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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】止水部材、壁構造、および壁材施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
E04F13/08 Y
E04F13/08 101B
E04F13/08 101H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017188991
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019065479
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健二
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-131706(JP,U)
【文献】特開2010-007446(JP,A)
【文献】特開2016-169502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造躯体への取付用の平板部、および、当該平板部の一端縁に位置して当該平板部における厚さ方向の両側に延出し且つ当該平板部とは反対の側にシール部材取付面を有する幅広部、を有する本体部と、
前記幅広部の前記シール部材取付面において前記平板部の延長面が横切る位置に取り付けられるシール部材と、を備え
前記平板部の厚さ方向における前記幅広部の一端部は、前記シール部材の側への折り返し構造を有する止水部材。
【請求項2】
前記本体部は、金属板の折曲げ加工体、金属板を溶接した加工体、金属の押出成形体、または樹脂成形体である、請求項1に記載の止水部材。
【請求項3】
壁材固定箇所を提供する構造躯体第1部位と、
前記構造躯体第1部位に対して固定される壁材の一端縁に対向することとなる領域を含む構造躯体第2部位と、
壁材と、
請求項1又は2に記載の止水部材とを備え、
前記止水部材における前記平板部は前記構造躯体第1部位に固定され且つ、当該止水部材における前記シール部材は前記幅広部と前記構造躯体第2部位との間に挟まれて当該構造躯体第2部位に密接し、
前記壁材は、当該壁材の一端縁を前記構造躯体第2部位に対向させつつ、前記構造躯体第1部位との間に前記止水部材における前記平板部を挟んで前記構造躯体第1部位に対して固定されている、壁構造。
【請求項4】
前記壁材と前記止水部材との間をシールするシーリング材を更に備える、請求項に記載の壁構造。
【請求項5】
前記シーリング材は、前記構造躯体第2部位に対向する前記壁材の前記一端縁における前記平板部の側と当該平板部との間に介在している、請求項に記載の壁構造
【請求項6】
前記壁材と前記構造躯体第2部位との間をシールするシーリング材を更に備える、請求項3から5のいずれか一つに記載の壁構造。
【請求項7】
壁材固定箇所を提供する構造躯体第1部位と、当該構造躯体第1部位に対して固定される壁材の一端縁に対向することとなる領域を含む構造躯体第2部位とを有する構造躯体に対し、壁材と、請求項1又は2に記載の止水部材とを取り付ける壁材施工方法であって、
前記構造躯体第2部位と前記止水部材における前記幅広部との間に当該止水部材の前記シール部材が挟まれた状態で前記構造躯体第2部位に向けて前記平板部に力を作用させて前記シール部材を押圧することにより、当該シール部材を前記構造躯体第2部位に密接させる工程と、
前記止水部材における前記シール部材が前記構造躯体第2部位に密接している状態で、当該止水部材における前記平板部を前記構造躯体第1部位に固定する工程と、
前記壁材を、前記構造躯体第1部位との間に前記止水部材における前記平板部を挟んで当該構造躯体第1部位に対して固定する工程と、を含む壁材施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁材側から構造躯体側への水の浸入を防止するために使用可能な止水部材、並びに、そのような止水部材を用いた壁構造および壁材施工方法に、関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁や内壁を構成する壁材として、窯業系サイディングボードや金属系サイディングボードなどが用いられる場合がある。建物の構造躯体への壁材の取付け施工にあたっては、壁材は、必要な場合に、取付け箇所に応じた所望の寸法形状に切断される。また、構造躯体に取り付けられた一連の壁材の端部、例えば、構造躯体においてその開口部を形作る枠体に対向する壁材端部においては、壁材側から構造躯体側への水の浸入を防止する手当てが施される場合がある。壁材端部でのこのような防水処置に関する技術については、例えば下記の特許文献1~3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-207221号公報
【文献】特開2014-145221号公報
【文献】特開2016-37804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
壁材端部における防水処置として、構造躯体の所定箇所とそれに対向する壁材端部との間の隙間を閉じるようにシーリング材が塗工される場合がある。しかし、シーリング材の耐候性が充分でないことから、もっぱらシーリング材に頼る防水処置によると、建物の壁材側から構造躯体側への水の浸入が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、建物の壁材側から構造躯体側への水の浸入に関して高い止水性を実現するのに適した止水部材、並びに、そのような止水部材を用いた壁構造および壁材施工方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、止水部材が提供される。この止水部材は、本体部およびシール部材を備える。本体部は、建物の構造躯体への取付用の平板部と、その一端縁に位置する幅広部とを有する。幅広部は、平板部の一端縁にて当該平板部における厚さ方向の両側に延出し、且つ、平板部とは反対の側にシール部材取付面を有する。シール部材は、幅広部のシール部材取付面において、平板部の延長面が横切る位置に取り付けられるものである。
【0007】
本止水部材において、シール部材は、幅広部のシール部材取付面に固定されて本体部と一体化されているものでもよいし、本体部とは別体であって、施工現場等でシール部材取付面に密着固定されるものでもよい。
【0008】
構造躯体への本止水部材の取付け施工は、例えば次のようにして行うことができる。まず、止水部材における幅広部と構造躯体の所定箇所との間にシール部材が挟まれた状態で止水部材における平板部に力を作用させて、当該シール部材を、前記所定箇所に向けて押圧して例えば圧縮変形させ、当該所定箇所に密接させる。次に、止水部材における平板部を構造躯体の他の箇所に固定する。壁材は、構造躯体の前記他の箇所との間に止水部材の平板部を挟んで当該他の箇所に対して固定されることとなる。
【0009】
本止水部材のシール部材は、上述のように、幅広部のシール部材取付面において平板部の延長面が横切る位置に取り付けられるものである。すなわち、仮想的に延長される平板部(具体的には、仮想的に延長される平板部における両面とも)が、シール部材取付面上のシール部材を通過するように、本止水部材は配置されているか或いは配置されることとなる。
【0010】
そのため、本止水部材の上述のような取付け施工においては、止水部材の平板部が受ける力は、当該平板部の延長面が横切るシール部材に対して直線的に効率よく作用する。具体的には、構造躯体の所定箇所と止水部材幅広部との間に挟まれているシール部材を、平板部に力を作用させて前記所定箇所に向けて押圧する時、平板部の受ける力は、当該平板部を伝わり、平板部延長面が横切るシール部材に対して幅広部を介して押圧力として直線的に効率よく作用するのである。
【0011】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材の圧縮状態の均一性が高いほど、本止水部材ないしそのシール部材において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0012】
本止水部材において平板部の延長面と幅広部のシール部材取付面とが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、シール部材取付面上に位置して構造躯体所定箇所に向けて押圧力を受けるシール部材の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。また、本止水部材において平板部の延長面と幅広部のシール部材取付面とが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、構造躯体への止水部材の取付け施工は、適切に行いやすい。
【0013】
本止水部材において、平板部の厚さ方向における幅広部の一端部は、シール部材取付面側においてシール部材の側への折り返し構造を有する。このような構成は、当該折り返し構造を壁材側に向けて本止水部材を構造躯体に取り付けた場合において、当該折り返し構造によってシール部材を隠すのに好適である。また、シール部材に加えて当該折り返し構造部分が構造躯体と当接する場合には、本止水部材において高い止水性を得やすい。
【0014】
以上のように、本発明の第1の側面に係る止水部材は、その使用状態において高い止水性を実現するのに適する。
【0015】
本止水部材の本体部は、好ましくは、金属板の折曲げ加工体、金属板を溶接した加工体、金属の押出成形体、または樹脂成形体である。
【0016】
金属板の折曲げ加工体である本体部は、例えば、上記の平板部と、この平板部の上記一端縁から当該平板部に対して直角または略直角な方向に延びる第1延出片部と、この第1延出片部において平板部とは反対の側の端部から平板部延長面に対して直角または略直角な方向に当該平板部延長面を超えて延びる第2延出片部とを有する。このような本体部では、第1および第2延出片部が上記の幅広部をなし、第2延出片部において平板部とは反対の側の面が上記のシール部材取付面をなす。
【0017】
例えばこのような、金属板の折曲げ加工体である本体部は、金属板の折曲げ加工によって効率よく製造することがきる。
【0018】
一方、金属板を溶接した加工体である本体部、金属の押出成形体である本体部、および、樹脂成形体である本体部は、それぞれ、上記の平板部と、この平板部の上記一端縁から当該平板部に対して例えば直角または略直角に互いに逆方向に延びる一対の延出片部とを有する。このような本体部では、一対の延出片部が上記の幅広部をなし、これら一対の延出片部において平板部とは反対の側の面が上記のシール部材取付面をなす。
【0019】
金属板を溶接した加工体である本体部は、金属板の溶接加工によって効率よく製造することがきる。金属の押出成形体である本体部は、金属の押出成形によって効率よく製造することができる。樹脂成形体である本体部は、樹脂材料の例えば射出成形によって効率よく製造することがきる。
【0020】
本発明の第2の側面によると、壁構造が提供される。この壁構造は、壁材固定箇所を提供する構造躯体第1部位と、当該第1部位に対して固定される壁材の一端縁に対向することとなる領域を含む構造躯体第2部位と、壁材と、本発明の第1の側面に係る上述の止水部材とを備える。止水部材の平板部は構造躯体第1部位に固定され、且つ、この止水部材のシール部材は幅広部と構造躯体第2部位との間に挟まれて当該第2部位に密接している。壁材は、その一端縁を構造躯体第2部位に対向させつつ、構造躯体第1部位との間に止水部材の平板部を挟んで当該第1部位に対して固定されている。
【0021】
本壁構造では、上述のように、止水部材における平板部は構造躯体第1部位に固定され、且つ、この止水部材におけるシール部材は幅広部と構造躯体第2部位との間に挟まれて例えば圧縮変形して当該第2部位に密接している。このような状態においては、構造躯体第1部位に固定される平板部に対して構造躯体第2箇所に向けて力が作用し、平板部の受ける力は、当該平板部を伝わり、平板部延長面が横切るシール部材に対して幅広部を介して押圧力として直線的に効率よく作用する。
【0022】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材の圧縮状態の均一性が高いほど、止水部材ないしそのシール部材において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0023】
止水部材において平板部の延長面と幅広部のシール部材取付面とが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、当該シール部材取付面上に位置して構造躯体所定箇所に向けて押圧力を受けるシール部材の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0024】
以上のように、本発明の第2の側面に係る壁構造は、高い止水性を実現するのに適する。
【0025】
本壁構造は、好ましくは、壁材と止水部材との間をシールするシーリング材を更に備える。このシーリング材は、好ましくは、構造躯体第2部位に対向する壁材の一端縁における平板部側と当該平板部との間に介在している。これら構成は、壁材と止水部材との間の水浸入経路について止水を図るのに適し、従って、本壁構造において高い止水性を実現するうえで好ましい。
【0026】
本壁構造は、好ましくは、壁材と構造躯体第2部位との間をシールするシーリング材を更に備える。本壁構造が止水部材のシール部材に加えてこのようなシーリング材を備えるという構成は、本壁構造において高い止水性を実現するうえで好ましい。
【0027】
本発明の第3の側面によると、壁材施工方法が提供される。この壁材施工方法は、壁材固定箇所を提供する構造躯体第1部位と、当該構造躯体第1部位に対して固定される壁材の一端縁に対向することとなる領域を含む構造躯体第2部位とを有する構造躯体に対し、壁材と、本発明の第1の側面に係る上述の止水部材とを取り付けるものであり、次の第1工程、第2工程、および第3工程を含む。
【0028】
第1工程では、構造躯体第2部位と止水部材における幅広部との間に当該止水部材のシール部材が挟まれた状態で構造躯体第2部位に向けて当該止水部材の平板部に力を作用させてシール部材を押圧することにより、当該シール部材を例えば圧縮変形させて構造躯体第2部位に密接させる。
【0029】
第2工程では、止水部材におけるシール部材が例えば圧縮変形して構造躯体第2部位に密接している状態で、当該止水部材における平板部を構造躯体第1部位に固定する。
【0030】
第3工程では、壁材を、構造躯体第1部位との間に止水部材における平板部を挟んで当該構造躯体第1部位に対して固定する。
【0031】
以上のような構成の壁材施工方法によると、本発明の第2の側面に係る上述の壁構造を適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態である止水部材の一部切り欠き斜視図である。
図2図1の線II-IIに沿った断面図である。
図3図1および図2に示す止水部材の変形例の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態である止水部材の一部切り欠き斜視図である。
図5図4の線V-Vに沿った断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態である外壁構造(建物構造躯体に設けられる開口部の周りへの壁材の取付け施工構造)における開口部上側部位の一の部分断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態である外壁構造における開口部両横部位それぞれの部分断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態である外壁構造における開口部下側部位の部分断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態である外壁構造における開口部上側部位の他の部分断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態である外壁構造(軒天取り合い部における壁材の取付け施工構造)の部分断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態である外壁構造(出隅部における外装材の取付け施工構造)の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態である止水部材X1を表す。図1は、止水部材X1の一部切り欠き斜視図であり、図2は、図1の線II-IIに沿った断面図である。止水部材X1は、建物の構造躯体に対して壁材とともに取り付けられて止水機能を発揮しうるものであり、本体部10およびシール部材20を備える。
【0034】
止水部材X1の本体部10は、建物の構造躯体への取付用の平板部11と、その一端縁に沿って位置する幅広部12とを有する。本体部10は、幅広部12とは反対側の端縁において折り返し構造部10aを有する。この折り返し構造部10aは、建物の壁材と平板部11との間に仮に水が浸入した場合に水返しとして機能しうるとともに、平板部11の強度の確保に資する。
【0035】
本体部10の幅広部12は、平板部11の一端縁にて平板部11における厚さ方向Dの両側に延出する構造を有し、且つ、平板部11とは反対の側にシール部材取付面である取付面12Aを有する。
【0036】
第1の実施形態では、本体部10は金属板の折曲げ加工体である。そのような本体部10の幅広部12は、具体的には、上述の平板部11の上記一端縁から平板部11に対して直角または略直角な方向に延びる延出片部12aと、この延出片部12aにおいて平板部11とは反対の側の端部から平板部11の延長面Exに対して直角または略直角な方向に延長面Exを超えて延びる延出片部12bと、この延出片部12bから連続して平板部11とは反対の側に折り返されて形成された折り返し構造部12cとを有する。折り返し構造部12cは、平板部11の厚さ方向Dにおける幅広部12の一端部のなす構造である。
【0037】
金属板の折曲げ加工体である本体部10は、金属板の折曲げ加工によって効率よく製造することがきる。本体部10の構成材料としては、例えば、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、亜鉛合金、銅、およびチタニウムが挙げられる。
【0038】
止水部材X1のシール部材20は、止水部材X1の取付け施工時に圧縮変形可能な弾性部材であり、本体部10の有する幅広部12の取付面12Aにおいて、平板部11の延長面Exが横切る位置に取り付けられるものである。仮想的に延長される平板部11(具体的には、仮想的に延長される平板部11における両面とも)が取付面12A上のシール部材20を通過するように、止水部材X1は配置されている。シール部材20は、幅広部12の取付面12Aに固定されて本体部10と一体化されているものでもよいし、本体部10とは別体であって、施工現場等で取付面12Aに密着固定されるものでもよい。
【0039】
シール部材20の構成材料としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、アクリルゴム、およびシリコーンゴムが挙げられる。
【0040】
建物の構造躯体への止水部材X1の取付け施工は、例えば次のようにして行うことができる。
【0041】
まず、止水部材X1の本体部10の幅広部12と構造躯体の所定の部位B1図2では仮想線で表す)との間にシール部材20が挟まれた状態で、平板部11に力を作用させて、シール部材20を部位B1に向けて押圧して圧縮変形させて部位B1に密接させる。次に、シール部材20を圧縮変形させた状態で、止水部材X1の平板部11を構造躯体の他の部位B2図2では仮想線で表す)に固定する。壁材S(図2では仮想線で表す)は、構造躯体の部位B2との間に止水部材X1の平板部11を挟んで部位B2に対して固定されることとなる。
【0042】
止水部材X1は、上述のように、仮想的に延長される平板部11(具体的には、仮想的に延長される平板部11における両面とも)が幅広部12の取付面12A上のシール部材20を通過するように配置されている。
【0043】
そのため、止水部材X1の上述のような取付け施工においては、止水部材X1の平板部11が受ける力は、平板部11の延長面Exが横切るシール部材20に対して直線的に効率よく作用する。具体的には、構造躯体の所定の部位B1と止水部材X1の幅広部12との間に挟まれているシール部材20を、平板部11に力を作用させて部位B1に向けて押圧する時、平板部11の受ける力は、平板部11の延長面Exが横切るシール部材20に対して幅広部12を介して押圧力として直線的に効率よく作用するのである。
【0044】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材20においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材20の圧縮状態の均一性が高いほど、止水部材X1ないしそのシール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0045】
止水部材X1の平板部11の延長面Exと幅広部12の取付面12Aとが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、取付面12A上に位置して構造躯体の部位B1に向けて押圧力を受けるシール部材20の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。また、止水部材X1の平板部11の延長面Exと幅広部12の取付面12Aとが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、構造躯体への止水部材X1の取付け施工は適切に行いやすい。
【0046】
以上のように、止水部材X1は、その使用状態において高い止水性を実現するのに適する。
【0047】
止水部材X1では、上述のように、平板部11の厚さ方向Dにおける幅広部12の一端部は、折り返し構造部12cをなす。このような構成は、折り返し構造部12cを壁材側に向けて止水部材X1を構造躯体に取り付けた場合において、当該折り返し構造部12cによってシール部材20を隠すのに好適である。また、シール部材20に加えて折り返し構造部12cが構造躯体と当接する場合には、止水部材X1において高い止水性を得やすい。
【0048】
図3は、止水部材X1の変形例を表す。止水部材X1は、その本体部10の幅広部12において折り返し構造部12cを有しなくてもよい。このような止水部材X1も、図1および図2を参照して上述した止水部材X1と同様に、幅広部12の取付面12Aにおいて平板部11の延長面Exが横切る位置にシール部材20が取り付けられるという構成に基づき、使用状態において高い止水性を発揮することが可能である。
【0049】
図4および図5は、本発明の第2の実施形態である止水部材X2を表す。図4は、止水部材X2の一部切り欠き斜視図であり、図5は、図4の線V-Vに沿った断面図である。止水部材X2は、建物の構造躯体に対して壁材とともに取り付けられて止水機能を発揮しうるものであり、本体部10'およびシール部材20を備える。止水部材X2は、本体部10の代わりに本体部10'を備える点で止水部材X1と異なり、本体部10'以外は止水部材X1と同様の構成を有する。
【0050】
止水部材X2の本体部10'は、建物の構造躯体への取付用の平板部11と、その一端縁に沿って位置する幅広部12とを有する。本体部10'は、幅広部12とは反対側の端縁において折り返し構造部10aを有する。この折り返し構造部10aは、建物の壁材と平板部11との間に仮に水が浸入した場合に水返しとして機能しうるとともに、平板部11の強度の確保に資する。
【0051】
本体部10'の幅広部12は、平板部11の一端縁にて平板部11における厚さ方向Dの両側に延出する構造を有し、且つ、平板部11とは反対の側にシール部材取付面である取付面12Aを有する。
【0052】
第2の実施形態では、本体部10'は、金属板を溶接した加工体(即ち、金属板の溶接加工体)、金属の押出成形体、または樹脂成形体である。そのような本体部10'の幅広部12は、具体的には、上述の平板部11の上記一端縁から平板部11に対して直角または略直角に互いに逆方向に延びる一対の延出片部12dを有する。一方の延出片部12dは、止水部材X1に関して上述した折り返し構造部12cと同様の折り返し構造部、すなわち、平板部11とは反対の側に一端が折り返されて形成された折り返し構造部を有してもよい。
【0053】
金属板を溶接した加工体である本体部10'は、金属板の溶接加工によって効率よく製造することがきる。金属の押出成形体である本体部10'は、金属の押出成形によって効率よく製造することができる。本体部10'をなす金属材料としては、例えば、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、亜鉛合金、銅、およびチタニウムが挙げられる。
【0054】
樹脂成形体である本体部10'は、樹脂材料の例えば射出成形によって効率よく製造することがきる。本体部10'をなす樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、およびフェノール樹脂が挙げられる。
【0055】
建物の構造躯体への止水部材X2の取付け施工は、例えば次のようにして行うことができる。
【0056】
まず、止水部材X2の本体部10'の幅広部12と構造躯体の所定の部位B1図5では仮想線で表す)との間にシール部材20が挟まれた状態で、本体部10'の平板部11に力を作用させて、シール部材20を部位B1に向けて押圧して圧縮変形させて部位B1に密接させる。次に、シール部材20を圧縮変形させた状態で、止水部材X1の平板部11を構造躯体の所定の他の部位B2図5では仮想線で表す)に固定する。壁材S(図5では仮想線で表す)は、構造躯体の部位B2との間に止水部材X1の平板部11を挟んで部位B2に対して固定されることとなる。
【0057】
このような止水部材X2も、図1および図2を参照して上述した止水部材X1と同様に、幅広部12の取付面12Aにて平板部11の延長面Exが横切る位置にシール部材20が取り付けられるという構成に基づき、使用状態において高い止水性を発揮することができる。
【0058】
上述のように止水部材X2がその幅広部12の一端に折り返し構造部を有する場合には、当該折り返し構造部を壁材側に向けて止水部材X2を構造躯体に取り付けることによって、シール部材20を隠すのに当該折り返し構造部を利用することができる。また、シール部材20に加えて折り返し構造部が構造躯体と当接する場合には、止水部材X2において高い止水性を得やすい。
【0059】
図6から図8は、本発明の第3の実施形態である外壁構造Y1を表す。外壁構造Y1は、建物構造躯体に設けられる開口部の周りへの壁材たる外装材の取付け施工の構造である。図6は、外壁構造Y1における開口部上側部位の部分断面図である。図7は、外壁構造Y1における開口部両横部位それぞれの部分断面図である。図8は、外壁構造Y1における開口部下側部位の部分断面図である。
【0060】
外壁構造Y1は、第3の実施形態では、構造躯体においてその開口部の周りに配される複数の胴縁31(構造躯体第1部位)と、開口部の枠体であるサッシ32(構造躯体第2部位)と、止水部材Xと、外装材33(壁材)と、シーリング材34,35とを備える。
【0061】
胴縁31は、例えば木材であり、本施工構造において外装材33の固定箇所等を提供している。サッシ32は、例えばアルミニウム合金製であり、胴縁31に対して固定される外装材33の一の端縁33aに対向することとなる領域を含む。構造躯体におけるサッシ32の一部とそれが取り付けられている柱材P1にわたって両面防水テープ36が貼り合わされている。この両面防水テープ36を介してサッシ32の一部と柱材P1に対して防水紙37の端部が貼着されている。胴縁31と柱材P1との間には防水紙37が介在している。
【0062】
止水部材Xは、第3の実施形態では、図1および図2を参照して上述した止水部材X1であり、平板部11と幅広部12とを有する本体部10、およびシール部材20(圧縮変形可能な弾性部材)を備える。止水部材Xにおける平板部11は、胴縁31に対して固定され、且つ、この止水部材Xのシール部材20は幅広部12とサッシ32との間に挟まれて圧縮変形した状態でサッシ32に密接している。胴縁31に対する止水部材Xの固定は、例えば釘やネジなどの留め具による留付けによって実現される。
【0063】
このような止水部材Xとしては、図1および図2を参照して上述した止水部材X1の代わりに、図3を参照して上述した止水部材X1の変形例を用いてもよいし、図4および図5を参照して上述した止水部材X2を用いてもよい。
【0064】
第3の実施形態における開口部上側部位では、止水部材X、胴縁31、および防水紙37にわたり、片面防水テープ38が貼り合わされている。
【0065】
外装材33は、建築物の外壁を構成する建材であり、胴縁31との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁31に対して固定されている。外装材33の端縁33aは、サッシ32に対向している。胴縁31に対する外装材33の固定は、例えば、留付け金具や、釘、ネジなどの留め具(図示略)による留付けによって実現される。外装材33としては、例えば、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、およびセラミックボードが挙げられる。
【0066】
外装材33は、長尺形状を有する場合に、本外壁構造において、いわゆる横張りで取り付けられてもよいし、いわゆる縦張りで取り付けられてもよい。また、外装材33は、サッシ32に対向する端縁33a側に、実部を有しなくてもよいし、実部を有してもよい。後記の外壁構造に用いられる外装材の構成材料、取り付け態様、および実部の有無についても、外装材33と同様である。
【0067】
シーリング材34は、外装材33と止水部材Xとの間をシールする要素である。具体的には、シーリング材34の少なくとも一部は、サッシ32に対向する外装材33の端縁33aにおける平板部11の側と当該平板部11との間に介在している。シーリング材34の構成材料としては、例えば、変性シリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、およびアクリル系樹脂が挙げられる。
【0068】
シーリング材35は、サッシ32と外装材33との間をシールする要素である。シーリング材35の構成材料としては、例えば、シーリング材34と同様の材料が挙げられる。
【0069】
シーリング材34,35は、本施工構造の全体または一部において設けられなくてもよい。例えば、本施工構造における開口部上側部位の両端においては、図9に示すようにシーリング材34,35は設けられなくてもよい。例えば、本施工構造における開口部両横部位の上部においては、シーリング材35は設けられなくてもよい。
【0070】
建物構造躯体に設けられる開口部の上側部位、下側部位、および両横部位のそれぞれにおける止水部材Xおよび外装材33の取付け施工を含む例えば次のような施工方法によって、上述の外壁構造Y1を形成することができる。
【0071】
本施工方法では、まず、サッシ32と止水部材Xにおける幅広部12との間に止水部材Xのシール部材20が挟まれた状態でサッシ32に向けて止水部材Xの平板部11に力を作用させてシール部材20を押圧することにより、シール部材20を圧縮変形させてサッシ32に密接させる(第1工程)。
【0072】
次に、止水部材Xにおけるシール部材20が圧縮変形してサッシ32に密接している状態で、止水部材Xにおける平板部11を胴縁31に対して留め具によって固定する(第2工程)。
【0073】
次に、外装材33を、胴縁31との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁31に対して留め具によって固定する。以上のような施工方法によって、上述の外壁構造Y1を適切に形成することができる。
【0074】
外壁構造Y1では、上述のように、止水部材Xにおける平板部11は胴縁31に固定され、且つ、この止水部材Xにおけるシール部材20は幅広部12とサッシ32との間に挟まれて圧縮変形して当該サッシ32に密接している。このような状態においては、胴縁31に対して固定されている平板部11に対してサッシ32に向けて力が作用し、平板部11の受ける力は、平板部11の延長面Exが横切るシール部材20に対して幅広部12を介して押圧力として直線的に効率よく作用する。
【0075】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材20においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材20の圧縮状態の均一性が高いほど、止水部材Xないしそのシール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0076】
止水部材Xにおいて平板部11の延長面Exと幅広部12の取付面12Aとが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、取付面12A上に位置してサッシ32に向けて押圧力を受けるシール部材20の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0077】
以上のように、外壁構造Y1は、高い止水性を実現するのに適する。
【0078】
また、外壁構造Y1は、上述のように、外装材33と止水部材Xとの間をシールするシーリング材34を備え、このシーリング材34の少なくとも一部は、サッシ32に対向する外装材33の端縁33aにおける平板部11側と当該平板部11との間に介在している。このような構成は、外装材33と止水部材Xとの間の水浸入経路について止水を図るのに適する。
【0079】
加えて、外壁構造Y1は、上述のように、サッシ32と外装材33との間をシールするシーリング材35を備える。このような構成は、外壁構造Y1において高い止水性を実現するのに資する。
【0080】
図10は、本発明の第4の実施形態である外壁構造Y2の部分断面図である。外壁構造Y2は、いわゆる軒天取り合い部における壁材たる外装材の取付け施工の構造である。
【0081】
外壁構造Y2は、第4の実施形態では、胴縁41(構造躯体第1部位)と、軒天材42(構造躯体第2部位)と、止水部材Xと、外装材43(壁材)と、シーリング材44,45とを備える。
【0082】
胴縁41は、例えば木材であり、本外壁構造において外装材43の固定箇所等を提供している。胴縁41は、柱材P2に対して固定されている。胴縁41と柱材P2との間には防水紙46が介在している。
【0083】
軒天材42は、軒下地材P3に対して固定されて、且つ、胴縁41に対して固定される外装材43の一の端縁43aに対向することとなる領域を含む。軒天材42は、例えば、木材、金属、または樹脂よりなる。
【0084】
止水部材Xは、第4の実施形態では、図1および図2を参照して上述した止水部材X1であり、平板部11と幅広部12とを有する本体部10、およびシール部材20(圧縮変形可能な弾性部材)を備える。止水部材Xにおける平板部11は、胴縁41に対して固定され、且つ、この止水部材Xにおけるシール部材20は幅広部12と軒天材42との間に挟まれて圧縮変形して軒天材42に密接している。胴縁41に対する止水部材Xの固定は、例えば釘やネジなどの留め具(図示略)による留付けによって実現される。
【0085】
このような止水部材Xとしては、図1および図2を参照して上述した止水部材X1の代わりに、図3を参照して上述した止水部材X1の変形例を用いてもよいし、図4および図5を参照して上述した止水部材X2を用いてもよい。
【0086】
外装材43は、建築物の外壁を構成する建材であり、胴縁41との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁41に対して固定されている。外装材43の端縁43aは、軒天材42に対向している。胴縁41に対する外装材43の固定は、例えば、留付け金具や、釘、ネジなどの留め具(図示略)による留付けによって実現される。
【0087】
シーリング材44は、外装材43と止水部材Xとの間をシールする要素である。シーリング材44は、具体的には、軒天材42に対向する外装材43の端縁43aにおける平板部11の側と当該平板部11との間に介在している。シーリング材44の構成材料としては、例えば、上述のシーリング材34と同様の材料が挙げられる。
【0088】
シーリング材45は、軒天材42と外装材43との間をシールする要素である。シーリング材45の構成材料としては、例えば、上述のシーリング材34と同様の材料が挙げられる。
【0089】
止水部材Xおよび外装材43の取付け施工を含む例えば次のような施工方法によって、上述の外壁構造Y2を形成することができる。
【0090】
本施工方法では、まず、軒天材42と止水部材Xにおける幅広部12との間に止水部材Xのシール部材20が挟まれた状態で軒天材42に向けて止水部材Xの平板部11に力を作用させてシール部材20を押圧することにより、シール部材20を圧縮変形させて軒天材42に密接させる(第1工程)。
【0091】
次に、止水部材Xにおけるシール部材20が圧縮変形して軒天材42に密接している状態で、止水部材Xにおける平板部11を胴縁41に対して留め具によって固定する(第2工程)。
【0092】
次に、外装材43を、胴縁41との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁41に対して留め具によって固定する。以上のような施工方法によって、上述の外壁構造Y2を適切に形成することができる。
【0093】
外壁構造Y2では、上述のように、止水部材Xにおける平板部11は胴縁41に固定され、且つ、この止水部材Xにおけるシール部材20は幅広部12と軒天材42との間に挟まれて圧縮変形して当該軒天材42に密接している。このような状態においては、胴縁41に対して固定されている平板部11に対して軒天材42に向けて力が作用し、平板部11の受ける力は、平板部11の延長面Exが横切るシール部材20に対して幅広部12を介して押圧力として直線的に効率よく作用する。
【0094】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材20においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材20の圧縮状態の均一性が高いほど、止水部材Xないしそのシール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0095】
止水部材Xにおいて平板部11の延長面Exと幅広部12の取付面12Aとが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、取付面12A上に位置して軒天材42に向けて押圧力を受けるシール部材20の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0096】
以上のように、外壁構造Y2は、高い止水性を実現するのに適する。
【0097】
また、外壁構造Y2は、上述のように、外装材43と止水部材Xとの間をシールするシーリング材44を備え、このシーリング材44は、軒天材42に対向する外装材43の端縁43aにおける平板部11側と当該平板部11との間に介在している。このような構成は、外装材43と止水部材Xとの間の水浸入経路について止水を図るのに適する。
【0098】
加えて、外壁構造Y2は、上述のように、軒天材42と外装材43との間をシールするシーリング材45を備える。このような構成は、外壁構造Y2において高い止水性を実現するのに資する。
【0099】
図11は、本発明の第5の実施形態である外壁構造Y3の部分断面図である。外壁構造Y3は、いわゆる出隅部における壁材たる外装材の取付け施工の構造である。
【0100】
外壁構造Y3は、第5の実施形態では、胴縁51(構造躯体第1部位)と、出隅材52(構造躯体第2部位)と、止水部材Xと、外装材53(壁材)と、シーリング材54,55とを備える。
【0101】
胴縁51は、例えば木材であり、本施工構造において外装材53の固定箇所等を提供している。胴縁51は、柱材P4に対して固定されている。胴縁51と柱材P4との間には防水紙56が介在している。
【0102】
出隅材52は、柱材P4に対して固定され、且つ、胴縁51に対して固定される外装材53の一の端縁53aに対向することとなる領域を含む。出隅材52は、例えば、木材、金属、または樹脂よりなる。
【0103】
止水部材Xは、第5の実施形態では、図1および図2を参照して上述した止水部材X1であり、平板部11と幅広部12とを有する本体部10、およびシール部材20(圧縮変形可能な弾性部材)を備える。止水部材Xにおける平板部11は、胴縁51に対して固定され、且つ、この止水部材Xにおけるシール部材20は幅広部12と出隅材52との間に挟まれて圧縮変形して出隅材52に密接している。胴縁51に対する止水部材Xの固定は、例えば釘やネジなどの留め具(図示略)による留付けによって実現される。
【0104】
このような止水部材Xとしては、図1および図2を参照して上述した止水部材X1の代わりに、図3を参照して上述した止水部材X1の変形例を用いてもよいし、図4および図5を参照して上述した止水部材X2を用いてもよい。
【0105】
外装材53は、建築物の外壁を構成する建材であり、胴縁51との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁51に対して固定されている。外装材53の端縁53aは、出隅材52に対向している。胴縁51に対する外装材53の固定は、例えば、留付け金具や、釘、ネジなどの留め具(図示略)による留付けによって実現される。
【0106】
シーリング材54は、外装材53と止水部材Xとの間をシールする要素である。シーリング材54は、具体的には、出隅材52に対向する外装材53の端縁53aにおける平板部11の側と当該平板部11との間に介在している。シーリング材54の構成材料としては、例えば、上述のシーリング材34と同様の材料が挙げられる。
【0107】
シーリング材55は、出隅材52と外装材53との間をシールする要素である。シーリング材55の構成材料としては、例えば、上述のシーリング材34と同様の材料が挙げられる。
【0108】
止水部材Xおよび外装材53の取付け施工を含む例えば次のような施工方法によって、上述の外壁構造Y3を形成することができる。
【0109】
本施工方法では、まず、出隅材52と止水部材Xにおける幅広部12との間に止水部材Xのシール部材20が挟まれた状態で出隅材52に向けて止水部材Xの平板部11に力を作用させてシール部材20を押圧することにより、シール部材20を圧縮変形させて出隅材52に密接させる(第1工程)。
【0110】
次に、止水部材Xにおけるシール部材20が圧縮変形して出隅材52に密接している状態で、止水部材Xにおける平板部11を胴縁51に対して留め具によって固定する(第2工程)。
【0111】
次に、外装材53を、胴縁51との間に止水部材Xにおける平板部11を挟んで胴縁51に対して留め具によって固定する。以上のような施工方法によって、上述の外壁構造Y3を適切に形成することができる。
【0112】
外壁構造Y3では、上述のように、止水部材Xにおける平板部11は胴縁51に固定され、且つ、この止水部材Xにおけるシール部材20は幅広部12と出隅材52との間に挟まれて圧縮変形して当該出隅材52に密接している。このような状態においては、胴縁51に対して固定されている平板部11に対して出隅材52に向けて力が作用し、平板部11の受ける力は、平板部11の延長面Exが横切るシール部材20に対して幅広部12を介して押圧力として直線的に効率よく作用する。
【0113】
このような直線的押圧力伝達作用は、押圧力を受けるシール部材20においてその圧縮状態の均一化を図るのに適する。シール部材20の圧縮状態の均一性が高いほど、止水部材Xないしそのシール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0114】
止水部材Xにおいて平板部11の延長面Exと幅広部12の取付面12Aとが直交するか或いは両者の交差する角度が直交に近いほど、取付面12A上に位置して出隅材52に向けて押圧力を受けるシール部材20の圧縮状態は均一化されやすく、従って、当該シール部材20において高い止水性ないし高い防水性を実現しやすい。
【0115】
以上のように、外壁構造Y3は、高い止水性を実現するのに適する。
【0116】
また、外壁構造Y3は、上述のように、外装材53と止水部材Xとの間をシールするシーリング材54を備え、このシーリング材54は、出隅材52に対向する外装材53の端縁53aにおける平板部11側と当該平板部11との間に介在している。このような構成は、外装材53と止水部材Xとの間の水浸入経路について止水を図るのに適する。
【0117】
加えて、外壁構造Y3は、上述のように、外装材53と出隅材52との間をシールするシーリング材55を備える。このような構成は、外壁構造Y3において高い止水性を実現するのに資する。
【符号の説明】
【0118】
X1,X2 止水部材
Ex 延長面
D 厚さ方向
10,10’ 本体部
11 平板部
12 幅広部
12A 取付面(シール部材取付面)
12c 折り返し構造部
20 シール部材
Y1,Y2,Y3 壁構造
31,41,51 胴縁(構造躯体第1部位)
32 サッシ(構造躯体第2部位)
42 軒天材(構造躯体第2部位)
52 出隅材(構造躯体第2部位)
33,43,53 外装材
34,35,44,45,54,55 シーリング材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11