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特許7053187電気接触器用電磁アクチュエータの可動部、そのような部分を備えたアクチュエータ、及び接触器
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  • 特許-電気接触器用電磁アクチュエータの可動部、そのような部分を備えたアクチュエータ、及び接触器 図1
  • 特許-電気接触器用電磁アクチュエータの可動部、そのような部分を備えたアクチュエータ、及び接触器 図2
  • 特許-電気接触器用電磁アクチュエータの可動部、そのような部分を備えたアクチュエータ、及び接触器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電気接触器用電磁アクチュエータの可動部、そのような部分を備えたアクチュエータ、及び接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/20 20060101AFI20220405BHJP
   H01H 50/36 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01H50/20 A
H01H50/36 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017150579
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2018073806
(43)【公開日】2018-05-10
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】1657574
(32)【優先日】2016-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ、ビグルー
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ジェフロワ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン、アンリ-ルソー
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-188765(JP,A)
【文献】特開平08-050843(JP,A)
【文献】特開平11-016470(JP,A)
【文献】実開昭52-062442(JP,U)
【文献】特開2004-047141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00-50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接触器(2)用の電磁アクチュエータ(4)の可動部(8)において、
前記可動部が、平坦片(8)で構成され、
前記平坦片が、前記アクチュエータ(4)の固定部(6)に対向するよう意図された第1のステージ(80)と、前記可動部の移動軸(X10)に沿って前記第1のステージに隣り合う第2のステージ(82)と、を備え、
前記可動部の前記移動軸(X10)と垂直な平面で測定して、前記第2のステージの中実部が、前記第1のステージの中実部よりも小さく、
前記平坦片(8)が、2つの長縁部(B3、B4)及び2つの短縁部(B1、B2)の境界を定める矩形パレットであり、
前記縁部(B1、B2)の厚さは、前記平坦片(8)の中心領域に対して小さ
前記平坦片(8)の前記第1のステージ(80)および前記第2のステージ(82)がそれぞれ、重畳シート片(80、82)によって形成され、
前記第2のステージ(82)が、前記長縁部(B3、B4)と平行に測定して、前記第1のステージ(80)の長さよりも短い長さを有し、
前記短縁部(B1、B2)が、前記第1ステージ(80)によって定められ、
前記長縁部(B3、B4)が、前記第1ステージ(80)および前記第2ステージ(82)によって定められていることを特徴とする、可動部(8)。
【請求項2】
前記第2のステージ(82)の前記中実部と前記第1のステージ(80)の前記中実部との比が、25%~75%であることを特徴とする、請求項に記載の可動部。
【請求項3】
前記平坦片(8)が、少なくとも1つの磁束コンセントレータ(80.2)を備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の可動部。
【請求項4】
各磁束コンセントレータが、前記アクチュエータの固定部(6)の方に向けられた前記平坦片(8)の表面(S80)に形成された凸部(80.2)であることを特徴とする、請求項に記載の可動部。
【請求項5】
固定部(6)及び請求項1~のいずれか一項に記載の可動部(8)を備えた、電磁アクチュエータ(4)。
【請求項6】
前記固定部が、コイル(62)が巻回された2つのコア(61)を備えたことを特徴とする、請求項に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記可動部が、請求項に記載のものであり、各磁束コンセントレータ(80.2)が、前記固定部の前記コア(61)の一方に対向するように配置されたことを特徴とする、請求項に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記第2のステージ(82)が、前記コア(61)の位置で測定して、前記固定部の長さ(L61)と少なくとも等しい長さ(L82)を有することを特徴とする、請求項又はに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項9】
請求項に記載の電磁アクチュエータを備えた、電気接触器(2)。
【請求項10】
円弧状ハウジング(18)と、前記円弧状ハウジングと接触した前記アクチュエータ(4)の前記固定部(6)を保持する手段(22)であって、例えば少なくとも1つの弾性要素(22)を含む手段(22)と、を備えた、請求項に記載の電気接触器(2)。
【請求項11】
各弾性要素(22)が、前記接触器の基板(16)から延びて、前記基板(16)と前記アクチュエータの前記固定部(6)との間に配置された電子回路基板(20)を通過することを特徴とする、請求項10に記載の電気接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接触器用電磁アクチュエータの可動部に関する。
【背景技術】
【0002】
FR-A-2792108は、直流接触器への組み込みを意図した電磁アクチュエータを開示している。このアクチュエータは、固定部及び可動部を備える。固定部は、絶縁ヨーク・フレーム上に配置され、電流が供給された場合に磁界を発生させるコイルを備える。可動部は、コイルが発生させた磁界の影響下で並進移動するように設計されている。これは、概略円筒形状の磁気コアと、パレットの形態の磁力保持棒(keeper)と、を備える。パレットは、コアの2つの端部に配置されて固定されている。可動部には、コンタクトホルダが並進連結されている。このコンタクトホルダの接点は、可動部が移動したとき、接触器の固定接点と接続されるため、接触器の回路を閉じる効果がある。コイルに電流が供給されなくなったら、1つ又は複数のバネによって、可動部が開位置へと戻ることができる。
【0003】
このアクチュエータの第1の欠点は、可動部がコア及び2つのパレットを備えるために重いことである。したがって、開閉時間が比較的長くなる。さらに、可動部が多くの銅を含むため、このアクチュエータの製造費用は比較的高くなる。
【0004】
また、可動部の行程は、複数の寸法、特に、2つのパレット間の距離に依存する。ここで、この距離は、一群の製品で少なからず変動する。したがって、この製品の第2の欠点は、開位置と閉位置との間の可動部の行程が制御困難であるということである。このため、対応する開閉時間は、製品ごとに変わりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より具体的には、本発明は、製造コストが低く、開閉時間がより良好に制御される電磁アクチュエータの可動部を提案することによって、これらの欠点を是正しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、電気接触器用電磁アクチュエータの可動部に関する。本発明によれば、可動部は、ロール状シートから切り出された平坦片で構成されている。平坦片は、電磁アクチュエータの固定部に対向するよう意図された第1のステージと、可動部の移動軸に沿って第1のステージに隣り合う第2のステージと、を備える。可動部の移動軸と垂直な平面で測定して、第2のステージの中実部は、第1のステージの中実部よりも小さい。
【0007】
本発明により、可動部は、FR-A-2792108に係る電磁アクチュエータの可動部よりもはるかに軽い。このため、可動部を開位置に戻すのに必要な機械力が抑えられる。さらに、可動部の製造に用いられる原材料が少なくなる。したがって、新しい可動部は、製造コストを低くする。さらに、可動部がロール状シートから切り出された平坦片で構成されていることにより、平坦片の厚さに関して、許容差を減らすことが可能となる。したがって、開位置と閉位置との間の可動部の行程の大きさは、より良好に制御される。接触器が閉じるとき、移動の開始時に、平坦片の周辺部を磁束が通過する(面引っ張りの増大)。この領域の誘導レベルは、低いままである(1テスラ未満)。間隙(固定部と可動部との間の距離)が小さくなればなるほど、パレットの中心に向かって、磁力線がより導かれる。パレットの中心には、強力な誘導が集中する。パレットの外側は、極わずかに圧力が加えられる。このため、平坦片の縁部は、中心ほどの厚さを有する必要がない。第2のステージの中実部が第1のステージの中実部よりも小さいことによって、その縁部のうちの少なくとも1つの位置で平坦片を軽量化することができる。その着想では、接触器が閉じるとき磁束を導かない材料を除去することにより、平坦片を最大限に軽量化するが、アクチュエータの閉じる能力に影響を及ぼすことがない。
【0008】
本発明の有利でありながら任意の態様によれば、可動部は、技術的に許容できる任意の組み合わせにて、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0009】
平坦片は、2つの長縁部及び2つの短縁部の境界を定める矩形パレットである。一方、第2のステージは、長縁部と平行に測定して、第1のステージの長さよりも短い長さを有する。
【0010】
第2のステージの中実部と第1のステージの中実部との比は、25%~75%である。
【0011】
平坦片の2つのステージは、2つの重畳シート片によって構成されている。
【0012】
平坦片は、少なくとも1つの磁束コンセントレータ(magnetic flux concentrator)を備える。
【0013】
各磁束コンセントレータは、アクチュエータの固定部の方に向けられた平坦片の表面に形成された凸部である。
【0014】
また、本発明は、上述のような固定部及び可動部を備えた電磁アクチュエータに関する。
【0015】
固定部は、コイルが巻回された2つのコアを備えていることが好都合である。
【0016】
可動部を構成する平坦片は、少なくとも1つの磁束コンセントレータを備え、各磁束コンセントレータが固定部のコアのうちの反対の1つとなるように配置されていることが好都合である。
【0017】
第2のステージは、コアの位置で測定して、固定部の長さと少なくとも等しい長さを有していることが好都合である。
【0018】
本発明は、最終的には、上述のようなアクチュエータを備えた電気接触器に関する。
【0019】
本発明の有利でありながら任意の態様によれば、このような電気接触器は、技術的に許容できる任意の組み合わせにて、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。
-接触器は、円弧状ハウジングと、円弧状ハウジングと接触したアクチュエータの固定部を保持する手段であって、例えば少なくとも1つの弾性要素を含む手段と、を備える。
-各弾性要素は、接触器の基板から延びて、基板とアクチュエータの固定部との間に配置された電子回路基板を通過する。
【0020】
本発明及びその他の利点については、その原理に係る電磁アクチュエータの可動部の一実施形態に関する以下の説明に照らして、より明確に明らかとなるであろうが、これは、ほんの一例として、添付の図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】開位置で表され、本発明に係る固定部及び可動部を有する電磁アクチュエータを備えた、本発明に係る電気接触器の断面図である。
図2】接触器が閉位置で表された、図1に類似の断面図である。
図3図1及び図2のアクチュエータの可動部を表す斜視図である。
図4図1及び図2のアクチュエータの可動部を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2は、例えば電源と電気負荷との間の電力回路における電流路を選択的に遮断可能な電気接触器2を示している。図1において、接触器2は、電流路を遮断する開位置で表されている。接触器2は、多くの可動接点12及び対応する数の固定接点14を備える。本例において、この数は2に等しいが、ユニットの種類に応じて変化し得る。
【0023】
可動接点12は、当該可動接点12と固定接点14とが絶縁距離だけ分離された図1に表される開位置と、可動接点12と固定接点14とが接触して接続された図2に表される閉位置との間で、軸X10に沿って移動可能なコンタクトホルダ10に属している。コンタクトホルダ10は、電磁アクチュエータ4を介して、軸X10に沿って並進移動する。
【0024】
電磁アクチュエータ4は、固定部6と、図1に表される開位置と図2に表される閉位置との間で軸X10に沿って移動可能な部分8と、を備える。図1において、可動部8の行程は、距離cによって表されている。
【0025】
コンタクトホルダ10及びアクチュエータ4の可動部8は、軸X10に沿って、並進連結されている。本例において、アクチュエータの部分8は、コンタクトホルダ10と一体化するように、コンタクトホルダに組み付けられている。
【0026】
固定部6は、U字状構造の磁力保持棒60を備える。したがって、磁力保持棒60は、基部と、基部から軸X10と平行に延びた2つのコア61と、を備える。コア61にはそれぞれ、コイル62が巻回されている。電流が供給されると、コイル62は、アクチュエータ4の可動部8を固定部6へと引き付ける磁界を発生させる。
【0027】
電磁アクチュエータ4は、可動部8を開位置に戻す手段を備える。本例において、これらの戻し手段は、固定部6と可動部8との間に延びた2つの螺旋状バネ24によって構成されている。バネ24は、圧縮バネである。図面の明瞭化のため、図2において、バネ24は示されていない。
【0028】
接触器2は、基板16と、当該基板16に固定された円弧状ハウジング18と、を備える。基板16は、アクチュエータ4の固定部6を囲む。開位置においては、コンタクトホルダ10の一部が円弧状ハウジング18を当接しており、一方、閉位置においては、可動部8がアクチュエータ4の固定部6と接触している。
【0029】
また、接触器2は、円弧状ハウジング18と接触したアクチュエータ4の固定部6を保持する保持手段を備える。より具体的には、アクチュエータの固定部6は、円弧状ハウジング18に属する突起180と接触して保持される。突起180は、軸X10周りに分散している。本例においては、突起180は4つ存在する。
【0030】
上記保持手段は、少なくとも1つの弾性要素22、好ましくは2つの弾性要素22を備える。本例において、弾性要素22は、エラストマー・プラグである。各プラグ22は、基板16から延びて、この目的で基板20に形成された貫通孔を介して電子回路基板20を通過する。したがって、電子回路基板20は、基板16とアクチュエータ4の固定部6との間に配置されている。これは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)製の支持部を備える。
【0031】
保持手段22は、アクチュエータ4の固定部6の「基準化」すなわち「規定」が可能である。これは、一群の製品の接触器に関わらず、アクチュエータ4の固定部6が一群の製品で同じ位置となることを意味する。したがって、開位置と閉位置との間の可動部8の行程cの端点は、明確に定義される。これは、開位置と閉位置との間の可動部8の行程cの大きさの制御の改良に寄与するため、結果として、接点の大きな圧力の制御及び開閉時間の再現性の改良に寄与する。
【0032】
図3及び図4に見られるように、電磁アクチュエータ4の可動部8は、平坦なシート片で構成されている。平坦片という表現は、それがロール状シートから得られたことを意味すると理解されるものとする。
【0033】
平坦片8はステージになっており、電磁アクチュエータ4の固定部6に対向するよう意図された第1のステージ80と、反対側で円弧状ハウジング18に対向するように意図された第2のステージ82と、を備える。第2のステージ82は、軸X10に沿って、第1のステージ80に隣り合っている。これは、第1のステージ80及び第2のステージ82が軸X10と垂直であり、第1のステージ80と第2のステージ82との間に空隙が存在しないことを意味する。可動部8の移動軸X10と垂直な平面で測定して、第2のステージ82の中実部は、第1のステージ80の中実部よりも小さい。中実部は、断面において輪郭により境界が定められた領域である。このため、領域の計算には、第1のステージ80又は第2のステージ82の如何なる孔も考慮されない。第2のステージ82の中実部と第1のステージ80の中実部との比は、通過する磁束及び使用された強磁性材料に応じてシミュレーションによって示される。これは、25%~75%であり、好ましくは50%に等しい。
【0034】
本例において、平坦片8は、ステージを2つしか備えていない。図示されない変形例として、平坦片は、正確に3つ以上のステージを備え得る。ステージは、平坦片の少なくとも1つの他の部分と異なる中実部を有する平坦片8の部分に対応する。
【0035】
第1のステージ80は、電磁アクチュエータ4の固定部6に向かって向くように意図された表面S80の境界を定める。本例において、表面S80は、アクチュエータ4の固定部6と接触することが意図されている。しかしながら、変形例として、片は、閉位置における部分6と8との間への挿入も可能である。第2のステージ82は、表面S80の反対の表面S82の境界を定めている。表面S82は、組み立てられた構成において、接触器2の円弧状ハウジング18に対向している。表面S80及びS82は、実質的に平面状である。
【0036】
第2のステージ82は、実質的に中心に配置されている。言い換えると、第2のステージ82は、第1のステージ80の中心部のみを覆っているため、パレットの中心に十分な通路区域を確保することができる。一方、平坦片8の縁部のうちの少なくとも1つは、第1のステージ80のみによって境界が定められ、片の最大厚よりも小さな厚さを有する。
【0037】
したがって、平坦片8の厚さは、均一ではない。本例において、厚さが均一なパレットと比較した重量の軽減は、15%程度である。これが磁気的な性能レベルへの影響が無い又は実質的な影響も無いのは、接触器2が閉じたとき、コイル62より発生した磁束の殆どが平坦片8の中心部を通過するためである。したがって、平坦片8の縁部の誘導レベルは、あまり高くない。このため、閉じたとき平坦片8の磁気的挙動を変更し得る磁気飽和を誘発することなく、縁部の厚さを抑えることができる。言い換えると、接触器が閉じたとき、磁束を全く又は殆ど導かない材料のみが除去される。これにより、軽量化された可動部を得ることができる。
【0038】
平坦片は、2つの短辺及び2つの長辺を備えた矩形パレットが好都合である。2つの短辺は、可動パレット8の2つの両側縁部B1及びB2を構成する。2つの長辺は、2つの両側縁部B3及びB4を構成する。縁部B1及びB2は、厚さが最大であるパレット8の中心領域に対して、厚さが抑えられている。縁部B1及びB2がパレット8の第1のステージ80のみによって境界が定めされ、一方、縁部B3及びB4は、2つのステージ80及び82により併せて境界が定められている。表面S80は、長縁部B3及びB4と平行に測定して、表面S82の長さよりも大きな長さを有する。
【0039】
材料の軽量化により、接触器2の開時間は、軽量化されていない可動部が用いられる場合よりも短い。さらに、軽量化されたパレット8の磁気的挙動が全く影響を受けない又は殆ど影響を受けないことから、閉時間は実質的に同じである。
【0040】
本例において、第1のステージ80の厚さは、第2のステージ82の厚さと同一である。したがって、縁部B1及びB2の厚さは、平坦片8の最大厚の半分に等しい。より一般的には、第1のステージ80の厚さは、パレット8の最大厚に対して、縁部で許容できる飽和に応じて寸法付けられる必要がある。実際、第1のステージ80の厚さは、パレット8の最大厚の25%~75%、特に35%~55%である。
【0041】
平坦片8の2つのステージは、2つの重畳シート片80及び82によって構成されていることが好都合である。パレット8の長辺B3及びB4と平行に長さを測定したとき、シート片82は、シート片80より短い。本例において、2つのシート片80及び82は、特にレーザ溶接法を用いて、互いに溶接されている。
【0042】
第2のステージ82は、コア61の位置で長さを測定したとき、固定部6の長さL61と少なくとも等しい長さL82を有していることが好都合である。長さL82及びL61は、軸X10と垂直で、図1の平面に含まれる方向に測定される。このため、第2のステージ82は、固定部6のコア61と軸方向に反対の部分を含む。
【0043】
電気接触器の組み立てられた構成においては、アクチュエータ4の固定部6側にシート片80が向けられ、一方、シート片82は、円弧状ハウジング18側すなわちアクチュエータ4の固定部6と反対側に向けられている。
【0044】
平坦片8は、少なくとも1つの磁束コンセントレータ、好ましくは少なくとも3つの磁束コンセントレータを備えることが好都合である。
【0045】
本例において、平坦片は、4つの磁束コンセントレータを備える。これら4つの磁束コンセントレータは、パレット8の4つの隅部に配置されている。
【0046】
各磁束コンセントレータは、アクチュエータ4の固定部6の方に向けられたパレット8の面S80に形成された凸部80.2である。凸部80.2は、固定部6に対する可動部8の支承表面を構成する。各凸部80.2は、シート・ダイスタンプ(sheet die-stamping)法で形成されていることが好都合である。縁部B3側に配置された凸部80.2は、長円形及び円形であり、パレット8の縁部B1及びB2と平行に延びている。縁部B4側に配置された凸部80.2は、円形である。
【0047】
凸部80.2は、コイル62が発生させる磁束を導く。実際、磁束の約95%が凸部80.2を通過する。これにより、一方では、可動部8を閉位置に保持する磁力を最適化してコイル62の消費を制限し、他方では、残留効果すなわち磁化を保つパレット8の能力を潜在的に制限することができる。
【0048】
各磁束コンセントレータ80.2は、固定部6のコア61のうちの軸方向に反対の1つとなるように配置されていることが好都合である。これにより、磁束が磁束コンセントレータ80.2を通りやすくなる。
【0049】
図示されない変形例として、アクチュエータ4の固定部6と可動部8との間に挿入された磁気材料で構成された片を用いることにより、同様の効果が得られる。
【0050】
シート片80は、戻しバネ24の端部が通る2つの貫通孔80.1の境界を定める。バネ24は、シート片80の上方に配置された第2のシート片82の突起82.1に当接する。
【0051】
図示されない別の変形例によれば、第1のステージ80及び第2のステージ82は、単一片である。そして、アクチュエータの可動部は、単一の平坦片で構成されている。
【0052】
図示されない別の変形例によれば、第1のステージ80及び第2のステージ82は、異なる形態が可能である。例えば、第1のステージ80が正方形のシート片により構成され得る。一方、第2のステージ82は、第1のステージにより境界が定められた正方形に輪郭が内接した円盤であり得る。別の例によれば、第1のステージ80及び第2のステージ82は、同心円状に重畳した2つの円盤であり得て、第1のステージ80を構成する円盤は、第2のステージ82を構成する円盤よりも大きな直径を有する。
【0053】
矩形パレット8は、以下のように製造される。2つのシート片80及び82は、ロール状シートから別個に切り出される。そして、シート片80は、ダイスタンプされて凸部80.2が形成され、孔開け加工されて孔80.1が形成される。その後、2つのシート片80及び82は、例えばレーザ溶接法を用いて、互いに溶接される。オリフィス80.1及び縁部B3の一部の上方で、溶接ビードが生成されることが好都合である。
【0054】
また、変形例として、2つのシート片80及び82の接合に電気スポット溶接法が使用されてもよい。この場合、溶接スポットは、シート片80と接触したシート片82の面上に配置された凸部で形成される。そして、4つの溶接スポットで十分である。
【0055】
また、2つのシート片80及び82は、一体的に接着、リベット留め、又はネジ留めされてもよい。
【0056】
上述の実施形態及び変形例の特徴は、互いに組み合わされて、本発明の新たな実施形態を創出することも可能である。
図1
図2
図3
図4