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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】大麻注入甘味料及び他の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20220405BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220405BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220405BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20220405BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220405BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/353
A61K36/185
A61K47/40
A61K47/36
A61K47/24
A61P25/00
A23L27/00 E
A23L33/105
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019505135
(86)(22)【出願日】2017-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 US2017027549
(87)【国際公開番号】W WO2017180953
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-13
(31)【優先権主張番号】62/323,154
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/328,975
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319002599
【氏名又は名称】エスアールイー ウェルネス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルバー,ロナルド
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0182455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0271940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/352
A61K 36/185
A61K 47/00
A61P 25/00
A23L 27/00
A23L 33/105
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に、
カンナビノイド油と;
前記カンナビノイド油と包接複合体を形成する、シクロデキストリンを含む化合物と;
増粘剤としてのキサンタンガム
甘味料と;
からなる、摂取可能なカンナビノイド注入組成物。
【請求項2】
前記甘味料が、白砂糖、甘蔗糖、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、及びアガベからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物及び前記キサンタンガムをそれぞれ、前記組成物の0.12%~2%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物の前記キサンタンガムの両方を0.01%~4%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物の前記キサンタンガムの両方を0.15%~3%含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物と前記キサンタンガムとを等しい割合で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記カンナビノイドは、生物学的に利用可能であり、高代謝性、及び消化されて即効性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
カンナビノイド油とアルコールとを組み合わせて、油/アルコール混合物を形成すること;
前記油/アルコール混合物を加熱すること;
増粘剤としてのキサンタンガム及び前記カンナビノイド油と包接複合体を形成する、シクロデキストリンを含む化合物を、前記油/アルコール混合物に加えて、増粘混合物を形成すること;
前記増粘混合物を加熱すること;
前記増粘混合物を混合すること;
前記増粘混合物と甘味料とを組み合わせること;
前記増粘混合物及び前記甘味料を加熱すること;及び
残渣アルコールを蒸発させること;
を含む、カンナビノイド注入組成物の製造方法。
【請求項10】
前記増粘混合物及び前記甘味料を、華氏120~220度で10~60分間加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記甘味料が、前記甘味料は、白砂糖、甘蔗糖、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、及びアガベからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記カンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール(THC)及び/又はカンナビジオール(CBD)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記カンナビノイドは、生物学的に利用可能であり、高代謝性、及び消化されて即効性である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物及び前記キサンタンガムをそれぞれ、前記組成物の0.12%~2%含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物の前記キサンタンガムの両方を0.01%~4%含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物の前記キサンタンガムの両方を0.15%~3%含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物と前記キサンタンガムとを等しい割合で含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記甘味料はシロップを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記シロップは水を含む、請求項18に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に利用可能であり、速効性であり、高度に代謝可能である大麻注入甘味料及びエリキシル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、大麻植物に見られる化学化合物であり、脳及び体内の受容体と相互作用して種々の効果を発揮する。薬草大麻は、植物カンナビス(Cannabis)属に特有のアリール置換メロテルペンである100種以上のカンナビノイドを含む400種以上の化合物を含有する。カンナビノイドの大部分の薬理学は大部分が未知であるが、最も強力な向精神剤であるΔ-テトラヒドロカンナビノール(Δ-THC又はTHC)が、その豊富さ及び向精神属性のために、単離され、合成され、よく研究されている。他の植物カンナビノイドには、Δ-THC、カンナビノール、及びカンナビジオール(CBD)が含まれる。これらのカンナビノイド及び他のカンナビノイドは、THCとの相加的、相乗的、又は拮抗的効果を有し、薬草大麻を喫煙する際にその作用を改変し得る。
【0003】
最もよく研究されたカンナビノイドには、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びカンナビノール(CBN)が含まれる。これらの構造を図1で以下に示す。全てのカンナビノイドは、カンナビゲロール型化合物に由来し、主にこの前駆体が環化する方法が異なる。古典的なカンナビノイドは、脱炭酸(熱、光、又はアルカリ性条件によって触媒される)によって、それぞれの2-カルボン酸(2-COOH)から誘導される。
【0004】
THCの分離は、イスラエルの化学者Raphael Mechoulamによってもたらされた。1964年、MechoulamはレバノンハシッシュからTHCを単離及び合成し、多くの他のカンナビノイド、体内のカンナビノイド受容体及び「エンドカンナビノイド」-人体が安定性及び健康を維持するために自然に産生するTHC様化合物の発見につながる大麻研究の始まりとなった。
【0005】
CBD及びTHCレベルは、様々な植物間で変化する傾向がある。娯楽目的のために栽培されるマリファナは、通常、CBDよりも多くのTHCを含有する。しかしながら、選択的育種技術を使用することにより、大麻栽培者は、CBDのレベルが高く、THCのレベルがほとんどゼロの品種を作り出すことができる。
【0006】
ヒト及び他の多くの動物は、THCが結合する受容体系を有しているので、健康と楽しみの両方のためのカンナビノイドの利益を受けることもできる。エンドカンナビノイド系(又は「ECS」)は、特殊なシグナル伝達化学物質、その受容体、並びにそれらを生成及び分解する代謝酵素の一群である。これらのエンドカンナビノイド化学シグナルは、CBD及びTHCのような植物カンナビノイドが作用するのと同じ脳及び免疫細胞受容体(CB1及びCB2)のいくつかに作用する。
【0007】
THCは、脳及び中枢神経系に集中したカンナビノイド受容体に結合することによって作用して、向精神効果をもたらす。共に非常に一般的なカンナビノイドであるTHCとCBDの主な違いは、その向精神効果にある。THCは強い脳幸福感を誘発するが、CBDは向精神効果を完全に欠いている。これは基本的に、THCがヒト脳内でCB1受容体を活性化するが、CBDは活性化しないという事実に帰着する。
【0008】
カンナビノイド、特にCBD及びTHCに多くの薬効があることは周知である。CBDの微妙な効果は、疼痛、炎症、及び不安軽減、並びに他の薬効において主に感じられる。CBDには、THCの消費で生じ得る有害な副作用もない。THCと異なり、CBDはまた、ハイを引き起こさない。医療従事者は最小限の副作用での治療を好むため、このことがCBDを医薬品として大いに有利にする。CBDはまた、THCの睡眠誘発効果を中和するようであり、大麻のいくつかの系統が覚醒を増加させることが知られている理由を説明し得る。CBDはまた、記憶障害及びパラノイア等のTHCの中毒効果を軽減するように作用する。
【0009】
THCは、個体及び身体化学に応じて経験され得る又はされ得ない広範囲の短期間の効果を有する。THCのいくつかのプラスの短期間の効果には、高揚感、弛緩、鎮静、疼痛軽減、エネルギー、空腹感、眠気、時間、及び笑いの知覚の遅れが含まれる。
【0010】
THCが利益をもたらす種々の医学的状態が存在する。これらの状態には、心的外傷後ストレス障害、神経因性及び慢性疼痛、不眠症、悪心、炎症、関節炎、偏頭痛、がん、クローン病、線維筋痛、アルツハイマー病、多発性硬化症、緑内障、注意欠陥多動性障害(「ADHD」)、睡眠時無呼吸症候群及び食欲不振が含まれる。
【0011】
CBDとTHCは共に致死的過量のリスクを示さないことが分かっている。しかしながら、潜在的な副作用を減らすために、医療ユーザーはCBDのレベルが高い大麻を使用する方がよい。
【0012】
今日、THCを消費する最も一般的な方法は喫煙によるものであるが、口腔内で消費することもできる。しかしながら、経口投与THCの公知の方法は、低吸収による生物学的利用能の低下及び消化器系における高い初回通過代謝を有する。従って、カンナビノイド水溶液が必要とされている。
【0013】
喫煙によって消費されようとも摂取によって消費されようとも、THCの脱炭酸は加熱によって起こり、THCを楽しむ上での秘訣である。その生の形態では、大麻は、主要なカンナビノイドがTHCAであり、非向精神性である。しかしながら、熱を加えることによって、パイプ中でそれに火をつけたり又は油の中で調理したりすると、THCAがTHCに変換される。
【0014】
本発明の方法は、生物学的に利用可能であり、高度に代謝可能であり、速効性である経口摂取用の水溶性カンナビノイド組成物を提供することによって、大麻喫煙の有利な代替を提供する。
【0015】
芳香族テルペノイドとして、THCは水に非常に低い溶解度を有するが、大部分の有機溶媒、特に脂質及びアルコールに良好な溶解度を有する。
【0016】
食用大麻製品の課題は、THC分子を処理する肝臓の様々な能力のために効果を発揮するまでに様々な時間がかかるということである。その時の肝機能に応じて、THCの2~6%が代謝され得る。この過程により、THCは食道及び軟部組織に吸収され、より速効性で、より高度に代謝可能となる。
【0017】
Kolskyの特許文献1は、THC、ヤシ油、砂糖、及び他の成分で製造されたロゼンジ(lozenges)を開示している。しかしながら、大麻油を親水性に及び水に可溶性にする主成分である乳化剤は使用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許第8,906,429号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
現在知られているものとは異なり、本発明の目的は、一貫した量の時間で起こる一貫した結果を有する、生物学的に利用可能であり、速効性であり、高度に代謝可能である、医学的及び娯楽的使用のための大麻油注入製品を作製するための大麻注入甘味料及びエリキシル剤を提供することである。
【0020】
一般的に、エリキシル剤は特定の不均衡に対処することが知られている治癒植物薬品(healing botanicals)であるが、それらは必ずしも身体が治癒を続けるために身体に治癒化学を模倣するよう教えるわけではない。また、エリキシル剤は美味しい香味剤、花、健康的な甘味料で作られると同時に、異なる比率の薬効を使用する。エリキシル剤は通常、液体:薬草抽出中に1:3又は1:4である。
【0021】
本発明による甘味料及びエリキシル剤の製造では、乳化剤の組み合わせ並びに反応工程の時間及び温度の変化を使用する、大麻油を水溶性にする方法が使用される。この方法は単独で又は他の食用製品と組み合わせた大麻油の速効性、生物学的利用能、及び高度に代謝可能な送達を提供する大麻注入甘味料及びエリキシル剤をもたらす。
【0022】
本発明の別の目的は、ヤシ脂肪を注入したココナッツジュースのベースを共有する大麻油注入甘味料及びエリキシル剤のラインを提供し、法定薬局での小売販売のために卸売業者に製品を販売することである。
【0023】
より具体的には、本発明の目的は、大麻注入甘味料及びエリキシル剤を使用して、心的外傷後ストレス障害、神経因性及び慢性疼痛、不眠症、悪心、炎症、関節炎、偏頭痛、がん、クローン病、線維筋痛、アルツハイマー病、多発性硬化症、緑内障、注意欠陥多動性障害(「ADHD」)、睡眠時無呼吸症候群及び食欲不振を治療することである。
【0024】
本発明の砂糖及びエリキシル剤の更に別の目的は、疼痛、炎症を治療すること、及び不安軽減である。
【0025】
より具体的には、本発明の砂糖及びエリキシル剤をチョコレート及び/又はアルコール飲料と組み合わせて食用製品を作製することができる。
【0026】
本発明の砂糖及びエリキシル剤の更に別の目的は、それを、本明細書で超荷電(super-charged)と呼ばれる、速効性であり、高度に代謝可能であることを含む、予測可能な結果で家庭において又は専門的に他の食用製品を製造するために使用することができることである。これにより、消費者は、発明品が他の製品と著しく異なる結果を有することを知ることができる。これらの組成物は、企業に研究及び開発に使用するための高品質の製品を援助するのと同時に、小売と卸売製造の両方で、多くの形態で市販され得る。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明において、これらの目的及び明らかになる他の目的は、一般に、大麻油と;キサンタンガム、グアーガム、レシチン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の乳化剤と;甘味料と、を含む大麻注入甘味料によって達成される。
【0028】
本発明の甘味料は、使用者によって摂取されると、生物学的に利用可能であり、高度に代謝可能であり、及び速効性である大麻油を含む。
【0029】
使用される前記甘味料は、白砂糖、甘蔗糖、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、アガベ、及び他の同様の甘味料からなる群から選択される。前記甘味料が前記大麻注入甘味料の98%~99.88%の範囲で存在する。
【0030】
前記大麻油は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びマリファナ植物から単離される他のカンナビノイド油からなる群から選択される。前記大麻油は、甘味料1g当たり1.5mg~20mgの範囲で存在する。
【0031】
前記乳化剤は、全甘味料の0.12%~2%の範囲で存在する。好ましい実施態様において、前記乳化剤が少なくとも2種の乳化剤の組み合わせである。最も好ましい前記乳化剤は、シクロデキストリンと、キサンタンガム、グアーガム、レシチン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される1種の乳化剤と、の組み合わせである。
【0032】
本発明はまた、大麻油と;少なくとも1種の乳化剤と;白砂糖、甘蔗糖、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、アガベ、及び他の同様の甘味料からなる群から選択される甘味料と;香味抽出物又は果実シロップと;を含む、大麻注入エリキシル剤も提供する。
【0033】
前記甘味料は、前記エリキシル剤の98%~99.8%の範囲で存在する。
【0034】
前記大麻油注入エリキシル剤は大麻油を含み、使用者によって摂取されると、生物学的に利用可能であり、高度に代謝可能である。
【0035】
甘味料の実施態様と同様に、前記エリキシル剤で用いられる前記大麻油は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びマリファナ植物から単離される他のカンナビノイド油からなる群から選択される。前記大麻油は、エリキシル剤1オンス当たり3mg~50mgの範囲で存在する。
【0036】
前記エリキシル剤は、炭酸又は静水溶液のような飲料溶液に、液体飲料を製造するために、1:3~1:4の比で添加される。
【0037】
前記乳化剤は、前記エリキシル剤の0.12%~2%の範囲で存在する。前記乳化剤は、キサンタンガム、グアーガム、レシチン、シクロデキストリン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される。
【0038】
好ましい実施態様において、前記乳化剤は少なくとも2種の乳化剤の組み合わせである。最も好ましい実施態様において、前記乳化剤はキサンタンガムとシクロデキストリンとの組み合わせであり、前記シクロデキストリンとキサンタンガムがそれぞれ0.12~2%の量で存在する。
【0039】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を考慮すると明らかになるが、これらは例示的であり限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びカンナビノール(CBN)の化学構造を示す。
図2キサンタンガムの化学構造を示す。
図3グアーガムの化学構造を示す。
図4β-シクロデキストリン(βCD)の化学構造及び分子形状を示す。
図5レシチンの化学構造を示す。
図6カッパカラギーンの化学構造を示す。
図7モノグリセリドの化学構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、大麻油と;キサンタンガム、グアーガム、レシチン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の乳化剤と;甘味料と、を含む大麻注入甘味料、並びに、大麻油と;少なくとも1種の乳化剤と;白砂糖、甘蔗糖、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、アガベ(agave)、及び他の同様の甘味料からなる群から選択される甘味料と;香味抽出物又は果実シロップと;を含む大麻注入エリキシル剤を提供する。
【0042】
甘味料及びエリキシル剤の両発明の実施態様において、大麻油を、通常の疎水性状態から、使用者によって摂取されると生物学的に利用可能であり、高度に代謝可能であり、速効性である親水性(好水性)状態へと改変する。
【0043】
生物学的利用能とは、本発明の食品栄養素大麻油が体内での吸収及び利用のために利用可能である程度を指す。生物学的利用能は、典型的には、初回通過代謝を通過する栄養素及び薬物、即ち、経口的に消費される物質に適用される。腸に吸収されたものは、最初に肝臓を通過した後、循環の残りに到達し、腸と肝臓の両方がそれをある程度代謝し得る。
【0044】
代謝可能であるとは、食品/物質を体によって使用され得る形態に変える過程を指す
【0045】
本発明の大麻の乳化は、少なくとも1つの乳化剤;媒体;基油;大麻油;及びカフェインでできている。
【0046】
乳化剤
【0047】
エマルジョンは、混合、コロイドミリング又は均質化によって通常混合不能な材料を別のものに分散させることによって製造される。本発明の乳化剤の表面活性特性は、自身を、混合時間を短縮し、分散液の安定性を維持する有効な乳化剤にする。
【0048】
本発明における乳化剤は、組成物の0.15%~2%の範囲で存在する。キサンタンガム、グアーガム、シクロデキストリン、レシチン、カラギーン(carrageen)、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の乳化剤が本発明の方法に使用される。好ましい実施形態では、乳化剤が、少なくとも2種の異なる乳化剤の組み合わせである。
【0049】
THC及びCBDを含む大麻油は水溶性ではないので、二重極性を有するもの、即ち、水が極性であり、カンナビノイドがそうでないという事実を両立させる化合物に「捕捉される」必要がある。乳化剤がこれを提供する。いったん化合物に捕捉されると、THCは、水に溶解し、均一に分散し、溶液中に懸濁したままとなる能力等の、事実上の新しい特性を有する。これはまた生物学的利用能の増加を示す:食料品中同量の大麻油は、血流に到達するまでに最大2時間かかることがあるが、水に溶解した水溶性大麻油の効果は、10分ほどと、より急性的に感じられる。
【0050】
カンナビノイドは脂肪に可溶性あることが知られている。水溶性物質のみが腸膜を通過することができることも知られている。脂肪は、カンナビノイドのように非電荷であるので、それ自体は水溶性ではない。膜への脂肪吸収には、外面で水と(荷電側)、内面で脂肪及びTHCと(非荷電側)結合することができるビヒクルを構築する双極子特性を有する物質が必要である。
【0051】
本発明に使用される具体的な乳化剤を以下に詳述する。
【0052】
キサンタンガム
【0053】
キサンテンとも呼ばれるキサンタンガムは、化学式C1310Oを有する。その分子量は182.22g/molである。図2は、キサンタンガムの化学構造を示す。
【0054】
一般に、キサンタンガムは、細菌を糖で発酵させることによって作られた物質である。これは、食品と医薬品の両方で見られる添加物である。食品添加物としては、この物質は増粘剤又は安定剤として利用される。この化合物は、糖尿病、コレステロール、及び口渇の治療等の医学における種々の用途を有する。
【0055】
具体的には、キサンタンガムは、細菌ザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)によって分泌される多糖である。本発明以前には、食品増粘剤(例えば、サラダドレッシングにおいて)及び安定剤(例えば、成分の分離を防ぐために、化粧品において)として一般的に使用される、食品添加物及びレオロジー調整剤としての使用が知られている。図1に示すように、キサンタンガムは、グルコース、マンノース、及びグルクロン酸を2:2:1のモル比で含む五糖反復単位で構成される。これは、グルコース、スクロース、又はラクトースの発酵によって産生される。発酵期間後、多糖をイソプロピルアルコールで増殖培地から沈殿させ、乾燥させ、微粉末に粉砕する。その後、これを液体培地に添加してガムを形成する。
【0056】
グアーガム
【0057】
化学的には、グアーガムは、糖ガラクトース及びマンノースで構成される多糖である。図3は、骨格が、ガラクトース残基が2マンノース毎に1,6結合して短い側枝を形成するβ1,4-結合マンノース残基の直鎖であることを示している。
【0058】
水中では、グアーガムは非イオン性及び親水コロイド性である。これはイオン強度又はpHの影響を受けないが、極端なpH及び温度(例えば、50℃でpH3)で分解する。これは、pH範囲5~7で、溶液中で安定なままである。強酸は加水分解及び粘度の低下を引き起こし、強濃度のアルカリもまた粘度を低下させる傾向がある。これはほとんどの炭化水素溶媒に不溶性である。達成される粘度は、時間、温度、濃度、pH、撹拌速度、及び使用される粉末ガムの実際のサイズに依存する。温度が低いほど、粘度が上昇する速度は低くなり、最終粘度は低くなる。80℃より上では、最終粘度がわずかに低下する。微細なグアー粉末は、粗い粉末ガムよりも急速に膨潤する。グアーガムは、コーンスターチの約8倍の水増粘能力を有し、十分な粘度を得るためにごく少量で済む。よって、これを、油滴が癒合するのを防ぐのを助けるので乳化剤として、及び/又は固体粒子が沈降するのを防ぐのを助けるので安定剤として、種々の多相性配合物に使用することができる。
【0059】
シクロデキストリン
【0060】
シクロデキストリンは、セルロースの細菌消化中に形成される構造的に関連する天然産物の群である。これらの環状オリゴ糖は、(α-1,4)-結合α-D-グルコピラノース単位からなり、幾分親油性の中心空洞及び親水性の外表面を含む。グルコピラノース単位のいす形配座のために、シクロデキストリンは完全な円筒ではなく円錐台のような形状をしている。ヒドロキシル官能基は、円錐の狭い縁の糖残基の一級ヒドロキシル基及びより広い縁の二級ヒドロキシル基で円錐の外側に配向する。中心空洞は、骨格炭素及びグルコース残基のエーテル性酸素によって裏打ちされており、それによって親油性が付与される。空洞の極性は、エタノール水溶液の極性と同様であると推定されている。
【0061】
天然のα-、β-、及びγ-シクロデキストリン(αCD、βCD、及びγCD)は、それぞれ6個、7個、及び8個のグルコピラノース単位からなる。天然のシクロデキストリン、特にβCDは、限定された水溶性を有する(親油性物質とこれらのシクロデキストリンの相互作用から生じる複合体が、水及び他の水性系からの固体シクロデキストリン複合体の沈殿をもたらす限定された溶解度を有し得ることを意味する)。実際、天然のシクロデキストリンの水溶性は、同等の非環式糖の水溶性よりもずっと低い。これは、結晶状態における比較的強い分子間水素結合によるものと考えられている。親油性メトキシ官能基によってさえも、水素結合形成ヒドロキシル基のいずれかの置換は、その水溶性の劇的な改善をもたらす。商業的に関心が高い水溶性シクロデキストリン誘導体には、βCD及びγCDのヒドロキシプロピル誘導体、ランダムにメチル化されたβ-シクロデキストリン(RMβCD)、並びにスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム塩(SBEβCD)が含まれる。
【0062】
図4及び表1は、「Cyclodextrins」と題された論文(A.Magnusdetir、M.Masson及びT.Loftsson、J.Incl.Phenom.Macroc.Chem.44、213~218、2002)からとった。
【0063】
表1.シクロデキストリンの水溶性
【表1】
【0064】
シクロデキストリンは、高濃度の水溶性顆粒を作り出す。シクロデキストリンは、他の化合物をその中心に吸収することが知られている糖分子の環状構造である。これらは難水溶性化合物と包接錯体を形成する。分子磁石のように作用し、シクロデキストリンは他の分子を吸収し、その特性を呈する。これらの分子は、粉末形態のままでありながら、アルコール中その重量の最大60%を吸収することができる。これらの分子は水で混合してやっと溶解する。
【0065】
THC-シクロデキストリン化合物を用いた実験は、THC水溶性を1000倍近く増加させる。この理由から、好ましい実施形態では、乳化剤が少なくとも2種の異なる乳化剤の組み合わせであり、少なくとも一方がシクロデキストリンであり、他方の乳化剤がキサンタンガム、グアーガム、レシチン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される。
【0066】
シクロデキストリンは非常に高価であり、あるバージョンでは摂取すると望ましくない副作用を引き起こすことさえある。本発明では、同じ又はより優れた溶解度結果を提供するために、より少量のシクロデキストリンを、あまり高価でない他の乳化剤と組み合わせて使用する。これは、低コストで利益を得るより少量のシクロデキストリンの使用に経済的解決策を提供する。
【0067】
レシチン
【0068】
レシチンは本発明に乳化剤として使用される。これらは表面活性である;同時の親水性(水を好む)及び疎水性(撥水性)特性により、レシチンが容易には混合せず、分離する傾向がある材料の安定なブレンドを作ることが可能になる。
【0069】
レシチンは、両親媒性である-水と脂肪物質の両方を引き付ける(そのため、親水性であると同時に親油性である)、動物及び植物組織中に生じる黄色から褐色がかった脂肪物質の群を示す総称である。レシチンは、一般的に、食品テクスチャの平滑化、粉末の溶解(乳化)、液体混合物の均質化及び固着材料の撥ね付けに使用される。レシチンは、リン酸とコリン、グリセロール、又は他の脂肪酸、通常は糖脂質又はトリグリセリドで構成される。レシチン中のグリセロリン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、及びホスファチジン酸が含まれる。
【0070】
ヤシ油レシチンを大麻に添加すると、THC及び他のカンナビノイドの細胞膜への吸収が増加し、工程が高速化する。
【0071】
カラギーン
【0072】
カラギーンは、赤色食用海藻から抽出される直鎖状硫酸化多糖類のファミリーである。これらは、そのゲル化、増粘、及び安定化特性のために、食品業界において広く使用されている。その主な用途は、食品タンパク質との強力な結合のために、乳製品及び肉製品にある。カラギーナンには、硫酸化の程度が異なる3つの主要な種類がある。カッパ-カラギーナンは、二糖1個当たり1個の硫酸基を有し、イオタ-カラギーナンは、2個を有し、ラムダ-カラギーナンは、3個を有する。
【0073】
モノグリセリド
【0074】
モノグリセリドは、エステル結合を介して脂肪酸に結合したグリセロールの分子で構成されるグリセリドのクラスであるグリセロールは一級アルコール基と二級アルコール基の両方を含むので、2つの異なる種類のモノグリセリドが形成され得る;脂肪酸が一級アルコールに結合している1-モノアシルグリセロール、又は脂肪酸が二級アルコールに結合している2-モノアシルグリセロール。
【0075】
モノグリセリドは、主に界面活性剤として、通常は乳化剤の形態で使用される。ジグリセリドと共に、モノグリセリドは一般に市販の食品に少量で添加され、油と水の混合物が分離するのを防ぐのに役立つ。
【0076】
大麻油
【0077】
本発明に使用される大麻油は純粋な状態である。本発明の製品の意図する最終用途は、許される場合、医学的又は娯楽的使用のためにヒトによって摂取されることであるため、これは重要である。
【0078】
使用される大麻油は、CO2抽出、水抽出、ブタン抽出、及び残留物についてのゼロ試験を残す抽出法によってマリファナ植物から抽出することができる。大麻油の代表的な構造を図1に示す。
【0079】
本発明に使用される大麻油は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びマリファナ植物から単離される他のカンナビノイド油からなる群から選択される。甘味料中の大麻油が、甘味料1g当たり1.5mg~20mgの範囲で存在する。エリキシル剤中の大麻油が、エリキシル剤1オンス当たり3mg~50mgの範囲で存在する。
【0080】
甘味料
【0081】
注入甘味料及びエリキシル剤の両方に使用される甘味料は、白砂糖、甘蔗糖(cane sugar)、粗糖、フルクトース、タービナド糖、ココナッツ糖、デーツ糖、液体ステビア、液糖、粉砂糖、ブラウンシュガー、黒砂糖、蜂蜜、アガベおよび他の同様の甘味料からなる群から選択される。甘味料成分は、大麻注入甘味料の98%~99.88%の範囲で存在する。
【0082】
甘味料は、両実施形態で、それぞれ大麻注入甘味料又は大麻注入エリキシル剤の98%~99.88%の範囲で存在する。
【0083】
調製方法
【0084】
本発明の甘味料は、砂糖、ココナッツ糖、デーツ糖、ステビア、及び任意の他の品質の甘味料を含む高品質の甘味料で開始することによって調製される。次に、甘味料に、以下に記載される方法を用いて乳化大麻油を注入する。
【0085】
使用される大麻油をアルコールで溶解するが、これは油を水溶性にはしない。本発明の乳化剤は、大麻油をその天然の疎水性状態から「水を好む」親水性状態に改変するために必要である。使用される大麻油の量は、所望の効力に依存するが、好ましくは、甘味料1ポンド当たり純抽出大麻油1~10gを使用する。
【0086】
本発明の方法に使用されるアルコールの量は、典型的には砂糖1lb当たり4ozである。好ましくは、穀物アルコールを本発明に使用するが、他の類似のアルコールを使用することもできる。方法の最後で、得られた生成物中に存在する残留物はゼロである。
【0087】
大麻油を水浴に入れ、120~220°Fで4~30分間加熱する。大麻油をアルコールに添加し、ローターブレード装置に入れて120~220°Fの間で1~7分間温度を保持した。本方法の間、乳化剤又は乳化剤の組み合わせを、加熱された混合物に、最終製品の全重量の0.15%~3%の量で添加した。
【0088】
次いで混合物を甘味料と組み合わせ、120~220°Fで10~60分間加熱して乳化を完了させ、甘味料から残留アルコールを蒸発させる。甘味料1ポンドあたり、4オンスの穀類アルコールに対して1~4gのオイルが存在する。
【0089】
可能な変形例(variations)には次のものが含まれる:百分率で0.01%~4%の乳化剤;その百分率とするゆな乳化剤類の組み合わせ;前記した処理温度と時間。これらの甘味料は理解可能で望ましい形態で与えられ、フレキシブルで調節可能な低量の大麻経験を提供する。これらはコーヒーや茶のような飲料に用いることができる。
【0090】
本発明の甘味料は、THCが速効性且つ高度に代謝可能であることを確保する。この製品の摂取により、消費者は、経験の多様な変化を得る代わりに、毎回、効果が表れるまでの時間及びその効果の中身を含む一貫した経験が得られることが確保される。
【0091】
本発明の抽出物は、炭酸水その他の液体のような他の成分と共に混合することができる。
【0092】
本発明の大麻注入エリキシル剤の製造方法は次の通りである。エリキシル剤は本質的にシロップ、果実シロップ、並びに種々の風味付けされた及び風味付けされていないシロップである。本発明のエリキシル剤の一群を調製するための成分は、0.12~2%の量の乳化剤を含む。果実シロップ1ガロン;香味付けされた又は香味付けされていない、及び1000~2000mgの間の量の大麻油。
【0093】
前記シロップを120~220°Fで加熱する。大麻油をこの加熱された混合物に添加し、ローター中にて1~7分間ブレンドし、その間、乳化剤を添加する。本発明のエリキシル剤の一群を調製するための成分は、0.12%~2%の量の乳化剤を含む。果実シロップ1ガロン、香味付けされた又は香味付けされていない及び1000~2000mgの間の量の大麻油。
【0094】
他のバリエーションは、5~3mgの範囲内で様々な量の大麻油並びにライム、ザクロ、オレンジ、レモン、及びその他を含む異なる香味特性を含み、1~64オンスの間の異なる一人前の分量である。
【0095】
本開示を、以下の実施例の助けを借りて更に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0096】
実施例1
【0097】
摂取されると、生物学的に利用可能であり、大麻の速効性効果をもたらす大麻注入チョコレートが提供される。このようなものを作製する方法は、植物性グリセリン又はヤシ油のいずれかの基油5~10オンスの使用を含む。コニャック又はウイスキーなどの高品質アルコール飲料を添加することができるが、任意である。基油液を120~220°Fに加熱する。大麻油抽出物をTHC110~1120mgに等しく添加する。次に、乳化剤を、一般的に、以下の量:0.5%レシチン、0.15%キサンタンガム、0.1%シクロデキストリンで添加する。乳化剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。熱混合物を高速ブレンダー又は他の機械でブレンドし、高速で2分間実行する。混合物を室温に冷却させる。
【0098】
混合物が冷却した後、溶融チョコレートを10lb添加し、練った後、型の中に堆積させ、その後、55°Fに冷却する。
【0099】
実施例2
【0100】
いくつかの異なる乳化剤及び異なるヤシ油の組み合わせ:固体及び液体(MCT)を使用して、いくつかの実験を実行した。(注:液体MCTは、中鎖トリグリセリドを有するヤシ油である)。グアーガム、レシチン、及びシクロデキストリンを乳化剤として試験し、良好な結果を得た。しかしながら、キサンタンガムが最も有効であり、最も低粘度で油及び水の最良の乳化をもたらした。
【0101】
最もよいと決定された乳化法は、オレオ分子を水溶性にすることによってTHCをより生物学的に利用可能にする付加効果を有していた。この方法は、THCを速効性にして、わずか15分で効果を生じさせるという別の付加効果を有していた。
【0102】
本発明の乳化を製造するために使用される方法は、最初にエキストラバージン有機ヤシ油を120~220°Fに加熱することを含んでいた。CO2抽出大麻油を添加する。高速ブレンダー(又は同様の機械)では、ココナッツジュースをヤシ脂肪(油)に添加して乳化を確実にする。ブレンドする間、キサンタンガム粉末を、最終製品の総体積の0.15%~0.45%の量で添加する。本明細書で使用される割合は、乾燥重量基準であり、最終製品の総体積に基づく。ブレンダーを30秒~2の高速で運転する。得られた乳化を使用して、種々の大麻注入製品を製造する。本発明の方法は、オレオ分子を水溶性にすることによって、THCをより生物学的に利用可能にする。よって、摂取すると、THCを速効性にして、わずか15分で効果を生じさせる。
【0103】
実施例3
【0104】
種々の大麻注入製品を調製し、40人の個体のランダム試験群で試験した。試験した製品には、大麻注入砂糖、カンナビノイド/カフェイン乳化、及び大麻注入エリキシル剤が含まれ、これらを以下の表に要約する。表3の製品は、「Cannabinoid and Caffeine Emulsifications」と題された同じ発明者による同時係属特許出願の主題であり、マタ、「Method of Making Cannabis Oil Hydrophilic Using Emulsifiers and Related Cannabinoid Compositions」と題された同じ発明者による同時係属特許出願の主題は、これらの製品の製造と関連するものであり、これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
40人の個体の各々が、表2、3、及び4の製品のうちの1つを試験した。試験した製品の内訳は、10%(4人)のカンナビノイド/カフェイン乳化;20%(8人)のカンナビノイドエリキシル剤、及び70%(28人)の大麻注入砂糖であった。
【0106】
表2-大麻注入砂糖(サービングサイズ1tsp)
【表2】
【0107】
表3-カンナビノイド/カフェイン乳化(サービングサイズ2oz)
【表3】
【0108】
表4-カンナビノイドエリキシル剤(風味付けシロップ)(サービングサイズ1oz)
【表4】
【0109】
試験の参加者に一連の質問をし、その結果を以下の表に要約する。
【0110】
質問1.摂取後、最初の効果開始を経験するまでどれくらいかかったか? 結果を表5に示す。試験した3つの製品全てにおいて、大麻の効果の開始は15~20分未満であった。
【0111】
表5-効果の開始の結果
【表5】
【0112】
質問2.参加者に、1~5の尺度で、摂取後の最初の開始経験の強度を説明するよう求めた。回答者の大半が、効果が軽度から中等度であると述べた。結果を表6に示す。
【0113】
表6-強度の結果
【表6】
【0114】
質問3.参加者に、他の大麻食料品と比較して、試験した製品の開始の迅速性をどのように特徴付けるのかを訪ねた。回答者は、本発明の製品を、大麻を含有するグミベア、ブラウニー、及び焼き菓子を含む摂取した他の製品と比較していた。結果を表7に示す。
【0115】
表7-他の大麻食料品との比較結果
【表7】
【0116】
要約すると、全ての実施形態、即ち、大麻注入砂糖、乳化及びエリキシル剤で、92.7%~100%が、本発明の製品が他の大麻食料品より速く作用すると述べた。
【0117】
本発明の水溶性カンナビノイド組成物は、不眠症、筋肉痛、不安等の種々の病気を経験している、又は手術からの回復中、又は化学療法中の人々に有益な経験を提供する。この乳化は大麻油分子を親水性、よって水溶性にし、THCを生物学的に利用可能で、速効性で、より高度に代謝可能にする。
【0118】
医療用マリファナ患者は、通常、大麻を消費するために提供される媒体によって咎められる。本発明の水溶性大麻は、彼らに、病気を緩和するのに必要とするカンナビノイドにアクセスするための便利で、無煙の代替物を提供する。
【0119】
本発明の種々の及び好ましい実施形態の前記説明は、例示目的のためのみに提供されるものであり、以下の特許請求の範囲に示される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多数の改変、変更、及び変化がなされ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7