(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ホース金具
(51)【国際特許分類】
F16L 19/04 20060101AFI20220405BHJP
F16L 33/24 20060101ALI20220405BHJP
F16L 33/22 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F16L19/04
F16L33/24
F16L33/22
(21)【出願番号】P 2019125120
(22)【出願日】2019-07-04
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】593175693
【氏名又は名称】日平機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 知彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-165181(JP,U)
【文献】実開昭57-048384(JP,U)
【文献】実開平06-073590(JP,U)
【文献】米国特許第04006923(US,A)
【文献】特開2006-118588(JP,A)
【文献】特開2002-364787(JP,A)
【文献】特表2013-511682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0052231(US,A1)
【文献】米国特許第04923226(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/04
F16L 33/22
F16L 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧補強繊維(F)で耐圧強化されたホース(H)の継手として使用されるホース金具(1,41,51)であって、
凸型形状の雄型(21)と、これに螺合連結される筒形状の雌型(31)と、から成り、
前記雄型(21)は、貫通穴(22)を有する金具本体部(23)に連続して前記雌型(31)と螺合する雄ねじ部(24)が形成され、該雄ねじ部(24)に連続して、ホース(H)が差し込まれる筒形状のホース差込部(25)が形成され、かつ該ホース差込部(25)が該雄ねじ部(24)から先端に行くほど徐々に太くなるように形成されたものであり、
前記雌型(31)は、筒状本体部(32)の内周の一端に前記雄型(21)の雄ねじ部(24)に螺合する雌ねじ部(33)が形成され、該内周の他端にホース(H)の外周を押さえる円筒状の加圧面(34)が形成され、該雌ねじ部(33)と該加圧面(34)との間に、筒状本体部(32)内の軸回りにリング状の空間になるようなホース溜り部(35)が形成され、かつ該加圧面(34)が該ホース溜り部(35)から後端に行くほど徐々に太くなるように形成されたものであり、
前記雄型(21)を、そのホース差込部(25)にホース(H)を差し込んだ状態で、前記雌型(31)に螺合連結した際に、該ホース差込部(25)の外周面と前記加圧面(34)とが平行な状態になり、該ホース(H)を挟み込み、かつ前記ホース溜り部(35)にホース(H)の端縁をリング状に硬く圧縮し、抜け止め効果を高めた状態になるように構成された、ことを特徴とするホース金具。
【請求項2】
前記雄型(21)のホース差込部(25)と、前記雌型(31)の加圧面(34)とで、ホース(H)の外周を押さえる加圧幅(PA)は、該ホース差込部(25)の長さの1/3程度の長さである、ことを特徴とする請求項1に記載されたホース金具。
【請求項3】
前記雄型(21)は、ナット型に形成された金具本体部(23)を有し、
前記雌型(31)は、ナット型に形成された筒状本体部(32)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載されたホース金具。
【請求項4】
前記雄型(21)のホース差込部(25)の表面に、滑り止め加工面(26)を有する、ことを特徴とする請求項1、2又は3の何れか1項に記載されたホース金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース類の継手として使用されるホース金具に係り、特に圧縮空気を通すための耐圧性能を高めた耐圧補強繊維を有するホースに使用されるホース金具に関する。
【背景技術】
【0002】
ホース金具は、配管等に使用するホース、チューブ等の端部に取り付けて、他の部材に取り付けるための金具である。例えば、ホース金具をホース類の端部に取り付ける際は、パイプ状の部材又はパイプに段状の抜止め溝を設けた部材をホース類に差し込み、ホース類の外部から筒状の金具を締め付けて止める。
【0003】
また、圧縮空気を圧送するような耐圧性能を必要とする耐圧合成樹脂製のホースとしては、網入りホース(耐圧補強繊維入りホース)が普及している。この網入りホースは、柔軟性があり、ホース金具へ容易に取り付けることができるため、迅速に配管作業ができる。
【0004】
このような圧縮空気を圧送する耐圧性能を必要とする耐圧ホース(耐圧合成樹脂製ホース)では、ホース金具からホースの端部が外れないように種々の工夫が施されている。例えば、
図8と
図9に示すように、従来のホース金具61は雄型62のホース差込部63に抜け止めの溝状のエッジ64が形成されたものが多い。これに筒形状の雌型65を螺合締結したものである。このような構成のホース金具61は、工具で容易にホースの付け替えが行えるため、屋内設置型ホースリール等に使用されることが多い。
更に、「たけのこ」と称される複数の抜け止め用の溝状のエッジがホース差込部63に形成された形状のホース金具もある。
【0005】
このような抜け止め機能を高めたホース金具が種々提案されている。例えば、特許文献1の特開平7-208671号公報「ホースの接続金具のカシメ方法とその製品」のように、ホース外側に静止状に嵌着した接続金具付の外筒を、ホース端部にホースとの接触部のホース面を少し膨らまし状になるような状態を現出させるような形状に形成した内筒を挿着しておき、この状態の内筒面に対して、前記外筒面が対向する位置まで、前記外筒を圧入して接続金具をホースに締結するようにした、外筒を内筒に圧入した際、内筒の変形を要することなく外筒が膨らむ程度の形状剛性としたことを特徴とするホースの接続金具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8.9で示すようにホース金具は、エアーツールなどに接続して使用されるが、一般的なホース金具はホースとの境へ屈曲や引張りの力が集中し、ホースの耐圧補強繊維(補強糸)が抜け、耐圧性を失い破裂などを起こしやすいという問題を有していた。その構造上耐圧補強繊維を押さえる範囲も限られ、通常糸抜けを抑制するにはカシメ圧(加圧)を上げる方法があるが、ホースの被覆に負担がかかり被損するため限界があった。
【0008】
図10の拡大側断面図に示すように、従来のホース金具61は、エッジ64部分でホースHを潰して、ホースの抜けを押さえる構造である。同時に、このエッジ64部分がホース内の補強糸(耐圧補強繊維F)を押さえている。その抜け止め機能を高めるために、通常はエッジ64部分の高さや潰し圧を調整している。しかし、空気圧や水圧に耐え得るホース被覆強度の限界と、潰し圧がエッジ64の位置するエッジ線上のみに留まることから、耐圧補強繊維Fの抜けを防止しきれないこともあり、エッジ64を通過した耐圧補強繊維Fがホース耐圧を失い破裂するという問題を有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ホースの耐圧補強繊維を押さえる加圧幅を広げて摩擦抵抗を増加させ、ホース被覆へ負担を掛けずに補強糸の切断(糸抜け)を押さえる構造とすることで、ホース金具の雌型と雄型とのカシメ強度を保持したまま、糸抜けを回避すると共に、ホース金具の付け替えを容易に行うことができるホース金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、耐圧補強繊維(F)で耐圧強化されたホース(H)の継手として使用されるホース金具(1,41,51)であって、
凸型形状の雄型(21)と、これに螺合連結される筒形状の雌型(31)と、から成り、
前記雄型(21)は、貫通穴(22)を有する金具本体部(23)に連続して前記雌型(31)と螺合する雄ねじ部(24)が形成され、該雄ねじ部(24)に連続して、ホース(H)が差し込まれる筒形状のホース差込部(25)が形成され、かつ該ホース差込部(25)が該雄ねじ部(24)から先端に行くほど徐々に太くなるように形成されたものであり、
前記雌型(31)は、筒状本体部(32)の内周の一端に前記雄型(21)の雄ねじ部(24)に螺合する雌ねじ部(33)が形成され、該内周の他端にホース(H)の外周を押さえる円筒状の加圧面(34)が形成され、該雌ねじ部(33)と該加圧面(34)との間に、筒状本体部(32)内の軸回りにリング状の空間になるようなホース溜り部(35)が形成され、かつ該加圧面(34)が該ホース溜り部(35)から後端に行くほど徐々に太くなるように形成されたものであり、
前記雄型(21)を、そのホース差込部(25)にホース(H)を差し込んだ状態で、前記雌型(31)に螺合連結した際に、該ホース差込部(25)の外周面と前記加圧面(34)とが平行な状態になり、該ホース(H)を挟み込み、かつ前記ホース溜り部(35)にホース(H)の端縁をリング状に硬く圧縮し、抜け止め効果を高めた状態になるように構成された、ことを特徴とする。
【0011】
前記雄型(21)のホース差込部(25)と、前記雌型(31)の加圧面(34)とで、ホース(H)の外周を押さえる加圧幅(PA)は、該ホース差込部(25)の長さの1/3程度の長さである、ことが好ましい。
前記雄型(21)は、ナット型に形成された金具本体部(23)を有し、
前記雌型(31)は、ナット型に形成された筒状本体部(32)を有する、ことが好ましい。
前記雄型(21)のホース差込部(25)の表面に、滑り止め加工面(26)を有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成では、ホース差込部(25)にホース(H)を差し込んだ状態で雄型(21)を、雌型(31)に螺合連結するだけで、ホース(H)への強固な取り付けが容易に完了できる。
ホース(H)は、ホース差込部(25)の外周面と、加圧面(34)との間で平行な状態で挟み込まれるので、ホース(H)内の耐圧補強繊維が抜けづらくなる。即ち、ホースと金具の抜ける原因の糸抜けを抑制し、その結果、ホース(H)の破裂及び抜けなどの不具合を起きにくく簡単で優れた性能を有する構造であることを特徴とする。従来構造のエッジ外周の先端である「線」でホース(H)を押さえるのではなく、加圧幅(PA)部分を設け、「面」で押さえて摩擦抵抗を増加させるため、エッジ部によるホース被覆へ負担を掛けず耐圧補強繊維(F)の糸抜けを抑制できる。
更に、雌型(31)に形成されたホース溜り部(35)により、ホース(H)の端縁が固く圧縮された状態になり、抜け止め効果を高めている。
【0015】
ホース(H)の外周を押さえる加圧面(34)の加圧幅(PA)は、ホース差込部(25)の長さの1/3程度の長さであれば、抜け止め効果を得られ易く、逆に、この加圧幅(PA)が短すぎると、抜け止め効果を得られにくい。また、この加圧幅(PA)が長すぎると、ホース(H)を潰しすぎて、被覆を破損するおそれがある。
ナット型に形成された金具本体部(23)を有する雄型(21)と、ナット型に形成された筒状本体部(32)を有する雌型(31)から成るナット一体型のホース金具は、両者の締め付け、締め外しは工具を用いて容易に実施することができる。
雄型(21)のホース差込部(25)の表面には、滑り止め加工面(26)を施すことができ、この滑り止め加工面(26)により、摩擦係数を大きくして抜け止め効果を高めることができる。
【0016】
本発明は、ホース(H)がホース差込部(25)の外周面と、加圧面(34)とが平行な状態で挟み込まれる構成であれば、ホース差込部(25)は先細り形状、逆に先に行くに従い太くなる形状にしても、ホース(H)の抜け止め効果がある。このときは加圧面(34)の形状についてもホース差込部(25)の形状に合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
【
図2】実施例1のホース金具を示し、ホースを差し込んだ状態で、雌型に雄型を螺合連結した状態の側面図である。
【
図3】実施例1のホース金具を示し、ホースを差し込んだ状態で、雌型に雄型を螺合連結した状態の側断面図である。
【
図4】ホースが、ホース差込部の外周面と雌型の加圧面との間で平行な状態で挟み込まれている状態を示す部分拡大側断面図である。
【
図5】実施例1のホース差込部の表面に、滑り止め加工面を有する変形例を示す雄型の側面図である。
【
図6】実施例2のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
【
図7】実施例3のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
【
図8】従来の雄型のホース差込部に抜け止めのエッジが形成されたホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
【
図9】従来の雄型のホース差込部に抜け止めのエッジが形成されたホース金具を示し、ホースを差し込んだ状態で、雌型に雄型を螺合連結した状態の側断面図である。
【
図10】従来のホースが、ホース差込部の外周面と雌型の加圧面との間で平行な状態で挟み込まれている状態を示す部分拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、凸型形状の雄型と、これに螺合連結される筒形状の雌型とから成り、この雄型を、そのホース差込部に強化繊維が編み込まれたホースを差し込んだ状態で、雌型に螺合連結した際に、ホース差込部の外周面と、雌型の内周面(加圧面)とが平行な状態で、ホースを挟み込み、かつホース溜り部にホースの端縁が固く圧縮された状態になるように構成されたホース金具である。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面で説明する。
<実施例1のホース金具の構成>
図1は実施例1のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
図2は実施例1のホース金具を示し、ホースを差し込み、雌型に雄型を螺合連結した状態の側面図である。
実施例1のホース金具1は、例えば金属製又は合成樹脂製の凸型形状の雄型21と、これに螺合連結される金属製又は合成樹脂製の筒形状の雌型31とから成る。このホース金具1は主に耐圧補強繊維Fで強化された合成樹脂製ホース等のホースHの継手として使用される。
【0020】
<雌型の構成>
雌型31は、
図1(a)に示すように、金属製又は合成樹脂製の筒形状の筒状本体部32の内側の一端に雄型21の雄ねじ部24に螺合する雌ねじ部33が形成された部材である。雌型31は、他端にホースHの外周を押さえる円筒状の加圧面34が形成されている。実施例1のこの加圧面34は、図示するように円筒形状になっている。
【0021】
本発明の雌型31には、雌ねじ部33と加圧面34との間に、筒状本体部32内の軸回りに薄肉になるようなホース溜り部35が形成されている。このホース溜り部35は、雌型31内において形成されるリング形状の空間である。このリング形状の空間内でホースHの端部が圧縮されて抜け止め効果を高めている。
【0022】
図示例は、工具での取り扱いが容易になるように、雌型31の外周部がナット形状になるナット一体型の構成のものを示している。但し、このナット一体型の形状に限定されるものではない。ホース金具1の取付場所、使用場所に応じてナット形状以外の様々な形状に変形させることができる。
【0023】
<雄型の構成>
本発明の雄型21は、
図1(b)に示すように、貫通穴22を有する金具本体部23に雌型31と螺合する雄ねじ部24が形成された金属製又は合成樹脂製の凸型形状の部材である。
雄型21は、この雄ねじ部24に連続して、ホースHが差し込まれる筒形状のホース差込部25が形成されている。ホース差込部25の先端は、ホースHに差し込みやすいように、先端が細くなっている。図示例は一例で、ホースHが太くなれば、それに合わせてホース差込部25の外径も太くする。ホース差込部25の外径は、ホースHの内径と略同じになっている。
【0024】
図示例は、雄型21についても工具での取り扱いが容易になるように、雄型21の外周部がナット形状になるナット一体型の構成のものを示している。但し、このナット一体型の形状に限定されるものではない。
【0025】
<雄型と雌型の連結状態>
図3は実施例1のホース金具を示し、ホースを差し込み、雌型に雄型を螺合連結した状態の側断面図である。
図4はホースが、ホース差込部の外周面と雌型の加圧面との間で平行な状態で挟み込まれている状態を示す部分拡大側断面図である
実施例1のホース金具1は、ホース差込部25にホースHを差し込んだ状態で、雄型21を雌型31に螺合連結して使用する。
図3に示すように、この雄型21と雌型31を螺合連結した際に、雄型21のホース差込部25の外周面と、雌型31内周の加圧面34とがそれぞれの面が平行な状態で、ホースHを挟み込むようになっている。雄型21のホース差込部25にホースHを差し込んだ状態で、雌型31に螺合連結するだけで、ホースHへの取り付けが容易に完了する。これにより従来のエッジの先端である「線」でホースHを押さえるのではなく、ホースHの耐圧補強繊維Fを押さえる加圧幅PAを設けて「面」で押さえて摩擦抵抗を増加させ、ホース被覆へ負担を掛けず耐圧補強繊維Fの糸抜けを抑制できる。
【0026】
このように、ホースHは、ホース差込部25の外周面と、雌型31内周の加圧面34とが平行な状態で挟み込まれるので、ホースHの抜け止め効果がある。ホースは平行な面(加圧面34)で押さえ付けられた状態にある。
【0027】
雄型21のホース差込部25と、雌型31の加圧面34とで、ホースHの外周を押さえる加圧幅PAは、ホース差込部25の長さの1/3程度の長さである。ホースHの外周を押さえる加圧幅PAは、ホース差込部25の長さの1/3程度の長さであれば、抜け止め効果を得られ易く、逆に、この加圧幅PAが短すぎると、抜け止め効果を得られにくい。また、この加圧幅PAが長すぎると、ホースHを潰しすぎて、被覆を破損するおそれがある。
【0028】
更に、実施例1のホース金具1は、ホース溜り部35にホースHの端部がリング状に硬く圧縮されるように構成し、抜け止め効果を高めている。
【0029】
<ホース差込部の変形例>
図5は実施例1のホース差込部の表面に、滑り止め加工面を有する変形例を示す雄型の側面図である。
実施例1のホース金具1の変形例は、雄型21のホース差込部25の表面に、滑り止め加工面26を形成したものである。雄型21のホース差込部25の表面に、滑り止め加工面26を有するホース金具は、この滑り止め加工面26と、加圧面34の内周面の挟み込みにより、ホースHの耐圧補強繊維Fを切断することなく、抜け止め効果を高めることができる。ホースHをホース差込部25への差し込みも容易に実施することができる。
なお、雌型31の加圧面34には、滑り止め加工面26を形成することは好ましくない。この雌型31は雄型21に螺合締結する際に、ホースHの外周面に接する部分であるために、ホースHを摩耗し破損するおそれもあるからである。
【実施例2】
【0030】
<実施例2のホース金具の構成>
図6は実施例2のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
本発明のホース金具41は、ホースHを雄型のホース差込部25の外周面と、雌型の加圧面34により平行な状態で挟み込まれるので、ホースHの抜け止め効果があれば、実施例1のように、これらの外周面と加圧面34が軸方向と正確に同一方向である必要はない。実施例2のホース金具41は、雄型21のホース差込部25が、雄ねじ部24から先端に行くほど徐々に細くなるように形成され、雌型31の加圧面34が、ホース溜り部35から後端に行くほど徐々に細くなるように形成された構成でも良い。例えば、ホース金具51の軸方向線から所定の傾斜角(α)を有するホース差込部25である。雄型21を、そのホース差込部25にホースHを差し込んだ状態で、雌型31に螺合連結した際に、該ホース差込部25の外周面と加圧面34の内周面とが平行になるように構成されていればよい。
【実施例3】
【0031】
<実施例3のホース金具の構成>
図7は実施例3のホース金具を示し、(a)は雌型の側断面図、(b)は雄型の側面図である。
同様に、実施例3のホース金具51は、雄型21のホース差込部25が、雄ねじ部24から先端に行くほど徐々に太くなるように形成され、雌型31の加圧面34が、ホース溜り部35から後端に行くほど徐々に太くなるように形成された構成である。例えば、ホース金具51の軸方向線から所定の傾斜角(β)を有するホース差込部25である。雄型21のホース差込部25にホースHを差し込んだ状態で、前記雌型31に螺合連結した際、該ホース差込部25の外周面と加圧面34の内周面とが平行になるように構成されていればよい。
【0032】
このような実施例2、実施例3のホース金具41,51であっても、ホースHは、ホース差込部25の外周面と、加圧面34とが平行な状態で挟み込まれるので、ホースの抜け止め効果がある。ホースは平行な面で押さえ付けられるため、従来のような雌型の抜け止め用のエッジ部分又はホース差込部25の抜け止め用エッジ部分で被覆を破損、あるいは耐圧補強繊維の糸抜けを抑制できる。
【0033】
なお、本発明は、ホースHの耐圧補強繊維Fを押さえる加圧幅PAを広げて摩擦抵抗を増加させ、ホース被覆へ負担を掛けず補強糸の切断(糸抜け)を押さえる構造とすることで、ホース金具1,41,51の雌型31と雄型21とのカシメ強度を保持したまま、糸抜けを回避すると共に、ホース金具1,41,51の付け替えを容易に行うことができる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のホース金具は、配管等に使用するホース、チューブ等の端末部に取り付けて利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1,41,51 ホース金具
21 雄型
22 貫通穴
23 金具本体部
24 雄ねじ部
25 ホース差込部
26 滑り止め加工面
31 雌型
32 筒状本体部
33 雌ねじ部
34 加圧面
35 ホース溜り部
PA 加圧幅
H ホース
F 耐圧補強繊維