(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】車両操作装置および車両システム
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20220405BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20220405BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220405BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220405BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E05B19/00 J
B60R25/24
E05B49/00 K
G06F3/0488
H04Q9/00 301B
(21)【出願番号】P 2017204766
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【氏名又は名称】宮下 文徳
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【氏名又は名称】小久保 篤史
(74)【代理人】
【識別番号】100138357
【氏名又は名称】矢澤 広伸
(72)【発明者】
【氏名】玉根 靖之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 主
(72)【発明者】
【氏名】大嶌 優季
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153248(JP,A)
【文献】特開2012-046985(JP,A)
【文献】国際公開第2015/174526(WO,A1)
【文献】特開2016-160589(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106558128(CN,A)
【文献】特開2017-014736(JP,A)
【文献】特開2016-016813(JP,A)
【文献】特開2014-088730(JP,A)
【文献】特開2016-145512(JP,A)
【文献】特開2013-049952(JP,A)
【文献】特開2016-204839(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1757214(KR,B1)
【文献】特開2017-025481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0309451(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0075656(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0256304(US,A1)
【文献】特開2017-166240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
E05B 49/00
E05F 15/77
B60R 25/24
G06F 3/01
G06F 3/048-3/0489
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の通信装置と無線通信することにより前記車両を制御するための車両操作装置であって、
タッチパネルと、
前記タッチパネルに対するユーザの入力操作を検知する検知手段と、
第1の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠または解錠のいずれかである第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信する要求手段と、
を備え、
前記車両のドアの施錠状態を取得し、前記ドアの施錠状態に基づいて前記第1の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定
し、
前記要求手段は、
前記第1の態様とは異なる第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作を含む第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、
前記車両操作装置は、
前記車両のドアの開閉状態を取得し、前記ドアの開閉状態に基づいて前記第2の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定する、
車両操作装置。
【請求項2】
前記要求手段は、
前記第1の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第1の態様の入力操作に応答して、前記第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、
前記第2の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第2の態様の入力操作に応
答して、前記第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信する、
請求項
1に記載の車両操作装置。
【請求項3】
前記第1の動作に対応した前記タッチパネルの領域は、前記タッチパネル上での第1のUI要素の表示領域であり、
前記第2の動作に対応した前記タッチパネルの領域は、前記タッチパネル上での前記第1のUI要素とは異なる第2のUI要素の表示領域である、
請求項
2に記載の車両操作装置。
【請求項4】
前記第1の態様の入力操作および前記第2の態様の入力操作は、前記タッチパネル上でのタップ入力、ダブルタップ入力、ロングタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力のいずれかである、
請求項
1から
3のいずれか1項に記載の車両操作装置。
【請求項5】
前記第1の態様の入力操作は、前記タッチパネル上でのタップ入力であり、
前記第2の態様の入力操作は、前記タッチパネル上でのダブルタップ入力、ロングタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力のいずれかである、
請求項
1から
4のいずれか1項に記載の車両操作装置。
【請求項6】
前記第2の動作は、前記車両の施錠または解錠と、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作とを含み、
前記要求手段は、前記第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠または解錠と前記車両の施錠および解錠とは異なる動作とを前記車両に行わせることを求める制御要求を、前記通信装置に送信する、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の車両操作装置。
【請求項7】
前記第2の動作は、前記車両が有する開閉体の開閉動作である、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の車両操作装置。
【請求項8】
前記要求手段は、前記第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の解錠と前記車両が有する開閉体の開放動作、または、前記開閉体の閉鎖動作と前記車両の施錠を前記車両に行わせることを求める制御要求を、前記通信装置に送信する、
請求項
7に記載の車両操作装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の車両操作装置と、
車両内に搭載され、当該車両の制御を行う制御装置と、
前記車両に搭載され、前記車両操作装置と第1の通信規格で通信を行う第1の通信モジュールと、前記制御装置と前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格で通信を行う第2の通信モジュールとを含む通信装置と、
を備え、
前記車両操作装置は、前記制御要求を第1の認証情報とともに前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、前記第1の認証情報の認証に成功したときに、前記制御要求に対応する第2の制御要求を第2の認証情報とともに前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記第2の認証情報の認証に成功したときに、前記第2の制御要求によって指示される動作を実行する、
車両システム。
【請求項10】
タッチパネルを備える車両操作装置が行う車両操作方法であって、
前記タッチパネルに対するユーザの入力操作を検知する検知ステップと、
第1の態様の入力操作の検知に応答して、車両の施錠または解錠のいずれかである第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記車両内の通信装置に送信する要求ステップと、
を含み、
前記車両のドアの施錠状態を取得し、前記ドアの施錠状態に基づいて前記第1の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定するステップをさらに含
み、
前記要求ステップにおいて、
前記第1の態様とは異なる第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作を含む第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、
前記車両のドアの開閉状態を取得し、前記ドアの開閉状態に基づいて前記第2の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定するステップをさらに実行させる、
車両操作方法。
【請求項11】
タッチパネルを備えるコンピュータに、
前記タッチパネルに対するユーザの入力操作を検知する検知ステップと、
第1の態様の入力操作の検知に応答して、車両の施錠または解錠のいずれかである第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記車両内の通信装置に送信する要求ステップと、
を実行させ、
前記車両のドアの施錠状態を取得し、前記ドアの施錠状態に基づいて前記第1の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定するステップをさらに実行さ
せ、
前記要求ステップにおいて、
前記第1の態様とは異なる第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作を含む第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、
前記車両のドアの開閉状態を取得し、前記ドアの開閉状態に基づいて前記第2の態様の入力操作のために前記タッチパネルに表示されるUI要素を決定するステップをさらに実行させる、
プログラム。
【請求項12】
前記要求ステップでは、
前記第1の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第1の態様の入力操作に応答して、前記第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、
前記第2の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第2の態様の入力操作に応答して、前記第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信する、
請求項
11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第1の動作に対応した前記タッチパネルの領域は、前記タッチパネル上での第1のUI要素の表示領域であり、
前記第2の動作に対応した前記タッチパネルの領域は、前記タッチパネル上での前記第1のUI要素とは異なる第2のUI要素の表示領域である、
請求項
12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1の態様の入力操作および前記第2の態様の入力操作は、前記タッチパネル上で
のタップ入力、ダブルタップ入力、ロングタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力のいずれかである、
請求項
11から
13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記第1の態様の入力操作は、前記タッチパネル上でのタップ入力であり、
前記第2の態様の入力操作は、前記タッチパネル上でのダブルタップ入力、ロングタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力のいずれかである、
請求項
11から
14のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第2の動作は、前記車両の施錠または解錠と、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作とを含み、
前記要求ステップでは、前記第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の施錠または解錠と前記車両の施錠および解錠とは異なる動作とを前記車両に行わせることを求める制御要求を、前記通信装置に送信する、
請求項
11から
15のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記第2の動作は、前記車両が有する開閉体の開閉動作である、
請求項
11から
15のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記要求ステップでは、前記第2の態様の入力操作の検知に応答して、前記車両の解錠と前記車両が有する開閉体の開放動作、または、前記開閉体の閉鎖動作と前記車両の施錠を前記車両に行わせることを求める制御要求を、前記通信装置に送信する、
請求項
17に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両操作装置および車両システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を施解錠するための認証情報を、ネットワークを介して携帯端末がサーバ装置から取得し、当該携帯端末を電子キーとして利用できる鍵管理システムが知られている(特許文献1,2)。
【0003】
また、車両内のタッチパネルディスプレイを用いて、タッチ操作に基づいてドアの施解錠や開閉を制御可能な装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-118122号公報
【文献】特開2011-256561号公報
【文献】特開2017-166240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の2つの技術を組み合わせて、携帯端末のタッチパネルディスプレイ上でのタッチ操作によって、車両のドアの施解錠や開閉を操作可能とすることが考えられる。ここで、携帯端末のタッチパネルディスプレイは、ユーザが本来意図する位置と異なる位置をタッチしたりあるいは意図せずにタッチしたりといった誤操作を引き起こしやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、車両操作装置における誤操作を防止し操作の正確性を担保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、車両内の通信装置と無線通信することにより、前記車両を制御するための車両操作装置である。本態様に係る車両操作装置は、タッチパネルと、検知手段と、要求手段とを備える。
【0008】
本態様における検知手段は、タッチパネルに対するユーザの入力操作を検知するように構成される。検知手段は、たとえば、入力操作が行われたタッチパネル上の位置と、入力操作の態様とを検知するように構成されてもよい。入力操作の態様は、たとえば、タップ入力(短押し)、ロングタップ入力(長押し)、ダブルタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力が含まれる。
【0009】
本態様における要求手段は、第1の態様の入力操作の検知に応答して、第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信するように構成される。ここで、第1の動作は、前記車両の施錠または解錠の何れかの動作である。また、要求手段は、前記第1の態様とは異なる第2の態様の入力操作の検知に応答して、第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信する。ここで、第2の動作は、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作を含む。なお、第2の動作は、前記車両の施錠および解錠とは異なる動作を含めば、さらに前記車両の施錠または解錠を含んでいてもよい。
【0010】
要求手段は、たとえば、前記第1の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第1の態様の入力操作に応答して、前記第1の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信し、前記第2の動作に対応した前記タッチパネルの領域での前記第2の態様の入力操作に応答して、前記第2の動作を前記車両に行わせることを求める制御要求を前記通信装置に送信するように構成されてもよい。
【0011】
このように本態様に係る車両操作装置によれば、車両の施錠および解錠とそれ以外の動作とで必要な入力態様を異ならせているので、ユーザが意図しない操作を行うことを防止でき、操作の正確性を担保できる。
【0012】
ここで、「第1の動作に対応したタッチパネルの領域」は、たとえば、タッチパネル上での第1のUI(ユーザインタフェース)要素の表示領域であってよい。同様に、「第2の動作に対応したタッチパネルの領域」は、たとえば、タッチパネル上での第2のUI要素の表示領域であってよい。
【0013】
本態様において、第1の態様の入力操作がタッチパネル上でのタップ入力であり、第2の態様の入力操作がタップ入力以外の入力態様であってもよい。タップ入力以外の入力態様には、ダブルタップ入力、ロングタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力などが含まれる。
【0014】
また、第2の動作は、車両が有する開閉体の開閉動作であってよい。車両が有する開閉体の例は、乗降用のドア、ボンネット、トランク、リアハッチである。車両の施解錠を行うための入力態様をタップ入力とし、開閉体の開閉動作をタップ入力以外の態様とすれば、ユーザが意図せず開閉体を開閉させてしまう可能性を特に低減できる。
【0015】
また、本態様において、第2の動作(第2の態様の入力操作が行われたときに要求される動作)は、車両の施錠または解錠と、車両の施錠および解錠とは異なる動作との複数の動作を含んでもよい。また、車両の施錠および解錠とは異なる動作の例として、当該車両が有する開閉体の開閉動作が例示できる。たとえば、本態様の要求手段は、第2の態様の入力動作が検知されたときに、車両の解錠と開閉体の開放動作、または、開閉体の閉鎖動作と車両の施錠を車両に行わせることを求める制御要求を、前記通信装置に送信してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は車両システムであって、
上記の車両操作装置と、
車両内に搭載され、当該車両の制御を行う制御装置と、
前記車両に搭載され、前記車両操作装置と第1の通信規格で通信を行う第1の通信モジュールと、前記制御装置と前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格で通信を行う第2の通信モジュールとを含む通信装置と、
備え、
前記車両操作装置は、前記制御要求を第1の認証情報とともに前記通信装置に送信し、
前記通信装置は、前記第1の認証情報の認証に成功したときに、前記制御要求に対応する第2の制御要求を第2の認証情報とともに前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記第2の認証情報の認証に成功したときに、前記第2の制御要求によって指示される動作を実行する、
ことを特徴とする。
【0017】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む車両制御装置または車両システムとして特定することができる。本発明は、上記で説明した処理を実行する制御方法、当該制
御方法をコンピュータに行わせるためのプログラム、または、当該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読媒体として特定することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両操作装置における誤操作を防止し操作の正確性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態に係る施解錠システムのシステム概要図である。
【
図2】
図2は、施解錠システムが有する構成要素の一例を概略的に示したブロック図である。
【
図3】
図3は、照合ECU303に含まれる機能モジュールの例である。
【
図4】
図4は、キーユニット100の制御部104に含まれる機能モジュールの例である。
【
図5】
図5は、携帯端末200の制御部203に含まれる機能モジュールの例である。
【
図6】
図6は、キーユニット100のセットアップフロー図である。
【
図7】
図7は、携帯端末200のセットアップフロー図である。
【
図8】
図8は、各構成要素間におけるデータおよび処理のフロー図である。
【
図9】
図9Aは携帯端末に表示される操作画面210の例であり、
図9Bは、操作画面210に表示される操作ボタンの入力方法と要求動作との例を示す図である。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、それぞれドア解錠ボタンおよびドア開放ボタンが操作されたときの各構成要素間におけるデータおよび処理のフロー図である。
【
図11】
図11は、変形例における、ドア開放ボタンが操作されたときの各構成要素間におけるデータおよび処理のフロー図である。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、操作画面210に表示される操作ボタンの入力方法と要求動作との変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
(システム概要)
第1の実施形態に係る車両制御システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両制御システムは、車両に搭載されたキーユニット(通信装置)100および車両制御装置300、携帯端末200、サーバ装置400を含んで構成される。
【0021】
本実施形態に係る車両制御システムでは、キーユニット100が、スマートキーの電子キー(携帯機)と同様の無線インタフェースを有しており、車両制御装置300と通信を行うことで、物理的な鍵を用いることなく車両の施解錠やその他の車両操作を行うことができる。また、キーユニット100は、携帯端末200と近距離無線通信を行い、携帯端末200を認証した結果に基づいて、自身が車両10の電子キー(車両操作装置)として振る舞うか否かを決定する。すなわち、システムのユーザは、車両10の外部から携帯端末200を操作することにより、車両の施解錠やその他の車両操作を行うことができる。
【0022】
本実施形態に係る車両制御システムは、車両10の施錠および解錠だけでなく、ドアの開閉のようなその他の車両操作も可能に構成される。ここで、ユーザの携帯端末200の誤操作によって意図しない車両操作が行われることを防止するために、本実施形態では携帯端末200上で適切なユーザインタフェースが用いられる。
【0023】
(システム構成)
システムの構成要素について、詳しく説明する。
図2は、
図1に示したキーユニット100、携帯端末200、車両制御装置300、サーバ装置400の構成の一例を概略的に示したブロック図である。このうち、キーユニット100および車両制御装置300が、施解錠(施錠および解錠)の対象である車両10に搭載される。
【0024】
[車両制御装置300]
車両制御装置300は、車両のドアを施錠および解錠ならびに開放および閉鎖するための装置であり、スマートキーシステムの一部を構成する装置である。車両制御装置300は、車両のユーザが所持する電子キー(以下、携帯機)から、高周波(Radio Frequency
,以下、RFと称する)帯の電波を介して送信される車両制御信号に応じて、車両10のドアの施錠・解錠・開放・閉鎖を行う。また、車両制御装置300は、携帯機を検索するための、低周波(Low Frequency,以下、LFと称する)帯の電波を送信する機能を有し
ている。
【0025】
本実施形態では、ユーザが所持する携帯機の代わりに、キーユニット100がRF帯およびLF帯の電波を送受信することで、車両のドアの施解錠および開閉を制御する。以降、断りがない限り、車両制御装置300の通信先をキーユニット100に限定して説明を行う。
【0026】
車両制御装置300は、LF送信機301、RF受信機302、照合ECU303、ボディECU304、ドアロックモータ305、ドア開閉モータ306を含んで構成される。車両制御装置300は、車両10に搭載される不図示の補機バッテリから供給される電力で動作する。
【0027】
LF送信機301は、キーユニット100を検索(ポーリング)するための低周波数帯(例えば、100KHz~300KHz)の電波を送信する手段である。LF送信機301は、例えば、車室内のセンターコンソールやハンドルの近傍に内蔵される。
【0028】
RF受信機302は、キーユニット100から送信された高周波数帯(例えば、100MHz~1GHz)の電波を受信する手段である。RF受信機302は、車室内に内蔵される。
【0029】
照合ECU303は、キーユニット100からRF帯の電波を介して送信された信号(施錠信号または解錠信号)に基づいて、車両10のドアを施錠および解錠ならびにドアの開放および閉鎖する制御を行うコンピュータである。照合ECU303は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0030】
なお、以下の説明において、車両10に対してドアを解錠・施錠・開放・閉鎖するように指示するための信号を車両制御信号と総称する。車両制御信号は、ドアの解錠、施錠・開放・閉鎖の少なくともいずれかを車両10に対して指示するための信号である。車両制御信号の例は、ドアの解錠を指示する信号、ドアの解錠および開放を指示する信号、ドアの施錠を指示する信号、ドアの閉鎖および施錠を指示する信号である。
【0031】
照合ECU303に含まれる機能モジュールを
図3に示す。
図3に示した各機能モジュールは、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPU(いずれも不図示)によって実行することで実現してもよい。
【0032】
LF送信処理部3031は、LF送信機301を介して、LF帯の電波としてポーリング信号(リクエスト信号)を車室内に送信する制御を行う。RF受信処理部3032は、
RF受信機302を介して、キーユニット100からRF帯の電波として送信された車両制御信号を受信する制御を行う。認証部3033は、キーユニット100から送信された車両制御信号が、正当な装置から送信されたものであることを認証する。具体的には、車両制御信号に含まれるキーIDが、照合ECU303が有する記憶手段(不図示)に予め記憶されたキーIDと一致するか否かを判定する。具体的な内容については後述する。
【0033】
ドア制御部3034は、認証部3033が行った認証の結果に基づいて、後述するボディECU304に対して解錠指令、施錠指令、開放指令、および閉鎖指令の少なくともいずれかを送信する。当該信号は、CAN(Controller Area Network)等の車内ネットワ
ークを介して送信される。
【0034】
ボディECU304は、車両のボディ制御を行うコンピュータである。ボディECU304は、ドア制御部3034から受信した指令に基づいて、後述するドアロックモータ305やドア開閉モータ306を制御することで、車両のドアの解錠および施錠やドアの開放および閉鎖を行う機能を有している。なお、ボディECU304は、パワーウインドウ制御、シート調節、盗難防止、シートベルト制御、ヘッドライト制御など、車体に関連付いた要素の制御を行う機能をさらに有していてもよい。
【0035】
ドアロックモータ305は、車両10のドア(乗降用ドアやリアゲートのほか、トランクも含む)を施錠および解錠するアクチュエータである。ドアロックモータ305は、ボディECU304から送信された信号に基づいて動作する。
【0036】
ドア開閉モータ306は、車両10のドア(乗降用ドアやリアゲートのほか、トランクも含む)を開放および閉鎖するアクチュエータである。ドア開閉モータ306は、ボディECU304から送信された信号に基づいて動作する。
【0037】
なお、ドア制御部3034は、解錠指令または施錠指令の代わりに、認証に成功した旨の情報のみをボディECU304に送信するようにしてもよい。かかる構成によると、ユーザによるアクション(例えば、解錠ボタンの押下、ドアノブへのタッチ等)をトリガとして、施錠または解錠動作を行わせることが可能になる。
【0038】
なお、照合ECU303は、ボディECU304を通信してドア以外の対象を制御してもよい。また、照合ECU303は、エンジンECUと通信してエンジンの始動や停止を制御してもよいし、車両に対するその他の制御を行ってもよい。すなわち、車両制御装置300が操作の対象とする装置は特に限定されない。
【0039】
[キーユニット100]
次に、キーユニット100について説明する。キーユニット100は、車両10の内部に配置された通信装置であり、携帯端末200と近距離無線通信を行って当該携帯端末200を認証する機能と、携帯端末200を認証した結果に基づいて、RF帯の電波を用いて車両10を制御するための信号を送信する機能を有している。キーユニット100は、LF受信機101、RF送信機102、近距離通信部103、制御部104を有して構成される。
【0040】
本実施形態では、キーユニット100は、車室内の所定の位置(例えばグローブボックス内)に配置され、車両10に搭載される不図示の補機バッテリから供給される電力で動作する。
【0041】
LF受信機101は、車両制御装置300から、LF帯の電波を介して送信されたポーリング信号を受信する手段である。LF受信機101は、LF帯の電波を受信するための
アンテナ(以下、LFアンテナ)を有している。RF送信機102は、RF帯の電波を介して、キーユニット100に対して車両制御信号を送信する手段である。LF帯およびRF帯の電波を用いた通信が第2の通信規格に相当し、LF受信機101およびRF送信機102が第2の通信モジュールに該当する。
【0042】
近距離通信部103は、ユーザが所持する携帯端末200と通信を行う手段である。近距離通信部103は、所定の無線通信規格(第1の通信規格)を用いて、近距離(車室内と車室外で通信が行える程度)における通信を行う。近距離通信部103が第1の通信モジュールに該当する。
【0043】
本実施形態では、近距離通信部103は、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格(以下、BLE)によるデータ通信を行う。BLEとは、Bluetoothによる低電力通信規格であり、機器同士のペアリングを必要とせず、相手を検知することですぐに通信を開始できるという特徴を有する。なお、本実施形態ではBLEを例示するが、他の無線通信規格も利用可能である。例えば、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、WiFi(登録商標)などを利用することもできる。
【0044】
制御部104は、携帯端末200と近距離無線通信を行い、携帯端末200を認証する制御と、認証結果に基づいて車両制御信号を送信する制御を行うコンピュータである。制御部104は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0045】
制御部104に含まれる機能モジュールを、
図4に示す。
図4に示した各機能モジュールは、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPU(いずれも不図示)によって実行することで実現してもよい。
【0046】
LF受信処理部1041は、LF受信機101を介して、車両制御装置300からLF帯の電波として送信されたポーリング信号を受信する制御を行う。
【0047】
RF送信処理部1042は、RF送信機102を介して、RF帯の電波として車両制御信号を送信する制御を行う。車両制御信号は、後述する認証部1044が携帯端末200の認証を成功させた場合に、後述する通信処理部1043によって生成される。
【0048】
通信処理部1043は、近距離通信部103を介して行う携帯端末200との通信を処理する。具体的には、携帯端末200からドアの施錠・解錠・開放・閉鎖を求める要求(以下、制御要求と総称する)を受信し、受信した要求に応じて、車両制御信号を生成する。なお、生成された車両制御信号は、一時的に記憶され、後述する認証部1044が携帯端末200の認証に成功したタイミングで出力される。
【0049】
認証部1044は、携帯端末200から送信された制御要求に含まれる認証情報に基づいて、携帯端末200の認証を行う。具体的には、不図示の記憶手段に記憶された認証情報と、携帯端末200から送信された認証情報とを比較し、これらが一致した場合に、認証成功と判断する。双方の認証情報が一致しない場合、認証失敗と判断する。認証部1044が携帯端末200の認証に成功した場合、通信処理部1043が生成した車両制御信号が、RF送信処理部1042へ出力され、車両制御装置300へ無線送信される。
【0050】
なお、認証部1044が行う認証の方式は、認証情報同士を単純に比較して同一性を検証する方式であってもよいし、非対称暗号を用いた方式であってもよい。
【0051】
以降、説明の必要に応じて、キーユニット100に記憶される認証情報を装置認証情報、携帯端末200から送信される認証情報を端末認証情報と称するものとする。
【0052】
なお、本例では、認証部1044が車両制御信号の送信トリガを生成するものとしたが、認証部1044が、認証状況に基づいてキーユニット100の電源を制御してもよい。例えば、携帯端末200の認証が行われていない状況においては、通信処理部1043および認証部1044を除く全ての構成要素をサスペンド状態とし、認証が成功した場合に、所定の期間において(例えば、送信した車両制御信号に対するレスポンスが車両制御装置300からあるまで)、すべての構成要素を通電状態とするようにしてもよい。認証が成功した場合にのみ車両制御信号を送信できれば、その実現方法は限定されない。
【0053】
また、キーユニット100(RF送信機102)は、車両制御信号とともに、電子キーのID(以下、キーID)を同時に車両制御装置300に送信する。キーIDは、平文の状態で予めキーユニット100に記憶されていてもよいし、携帯端末200に固有な暗号によって暗号化した状態で記憶されていてもよい。キーIDが暗号化した状態で記憶される場合、携帯端末200から送信された認証情報によって暗号化されたキーIDを復号し、本来のキーIDを得るようにしてもよい。
【0054】
[携帯端末200]
次に、携帯端末200について説明する。なお、携帯端末200はユーザが利用する装置であるので、本明細書において携帯端末200のことをユーザ装置と称することもできる。
【0055】
携帯端末200は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)といった小型のコンピュータである。携帯端末200は、近距離通信部201、通信部202、制御部203、入出力部204を有して構成される。
【0056】
近距離通信部201は、近距離通信部103と同一の通信規格によって、キーユニット100との間で通信を行う手段である。
【0057】
通信部202は、携帯端末200をネットワークに接続するための通信手段である。本実施形態では、3GやLTE等の移動体通信サービスを利用して、ネットワーク経由で他の装置(例えばサーバ装置400)と通信を行うことができる。
【0058】
制御部203は、携帯端末200の制御を司るコンピュータである。制御部203は、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPU(いずれも不図示)が実行することで
図5に示す機能が実現される。すなわち、制御部203は、認証情報取得部2031、認証情報記憶部2032、操作画面表示部2033、入力操作検知部2034、制御要求部2035として機能する。なお、これらの機能の一部または全部は、専用の論理回路によって実現されてもよい。制御部203は、例えば、車両制御要求を生成する処理、前述した端末認証情報を取得する処理、ユーザインタフェースの画面を表示する処理、ユーザの入力操作を検知する処理、車両制御要求および端末認証情報をキーユニット100に送信する処理などを行う。
【0059】
制御部203は、入出力部204を介してユーザとのインタラクションを行う。入出力部204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。具体的には、タッチパネルとその制御手段、液晶ディスプレイとその制御手段から構成される。タッチパネルおよび液晶ディスプレイは、本実施形態では一つのタッチスクリーン(タッチパネルディスプレイ)からなる。
【0060】
認証情報取得部2031は端末認証情報を取得する処理を行う。本実施形態では、端末
認証情報はサーバ装置400において生成され、認証情報取得部2031は、通信部202を介してサーバ装置400から端末認証情報を取得する。認証情報取得部2031は、取得した端末認証情報を、認証情報記憶部2032に格納する。
【0061】
認証情報取得部2031が取得する端末認証情報は、不変のキーであってもよいし、ワンタイムキーであってもよい。いずれの場合も、端末認証情報に対応する装置認証情報が、キーユニット100に事前に記憶される。
【0062】
操作画面表示部2033は、入出力部204に操作画面を表示させる。入力操作検知部2034は、ユーザが入出力部204に対して行った操作を検知する。上述のように入出力部204はタッチスクリーンなので、入力操作検知部2034は、ユーザが操作を行った画面上の位置、および入力操作の態様を取得する。入力操作の態様の例には、タップ入力(短押し)、ロングタップ入力(長押し)、ダブルタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力が含まれる。
【0063】
制御要求部2035は、入力操作検知部2034によって検知されるユーザ操作の内容に応じて、車両を制御するための制御要求を、近距離通信部201を介してキーユニット100に送信する。この際、制御要求部2035は、認証情報記憶部2032に格納されている端末認証情報を制御要求に含めてキーユニット100に送信するように制御する。なお、携帯端末200が端末認証情報を有していない場合、制御部203は、操作画面からの車両10の操作を行わせないようにしてもよい。
【0064】
ユーザインタフェースの具体例、たとえば、ユーザに提示される操作画面やユーザの入力操作と車両10への制御要求との対応については、後ほど詳しく説明する。
【0065】
(システムの動作)
[車両制御装置の動作の概要]
システムの詳細な説明に入る前に、車両制御装置300が行う動作の概要について説明する。車両制御装置300は、従来のスマートキーシステムを構成する装置であり、ユーザが所持するキーユニット100と通信を行うことにより、キーユニット100が車両の近傍もしくは車室内にあることを検出する。
【0066】
具体的には、照合ECU303が、LF送信機301を介して一定の周期でポーリング信号を車内外に送信し、当該ポーリング信号に応答してキーユニット100が送信した返信信号を受信する。返信信号には、キーユニット100に固有なキーIDが含まれており、また、照合ECU303には、登録されたキーユニット100のキーIDが記憶されており、照合ECU303は、受信したキーIDと、記憶されたキーIDを用いてキーユニット100の認証処理を行う。キーユニット100の認証に成功した場合、その旨をボディECU304に通知し、これにより、車両に所定の動作(例えば、ドアの解錠、イモビライザーの解除等)を行わせることが可能になる。
【0067】
[車両制御装置へのキーユニットの登録処理]
ここで、キーユニット100のキーIDを車両制御装置300に登録する作業について説明する。当該作業は、車両の製造者、整備業者またはオーナーによって行われる。ここで、
図6を参照しながら、当該作業のフローについて説明する。
【0068】
まず、ステップS1にて、車両制御装置300が、新規のキーIDを登録するモードへの切り替えを行う。この際、車両制御装置300は、既に登録されている機器(たとえば、既に記憶されているキーIDを持つスマートキー)との通信を要求してもよい。これにより、登録作業を行っている者が正当な車両のオーナーであることを確認することができ
る。登録モードに移行すると、車両制御装置300はLF送信機301から登録用の信号を供給する。
【0069】
次に、ステップS2にて、ユーザが、キーユニット100のLFアンテナを、車両制御装置300が有する不図示のアンテナコイル(典型的には車両のプッシュスタートスイッチ付近に内蔵される)に接触ないし略接触させる。これにより、電磁誘導によってアンテナコイルからキーユニット100に電力が供給され、当該電力を用いて、キーユニット100が車両制御装置300に対してキーIDを送信する(ステップS3)。この動作は、自動車用のスマートキーシステムにおいて、車両側にキーIDを登録するための動作として知られている(一般にトランスポンダ通信と呼ばれる)。送信されたキーIDは、車両制御装置300によって受信され、有効なキーIDとして登録される(ステップS4)。すなわち、車両制御装置とキーユニットとの紐付けが行われる。
【0070】
以上、車両制御装置300とキーユニット100との間で行われる通信および処理について説明した。
【0071】
(携帯端末の端末認証情報の取得処理)
図7を参照して、本実施形態に係る車両制御システムの動作について説明する。
図7は、各構成要素間で送受信されるデータの流れ、および、各構成要素が行う処理を説明するフロー図である。
【0072】
まず、ステップS11で、携帯端末200が、サーバ装置400に対して端末認証情報の発行を要求する。ここで説明する端末認証情報は、車両制御装置300がキーユニット100を認証するための情報ではなく、キーユニット100が携帯端末200を認証するための情報である。
【0073】
携帯端末200が、端末を識別する情報をサーバ装置400に送信すると、サーバ装置400が、携帯端末200に固有な端末認証情報を取得し(ステップS12)、取得した端末認証情報を携帯端末200に送信する(ステップS13)。これにより、携帯端末200上において、車両10を解錠する操作が可能になる。
【0074】
(携帯端末を用いた車両制御処理)
図8から
図10を参照して、本実施形態においてユーザが携帯端末200を用いて車両制御を行う際の処理の流れを説明する。
図8は、各構成要素間で送受信されるデータの流れ、および、各構成要素が行う処理を説明するフロー図である。
図9Aは、携帯端末200の表示画面の例を示す図である。
図9Bは、表示画面上の操作ボタンに割り当てられる車両動作と入力方法の一例を説明する図である。
図10Aは、ユーザがドアの解錠を要求するときの制御の流れを説明するフロー図であり、
図10Bはユーザがドアの解錠および開放を要求するときの制御の流れを説明するフロー図である。
【0075】
携帯端末200がキーユニット100の近距離通信(たとえば、BLE)の通信範囲に入ると、ステップS21で、携帯端末200の近距離通信部201とキーユニット100の近距離通信部103の間で通信の確立処理が行われる。キーユニット100との通信確立を検知することで、携帯端末200の制御部203はキーユニット100と対応する車両10を制御可能になったと判断できる。
【0076】
ステップS22で、操作画面表示部2033は、車両10を操作するための操作画面210をタッチスクリーン204に表示する。
図9Aは、本実施形態における操作画面210の一例を示す図である。
図9Aに示すように、操作画面210は、操作対象の車両10の識別するための情報211と4つの操作用のボタン(UI要素)212~215を含む
。車両10を識別するための情報211は、車両10の外観、車種、および車番の少なくともいずれかを含む。操作用のボタンは、ドア施錠ボタン212、ドア解錠ボタン213、ドア閉鎖ボタン214、およびドア開放ボタン215を含む。
【0077】
携帯端末200のユーザがタッチスクリーン204に対して入力操作を行うと、ステップS23において、入力操作検知部2034が、ユーザの入力操作を検知する。入力操作検知部2034は、ユーザの入力操作について操作位置と入力操作態様とを取得する。操作位置は、ユーザが操作を行った画面上の位置である。入力操作態様の例には、タップ入力(短押し)、ロングタップ入力(長押し)、ダブルタップ入力、スライド入力、ジェスチャ入力を含む。ジェスチャ入力は、予め定められた所定の軌跡に沿ってタッチ位置を移動させる入力である。
【0078】
ステップS24で、制御要求部2035は、ユーザの入力操作に応じた車両制御要求を端末認証情報とともにキーユニット100に送信する。なお、本実施形態においては、操作画面210に含まれる各操作ボタン212~215を用いて操作を要求するためには、ユーザは操作ボタンに対応した所定の入力態様の入力操作を行う必要がある。
図9Bは、操作ボタンに割り当てられる入力方法(入力態様)と車両動作の一例を説明する図である。ドア施錠ボタン212にタップ入力がされると、制御要求部2035は車両に対してドアの施錠を要求する。また、ドア解錠ボタン213にタップ入力がされると、制御要求部2035は車両に対してドアの解錠を要求する。一方、ドア閉鎖ボタン214にロングタップ入力がされると、制御要求部2035は車両に対してドアの閉鎖および施錠を要求する。同様に、ドア開放ボタン215にロングタップ入力がされると、制御要求部2035は車両に対してドアの解錠および開放を要求する。なお、ドア閉鎖ボタン214およびドア開放ボタン215は、タップ入力がされても反応せず、制御要求部2035は何もしない。
【0079】
制御要求部2035は、ユーザの入力操作の操作位置と操作態様とに基づいて、ユーザの入力操作が条件に合致するかを判断し、条件に合致する場合には入力操作に応じた車両操作要求を近距離通信部201を介してキーユニット100に送信する。
【0080】
たとえば、ユーザの入力操作の操作位置がドア解錠ボタン213(第1のUI要素)の領域内であり、かつ入力態様がタップ入力であれば、制御要求部2035はドアの解錠要求をキーユニット100に送信する。ここで、ドアの解錠が本発明の第1の動作に該当し、解錠要求が第1の動作を車両に行わせることを求める制御要求に該当する。
【0081】
また、ユーザの入力操作の操作位置がドア開放ボタン215(第2のUI要素)の領域内であり、かつ入力態様がロングタップ入力であれば、制御要求部2035はドアの解錠+開放要求(解錠と開放を求める要求)をキーユニット100に送信する。ここで、ドアの解錠および開放の両方を含む動作が本発明の第2の動作に該当し、解錠+開放要求が第2の動作を車両に行わせることを求める制御要求に該当する。
【0082】
制御要求部2035は、車両操作要求を送信する際に、端末認証情報も一緒にキーユニット100に送信する。端末認証情報は、認証情報取得部2031によってサーバ装置400から取得され、認証情報記憶部2032に格納されている。
【0083】
キーユニット100が近距離通信部103を介して制御要求および端末認証情報を携帯端末200から受信すると、ステップS25で、キーユニット100の認証部1044が、受信した端末認証情報と、事前に記憶された装置認証情報とを比較し、認証処理を行う。認証に成功した場合、ステップS26で、キーユニット100が、車両制御装置300に対して車両制御信号およびキーIDをRF送信機102を介して送信する。たとえば、
車両制御要求にドア解錠要求が含まれる場合には、キーユニット100はドア解錠制御信号を送信し、車両制御要求にドア開放要求が含まれる場合には、キーユニット100はドア開放制御信号を送信する。
【0084】
車両制御装置300がRF受信機302を介して車両制御信号およびキーIDをキーユニット100から受信すると、ステップS27で、照合ECU303が、受信したキーIDに基づいて認証処理を行う。認証に成功した場合はステップS28で、ボディECU304が車両制御信号に基づいて車両10の操作を実行する。具体的には、車両制御信号がドア解錠制御信号である場合には、ボディECU304はドアロックモータ305を制御して車両10のドアを解錠する。また、車両制御信号がドア開放制御信号である場合には、ボディECU304はドア開閉モータ306を制御して車両10のドアを開放する。なおこの際、アンサーバック等を行ってもよい。
【0085】
図10A,
図10Bは、ユーザが特定の処理を行った時の具体的な処理の流れを示す図である。
【0086】
図10Aは、ユーザが操作画面210上でドア解錠ボタン213に対してタップ入力を行った時の処理を説明する図である。携帯端末200は、ドア解錠ボタン213上でのタップ入力を検知(S23)すると、解錠要求を端末認証情報とともにキーユニット100に送信する(S24)。キーユニット100は、端末認証情報の認証処理を行い(S25)、認証に成功したら、ドアの解錠を指示する車両制御信号をキーIDとともに車両制御装置300に送信する(S26)。車両制御装置300は、キーIDの認証処理を行い(S27)、認証に成功したら、ボディECU304がドアロックモータ305を制御して車両10のドアを解錠する。なお、ユーザが操作画面210上でドア施錠ボタン212に対してタップ入力を行った時の処理も上記と同様である。
【0087】
図10Bは、ユーザが操作画面210上でドア開放ボタン215に対してロングタップ入力を行った時の処理を説明する図である。携帯端末200は、ドア開放ボタン215上でのロングタップ入力を検知(S23)すると、解錠+開放要求を端末認証情報とともにキーユニット100に送信する(S24)。キーユニット100は、端末認証情報の認証処理を行い(S25)、認証に成功したら、ドアの解錠および開放を指示する車両制御信号をキーIDとともに車両制御装置300に送信する(S26)。車両制御装置300は、キーIDの認証処理を行う(S27)。認証に成功したら、ボディECU304は、ドアロックモータ305を制御して車両10のドアを解錠し(S28-1)、その後ドア開閉モータ306を制御して当該ドアを開放する(S28-2)。なお、ユーザが操作画面210上でドア閉鎖ボタン214に対してロングタップ入力を行った時の処理も上記と同様である。
【0088】
なお、車両制御装置300は、ドアの解錠+開放信号を受信したときに既にドアが解錠されていれば、ドアの開放処理のみを行えばよい。
【0089】
(有利な効果)
本実施形態では、車両に対する操作内容に応じて、ユーザがタッチスクリーン上で入力する必要がある態様が異なっている。すなわち、ドアの解錠および施錠はタッチスクリーン上でのタップ操作で実現可能であるのに対し、ドアの開放および閉鎖を行うためにはロングタップ入力を行う必要がある。このような構成により、ユーザの意図しない操作によってドアが開放あるいは閉鎖する事態を抑制できる。本実施形態において、ドアの開閉にロングタップを必要としている理由は、ドアの開閉ではドアが物理的に動くので意図しない制御は施解錠よりも好ましくないという設計思想を採用しているためである。
【0090】
また、本実施形態では、ユーザの1つの入力によって、ドアの解錠と開放の2つの動作を車両10に実行させることができる。ユーザが2つの入力を行う必要がないので、ユーザの利便性が高まる。
【0091】
(変形例1)
上記の説明では、ドアの施解錠にタップ入力を必要とし、ドアの開閉にロングタップ入力を必要としているが、どの制御に対してどのような入力態様を必要とするかは、システムの要求や設計思想に応じて適宜決定すればよい。典型的には、誤動作を防止したい操作に対して、より複雑な態様の入力を必要とすればよい。したがって、タップ入力とロングタップ入力を併用する代わりに、ロングタップ入力とスライド入力を併用したりしても構わない。また、ドアの開閉よりも施解錠の誤動作を防止したいのであれば、ドアの開閉にタップ入力を必要とし、ドアの施解錠にロングタップ入力を必要としてもよい。
【0092】
(変形例2)
上記の実施形態に係る操作画面210には、ユーザが指示可能な動作ごとに対応したボタン(UI要素)が表示されているが、操作画面210に表示されるUI要素はボタン以外であってもよい。たとえば、操作画面210に模式的な車両の画像(たとえば車両の上面図)が表示されており、ユーザの入力操作が行われるタッチスクリーン上での位置に応じて、車両に行わせる動作を決定してもよい。たとえば、ドアに対応した画面領域でタップ入力が行われた場合に、そのドアの解錠または施錠が要求されたと決定してもよい。また、ドアに対応した画面領域でロングタップ入力が行われた場合に、そのドアの開放または閉鎖が要求されたと決定してもよい。
【0093】
(変形例3)
ドア開放ボタン215が操作されたときにドアの解錠と開放が実行されるが、その具体的な実現方法は、上記で説明した方法(
図10B参照)に限定されない。たとえば、
図11に示すような処理により実現してもよい。すなわち、まず、キーユニット100が、車両制御装置300に対してドアの解錠信号を送信し(S26-1)、車両制御装置300が認証処理(S27-1)およびドア解錠処理(S28-1)を行って、アンサーバックをキーユニット100に送信する(S29-1)。キーユニット100は、このアンサーバックを受けてから、ドアの開放信号を送信し(S26-2)、車両制御装置300が上記と同様にドアの開放処理を行ってもよい(S27-2~S29-2)。このような処理によっても、上記の実施形態と同様の処理が実現できる。本変形例における解錠信号と開放信号の両方の組み合わせが、本発明における「鍵の施解錠を実行させ、かつ、鍵の施解錠の前または後に鍵の施解錠とは異なる動作を実行させるための制御信号」に該当する。さらに他の実現方法として、ドア開放ボタン215が操作されたときに、携帯端末200が解錠要求と開放要求とを別々に送信するという方法も可能である。
【0094】
(変形例4)
上記の実施形態では、ドア開放ボタン215をユーザが操作するとドアの解錠と開放が行われるが、ドア開放ボタン215をユーザが操作したときにドアの開放のみが行われるようにしてもよい。
【0095】
図12Aは、本変形例における操作ボタンと要求動作の対応を説明する図である。本変形例では、ドア施錠ボタン212およびドア解錠ボタン213が操作されたときは、携帯端末200は、それぞれ、車両10のドアの施錠および解錠を実行させる車両制御信号(第1の動作を車両に行わせることを求める制御要求)をキーユニット100に送信する。一方、ドア閉鎖ボタン214およびドア開放ボタン215が操作されたときは、携帯端末200は、それぞれ、車両のドアの閉鎖および開放を実行させる車両制御信号(第2の動作を車両に行わせることを求める制御要求)をキーユニット100に送信する。このよう
に、第2の動作は、ドアの施錠や解錠を含まず、ドアの施錠および解錠とは異なる動作のみであっても構わない。
【0096】
(変形例5)
上記の説明では、操作ボタン212~215を操作したときに行われる車両動作は固定されているが、1つの操作ボタンに対して複数の入力態様を設定して、入力態様に応じて異なる種類の車両動作を実行するようにしてもよい。
【0097】
図12Bは、本変形例における操作ボタンと要求動作の対応を説明する図である。本変形例では、ドア閉鎖ボタン214に対してロングタップ入力したときはドアの閉鎖動作のみを行い、同じドア閉鎖ボタン214に対してスライド入力したときにはドアの閉鎖+施錠動作を行うようにしてもよい。
【0098】
また、ある操作ボタン上である方向(たとえば下方向)にスライド入力した場合はドアを開放し、その操作ボタン上で反対方向(たとえば上方向)にスライド入力した場合はドアを閉鎖してもよい。また、1つの操作ボタンに3つ以上の入力態様を割り当てて、それぞれに異なる要求動作を対応づけてもよい。
【0099】
(変形例6)
上記の実施形態に係る操作画面210は、ドア施錠ボタン212とドア解錠ボタン213が同時に表示されている。ここで、携帯端末200は、車両10(車両制御装置300)と通信を行ってドアの施錠状態(施錠された状態か解錠された状態か)を取得し、ドアの施錠状態に応じてドア施錠ボタン212とドア解錠ボタン213のいずれか一方のみを表示するようにしてもよい。同様にドアの開閉状態(開放された状態か閉鎖された状態か)を取得して、ドアの開閉状態に応じてドア閉鎖ボタン214とドア開放ボタン215のいずれか一方のみを表示するようにしてもよい。
【0100】
さらに、ドアの施錠状態と開閉状態の両方を考慮して、表示する操作ボタンを決定してもよい。たとえば、ドアが解錠されておりかつ閉鎖している場合は、ドア施錠ボタン212とドア開放ボタン215を表示してもよい。また、ドアが解錠されておりかつ開放している場合は、ドア閉鎖ボタン214のみを表示してもよい。また、ドアが施錠されている(かつ閉鎖している)場合は、ドア解錠ボタン213のみを表示してもよい。
【0101】
なお、操作ボタンの表示/非表示を切り替える代わりに、操作ボタンの有効(イネーブル)/無効(ディスエーブル)を切り替えてもよい。
【0102】
(変形例7)
上記の説明において操作の対象は車両10のスライドドアであったが、操作の対象はこれに限られない。たとえば、車両10のスライドドア以外のドア、ボンネット、トランク、リアハッチのような開閉体を対象としてもよい。なお、施解錠の対象となるロックは、開閉の対象となるドアのロックであってもよいしそうでなくてもよい。
【0103】
また、上記の説明では、携帯端末200上での1つの操作ボタンにより、ドアの施解錠とその開閉の2つの動作が実行されるが、同時に実行される2つの動作は必ずしも両方ともドアを制御対象とするものでなくてもよい。たとえば、1つの操作ボタンによって、ドアの解錠と空調装置の稼働とを実行してもよい。空調装置以外にも、座席位置やハンドル位置などを実行するようにしてもよい。
【0104】
(変形例8)
上記の説明において携帯端末200は、端末認証情報をサーバ装置400から取得して
いるが、認証情報記憶部2032に認証情報が記憶された状態で製造・販売されてもよい。あるいは、携帯端末200は、取り外し可能な記憶メディアを介して、端末認証情報を取得してもよい。本変形例では、携帯端末200は通信部202を備えていなくてもよい。
【0105】
(変形例9)
上記の実施形態では、車両制御装置300とキーユニット100が無線通信を行っているが、車両制御装置300とキーユニット100は有線通信を行ってもよい。すなわち、キーユニット100は、車両ネットワーク(たとえば、CAN(Controller Area Network))に直接接続されてもよい。
【0106】
また、キーユニット100と車両制御装置300とを統合してシステムを実装してもよい。この場合、端末認証情報とキーIDの2つの認証情報を用いずに、携帯端末200から送信される認証情報が正当であれば、車両システムは車両に対する制御(解錠など)を実行するようにしてもよい。
【0107】
(変形例10)
上記の説明では、制御の対象は車両であったが携帯端末によって操作される対象は車両に限定されない。操作の対象はたとえば、車両以外の施設や建物であってよい。具体的には、携帯端末200を用いて、施設や建物のドアの施解錠や開閉を行えるようにしてもよい。この場合、ドアの施解錠とその開閉だけでなく、ドアの施解錠とともに、空調装置、照明装置、監視装置などの起動や停止を制御してもよい。
【符号の説明】
【0108】
10・・・車両
100・・・キーユニット
101・・・LF受信機
102・・・RF送信機
103,201・・・近距離通信部
104,203・・・制御部
200・・・携帯端末
202・・・通信部
204・・・入出力部
300・・・車両制御装置
301・・・LF送信機
302・・・RF受信機
303・・・照合ECU
304・・・ボディECU
305・・・ドアロックモータ
400・・・サーバ装置