(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】モニタユニットを備える体外血液処理用装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61M1/14 110
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017157507
(22)【出願日】2017-08-17
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】10 2016 115 270.6
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチアン・シュライヒャー
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042717(JP,A)
【文献】特開2008-116792(JP,A)
【文献】特表2009-500737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0154264(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00 - 1/38
G09G 5/00 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理用の作動構成要素を収容するハウジングを備える体外血液処理用装置、特に透析装置であって、
本体と、
特定の方向に向けられないように、または少なくとも前記本体に対して角度調整できないように適合され、およびディスプレイユニットを含むモニタユニットと、を備え、
前記モニタユニットは、前記ディスプレイユニットに表示された情報の視認性に影響を及ぼすように構成されている表示内容描写影響装置を含
み、
前記表示内容描写影響装置は、前記ディスプレイユニットの表示面の少なくとも一部を被覆するように構成されている、前記表示面に設けられた反射防止コーティング手段を備え、
前記表示内容描写影響装置は、前記ディスプレイユニットの表示面の少なくとも一部を銀引きするように構成されている、前記表示面に設けられた銀引き手段を備え、
前記ディスプレイユニットは、少なくとも二つの異なる表示内容を同時に表示するように構成され、
前記表示内容描写影響装置は、第一の目視方向および/または第一のユーザの距離から前記ディスプレイユニットへ/から、前記少なくとも二つの表示内容のうちの一方が見え、また、第二の目視方向および/または第二のユーザの距離から前記ディスプレイユニットへ/から、前記少なくとも二つの表示内容のうちのもう一方が見えるように、前記ディスプレイユニットに同時に表示された前記少なくとも二つの表示内容の前記視認性に影響を及ぼすように構成される、体外血液処理用装置。
【請求項2】
前記反射防止コーティング手段は、前記表示面の前記少なくとも一部に設けられた、または、前記表示面に一体化されたフィルムまたはコーティング、またはフィルム、ディスク、コントラスト変更手段および/または前記ディスプレイユニットの前記表示面の前方に配置されるLEDアレイである、請求項
1に記載の体外血液処理用装置。
【請求項3】
前記表示内容描写影響装置は、表示された表示内容を、所定の位置またはユーザの目視方向のみから読取可能にするように構成されている、イメージングパネルの前方または後方で前記ディスプレイユニットに一体化された光方向変更フィルタ、偏光手段またはコントラスト変更手段である、請求項
1に記載の体外血液処理用装置。
【請求項4】
前記ディスプレイユニットは、デュアルビューディスプレイユニットとして構成される、請求項1~
3のうちのいずれか一項に記載の体外血液処理用装置。
【請求項5】
前記ディスプレイユニットは、スプリットスクリーンディスプレイユニットとして構成される、請求項1~
4のうちのいずれか一項に記載の体外血液処理用装置。
【請求項6】
前記表示内容描写
影響装置は、その光透過特性を変更するために電子的に制御されるように適合されているフィルタであり、該フィルタは、パララックスバリアとして構成される、請求項1~
5のうちのいずれか一項に記載の体外血液処理用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ディスプレイユニットを有するスクリーンの形態のモニタユニットを含む透析装置等の体外血液処理用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最新技術から、医療装置、例えば、透析装置等の体外血液処理用装置において、固定モニタユニットが知られている。公知の種類のそれらの固定または少なくとも角度を調整できないモニタは、例えば、該固定モニタのディスプレイユニットへの光の逆入射を伴う、または、装置の反対位置に関する悪条件では、ユーザインタフェースは見えず、または、ほとんど見えず、また、該ディスプレイユニットに表示された、および/または該ユーザインタフェースの情報の読出しは損なわれ、該情報を明確に識別することはできず、および/または該情報を識別することは難しいという欠点があった。
【0003】
固定モニタに関して、より好ましい光の入射方向にモニタを単純に回転させることは不可能であり、また、通常、現場での装置の回転性は均等に制限されるため、読取りを改善する可能性がある該装置全体の回転は、さらに好ましくない様態で、実際には例えば、データのプライバシー規則に反する情報、例えば、機密の患者データが、意図されていない人に対してアクセス可能になるということを生じる可能性がある。
【0004】
この事実に対抗するために、透析装置等の公知の装置は、許可のない者が見ることができないように、独立して向きが決められるべきである。ただし相互接続されている装置の場合、例えば、処理パラメータおよび/または患者データは、例えば、ナースルーム内のネットワークインタフェースを用いて提示しおよび見ることができる。しかし、これまでは、好ましくない方法で情報を露出させることなく、または、データのプライバシー規則に関するコンプライアンスを危うくすることなく、隣接する装置の患者データおよび/またはパラメータを装置で直接見ることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明に内在する目的は、上述した欠点を克服することであり、また、固定モニタユニットを備える透析装置等の体外血液処理用装置において、そのディスプレイユニット上での表示内容の読取りを、データプライバシーを高めながら、実際に有用で使いやすい方法で改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴を備える、透析装置等の体外血液処理用装置によって実現される。本発明の有利な展開が添付クレームの主題である。
【0007】
本発明に内在する概念は、角度調整可能ではない/角度調整不可能である固定および/または回転可能なモニタにおいて、上手く方向付けられた手段または上手く方向付けられた手段の相互に作用する組合せにより、ディスプレイユニット上に示された情報の読取りに影響を及ぼすように、特定の方向に向けられないように適合されている、および該ディスプレイユニットを含む固定および/または一体化されたモニタユニット(モニタ)を含む透析装置等の体外血液処理用装置上のユーザインタフェースの視認性を、例えば、特定のフィルム、コーティング等の反射防止コーティングを用いて向上させることである。該上手く方向付けられた手段は、制御された液晶を介した視野角に依存する情報の表示、表示面に、該表示面内に、例えば、層またはフィルムを適用するか、または一体化することによる、あるいは、該表示面の前面に層またはフィルムを配置することによる、該表示面の反射の低減または反射防止コーティングおよび/または偏光、および/または該表示面の少なくとも一部または複数の部分での銀引き/反射を含み、それによって、該表示面への逆の光入射でも、該装置の回転の必要性を減少することが可能になり、また、ユーザの視野角に対して向けられた情報の特定の表示により、データのプライバシーの向上を可能にするとともに、悪条件でも、該情報の正確な読取りおよび表示を可能にする。
【0008】
例えば、±10°の許容差を伴う直角の視野角での、制御された液晶を介した該視野角に依存する情報の表示の場合、特定の治療パラメータ(例えば、kT/V、HK値等)および設定オプションを表示することができ、それに対して、直交ラインに対して、例えば15°(20°、25°、…)から最大で例えば30°よりも大きい角度で視認する場合、処理の期間、時間等の一般的な情報を表示することができる。このような表示は、片側および両側の両方で構成することができ、および機械設定を介して、該ユーザによって変更することができる。この場合、該画像表示は、所定の視野角の外側に、鏡面または銀引き面または反射面として現れる可能性がある。このことは、例えば、電圧を液晶に印加することによって技術的に実現することができ、該電圧の印加は、光の偏光の方向に影響を及ぼし、およびこのようにして、異なる表示や見方の角度を可能にする。
【0009】
代替例として、または加えて、散乱光が、改良された方法で異なる方向に偏向されるように、(偏光を強めるための)プリズム構造と組み合わせた偏光面を固定視野角に調節することができる。このようにして、該ユーザの目が眩むことを低減することができる。偏光の度合いを強めるために、複数の個別の偏光を連続的に配置することができる。
【0010】
改善された散乱光の偏向および該ユーザの目が眩むことの低減は、例えば、反射防止コーティング(ARコーティング)の形態の該表示面のコーティングを用いた、およびプリズム、レンズ、粗面等を用いた反射防止コーティングによってさらに得ることができる。
【0011】
AR被覆面の反射の程度は、反射光線の相殺的干渉によって実現し、および言い換えると、その影響を受ける可能性がある。例えば、この点において、反射の低減によって、所定の屈折率および厚さを有する物質または物質の複合の相殺的干渉の原理に従って作用する非吸収層(反射防止層)を基板上に蒸着させることができる。所定の屈折率を有する前記蒸着層が空気に隣接している場合、位相条件および振幅条件が、干渉条件として満たされていれば、該層によって反射された該光の波列およびその下に位置する面は相殺的に干渉する可能性がある。上述した干渉条件を、一つの波長のみに対して均一な屈折率を有する単一の層によって正確に満たすことができる場合、異なる屈折率を有する複数の層を、全体で広帯域の反射防止層として適用してもよい。さらに、例えば、空隙を何ら要することなく、例えば、LCDまたはLEDパネルを表示面に直接積層することにより、フレネル反射を抑えることが可能であり、および/またはプラズマエッチングにより、反射防止コーティングを実現することが可能である。
【0012】
したがって、反射防止コーティングは、透光性およびコントラストを向上させることが可能であり、および複数の方向からの、理想的なケースではすべての方向からの該スクリーンまたは表示内容の良好な視認性を可能にする。ユーザは、処理の前および処理中に、最初に該モニタをグレアを伴う視野角、または言い換えると、グレア角を伴う視野角から外して回転させることなく、逆の光入射の場合であってもパラメータの変更を直接行うことができる。特定の銀引き、偏光および/またはコントラストの変更は、例えば、患者に関する機密内容を特定の位置のみから読取ることができるということを実現するのに役に立つ。この場合、見舞客または他の患者は、もはや前記機密データを容易に見ることができず、それによって、データプライバシーの強化および向上をもたらすことができる。さらに、この構成によって、例えば、相互接続されている透析センターにおいて、異なる装置のパラメータ設定値は、許可された者(例えば、看護師)のみが読み取ることができるため、それらの設定値が表示されることが可能になる。したがって、前記情報が第三者に少しも見られることなく、異なる患者のパラメータを容易に比較することができる。
【0013】
さらなる利点は、分割可能なモニタ内容を代替的にまたは追加的に提供する構成によって実現される。この文脈では、分割は、そのうちの一つのスクリーン/ディスプレイ/モニタ内容のみが所定の視野角または傾斜目視範囲からおよび/または所定の距離または所定の傾斜距離範囲から見える、少なくとも二つの異なるスクリーン/ディスプレイ/モニタ内容の同時表示に関連しており、また、該スクリーン/ディスプレイ/モニタ内容のうちの異なる一つだけが、異なる所定の視野角または傾斜目視範囲からおよび/または異なる所定の距離または該目視方向の所定の傾斜距離範囲から見える。実施例として、該モニタまたはスクリーンからかなり離れた距離からしか見えないアラーム表示またはアラームメッセージを挙げることができ、それに対して、該モニタの前方近くでは、例えば、メニューナビゲーションおよび詳細情報を含んでいてもよい異なる表示内容が見え、または、該モニタに近づいたときに見えるようになる。上述したように、いずれの場合にも、その位置を変える単一のユーザに対して該表示内容が変わるように、または、異なる位置に位置する二人のユーザの各々に対して、異なる情報が同じスクリーンから読取り可能であるように、両表示内容が表示される。該装置から数メートルの距離にいる可能性がある第一のユーザの場合、上述したアラームメッセージまたはアラーム表示を見ることができ、また、例えば、該装置のすぐ前にいる可能性のある第二のユーザの場合、詳細情報やメニューナビゲーションを見ることができる。
【0014】
詳細には、本体と、固定されおよび該本体に対して向けることができないか、または、少なくとも傾斜させることができない、すなわち、特定の方向に向けることができないように、または、少なくとも該本体に対して角度調整できないように適合され、およびディスプレイユニットを含むモニタユニットとを備える体外血液処理用装置によって、上述した利点が実現され、および該目的が達成され、この場合、該モニタユニットは、該ディスプレイユニットに表示された情報の視認性に影響を及ぼすように配置される表示内容描写影響装置を含む。該表示内容描写影響装置は、上流層、該表示をコーティングまたは銀引きするディスクまたはフィルム、および/または角度および/または方向により、該表示内容の該視認性を変える該ディスプレイユニットの部分装置または構成要素とすることができる。
【0015】
特に、データプライバシーに関して高い観察努力および高い要求を要する可能性があり、および表示されるパラメータおよび/または値が、自由にアクセス可能であることが意図されていない透析装置の場合に利点が生じる。
【0016】
好適には、該表示内容描写影響装置は、表示面の少なくとも一部を被覆するように配置される該ディスプレイユニットの該表示面に配置された反射防止コーティング手段を含む。該コーティング手段は、反射を少なくするように配置される反射低減手段とすることができる。有利には、該表示面に対して逆の光入射の場合であっても、該装置を回転させる必要性は、それに伴って低減される可能性があり、また同時に、該情報を正しく読み取ることができ、言い換えると、悪条件であっても表示することができる。したがって、反射防止コーティングは、光透過性およびコントラストを向上させることができ、および複数の方向からの、理想的なケースではすべての方向からの該スクリーンまたは表示内容の良好な視認性を可能にする。
【0017】
好適には、該コーティング手段は、該表示面の少なくとも一つの部分または該表示面の前方に設けられたフィルムまたはコーティング、又はフィルム、ディスク、コントラスト変更手段および/または該ディスプレイユニットの該表示面の前方に設けられたLEDアレイである。
【0018】
好適には、該表示内容描写影響装置は、該表示面の少なくとも一部を特に反射するように構成されている該ディスプレイユニットの表示面に設けられた銀引き手段/反射手段を含んでいる。有利には、データプライバシーは、ターゲットとされ、および言い換えると、ユーザの視野角に対して向けられる情報の表示によって高めることができる。
【0019】
好適には、該表示内容描写影響装置は、表示される表示内容を、所定の位置から、または、ユーザの視野角からのみ読み取り可能にするように構成されている該ディスプレイユニットに一体化された偏光手段またはコントラスト変更手段である。
【0020】
好適には、該ディスプレイユニットは、少なくとも二つの異なる表示内容を同時に表示するように構成され、また、該表示内容描写影響装置は、第一のユーザの第一の目視方向および/または距離から該ディスプレイユニットへ/から、および第二のユーザの第二の目視方向および/または距離から該ディスプレイユニットへ/から、該少なくとも二つの表示内容の異なる一つが見られるように、該ディスプレイユニットに同時に表示された該少なくとも二つの表示内容の視認性に影響を及ぼすように構成されている。
【0021】
好適には、該ディスプレイユニットは、デュアルビューディスプレイユニットとして構成されている。デュアルビュー構成は、有利には、異なる視点、方向または視野角から該ディスプレイユニットを見ている数人に対して、異なる画像内容を提示できるようになっている。
【0022】
好適には、該ディスプレイユニットは、スプリットスクリーンディスプレイユニットとして構成されている。該スプリットスクリーン構成は、有利には、該ディスプレイユニットの領域の適切な分割によって、異なる画像内容、例えば、リモートソース、例えば、医師のワークステーションから、メンテナンスまたは支援目的のためのサービスプロバイダから、または、他の何らかの医療装置からネットワークを介して利用可能になる画像内容も別々に表示できるようになっている。さらに有利には、該デュアルビュー構成と組合せると、このような画像内容を、許可のない者に対して見えるようにすることが可能である。
【0023】
好適には、該表示内容描写変更装置は、パララックスバリアとして構成されている、その光透過特性を変更するために電子制御されるように適合されているフィルタである。有利には、このようにして、何らかの目視領域が、一人以上の目視者のために支援されおよび/または最適化され得る。例えば、切替え可能な、すなわちパララックスバリアの原理に従って作動する光方向付け液晶を有利に用いることができ、その液晶は、パネルの前方または後方の第二の液晶層としてディスプレイユニットの該構造に一体化され、およびイメージングディスプレイユニット(TFTまたはLEDパネル)とは無関係に直接制御することができる。画像軸間の角度の差は、例えば、40°になる可能性があり、この場合、目視者は、左側および右側から、例えば、50cmの距離から異なる画像を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、単純化した平面図における、モニタユニットの部分を形成し、および視野角制御部を含むディスプレイユニットを備える医療装置を示し、第一の実施形態に従って、異なる表示内容が異なる方向から見える平面図である。
【
図2】
図2は、単純化した平面図における、モニタユニットの部分を形成し、および視野角制御部を含むディスプレイユニットを備える医療装置を示し、第二の実施形態に従って、異なる表示内容が異なる距離から見える平面図である。
【
図3】
図3は、視野角制御部を含み、および任意には、第一および第二の実施形態に従って、コーティングおよび/または銀引き層が適用されている該ディスプレイユニットの切取概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、添付図面を参照して、好適な実施形態によって詳細に説明する。
【0026】
以下の図面の説明においては、個々の図において、同様にまたは等しく作用する要素および/または構成要素は、同じようにおよび/または類似の参照数字で示され、また、適切には、重複して記載されていない。後の実施形態が、少なくとも一つの先行の実施形態に機能的に同等である場合、すなわち、一致する機能、構成および/またはプロセスまたは動作順序を同様に備えている場合、違いのみを適切に議論するものとする。
【0027】
図1は、単純化した平面図における、モニタユニット2を備える医療装置1を示し、第一の実施形態に従って、異なる表示内容が異なる方向から見える。以後、該第一の実施形態は、二つの異なる方向A、Bに対応する、二つの異なる表示内容によって説明される。しかし、そのことに関して制限はない。
【0028】
該医療装置1において、特に、本実施形態においては、および特に透析装置において、該モニタユニット2のディスプレイユニットまたはディスプレイデバイスは、いわゆるスプリットスクリーンおよび/またはデュアルビュー原理に従って構成または設計され、およびそれに応じて作動する。
【0029】
該透析装置の場合、ハウジング、言い換えると、本体上では、血液処理を実行する多数の構成要素が、それ自体が公知の方法、例えば、制御電子装置、油圧装置、ポンプ、加熱手段、および必要に応じて、選択された作用物質用のタンクまたはバッグの少なくとも部分と機能的に相互に作用するように構成され、それらすべては、最新技術から十分に知られているため、詳細に説明または記載しないことに留意されたい。
【0030】
該モニタユニット2は、ディスプレイユニット4を含み、そのユニットにおいては、さらに詳細に記載される視野角制御部5が一体化されており、およびそれぞれ異なる目視方向および/または距離(目視視点)から分離されて見える少なくとも二つの異なる静止画および/または動画を同時に表示するための個々の(例えば、液晶、TFTまたはLED)ディスプレイスクリーン(パネル)を利用している。換言すると、異なる視点からは、目視者には、同じスクリーン上で完全に異なる画像が示される。この実施形態における該視野角制御部5は、光方向を変更する手段、例えば、電圧を印加することによって、それらの方向付けに関して制御可能な、電子制御可能な光方向変更フィルタまたは液晶であり、および表示内容描写影響装置を構成している。
【0031】
この実施形態においては、該ディスプレイユニット4の該表面に、該表面のための少なくとも部分的な反射低減または反射防止コーティングおよび/または銀引き被覆または層3を適用してもよい。別法としておよび/または同時に、独立した反射低減またはコーティングおよび/または銀引き構成要素を、プレート状またはディスク状の要素の形態で、例えば、該表面の前方に設けてもよい。
【0032】
反射低減層は、基板上に、例えば、所定の屈折率および厚さを有する物質または物質の複合の相殺的干渉原理に従って機能する非吸収層(反射防止層またはAR層)として蒸着させてもよい。所定の屈折率を有する前記蒸着した層が空気に隣接している場合、該層によって反射された該光の波列、およびその下に位置している面は、位相条件および振幅条件が干渉条件として満たされていれば、相殺的に干渉する。上述した干渉条件を、一つの波長に対してのみ均一な屈折率を有する単一の層によって正確に満たすことができる場合、異なる屈折率を有する複数の層を、全体で広帯域の反射防止層として適用してもよい。
【0033】
さらに、例えば、空隙を何ら要することなく、例えば、LCDまたはLEDパネルを表示面に直接積層することにより、フレネル反射を抑えることが可能であり、および/またはプラズマエッチングにより、反射防止コーティングを得ることが可能である。
【0034】
図2は、単純化した平面図における、モニタユニット2を備える医療装置を示し、その医療装置においては、第二の実施形態に従って、異なる表示内容が異なる距離から見える。
図2による該モニタユニット2の基本的構成および機能性は、
図1のものと同等である。
図1および
図2による該モニタユニット2の例示的な機能性は、以下において、
図3を参照して説明する。
【0035】
図3は、角度のある見方の制御部と、必要に応じて、反射防止コーティングおよび/または銀引き層の適用とを含む該モニタユニット2の一部を構成しているディスプレイユニット4の切取概略図を示し、およびスクリーンまたはモニタが、それに従って、黒と白で交互に一列に記入されている一連の矩形(第一の画像が、黒で記入された矩形で、第二の画像が、白で記入された矩形)によって図示されているように、二つの異なる画像を確かに示すパララックスバリアの原理を表しているが、人Aまたは人Bの位置により、後者は、前記画像の一方のみを見ることになる。
【0036】
本願明細書に記載されている視野角制御部を含む該ディスプレイユニット4は、この実施形態においては、異なる方向から見ている二人の目視者に対して、画像内容の二つの異なる表示を生成することを可能にする、デュアルビュー原理および/またはスプリットスクリーン原理に従って構成してもよい。
【0037】
例えば、この目的のために、いわゆるデュアルスタック液晶ディスプレイまたはLCDを用いることができ、この場合、任意の目視領域を支持することができおよび/または一人以上の目視者に対して最適化することができ、また、ディスプレイユニット(パネル)の該構造内に液晶層として一体化されている、パララックスバリアの原理に従って機能する切替え可能な液晶を用いて、イメージングディスプレイユニット(例えば、LCD、TFTまたはLEDパネル)とは無関係に直接制御することができ、該液晶の分子鎖は、電子信号により、該光を異なる方向に明確に向けることができるように、該光(背景光またはバックライト)を左および右に制御するアパーチャグリルを形成するように配向される。
【0038】
換言すると、ここに記載されている実施形態では、少なくとも二つの画像を同時に表示することができ、この場合、個々の画素の該光は、実際のLCD、TFTまたはLEDパネルの前方または後方に配置され、およびフィルタとして機能する特定のLCD層を用いて、異なる方向に、例えば、該スクリーンの前方の第一の方向Aおよび第二の方向Bへ向けられ、そして、異なる画像が、該第一の方向Aまたは該第二の方向B(
図3を参照)に位置している人々(目視者/ユーザ)の各々の眼に入る。
【0039】
そのため、該ディスプレイユニット4上には、左側の画像および右側の画像に対して、二つの画像が異なる細いストリップ内に交互に現れる。このアパーチャグリルのため、該左側の画像用の画素は、左側からしか見えず、それに対して、右側に関しては、グリルは、該右側の画像の画像部分に対する目視のみを可能にする。このようにして、二つの相補的に異なる内容を、該視野角または該方向に依存して同じスクリーン上に表示することが可能である。この場合、該モニタユニット2において、異なる視野角、すなわち、視点(
図1、
図3を参照)または距離(
図2を参照)から見ている目視者は、それぞれ異なる画像内容を見ている。
【0040】
該二つの画像軸間の角度の差は、例えば、40°に達する可能性があり、この場合、目視者は、例えば、50cmの距離で、該左側および該右側から異なる画像を見ることができる。しかし、前記例示的な値には制限はない。
【0041】
同じ目視内容が該両側に供給される場合、該ディスプレイユニットは、一般的なディスプレイユニットとして用いてもよい。
【0042】
上述したように、該TFTパネルの該構造内に一体化された切替え可能な液晶の該層の該視角または視野角の切替えは、(電圧により)該切替え可能な液晶分子の該鎖を電子的に制御し、それによって、該背景光の光路を制御するように所定の方法で該鎖を配向することによって実行することができる。該液晶材料の複屈折は、光が前方のみに出射することができ、また、該上部または該側部から見る場合、視界は暗いままであるように、変化することができる。該電圧を再び低下させると、該分子鎖が再び、光学的に等方性の状態をとって、該背景光の該光を任意の方向に通過させる。
【0043】
上述したように、適当な切替えサイクルおよび適当な切替えおよび/または同期は、より離れたユーザBが、小さな視野角のみで見える第一の表示内容を見ることができ、それに対して、所定の方法で該ディスプレイユニットの前方に立っているユーザAが、大きな視野角(広い角度)で見える第二の表示内容を見ることができることを達成する助けとなる。潜在的に起こる該第一の表示内容と該第二の表示内容の重なりは、該モニタユニット2の該ディスプレイユニットの制御の適当に等しいパルシングおよび同期によって最適化または抑えることができる。
【0044】
好ましくは、該医療装置1、言い換えると、該透析装置は、検出装置、例えば、ユーザAまたはユーザBの接近をそれによって検出することができる、カメラ、適当なセンサ、重量センサ、人または顔認識装置、識別シーケンスに入るためのカード読取装置またはキーボード等(図示せず)をさらに含んでいてもよい。その場合、該ディスプレイユニットの広角表示を、該装置の前方の該ユーザAの存在を検出したときにだけ好適に作動させることができ、この場合、該ディスプレイユニットに表示された情報は、間近での読取りが抑制されたままの状態で、ユーザが十分近くに位置することなく、その(すなわち、詳細には読取可能ではない)距離からのみ見ることができる。
【0045】
上述したように、医療装置は、ハウジング、言い換えると、透析装置の場合に、該体外血液処理用の動作構成要素を収容する本体と、ディスプレイユニットを含むモニタユニットとを備え、該モニタユニットは、ディスプレイユニットに表示された情報の視認性に影響を及ぼすように構成されている表示内容描写影響装置を含む。
【0046】
本発明による装置の利点として、特に、情報のより大きな利用性、モニタ上での異なる内容の表示、限定的な目視領域によるデータプライバシーの向上、複数の装置が集まっているおよび/または相互に接続されている場所での各装置からの目視のオプション、異なる装置からのパラメータ設定、および悪い目視条件および光条件でのモニタ情報の読取性の向上を挙げることができる。
【0047】
本発明は、記載されている実施形態に限定されないこと、しかしそれにもかかわらず、以下のクレームによって定義される保護の範囲内で、前記実施形態、変更例および等価物の少なくとも一部の自明の組合せが当業者に対して生じる可能性があることを理解されたい。