前記一方面の前記短手方向の少なくとも1箇所に、前記長手方向に連続して形成され、前記長手方向に伸縮する伸縮性を有するスベリ止め部とを備え、
前記帯体の前記長手方向の両端が接続され環状に形成されるので、
ズレ止めベルトの着用に対して、ズボンおよびシャツなどに他の構成物が必要なく着用できるため、自由度が増す。また、帯体の一方面が接する箇所においては、スベリ止め部によりズレが防止され、帯体の他方面が接する箇所においては、凸部によりズレが防止されるため、ズレ防止に有効的である。また、帯体は織物または編物にて形成されているため、通気性に優れて、かつ、装着性に優れているため、長時間使用しても違和感がなく使用感に優れている。また、帯体の他方面では、長手方向に隣接する凸部間において、空気の流れを得ることができるため、帯体の他方面が接する箇所において、蒸れが低減できる。また、ズレ止めベルトの環状の大きさは、帯体の長手方向の伸縮に限られるものの、調整部を必要としないため、簡便な構成と成り低コストと成る。また、調整部を必要としないため、装着時の使用感に優れている。また、調整部を必要としないため、洗濯を簡便に行うことができる。
【0044】
また、前記スベリ止め部は、前記帯体の前記一方面の前記短手方向の両端側の2箇所に、前記長手方向に連続して形成されるため、帯体の一方面が接する箇所においては、帯体の短手方向の両端側の2箇所においてズレが防止されるため、ズレの防止が確実となる。
【0045】
また、前記縦糸には、第一糸と、前記第一糸より伸縮性の低い第二糸にて成り、
前記横糸には、前記第一糸より伸縮性の低い第三糸にて成り、
前記第一糸は、ゴム糸にて成り、
前記第二糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸の少なくともいずれか一つにて成り、
前記第三糸は、ポリエステル糸、またはナイロン糸、または綿糸のいずれかにて成るので、帯体の長手方向の伸縮を確実に得ることができる。
【0046】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、帯体2の一方面21上のみにスベリ止め部3を備える例を示したが、これに限られることはなく、帯体2の他方面22上に予備スベリ止め部30を備えてもよい。図9は実施の形態2によるズレ止めベルト1の構成を示す図である。図9はズレ止めベルト1を環状に形成する前の状態を示している。図9は、ズレ止めベルト1の他方面22から見た状態を示す平面図である。図10図9に示したズレ止めベルトを装着した状態を示す図である。図10はズボン82を着用した状態におけるズボン82とズレ止めベルト1とシャツ81との関係を、ズレ止めベルト1の厚さ方向Zについて示した図である。
【0047】
図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。帯体2の他方面22上に、予備スベリ止め部30を形成する。予備スベリ止め部30は、凸部5上であって、凸部5の一対の端辺51に沿って、第一予備スベリ止め部33および第二予備スベリ止め部34がそれぞれ形成される。
【0048】
上記のように構成された実施の形態2のズレ止めベルト1を上記実施の形態1と同様にシャツ81とズボン82との間に装着すると、図10に示すように、ズボン82側は、スベリ止め部3により、ズボン82とズレ止めベルト1とはズレが防止される。また、シャツ81側は、帯体2の凸部5および予備スベリ止め部30により、シャツ81とズレ止めベルト1とはズレが更に防止される。これにより、ズレ止めベルト1はシャツ81とズボン82とのズレを更に防止でき、シャツ81がズボン82のウエスト部分から外に出ることが更に防止できる。
【0049】
尚、予備スベリ止め部30は、帯体2の凸部5の一対の端辺51に沿って形成する例を示したが、これに限られることはなく、帯体2の他方面22上であればよい。但し、凸部5が厚さ方向Zに突出しているため、凸部5上のいずれかの位置に形成されることが好ましい。また、予備スベリ止め部30は、帯体2の長手方向Xに不連続に形成する例を示したが、これに限られることはなく、帯体2の長手方向Xに連続して形成することも考えられる。
【0050】
上記のように構成された実施の形態2のズレ止めベルトは、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、
前記帯体の前記他方面の少なくとも1箇所に、予備スベリ止め部が形成されるので、帯体の他方面側に配置される例えばシャツに対して更にズレを防止できる。
【0051】
本開示は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、一つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも一つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、更に、少なくとも一つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 ズレ止めベルト、2 帯体、21 一方面、22 他方面、201 一端、
202 他端、3 スベリ止め部、30 予備スベリ止め部、31 第一スベリ止め部、32 第二スベリ止め部、4 調整部、41 第一留め具、42 第二留め具、
5 凸部、51 一対の端辺、52 一対に端辺、6 通し布部、70 環状部、
71 一端軸、72 他端軸、73 開口部、81 シャツ、82 ズボン、
91 第一保持部、92 第二保持部、H1 長さ、H2 長さ、H3 長さ、
H4 長さ、T1 厚さ、W1 長さ、W2 間隔、W3 長さ、W4 長さ、
X 長手方向、Y 短手方向、Z 厚さ方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10