(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 13/10 20060101AFI20220405BHJP
B65G 47/54 20060101ALI20220405BHJP
B65G 47/64 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65G13/10
B65G47/54 B
B65G47/64
(21)【出願番号】P 2018518336
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2017018584
(87)【国際公開番号】W WO2017200019
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2016100768
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊之
(72)【発明者】
【氏名】鬮橋 義幸
(72)【発明者】
【氏名】下田 雅之
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174318(JP,A)
【文献】特許第3516343(JP,B1)
【文献】特開2013-095585(JP,A)
【文献】特表2013-500220(JP,A)
【文献】特開平06-298321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0116841(US,A1)
【文献】国際公開第2016/080362(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00-13/12
B65G 47/34-47/51,47/53-47/54
B65G 47/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を移動させる複数の搬送セルを有し、当該搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置であって、前記複数の搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた複数の方向変換機能付き搬送セルが含まれ、
複数の搬送セルには、それぞれ対応する制御手段があり、自己の搬送セルを駆動させることが可能であり、
複数の搬送セルにはアドレスが付されており、制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬送セルからの搬出方向を決定する
ことが可能であり、
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、
搬送物の移動に伴って、搬送物の搬送先に関する情報が受け渡されてゆくことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
搬送物を移動させる複数の搬送セルを有し、当該搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置であって、前記複数の搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた複数の方向変換機能付き搬送セルが含まれ、
複数の搬送セルには、それぞれ対応する制御手段があり、自己の搬送セルを駆動させることが可能であり、
複数の搬送セルにはアドレスが付されており、制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬送セルからの搬出方向を決定することが可能であり、
前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、搬送物の搬入元の搬送セルに対応する制御手段から前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、搬送物の搬出先の搬送セルに対応する制御手段に前記搬送先情報を発信する情報発信手段を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
搬送物を移動させる複数の搬送セルを有し、当該搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置であって、前記複数の搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた複数の方向変換機能付き搬送セルが含まれ、
複数の搬送セルには、それぞれ対応する制御手段があり、自己の搬送セルを駆動させることが可能であり、
複数の搬送セルにはアドレスが付されており、制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬送セルからの搬出方向を決定することが可能であり、
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、
搬送物の移動に伴って、搬送物の搬送先に関する情報が受け渡されてゆき、
前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、搬送物の搬入元の搬送セルに対応する制御手段から前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、搬送物の搬出先の搬送セルに対応する制御手段に前記搬送先情報を発信する情報発信手段を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
搬送物を移動させる複数の搬送セルを有し、当該搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置であって、前記複数の搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた複数の方向変換機能付き搬送セルが含まれ、
複数の搬送セルには、それぞれ対応する制御手段があり、自己の搬送セルを駆動させることが可能であり、
複数の搬送セルにはアドレスが付されており、制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬送セルからの搬出方向を決定することが可能であり、
搬送セルは、搬送物と接して回転又は走行する接触部材を有し搬送物を移動させる走行部と、前記走行部を支持する旋回台と、旋回用モータと、走行用モータと、ドライブシャフトを有し、
旋回用モータは、軸方向に貫通する貫通孔と、回転力を出力する出力部を有し、
前記貫通孔にドライブシャフトが挿通され、旋回用モータの下部に走行用モータがあり、走行用モータによってドライブシャフトが回転され、ドライブシャフトによって前記走行部が駆動され、旋回用モータの出力部に旋回台が直接または間接的に係合されていて旋回用モータによって旋回台及び走行部が旋回することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
旋回用モータと走行用モータは重なった位置にあることを特徴とする請求項
4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送セルに前記制御手段が設けられていることを特徴とする請求項1
乃至5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
複数の搬送セルを1グループとし、1グループに一個ずつ制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
複数の搬送セルは、その上に搬送物が有るか否かを検知する在荷センサーを1又は2以上有していることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
搬送先を特定する搬送先選定手段を有し、搬送物の搬送先に関する情報が、特定の搬送セルに対応する制御手段に入力されることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項10】
搬送セルは縦列と横列に並べられており、搬送セルに付されたアドレスは、縦列における位置に関連する縦列アドレスと、横列における位置に関連する横列アドレスを含み、
搬送物の搬送先についても縦列における位置に関連する縦列アドレスと、横列における位置に関連する横列アドレスを含み、
搬送物は搬送セルによって縦列方向又は横列方向に移動すると共に、搬送物の搬送先の縦列アドレス又は横列アドレスと、搬送セルの縦列アドレス又は横列アドレスを比較し、搬送セルによって縦列方向に移動して縦列アドレスが一致すると、搬送セルが搬送方向を変更して搬送物を横列方向に移動させ、搬送セルによって横列方向に移動して両者の横列アドレスが一致すると、搬送セルが搬送方向を変更して搬送物を縦列方向に移動させることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項11】
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段を有し、自己の搬送セルから隣接する搬送セルに搬送物の受け渡したことが認識されたことを条件として自己の搬送セルの搬送先記憶手段に記憶された搬送先情報が消去されることを特徴とする請求項1乃至
10のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項12】
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段を有し、隣接する搬送セルから自己の搬送セルに搬送物の受け渡したことが認識されたことを条件として搬送先記憶手段の情報が書換えられ、新たな搬送先情報が自己の搬送先記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1乃至
11のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項13】
搬送セルは、搬送物と接して回転又は走行する接触部材を有し搬送物を移動させる走行部と、前記走行部を支持する旋回台と、旋回用モータと、走行用モータを有し、
走行用モータによって前記走行部が駆動され、旋回用モータの出力部に旋回台が直接または間接的に係合されていて旋回用モータによって旋回台及び走行部が旋回することを特徴とする請求項1乃至
12のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項14】
搬送セルは、主搬送コンベヤと、副搬送コンベヤと、前記主搬送コンベヤ又は副搬送コンベヤの少なくとも一方を昇降させる昇降手段とを有し、前記主搬送コンベヤは一定の平面領域にあって搬送物を一定の方向に搬送する主搬送路を有し、前記副搬送コンベヤは主搬送路と同一の平面領域に配置されていて主搬送路の搬送方向に対して交差する方向に搬送物を搬送する副搬送路を有し、前記昇降手段によって一方の搬送路を他方の搬送路よりも上に上昇させて搬送物の搬送方向を変更するものであることを特徴とする請求項1乃至
13のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送する搬送装置に関するものであり、特に搬送物を複数の方向に搬出したり、複数の方向から搬送物を搬入する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配送場や集荷場、倉庫等では、数多くの種類の搬送物を取り扱う場合がある。また数多くの搬送物を仕分けて、トラックに積み込んだり、特定の棚に運ぶ場合がある。
従来技術においては、特許文献1,2,3の様な移載装置が複数設置された仕分けシステムによって搬送物の仕分けが行われていた。
特許文献1,2に記載の移載装置は、搬送物を直線的に通過させる主搬送路と、搬送物を直交する方向に搬出する副搬送路を有し、搬送物を別のコンベヤラインに載せ変えることができるものである。
特許文献3に記載の移載装置は、搬送物を直線的に通過させる主搬送路と、搬送物を斜め方向に排出する排出手段を有しており、搬送物を斜め方向に搬出して別のコンベヤラインに載せ変えることができるものである。
【0003】
従来技術の仕分けシステムは、前記した様な移載装置を多数配置してコンベヤラインを複雑に枝分かれさせたものである。そして当該仕分けシステムで搬送物を搬送し、元のコンベヤラインから枝分かれした支流のコンベヤラインに搬送物を受け渡し、搬出先を次第に絞り込んで行って目的の搬送先に搬送物を移動させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-163549号公報
【文献】特開2012-51680号公報
【文献】特開2015-163547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の移載装置は、導入された搬送物を2方向に選択的に搬出するものである。
そのため従来技術の仕分けシステムは、複雑に枝分かれしたコンベヤラインとなり、相当に大がかりなものとなる。即ち従来技術の仕分けシステムを構築するには、大きな設置場所を要する。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、多数の方向に搬送物を搬出することが可能な搬送装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための態様は、搬送物を移動させる複数の搬送セルを有し、当該搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置であって、前記複数の搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた複数の方向変換機能付き搬送セルが含まれ、複数の搬送セルには、それぞれ対応する制御手段があり、自己の搬送セルを駆動させることが可能であり、複数の搬送セルにはアドレスが付されており、制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬送セルからの搬出方向を決定することを特徴とする搬送装置である。
【0007】
本発明の搬送装置は、搬送セルが複数、面状に配置された搬送装置である。そして搬送セルには搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えた方向変換機能付きセルが複数含まれている。
本発明の搬送装置では、搬送セルにアドレスが付されている。制御手段は搬送セルに搬入された搬送物の搬送先と自己のアドレスに基づいて、搬送物が搬送先に近づく様に搬出方向を決定し、搬送方向変更手段を機能させて搬送物の進行方向を変える。そのため搬送物を、搬送装置の所望の位置から外部に搬出することができる。
【0008】
前記搬送セルに前記制御手段が設けられていることが望ましい。
【0009】
前記した各態様において、隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、搬送物の移動に伴って、搬送物の搬送先に関する情報が受け渡されてゆくことが望ましい。
【0010】
本態様の搬送装置では、搬送物の移動に伴って、搬送物の搬送先に関する情報が受け渡されてゆく。そのため搬送装置を総括する制御装置は、比較的能力の低いもので足る。また信号等の交信や演算を、個々の搬送セルに対応する制御手段が行うこととなるので、演算速度が速く、搬送セルの応答速度が速く、搬送物の搬送速度が速い。
【0011】
前記した各態様において、前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段と、搬送物の搬入元の搬送セルに対応する制御手段から前記搬送先情報を受けとる情報受入れ手段と、搬送物の搬出先の搬送セルに対応する制御手段に前記搬送先情報を発信する情報発信手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置を有することが望ましい。
【0012】
本態様の搬送装置では、個々の搬送セルに対応する制御手段に搬送先記憶手段と、情報受入れ手段と、情報発信手段がある。本態様の搬送装置では、搬送物が搬送セルを跨いで移動されるのに伴って、搬送先情報を上流側から下流側の搬送セルに受け渡して行く。そのため搬送物が例えば進行方向を変更すべき搬送セルに至った際に、搬送先情報も当該搬送セルに伝達されている。そのため搬送セルは伝達された搬送先に関する情報に基づいて動作し、搬送物を所望の方向に送りだすことができる。
【0013】
前記した各態様において、複数の搬送セルは、その上に搬送物が有るか否かを検知する在荷センサーを1又は2以上有していることが望ましい。
【0014】
前記した各態様において、搬送先を特定する搬送先選定手段を有し、搬送物の搬送先に関する情報が、特定の搬送セルに対応する制御手段に入力されることが望ましい。
【0015】
前記した各態様において、搬送セルは縦列と横列に並べられており、搬送セルに付されたアドレスは、縦列における位置に関連する縦列アドレスと、横列における位置に関連する横列アドレスを含み、搬送物の搬送先についても縦列における位置に関連する縦列アドレスと、横列における位置に関連する横列アドレスを含み、搬送物は搬送セルによって縦列方向又は横列方向に移動すると共に、搬送物の搬送先の縦列アドレス又は横列アドレスと、搬送セルの縦列アドレス又は横列アドレスを比較し、両者の縦列アドレス又は横列アドレスが一致すると、搬送セルが搬送方向を変更して搬送物を横列方向又は縦列方向に移動させることが望ましい。
【0016】
具体的には、搬送物は搬送セルによって縦列方向又は横列方向に移動すると共に、搬送物の搬送先の縦列アドレス又は横列アドレスと、搬送セルの縦列アドレス又は横列アドレスを比較し、搬送セルによって縦列方向に移動して縦列アドレスが一致すると、搬送セルが搬送方向を変更して搬送物を横列方向に移動させ、搬送セルによって横列方向に移動して両者の横列アドレスが一致すると、搬送セルが搬送方向を変更して搬送物を縦列方向に移動させることが望ましい。
【0017】
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段を有し、自己の搬送セルから隣接する搬送セルに搬送物の受け渡したことが認識されたことを条件として自己の搬送セルの搬送先記憶手段に記憶された搬送先情報が消去されることが望ましい。
【0018】
隣接する搬送セルとの間における搬送物の受け渡しを認識することが可能であり、前記制御手段は、搬送物の搬送先に関する搬送先情報を一時的に記憶する搬送先記憶手段を有し、隣接する搬送セルから自己の搬送セルに搬送物の受け渡したことが認識されたことを条件として搬送先記憶手段の情報が書換えられ、新たな搬送先情報が自己の搬送先記憶手段に記憶されることが望ましい。
【0019】
搬送セルは、搬送物と接して回転又は走行する接触部材を有し搬送物を移動させる走行部と、前記走行部を支持する旋回台と、旋回用モータと、走行用モータを有し、走行用モータによって前記走行部が駆動され、旋回用モータの出力部に旋回台が直接または間接的に係合されていて旋回用モータによって旋回台及び走行部が旋回することが望ましい。
【0020】
搬送セルは、搬送物と接して回転又は走行する接触部材を有し搬送物を移動させる走行部と、前記走行部を支持する旋回台と、旋回用モータと、走行用モータと、ドライブシャフトを有し、旋回用モータは、軸方向に貫通する貫通孔と、回転力を出力する出力部を有し、前記貫通孔にドライブシャフトが挿通され、旋回用モータの下部に走行用モータがあり、走行用モータによってドライブシャフトが回転され、ドライブシャフトによって前記走行部が駆動され、旋回用モータの出力部に旋回台が直接または間接的に係合されていて旋回用モータによって旋回台及び走行部が旋回することか望ましい。
【0021】
旋回用モータと走行用モータは重なった位置にあることが望ましい。
【0022】
搬送セルは、主搬送コンベヤと、副搬送コンベヤと、前記主搬送コンベヤ又は副搬送コンベヤの少なくとも一方を昇降させる昇降手段とを有し、前記主搬送コンベヤは一定の平面領域にあって搬送物を一定の方向に搬送する主搬送路を有し、前記副搬送コンベヤは主搬送路と同一の平面領域に配置されていて主搬送路の搬送方向に対して交差する方向に搬送物を搬送する副搬送路を有し、前記昇降手段によって一方の搬送路を他方の搬送路よりも上に上昇させて搬送物の搬送方向を変更するものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の搬送装置は、多数の方向に搬送物を搬出することが可能である。そのため本発明の搬送装置によると、狭い空間に仕分けシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態の搬送装置の斜視図である。
【
図2】
図1の搬送装置を構成する搬送セルの斜視図である。
【
図4】
図2の搬送セルの旋回用モータと走行用モータを分解した斜視図である。
【
図5】
図2の搬送セルのローラ駆動部分を斜め下方から見た部分斜視図である。
【
図6】
図2の搬送セルの動力系統を示すスケルトン図である。
【
図7】(a)は
図1の搬送装置の各搬送セルに対応する制御装置のブロック図及び隣接する制御装置の関係を示す回路図であり、(b)はアドレス記憶手段のメモリ領域を示す。
【
図8】
図1の搬送装置の各搬送セルに対応する制御装置の関連を説明する概念図である。
【
図9】
図1の搬送装置を含む仕分けシステムの概念図である。
【
図10】(a)、(b)は仕分けシステムの動作を示す説明図である。
【
図11】(a)、(b)は
図10に続く仕分けシステムの動作を示す説明図である。
【
図12】本発明の他の実施形態の搬送装置の概念図である。
【
図13】本発明の他の実施形態で採用する搬送セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の搬送装置2である。搬送装置2は、
図1の様に搬送セル1を面状に多数配列したものである。即ち多数の搬送セル1が面状に敷きつめられて搬送装置2が構成されている。本実施形態では、48個の搬送セル1が平面視して長方形状に配列されている。より具体的には、搬送装置2は搬送セル1が、縦に6列、横に8列、マトリクス状に並べられたものである。
【0026】
搬送セル1の外観は
図2の通りである。
搬送セル1は、搬送ローラ3によって搬送物を移動させる機能を有する。また搬送方向を変更する搬送方向変更手段を備えている。具体的には、搬送セル1は、旋回台6を有しており、搬送ローラ3の向きを変えることができ、搬送物の移動方向を変更することができる。
以下、搬送セル1の構造について説明する。搬送セル1は、
図2、
図3に示す様に、上から順に、走行部5、旋回台6、筐体7、旋回用モータ8、走行用モータ9等を有している。
筐体7は、搬送装置2の図示しない固定用構造物に固定されている。
筐体7には旋回用モータ8が固定されている。さらに旋回用モータ8の下に走行用モータ9が固定されている。
走行部5は、旋回台6に装着されている。
旋回台6は、旋回用モータ8に回転駆動可能に装着されている。
走行部5は、走行用モータ9と係合している。
これらの各構成について説明し、続いて搬送セル1の動作について説明する。
【0027】
走行部5は、
図3に示す様に、2つの搬送ローラ3(回転体)と駆動ローラ4(駆動体)を有している。
2つの搬送ローラ3は、後述の旋回台6に回転可能に支持されている。2つの搬送ローラ3の軸芯は平行である。2つの搬送ローラ3は所定の間隔を置いて配置され、搬送ローラ3の表面によって搬送物が載置(接触)される搬送面を構成している。
【0028】
2つの搬送ローラ3の下側の中央付近には、駆動ローラ4が配置されている。
図3、
図5に示す様に、駆動ローラ4は、押圧部21,22、傘歯車部23、軸部24を有している。
【0029】
押圧部21,22は、円周面を備えた円柱状を呈する部位である。
押圧部21,22は、所定の間隔を置いて配置されている。
押圧部21における押圧部22と対向する部位には、傘歯車部23が設けられている。押圧部21と傘歯車部23は一体であり、軸部24を介して押圧部22と連結されている。軸部24の両端は、押圧部21,22の外側に突出している。押圧部21,傘歯車部23,押圧部22,軸部24は、一体固着されていて一体に回転する。
【0030】
駆動ローラ4の軸部24の両端は、後述の旋回台6に回転可能に支持されている。
また、駆動ローラ4の押圧部21,22の円周部分は、
図5に示す様に、搬送ローラ3を押圧している。駆動ローラ4が回転すると、2つの搬送ローラ3が回転する。
【0031】
旋回台6は、
図3に示す様に、円周面を有する筒状の部材である。旋回台6の内部には、固定部17と、係合部18が設けられている。固定部17と係合部18は、上下に配置されており、固定部17が係合部18の上側に配されている。旋回台6の上面には、四角形の開口25が形成されている。
【0032】
固定部17は、開口25と連続した一対の対向する壁面26a,26bを有する。
壁面26aには、駆動ローラ固定部20と、2つのローラ固定部19が設けられている。駆動ローラ固定部20と、2つのローラ固定部19は、周知の軸受で構成されている。
2つのローラ固定部19は、所定の間隔を置いて設けられている。駆動ローラ固定部20は、2つのローラ固定部19の中間辺りに設けられている。また、駆動ローラ固定部20は、ローラ固定部19よりも下方に設けられている。
描写の都合上図示していないが、壁面26bにも、壁面26aに設けた駆動ローラ固定部20と2つのローラ固定部19と同様の駆動ローラ固定部20と2つのローラ固定部19が設けられている。
【0033】
壁面26a,26bの各ローラ固定部19には、走行部5の搬送ローラ3の軸が回転可能に装着されている。また、壁面26a,26bの各駆動ローラ固定部20には、駆動ローラ4(軸部24)が回転可能に装着されている。この様に、走行部5の各搬送ローラ3と駆動ローラ4は、固定部17に回転可能に支持されている。
【0034】
各搬送ローラ3が旋回台6の固定部17に装着されると、
図1、
図2に示す様に、各搬送ローラ3の一部が開口25から露出する。すなわち、各搬送ローラ3の上部の一部が開口25から露出し、その他の部位は、旋回台6の内部に収容される。
【0035】
固定部17の下方の係合部18は、
図3に示す様に、環状に連続する内歯歯車を構成している。
【0036】
図3に示す様に、筐体7は、四角柱状の外形を有している。筐体7には、上下に貫通する旋回用モータ配置孔7aが設けられている。旋回用モータ配置孔7aには、後述の旋回用モータ8が収容配置されている。
筐体7の上面には、在荷センサー16が設けられている。在荷センサー16は、物品の存在又は通過を検出する機能を有する。在荷センサー16の上端の高さ位置は、搬送ローラ3の上部(搬送面)より若干下である。
図2には、在荷センサー16は、1つしか描写していないが、在荷センサー16は旋回用モータ配置孔7aの周囲の4箇所に設けるのが好ましい。即ち在荷センサー16は、搬送セル1に2個以上設けられていてもよい。また在荷センサー16は全ての搬送セル1に設けられていることが望ましいが、在荷センサー16を有しない搬送セル1があってもよい。
筐体7は、図示しない固定構造物に固定されている。筐体7が固定構造物に固定された結果、搬送セル1の姿勢が安定する。
【0037】
旋回用モータ8(
図4)は、公知のモータと同様に固定子72と回転子27(
図6)を有しており、回転子27には出力軸10が接続されている。旋回用モータ8の回転子27は
図6の様に円筒状であり、内部に貫通孔73が形成されている。
また出力軸10の内部にも貫通孔11が設けられている。回転子27に設けられた貫通孔73と、出力軸10に設けられた貫通孔11は連通する。従って旋回用モータ8は、軸方向に貫通する貫通孔11がある。
出力軸10の外側には、出力ギヤ12が一体固着されている。すなわち、出力ギヤ12は、出力軸10と一体に回転する。出力ギヤ12の周囲には、複数(例えば4つ)の小ギヤ13が出力ギヤ12の周囲に等間隔で配置されている。各小ギヤ13の軸は、図示しない連結部材に回転可能に支持されている。連結部材は、図示しない固定部材によって筐体7に固定されており、小ギヤ13は公転しない。
【0038】
図6の様に、各小ギヤ13は、旋回台6の
図2に示す係合部18(内歯)と係合している。旋回用モータ8の動力は、出力軸10、出力ギヤ12、複数の小ギヤ13を介して旋回台6側の係合部18に伝達される。
小ギヤ13は、省略することもできる。即ち、出力ギヤ12と旋回台6の係合部18が直接係合していてもよい。
【0039】
図6の様に、走行用モータ9は、公知のモータと同様に固定子75と、回転子28を有している。回転子28には出力軸である駆動軸14(ドライブシャフト)が接続されている。駆動軸14の先端には傘歯車部15が設けられており、傘歯車部15は、駆動軸14と一体に回転する。駆動軸14の外径は、旋回用モータ8の出力軸10の貫通孔11の内径及び固定子72の貫通孔73よりも小さい。そして、走行用モータ9の駆動軸14は、
図6に示す様に、旋回用モータ8の貫通孔73,11を貫通している。走行用モータ9の駆動軸14と、旋回用モータ8の出力軸10は、同心である。
【0040】
傘歯車部15は、走行部5の駆動ローラ4の傘歯車部23と係合している。走行用モータ9の回転子28の動力は、駆動軸14、傘歯車部15を介して走行部5側の傘歯車部23に伝達される。
【0041】
搬送セル1には
図7に示す制御装置30が内蔵されている。制御装置30は、各搬送セル1の走行用モータ9及び旋回用モータ8に電力を供給するものであり、各搬送セル1の走行用モータ9及び旋回用モータ8を駆動、停止するものである。即ち制御装置30には、
図7の様に走行用モータ9を駆動する走行モータ駆動回路62と、旋回用モータ8を駆動する旋回モータ駆動回路63とが内蔵されている。
また制御装置30には、アドレス記憶手段65とアドレス比較手段66及び搬送先記憶手段40が内蔵されている。アドレス記憶手段65、アドレス比較手段66及び搬送先記憶手段40は、CPU及びメモリーと、メモリーに格納されたソウトウェアによって実現されている。
また制御装置30には、送受信部41が内蔵されている。
【0042】
アドレス記憶手段65は前記した様にメモリーであり、個々の搬送セル1の位置を示すアドレスが記憶されている。
前記した様に搬送セル1は、縦に6列、横に8列のマトリクス状に並べられたものであり、アドレスは搬送セル1のノード番号である。アドレスには、縦列における位置を示す縦列アドレスと、横列における位置を示す横列アドレスによって構成されている。便宜上、
図7のアドレス記憶手段の左側のメモリ領域を縦列アドレスを記憶する領域とし、右側のメモリ領域を横列アドレスを記憶する領域とする。
図9は、搬送装置2の各搬送セル1のアドレスを示している。
アドレス記憶手段には、
図9に示す搬送装置2の、各搬送セル1の位置に応じたアドレスが記憶されている。
【0043】
搬送先記憶手段40は、搬送先情報を一時的に記憶するメモリーである。
ここで「搬送先情報」とは、搬送装置2から搬送物55を搬出する搬出先を示す情報である。本実施形態では、後記する様に、搬送装置2の一辺Aに搬入コンベヤ50があり、残る3辺B,C,Dに搬出コンベヤ群51,52,53がある。
搬出コンベヤ群51,52,53を構成する各分岐コンベヤには、搬送装置2の各搬送セル1のアドレスと連番となるアドレスが付されている。
【0044】
送受信部41は、隣接する搬送セルの制御装置30との間で信号の授受を行うものであり、上流側の搬送セルから搬送先情報を受けとる情報受入れ手段としての機能と、下流側の搬送セルに前記搬送先情報を発信する情報発信手段としての機能を備えている。
【0045】
アドレス比較手段66は、送受信部41が上流側の搬送セル1から受信した搬送先情報と、自己のアドレス記憶手段65に記憶された自己のアドレスとを比較し、搬送方向を決定するものである。本実施形態では、搬送物の搬送先の縦列アドレス及び横列アドレスと、搬送セル1の縦列アドレスと横列アドレスを比較し、両者の縦列アドレス又は横列アドレスが一致すると、搬送セル1が搬送方向を変更して搬送物55を横列方向又は縦列方向に移動させる。
【0046】
例えば搬送物を横列方向に直線的に移動させてゆき、その過程で、載置された搬送セル1において、搬送物の搬送先の縦列アドレスと、搬送セル1の縦列アドレスを比較する。そして搬送物の搬送先の縦列アドレスと、搬送セル1の縦列アドレスが一致すれば、搬送セル1が搬送方向を変更して搬送物55を横列方向に移動させる。
同様に、搬送物を横列方向に直線的に移動させた場合は、その過程で、載置された搬送セル1において、搬送物の搬送先の横列アドレスと、搬送セル1の横列アドレスを比較する。そして搬送物の搬送先の横列アドレスと、搬送セル1の横列アドレスが一致すれば、搬送セル1が搬送方向を変更して搬送物55を縦列方向に移動させる。
【0047】
本実施形態では、制御装置30は、全ての搬送セル1に設けられており、隣接する制御装置30同士の間は、信号線43で相互に接続されている。また、各制御装置30には、それぞれの搬送セル1の在荷センサー16の信号が入力される。
なお搬送セル1は縦横に並べられているので、
図8の様に、縦方向に隣接する搬送セル1及び横方向に隣接する搬送セル1との間が、信号線43で相互に接続されている。
また
図8の様に、最も搬入側辺Aに面する搬送セル1には、上位制御装置46が接続されている。
【0048】
次に、搬送装置2を採用した仕分けシステム80について説明する。
本実施形態の搬送装置2では、それぞれの搬送セル1に在荷センサー16が設けられている。さらに本実施形態の搬送装置2では、複数の搬送セル1を面状に敷きつめて面状搬送装置71に組み立てられた際、面状搬送装置71の各辺には、面状搬送装置71に物品が導入されたり排出されたことを確認する境界センサーが設けられている。なお境界センサーも在荷センサーの一つである。
【0049】
搬送装置2は、前記した様に48個の搬送セル1が平面視して長方形状に配列されたものであり、その内の一辺Aが搬入側辺として機能し、他の3辺B,C,Dが搬出側辺として機能する。
搬送装置2は、仕分けシステム80を構築するものであり、
図9の様に、搬入辺Aに搬入コンベヤ50が接続される。また搬出辺B,C,Dには、搬出コンベヤ群51,52,53が接続されている。
搬出コンベヤ群51,52,53は、いずれも幅の狭い分岐コンベヤ81が複数集まったものであり、搬送装置2の各辺に位置する搬送セル1に対応した分岐コンベヤ81を有している。
【0050】
また各分岐コンベヤ81には、アドレスがあり、各分岐コンベヤ81のアドレスは搬送装置2の各搬送セル1のアドレスと連番となっている。
具体的に説明すると、搬送装置2のA辺に面する各搬送セル1は、横列の1列目であるから、横列アドレスは全て1であり、縦列アドレスが1から6まで変化する。
従って搬送装置2のA辺に面する各搬送セル1のアドレスは、
図9の上から、11,21,31,41,51,61である。
またアドレス11の搬送セル1に接続されている分岐コンベヤ81は、アドレス01であり、アドレス61の搬送セル1に接続されている分岐コンベヤ81は、アドレス71である。
従って、搬送装置2のA辺に面する各搬送セル1及び分岐コンベヤのアドレスは、01から71であり、縦列アドレスが連番となっている。
【0051】
同様に、搬送装置2のD辺に面する各搬送セル1は、縦列の1列目であるから、縦列アドレスは全て1であり、横列アドレスが1から8まで変化する。
従って搬送装置2のD辺に面する各搬送セル1のアドレスは、
図9の左端から、11,12,13,14,15,16,17,18である。
またアドレス18の搬送セル1に接続されている分岐コンベヤ81は、アドレス19であり横列アドレスが連番となっている。
【0052】
搬送装置2の搬入辺Aに設けられた搬入コンベヤ50から搬送装置2に搬送されてきた搬送物は、いずれかの搬送セル1の上に乗る。そして、搬送物は搬送セル1上を通過し、隣接する搬送セル1に順次受け渡され、遂には搬送装置2のいずれかの搬出辺B,C,Dに至り、いずれかの分岐コンベヤ81に搬送物が搬出される。
具体的には、走行用モータ9が駆動されると、搬送面を構成する搬送ローラ3が回転し、搬送物が搬送ローラ3上に載る。さらに隣接するいずれかの搬送セル1の搬送ローラ3も走行する。その結果、搬送物は最初に載置された搬送セル1の搬送ローラ3によって当該搬送セル1から排出され、隣接するいずれかの搬送セル1に引き渡される。
本実施形態では、それぞれの搬送セル1に在荷センサー16が設けられており、元、搬送物55が載置されていた搬送セル1の在荷センサー16がOFF状態となり、受け取り側の搬送セル1の在荷センサー16がON状態となることにより、搬送物の受け渡しを認識することができる。
また送受信部41による相互通信によっても搬送物の受け渡しを認識することができる。
【0053】
本実施形態の仕分けシステム80では、隣接する搬送セル1の間で通信を行い、搬送物の搬送先情報を順次引き継いでいく。即ち搬送物の移動に伴って、搬送先情報が搬送セル1の制御装置30間で受け渡される。制御装置30は、搬送先に応じて搬送経路にあたる搬送セル1の搬送ローラ3を順次回転するとともに、搬送経路にあたる搬送セル1の旋回用モータ8の回転角度位置を調整する。
旋回用モータ8を駆動すると、旋回台6と共に走行部5が旋回する。そのため、旋回用モータ8を駆動すると、搬送物55の搬送方向を変更することができる。
【0054】
本実施形態の仕分けシステム80では、搬入コンベヤ50から搬送物55が搬送されてきた場合、各搬送セル1の搬送方向を変更することにより、搬出側辺B,C,Dのいずれかの分岐コンベヤ81に搬出することができる。
【0055】
以下、仕分けシステム80の制御方法について具体的に説明する。
搬送装置2は、全体が複数の搬送セル1に分割されており、各搬送セル1は、それぞれ個別に走行用モータ9を有している。そのため搬送装置2は、各搬送セル1を個別に駆動・停止することができる。本実施形態の搬送装置2では、各位置の搬送セル1の走行用モータ9は、常時は停止しており、必要な場合だけ駆動する。
必要な場合とは、上流側の位置にある搬送セル1から搬送物を受け入れるべき状態のとき、及び下流側の位置にある搬送セル1に搬送物を排出すべき状態のときである。
前者は、上流側の位置にある搬送セル1に搬送物が存在し、且つ自己の搬送セル1に搬送物が存在しない場合である。具体的には、上流側の搬送セル1の在荷センサー16が搬送物の存在を検知しており、且つ自己の搬送セル1の在荷センサー16が搬送物を検知していない状態であって、現に自己の搬送セルが搬送を停止している場合には、自己の搬送セルを起動して搬送物を受け入れる。
【0056】
また上流側の位置の搬送セル1に搬送物が存在し、且つ下流側の位置の搬送セル1が駆動している場合にも上流側の搬送セル1から搬送物を受け入れることができる。具体的には、上流側の搬送セル1の在荷センサー16が搬送物の存在を検知しており、且つ下流側の搬送セル1が駆動している場合にも、自己の搬送セルを起動して搬送物を受け入れる。
【0057】
また下流側の搬送セル1に搬送物を排出すべき状態のときとは、自己の搬送セル1に搬送物が存在し、且つ下流側の搬送セル1に搬送物が無い場合である。具体的には、自己の搬送セル1の在荷センサー16が搬送物の存在を検知しており、且つ下流側の搬送セル1の在荷センサー16が搬送物を検知していない場合には自己の搬送セルを起動して搬送物を下流側に排出する。
また搬送セル1に搬送物が存在し、且つ下流側の搬送セル1が駆動している場合にも下流側の搬送セル1に搬送物を排出することができる。具体的には、搬送セル1の在荷センサー16が搬送物の存在を検知しており、且つ下流側の搬送セル1が駆動している場合にも、自己の搬送セルを起動して下流側の搬送セル1に搬送物を排出する。
【0058】
そして本実施形態の搬送装置2では、上流側の搬送セル1から自己の搬送セル1に搬送物が搬入された場合に、上流側の搬送セル1から自己の送受信部41に搬送先情報が送信される。そして前記搬送先情報が搬送先記憶手段40に記憶される。
また自己の搬送セル1から搬送物が排出されると、自己の搬送先記憶手段40に記憶されていた前記搬送先情報が消去される。
搬送物の移動と情報の移動を関連付けて説明すると、上流側のゾーンから自己のゾーンに搬送物が搬入され、ゾーンを跨いで搬送物が移動すると、これに伴って前記搬送先情報も上流側のゾーンから下流側のゾーンに受け渡される。
【0059】
具体的に説明すると、自己のゾーンの搬送セルが動作し、自己の在荷センサー16が搬送物を検知していない状態から搬送物を検知することとなった場合に、上流側のゾーンから自己の送受信部41に搬送先情報が送信されて搬送先記憶手段40の情報が書換えられ、搬送先情報が自己の搬送先記憶手段40に記憶される。
即ち隣接する搬送セル1との間における搬送物55の受け渡しが認識されたことを条件として搬送先記憶手段40の情報が書換えられ、搬送先情報が自己の搬送先記憶手段40に記憶される。
【0060】
また自己の在荷センサー16が搬送物55を検知していた状態であって、自己の搬送セル1が動作し、自己の在荷センサー16が搬送物を検知していない状態に変化し、その後一定時間が経過した場合に、自己の搬送先記憶手段40に記憶されていた搬送先情報が消去される。
即ち搬送セル1が駆動したか否かと、在荷センサー16が搬送物の存在を検知したか否かを契機として搬送先記憶手段40に記憶させた前記搬送先情報を消去したり書き換えたりを行う。
より具体的には、自己の直線搬送ゾーンの搬送セルが駆動し、且つ在荷センサー16が搬送物の存在を検知しない状態から搬送物の存在を検知した状態に変化したことを契機として搬送先記憶手段40に記憶させた搬送先情報が書き換えられる。
即ち隣接する搬送セル1との間における搬送物55の受け渡しが認識されたことを条件として搬送先記憶手段40に記憶させた搬送先情報が書き換えられる。
【0061】
本実施形態の仕分けシステム80では、搬入コンベヤ50に、搬送物特定装置45が設置されている。搬送物特定装置45は、具体的にはバーコードリーダである。バーコードリーダから読み取られた情報は、上位制御装置46に送られる。上位制御装置46は、公知のパーソナルコンピュータであり、CPUやメモリを内蔵している(図示せず)。
上位制御装置46は、バーコードに記載された情報から、搬送物55を特定し、搬送物55の搬送先を照会する。そして目的場所のアドレスを搬送物55を受け入れた搬送セル1の制御装置30に入力する。本実施形態では、上位制御装置46が、搬送先を特定する搬送先選定手段として機能する。
【0062】
図10に基づいて説明すると、搬送物55は、搬入コンベヤ50によって搬送されて搬送装置2に到着し、搬送装置2のアドレス31の搬送セル1に導入される。
搬送物55が、アドレス31の搬送セル1に差しかかると、搬送セル1に付属する在荷センサー16または境界センサーが搬送物55の存在を検知し、走行用モータ9が駆動されて搬送ローラ3が回転し、搬送物55をアドレス31の搬送セル1に引き入れる。なお搬送物55を搬送セル1に引き入れる際には、搬送ローラ3は、搬送物を搬入辺Aから搬出辺Cに向かって移動させる方向に向いている。
このとき、上位制御装置46からアドレス31の搬送セル1(正確には制御装置30)に、搬送物55の搬送先のアドレスが入力される。例えば搬送物55の搬送先のアドレスが05番の分岐コンベヤであったとする。
この様に本実施形態では、上位制御装置46が搬送先を特定する搬送先選定手段として機能し、搬送物の搬送先に関する情報(アドレスが05番の分岐コンベヤ)が、特定の搬送セル(アドレス31の搬送セル1)に対応する制御手段に入力される。
【0063】
搬送物55を引き入れた搬送セル1は、自己のアドレスと、搬送物55の搬送先アドレスの縦列アドレス同士、又横列アドレス同士を比較する。
本実施形態では、横列アドレス同士を比較するものとする。
設例に従えば、搬送物55の搬送先の横列アドレスは5であり、現在、搬送物55が載置されている搬送セル1の横列アドレスは1である。
本実施形態では、横列アドレス同士を比較し、搬送物55の搬送先の横列アドレスと搬送セル1の横列アドレスが一致するまで、搬送物55を搬入辺Aから搬出辺Cに向かって直線的に移動させる。具体的には、アドレス31,32,33,34,35の順に搬送物55を移動させる。
【0064】
本実施形態では、アドレス31の搬送セル1は、搬送物55を受け入れる際、搬送ローラ3は、搬送物を搬入辺Aから搬出辺Cに向かって移動させる方向に向いているから、アドレス31の搬送セル1は、搬送物55を受け入れた後も回転を続ける。またアドレス31の搬送セル1から搬送物55を受け入れるアドレス32の搬送セル1は、搬送物を搬入辺Aから搬出辺Cに向かって移動させる方向に搬送ローラ3を向けると共に搬送ローラ3の回転を開始する。
その結果、
図10(a)の様に、最初に搬送物55を受け入れたアドレス31の搬送セル1から、搬出辺C側に隣接するアドレス32の搬送セル1に搬送物55が送り出される。
そして搬送物55の移動に伴って、搬送先記憶手段40に入力された搬送先情報が、下流側のアドレス32の搬送セル1に順送りされる。
元のアドレス31の搬送セル1の搬送先記憶手段40に入力された搬送先情報は消去される。
【0065】
搬送物55を受け入れたアドレス32の搬送セル1でも、横列アドレス同士を比較する。設例に従えば、搬送物55の搬送先の横列アドレスは5であり、現在、搬送物55が載置されている搬送セル1の横列アドレスは2であるから、アドレス32の搬送セル1は、搬送物55を受け入れた後も回転を続け、搬出辺C側に隣接するアドレス33の搬送セル1に搬送物55を送りだす。
そして搬送物55の移動に伴って、搬送先記憶手段40に入力された搬送先情報が、下流側のアドレス33の搬送セル1に順送りされる。
さらに受け入れたアドレス33の搬送セル1でも、同様の工程を繰り返し、搬送物55を受け入れた後も回転を続け、搬出辺C側に隣接するアドレス34の搬送セル1に搬送物55を送りだすと共に、搬送先情報が、下流側のアドレス34の搬送セル1に順送りされる。
【0066】
さらに受け入れたアドレス34の搬送セル1でも、同様の工程を繰り返し、搬送物55を受け入れた後も回転を続け、搬出辺C側に隣接するアドレス35の搬送セル1に搬送物55を送りだすと共に、搬送先情報が、下流側のアドレス35の搬送セル1に順送りされる。
【0067】
搬送物55を受け入れたアドレス35の搬送セル1でも、横列アドレス同士を比較する。設例に従えば、搬送物55の搬送先の横列アドレスは5であり、現在、搬送物55が載置されている搬送セル1の横列アドレスは5であるから、両者は一致する。
本実施形態では、横列アドレス同士を比較し、両者が一致すれば、旋回用モータ8を駆動して旋回台6を回動させ、搬送ローラ3の向きを変える。具体的には、旋回台6を90度旋回し、
図10(b)の様に、搬送物を搬出辺B・D方向に向かって移動させる方向に向ける。
【0068】
そして自己のアドレスと、搬送物55の搬送先アドレスの縦列アドレス同士を比較する。
設例に従えば、搬送物55の搬送先の縦列アドレスは0であり、現在、搬送物55が載置されている搬送セル1の縦列アドレスは3である。
本実施形態では、縦列アドレス同士を比較し、搬送物55の搬送先の縦列アドレスと搬送セル1の縦列アドレスが一致する方向に搬送ローラ3を回転する。
その結果、
図10(b)の様に、搬送物55は、アドレス35の搬送セル1から、D辺方向に向かって進行する。
そしてアドレス35の搬送セル1から、D辺方向に隣接するアドレス25の搬送セル1に搬送物55が移動する。
搬送物55の移動に伴って、搬送先記憶手段40に入力された搬送先情報が、下流側のアドレス25の搬送セル1に順送りされる。
【0069】
搬送物55を受け入れたアドレス25の搬送セル1でも、縦列アドレス同士を比較する。設例に従えば、搬送物55の搬送先の横列アドレスは0であり、現在、搬送物55が載置されている搬送セル1の縦列アドレスは2であるから、アドレス25の搬送セル1は、搬送物55を受け入れた後も回転を続け、搬出辺D側に隣接するアドレス15の搬送セル1に搬送物55を送りだす。
そして搬送物55の移動に伴って、搬送先記憶手段40に入力された搬送先情報が、下流側のアドレス15の搬送セル1に順送りされる。
さらに受け入れたアドレス15の搬送セル1でも、同様の工程を繰り返し、搬送物55を受け入れた後も回転を続け、
図11(c)の様に、搬出辺D側に隣接する分岐コンベヤ81に搬送物55を送りだす。即ち搬送物55を搬送装置2からアドレス05の分岐コンベヤに搬送物55を排出する(
図11(d))。搬送物55が搬送装置2の外に排出されると、搬送先情報が、消去される。
【0070】
以上説明した実施形態では、D辺方向に搬送物を搬出したが、他の辺方向に搬送物を搬出することもできる。
また以上説明した実施形態では、全ての搬送セル1に制御装置30を設けたが、制御装置30を設ける搬送セルを減らしてもよい。
例えば、
図12の様に、4個の搬送セル1を1グループ83とし、1グループに一個づつ制御装置30を設けてもよい。
【0071】
本実施形態によると、一つのグループ83に属する複数の搬送セル1が、同期的に駆動する。即ち一つのグループ83に属する複数の搬送セル1の、旋回台6は同じ方向に向き、且つ一つのグループ83に属する複数の搬送セル1の搬送ローラ3は同じ方向に回転する。
またグループ83に属する複数の搬送セル1を共通のモータで駆動してもよい。例えば一つのグループ83に属する複数の搬送セル1の一つに走行用モータ9を設け、当該走行用モータ9の動力を他の搬送セル1に伝導してもよい。同様に、搬送セル1の一つに旋回用モータ8を設け、当該旋回用モータ8の動力を他の搬送セル1に伝導してもよい。
【0072】
以上説明した実施形態では、各搬送セル1の旋回台6は90度旋回し、搬送物55の搬送方向を直角に変更するものであったが、例えば旋回台6を45度の角度に旋回可能とし、搬送物を斜め方向に移動させてもよい。さらに旋回台6を中途の角度に旋回させ、搬送物55の搬送軌跡が円弧を描く様にしてもよい。
【0073】
以上説明した実施形態では、先に自己の横列アドレスと、搬送物55の搬送先の横列アドレス同士を比較し、その後に、自己の縦列アドレスと、搬送物55の搬送先の縦列アドレス同士を比較したが、先に自己の縦列アドレスと、搬送物55の搬送先の縦列アドレス同士を比較してもよい。
また進行方向の状況を勘案し、例えば搬送物55が載置された搬送セル1に対して横列側に隣接する搬送セル1に搬送物がある場合には、これを避けて縦列側に隣接する搬送セル1に搬送物を搬送してもよい。
例えば、自己のアドレスと、搬送物55の搬送先アドレスの縦列アドレス同士及び横列アドレス同士を比較し、縦列の進行方向と横列の進行方向を決定する。そして進行方向の搬送セル1の在荷センサー16を確認し、搬送物55が存在しない側に、搬送物55を送りだしてもよい。
同様に、いずれかの搬送セル1に何らかのエラーが生じた場合に、その搬送セル1を迂回して搬送物55を搬送してもよい。
【0074】
前記した実施形態では、説明を容易にするために、搬入コンベヤ50から搬送装置2に搬送物55が一個ずつ搬入される例を説明したが、同時に多数の搬送物55が搬送装置2に導入されてもよい。
この場合、搬送装置2上が混雑する場合があるが、前記した様に、搬送セル1は、特定の条件を満たす場合に駆動されるので、各搬送物55は、目的地に向かって移動してゆくこととなる。
【0075】
前記した実施形態では、搬送物の受け渡しを認識する手段として、搬送セル1に設けられた在荷センサー16による方法と、送受信部41による相互通信による方法が採用されている。
本実施形態によると、2種類の方法で搬送物の受け渡しを認識することができる。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、いずれか一つの方法で搬送物の受け渡しを認識する構成であってもよい。
【0076】
以上説明した実施形態で採用した搬送セル1は、いずれも搬送物と接して回転又は走行する接触部材を有し搬送物を移動させる走行部5と、走行部5を支持する旋回台6と、旋回用モータ8と、走行用モータ9を有し、走行用モータ8によって走行部5が駆動され、旋回用モータ8の出力部に旋回台が直接または間接的に係合されていて旋回用モータ8によって旋回台及び走行部が旋回するものである。
また旋回用モータ8と走行用モータ9は縦に重なった位置にある。
【0077】
本発明は、上記した搬送セル1に限定されるものではなく、例えば
図13、
図14に開示した様な構造の搬送セル100であってもよい。
搬送セル100は、搬送方向又は搬入方向を直角方向に切り換える方向変換機構を有している。
搬送セル100は、
図14の様に主搬送コンベヤ101と、副搬送コンベヤ102及び昇降装置103によって構成されている。
搬送セル100の主搬送コンベヤ101は、複数の細いベルト105が一定の間隔を設けて配されたベルトコンベヤである。主搬送コンベヤ101は、端部に設けられたモータ内蔵ローラ106によって駆動される。
【0078】
搬送セル100の副搬送コンベヤ102は、ローラコンベヤである。副搬送コンベヤ102は、複数のローラ107が平行に配され、且つこれらがベルト27によって連動するものである。副搬送コンベヤ102を構成する複数のローラ107の内の一本が、モータ内蔵ローラであり、モータ内蔵ローラを駆動することによって全てのローラ107が回転する。
副搬送コンベヤ102は、
図5の様に主搬送コンベヤ101のベルト105同士の間にローラ107が存在する様に配置されている。
【0079】
昇降装置23は、直動カム29を有し、主搬送コンベヤ101と副搬送コンベヤ102を昇降させるものである。
搬送セル100に載置された搬送物を直進させる場合には、昇降装置23によって主搬送コンベヤ101を副搬送コンベヤ102よりも上に突出させ、主搬送コンベヤ101のモータ内蔵ローラ106を駆動し、ベルト105を走行させる。
搬送セル100に載置された搬送物を横方向に排出する場合は、主搬送コンベヤ101に搬送物を引き入れた後に、昇降装置23によって副搬送コンベヤ102を上昇させると共に主搬送コンベヤ101を降下し、副搬送コンベヤ102を主搬送コンベヤ101よりも上に突出させ、副搬送コンベヤ102のモータ内蔵ローラを駆動し、各ローラ107を回転させる。
【符号の説明】
【0080】
1 搬送セル
2 搬送装置
6 旋回台(搬送方向変更手段)
16 在荷センサー
30 制御装置
40 搬送先記憶手段
41 送受信部
65 アドレス記憶手段
66 アドレス比較手段