(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】下肢用マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61H7/00 322D
A61H7/00 322F
(21)【出願番号】P 2018161546
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原島 徹
(72)【発明者】
【氏名】大内 聡
(72)【発明者】
【氏名】津田 伸明
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-250813(JP,A)
【文献】登録実用新案第3188361(JP,U)
【文献】登録実用新案第3088298(JP,U)
【文献】特開2009-213733(JP,A)
【文献】特開2014-014615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置であって、
筐体と、
前記筐体の後部から挿入された被施療者の下肢を前記筐体内に収容するための収容部と、
前記収容部に配置され、被施療者の各下肢を施療するための施療部と、
前記収容部の後部近傍に配置された支持体と、を備え、
前記支持体は、前記収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持するように構成されて
おり、
前記支持体は、前記収容部において前記施療部よりも後方に配置された第1支持用エアバッグを有しており、
前記第1支持用エアバッグは、前記収容部に収容された被施療者の各下肢の後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されており、
前記支持体は、前記筐体の後部に配置され、前記収容部を後方から覆うように閉塞可能な支持用帯部を有しており、
前記支持用帯部は、膨張状態の前記第1支持用エアバッグを介して、前記収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持する支持面を含む、下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置であって、
筐体と、
前記筐体の後部から挿入された被施療者の下肢を前記筐体内に収容するための収容部と、
前記収容部に配置され、被施療者の各下肢を施療するための施療部と、
前記収容部の後部近傍に配置された支持体と、を備え、
前記支持体は、前記収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持するように構成されており、
前記支持体は、前記筐体の後部に配置され、前記収容部を後方から覆うように閉塞可能な支持用帯部を有しており、
前記支持用帯部は、前記収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持する支持面を含
み、
前記支持用帯部には、中空状の空間部が形成されており、
前記空間部には、第2支持用エアバッグが配設されており、
前記第2支持用エアバッグは、前記支持用帯部が前記収容部を閉塞した状態において、前記収容部に収容された被施療者の各下肢の後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている、下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の下肢用マッサージ装置において、
前記支持用帯部には、前記支持面から前方に向かって突出した少なくとも1つの突起部を有する指圧体が設けられている、下肢用マッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用マッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1のように、被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置が知られている。
【0003】
具体的に、この特許文献1には、本体と、本体の上部に設けられていて、本体の上部から挿入された被施療者の各下肢を本体内に収容するための空間を有する足入れ部と、足入れ部の空間内に配置され、被施療者の各下肢を施療するための施療部(複数のエアバッグ)と、を備えた下肢用マッサージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の下肢用マッサージ装置では、被施療者の各下肢全体を覆うように足入れ部の空間内に収容することが可能となっている。すなわち、被施療者の各下肢は、足入れ部の空間内において安定した状態で収容されている。そして、特許文献1の下肢用マッサージ装置では、足入れ部の空間内に配置された施療部により被施療者の各下肢を適切に施療することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の下肢用マッサージ装置では、例えば椅子などに着座した状態の被施療者が足入れ部に各下肢を挿入する場合において、各下肢を本体の上部よりも上方に持ち上げてから足入れ部に挿入しなければならなかった。このように、特許文献1の下肢用マッサージ装置では、施療部により被施療者の各下肢を適切に施療することができる反面、被施療者の各下肢を足入れ部の空間内に収容することが容易ではなかった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被施療者の各下肢を容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢を適切に施療することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態は被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置に係るものであり、この下肢用マッサージ装置は、筐体と、筐体の後部から挿入された被施療者の下肢を筐体内に収容するための収容部と、収容部に配置され、被施療者の各下肢を施療するための施療部と、収容部の後部近傍に配置された支持体と、を備えている。支持体は、収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持するように構成されている。支持体は、収容部において施療部よりも後方に配置された第1支持用エアバッグを有している。第1支持用エアバッグは、収容部に収容された被施療者の各下肢の後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている。支持体は、筐体の後部に配置され、収容部を後方から覆うように閉塞可能な支持用帯部を有している。そして、支持用帯部は、膨張状態の第1支持用エアバッグを介して、収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持する支持面を含む。
【0009】
この第1の形態は、筐体の後部から挿入された被施療者の下肢を筐体内に収容するための収容部を備えている。これにより、被施療者は、椅子に着座した状態において、下肢を収容部内に挿入しやすくなる。また、支持体は、収容部の後部近傍に配置されていて、収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持するように構成されている。かかる構成により、収容部において被施療者の各下肢が施療部により施療されているときに、各下肢が収容部から筐体後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、被施療者の各下肢は、支持体により収容部内に安定的に支持される。その結果、被施療者の各下肢を、収容部において施療部により適切に施療することが可能となる。したがって、第1の形態では、被施療者の各下肢を容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢を適切に施療することができる。
【0010】
また、第1の形態では、各下肢が収容部から筐体後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、各下肢を収容部内に安定的に支持することができる。さらに、第1支持用エアバッグが被施療者の各下肢の後部を膨張により前方に向かって押圧することから、被施療者の各下肢の後部に対して施療することもできる。
【0011】
さらに、第1の形態では、支持体の支持用帯部により、第1支持用エアバッグが膨張の過程において収容部から筐体後部の外側に向かって移動しないようになる。その結果、被施療者の各下肢は、膨張状態の第1支持用エアバッグおよび支持用帯部の双方により収容部内に安定的に支持されるようになる。したがって、各収容部に収容された被施療者の各下肢を施療部により適切に施療することができる。
【0012】
第2の形態は、被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置であって、筐体と、筐体の後部から挿入された被施療者の下肢を筐体内に収容するための収容部と、収容部に配置され、被施療者の各下肢を施療するための施療部と、収容部の後部近傍に配置された支持体と、を備えている。支持体は、収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持するように構成されている。支持体は、筐体の後部に配置され、収容部を後方から覆うように閉塞可能な支持用帯部を有している。支持用帯部は、収容部に収容された被施療者の各下肢を後方から支持する支持面を含む。支持用帯部には、中空状の空間部が形成されている。空間部には、第2支持用エアバッグが配設されている。そして、第2支持用エアバッグは、支持用帯部が収容部を閉塞した状態において、収容部に収容された被施療者の各下肢の後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている。
【0013】
この第2の形態では、収容部により、被施療者が、椅子に着座した状態において、下肢を収容部内に挿入しやすくなる。また、支持体により、上記第1の形態と同様に、被施療者の各下肢を、収容部において施療部により適切に施療することが可能となる。したがって、第2の形態では、被施療者の各下肢を容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢を適切に施療することができる。
【0014】
また、第2の形態では、支持用帯部の支持面により、被施療者の各下肢が収容部から筐体後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、被施療者の各下肢は、支持体の支持面により収容部内に安定的に支持される。これにより、収容部において被施療者の各下肢が施療部により適切に施療される。したがって、被施療者の各下肢を容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢を適切に施療することができる。
【0015】
さらに、第2の形態では、被施療者の各下肢の後部を、支持用帯部の支持面を介して第2支持用エアバッグにより施療することができる。
【0016】
第3の形態は、第2の形態において、支持用帯部には、支持面から前方に向かって突出した少なくとも1つの突起部を有する指圧体が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この第3の形態では、被施療者の各下肢の後部に対して指圧効果を付与することができる。特に、第3の形態では、第2支持用エアバッグの膨張により指圧体が支持用帯部の支持面とともに前方に向かって移動することから、被施療者の各下肢の後部に対する指圧効果をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によると、被施療者の各下肢を容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢を適切に施療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置の構成を正面側から見て示す全体斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置の構成を背面側から見て示す全体斜視図である。
【
図3】
図3は、第1~第4施療用エアバッグと被施療者の下肢の各部位との位置関係を概略的に示す概略図である。
【
図4】
図4は、平面視において右側に位置する収容部近傍の各構成を部分的に拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図5】
図5は、第1施療用エアバッグが膨張する様子を概略的に示す
図4相当図である。
【
図6】
図6は、第1施療用エアバッグおよび第1支持用エアバッグの各々が膨張する様子を概略的に示す
図4相当図である。
【
図7】
図7は、
参考の実施形態に係る下肢用マッサージ装置おいて、右側に位置する収容部近傍の各構成を部分的に拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図8】
図8は、第
2実施形態に係る下肢用マッサージ装置おいて、右側に位置する収容部近傍の各構成を部分的に拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図9】
図9は、第
2実施形態に係る下肢用マッサージ装置おいて、指圧部をカバー部の収容部に収容する様子を概略的に示す概略図である。
【
図10】
図10は、第
3実施形態に係る下肢用マッサージ装置の構成を正面側から見て示す
図1相当図である。
【
図11】
図11は、第
3実施形態に係る下肢用マッサージ装置の構成を背面側から見て示す
図2相当図である。
【
図12】
図12は、その他の
参考の実施形態に係る下肢用マッサージ装置おいて、指圧部をカバー部の収容部に収容する様子を概略的に示す
図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
[第1実施形態]
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の全体を示している。この下肢用マッサージ装置1は、被施療者の下肢を施療するためのものである。
【0022】
以下の説明において、
図1に示した下肢用マッサージ装置1の視認側を前側(正面側)をとする一方、
図2に示した下肢用マッサージ装置1の視認側を後側(背面側)として定めるものとする。また、右側および左側とは、下肢用マッサージ装置1を正面側から見たときの左右方向における位置関係を表すものとする。
【0023】
(筐体)
図1および
図2に示すように、下肢用マッサージ装置1は、筐体2を備えている。筐体2内には、エアポンプ、電磁弁、給気用エアホースなどにより構成される空気給排気部(図示せず)が設けられている。
【0024】
筐体2の上部には、パネル状の操作部3が設けられている。操作部3には、下肢用マッサージ装置1の電源ON/OFF、各種マッサージコースの選択、および後述する各エアバッグにおける空圧施療の強弱調整などを行うためのものである。
【0025】
筐体2には、蓋部4が設けられている。蓋部4は、正面視で略矩形状に形成されている。蓋部4は、布状の連結部5により後述する前壁部7の上側に連結されている。蓋部4は、不使用時において前壁部7の正面側に配置される一方、使用時において筐体2の上部に配置されるように構成されている。そして、使用者は、蓋部4を筐体2の上部に載せた状態で下肢用マッサージ装置1の上側に座ることが可能となる。
【0026】
図2に示すように、筐体2は、基台部6を有している。基台部6は、筐体2の下部側に配置されている。基台部6は、板状に形成されている。基台部6は、筐体2の左右方向に延びかつ筐体2の後部から前部近傍に亘って延びている。基台部6の上面は、後述する収容部9に収容された被施療者の足裏を載置可能な載置面6aとして構成されている。
【0027】
図1および
図2に示すように、基台部6には、前壁部7が設けられている。前壁部7は、壁状に形成されている。前壁部7は、基台部6と一体形成されている。前壁部7は、側面視において下端部から上端部に向かって筐体2の後部に向かうように傾斜している。また、前壁部7は、平面視において、後述する中央壁部8aと各側壁部8bとの間に位置する部分の裏面が前方に向かって凹陥状に湾曲するように形成されている。
【0028】
基台部6には、中央壁部8aおよび側壁部8b,8bが設けられている。中央壁部8aおよび側壁部8b,8bは、基台部6および前壁部7と一体形成されている。中央壁部8aは、基台部6の左右方向略中央から上方に向かって壁状に延びている。側壁部8b,8bは、基台部6の左右方向の両端部から上方に向かって略壁状に延びている。
【0029】
(収容部)
次に、
図1および
図2に示すように、下肢用マッサージ装置1は、収容部9,9を備えている。各収容部9は、筐体2の後部から挿入された被施療者の各下肢Lを筐体2内に収容するためのものである。各収容部9は、基台部6、前壁部7、中央壁部8a、および側壁部8bにより囲まれた空間として構成されている。各収容部9は、筐体2の後方および上方に向かって開口している。収容部9,9は、筐体2の左右方向において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各収容部9には、例えば図示しないクッション材および布材が設けられている。
【0030】
(施療部)
図3に示すように、下肢用マッサージ装置1は、施療部10,10を備えている。施療部10,10は、被施療者の下肢L,Lを施療するためのものである。
【0031】
各施療部10は、少なくとも1つの施療用エアバッグを有している。具体的に、各施療部10は、第1施療用エアバッグ11,11と、第2施療用エアバッグ12,12と、第3施療用エアバッグ13,13と、第4施療用エアバッグ14と、を有している。各第1施療用エアバッグ11は、例えば軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いてブロー成形により製造される。第2施療用エアバッグ12,12ないし第4施療用エアバッグ14の各々についても、各第1施療用エアバッグ11と同様である。
【0032】
図4~
図6に示すように、各第1施療用エアバッグ11は、シート状に形成された取付部11aを有している。なお、第2施療用エアバッグ12,12ないし第4施療用エアバッグ14の各々についても、各第1施療用エアバッグ11と同様に、シート状に形成された取付部(図示せず)を有している。
【0033】
第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14は、収容部9内に配置されていて、上記空気給排気部から空気の供給を受けて膨張するように構成されている。そして、第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14は、収容部9において被施療者の下肢Lの各部位を押圧するように構成されている。
【0034】
第1施療用エアバッグ11,11は、被施療者の脹ら脛からすね側(特に足三里)に亘る部位を左右方向から押圧するように構成されている(
図5および
図6参照)。第2施療用エアバッグ12,12は、被施療者の足首近傍を左右方向から押圧するように構成されている。第3施療用エアバッグ13,13は、被施療者の足の甲部を左右方向から押圧するように構成されている。第4施療用エアバッグ14は、被施療者の足裏を下方から押圧するように構成されている。
【0035】
(カバー部)
図2および
図4~
図6に示すように、各収容部9には、カバー部15,15が設けられている。各カバー部15は、例えば伸縮性を有する生地材からなる。各カバー部15は、第1施療用エアバッグ11ないし第4施療用エアバッグ14および後述する第1支持用エアバッグ21を覆うように袋状に形成されている。
【0036】
(支持体)
次に、
図2に示すように、下肢用マッサージ装置1は、支持体20を備えている。支持体20は、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを後方から支持するように構成されている。支持体20は、収容部9,9の後部近傍に配置されている。
【0037】
図4~
図6に示すように、支持体20は、第1支持用エアバッグ21,21,…を有している。各第1支持用エアバッグ21は、例えば軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いてブロー成形により製造される。各第1支持用エアバッグ21は、シート状に形成された取付部21aを有している。
【0038】
第1支持用エアバッグ21,21は、収容部9の後部近傍に配置されている。具体的に、第1支持用エアバッグ21,21は、収容部9において第1施療用エアバッグ11,11よりも後方の位置に配置されている。
【0039】
第1施療用エアバッグ11,11および第1支持用エアバッグ21,21の各々は、中央壁部8aおよび側壁部8のいずれか一方に固定されている。具体的に、第1施療用エアバッグ11および第1支持用エアバッグ21は、取付部11a,21aの各々の先端部同士が互いに前後方向に重ね合わされた状態で締結部材Vにより中央壁部8aおよび側壁部8bのいずれか一方に取付固定されている。そして、
図6に示すように、第1支持用エアバッグ21は、収容部9に収容された被施療者の各下肢Lの後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている。
【0040】
また、
図1および
図2に示すように、支持体20は、固定部22,22および受台部23を有している。固定部22,22および受台部23は、後述する支持用帯部30,30を筐体2の後部に配置するためのものである。
【0041】
固定部22は、例えば四角柱状に形成されていて、側壁部8bの後面に取付固定されている。受台部23は、中央壁部8aの後面に取付固定されている。
【0042】
受台部23は、突出部23b,23bおよびフック部23a,23a,…を含んでいる。突出部23b,23bは、中央壁部8aの後面から後方に向かって突出するように形成されかつ左右方向に間隔をあけて配置されている。フック部23a,23aは、後述する各係止孔32を着脱可能に係止するためのものである。各フック部23aは、各突出部23bの内側面から左右方向に突出するように形成されている。また、各フック部23aは、その先端部が上方に向くように略鉤爪状に形成されている。フック部23a,23aは、上下方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0043】
次に、
図1および
図2に示すように、支持体20は、支持用帯部30,30を有している。各支持用帯部30は、例えば伸縮性を有する生地材からなる。各支持用帯部30は、各側壁部8b寄りの端部が固定部22に固定された状態で筐体2の後部に配置されている。
【0044】
各支持用帯部30は、前後方向において各収容部9と対向する支持面31を含む。また、各支持用帯部30には、各フック部23aに対し着脱可能に係止される係止孔32,32が形成されている。各係止孔32は、各支持用帯部30の一部が略四角形状に貫通するように形成されている。係止孔32,32は、固定部22の反対側に位置する端部寄りに配置されていて、上下方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0045】
各支持用帯部30には、係止孔32,32を補強するための補強部32aが設けられている。補強部32aは、各収容部9が各支持用帯部30により閉塞されていない状態(開状態)において、各側壁部8bの外側面に設けられた図示しないマグネット部材の磁力により吸着されるように構成されている。
【0046】
補強部32aは、例えば鉄などの磁性体からなり、上下方向に延びる略板状に形成されている。補強部32aは、各支持用帯部30において支持面31の反対側の面に配置されている。また、補強部32aは、各支持用帯部30において固定部22の反対側に位置する端部寄りに配置されている。補強部32aには、各係止孔32の位置に対応するように各係止孔32と同じ形状および同じ大きさの孔部が貫通形成されている。
【0047】
次に、
図1、
図2、および
図4に示すように、補強部32aが上記マグネット部材に吸着された状態では、各収容部9が各支持用帯部30により閉塞されていない状態(開状態)となる。一方、
図5に示すように、係止孔32,32がフック部23a,23aに係止された状態では、各収容部9が各支持用帯部30により閉塞された状態(閉状態)となる。このように、支持用帯部30は、収容部9を後方から覆うように閉塞可能となっている。そして、
図6に示すように、支持用帯部30は、支持面31が膨張状態の第1支持用エアバッグ21,21を介して収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを後方から支持するように構成されている。
【0048】
[第1実施形態の作用効果]
以上のように、下肢用マッサージ装置1は、筐体2の後部から挿入された被施療者の各下肢Lを筐体2内に収容するための収容部9,9を備えている。これにより、被施療者は、図示しない椅子に着座した状態において、各下肢Lを各収容部9内に挿入しやすくなる。また、下肢用マッサージ装置1は、収容部9,9の後部近傍に配置された支持体20を備えている。そして、支持体20は、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを後方から支持するように構成されている。かかる構成により、各収容部9において被施療者の各下肢Lが施療部10により施療されているときに、各下肢Lが各収容部9から筐体2後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、被施療者の各下肢Lは、支持体20により各収容部9内に安定的に支持される。その結果、被施療者の各下肢Lを、各収容部9において施療部10により適切に施療することが可能となる。したがって、第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置1では、被施療者の各下肢Lを容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢Lを適切に施療することができる。
【0049】
また、第1支持用エアバッグ21は、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lの後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている。かかる構成より、各下肢Lが各収容部9から筐体2後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、各下肢Lを各収容部9内に安定的に支持することができる。さらに、第1支持用エアバッグ21が被施療者の各下肢Lの後部を膨張により前方に向かって押圧することから、被施療者の各下肢Lの後部に対して施療することもできる。
【0050】
また、支持用帯部30は、膨張状態の第1支持用エアバッグ21,21を介して、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを後方から支持する支持面31を含む。このため、第1支持用エアバッグ21は、膨張の過程において、各支持用帯部30の支持面31により各収容部9から筐体2後部の外側に向かって移動しないようになる。その結果、被施療者の各下肢Lは、膨張状態の第1支持用エアバッグ21,21および各支持用帯部30の双方により各収容部9内に安定的に支持されるようになる。したがって、下肢用マッサージ装置1では、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを施療部10により適切に施療することができる。
【0051】
[
参考の実施形態]
図7は、
参考の実施形態に係る下肢用マッサージ装置1を示す。この実施形態では、上記第1実施形態と比較して、支持体20の構成が一部異なっている。なお、この実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の他の構成は、上記第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の構成と同様である。このため、以下の説明では、
図1~
図6と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
図7に示すように、この実施形態において、支持体20は、上記第1実施形態で示した第1支持用エアバッグ21,21,…を有していない。そして、各支持用帯部30は、支持面31が各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lを後方から支持するように構成されている。この各支持用帯部30の支持面31により、被施療者の各下肢Lが各収容部9から筐体2後部の外側に向かって抜け出にくくなる。すなわち、被施療者の各下肢Lは、支持面31により各収容部9内に安定的に支持される。これにより、各収容部9において被施療者の各下肢Lが施療部10により適切に施療される。
【0053】
したがって、この参考の実施形態に係る下肢用マッサージ装置1であっても、上記第1実施形態と同様に、被施療者の各下肢Lを容易に収容することができるとともに、被施療者の各下肢Lを適切に施療することができる。
【0054】
[第
2実施形態]
図8および
図9は、本発明の第
2実施形態に係る下肢用マッサージ装置1を示す。この実施形態では、上記
参考の実施形態と比較して、支持用帯部30,30の構成が一部異なっている。なお、この実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の他の構成は、上記
参考の実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の構成と同様である。このため、以下の説明では、
図7と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図8に示すように、この実施形態において、各支持用帯部30は、2枚の布材が互いに重ね合わされた状態で積層状に形成されている。そして、各支持用帯部30の内部には、中空状の空間部33が形成されている。この空間部33には、第2支持用エアバッグ34が配設されている。なお、第2支持用エアバッグ34は、第1支持用エアバッグ21の構成と略同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0056】
第2支持用エアバッグ34は、各支持用帯部30が各収容部9を閉塞した状態において、各収容部9に収容された被施療者の各下肢Lの後部を膨張により前方に向かって押圧するように構成されている。このため、被施療者の各下肢Lの後部を、各支持用帯部30の支持面31を介して第2支持用エアバッグ34により施療することができる。
【0057】
一方、
図9にも示すように、各支持用帯部30の支持面31には、指圧体40を収納可能なポケット部35が設けられている。ポケット部35は上方に開口している。このポケット部35には、指圧体40が収納されている。すなわち、指圧体40は、支持用帯部30に対して着脱可能となっている。
【0058】
指圧体40は、例えば熱可塑性エラストマーのような弾性を有する材料からなる。指圧体40は、平板状の板部41と、板部41の一方の面から突出した突起部42,42,…と、を有している。指圧体40は、各支持用帯部30のポケット部35に収納された状態において、突起部42,42,…が支持面31から前方に向かって突出するように構成されている。かかる構成により、被施療者の各下肢Lの後部に対して指圧効果を付与することができる。
【0059】
さらに、
図8に示すように、指圧体40は、第2支持用エアバッグ34の膨張により各支持用帯部30の支持面31とともに各収容部9に向かって移動可能となっている。これにより、被施療者の各下肢Lの後部に対する指圧効果をより一層高めることができる。
【0060】
[第
3実施形態]
図10および
図11は、本発明の第
3実施形態に係る下肢用マッサージ装置1を示す。この実施形態では、上記第1実施形態と比較して、支持体20の構成が一部異なっている。なお、この実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の他の構成は、上記第1実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の構成と同様である。このため、以下の説明では、
図1~
図6と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
この実施形態の支持体20では、上記第1実施形態で示したフック部23a,23a,…、係止孔32,32,…、および補強部32a,32aに代えて、以下に説明するような線ファスナ機構が設けられている。以下、この線ファスナ機構について詳述する。
【0062】
支持体20は、第1受台部51を有している。第1受台部51は、例えば四角柱状に形成されていて、中央壁部8aの後面に取付固定されている。第1受台部51における左右方向の両端部には、後述する第3係止部53を着脱可能に係止するための第1係止部51a,51aが設けられている。各第1係止部51aは、第1受台部51に取り付けられた布材および線ファスナの務歯により構成されている。各第1係止部51aには、上記務歯に対して上下方向にスライド可能な第1スライド部51bが設けられている。
【0063】
支持体20は、第2受台部52,52を有している。各第2受台部52は、例えば四角柱状に形成されていて、側壁部8bの外側面に取付固定されている。各第2受台部52の後部には、後述する第3係止部53を着脱可能に係止するための第2係止部52aが設けられている。各第2係止部52aは、例えば各第2受台部52に取り付けられた布材および線ファスナの務歯により構成されている。各第2係止部52aには、上記務歯に対して上下方向にスライド可能な第2スライド部52bが設けられている。
【0064】
支持体20は、第3係止部53,53を有している。各第3係止部53は、各支持用帯部30において、各固定部22の反対側に位置する端部寄りに形成されている。第3係止部53は、線ファスナの務歯により構成されている。
【0065】
このような線ファスナ機構を設けた形態であっても、上記第1実施形態と同様に、支持用帯部30,30が収容部9,9を閉塞することが可能となる。なお、この実施形態で示した上記線ファスナ機構を、上記第2実施形態に適用してもよい。
【0066】
[その他の実施形態]
上記第1実施形態では、支持体20が第1支持用エアバッグ21,21,…および支持用帯部30,30を有する形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、
図12に示すように、支持体20が第1支持用エアバッグ21,21,…のみを有する形態としてもよい。かかる形態であっても、第1支持用エアバッグ21,21,…の膨張状態を維持することにより、上述した支持体20としての作用効果を奏することができる。
【0067】
また、上記第1実施形態では、第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14ならびに第1支持用エアバッグ21,21の各々が軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いてブロー成形等により製造された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14ならびに第1支持用エアバッグ21,21の各々は、軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いて圧着成形等により製造されたものであってもよい。上記第2実施形態で示した第2支持用エアバッグ34についても、これと同様である。
【0068】
また、上記第1実施形態では、施療部10が第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14を有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、施療部10が第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14の少なくともいずれか1つのエアバッグを有する形態としてもよい。あるいは、第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14に代えて、施療部10が機械式の施療機構からなる形態であってもよい。上記第2実施形態についても、これと同様である。
【0069】
また、上記第1実施形態では、各収容部9に2つのカバー部15,15を設けた形態を示したが、この形態に限られない。例えば、1つのカバー部15のみを各収容部9に設けた形態としてもよい。かかる形態において、1つのカバー部15は、各収容部9に設けられた全てのエアバッグ(第1施療用エアバッグ11,11ないし第4施療用エアバッグ14および後述する第1支持用エアバッグ21,21)を覆うように構成されていてもよい。
【0070】
また、上記第2実施形態で示したポケット部35を支持用帯部30の支持面31に形成しかつ指圧体40をポケット部35に収納した形態としてもよい。かかる変形例であっても、上記第2実施形態と同様に、指圧体40により被施療者の各下肢Lの後部に対して指圧効果を付与することができる。
【0071】
また、上記第2実施形態では、指圧体40を支持用帯部30のポケット部35に収納可能な形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、上記第2実施形態で示したポケット部35の構成に代えて、例えば面ファスナなどの図示しない他の手段により指圧体40が支持用帯部30に対して着脱可能となるように構成してもよい。または、指圧体40が支持用帯部30と一体形成されていてもよい。さらには、指圧体40を設けない形態としてもよい。
【0072】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、被施療者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1:下肢用マッサージ装置
2:筐体
9:収容部
10:施療部
11:第1施療用エアバッグ
12:第2施療用エアバッグ
13:第3施療用エアバッグ
14:第4施療用エアバッグ
15:カバー部
20:支持体
21:第1支持用エアバッグ
30:支持用帯部
31:支持面
33:空間部
34:第2支持用エアバッグ
35:ポケット部
40:指圧体
41:板部
42:突起部