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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】取付ボルト接続装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/14 20060101AFI20220405BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F16B2/14 C
F16B5/06 R
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020109750
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2021011946
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10 2019 118 453.3
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599075863
【氏名又は名称】エレルゴン・アントリーブステヒニク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ELLERGON Antriebstechnik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ガイスリンガー, マティアス
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0120234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0240851(US,A1)
【文献】特表2010-534814(JP,A)
【文献】特開2000-304135(JP,A)
【文献】特開昭64-003330(JP,A)
【文献】特表平04-507130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00- 2/26
F16B 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品(1)の穴(3)に配置するための、円錐面(6、6’)を有する取付ボルト(5、5’)と、
前記取付ボルト(5、5’)の前記円錐面(6、6’)と前記第1の部品(1)の前記穴(3)の内周壁(8)との間にそれぞれ配置するための3つ以上の別個のコーンセグメント(10、10’)と、
前記コーンセグメント(10、10’)にそれぞれ関連付けられる締付ボルト(16、16’)であって、前記締付ボルト(16、16’)によって、前記コーンセグメント(10、10’)がそれぞれ、互いに独立して、前記取付ボルト(5、5’)の前記円錐面(6、6’)と前記穴(3)の前記内周壁(8)との間で個別に締め付けられ得る、締付ボルト(16、16’)と
を備え、
前記第1の部品(1)に軸線方向で支持されるカバー(18、18’)であって、前記カバーが、ねじ(20)によって前記取付ボルト(5、5’)と係合し、前記カバー(18、18’)を前記取付ボルト(5、5’)にねじ留めするための工具取付部(21)を有し、前記コーンセグメント(10、10’)の前記締付ボルト(16、16’)がそれぞれ、端部(26)によって前記カバー(18、18’)に回転可能に受けられ、前記端部(26)によって前記カバー(18、18’)に軸線方向で固定される、カバー(18、18’)をさらに備える、取付ボルト接続装置。
【請求項2】
雄ねじ(20)を有する内側突起(23)が、前記カバー(18、18’)に設けられており、前記突起が、前記取付ボルト(5、5’)の雌ねじ(24)を有する凹部と係合することを特徴とする、請求項に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項3】
前記コーンセグメント(10、10’)の前記締付ボルト(16、16’)が、前記カバーの外側にある、工具取付部(28)を有する頭部(27)と、前記カバーの内側にあるカラー(29)とを有し、前記頭部(27)および/または前記カラー(29)の直径が、前記カバー(18、18’)の関連する穴(25)の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項4】
前記取付ボルト(5)が、第2の部品(2)の穴(4)に配置するための第2の円錐面(7)を有し、前記第2の円錐面が、前記取付ボルト(5)の長手方向軸線(A)に対して、第1の前記円錐面(6)とは逆向きの所定の角度を有し、
第2のコーンセグメント(11)が、第2の締付ボルト(17)によって前記第2の円錐面(7)と第2の前記穴(4)の内周壁(9)との間に配置され、
第1の前記カバー(18)に対応する第2のカバー(19)が、前記第2の部品(2)に軸線方向で支持され、ねじ(20)によって前記取付ボルト(5)にねじ留めされ、前記第2の締付ボルト(17)を回転可能に支持することを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項5】
前記取付ボルト(5’)が、第2の部品(2)に軸線方向で支持されるカラー(32’)を形成することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項6】
前記取付ボルト(5’)が、前記第2の部品(2)の穴(4)の内径部にきっちり嵌まる円筒状取付部(31’)を形成することを特徴とする、請求項に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項7】
前記締付ボルト(16、16’)がそれぞれ、ねじ部(31)によって関連する前記コーンセグメント(10、10’)と係合されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の取付ボルト接続装置。
【請求項8】
前記コーンセグメント(10、10’、11)が、円筒状外壁部(12)と円錐状内壁部(13)とを有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の取付ボルト接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の部品と少なくとも1つの第2の部品とを接続するための取付ボルト接続装置に関する。この目的のために通常は取付ねじが使用され、そこでは、シャフトの直径は、位置を固定するために相互接続される部品の合わされる穴に滑り嵌めされるように設計される。
【背景技術】
【0002】
接続される部品の合わされる穴は、可能な限り、互いに正確に位置合わせされるように一緒に穴あけされ、穴ぐりされる。しかしながら、この種の一緒の製造は常に可能なわけではない。例えば穴あけ治具を使用するか、または対応する同等物を使用して、合わされる穴が互いに独立して作られる場合、特により大きな部品では、しばしば、わずかなずれがあり、このため、穴は互いに正確に位置合わせされなくなる。このような場合、取付ボルトはわずかな箇所にしか当接しないか、またはまったく当接しない。さらに、互いに合わされる穴は、わずかに異なる直径を有し得る。このようなずれは、従来の取付ボルトでは補償され得ない。
【0003】
これらの場合、補正手段はしばしば非常に複雑である。1つの可能性は、例えば、可能であれば対応する穴を再加工することである。多くの場合、液体窒素で冷却された取付ボルトが使用される。取付ボルトは、結果として直径が収縮し、穴に素早く挿入され後、再び加熱されて膨張する。これにより、取付ボルトは、合わされる穴に嵌め込まれる。しかしながら、取付ボルト接続装置を破壊することなく取付ボルト接続装置を解除することが不可能になる。この手順も、高度な経験と設備を必要とするため、作業場から離れた作業場所では容易に利用できない。
【0004】
さらなる補正手段は、欧州特許出願公開第0816703号明細書から知られる。さらなる補正手段は、円錐状ねじ接続部によって取付ボルト接続装置を作ることを提案しており、そこでは、円錐状内側ボルトが、対応する外形の円錐状貫通開口を有する締付ブッシュに軸線方向で締め付けられる。穴が正確に位置合わせされていない場合、または穴の直径が等しくない場合、締付スリーブの塑性変形によって、取付ボルト接続装置が得られる。組み立て中の材料の塑性変形は、一般に望ましくないか、または実現不可能でさえある。塑性変形後に接続部を破壊することなく、欧州特許出願公開第0816703号明細書から知られる取付ボルト接続装置を解除することは一般に不可能である。
【発明の概要】
【0005】
この背景に対して、本発明は、少なくともある程度は接続される2つの部品の合わされる穴の位置ずれを特に補償することが可能である、少なくとも2つの部品を相互接続するために軸線方向で締め付け可能および解除可能な取付ボルト接続装置を形成するという目的に基づいている。
【0006】
この目的は、請求項1に記載の取付ボルト接続装置によって達成される。本発明による取付ボルト接続装置は、第1の部品の穴に配置するための円錐面を有する取付ボルトと、取付ボルトの円錐面と第1の部品の穴の内周壁との間にそれぞれ配置するための3つ以上の別個のコーンセグメント(cone segment)と、コーンセグメントにそれぞれ関連付けられた締付ボルトであって、締付ボルトによって、コーンセグメントがそれぞれ、互いに独立して、取付ボルトの円錐面と穴の内周壁との間で個別に締め付けられ得る締付ボルトとを備える。
【0007】
本発明は、円錐状セグメントが周囲の穴および取付ボルトに常に押し付けられ、その結果、当該の穴の内周にわたって取付ボルト接続装置の機能が確保されるように、個々の円錐状セグメントをそれらの適正な位置に軸線方向に配置するという考えに基づいている。これにより、位置ずれした穴と直径が異なる穴の両方を、信頼性の高い取付ボルト接続装置として相互接続することが可能になる。取付ボルト接続装置の解除および再組み立ては常に可能である。作業は簡単な組み立て工具を使用して行うことができ、これは、遠くの作業場所でも補正手段を実行することができることを意味する。
【0008】
本発明の好適な実施形態は、さらなる請求項の主題を形成する。
【0009】
実施形態の第1の変形形態では、取付ボルト接続装置は、第1の部品での軸線方向の支持のためのカバーをさらに備え、このカバーは、ねじによって取付ボルトと係合し、カバーを取付ボルトにねじ留めするための工具取付部を有する。コーンセグメントの締付ボルトはそれぞれ、カバーの端部によって回転可能に受け入れられ、前記端部によってカバーに軸線方向で固定される。取付ボルトの予荷重は、カバーをねじ留めすることによって調整することができ、コーンセグメントは、コーンセグメントがそれぞれ取付ボルトの円錐面と穴の内周壁の間に食い込むように締付ボルトによって適正な位置に動かされる。これは、個々のコーンセグメントを、取付ボルトと内周壁との間に形成された隙間に異なる深さで挿入しなければならないことを意味し得る。
【0010】
コーンセグメントが締め付けられるとき、カバーにおける締付ボルトの位置は、その位置を変化させない。これは、組み立てられた状態で均一な外観が得られ、締付ボルトの端部がカバーから異なる長さで突出しないことを意味する。当業者は、締め付けられる部品間で十分な圧迫力が確保されるようにカバーおよび締付ボルトの締め付けトルクを調整する。
【0011】
コーンセグメントを移動させるために、締付ボルトが、好ましくは、ねじによって関連するコーンセグメントと係合する。
【0012】
カバーを取付ボルトにねじ留めするために、実施形態のさらなる変形形態では、雄ねじを有する内側突起が、カバーに設けられ得、この突起は、取付ボルトの雌ねじを有する凹部と係合する。突起は、カバーと一体に形成され得るし、カバーに別途取り付けられ得る。あるいは、カバーに雌ねじを設け、この雌ねじを取付ボルトの雄ねじ部にねじ付けることも可能である。しかしながら、最初に述べた変形形態は、外観が閉じているという利点をもたらす。
【0013】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、コーンセグメントの締付ボルトは、カバーの外側にある、工具取付部を有する頭部と、カバーの内側にあるカラーとを有する。いずれの場合も、頭部およびカラーの直径は、カバーの関連する穴の直径よりも大きい。各コーンセグメントに加えられる圧迫力は、カラーによってカバーの内側に対して支持され、頭部は、外部操作を可能にし、組み立て中に締付ボルトがカバーから脱落するのを防止する。しかしながら、頭部の直径は、カバーの関連する穴よりも小さく設計することもでき、頭部は、例えば、スロットまたは六角ソケットによって操作することができる。この場合、締付ボルトが脱落しないという保証はない。
【0014】
上で説明された補償の原理は、少なくとも、互いに合わされる穴の1つに個別に使用され得るが、任意選択で、合わされる2つの穴にも使用され得る。
【0015】
2つの貫通穴が互いに合わされる実施形態の変形形態では、取付ボルトは、第2の部品の穴に配置するための第2の円錐面を形成し得、第2の円錐面は、取付ボルトの長手方向軸線に対して、第1の円錐面に対向する所定の角度を有する。第2の締付ボルトを有する第2のコーンセグメントは、第2の円錐面と第2の穴の内周壁との間に配置される。さらに、第1のカバーに対応する第2のカバーが設けられ、第2のカバーは、第2の部品に軸線方向で支持され、ねじによって取付ボルトにねじ留めされ、第2の締付ボルトを回転可能に支持する。組み立て中、最初に取付ボルトは、関連する締付ボルトおよびコーンセグメントを有するカバーの1つを使用して適切な穴の1つに固定され得る。次に、関連するさらなる締付ボルトおよびコーンセグメントを有するさらなるカバーが、部品のペアの反対側から組み付けられる。位置ずれまたは直径のずれの補償は、ここでは2つの箇所に分かれており、その結果、取付ボルトの円錐面しかない場合に比べてより大きなずれが補償され得る。
【0016】
実施形態のさらなる変形形態では、カバーの1つが、軸線方向の支持のために取付ボルトに形成されたカラーによって置き換えられる。したがって、組み立て中、カラーを有する取付ボルトは、最初に、合わされる穴に押し入れられる。次に、締付ボルトおよびコーンセグメントを有するカバーが、反対側から組み付けられる。この変形形態は、例えば、繊維複合材料で作られたフランジが金属フランジに接続されるようになっている用途に適している。この場合、カラーは、繊維複合材料で作られたフランジで支持される。このようにして、コーンセグメントによる、繊維複合材料の穴の内周壁への荷重が回避される。
【0017】
任意選択で、この場合、第2の部品、例えば、繊維複合材料で作られた前述のフランジの貫通穴の内径部にきっちり嵌まる円筒状取付部を有する取付ボルトが形成され得る。
【0018】
実施形態のさらなる変形形態では、取付ボルトは、第2の部品での軸線方向の支持のためのカラーを形成し、コーンセグメントの締付ボルトは、カラーの側から取付ボルトに通され、頭部によって取付ボルトで支持され、コーンセグメントとねじ係合する。取付ボルトは、中央締付部材によって第1の部品に対して軸線方向で締め付けられ得る。この変形形態は、例えば、第1の部品の穴が止まり穴として設計されている場合に、片側だけの組み立てを可能にする。
【0019】
本発明は、図面に示されている実施形態を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による取付ボルト接続装置の第1の実施形態の長手方向断面図を示す。
図2図1による取付ボルト接続装置のカバーの図を示す。
図3】取付ボルト接続装置のコーンセグメントの空間図を示す。
図4】本発明による取付ボルト接続装置の第2の実施形態の長手方向断面図を示す。
図5図4による取付ボルト接続装置のカバーの図を示す。
図6】本発明による取付ボルト接続装置の第3の実施形態の長手方向断面図を示す。
図7図6による取付ボルト接続装置の外端面の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図3に示されている第1の実施形態は、第1の部品1と第2の部品2とを接続するための取付ボルト接続装置を示す。2つの部品1および2は、互いに合わされる2つの穴3および4を有し、これらは、図示の実施形態では、互いに正確に位置合わせされておらず、小さなずれによって互いにずれている。加えて、穴3および4は、穴3および4の内径に関して互いにわずかに異なり得る。単一箇所の接続の代わりに、以下でより詳細に説明される取付ボルト接続装置は、複数箇所の接続でも使用され得る。
【0022】
穴3および4は、貫通穴として設計されており、それぞれ外側から接近可能である。図示の位置ずれを補償するために、取付ボルト接続装置は、何よりもまず、第1の部品1の穴3に配置するための第1の円錐面6と、第2の部品2の穴4に配置するための第2の円錐面7とを形成する取付ボルト5を有する。2つの円錐面6および7は、取付ボルト5の長手方向軸線Aに対して、互いに逆向きの所定の角度を有する。しかしながら、以下でより詳細に説明されるように、第1の円錐面6のみが取付ボルト5に存在する実施形態も可能である。
【0023】
円錐面6および7の最大外径は、これらと穴3および4の対応する内周壁8および9との間に環状隙間が形成されるように選択される。
【0024】
取付ボルト接続装置は、取付ボルト5の円錐面6または7と、それぞれの関連する穴3または4の、半径方向に対向する内周壁8または9との間にそれぞれ配置するための少なくとも3つ、この例では6つのコーンセグメント10および11をさらに備える。コーンセグメント10および11(これらの1つが図3により詳細に示されている)はそれぞれ、軸線方向にテーパ状の環状隙間に挿入される。コーンセグメント10および11は、周方向に相互に離間され、互いに接触しない。
【0025】
図3が示すように、各コーンセグメント10または11は、対応する内周壁8または9に当接させるための円筒状外壁部12と、取付ボルト5の対応する円錐面6または7に当接させるための円錐状内壁部13とを有する。
【0026】
さらに、各コーンセグメント10または11は、外壁部12に対して角度が付けられた半径方向内向きの壁部14を有し、半径方向内向きの壁部14には、ねじ穴15が設けられており、ねじ穴15の軸線は、好ましくは、取付ボルト5の長手方向軸線Aと平行に延びる。
【0027】
締付ボルト16または17は、コーンセグメント10または11に関連付けられている。締付ボルト16または17によって、コーンセグメント10または11はそれぞれ、互いに独立して、取付ボルト5の円錐面6または7と穴3または4の対応する内周壁8または9との間で個別に締め付けられ得る。
【0028】
この目的のために、締付ボルト16および17はそれぞれ、コーンセグメント10または11の壁部14のねじ穴15と係合する。締付ボルト16または17を回すことによって、コーンセグメント10または11は、取付ボルト5の円錐面6または7と対応する内周壁8または9との間の環状部の奥深くに多かれ少なかれ移動され得る。これにより、環状隙間の異なる半径方向隙間幅を補償することが可能になる。
【0029】
第1の実施形態では、締付ボルト16および17はそれぞれ、カバー18および19に軸線方向で支持される。
【0030】
図1は、第1の部品1に軸線方向で支持される第1のカバー18を示し、このカバーは、ねじ20によって取付ボルト5と係合する。さらに、第1のカバー18は、第1のカバー18を取付ボルト5にねじ留めするための工具取付部21を有する。図示の実施形態では、第1のカバー18は、この目的のために六角形の形状を有する。しかしながら、第1のカバー18において、他の工具取付部21も可能である。
【0031】
本事例では、第1のカバー18のねじ20は、例えば、取付ボルト5に面する内側22に設けられた突起23の雄ねじとして設計されている。突起23は、第1のカバー18と一体に形成され得るし、第1のカバー18に別途取り付けられ得る。取付ボルト5には、対応する雌ねじ24があり、これによって、突起23は突起23の雄ねじで係合する。ねじ込み深さを変化させることによって、取付ボルト5は、穴3および4に軸線方向に配置され得る。加えて、第1の部品1と第2の部品2とを接続するために必要な予荷重(preloading force)は、以下でより詳細に説明されるように、2つのカバー18または19を取付ボルト5にねじ留めすることによって加えられる。
【0032】
第1のカバー18は、第1のコーンセグメント10用の第1の締付ボルト16を取り付けるためのさらなる穴25を有する。第1の締付ボルト16はそれぞれ、端部26によって第1のカバー18に回転可能に受け入れられ、前記端部26によって第1のカバー18に軸線方向で固定される。
【0033】
図示の第1の実施形態では、第1の締付ボルト16は、限定されないが、カバーの外側にある、工具取付部28を有する頭部27と、カバーの内側にあるカラー29とを有する。雄ねじ部31を有するシャフト部30は、カラー29から第1のコーンセグメント10のねじ付き開口15内に延在する。
【0034】
少なくともカラー29、好ましくはカラー29および頭部27の両方は、第1のカバー18の関連する穴25の直径よりも大きな直径を有する。
【0035】
関連するコーンセグメント10が環状隙間に圧入される力は、カラー29によって軸線方向で支持される。頭部27は、関連するコーンセグメント10を外側から締め付けたり緩めたりするために使用される。
【0036】
第1の実施形態では、既に述べたように、穴3および4のそれぞれに対して2つの円錐面6および7が取付ボルト5に設けられている。第1の部品1の関連する穴3に第1の円錐面6を正確に固定するための部品は、上で説明されている。第2の円錐面7は、類似の部品を使用して第2の部品2の穴4に固定され得る。
【0037】
したがって、図1では、第2のコーンセグメント11は、第2の締付ボルト17によって第2の円錐面7と第2の穴4の内周壁9との間にあるように見られ得、第1のカバー18に対応する第2のカバー19は、第2の部品2に軸線方向で支持される。さらに、この第2のカバー19は、ねじ20によって取付ボルト5にねじ留めされ、第2のカバー19は、第1の締付ボルト16に関して既に説明したように、第2の締付ボルト17を回転可能に支持する。
【0038】
第1の実施形態による取付ボルト接続装置を組み立てるとき、第1のカバー18および第2のカバー19のそれぞれのコーンセグメント10および11が、最初に、関連する締付ボルト16および17を動かすことによって、いずれの場合もコーンセグメント10および11の壁部14がカバーの内側22の方向に移動されることにより、後退位置に動かされる。
【0039】
次に、取付ボルト5が、第1の部品1および第2の部品2の合わされる穴3および4に挿入される。次に、第1のカバー18が、第1のカバー18の第1のコーンセグメント10および第1の締付ボルト16とともに第1の部品1の穴3に挿入され、これにより、環状隙間と既に緩く係合している、コーンセグメント10の端部は、第1の円錐面6と穴3の内壁部8との間に到達することが可能である。
【0040】
取付ボルト5の長手方向軸線Aは、互いに幾分ずれている、穴3および4の長手方向中心軸線間の中心に可能な限り近づけられる。次に、取付ボルト5は、第1のカバー18を取付ボルト5にねじ留めすることによって、また、第1のコーンセグメント10を環状隙間内に移動させることにより所望の位置の取付ボルト5を半径方向で固定するために第1の締付ボルト16を締めることによって、この位置に固定される。
【0041】
この手順の修正形態では、取付ボルト5はまた、最初に第1のカバー18に緩く取り付けられ、前記カバーとともに穴3に挿入され得る。
【0042】
取付ボルト5の長手方向軸線Aが固定された後、第2のカバー19が、第2のカバー19の第2のコーンセグメント11および第2の締付ボルト17とともに反対側から取り付けられる。第2のコーンセグメント11は、取付ボルトの第2の円錐面7と第2の部品2の穴4の内周壁9との間に形成された環状隙間と緩く係合するようになる。
【0043】
次に、第1の部品1および第2の部品2を互いに対して押し付けるために、第2のカバー19が、取付ボルト5に対して締められ、その結果、取付ボルト接続装置の実際の予荷重が発生する。
【0044】
最後に、第2の締付ボルト17が、第2の円錐面7と穴4の内周壁9との間の環状隙間に第2のコーンセグメント11を押し込むために操作され、これにより、第2のコーンセグメント11は、第2のコーンセグメント11の外壁部12によって内周壁9に対して半径方向で支持され、第2のコーンセグメント11は、第2のコーンセグメント11の円錐状内壁部13によって取付ボルト5の第2の円錐面7に対して半径方向で支持される。このようにして、取付ボルト5の長手方向軸線Aと第2の部品2の穴4の長手方向中心軸線との間に存在する残りのずれと、合わされる穴3と4の間に存在する直径差とが補償される。
【0045】
締付ボルト16および17によって、カバー18および19によって加えられる第1の部品1と第2の部品2との間の押圧力は幾分減少するが、これは、取付ボルト接続装置を設計するときに考慮に入れられなければならない。
【0046】
組み立て後、すべての締付ボルト16および17ならびにカバー18および19の締め付けトルクの対応する微調整が行われ得る。
【0047】
第1のコーンセグメント10および第2のコーンセグメント11をねじ戻してから、取付ボルト5から第1のカバー18および第2のカバー19をねじって外すことにより、取付ボルト接続装置は容易に解除され、必要に応じて再度設置され得る。組み立ておよび分解は、従来のトルクレンチで行われ得る。このために特別な工具は必要なく、したがって、作業場外の遠くの作業場所でも組み立ておよび分解は可能である。
【0048】
したがって、本発明は、位置ずれした穴および/または内径がわずかに異なる穴を取付ボルト接続装置に使用することを可能にする。
【0049】
取付ボルト接続装置は、あらゆる産業分野に使用することができ、また、さまざまな材料で作られ得るし、さまざまな材料でコーティングされ得る。
【0050】
これらは、好ましくは、大きなフランジを接続するために使用されるが、他の単一箇所および複数箇所の接続にも使用され得る。
【0051】
図示の第1の実施形態の多くの修正形態が可能である。
【0052】
第2の実施形態が、図4および図5に示されており、そこでは、ずれは穴によってのみ補償される。
【0053】
第2の実施形態の取付ボルト接続装置は、同様に、第1の部品1の穴3に配置するための円錐面6’を有する取付ボルト5’を備える。第1の実施形態のように、ここでも、取付ボルト5’の円錐面6’と第1の部品1の穴3の内周壁8との間にそれぞれ配置するための3つ以上の別個のコーンセグメント10’が設けられる。コーンセグメント10’はそれぞれ、締付ボルト16’に関連付けられており、締付ボルト16’によって、コーンセグメント10’は、互いに独立して、取付ボルト5’の円錐面6’と穴3の内周壁8との間で個別に締め付けられ得る。さらに、第2の実施形態の取付ボルト接続装置は、取付ボルト5’にねじ留めされるカバー18’であって、締付ボルト16’を回転可能に支持するカバー18’を有する。
【0054】
コーンセグメント10’、締付ボルト16’、およびカバー18’は、第1の実施形態の対応する部品と同様に設計することができ、したがって、この点に関して上記の説明が参照される。
【0055】
第1の実施形態と対照的に、第2の実施形態の取付ボルト5’は、第2の部品2に軸線方向で支持されるカラー32’を形成する。
【0056】
加えて、第2の実施形態の取付ボルト5’には、円筒状取付部33’が設けられ得、この取付部は、第2の部品2の合わされる穴4の内径部に正確に嵌まるように設計される。特に、取付部33’と第2の部品2の穴4の内周壁9との間で中間嵌めが行われ得、中間嵌めは、繊維複合材料で作られた第2の部品2の取り付けに特に適している。これにより、第2の部品2の内周壁9の半径方向荷重が回避される。特に、第1の実施形態のような、コーンセグメント11による半径方向圧力の応力が除去される。これは、繊細な材料にとって特に好適である。
【0057】
第2の実施形態による取付ボルト接続装置を組み立てるとき、最初に、取付ボルト5’が、取付ボルト5’のカラー32’が第2の部品2と接触するまで、第2の部品2の側から、合わされる穴3および4に押し入れられる。
【0058】
次に、カバー18’が、引っ込められたコーンセグメント10’とともに取付ボルト5’に取り付けられる。この場合、コーンセグメント10’は、最初に、円錐面6’と第1の部品1の穴3の内周壁8との間に形成された環状隙間に緩く入れられる。
【0059】
その後、カバー18’は、所望の予荷重レベルにほぼ達するまで、取付ボルト5’にねじ留めされる。最後に、締付ボルト16’が、コーンセグメント10’がそれぞれ取付ボルト5’の円錐面6’と穴3の内周壁8との間に食い込むまで動かされる。最後に、締め付けトルクが微調整され得る。
【0060】
締付ボルト16’によってコーンセグメント10’を環状隙間から外に移動させ、カバー18’を緩めることによって、ここでは非破壊的に取付接続部を緩め、再利用することも可能である。
【0061】
図6および図7は、第3の実施形態を示し、そこでは、第2の実施形態のように、ずれは穴によってのみ補償される。第2の実施形態と対照的に、組み立ては、取付ボルト接続装置の片側からのみ可能である。これは、例えば、限られたスペースにおいて、または第1の部品がそれに応じて設計されている場合に好適であり得る。これは、例えば、第1の部品に貫通開口ではなく止まり穴しかない用途に適している。
【0062】
第3の実施形態の取付ボルト接続装置は、第1の部品1の穴3に配置するための円錐面6’’を有する取付ボルト5’’を有する。図6から分かるように、第1の穴3は、ここでは止まり穴として設計されている一方で、第2の穴4は、円筒状取付部31’’を有する取付ボルト5’’がきっちり嵌って挿入され得る貫通開口である。例えば、第2の部品2の穴4の内周壁9に、取付部31’’が中間嵌めされる。
【0063】
少なくとも3つ、例えば6つの別個のコーンセグメント10’’が、取付ボルト5’’の円錐面6’’と第1の部品1の穴3の内周壁8との間に配置され、コーンセグメント10’’のそれぞれは、締付ボルト16’’に関連付けられている。締付ボルト16’’によって、コーンセグメント10’’は、互いに独立して、取付ボルト5’’の円錐面6’’と穴3の内周壁8との間で個別に締め付けられ得る。ここでは別個のカバーは必要ない。
【0064】
第3の実施形態の取付ボルト5’’は、本事例では貫通開口として設計された穴4を有する第2の部品2に軸線方向で支持されるカラー32’’を形成する。
【0065】
コーンセグメント10’’の締付ボルト16’’は、カラー32’’の側から取付ボルト5’’に通される。締付ボルト16’’はそれぞれ、頭部27’’を有し、頭部27’’は、例えば、取付ボルト5’’の外端面壁33’’で支持され得る。締付ボルト16’’はそれぞれ、コーンセグメント10’’の1つとねじ係合し、前記コーンセグメントを図3に示されているように設計することが可能である。好ましくは、コーンセグメント10’’および締付ボルト16’’は、取付ボルト5’’を穴3および4に挿入する前に、取付ボルト5’’に緩く取り付けられる。
【0066】
取付ボルト5’’は、中央締付部材35’’によって第1の部品1に対して軸線方向で締め付けられ得る。中央締付部材35’’は、例えば、取付ボルト5’’の外端面壁33’’から取付ボルト5’’に通され、第1の部品1の対応するねじ部36’’にねじ込まれる締付ボルトとして設計され得る。頭部27’’は、締付部材5’’の外側で支持される。
【0067】
本発明は、実施形態およびさらなる修正形態を参照して上で詳細に説明された。実施形態および修正形態は、本発明の実現可能性を証明するのに役立つ。さらなる個々の特徴に関して上で説明された技術的な個々の特徴はまた、明示的に説明されていなくても技術的に可能である限り、前記さらなる個々の特徴とは無関係に、また他の個々の特徴と組み合わせて実施され得る。したがって、本発明は、具体的に説明された実施形態に明確には限定されず、特許請求の範囲によって規定されたあらゆる設計を含む。
【符号の説明】
【0068】
1…第1の部品、2…第2の部品、3…第1の部品の穴、4…第2の部品の穴、5、5’、5’’…取付ボルト、6…第1の円錐面、6’、6’’…円錐面、7…第2の円錐面、8…第1の部品の穴の内周壁、内壁部、9…第2の部品の穴の内周壁、10…第1のコーンセグメント、10’、10’’…コーンセグメント、11…第2のコーンセグメント、12…円筒状外壁部、13…円錐状内壁部、14…半径方向内向きの壁部、15…ねじ穴、ねじ付き開口、16、16’、16’’…第1の締付ボルト、17…第2の締付ボルト、18…第1のカバー、18’…カバー、19…第2のカバー、20…ねじ、21…カバーの工具取付部、22…カバーの内側、23…突起、24…雌ねじ、25…穴、26…端部、27、27’’…頭部、28…締付ボルトの工具取付部、29…締付ボルトのカラー、30…シャフト部、31…雄ねじ部、31’、31’’…円筒状取付部、32’、32’’、…取付ボルトのカラー、33’…円筒状取付部、33’’…外端面壁、35’’…中央締付部材、36’’…ねじ部、A…長手方向軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7