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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】発光部を備えた体外血液処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61M1/14 110
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017007577
(22)【出願日】2017-01-19
(65)【公開番号】P2017170117
(43)【公開日】2017-09-28
【審査請求日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】10 2016 102 353.1
(32)【優先日】2016-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】Schwarzenberger Weg 73-79, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュライハー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク メラー
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02371411(EP,A1)
【文献】特開平11-137673(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013005743(DE,A1)
【文献】特開2007-105159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0086817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理装置であって、
前記体外血液処理装置の一部である動作部品を含む少なくとも一つの筐体(1)と、
拡散ディスクを有していない発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)とを備えており、
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、前記筐体(1)の少なくとも一部に所定の順序及び(または)所定の形状に配置され、さらに前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は柔軟性を有する導光体(LLa乃至LLe)であり、少なくとも一つの端面光結合面を第一面として有し、かつ少なくとも一つの端面出力面を第二面として有するか、または、前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は自己発光性平面状及び(または)柔軟性を有するOLED部(OLa乃至OLe)で、少なくとも装置表面の一部を照明することを特徴とし、
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、前記体外血液処理装置の治療状況及び(または)動作状況を、前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)により照明された領域の表面において認識できるよう、周辺光を生成し、周辺光の状態に応じて、前記体外血液処理装置における治療状況及び(または)動作状況を当該周辺光によって前記装置の環境下にある表面に映すように配置される
体外血液処理装置。
【請求項2】
前記柔軟性を有する導光体(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、その長手延伸方向に沿って放射状に光を放出する部分を少なくとも1部分に有することを特徴とする請求項1に記載の体外血液処理装置。
【請求項3】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、発光領域全域において発光し、360°にわたる状態表示を行うように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の体外血液処理装置。
【請求項4】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、その拡張部の一部が、少なくとも一つの筐体(1)の少なくとも一部の面において、その周面輪郭線に沿って配置され、及び(または)、少なくとも一つの筐体(1)から突き出るように配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の体外血液処理装置。
【請求項5】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、前記体外血液処理装置の内側において、その少なくとも拡張部の一部が少なくとも一つの筐体(1)の壁面の透明部分または不透明部分にそって配置され、さらに前記透明部分或いは不透明部分を介して、前記の体外血液処理装置の外側へ出力光を照射するように配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の体外血液処理装置。
【請求項6】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、少なくとも一つの筐体(1)の表面の少なくとも一部を覆うように配置、或いは筐体表面の少なくとも一部に埋め込むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の体外血液処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの筐体(1)は、前記の体外血液処理装置の基本構成に接続されたモニター及び(または)操作領域を格納する筐体であることを特徴とする請求項6に記載の体外血液処理装置。
【請求項8】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、所定の進捗状況、線状及び(または)面状の図表を示すことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の体外血液処理装置。
【請求項9】
前記発光部(LLa乃至LLe、OLa乃至OLe)は、少なくとも種々の部位から多色光を放出、或いは、全面から単色光を放出するように配置されることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の体外血液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を備えた体外血液処理を行う機器に関するものであり、特に、処理条件の表示、周辺の照明、室内照明等を行う発光部としての照明システムを備えた体外血液処理を行う機器に関する。
【背景技術】
【0002】
透析装置などの体外血液処理を行う機器は、多くの場合、例えば発光ダイオード(LED)などの多色性、或いは、複数の色の光を生成するように設計された照明器を備えている。
一般に、そのような照明器は、機器の状態、或いは処理条件にもよるが、光(赤、黄色、緑)を透明拡散ディスクに照射するように配置されており、外部からそれぞれの動作状況が分かるような発光領域を生成する。
また、発光ダイオードを使用してのビーコンライトの原理、及び拡散ディスクを使用した処理については、既に一般に知られている。
【0003】
これらに関して以下のような欠点がある。すなわち、このような照明器は拡散ディスクの真後ろに配置して、体外血液処理機器の外部を照明する必要があり、例えばこの照明器を配置するためこの箇所に適当な搭載スペースが必要となり、また、電気配線を敷設する必要がある。
この照明器は、その搭載位置のみを照明するのみである。
より大きな表面を照明するためには、或いは、照明によりグラフィックスを表示するには、適当な大きさの搭載スペースが必要となる適当な数の照明器を用意する必要があり、さらに、複雑な配線と制御が必要となる。
それにも拘わらず、この方法では、望ましい発光密度や発光強度、かつ(または)十分に均一な発光、または光分布を満足するレベルで達成することができない。また、個々の発光器が故障した場合の取替作業が複雑となってしまう。
【0004】
それに加え実際の透析治療中においては、透析装置は患者の近辺、または隣接して配置するのが望ましい。
このような透析装置は、一般には、機器を操作するための操作パネルが備えられており、この操作パネルを介して、種々の情報を取り扱うことができる。
このような操作パネル及び情報表示の設計は、一般に複雑かつ(または)細部にわたるものであり、また、必ずしも患者に対面させる必要は無い。
また、このような操作パネルを介して、治療に関わる人或いは治療に関わる患者の全てが正確に素早く複雑な情報を検知できると期待することはできない。
【0005】
それ故、処理状態かつ(または)治療状態の表示、報告、評価を操作パネルとは別の方法で素早く検知できる設計にすることにより、本装置のユーザー及び(または)本治療に関わる患者が有する情報に関する認識レベルを向上し加速させることができる。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明の目的は、発光部を備えた体外血液処理機器を提供するものであり、透析装置の状態及び(または)、操作パネルの外部における治療状況及び(または)、操作パネルの情報を表示するための照明に関する自由度を高めた体外血液処理機器を提供するものである。
上記目的は、本発明の請求項1の特徴を備えた体外血液処理機器により達成することができる。
本発明のさらなる効果的な展開は、添付する従属請求項の対象として記載する。
【0007】
本発明は、一般的には、例えば発光ダイオード、すなわちLED或いはOLEDから発された光を体外血液処理装置の任意の場所に導光し、その導光箇所において照明するという発想に基づいている。
【0008】
ある態様において、導光体は透明性を有する物質から構成されても良く、この導光体は上記の目的において供されても良い。
この場合、導光体は、所定の位置において部分的に発光しても良く、或いは全面において光を発しても良い。
この場合、導光体は少なくとも表面上の一部が発光する。或いは、全周にわたって発光する発光体(発光器)を形成する。
導光体のビーコンとしての適性により、上記導光体を360°にわたって全ての方向から視認可能な状態ディスプレイとして使用しても良く、及び(または)周辺空気の状態に応じて周辺光を発生する照明器として使用しても良い。これらは、治透析装置の周囲のいずれかの表面に療状況や透析装置の動作状況を投影するようにしても良く、こうすることにより、ユーザーに対してより情報の理解度を向上させることができる。
【0009】
他の態様において、発光部、及び導光体は、自己発光性のOLED(有機発光ダイオード)を配列することにより構成してもよく、また装置の動作状況や治療状況等の情報を表示するように所定の視認可能な装置の表面に配置しても良い。
OLED技術の特性に基づいて、OLED部は、全体が、すなわち全面が発光するようにしても良く、それ故、360°にわたって表示可能な状態ディスプレイとして使用できる。さらに(または)、OLED部は、装置の任意の場所に光を導光するために使用してもよい。
使用される発光部(導光体及び(または)OLED部)の形状や或いはその平面パターンの設計形状にもよるが、例えば、導光体やOLED部を筐体の輪郭線に沿って配置したり、及び(または)、横方向周辺に設置した導光体や横方向に伸張して設置したOLED部により部分的な照明を行ったり、及び(または)、モニターや筐体表面に応じて平面導光体や平面OLED部を配置したりすることにより、装置表面の一部、或いは全部を発光してもよい。
【0010】
本発明は、光源を拡散ディスクの背後に設置する必要が無いという点で特に有益である。利用できるスペースによるが、光源は装置内の任意の位置に設置することが可能であり、或いは、装置の所定の位置に自己発光性面として設置することができる。
この方法により、例えば、透析装置において利用できるスペースが無いために発光できなかった位置においても発光するように形成することが可能である。
よって、本発明は、開発においてはその自由度を向上でき、かつユーザーの装置状態の認識性を容易に向上させることができる。
【0011】
詳細としては、上記効果と上記目的は、動作部品を含む少なくとも一つの筐体をその一部として有する体外血液処理装置により達成することができる。この体外血液処理装置において、発光部は拡散ディスクを有さずに周辺光の状態に応じて体外血液処理装置の動作状況や治療状況を表示する。この発光部は、上記筐体の少なくとも一部において所定の順序及び(または)所定の形状に配置される。さらに、上記発光部は柔軟性を有する導光体(LLa乃至LLe)であり、少なくとも一つの端面光結合面を第一面として有し、かつ少なくとも一つの端面出力面を第二面として有する。
【0012】
この方法における有利な点としては、適切に利用できるスペース内における任意の位置の光放出位置から離間した地点に、例えばLEDのような光発生素子を設置することができ、その光は導光体を介して任意の光放出地点まで導光することができる。
【0013】
好ましくは、上記柔軟性を有する導光体は、その長手延伸方向に沿って放射状に光を放出する部分を少なくとも1箇所に有する。
有利な点としては、本目的において、導光体は少なくとも一つの箇所にて結合光を放出するように、及び(または)所定の一方向から或いは放射状にわたってビーコン灯として発光するように構成(機能)してもよい。
【0014】
好ましくは、上記発光部は、上記装置の環境において、上記体外血液処理装置における治療状況及び(または)動作状況を周辺光として、上記装置の環境下にある表面に映すように配置される。
この方法における有利な点としては、上記発光部により達成できる光強度は、少なくとも上記体外血液処理装置の設置環境を照明することが可能なものであり、及び(または)、治療状況及び(または)動作状況が、上記発光部により照明された領域の表面において認識できるものであることが挙げられる。
【0015】
或いは、好ましくは、上記発光部は、自己発光性平面状及び(または)柔軟性を有するOLED部である。
OLED部は、そのままで自ら十分な光を発生し、よって離間した場所での光結合が不要であり、これは有利な点として挙げられる。
【0016】
好ましくは、上記発光部は、発光領域全域において発光し、360°にわたる状態表示を行うように配置される。
柔軟性を有するビーコン光導光体、及び柔軟性をもつ、すなわち変形可能なOLED部は、空間内の全方向に発光可能なビーコン発光体として形成できるという点において有利である。
【0017】
好ましくは、上記発光部は、その拡張部の一部が少なくとも一つの筐体の少なくとも一部の面においてその周面輪郭線に沿って配置され、及び(または)、少なくとも一つの筐体から突き出るように配置される。
この方法により、上記体外血液処理装置に照明による少なくとも一つのグラフィックスを表示させることができる。これは、この方法における有利な点として挙げられる。
【0018】
好ましくは、上記少なくとも一つの体外血液処理装置の内側において、上記発光部は少なくともその拡張部の一部が、少なくとも一つの筐体の壁面の透明部分または不透明部分にそって配置され、さらに上記透明部分或いは不透明部分を介して上記の体外血液処理装置の外側へ出力光を照射するように配置される。
これにより、例えばぎらつきを押さえた照明や、或いは上記の体外血液処理装置の接続部や動作部分の照明が構成できる。
【0019】
好ましくは、上記発光部は上記体外血液処理装置の少なくとも一つの筐体表面の少なくとも一部を覆うように配置、或いは筐体表面の少なくとも一部に埋め込むように設置される。
上記少なくとも一つの筐体は、上記の体外血液処理装置の基本構成に接続されたモニターを格納するものであってもよい。
【0020】
好ましくは、上記発光部は、所定の進捗状況、線状及び(または)面状の図表を示す。
【0021】
好ましくは、上記発光部は、少なくとも、種々の部位から多色光を放出、或いは全面から単色光を放出するように配置される。
【0022】
本発明を、添付の図面を参照して、好ましい態様について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】体外血液処理用医療装置(機器)としての透析装置の装置筐体の簡略的な斜視図を示す。
図2図1に関する装置筐体を示すものであって、上記発光部を有する透析装置の第1の好適な態様に関わる発光部として導光体を備えた装置筐体を示す。
図3図1に関する装置筐体を示すものであって、上記発光部を有する透析装置の第2の好適な態様に関わる発光部としてOLED部を備えた装置筐体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の図表の説明において、図面中、類似のまたは同じ作用の素子及び(または)構成要素は同様の参照番号で示し、また都合に合わせて重複をさけて説明を行う。
後述の態様の機能が少なくとも一つの前述の態様に対応する場合、すなわち対応する機能、構成、及び(または)処理、或いは動作サイクルが前述の態様と等しいもので構成される場合、その差異のみを論じることにして有益な説明となるようにする。
【0025】
図1は、体外血液処理用医療装置としての透析装置の装置筐体の簡略的な斜視図を示す。
図1においては、透析装置は、実質的に自立式の装置あるいは機器筐体1(以下、「筐体」と称する)を有する。
この筐体1内には、血液処理を行うための多数の機器部品及び機器構成要素が配置されており、或いは、配置可能になっており、これらの機器部品が既知の方法で機能的に相互作用するように配置される。
上記構成部品の例としては、制御電子機器、少なくとも水圧システムの一部、ポンプ、ヒーター部などが上げられる。
選択された処理物質を格納するのに必要なタンクまたは袋は従来技術において十分既知であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0026】
図1における筐体1は、実質的には例えば、少なくとも2枚の側面板8、少なくとも部分的に旋回ドア(またはカバー)として機能する背面板3、その上部に配置されて上記2枚の側面板8(平行な方向に間隔を開けて配置)を連結する天板9、その底部に配置されて上記2枚の側面板8を連結する底板6(例えば、装置土台の一部)、及び少なくとも部分的に旋回ドア(またはカバー)2として機能する正面板を有する。
さらに、多数の連結またはヒンジ装置(図示しない)を適当な場所に備えても良く、これにより旋回ドア(カバー)2、及び(または)背面板3の開閉を可能にしてもよい。
【0027】
天板9の中央部に、モニター及び(または)操作パネル(図示しない)などの他の装置を追加で搭載可能にするための接続基部10を天板9と一体化して形成してもよい。
底板6は、筐体の周方向にある間隔をあけて、車輪7が搭載可能な(搭載された)回転軸を備えても良い。
これにより、底板6と車輪7とで移動可能な透析装置の内部(一体化)台車を形成してもよい。
或いは、底板6が車輪7を備えない場合、底板6を分離型の台車、例えば車輪カートに載せるようにしてもよい。
【0028】
好適には、それぞれが一続きの形状をした側面板または側面部8が2枚、ある間隔で平行に配置されており、これらは、好ましくは2つの板部8a及び8bに高さ方向に分離できるように構成されてもよい。
すなわち、側面部8は、小さな奥行きを有する下部側面部8a及び、大きな奥行きを有する上部側面部8bに分離できるように構成されてもよい。
これら上部及び下部側面部8aおよび8bの間には突出部8cが形成される。
下部側面部8aの領域において、2枚の側面板8は、正面板11を介して、例えば、溶接、ネジ締めなどの手段により固く連結されてもよい。
【0029】
同様に、天板9及び、好ましくは装置底部及び底板6はそれぞれ、これら2枚の側面板8の上端部及び下端部に、例えば少なくとも上記端部の一部を溶接することにより固定してもよい。
これにより、上記2枚の側面板8、天板9、底板6、及び正面板11はねじれ耐性を有する筐体1を形成するように構成される。
さらに、その背面側は完全にユーザーの手が届く構成になっており、また正面側も少なくとも上部側面部8bの領域はユーザーの手が届く構成になっている。
【0030】
図2図1に関する装置筐体を示すもので、上記発光部を有する透析装置の第1の好適な態様に関わる発光部として導光体を備えた装置筐体を示す。
【0031】
図2に示す上記第一の態様において、少なくとも1つの導光(光波)体、或いは所定の長さを有する導光体が、透析装置の内部及び(または)外部における照明を行うための発光部として使用される。
【0032】
上記導光体は、光学的に透明な素子であり、好ましくは長手方向に柔軟性を有するものが望ましい。
例として、(ガラス)ファイバーや上記ファイバーの束、あるいは光を伝搬するように設計された、好ましくは一部、或いは全てが柔軟性を有して敷設できるポリメチル・メタクリレート(PMMA)あるいはポリカーボネート(PC)等のポリマー材料で形成されたパイプ、或いは棒材などが挙げられる。
【0033】
導光体の第一の態様において、導光体をそれより低い屈折率を持つ媒質で取り囲むことにより表面界面での全反射をおこすように形成するか、あるいは界面を銀メッキするかにより光の導光機能を持つように形成される。
この第一態様において、照明器、例えば少なくとも一つの発光ダイオード、好ましくは少なくとも一つのブライトLED(明光発光ダイオード)または、スーパーブライト(超明発光ダイオード)や或いはその他の適切な光源から発生した光を導光体の端面側の第一端において結合し、その結合光を導光体を介して低損失で導光した後、導光体の第二端からその導光された光が放出される。
【0034】
導光体の第二の態様において、導光体は表面を変性して形成(活性化)される。
例えば、所定の場所において表面変性してもよく、あるいは、導光体の全体(全長)において表面変性を行っても良い。
これにより、表面変性をおこなっている第一端において導かれた結合光が導光体の外殻を介して放出される。
すなわち、この第二様態において、結合光は光の導光方向を横断するように部分的に形成された全反射不能領域から放出される。
それゆえ、光源から光が発生している状態において、導光体は長手方向に沿って光を放出する。
また、一つの光源を使用して、一つまたは複数の照明点を柔軟性に富んだ導光体の敷設経路に沿って形成することができる。
結合光は導光体の全側面から放射状に放出してもよいし、或いは種々の位置に対して直径方向に反対側の1側面からのみカバー層を介して光放出を行っても良い。
変性部は、例えば導光体に所定の傷をつけることにより形成することができる。
具体的には、所定の導光体の表面層を粗面化処理してよく、或いは機械的な研磨処理を行っても良い。
【0035】
第一の例において、上記第一及び第二の態様は、透析装置及びその設置環境において、その装置の条件或いは装置の状態に応じて照明、発光、及び(または)光信号を供することができる。
【0036】
一つの例として、導光体LLa、LLb、LLc、LLdを筐体の外形周囲の輪郭線に沿って配置してもよい。
この導光体LLa、LLb、LLc、LLdは屈曲可能で敷設することができ、筐体1内の適当な光結合部から筐体の壁面へと敷設することができる。
これらは、例えば筐体部分の周面上の凹部(溝部)に挿入或いは埋め込むようにしてもよく(LLa、LLb、LLc、LLd)、また保持部材を使用して導光体を筐体面の輪郭線或いはエッジ部を成すように配置してもよい。
また、上記導光体は、透明壁部の裏側内部の光学導光体(LLe)によるグラフィックスに沿って配置してもよい。
また、導光体を必要に応じて伸張し筐体壁面から突出される任意の形状に配置してもよい(図示しない)。
上記の複数の例はお互いに組み合わせても良い。
例えば導光体が少しでも屈曲していればよく、その他の制限は無い。
【0037】
これにより、例えば図2に概略的に図示されているように、透析装置の周辺機器として、その上部及び(または)その端部に設置されたモニター或いは制御パネルのフレームを筐体の輪郭線に応じて敷設された導光体LLaにより照明することができる。
さらに(または)、接続基部10の周囲に沿って導光体を敷設することができる。
さらに(または)、ドア(カバー)2の周囲輪郭線に沿って、導光体LLbを敷設することができる。
さらに(または)、少なくとも1つの筐体壁部内に、例えば側壁部8内に、グラフィックス形成導光体LLcを埋め込み敷設することができる。
さらに(または)、少なくとも一つの筐体壁部の透明部分、或いは(及び)不透明部分にグラフィックス形成導光体LLeを埋め込み敷設して、それを介して光らせることができる。
さらに(または)、導光体LLcを特定の筐体輪郭線に沿って敷設し、光を発生して視認できるような状態にしたり、或いは光放出をせずに視認できない状態にしたりすることができる。
【0038】
上記導光体LLa、LLb、LLc、LLd、LLeは、結合光を発生する光源、例えばそれぞれ異なる色と光強度の光を発生する複数の発光ダイオード等と結合されてもよい。
これにより、穏やかな周辺光の提供、発光、さらには大きな光強度での照明が可能となる。
透析装置への適用例としては、例えば緊急灯、夜間灯、作業灯、接続部照明、エッジ部及び輪郭線の発光、動作部照明、サービス提供用ライト、危険警報灯、信号灯、物体への照明などが挙げられる。
例えば、このような照明は動作サイクルに応じて変動するように構成される。
さらに(または)、その色や強度が動作サイクルに応じて変動する。
同じように、側周面導光体を使って、部分的な照明を提供することができる。
【0039】
図3は、図1に関する装置筐体を示すもので、上記発光部を有する透析装置における第2の好適な態様に関わる発光部として、OLED部 OLa、OLb、OLc、OLd、OLeを備えた装置筐体を示す。
【0040】
上記OLEDは有機発光ダイオードとして知られているものであり、LEDの一種と言える。
このOLEDはバックライト不要であり、電界発光層として機能する。
このOLEDは、半導体のように働く化合物膜を二枚の異なる電極で挟み込んで作成する。
二枚の電極のうち、第一の電極は透明電極が使用される。
【0041】
上記第一の態様と全く同様に、第二の態様においても、上記第一の態様に関わる導光体LLa、LLb、LLc、LLd、LLeに関して形成及び達成できた導光機能及び(または)種々の照明形態は、全て、第二の態様におけるOLED部 OLa、OLb、OLc、OLd、OLeにより形成及び達成可能である。
図3において、平面OLED部 OLaがモニター表面(の一部)に備えられる。
さらに(または)、平面OLED部 OLb、OLc、OLd、OLeが筐体表面(の一部)に備えられおり、図面ではその概略が例示的に図示されている。
これらのOLED部 OLa、OLb、OLc、OLd、OLeの寸法形状を適切に設計することにより、筐体全体を完全に照明することができる。
【0042】
この場合、好ましくは可能であれば、多面体対応のアクティブマトリックスOLEDまたは、筐体表面に形成するべきグラフィックスに応じて形成されたOLD面モジュールを、例えば平面均一照明領域として採用しても良い。
これらのアクティブマトリックスOLEDまたはOLD面モジュールは、例えばミリメートル程度から1mm未満の範囲での設置高さを有するように筐体表面に固定設置するか、もしくはそこに固定的に埋め込むようにしてもよい。
OLED部 OLa、OLb、OLc、OLd、OLeの自己発光性、弾力性、柔軟性により、OLDE全体が発光するように形成でき、360°の範囲での状態表示面が形成できる。
【0043】
なお、同様の構成の透析装置において、上記第一の態様に関わる柔軟性導光体と上記第一の態様に関わるOLED部を繰り返し及び組み合わせて配置してもよい。
この構成において、それぞれ異なる色と強度の光を発するようにしてもよい。
また、一体化して或いは別々に独立して制御するようにしてもよい。
さらに、個々の或いは全ての発光部について、例えば周辺光の状況に応じて自動的に調光を行う機能、すなわち光強度調整機能を有するように形成してもよい。
その光強度調整は治療状況や動作状況に応じて手動で行っても良く、あるいはセンサーにより制御してもよい。
【0044】
前述において、透析装置は少なくとも1つの筐体1を有し、この筐体1は、透析装置の一部である動作部品及び発光部LLa乃至LLe、及びOLa乃至OLeを搭載格納する。
発光部LLa乃至LLe及びOLa乃至OLeは拡散ディスクは有しておらず、周辺光に応じて動作状況及び(または)治療状況を表示する。
発光部LLa乃至LLe及びOLa乃至OLeは上記筐体1の少なくとも一部に所定の並び及び(または)形状にて配置される。
発光部LLa乃至LLe、及びOLa乃至OLeは柔軟性導光体であり、少なくとも一つの光結合面を第一端として含み、さらに少なくとも1つの光出力面を第二端として含む。
あるいは、発光部LLa乃至LLe及びOLa乃至OLeは自己発光性の平面及び(または)柔軟性OLED部である。
【0045】
発光部LLa乃至LLe及びOLa乃至OLeは、光作成部と発光部を空間的に離間させることができ、かつ高いエネルギー効率で動作可能である。
同時に、形成の自由度が高く、さらにコストも抑えることができる。
このような特性と設置に少しのスペースしか必要としないことにより、たとえ設置場所が狭くて届きにくい場所においても、発光部LLa乃至LLe及びOLa乃至OLeを容易に敷設することができる。
保全性を高めるため、上記の光作成部と発光部を空間的に離間可能という特性を利用して、発光部を設置し易い場所にて光発生を行うようにしてもよい。
周辺光の特性である色及び(または)強度が変動することにより、ユーザーに対してより情報が伝わりやすくなる。
【0046】
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、上記実施例、変形例、及び等価な構成の少なくとも一部の組み合わせも同様に後述の請求項により規定される保護すべき範囲に含まれることは当業者には明白に理解できるものである。
図1
図2
図3