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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】二軸混合機及び被混合物の混合方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/63 20220101AFI20220405BHJP
   B01F 23/50 20220101ALI20220405BHJP
   B28C 5/14 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B01F7/02 C
B01F3/12
B28C5/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017139676
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2019018158
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-07-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154901
【氏名又は名称】株式会社北川鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦資
(72)【発明者】
【氏名】秋山 哲哉
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-346510(JP,A)
【文献】特開2005-041113(JP,A)
【文献】特開平04-061924(JP,A)
【文献】特開平06-014718(JP,A)
【文献】特公昭52-031583(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 27/00-27/96
B28C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被混合物を入れるための混合槽と、
混合槽内で略水平な軸線Lを回転中心として回転する第一混合具と、
混合槽内で軸線Lに略平行な軸線Lを回転中心として第一混合具とは逆向きに回転する第二混合具と
を備え、
第一混合具が、
第一混合具における軸線L方向一側に配され、混合槽内の被混合物を軸線L方向他側に移送する螺旋面状の第一混練羽根と、
第一混合具における軸線L方向他側に配され、第一混練羽根によって軸線L方向他側に移送されてきた被混合物を第二混合具側に移送する螺旋面状の第一切返し羽根と
を有し、
第二混合具が、
第二混合具における軸線L方向他側に配され、第一切返し羽根によって第二混合具側に移送されてきた被混合物を軸線L方向一側に移送する螺旋面状の第二混練羽根と、
第二混合具における軸線L方向一側に配され、第二混練羽根によって軸線L方向一側に移送されてきた被混合物を第一混合具側に移送する螺旋面状の第二切返し羽根と
を有する二軸混合機であって、
第一混練羽根、第一切返し羽根、第二混練羽根又は第二切返し羽根のうち、1種類以上の羽根における同一羽根上の外縁部近傍の箇所にのみ、その羽根のオモテ面(その羽根における回転方向正側を向く面。以下同じ。)側に位置する被混合物をウラ面(その羽根における回転方向負側を向く面。以下同じ。)側に通過させることにより、被混合物の一部を他部から剪断させる剪断用開口部が設けられた
ことを特徴とする二軸混合機。
【請求項2】
第一混練羽根、第一切返し羽根、第二混練羽根又は第二切返し羽根のうち、剪断用開口部が設けられた羽根(以下「開口羽根」と云う。)が、
その開口羽根の回転中心から遠い側に位置する外側羽根と、
その開口羽根の回転中心に近い側に位置する内側羽根と
に分離可能な構造とされ、
剪断用開口部が、外側羽根と内側羽根との境界部に設けられた
請求項記載の二軸混合機。
【請求項3】
内側羽根に対する外側羽根の位置を、外側又は内側に調節することが可能な構造とされ、
外側羽根の内側の縁部に、内側羽根の外側の縁部のオモテ面側又はウラ面側に重なる重合部が設けられ、
外側羽根における剪断用開口部が設けられた部分よりも外側に、その外側羽根のオモテ面側に突出する突出部が設けられ、
外側羽根が、螺旋方向で分割された複数の外側羽根分割体によって構成され、
一の外側羽根分割体における螺旋方向先側の縁部が、当該一の外側羽根分割体の螺旋方向先側に隣接する他の外側羽根分割体における螺旋方向手前側の縁部のオモテ面側に重なる構造とされた
請求項記載の二軸混合機。
【請求項4】
第一混練羽根及び第一切返し羽根が、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設けられるとともに、
第二混練羽根及び第二切返し羽根が、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設けられた
請求項1~いずれか記載の二軸混合機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリート等の粘性を有する被混合物を混合するのに適した二軸混合機と、これを用いた被混合物の混合方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリートのように粘性を有する材料(粘性材料)を短時間で均質に混合しようとすると、その材料(被混合物を)混合槽内で大きく循環移動させながら混合する必要がある。このことに着目して、本出願人は、特許文献1の図1に示すように、回転軸芯B1,B2を中心としてそれぞれ逆向きに回転する一対の撹拌具2a,2bを備えた二軸混合機であって、撹拌具2a,2bのそれぞれを、螺旋面状を為す混練羽根3と、混練羽根3とは逆向きの螺旋面状を為す切返し羽根4とで構成したものを開発した。この二軸混合機において、一方の撹拌具2aの切返し羽根4は、他方の撹拌具2bの混練羽根3と隣り合うように配し、他方の撹拌具2bの切返し羽根4は、一方の撹拌具2aの混練羽根3と隣り合うように配している。これにより、撹拌槽1内に投入された被混合物を大きく循環移動させる(同文献の図1における符号「Z」で示される矢印を参照。)ことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-346510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の二軸混合機では、一般的なコンクリートを混合する場合等、粘性が比較的低い被混合物を混合する場合には、被混合物を短時間で均質な状態まで混合できるものの、高流動コンクリートや高強度コンクリートを混合する場合等、粘性が比較的高い被混合物を混合する場合には、被混合物を短時間で均質な状態まで混合できないこともあった。というのも、例えば、生コンクリートは、砂利(祖骨材)、砂(細骨材)、セメント(凝固材)及び水を原料とするところ、これらの原料のうち、砂やセメント粒子等、粒径の小さなもの(微粒子)は凝集体を形成しやすい。この点、被混合物の粘性が低い場合には、被混合物を大きく循環移動させるだけでも、微粒子の凝集体はバラバラに分散した状態になりやすいのであるが、被混合物の粘性が高い場合には、微粒子の凝集体は、被混合物を大きく循環移動させただけでは、バラバラに分散した状態になりにくい(凝集体のまま残った状態になりやすい)傾向があるからである。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、被混合物の粘性が低い場合だけでなく、被混合物の粘性が高い場合でも、被混合物を短時間で均質な状態まで混合することのできる二軸混合機を提供するものである。また、この二軸混合機を用いて被混合物を混合する被混合物の混合方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、
被混合物を入れるための混合槽と、
混合槽内で略水平な軸線Lを回転中心として回転する第一混合具と、
混合槽内で軸線Lに略平行な軸線Lを回転中心として第一混合具とは逆向きに回転する第二混合具と
を備え、
第一混合具が、
第一混合具における軸線L方向一側に配され、混合槽内の被混合物を軸線L方向他側に移送する螺旋面状の第一混練羽根と、
第一混合具における軸線L方向他側に配され、第一混練羽根によって軸線L方向他側に移送されてきた被混合物を第二混合具側に移送する螺旋面状の第一切返し羽根と
を有し、
第二混合具が、
第二混合具における軸線L方向他側に配され、第一切返し羽根によって第二混合具側に移送されてきた被混合物を軸線L方向一側に移送する螺旋面状の第二混練羽根と、
第二混合具における軸線L方向一側に配され、第二混練羽根によって軸線L方向一側に移送されてきた被混合物を第一混合具側に移送する螺旋面状の第二切返し羽根と
を有する二軸混合機であって、
第一混練羽根、第一切返し羽根、第二混練羽根又は第二切返し羽根のうち、1種類以上の羽根に、その羽根のオモテ面(その羽根における回転方向正側を向く面。以下同じ。)側に位置する被混合物をウラ面(その羽根における回転方向負側を向く面。以下同じ。)側に通過させることにより、被混合物の一部を他部から剪断させる剪断用開口部が設けられた
ことを特徴とする二軸混合機
を提供することによって解決される。
剪断用開口部は、第一混練羽根及び第一切返し羽根、並びに、第二混練羽根及び第二切返し羽根の全てに設けると好ましい。
【0007】
本発明の二軸混合機においては、
第一混練羽根、第一切返し羽根、第二混練羽根又は第二切返し羽根のうち、剪断用開口部が設けられた羽根(以下「開口羽根」と云う。)を、
その開口羽根の回転中心から遠い側に位置する外側羽根と、
その開口羽根の回転中心に近い側に位置する内側羽根と
に分離可能な構造とし、
剪断用開口部を、外側羽根と内側羽根との境界部に設ける
ことも好ましい。
このときには、内側羽根に対する外側羽根の位置を、外側又は内側に調節することが可能な構造にすることがより好ましく、外側羽根の内側の縁部に、内側羽根の外側の縁部のオモテ面側又はウラ面側に重なる重合部を設けることがさらに好ましい。
またこのときには、外側羽根における剪断用開口部が設けられた部分よりも外側に、その外側羽根のオモテ面側に突出する突出部を設けることも好ましい。
【0008】
また、本発明の二軸混合機においては、
外側羽根を、螺旋方向で分割された複数の外側羽根分割体によって構成し、
一の外側羽根分割体における螺旋方向先側(螺旋面の回転によって被混合物が移送される側)の縁部が、当該一の外側羽根分割体の螺旋方向先側に隣接する他の外側羽根分割体における螺旋方向手前側(螺旋面の回転によって被混合物が移送されるのとは逆側)の縁部のオモテ面側に重なる構造とする
ことも好ましい。
【0009】
さらに、本発明の二軸混合機においては、
第一混練羽根及び第一切返し羽根を、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設けるとともに、
第二混練羽根及び第二切返し羽根を、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設ける
ことも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二軸混合機は、上記のように、第一混練羽根、第一切返し羽根、第二混練羽根又は第二切返し羽根に、被混合物の一部を通過させて他部から剪断させる剪断用開口部が設けられたものとなっている。このため、本発明の二軸混合機では、被混合物中に形成されている微粒子の凝集体を、剪断用開口部による被混合物の剪断によって細化することができる。したがって、本発明の二軸混合機を用いると、被混合物の粘性が低い場合だけでなく、被混合物の粘性が高い場合でも、被混合物を短時間で均質な状態まで混合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の二軸混合機を右上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。
図2】本発明の二軸混合機を上方から見た状態を示した図である。
図3】本発明の二軸混合機を、図2におけるY-Y面で切断した状態を示した断面図である。
図4】本発明の二軸混合機における混練羽根と切返し羽根との動作を説明する図である。
図5】本発明の二軸混合機における第一混合具を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。
図6】本発明の二軸混合機における第一混合具から第一混練羽根を外して分解した状態を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。
図7】本発明の二軸混合機における外側羽根及び内側羽根を螺旋方向に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。
図8】本発明の二軸混合機における外側羽根を外周面側から見た状態を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の二軸混合機及びこれを用いた被混合物の混合方法の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。後掲する図1~6には、x軸、y軸及びz軸を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図であっても、互いに一致させている。以下においては、説明の便宜上、x軸方向正側を「右」側、x軸方向負側を「左」側、y軸方向正側を「後」側、y軸方向負側を「前」側、z軸方向正側を「上」側、x軸方向負側を「下」側と呼んでいる。
【0013】
図1は、本発明の二軸混合機を右上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。本発明の二軸混合機は、図1に示すように、混合槽30と、第一混合具10と、第二混合具20とを備えている。混合槽30は、その上面部が開放された箱状の部材となっており、開放された上面部からその内部に被混合物を投入することができるようになっている。混合槽30の底部には、混合槽30内で混合を終えた被混合物を混合槽30外へ送出するための被混合物送出口(図示省略)が、開閉可能な状態で設けられている。
【0014】
第一混合具10と第二混合具20は、混合槽30内に投入された被混合物を混合するためのものであり、左右方向(x軸方向)に所定間隔を隔てて略平行に配されている。第一混合具10及び第二混合具20は、軸状を為す前端部10a,20aを図示省略のベアリング(混合槽30の前壁部31の外側に配したベアリング)で軸支しており、同じく軸状を為す後端部10b,20bを図示省略のベアリング(混合槽30の後壁部32の外側に配したベアリング)で軸支している。第一混合具10の後端部10b及び第二混合具20の後端部20bは、混合槽30の外部に設けられた回転駆動手段(図示省略)に連結されている。このため、第一混合具10及び第二混合具20は、それぞれ、前後方向に平行な軸線L及び軸線Lを回転中心として矢印A及び矢印Aの向きに同じ速さで回転するようになっている。第一混合具10が回転する向きAと第二混合具20が回転する向きAは逆向きになっている。すなわち、第一混合具10は、y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として反時計方向に回転するようになっているのに対して、第二混合具20は、y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として時計方向に回転するようになっている。
【0015】
図2は、本発明の二軸混合機を上方から見た状態を示した図である。図2に示すように、第一混合具10は、第一混合具10における後端部10b付近から前後方向中央部分よりもやや前端部10a寄りの部分に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第一混練羽根11と、第一混合具10における中央部分よりもやや前端部10a寄りの部分から前端部10a付近に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第一切返し羽根12とを有している。第一混練羽根11が為す螺旋面と第一切返し羽根12が為す螺旋面は、その旋回方向が逆向きになっている。
【0016】
一方、第二混合具20は、第二混合具20における前端部20a付近から前後方向中央部分よりもやや後端部20b寄りの部分に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第二混練羽根21と、第二混合具20における中央部分よりもやや後端部20b寄りの部分から後端部20b付近に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第二切返し羽根22とを有している。第二混練羽根21が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)は、上記の第一混練羽根11が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)とは同じであるものの、第二切返し羽根22が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)とは逆向きになっている。
【0017】
このため、上記のように、第一混合具10と第二混合具20とをそれぞれ軸線L及び軸線Lを回転中心として逆向きに回転させると、混合槽30内の被混合物は、螺旋面状の第一混練羽根11によって、図2における矢印Bに示すように、軸線L方向一側(y軸方向正側)から軸線L方向他側(y軸方向負側)に押し出され、第一切返し羽根12付近に移送されるようになる。
また、第一混練羽根11によって第一切返し羽根12付近に移送されてきた被混合物は、第一混練羽根11とは逆向きの螺旋面状を為す第一切返し羽根12によって、図2における矢印Bに示すように、第二混合具20側(x軸方向正側)に移送されるようになる。
さらに、第一切返し羽根12によって第二混合具20側(第二混練羽根21付近)に移送されてきた被混合物は、螺旋面状を為す第二混練羽根21によって、図2における矢印Bに示すように、軸線L方向他側(y軸方向負側)から軸線L方向一側(y軸方向正側)に押し出され、第二切返し羽根22付近に移送されるようになる。上記の通り、第二混練羽根21が為す螺旋面は、第一混練羽根11が為す螺旋面と旋回方向が同じであるものの、第二混練羽根21が回転する向きAと第一混練羽根11が回転する向きAとが逆であるため、第二混練羽根21によって被混合物が移送される向きBは、第一混練羽根11によって被混合物が移送される向きBと逆向きになる。
さらにまた、第二混練羽根21によって第二切返し羽根22付近に移送されてきた被混合物は、第二混練羽根21とは逆向きの螺旋面状を為す第二切返し羽根22によって、図2における矢印Bに示すように、第一混合具10側(x軸方向負側)に移送されるようになる。
【0018】
その後、上記の移送が連続的に行われることにより、混合槽30内の被混合物は、混合槽30内を大きく循環移動しながら混合されるようになる。この循環移動において、上記のように、被混合物が第一切返し羽根12によって第二混合具20側に移送される理由(被混合物が図2の矢印Bの向きに移送される理由)と、被混合物が第二切返し羽根22によって第一混合具10側に移送される理由(被混合物が図2の矢印Bの向きに移送される理由)は、図3及び図4を用いて、以下のように説明することができる。
【0019】
図3は、本発明の二軸混合機を、図2におけるY-Y面で切断した状態を示した断面図である。混合槽30の下壁部(底壁部)33は、図3に示すように、2つの円筒面状部33a,33bを連続させた形状を為している。一方の円筒面状部33aは、第一混合具10の回転中心である軸線Lを中心とした円筒面状に形成されており、他方の円筒面状部33bは、第二混合具20の回転中心である軸線Lを中心とした円筒面状に形成されている。軸線L,Lを中心として回転する羽根11,12,21,22が混合槽30の底壁部33に干渉しないようにしながらも、円筒面状部33a,33bの内周面付近に付着する被混合物に羽根11,12,21,22が届くように、各羽根11,12,21,22の外半径は、円筒面状部33a,33bの内半径よりも僅かに小さく設定される。
【0020】
図4は、本発明の二軸混合機における第一切返し羽根12と第二混練羽根21との動作を説明する図である。図4は、y軸に垂直な断面で示してあり、一部の部材を省略して示している。また、第一切返し羽根12及び第二混練羽根21は、模式化して描いている。さらに、図4に描かれている小さな多数の白丸は、被混合物90を示しているが、この被混合物90も模式化して描いている。さらに、被混合物90は、概ね、図4において太破線で示した曲線Lよりも下側に存在するところ、図示の便宜上、上記の白丸(被混合物90を示す白丸)は、説明に必要な部分を除いて図示を省略している。
【0021】
図4に示すように、第一切返し羽根12が円筒面状部33aの最下点Pを通過するタイミングと、第二混練羽根21が円筒面状部33bの最下点Pを通過するタイミングはズレており、第一切返し羽根12が最下点Pを通過するよりも前に、第二混練羽根21が最下点Pを通過するようになっている。また、第二混合具20が回転する際には、第二混練羽根21の周囲の被混合物90は、第二混練羽根21のオモテ面側(A2+側)では、第二混練羽根21によって圧縮されて圧力が高まった状態になる一方、第二混練羽根21のウラ面側(A2-側)では、圧力が低くなった状態になる。同様に、第一切返し羽根12の周囲の被混合物90は、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)では第一切返し羽根12によって圧縮されて圧力が高まった状態になる一方、第一切返し羽根12のウラ面側(A1-側)では圧力が低くなった状態になる。
【0022】
このような状況のもと、図4に示す状態から、第二混練羽根21が回転方向正側(A2+側)に45°程度回転して、第一切返し羽根12も回転方向正側(A1+側)に45°程度回転し、第二混練羽根21の外端がx軸方向負側を向いた際には、第二混練羽根21の下側(z軸方向負側)は、被混合物90の圧力が低い状態になっている。このタイミングで、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)にある圧力の高い被混合物90が、第二混練羽根21の下側に入ってくるため、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)にある被混合物90が、第二混練羽根21側に自然と流れ込むようになる。被混合物90が第二切返し羽根22によって第一混練羽根11側に移送される理由も、これと略同様である。
【0023】
以上のように、第一混練羽根11及び第一切返し羽根12、並びに、第二混練羽根21及び第二切返し羽根22は、被混合物90を循環移動させることができるものとなっているが、本発明の二軸混合機においては、さらに、被混合物90を剪断することもできるものとなっている。すなわち、第一混練羽根11及び第一切返し羽根12、並びに、第二混練羽根21及び第二切返し羽根22には、図2に示すように、剪断用開口部αを設けている。それぞれの羽根11,12,21,22の剪断用開口部αは、それぞれの羽根11,12,21,22をオモテ面側からウラ面側に貫通した状態に設けられている。このため、図4に示すように、第一混合具10及び第二混合具20が回転させて被混合物90を混合する際に、各羽根11,12,21,22のオモテ面側に位置する被混合物90が、剪断用開口部αを通じてウラ面側に抜けてくるようになっている(図4では羽根11,22を示していないが、羽根11,22についても同様である。)。換言すると、各羽根11,12,21,22のオモテ面側に位置する被混合物90が、オモテ面側にそのまま残る部分と、剪断用開口部αを通じてウラ面側に抜けてくる部分とに、剪断用開口部αによって剪断されるようになっている。
【0024】
既に述べたように、被混合物90が高流動コンクリートや高強度コンクリートである場合等、被混合物90の粘性が高い場合においては、被混合物90に含まれる微粒子が凝集体のまま残った状態になりやすいため、その被混合物90を短時間で均質な状態まで混合することは容易ではない。この点、本発明の二軸混合機では、上記のように各羽根11,12,21,22に剪断用開口部αを設けて、被混合物90を剪断するようにしたことによって、被混合物90中に形成されている微粒子の凝集体を剪断(細化)することが可能となっている。したがって、本発明の二軸混合機では、被混合物90の粘性が低い場合は勿論のこと、被混合物90の粘性が高い場合でも、その被混合物90を短時間で均質な状態まで混合することが可能となっている。
【0025】
剪断用開口部αは、各羽根11,12,21,22に1つずつ設けてもよいが、各羽根11,12,21,22に複数個ずつ設けることがより好ましい。これにより、被混合物90を剪断できる箇所数を増やし、被混合物90の剪断をより効率的に行うことが可能になる。本実施態様の二軸混合機においては、図5に示すように、第一混合具10の第一混練羽根11には、第一混練羽根11の旋回方向(螺旋方向)に所定間隔を隔てて5個の剪断用開口部αを設けており、第一混合具10の第一切返し羽根12には、第一切返し羽根12の旋回方向(螺旋方向)に所定間隔を隔てて3個の剪断用開口部αを設けている。ここで、図5は、本発明の二軸混合機における第一混合具10を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。第二混合具20については特に図示しないが、第一混合具10と同様に、第二混合具20の第二混練羽根21にも5個の剪断用開口部αを設けており、第二混合具20の第二切返し羽根22にも3個の剪断用開口部αを設けている。
【0026】
第一混合具10において、羽根11,12を内外方向(羽根11,12における、軸線Lに近い側(内側)の縁部と軸線Lから遠い側(外側)の縁部とを結ぶ方向。以下、羽根11,12において同じ。)に亘るいずれの箇所に剪断用開口部αを設けるかは、特に限定されない。しかし、羽根11,12は、その内縁部近傍よりも外縁部近傍の方が、回転速度が速くなることに加えて、回転する羽根11,12によって案内される被混合物90は、遠心力によって羽根11,12の外側に移動しやすい。このため、剪断用開口部αは、羽根11,12の内縁部寄りに設けるよりも外縁部寄りに設けた方が、被混合物90を効率的に剪断できるようになるため好ましい。第二混合具20の羽根21,22に設ける剪断用開口部αについても同様のことがいえる。本実施態様の二軸混合機においても、剪断用開口部αは、各羽根11,12,21,22の外縁部近傍に設けている。
【0027】
剪断用開口部αの寸法は、被混合物90の種類等に応じて適宜決定される。というのも、剪断用開口部αが、被混合物90に配合される材料のうち最も粒径の大きな材料(最大材料)が通過できない寸法であると、剪断用開口部αが目詰まりして、剪断用開口部αを被混合物90が通過できなくなる虞があるからである。このため、剪断用開口部αは、最大材料が通過できる寸法とすることが好ましい。例えば、生コンクリートにおける最大材料は、通常、砂利であり、生コンクリートに配合される砂利としては、小さい種類でも粒径が20mm程度のものが一般的である。このため、この種の生コンクリートを混合する場合には、剪断用開口部αは、30mm角以上の寸法(最大材料の粒径の1.5倍以上の差渡し寸法)とすることが好ましく、50mm角以上の寸法(最大材料の粒径の2.5倍以上の差渡し寸法)とすることがより好ましく、70mm角以上の寸法(最大材料の粒径の3.5倍以上の差渡し寸法)とすることがさらに好ましい。
【0028】
一方、剪断用開口部αの寸法を大きくしすぎると、羽根11,12,21,22における広い範囲を剪断用開口部αが占めるようになり、羽根11,12,21,22の螺旋面で被混合物90が移送されにくくなる虞がある。このため、上記の生コンクリートを混合する場合には、剪断用開口部αは、300mm角以下の寸法(最大材料の粒径の15倍以下の差渡し寸法)とすることが好ましく、200mm角以下の寸法(最大材料の粒径の10倍以下の差渡し寸法)とすることがより好ましく、120mm角以下の寸法(最大材料の粒径の6倍以下の差渡し寸法)とすることがさらに好ましい。本実施態様の二軸混合機において、剪断用開口部αは、内外方向の幅が約80mm、螺旋方向の幅が約100mmの略矩形に形成している。ただし、剪断用開口部αは、矩形(正方形を含む長方形)に限定されず、他の多角形(三角形や六角形等)や円形や楕円形等、他の形状とすることもできる。
【0029】
ところで、本実施態様の二軸混合機においては、第一混練羽根11(図2)及び第一切返し羽根12(図2)を、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設けるとともに、第二混練羽根21(図2)及び第二切返し羽根22(図2)を、軸線Lに垂直な断面において、その内側の縁部がその外側の縁部よりも回転方向正側に位置するように傾斜して設けている。すなわち、第一切返し羽根12を例に挙げると、図4に示すように、第一切返し羽根12を、第一切返し羽根12の回転半径R(軸線Lを通る、軸線Lに垂直な直線)に対して角度θだけ傾斜させており、第一切返し羽根12(図2)の内側の縁部(軸線Lに近い側の縁部)がその外側の縁部(軸線Lから遠い側の縁部)よりもA1+側(回転方向正側)に位置するようにしている。これにより、第一切返し羽根12のオモテ面(A+1側を向く面)と混合槽30の底壁部33の上面とが為す角を鋭角にして、その鋭角部分で被混合物90が局所的に圧縮されるようにすることが可能になる。したがって、被混合物90の練り効果を向上することが可能となっている。第一切返し羽根12の傾斜角度θは、特に限定されないが、通常、5~45°の範囲とされ、好ましくは、10~30°の範囲とされる。第一切返し羽根12以外の羽根(第一混練羽根11、第二混練羽根21及び第二切返し羽根22)においても、同様である。
【0030】
第一混練羽根11及び第一切返し羽根12、並びに、第二混練羽根21及び第二切返し羽根22は、それぞれを1つの部材によって構成してもよい。しかし、この場合には、羽根11,12,21,22のいずれかに摩耗や破損等が生じた場合に、摩耗や破損等が生じた羽根11,12,21,22を丸ごと交換する必要があり、不経済である。このため、本実施態様の二軸混合機においては、図6に示すように、第一混合具10の第一混練羽根11を、その回転中心(軸線L)から遠い側に位置する外側羽根40と、その回転中心(軸線L)に近い側に位置する内側羽根50とに分離可能な構造としており、第一混合具10の第一切返し羽根12や、図6には示していない第二混合具20の第二混練羽根21及び第二切返し羽根22も、これと同様の構造としている。ここで、図6は、本発明の二軸混合機における第一混合具10から第一混練羽根11を外して分解した状態を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。以下においては、主に、第一混合具10の第一混練羽根11の分割構造について説明するが、第一混練羽根11で述べた分割構造に係る構成は、第一切返し羽根12や第二混練羽根21や第二切返し羽根22においても同様に採用している。
【0031】
既に述べたように、回転する羽根11,12,21,22によって移送される被混合物90は、羽根11,12,21,22の外側に移動しやすい。加えて、羽根11,12,21,22の外周面と混合槽30(図4)の底壁部33の上面との隙間β(図4)には、被混合物90が高圧の状態で通り抜ける(この隙間でも被混合物90の剪断作用が奏される。)。このため、羽根11,12,21,22は、その外周面に最も摩耗や破損等が生じやすい。この点、上記のように、羽根11,12,21,22のそれぞれを外側羽根40と内側羽根50とに分離可能な構造とすることによって、摩耗等が生じた外側羽根40のみを交換することが可能となっている。
【0032】
上記の外側羽根40及び内側羽根50は、図6に示す羽根取付けアーム13に対して取り付けるようになっている。羽根取付けアーム13は、混練羽根(図6の例では第一混練羽根11)を構成する外側羽根40及び内側羽根50を取り付けるための混練羽根取付けアーム13aと、切返し羽根(図6の例では第一切返し羽根12)を構成する外側羽根40及び内側羽根50を取り付けるための切返し羽根取付けアーム13bとを有している。混練羽根取付け螺旋アーム13aと切返し羽根取付け螺旋アーム13bは、互いに逆向きに旋回する螺旋状を為しており、その間に配された直線状の連結アーム13cによって連結された状態となっている。
【0033】
図7は、本発明の二軸混合機における外側羽根40及び内側羽根50を螺旋方向に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。本実施態様の二軸混合機において、外側羽根40は、図7(a)に示すように、それに設けられたボルト挿通孔40aに羽根取付けボルト14を挿通し、その羽根取付けボルト14の先端部を羽根取付けアーム13における所定箇所に固定することで、羽根取付けアーム13の外縁部分に取り付けるようになっている。一方、内側羽根50は、それに設けられたボルト挿通孔50aに羽根取付けボルト14を挿通し、その羽根取付けボルト14の先端部を羽根取付けアーム13における所定箇所に固定することで、羽根取付けアーム13の内縁部分に取り付けるようになっている。外側羽根40のボルト挿通孔40aは、内外方向に延在する長孔状に設けており、図7(a),(b)の変位ΔDに示すように、羽根取付けアーム13に対する外側羽根40の位置を内外方向で調節できるようにしている。このため、外側羽根40の寿命を長くすることが可能となっている。
【0034】
というのも、既に述べたように、外側羽根40及び内側羽根50における各部分の中で、摩耗が最も生じやすいのは、外側羽根40の外周面である。この外側羽根40の外周面が摩耗してしまうと、羽根11,12,21,22の外周面と混合槽30の底壁部33の上面との隙間β(図3)が広がり、底壁部33に被混合物90が層状に留まってこびり付きやすくなる。このため、通常であれば、外側羽根40の外周面が摩耗すると、外側羽根40を交換するということになるのであるが、上記のように、外側羽根40の位置を内外方向で調節できるようにしておくと、外側羽根40の外周面が摩耗した場合であっても、外側羽根40を当初よりも外側にスライドさせた箇所で固定することで、上記の隙間βを当初の幅で保つことが可能になるからである。
【0035】
また、ケースとしては稀であるが、外側羽根40又は内側羽根50における剪断用開口部α(図6)を区画する部分(剪断用開口部αの周部)に摩耗が生じた場合には、剪断用開口部αが広くなり、剪断用開口部αによる剪断作用が安定しなくなる等の不具合を生じる虞がある。このため、通常であれば、剪断用開口部αの周部が摩耗すると、外側羽根40や内側羽根50を交換するということになるのであるが、上記のように、外側羽根40の位置を内外方向で調節できるようにしておくと、剪断用開口部αの周部が摩耗した場合であっても、外側羽根40を当初よりも内側にスライドさせた箇所で固定することで、剪断用開口部αの内外方向の幅を保ち、剪断用開口部αによる剪断作用を一定に保つことも可能になるからである。
【0036】
ただし、上記のように、外側羽根40の位置を内外方向で調節可能とした場合において、外側羽根40を外側に移動させたときに、外側羽根40の内周部と内側羽根50の外周部との間に隙間が形成されるようなことがあると、その隙間から外側羽根40や内側羽根50のウラ面側に被混合物90が入り込む虞がある。このため、本実施態様の二軸混合機においては、図7に示すように、外側羽根40の内縁部と、内側羽根50の外縁部とに、外側羽根40及び内側羽根50のオモテ面側又はウラ面側に互いに重なる重合部40bと重合部50bとをそれぞれ設けている。重合部40bと重合部50bは、図7(b)に示すように、外側羽根40を外側に限界まで移動させても、互いに重なり合うようになっており、外側羽根40の内周部と内側羽根50の外周部との隙間から被混合物90が入り込むことを防止できるようになっている。
【0037】
また、本実施態様の二軸混合機においては、図5に示すように、外側羽根40における、それぞれの剪断用開口部αが設けられた部分よりも外側に突出部40cを設けている。突出部40cは、図8に示すように、外側羽根40のオモテ面側(図8における紙面下側)に突出した部分となっており、突出部40cにおける手前側(外側羽根40の螺旋方向の手前側)の側面40cが傾斜した状態となっている。ここで、図8は、本発明の二軸混合機における外側羽根50を外周面側から見た状態を拡大して示した図である。
【0038】
第一混合具10(図2)や第二混合具20(図2)を回転させた際には、外側羽根40のオモテ面側では、図5の矢印Cに示すように、外側羽根40の螺旋方向手前側から先側に向かって被混合物90が移送されてくるところ、上記の側面40cは、同図の矢印Cに示すように、その被混合物90の移送方向を外側羽根40のオモテ面側に屈曲させるものとなっている。これにより、外側羽根40で移送される被混合物90の移送方向を、外側羽根の螺旋方向(図8の矢印Cの向き)と、剪断用開口部α(図5)の開口面の法線方向とに分岐させるだけでなく、突出部40cの側面40cに沿った方向(図8の矢印Cの向き)にも分岐させることも可能になり、剪断用開口部αの周辺で被混合物90の剪断がより効率的に行われるようにし、被混合物90の練り効果を向上することができる。突出部40cの手前側の側面40cの傾斜角度θ図8)は、10~80°とすると好ましく、20~70°とするとより好ましく、30~60°とするとさらに好ましい。
【0039】
ところで、上述した外側羽根40や内側羽根50は、それぞれを1つの部材により形成してもよいが、それぞれを複数の部材で形成すると好ましい。本実施態様の二軸混合機においても、図6に示すように、外側羽根40を、その螺旋方向で分割された複数の外側羽根分割体41によって構成しており、内側羽根50を、その螺旋方向で分割された複数の内側羽根分割体41によって構成している。これにより、外側羽根40及び内側羽根50を、より狭い範囲で(外側羽根分割体41ごと又は内側羽根分割体51ごとに)交換することが可能になる。また、外側羽根40や内側羽根50は、上記の剪断用開口部αのほか、上記の突出部40c(図8)や重合部40b,50b等を有する複雑な形態を有しており、このような複雑な形態を有する外側羽根40や内側羽根50を1つの部材で螺旋面状に成形することは必ずしも容易ではないところ、それぞれを複数の外側羽根分割体41及び複数の内側羽根分割体51で構成したことによって、外側羽根分割体41自体や内側羽根分割体51自体は、比較的簡素な形態(平版状)としながらも、羽根11,12,21,22を螺旋面状に形成することが可能となっている。剪断用開口部αは、図6における網掛けハッチング部分で示すように、外側羽根40と内側羽根50との境界部であって、隣り合う外側羽根分割体41の境界部に形成されるようになっている。
【0040】
上記のように、外側羽根40を複数の外側羽根分割体41で構成する場合において、螺旋方向に隣り合う外側羽根分割体41の間に隙間が存在していると、その隙間に被混合物90が挟まり、その挟まった被混合物90で混合槽30(図4)の底壁部33の上面が偏摩耗する等の不具合が生じる虞がある。このため、本実施態様の二軸混合機においては、図8に示すように、一の外側羽根分割体41における螺旋方向先側(矢印Cの先側)の縁部が、当該一の外側羽根分割体41の螺旋方向先側に隣接する他の外側羽根分割体41における螺旋方向手前側(矢印Cの手前側)の縁部のオモテ面側(図8の紙面下側)に重なる構造を採用している。このため、隣り合う外側羽根分割体41の間に隙間が形成されないようにするだけでなく、被混合物90を、外側羽根40のオモテ面側で図8の矢印C及び矢印Cの向きに円滑に案内することも可能になっている。
【0041】
以上で述べた本発明の二軸混合機は、被混合物90を特に限定されるものではないが、粘性材料を含む被混合物90を混合するのに好適に用いることができる。既に述べたように、本発明の二軸混合機は、被混合物90の粘性が高い場合であっても、被混合物90中に含まれる微粒子の凝集体を剪断して細化することができ、被混合物90の練りを効率的に行うことが可能なものとなっている。このため、本発明の二軸混合機は、微粒子の凝集体が形成されやすく、且つ、粘性の高い材料を含む被混合物90を混合する際に好適に使用することができる。このような被混合物90としては、高流動コンクリートや高強度コンクリート等が例示される。
【符号の説明】
【0042】
10 第一混合具
11 第一混練羽根
12 第一切返し羽根
20 第二混合具
21 第二混練羽根
22 第二切返し羽根
30 混合槽
40 外側羽根
40b 重合部
40c 突出部
41 外側羽根分割体
50 内側羽根
50b 重合部
90 被混合物
軸線(第一混合具の回転中心)
軸線(第二混合具の回転中心)
α 剪断用開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8