(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】水泳練習用具
(51)【国際特許分類】
A63B 31/11 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A63B31/11
(21)【出願番号】P 2019101480
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2018104069
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518061111
【氏名又は名称】株式会社アクアティック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田坂 英郁
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08216013(US,B1)
【文献】登録実用新案第3192764(JP,U)
【文献】米国特許第05013271(US,A)
【文献】国際公開第2015/108632(WO,A1)
【文献】米国特許第05055075(US,A)
【文献】米国特許第06334799(US,B1)
【文献】米国特許第07125299(US,B1)
【文献】国際公開第2015/040430(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104540728(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0034150(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 31/08-31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の上腿部に装着するようになっている板状部材を備え、
該板状部材は、
長手方向の一端部が前記上腿部の股関節側に位置し、長手方向の他端部が前記上腿部のひざ関節側に位置するように、前記上腿部の前面または背面に取り付けた場合、長手方向の長さが前記上腿部の長手方向の長さよりも短く、かつ、幅が前記上腿部の幅以下であり、かつ、前記一端部よりも
前記他端部の方が、水中にて得られる浮力が大きくなっていることを特徴とする水泳練習用具。
【請求項2】
前記板状部材は、前記一端部よりも前記他端部の方が、幅が広いことを特徴とする請求項1に記載の水泳練習用具。
【請求項3】
前記板状部材は、前記一端部よりも前記他端部の方が厚いことを特徴とする請求項1または2に記載の水泳練習用具。
【請求項4】
前記板状部材を前記上腿部に取り付けるための取付部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の水泳練習用具。
【請求項5】
前記板状部材は、長手方向に沿った屈曲部にて屈曲していることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の水泳練習用具。
【請求項6】
前記板状部材は、
前記一端部が前記上腿部の股関節側に位置し、前記他端部が前記上腿部のひざ関節側に位置するように、前記上腿部の前面または背面に取り付けた場合、前記屈曲部の一方の側に位置する一側部
であって、前記上腿部の外側に配置される一側部よりも、前記屈曲部の他方の側に位置する他側部
であって、前記上腿部の内側に配置される他側部の方が、水中にて得られる浮力が大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の水泳練習用具。
【請求項7】
前記板状部材は、前記一端部および前記他端部よりも、前記一端部および前記他端部の間の中央部の方が幅が狭いことを特徴とする請求項1から6までの何れか1項に記載の水泳練習用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水泳練習用具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記水泳練習用具としては、ビート板、プルブイ、パドル、フィンなどが広く知られている。また、特許文献1には、使用者の足部の浮力を補強し、呼吸技巧、手部の動作技巧の学習、強度及び耐力の鍛練に利用される足挟持型水泳練習用具が開示されている。また、特許文献2には、浮力体を使用者の上半身部に装着して水泳の練習をできるようにした水泳用練習具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3095343号公報
【文献】登録実用新案第3124501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、水泳のキックが上達すれば、水中の姿勢(ストリームライン)が良好となり、綺麗にかつ速く泳ぐことができると言われている。上記キックが上達するには、股関節、膝関節、および足関節の屈伸をどのように行い、どのように連動させるかを泳者が習得する必要がある。
【0005】
上記キックを練習するための水泳練習用具の例としては、ビート板およびフィンが挙げられる。上記ビート板を用いた練習では、水中の姿勢は身体が反った姿勢となり、その結果、良好なストリームラインを得ることが困難である。また、上記股関節、上記膝関節、および上記足関節の屈伸に直接働きかけるものではない。また、上記フィンを用いた練習では、上記足関節の屈伸に直接働きかけるものであるが、上記股関節および上記膝関節の屈伸に直接働きかけるものではない。
【0006】
本発明の一態様は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、股関節の屈伸に直接働きかける水泳用練習具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水泳練習用具は、使用者の上腿部に装着するようになっている板状部材を備え、該板状部材は、長手方向の一端部よりも長手方向の他端部の方が、水中にて得られる浮力が大きくなっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、股関節の屈伸に直接働きかける水泳用練習具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水泳練習用具を使用者に取り付けた状態の一例を示す正面図である。
【
図2】上記水泳練習用具における2枚の板状部材の概要を示す斜視図である。
【
図3】一方の上記板状部材の概要を示す三面図である。
【
図4】上記構成の水泳練習用具を取り付けた使用者が水中で行うキック動作の一例を示す側面図である。
【
図5】上記構成の水泳練習用具を取り付けた使用者が水中で行うキック動作の他の例を示す側面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係る水泳練習用具における板状部材の概要を示す三面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る水泳練習用具における2枚の板状部材の概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。
【0012】
(水泳練習用具の概要)
図1は、本実施形態に係る水泳練習用具を使用者に装着した状態の一例を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態の水泳練習用具10は、2枚の板状部材11a・11bを備えており、該板状部材11a・11bは、使用者20の右上腿部21aおよび左上腿部21bの表面にそれぞれ取り付けられる。2枚の板状部材11a・11bの形状および構造は、互いに鏡像の関係となっている。なお、以下では、2枚の板状部材11a・11bを総称する場合には、「板状部材11」と記載する。また、右上腿部21aおよび左上腿部21bを総称する場合には、「上腿部21」と記載する。その他の実施形態でも同様である。
【0013】
板状部材11は、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)フォーム、PVC(ポリ塩化ビニル)など、水よりも密度が小さく、軽量であり、かつ、耐水性、可撓性、および弾性を有する材料で形成されることが望ましい。これにより、板状部材11は、水に浮くことができ、携帯し易く、耐久性に優れ、上腿部21に沿うように湾曲させることができ、破損を抑制でき、安全性に優れたものとなる。その結果、本実施形態の水泳練習用具10は、従来のビート板、プルブイ等と同様に、プールで安全に利用することができる。
【0014】
さらに、板状部材11は、防水性を有することが望ましい。これにより、板状部材11に水が浸透して重くなることを防止できる。また、板状部材11は、表面が滑らかであることが望ましい。これにより、板状部材11に働く水流の抵抗を減らすことができる。
【0015】
本実施形態では、板状部材11は、ゴムチューブ12(
図4および
図5参照)で上腿部21に取り付けられるが、これに限定されるものではない。任意の紐状部材または帯状部材で取り付けられてもよいし、帯状部材およびバックルで取り付けられてもよい。また、上腿部21を覆うタイプの水着22に、接着剤、ファスナー手段等で取り付けられてもよい。また、上腿部21と水着22との間に板状部材11を挟んでもよい。
【0016】
(板状部材の詳細)
図2は、2枚の板状部材11a・11bの概要を示す斜視図である。また、
図3は、一方の板状部材11aの概要を示す三面図である。
図2および
図3に示すように、板状部材11は、均等な厚さであり、長手方向の一端部30よりも長手方向の他端部31の方が広くなっている。
【0017】
具体的には、一端部30は、尖った形状となっており、他端部31は、幅を有する形状となっている。一端部30から他端部31に向かうにつれて、一方の側が広がっていき、略中央にて幅が最大となり、それから上記一方の側が狭くなっていき、他端部31に達している。
【0018】
別の言い方をすれば、本実施形態の板状部材11は、略長方形の板状部材から、一端部30における中央部分および一側部分を切り欠き、かつ、他端部31における一側部分を切り欠いた形状である。
【0019】
板状部材11は、長手方向の長さが上腿部21の長手方向(大腿骨に沿う方向)の長さよりも短いことが望ましい。この場合、股関節および膝関節の屈伸を阻害することを回避できる。また、板状部材11は、幅の最大値が上腿部21の幅と同程度またはそれよりも狭いことが望ましい。この場合、板状部材11が、使用者の腕、他方の上腿部21、他方の板状部材11、その他の部材と衝突する可能性を低減することができる。
【0020】
板状部材11には、ゴムチューブ12(取付部材)が貫通する4つの孔部32が適所に設けられている。各孔部32は、上腿部21が設けられる側である裏側よりも表側の方が狭くなっている。これにより、ゴムチューブ12を孔部32の裏側から表側に通し易くなる。また、孔部32の裏側にて板状部材11とゴムチューブ12との間に遊びができるので、上腿部21の動きに応じてゴムチューブ12が容易に動くことができる。この結果、上腿部21とゴムチューブ12との摩擦が低減される。
【0021】
なお、本実施形態の板状部材11は、全体に丸みを帯びている。これにより、板状部材11が、使用者その他の物体と衝突した時に破損することを抑制することができる。
【0022】
図2および
図3に示す板状部材11は、
図1に示すように、板状部材11の一端部30が上腿部21の股関節側(上側)に位置し、板状部材11の他端部31が上腿部21の膝関節側(下側)に位置するように、使用者20の上腿部21に取り付けられる。
【0023】
キックの練習中、水は、使用者にとっては頭の側から足の側に流れることになり、板状部材11にとっては、一端部30の側から他端部31の側に流れることになる。このとき、一端部30が尖った形状であるため、板状部材11に働く水流の抵抗を減らすことができる。
【0024】
また、上腿部21の上側かつ内側には、板状部材11が設けられていないので、キック動作において板状部材11が股部23と衝突する可能性を抑制することができる。また、上腿部21の下側かつ内側には、板状部材11が設けられていないので、スムーズなキック動作を妨げる可能性を抑制することができる。
【0025】
(キック動作の例)
図4は、上記構成の水泳練習用具10を取り付けた使用者20が水中で行うキック動作の一例を示す側面図である。
図4の例では、クロールのキック動作を示しており、使用者20は、伏臥状態で水に浮かんでいる。また、
図4の(a)・(b)は、キック動作のうち、蹴下げ動作および蹴上げ動作をそれぞれ示している。なお、
図4の(a)では、蹴下げ動作前の位置を一点鎖線で示し、蹴下げ動作後の位置を実線で示している。また、
図4の(b)では、蹴上げ動作前の位置を実線で示し、蹴上げ動作後の位置を一点鎖線で示している。
【0026】
図4に示すように、使用者20が水に浮かぶと、水中にて得られる板状部材11の浮力が上腿部21に働く。板状部材11は、一端部30よりも他端部31の方が幅が広いので、浮力が大きい。従って、板状部材11から上腿部21に働く力は、股関節側よりも膝関節側の方が大きくなる。
【0027】
これにより、
図4の(a)に示す蹴下げ動作を行う場合、上腿部21において、股関節側よりも膝関節側の方に力を入れるように使用者20に意識させることができる。従って、その後に使用者20が水泳練習用具10を外して上記蹴下げ動作を行うと、股関節を以前よりも大きく屈曲し易くなる。また、
図4の(b)に示す蹴上げ動作を行う場合、板状部材11から上腿部21に働く力は、股関節側よりも膝関節側の方が浮力が大きいので、股関節を以前よりも大きく伸展し易くなる。
【0028】
以上より、本実施形態の水泳練習用具10は、股関節の屈伸に直接働きかけることができる。その結果、上記キック動作を上達することができる。また、板状部材11から上腿部21に働く力により、使用者20の腰部の位置を上昇させることができ、水面から露出する身体部分を増加することができる。その結果、水の抵抗の少ない泳ぎを使用者20に実感させることができる。
【0029】
図5は、上記構成の水泳練習用具10を取り付けた使用者20が水中で行うキック動作の他の例を示す側面図である。
図5の例では、背泳ぎのキック動作を示しており、使用者20は、仰臥状態で水に浮かんでいる。なお、
図5では、蹴上げ動作前の位置を実線で示し、蹴上げ動作中および蹴上げ動作後の位置を一点鎖線で示している。
【0030】
図5に示すキック動作の場合でも、
図4に示すキック動作の場合と同様に、水泳練習用具10は、股関節の屈伸に直接働きかけることができる。その結果、上記キック動作を上達することができる。
【0031】
なお、板状部材11は、キックの練習中に常に水中にあって浮力が働くことが望ましい。このため、板状部材11は、上腿部21において、水面とは反対の側(例えばプールの底面の側)に設けられることが望ましい。具体的には、
図4に示すように、使用者20が伏臥状態でキックを練習する場合、使用者20の上腿部21の前面に板状部材11を取り付けることが望ましい。一方、
図5に示すように、使用者20が仰臥状態でキックを練習する場合、使用者20の上腿部21の背面に板状部材11を取り付けることが望ましい。本実施形態のように、板状部材11をゴムチューブ12で上腿部21に取り付けられている場合、練習の内容に合わせて、板状部材11を上腿部21の適当な位置に容易に移動させることができる。
【0032】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施形態について、
図6を参照して説明する。
【0033】
図6は、本実施形態に係る水泳練習用具における板状部材の概要を示す三面図である。
図6に示す水泳練習用具40は、
図1~
図5に示す水泳練習用具10に比べて、板状部材の形状が異なり、その他の構成は同様である。
【0034】
図6に示すように、本実施形態の板状部材41は、平面視の形状が略長方形であり、幅が均等であり、長手方向の一端部42よりも長手方向の他端部43の方が厚くなっている。具体的には、一端部42および他端部43は平坦状であり、一端部42から他端部43に向かうにつれて、厚さが増加している。また、板状部材41の4隅には、ゴムチューブ12が貫通する4つの孔部44が適所に設けられている。
【0035】
本実施形態の板状部材41は、一端部42よりも他端部43の方が厚いので、浮力が大きくなる。従って、板状部材41の一端部42を上腿部21の股関節側に、板状部材41の他端部43を上腿部21の膝関節側に取り付けることにより、本実施形態の水泳練習用具40は、
図1~
図5に示す水泳練習用具10と同様に、股関節の屈伸に直接働きかけることができる。その結果、上記キック動作を上達することができる。また、本実施形態の板状部材41は、左右対称であるため、同じ形状の板状部材41・41を左右の上腿部21a・21bに取り付けることができる。その結果、製造コストを低減することができる。なお、本実施形態では、板状部材11の上面は、傾斜面となっているが、階段状でもよい。
【0036】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、
図7および
図8を参照して説明する。
【0037】
図7は、本実施形態に係る水泳練習用具における2枚の板状部材の概要を示す平面図である。また、
図8は、一方の板状部材の概要を示す五面図である。
【0038】
図7および
図8に示す水泳練習用具50は、
図1~
図5に示す水泳練習用具10に比べて、板状部材の形状と取付部材が異なり、その他の構成は同様である。
【0039】
図7に示すように、本実施形態の水泳練習用具50は、2枚の板状部材51a・51bを備えている。該板状部材51a・51bは、
図1に示す使用者20の右上腿部21aおよび左上腿部21bの表面にそれぞれ取り付けられる。
図7および
図8に示すように、板状部材51は、均等な厚さであり、長手方向の一端部52よりも長手方向の他端部53の方が、幅が広くなっている。
【0040】
本実施形態では、取付部材としてゴムベルト(図示せず)を利用している。上記ゴムベルトは帯状であるため、板状部材51には、上記ゴムベルトが貫通する4つの長孔部54が適所に設けられている。上記ゴムベルトを利用することにより、取付部材による上腿部21への圧迫を低減することができる。
【0041】
また、板状部材51は、長手方向に沿った屈曲部55にて屈曲している。すなわち、板状部材51は、屈曲部55と、屈曲部55の両側にそれぞれ位置する一側部56および他側部57とを含む。屈曲部55により、板状部材51が上腿部21に密着する度合いが向上する。なお、屈曲角αは、100°以上140°以下であることが望ましく、110°以上130°以下であることがより望ましく、略120°であることがより望ましい。なお、屈曲部55は、屈曲している代わりに湾曲していてもよい。
【0042】
また、板状部材51は、一側部56よりも他側部57の方が、面積が大きくなっている。一側部56を上腿部21の外側に配置し、他側部57を上腿部21の内側に配置して、板状部材51を上腿部21に取り付けることにより、板状部材51から上腿部21に働く力は、外側よりも内側の方が大きくなる。その結果、上腿部21の内転筋を効果的に鍛えることができ、水泳のキックを効果的に上達させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、板状部材51は、一端部52および他端部53よりも中央部58の方が、幅が狭くなっている。これにより、中央部58の両側が上腿部21に密着する度合いが向上する。その結果、中央部58の両側と上腿部21との間から水が流入して、板状部材51と上腿部21との間に水が滞留することを防止することができる。
【0044】
(付記事項)
上記実施形態では、2つの板状部材11(41・51)を両方の上腿部21にそれぞれ取り付けているが、1つの板状部材11(41・51)のみを片方の上腿部21に取り付けてもよい。また、複数の板状部材11(41・51)を片方の上腿部21に取り付けてもよい。
【0045】
また、人によって上腿部21の大きさが異なるので、数種類のサイズの板状部材1141・51を製造することが望ましい。
【0046】
また、板状部材は、一端部の材料よりも浮力が大きい材料を他端部に利用してもよい。この場合、幅を変更したり、厚さを変更したりする必要が無い。なお、材料の変更、幅の変更、および厚さの変更の少なくとも2つを組み合わせてもよい。
【0047】
また、上記実施形態の水泳練習用具10(40・50)を、上腿部21に代えて上腕部に設けてもよい。この場合、板状部材11(41・51)の一端部が、上腕部の肩関節側に位置し、板状部材11(41・51)の他端部が上腕部の肘関節側に位置するように、使用者20の上腕部に取り付ければよい。これにより、肩関節の動きに直接働きかけることができる。
【0048】
また、上記実施形態の水泳練習用具10(40・50)を、上腿部21に代えて前腕部に設けてもよい。この場合、板状部材11(41・51)の一端部が、前腕部の肘関節側に位置し、板状部材11(41・51)の他端部が前腕部の手首側に位置するように、使用者20の前腕部に取り付ければよい。これにより、肘関節の屈伸の直接働きかけることができる。
【0049】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る水泳練習用具は、使用者の上腿部に装着するようになっている板状部材を備え、該板状部材は、長手方向の一端部よりも長手方向の他端部の方が、浮力が大きくなっている構成である。
【0050】
上記構成の水泳練習用具において、板状部材を使用者の上腿部に装着する。このとき、上記板状部材は、長手方向の一端部が上記上腿部の股関節側となり、上記長手方向の他端部が上記上腿部の膝関節側となるように配置される。そして、上記使用者が水に浮かぶと、上記板状部材の浮力が上記上腿部に働き、当該浮力は、股関節側よりも膝関節側の方が大きくなる。
【0051】
これにより、上記使用者が、キック動作のうち、蹴下げ動作を行う場合、上記上腿部において、股関節側よりも膝関節側の方に力を入れるように上記使用者に意識させることができる。その後に上記使用者が上記水泳練習用具を外して上記蹴下げ動作を行うと、股関節を以前よりも大きく屈曲し易くなる。また、上記使用者が、キック動作のうち、蹴上げ動作を行う場合、上記上腿部において、股関節側よりも膝関節側の方が浮力が大きいので、股関節を以前よりも大きく伸展し易くなる。
【0052】
以上より、上記水泳練習用具は、上記股関節の屈伸に直接働きかけることができる。その結果、上記キック動作を上達することができる。
【0053】
なお、浮力を大きくするには、前記板状部材について、前記一端部よりも前記他端部の方の幅を広くすればよい。また、前記一端部よりも前記他端部の方を厚くすればよい。また、これらを組み合わせてもよい。なお、上記板状部材の厚さは、上記一端部から上記他端部に向かうにつれて連続的に厚くなってもよいし、段階的に厚くなってもよい。
【0054】
また、前記板状部材を前記上腿部に取り付けるための取付部材をさらに備えることが好ましい。
【0055】
また、前記板状部材は、長手方向に沿った屈曲部にて屈曲していることが好ましい。この場合、前記板状部材が上腿部に密着する度合いが向上する。
【0056】
さらに、前記板状部材は、前記屈曲部の一方の側に位置する一側部よりも、前記屈曲部の他方の側に位置する他側部の方が、水中にて得られる浮力が大きくなっていることが好ましい。この場合、前記一側部を前記上腿部の外側に配置し、前記他側部を前記上腿部の内側に密着するように、前記板状部材を前記上腿部に取り付けることにより、前記板状部材から前記上腿部に働く力は、外側よりも内側の方が大きくなる。その結果、前記上腿部の内転筋を効果的に鍛えることができ、水泳のキックを効果的に上達させることができる。
【0057】
なお、浮力を大きくするには、前記板状部材について、前記一側部よりも前記他側部の方が、面積を大きくすればよい。また、前記一側部よりも前記他側部の方を厚くすればよい。また、これらを組み合わせてもよい。なお、上記板状部材の厚さは、上記一側部から上記他側部に向かうにつれて連続的に厚くなってもよいし、段階的に厚くなってもよい。
【0058】
また、前記板状部材は、前記一端部および前記他端部よりも、前記一端部および前記他端部の間の中央部の方が幅が狭いことが好ましい。この場合、前記中央部の両側が前記上腿部に密着する度合いが向上するので、前記中央部の両側と前記上腿部との間から水が流入して、前記板状部材と前記上腿部との間に水が滞留することを防止することができる。
【0059】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10、40、50 水泳練習用具
11、11a、11b、41 板状部材
12 ゴムチューブ(取付部材)
20 使用者
21 上腿部
21a 右上腿部
21b 左上腿部
22 水着
23 股部
30、42、52 一端部
31、43、53 他端部
32、44 孔部
51、51a、51b 板状部材
54 長孔部
55 屈曲部
56 一側部
57 他側部
58 中央部