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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電子装置および駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220405BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20220405BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20220405BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20220405BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26
B60R1/20 100
G06T7/60 200J
G08G1/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017210073
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019083426
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】須田 亮平
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-016514(JP,A)
【文献】特開2017-149398(JP,A)
【文献】特開2016-213551(JP,A)
【文献】特開2004-243835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 21/00
B60R 1/00
G06T 7/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援機能を備えた電子装置であって、
車両周辺を撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像に基づき少なくとも対向する2本の境界線を含む駐車枠を検出する検出手段と、
車両のハンドル舵角に関するハンドル舵角情報を取得する取得手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、
前記取得されたハンドル舵角に応じた走行予測線を算出する算出手段と、
算出された走行予測線と前記検出された境界線との角度差を検出する角度差検出手段と、
前記表示手段に表示された画像上に、前記検出された角度差に応じた表示態様で前記走行予測線を描画する描画手段とを有し、
前記描画手段は、角度差が正から負または負から正に変化するとき、角度差が0°を跨ぐ一定のバッファ区間において走行予測線を固定の表示態様で描画し、前記バッファ区間を超えたある角度差の区間において走行予測線を前記固定の表示態様と異なる表示態様で描画する、電子装置。
【請求項2】
前記描画手段は、角度差が正の値であるとき第1の表示態様で走行予測線を描画し、前記ある角度差の区間負の値であるとき第2の表示態様で走行予測線を描画する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記描画手段は、角度差が負の値であるとき第1の表示態様で走行予測線を描画し、前記ある角度差の区間正の値であるとき第2の表示態様で走行予測線を描画する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ある角度差の区間は、角度差の変化する方向が反転したとき終了する、請求項1ないしいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記表示態様は、走行予測線を表示する表示色である、請求項1ないしいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項6】
前記表示態様は、走行予測線を表示する線種である、請求項1ないしいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
駐車支援機能を備えた電子装置における駐車支援方法であって、
車両周辺を撮像した画像に基づき少なくとも対向する2本の境界線を含む駐車枠を検出するステップと、
ハンドル舵角に応じた走行予測線を算出するステップと、
算出された走行予測線と前記境界線との角度差を検出するステップと、
撮像された画像を表示するとき、当該画像上に、前記角度差に応じた表示態様で前記走行予測線を描画するステップを含み、
前記描画するステップは、角度差が正から負または負から正に変化したとき、角度差が0°を跨ぐ一定のバッファ区間において走行予測線を固定の表示態様で描画し、前記バッファ区間を超えたある角度差の区間において走行予測線を前記固定の表示態様と異なる表示態様で描画する、駐車支援方法。
【請求項8】
前記ある角度差の区間は、角度差の変化する方向が反転したとき終了する、請求項に記載の駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援機能を備えた電子装置に関し、駐車するときに撮像画像上に表示される走行予測線(ガイドライン)の描画に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された撮像カメラの画像を利用した運転支援システムが実用化されている。例えば、サイドビューカメラを用いて車両側方の障害物の警告をしたり、リアビューカメラを用いて車両後方の駐車を支援したり、トップビューシステムにより車両の俯瞰画像を表示して車両周辺の障害物等の警告を行っている。
【0003】
車載カメラを利用した駐車支援では、車両のバックギアに連動してディスプレイに後方画像を表示し、さらに後方画像上にハンドル舵角に連動した曲率をもつ走行予測線を描画している。例えば、特許文献1の駐車支援装置では、現在のハンドル舵角(ステアリング角)をそのままの状態にして後進したときに、図1に示すように、自車Mの後輪Tの軸上WHから延びる走行予測線(破線)10が駐車枠20と平行になる位置Pまでを表示区間とし、残りの部分を非表示区間とし、これにより、走行予測線10の認識を容易にしている。
【0004】
また、特許文献2の駐車支援装置は、自車と駐車スペースの平行の程度を確認し、自車の車幅とほぼ等しい2本の仮想直線を自車の後方端部から描画し、さらに駐車スペースの白線を後方に仮想的に延在させ、自車と駐車スペースの平行の程度を認識し易くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-100267号公報
【文献】特開2011-016405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
走行予測線10は、図1に示すように、自車Mの車幅と略同一の間隔を有し、自車Mの後端部からハンドル舵角に応じて延在する2つの曲線または直線である。走行予測線10を描画するには、旋回中心と旋回半径を求める必要がある。旋回中心は、自車Mの後輪軸WH上にあり、旋回半径は、ハンドル舵角に応じて決定される。旋回中心と旋回半径を求めるために、車両の諸元データ等に基づき旋回中心やハンドル舵角と旋回半径との対応関係を予め準備しておくか、あるいは、撮像された動画像を解析することで旋回半径や旋回中心が求められる。
【0007】
走行予測線を描画するとき、走行予測線と駐車枠との相対的な位置関係を容易に認識できるように、走行予測線10と駐車枠との角度差に応じて走行予測線10の表示色を変えている。図2に、従来の角度差に応じた走行予測線の描画例を示す。走行描画線10を描画するとき、走行予測線上の予め決められた点Pの接線Lと駐車枠の境界線22との角度差θが検出される。点Pは、例えば、走行予測線10上の自車Mの後端から一定の距離の位置に設定される。点Pの接線Lと境界線22の角度差が検出されると、当該角度差に応じた表示色が選択される。図2の例では、角度差を3つの範囲に分割し、走行予測線10を異なる表示色で描画している。走行予測線10と境界線22との角度差が0~1°以内であるとき、走行予測線10は、例えば緑色で表示され(図2(A))、走行予測線10と境界線22との角度差が1~7°以内であるとき、走行予測線10は、例えば青色で表示され(図2(B))、走行予測線10と境界線22との角度差が7°以上であるとき、走行予測線10は、例えば紫赤色で表示される(図2(C))。このように角度差に応じて走行予測線10の表示色を異ならせることで、運転者は、直感的に駐車枠とのズレがどの程度であるかを認識することができる。
【0008】
図3は、走行予測線と駐車枠の境界線の角度差の変化を表したグラフである。時刻t0~t1の間、角度差は+1°以上であり、走行予測線が青色で表示される。時刻t1からt2において、運転者のステアリング操作によって角度差が小さくなり、角度差が+1°未満になると、走行予測線が緑色で描画される。ここで、運転者が緑色の走行描画線に気づかず、ステアリングを同一方向にさらに旋回させると、時刻t2で角度差が0°を超えて-1°以上になり、時刻t2~t3において、走行予測線が再び青色で描画される。表示色は、角度差の絶対値に応じて選択されるため、0°区間を通過する前の時刻t0~t1の表示色と、0°区間を通過した後の時刻t2~t3の表示色とが同一であり、運転者は、角度差が0°区間を通り過ぎたのか否かを直感的に判断することができない。また、時刻t1~t2の0°区間を跨ぐ時間が短いと、運転者は、0°区間を跨いだことに気が付かないことがあり、0°に到達していないと勘違いしてさらにハンドルを旋回させてしまい、その結果、駐車枠との角度差が大きくなってしまうことがある。
【0009】
本発明では、上記従来の課題を解決し、走行予測線と駐車枠との角度差の認識が容易である駐車支援機能を備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る駐車支援機能を備えた電子装置は、車両周辺を撮像する撮像手段と、前記撮像された画像に基づき少なくとも対向する2本の境界線を含む駐車枠を検出する検出手段と、車両のハンドル舵角に関するハンドル舵角情報を取得する取得手段と、前記撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、前記取得されたハンドル舵角に応じた走行予測線を算出する算出手段と、算出された走行予測線と前記検出された境界線との角度差を検出する角度差検出手段と、前記表示手段に表示された画像上に、前記検出された角度差に応じた表示態様で前記走行予測線を描画する描画手段とを有し、前記描画手段は、角度差が正から負または負から正に変化するとき、角度差が0°を超えた後のある区間の表示態様を他の表示態様に変更する。
【0011】
ある実施態様では、前記描画手段は、角度差が正の値であるとき第1の表示態様で走行予測線を描画し、角度差が前記ある区間の負の値であるとき第2の表示態様で走行予測線を描画する。ある実施態様では、前記描画手段は、角度差が負の値であるとき第1の表示態様で走行予測線を描画し、角度差が前記ある区間の正の値であるとき第2の表示態様で走行予測線を描画する。ある実施態様では、前記描画手段は、0°を跨ぐ一定のバッファ区間を固定の表示態様で走行予測線を描画し、前記ある区間は、前記バッファ区間と異なる区間である。ある実施態様では、前記ある区間は、角度差の変化する方向が反転したとき終了する。ある実施態様では、前記表示態様は、走行予測線を表示する表示色である。ある実施態様では、前記表示態様は、走行予測線を表示する線種である。
【0012】
本発明に係る駐車支援機能を備えた電子装置における駐車支援方法は、車両周辺を撮像した画像に基づき少なくとも対向する2本の境界線を含む駐車枠を検出するステップと、ハンドル舵角に応じた走行予測線を算出するステップと、算出された走行予測線と前記境界線との角度差を検出するステップと、撮像された画像を表示するとき、当該画像上に、前記角度差に応じた表示態様で前記走行予測線を描画するステップを含み、前記描画するステップは、角度差が正から負または負から正に変化したとき、0°を超えた後のある区間の表示態様を他の表示態様に変更する。ある実施態様では、前記ある区間は、角度差の変化する方向が反転したとき終了する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、走行予測線と駐車枠との角度差が正から負または負から正に変化したとき、0°を超えるある区間の表示態様を他の表示態様に変更するようにしたので、運転者は、角度差が0°を跨いだことを直感的に認識することができる。これにより、運転者のハンドル操作の混乱を防ぎ、駐車時にハンドルを旋回させすぎることなく、適切な駐車支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の走行予測線の描画方法を説明する図である。
図2】走行予測線と駐車枠との角度差に応じて走行予測線を描画する表示色を変化させる、従来の走行予測線の描画方法を説明する図である。
図3】走行予測線と駐車枠との角度差の変化と走行予測線の表示色との関係を示すグラフである。
図4】本発明の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係る駐車支援プログラムの機能的な構成をブロック図である。
図6】本発明の実施例に係る走行予測線と駐車枠との角度差がプラスからマイナス方向に変化するときの走行予測線の表示色を説明する図である。
図7】本発明の実施例に係る走行予測線と駐車枠との角度差がマイナスからプラスマイナス方向に変化するときの走行予測線の表示色を説明する図である。
図8】本発明の実施例に係る駐車支援機能の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電子装置は、車両に搭載されるコンピュータ装置、携帯型の情報端末装置(例えば、スマートフォン、ノート型のパーソナルコンピュータ装置)であることができる。本発明に係る電子装置は、駐車支援機能を有し、それ以外にも種々の機能を搭載することができ、例えば、ナビゲーション機能、通信機能、オーディオ・ビデオ再生機能、テレビ放送/ラジオ放送受信機能等を備えるものであってもよい。
【実施例
【0016】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図4は、本発明の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。本実施例に係る車載装置100は、入力部110、ナビゲーション部120、撮像部130、走行情報取得部140、音声出力部150、表示部160、通信部170、記憶部180および制御部190を含んで構成される。
【0017】
入力部110は、ユーザからの指示を受け取り、これを制御部190へ提供する。ナビゲーション部120は、GPS信号や自立航法センサ(例えば、ジャイロセンサ、加速度センサなど)に基づき自車位置を算出し、自車位置周辺の道路地図等の案内を行う。また、ナビゲーション部120は、地図データに基づき現在地から目的地までの経路を探索し、探索された経路の案内を行う。
【0018】
撮像部130は、少なくとも自車の後方を撮像するリアカメラを含む。撮像部130によって撮像された画像データは、制御部200へ提供され、制御部190は、駐車支援モード時に、撮像された画像データを表示部160に表示し、駐車支援を行う。
【0019】
走行情報取得部140は、自車の走行に関する情報を取得する。例えば、走行情報取得部140は、車内バスを介してハンドル舵角に関する情報、ギアポジションに関する情報、車速情報などを取得する。これらの情報は、駐車支援モードの判定等に利用される。
【0020】
音声出力部150は、ナビゲーション部120の案内を音声出力したり、駐車支援モード時に駐車支援のための音声を出力する。表示部160は、ナビゲーション部120による道路地図を表示したり、駐車支援モード時に自車の後方画像や走行予測線等を表示する。
【0021】
通信部170は、外部機器や外部ネットワーク等との間で有線または無線によるデータ通信を可能にする。記憶部180は、ナビゲーション部120により利用される地図データを記憶したり、車載装置100に実装可能な機能を実行するためのアプリケーションソフトウエアなどを記憶することができる。
【0022】
制御部190は、車載装置100の全体の動作を制御し、本実施例では、制御部190は、自車が駐車するときの駐車支援を制御する。ある実施態様では、制御部190は、ROM/RAM等を含むマイクロコントローラやプロセッサを含み、駐車支援プログラムを実行することで駐車支援を制御する。
【0023】
図5は、本実施例の駐車支援プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。本実施例の駐車支援プログラム200は、駐車モード判定部210、駐車支援画像生成部220、ハンドル舵角取得部230、駐車枠検出部240、走行予測線算出部250、角度差検出部260および走行予測線描画部270を含む。
【0024】
駐車モード判定部210は、自車が駐車する動作に遷移したか否かを判定する。具体的には、駐車モード判定部210は、走行情報取得部140から取得されたギアポジション情報がバックギアであるとき、後進駐車モードであると判定する。また、駐車モード判定部210は、ギアポジションがドライブギアであり、かつ車速が一定以下であるとき、前進駐車モードであると判定する。
【0025】
駐車モード判定部210により駐車モードであると判定された場合、駐車支援画像生成部220は、駐車支援画像を生成する。具体的には、後進駐車モードであれば、駐車支援画像生成部220は、撮像部130により撮像された画像データに基づき自車後方を撮像した後方画像を生成する。また、前進駐車モードであれば、駐車支援画像生成部220は、撮像部130により撮像された画像データに基づき自車の俯瞰画像を生成する。生成された画像は、表示部160に表示される。
【0026】
ハンドル舵角取得部230は、走行情報取得部140を介して得られた走行情報の中からハンドル舵角に関する情報を取得する。ハンドル舵角は、ハンドルのステアリング角を表す。駐車を行うとき、運転者は、ハンドルを適宜変化させるが、その変化に応じたハンドル舵角に関する情報が取得される。
【0027】
駐車枠検出部240は、駐車支援画像生成部220により生成された画像を処理し、そこに映されている駐車枠を検出する。駐車枠は、駐車スペースを定めるものであり、車両幅より幾分広い間隔を表した、少なくとも対向する2本の境界線を含んでいる(図2の境界線22を参照)。2本の境界線は、通常、道路の路面とはコントラストのある色(例えば、白色、黄色など)によって表されている。また、境界線は、必ずしも連続する線に限らず、破線であることもある。駐車枠は、白線によって全周を包囲した矩形状、平行四辺形状の枠以外にも、対向する2本の境界線によって挟まれる後端部が白線によって規定されているが前端部が白線よって規定されていないコ字型の枠や、対向する2本の境界線のみを含むものや、対向する2本の境界線によって挟まれる後端部が白線に代えて車輪止めのような突起部によって表されているものもある。駐車枠検出部240は、これらの種々の駐車枠に含まれる、対向する2本の境界線を検出する。
【0028】
走行予測線算出部250は、自車の車幅と略同一の間隔を有し、自車の後端部からハンドル舵角に応じた曲率で延在する2本の走行予測線を算出する。走行予測線を算出するための旋回中心およびハンドル舵角と旋回半径との対応関係等は、例えば、車両の諸元データ等に基づき既知であるものとする。
【0029】
角度差検出部250は、算出された走行予測線と駐車枠の境界線との間の角度差を検出する。角度差検出部250は、図2に示すように、走行予測線上の予め決められた点Pの接線Lと境界線22との間の角度差θを検出する。検出された角度差θには、正または負の符号が生じる。境界線22を基準に、例えば、角度差θが時計方向に成す角を正とすれば、反時計方向に成す角は負である。
【0030】
走行予測線描画部270は、角度差検出部250により検出された角度差に応じた表示態様で走行予測線を、表示部160により表示された画像上に描画する。後進駐車モードであれば、自車後端部から延在する走行予測線が後方画像上に合成して表示され、前進駐車モードであれば、自車前端部から延在する走行予測線が俯瞰画像上に合成して表示される。ある実施態様では、予め複数の表示態様を用意しておき、その中から角度差に応じた表示態様を選択し、選択された表示態様で走行予測線を描画する。表示態様とは、例えば、走行予測線を描画するときの表示色、あるいは走行予測線を描画するときの線種、太さなどである。
【0031】
走行予測線描画部270は、通常の場合、角度差検出部260で検出された角度差の絶対値に応じて表示態様を選択するが、角度差の変化が0°区間を超えた場合には、0°区間を超えたことを明らかにするため、通常と異なる表示態様で走行予測線を描画する。通常と異なる表示態様は、予め決められる。具体的には、角度差が連続的に変化する場合に、0°区間を超えたある区間の表示態様を通常の表示態様と異ならせる。例えば、角度差が+1°以上であるとき、走行予測線が青色で表示され、角度差が0°区間を超え、-1°以上に遷移したとき、走行予測線が赤色で表示される。通常の表示態様であれば、両者の角度差の絶対値は同じであるため、走行予測線はいずれも青色である。
【0032】
図6は、角度差が正から負に変化するときの走行予測線の表示態様を示すグラフである。同図に示すように、時刻t0~t1において、角度差が+1°以上であり走行予測線が青色で表示される。時刻t1~t2において、角度差が0°区間(+1°~-1°)であるが、この区間は、表示態様が固定されるバッファ区間であり、表示態様は変更されない。それ故、走行予測線は、常に緑色で表示される。バッファ区間は、駐車枠との角度差が非常に小さいことを運転者に知らせるために設けられる。時刻t2~t3において、角度差が-1°以上になると、走行予測線は、通常の表示態様である青色ではなく、例えば赤色等の異なる色で表示される。時刻t3は、角度差の変化方向が反転した時刻、つまり、角度差が負から正の方向に反転した時刻であり、表示態様を変更するための区間が時刻t3で終了される。時刻t4~t5では、通常の表示態様に戻り、角度差が-1°以上である走行予測線が青色で表示される。
【0033】
図7は、角度差が負から正に変化するときの走行予測線の表示態様を示すグラフである。この場合にも、時刻t1~t2において0°区間を跨ぐため、このバッファ区間が終了した時刻t2から、角度差の変化方向が反転した時刻t3までの間、走行予測線は、通常の表示態様である青色ではなく、これと異なる赤色で表示される。
【0034】
次に、本実施例の駐車支援機能の動作について図8のフローを参照して説明する。先ず、駐車モード判定部210は、自車が駐車モードか否かを判定し(S100)、駐車モードであるとき、駐車支援画像生成部220は、撮像部130で撮像された画像に基づき駐車支援画像を生成し、生成した駐車支援画像を表示部160に表示させる(S102)。後進の駐車モードであれば、表示部160には、自車の後方画像が表示され、前進の駐車モードであれば、自車の俯瞰画像が表示される。
【0035】
次に、駐車枠検出部240は、撮像された画像に基づき駐車枠を検出し、走行予測線算出部250は、ハンドル舵角等に基づき走行予測線を算出する(S104)。次に、角度差検出部260は、走行予測線と駐車枠との角度差を検出し(S106)、走行予測線描画部260は、検出された角度差に応じた表示態様を決定し(S108)、決定された表示態様に従い走行予測線を駐車支援画像上に描画する(S110)。走行予測線描画部270は、検出された角度差を監視し(S112)、角度差が0°区間を通過した場合には、走行予測線を予め決められた別の表示態様で描画し(S114)、角度差の変化する方向が反転したとき(S116)、走行予測線を通常の表示態様で描画する(S116)。
【0036】
このように本実施例によれば、角度差が0°区間を超えた場合には、通常と異なる表示態様で走行予測線を描画するようにしたので、運転者は、走行予測線と駐車枠との相対的な角度関係を直感的に認識し易くなる。また、間違えてハンドルの旋回を行うことが防止される。
【0037】
上記実施例では、走行予測線をハンドル舵角に応じた曲率で描画するようにしたが、走行予測線は、必ずしも曲線である必要はなく、ハンドル舵角に応じて車両後端から延在する直線であってもよい。この場合には、走行予測線(またはハンドル舵角)と駐車枠の境界線との角度差を検出し、この角度差に応じて走行予測線の表示態様が変化される。また、上記実施例では、角度差に応じて走行予測線の表示色を変化させる例を示したが、表示態様の変化として、走行予測線の太さや種類(実線、破線、点線など)等を変化させるようにしてもよい。さらに上記実施例では、後進駐車時の走行予測線の描画例を示したが、前進駐車時の場合にも同様に、表示された俯瞰画像上に、自車の前端部から駐車枠の方へ延在する走行予測線が描画され、このとき、角度差に応じて走行予測線の表示態様が変化される
【0038】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10:走行予測線 20:駐車枠
22:境界線 100:車載装置
110:入力部 120:ナビゲーション部
130:撮像部 140:走行情報取得部
150:音声出力部 160:表示部
170:通信部 180:記憶部
190:制御部
L:接線 M:自車
T:後輪 W:車両幅
WH、WH’:後輪軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8