(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ドアセット
(51)【国際特許分類】
E06B 3/36 20060101AFI20220405BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20220405BHJP
E05C 1/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E06B3/36
E06B1/12 A
E05C1/04 D
(21)【出願番号】P 2017253730
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391016886
【氏名又は名称】日本フネン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】岩森 聡史
(72)【発明者】
【氏名】中橋 利治
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-002971(JP,U)
【文献】実開昭54-072373(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04 - 3/46,
3/50 - 3/52
E06B 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸枠と、
該戸枠の開口に設けられた、玄関用機器が取り付けられるパネルと、
該パネルと前記戸枠との間に揺動可能に設けられたドアと、
前記パネルに連結された、前記ドアの戸当たりを有する中間枠と、を備え、
前記パネルは、
前記戸枠に対して該パネルを揺動可能に連結する連結機構と、
前記戸枠に対する該パネルの揺動を固定解放する固定部材と、有しており、
該固定部材が、
前記中間枠に対して反ドア側に設けられて
おり、
前記中間枠が、
前記パネルに着脱可能に設けられている
ことを特徴とするドアセット。
【請求項2】
前記固定部材は、
前記中間枠に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のドアセット。
【請求項3】
前記固定部材が、
一端が前記戸枠に着脱可能に連結され、他端が前記中間枠に連結される軸部材を備えており、
前記中間枠には、
その表面に開口を有し、前記固定部材が収容される固定部材収容部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載のドアセット。
【請求項4】
既設のドアパネル付きドアセットと交換する交換用ドアセット
であって、
該交換用ドアセットは、
請求項1、2または3記載のドアセットである
ことを特徴とするドアセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアセットに関する。さらに詳しくは、インターホンや照明器具、新聞受け等が設けられるパネルを備えたドアセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建住戸やマンション等の集合住宅などの住戸では、インターホンや照明器具、新聞受け等はドアの近傍の玄関壁に埋め込むようにして設けられていた。しかし、インターホン等を玄関壁に埋め込んで設置した場合、インターホン等を取付けるための取付作業やメンテナンスなどが大変である。
【0003】
一方、ドアセットとして、ドアの側方にインターホン等を設置する領域(以下パネル部という)や明り取りのためのガラス窓などを設けたものが使用される場合がある。かかるドアセットでは、パネル部に予めインターホン等が設けられているので、ドアセットを設置すればインターホン等を設置できる。
【0004】
しかし、このようなパネル部を設けたドアセットの場合、玄関壁に設けられる開口は大きいものの、実質的に室内と室外を連通する開口、つまり、ドアを開けた時に形成される開口はドアの大きさ程度に限定される。つまり、玄関壁に設けられる開口に比べて、人や物品の出入りに使用できる開口が小さくなるので、大きな物品などの搬入等が行いにくい。
【0005】
玄関壁に設けられる開口の大きさを有効に活用することができるドアとして、親子ドア(例えば、特許文献1、2参照)や両開きドアがある。親子ドアや両開きドア(以下親子ドア等という場合がある)は、戸枠に観音開きになるように設けられた一対のドアを備えている。親子ドア等の場合、通常、一方のドア(親子ドアでは小さいドア(子ドア))は戸枠に固定して開閉しないようにしておき、他方のドア(親子ドアでは大きい方のドア(親ドア))のみを開閉するようにしている。そして、大きな物品などを搬入等する場合には、一方のドア(子ドア)を解錠して開くことによってドアの開口を大きくするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-86667号公報
【文献】特開2017-101430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、特許文献1、2の親子ドアの場合、子ドアはフランス落としによって戸枠に固定されているが、フランス落としの操作部は子ドアの端面に設けられている。このため、親ドアを開いた際に、フランス落としの操作部が外部からも見えるようになっており、見栄えがわるいという問題がある。
【0008】
しかも、親子ドアの場合、子ドアの端面に錠受金具を設けてこの錠受金具にデッドボルトを挿入して、親ドアを施錠することになる。つまり、親子ドアを移動させようとする力を子ドアが支えることになる。このため、通常のドアのように戸枠に錠受金具を設けた場合に比べて親ドアの移動をしっかりと固定できないので、通常のドアに比べて防犯性が低下する可能性がある。
【0009】
上述したような問題は、親子ドアと同様に観音開きのドアを有する両開きドアでも存在する。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、親子ドアや両開きドアの利便性と防犯性を兼ね備えたドアセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明のドアは、フレームと、該フレームに取り付けられる、一対の溝間に形成された突 第1発明のドアセットは、戸枠と、該戸枠の開口に設けられた、玄関用機器が取り付けられるパネルと、該パネルと前記戸枠との間に揺動可能に設けられたドアと、前記パネルに連結された、前記ドアの戸当たりを有する中間枠と、を備え、前記パネルは、前記戸枠に対して該パネルを揺動可能に連結する連結機構と、前記戸枠に対する該パネルの揺動を固定解放する固定部材と、有しており、該固定部材が、前記中間枠に対して反ドア側に設けられており、前記中間枠が、前記パネルに着脱可能に設けられているとを特徴とする。
第2発明のドアセットは、第1発明において、前記固定部材は、前記中間枠に設けられていることを特徴とする。
第3発明のドアセットは、第1または第2発明において、前記固定部材が、一端が前記戸枠に着脱可能に連結され、他端が前記中間枠に連結される軸部材を備えており、前記中間枠には、その表面に開口を有し、前記固定部材が収容される固定部材収容部が設けられていることを特徴とする。
第4発明のドアセットは、第1、第2、第3または第4発明において、既設のドアパネル付きドアセットと交換する交換用ドアセットであって、該交換用ドアセットは、請求項1、2または3記載のドアセットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1によれば、パネルが開閉可能に設けられているので、パネルを開けば、玄関の開口を広くすることができる。また、固定部材によってパネルを固定しておけば、通常のドアパネル付きの玄関として使用できる。しかも、中間枠によってドアの強度も確保できるので、ドアやパネルのがたつきなども解消される。そして、固定部材を中間枠に対して反ドア側に設けているので、見栄えを良くできるし、防犯性能も高くできる。中間枠を取り外せば、パネルを開いたときに中間枠が邪魔にならないし、パネルの移動を楽に行うことができる。また、施工現場でパネルと中間枠を連結して組み立てることが可能になるので、パネルの搬送や設置作業も楽になる。
第2発明によれば、中間枠は枠と同等程度の強度構造を有しているので、パネルに固定部材を設ける場合に比べてパネルを安定して戸枠に固定できる。また、使用する固定部材の自由度を高くすることができる。
第3発明によれば、戸枠と中間枠の固定を軸部材で行うので、パネルの固定解放が容易になる。しかも、固定部材収容部内に固定部材が収容されているので、見栄えと防犯性を高めることができる。
第4発明によれば、パネル部分を親子ドアの子ドアと同等の構造とし、ドアパネルにガラス部分が設けられている既設ドアセットと交換すれば、防犯性能や断熱性能を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態のドア1の概略説明図であり、(A)は正面図であり、(B)は背面図である。
【
図4】(A)はフランス落とし10の軸部材11が戸枠2の下枠2cの孔2gから離脱している状態の説明図であり、(B)はフランス落とし10の軸部材11が戸枠2の下枠2cの孔2gに挿入されている状態の説明図である。
【
図5】固定部材としてボルトBを使用した場合の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のドアセットは、居住用建物の玄関等に使用されるドアセットであって、親子ドアのように開口の大きさを調整でき、しかも、防犯性を高くすることができるようにしたことに特徴を有している。
【0015】
なお、本発明のドアセットは、新設のマンション等に最初から設置してもよいし、既設のドアセットに代えて設置するようにしてもよい。つまり、本発明のドアセットは、既設のドアパネル付きドアセット(既設のドアセット)と交換する交換用ドアセットとして使用することもできる。例えば、既設のドアセットが設けられている玄関壁等から既設のドアセットを除去した後、玄関壁等の開口に本発明のドアセットを設置することができる。すると、既設の玄関を、親子ドアの機能、つまり、必要なときに開口を大きくできるという機能を有する玄関に改修することができる。また、既設のドアセットのドアパネル部分に明り取りのためのガラス窓が設けられている場合には、ガラス窓が無い玄関に改修できるので、玄関の防犯性能や断熱性能を高めることができる。
【0016】
また、本発明のドアセットは、玄関に限られず、居室や部屋の内外または屋内と屋外などのように一の空間とこれに隣接する他の空間とを連通する出入口に設けることができる。例えば、集合住宅の住戸の玄関のほか、複数個の部屋を有する事務所等において、かかる部屋の出入口に取り付けて使用されるドアセットとしても使用することができる。
【0017】
つぎに、本実施形態のドアセット1を図面に基づき説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態のドアセット1は、戸枠2と、戸枠2に取り付けられるドア3およびパネル4と、パネル4に設けられた中間枠5と、パネル4を戸枠2に固定解放する固定部材10と、を備えている。
【0018】
(戸枠2の説明)
図1に示すように、戸枠2は、正面視略矩形に形成された部材であり、ドアセット1が設置される玄関壁Wの開口に取り付けられる部材である。この戸枠2には、ドア3およびパネル4が取り付けられ、このドア3およびパネル4によって開閉される開口部2hを有している。
【0019】
具体的には、戸枠2は、一対の竪枠2a、2bと、この一対の竪枠2a、2bの上端部間を連結するように配設された上枠2dと、この一対の竪枠2a、2bの下端部間を連結するように配設された下枠2cと、を備えている。つまり、一対の竪枠2a、2bと上枠2dおよび下枠2cで囲まれた空間に開口部2hが形成されている。
【0020】
(ドア3およびパネル4の説明)
図1に示すように、戸枠2の開口部2hには、ドア3およびパネル4が開閉可能に取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、ドア3は、正面視略長方形に形成された部材である。このドア3は、戸枠2の竪枠2aに揺動可能に設けられている。具体的には、ドア3は、一の側端部(つまり戸尻)と戸枠2の竪枠2aとの間に設けられた連結機構によって水平方向に揺動可能に設けられている。なお、ドア3を揺動させてドア3を閉じた際に、ドア3における戸尻部の内面が竪枠2aに設けられているパッキンPに接触するように設けられている(
図2参照)。
【0022】
図1に示すように、パネル4も、ドア3と同様に、正面視略長方形に形成された部材である。このパネル4には、インターホンや照明器具、新聞受け等の玄関用機器が設けられている。このパネル4は、戸枠2の竪枠2bに揺動可能に設けられている。具体的には、パネル4は、一の側端部(つまり戸尻)と戸枠2の竪枠2bとの間に設けられた連結機構によって水平方向に揺動可能に設けられている。なお、パネル4を揺動させてパネル4を閉じた際に、パネル4における戸尻部の内面が竪枠2bに設けられているパッキンPに接触するように設けられている(
図2参照)。
【0023】
つまり、ドア3とパネル4は、ドア3およびパネル4の両方を開くと戸先同士が離間し、ドア3およびパネル4の両方を閉じると戸先同士が接近しその端面同士が対向するようになっている。つまり、ドア3とパネル4は、いわゆる観音開きの構造となるように戸枠2に対して取り付けられている。
【0024】
そして、ドア3の戸先には、図示しないが、出没可能に取り付けられたデッドボルトやラッチボルトなどが設けられている。一方、パネル4の戸先には、ドア3のデッドボルトやラッチボルトと対応する位置に錠受金具が設けられている。つまり、ドア3とパネル4を閉じた際に、デッドボルトやラッチボルトと錠受金具が対向するように、錠受金具がパネル4の戸先に設けられている。したがって、ドア3とパネル4を閉じた状態で、デッドボルトやラッチボルトをドア3の戸先から出没させることによって、錠受金具を介して、ドア3とパネル4とを連結解放することができる。
【0025】
<中間枠5>
図1および
図2に示すように、パネル4の戸先側の内面には中間枠5が設けられている。この中間枠5は、内部に中空な空間を有する断面略矩形の柱状の部材である。この中間枠5は、その長さがほぼ戸枠2の上枠2dと下枠2cとの距離と同じ長さになるように形成されている(
図1および
図3参照)。つまり、パネル4を閉じた状態では、戸枠2における竪枠2a,2bの間に竪枠が存在するかのように、中間枠5が設けられている。
【0026】
また、中間枠5は、その一部がパネル4の戸先よりもドア3側に突出するように配設されている。具体的には、
図2に示すように、中間枠5の外面の一部がパネル4の戸先よりもドア3側に突出しており、この突出した部分がドア3の戸先の戸当たりとなるように、中間枠5は配設されている。なお、突出した部分には、通常の戸枠に設けられる戸当たりと同等の構造(例えばドア3の戸先と接触するパッキンPを有する構造等)が設けられていてもよいし、単にゴムなどの緩衝部材が設けられているだけでもよい。
【0027】
<フランス落とし10>
図3に示すように、中間枠5の上部および下部にはフランス落とし10が設けられている。このフランス落とし10は、中間枠5と上枠2dまたは中間枠5と下枠2cとを固定解放するために設けられている。言い換えれば、フランス落とし10は、戸枠2に対するパネル4の揺動を固定解放するものである。このフランス落とし10は特許請求の範囲における固定部材の一例に相当する。
【0028】
中間枠5の上部および下部に設けられているフランス落とし10は、レバーrを操作すれば、軸部材11を中間枠5の上端または下端から出没させることができるように設けられている(
図4参照)。しかも、フランス落とし10は、中間枠5においてパネル4側に位置する面、言い換えれば、ドア3と反対側(反ドア側)の面(
図2では右側の面)に設けられている。そして、上枠2dまたは下枠2cには、パネル4を閉じた状態において、フランス落とし10の軸部材11が出没する位置と対応する位置に、軸部材11を挿入離脱させることができる孔2gが設けられている。
【0029】
以上のごとき構造を有する本実施形態のドアセット1によれば、フランス落とし10によってパネル4を戸枠2に固定しておけば、通常のドアパネル付きの玄関として使用できる。一方、ドア3だけでなくパネル4も開閉可能に設けられているので、フランス落とし10によるパネル4と戸枠2の固定を解除してパネル4を開けば、玄関の開口を広くすることができる。
【0030】
また、フランス落とし10は中間枠5に対して反ドア側に設けているので、ドア3を開いてもフランス落とし10がドア3を開いた開口を通しては視認できないので、パネル4の見栄えを良くできる。
【0031】
しかも、中間枠5がドア3の戸当たりとして機能するので、ドア3の戸先とパネル4の戸先との間に形成される隙間は室内側から中間枠5によって塞がれる。したがって、パネル4が開閉できる構造としても防犯性能も高くできる。
【0032】
さらに、中間枠5として上述したような柱状の部材を採用しているので、中間枠5が戸枠2と同等程度の強度を有することになる。すると、中間枠5によってパネル4の強度も高くできるので、ドア3やパネル4のがたつきなども解消される。そして、この中間枠5にフランス落とし10を設けているので、パネル4にフランス落とし10を設ける場合に比べて、パネル4を安定して戸枠2に固定できる。
【0033】
さらに、フランス落とし10によって軸部材11を出没させるだけでパネル4と戸枠2の固定解放、つまり、戸枠2と中間枠5との固定解放を実施できるので、パネル4を戸枠2に固定解放する作業が容易になる。
【0034】
なお、上記例では、フランス落とし10が設けられている中間枠5内の空間が特許請求の範囲にいう固定部材収容部に相当する。
【0035】
<連結機構について>
なお、ドア3やパネル4を戸枠2と連結する連結機構として、ドア3と戸枠2の竪枠2bの間やパネル4と戸枠2の竪枠2aの間に設けられたヒンジや丁番を使用できる。また、竪枠2a,2bの長手方向に沿って取り付けた軸を支点としてドア3やパネル4を揺動させることができる軸吊り丁番(いわゆるピポットヒンジ)なども連結機構として採用することができる。
【0036】
<他の固定部材について>
上記例では、固定部材としていわゆるフランス落とし10を採用した場合を説明したが、固定部材はパネル4と戸枠2とを固定解放できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、以下に示すような構造として、ボルト等によってパネル4と戸枠2とを固定解放できるようにしてもよい。
【0037】
例えば、
図5に示すように、中間枠5の側面に開口5hを設けて、中間枠5の内底壁5bに貫通孔hを形成する。そして、パネル4を閉じた状態において、下枠2cにおける内底壁5bの貫通孔hと対向する位置に雌ネジ穴やナットNなどを設けておく。すると、内底壁5bの貫通孔hにボルトBを挿通してボルトBを下枠2cの雌ネジ穴やナットN等に螺合すれば、中間枠5と下枠2c、つまり、パネル4と戸枠2とを固定することができる。この場合、中間枠5の開口5hを塞ぐカバー部材5cを設ければ、ボルトBなどが見えないようにすることができるので、見栄えの悪化を防ぐことができる。この場合も、中間枠5内の空間が特許請求の範囲にいう固定部材収容部に相当する。
【0038】
なお、パネル4と戸枠2とを固定する際に、上記のようにボルトBを下枠2cの雌ネジ穴やナットNに螺合しなくてもよい。フランス落とし10と同様に、ボルトB等の軸状の部材を、単に内底壁5bの貫通孔hと下枠2cの孔2gに挿入して、中間枠5と下枠2cとが移動しないようにしてもよい。
【0039】
また、上枠2dとパネル4を固定解放する固定部材(上部固定部材)と、下枠2cとパネル4を固定解放する固定部材(下部固定部材)と、を両方設ける場合には、両者は同じ機構としてもよいが(
図3参照、
図3ではいずれもフランス落とし10)、異なる機構としてもよい。例えば、下部固定部材としてボルトなどにより固定解放する構造を採用し、上部固定部材にフランス落としを採用すれば、下部固定部材によってパネル4と戸枠2とを強固に固定できる一方、上部固定部材によるパネル4と戸枠2との固定解放が容易にできる。
【0040】
<固定部材の設置場所について>
上記例では、フランス落とし10等の固定部材は、中間枠5においてドア3と反対側に位置する反ドア側の面(
図2では右側の面)に設けられている場合を説明した。しかし、固定部材は中間枠5に対して反ドア3側に位置するように設ければよく、その設置位置はとくに限定されない。
【0041】
上記例(
図2、
図3参照)では、中間枠5の側面に埋め込まれた状態となるようにフランス落とし10が設けられているが、中間枠5の側面に固定部材を設けてもよい。つまり、
図2において、中間枠5よりも右側の竪枠2b側の空間に露出した状態となるように固定部材を設けてもよい。例えば、中間枠5の右側の竪枠2b側の側面等にブラケット等を設けて、そのブラケット等にフランス落とし等の固定部材を設けてもよい。
【0042】
また、パネル4と戸枠2を直接連結する部材を固定部材として使用してもよい。つまり、固定部材は中間枠5ではなくパネル4に設けてもよい。例えば、
図6に示すように、L字状の部材20を固定部材として使用すれば、中間枠5に対して反ドア3側において、固定部材20よって戸枠2とパネル4とを直接連結することができる。つまり、一方の板状部21を戸枠2の下枠2cに面接触させて、他方の板状部22をパネル4に面接触させる。そして、ネジn等によって板状部21を戸枠2の下枠2cに固定し、他方の板状部22をパネル4に固定する。すると、パネル4と戸枠2を固定部材20よって直接連結することができる。
【0043】
さらに、特許請求の範囲にいう、「固定部材が、前記中間枠に対して反ドア側に設けられている」とは、固定部材が中間枠5に対してドア3と反対側に位置する場所に設けられている場合(
図6参照)に限られない。つまり、固定部材の全体または一部が中間枠5に埋め込まれている状態(
図2、
図3参照)や、固定部材が中間枠5内に配設されているがドア3側と反対側の面から操作や作業が実施される状態(
図3、
図5参照)も含む概念である。
【0044】
そして、中間枠5によって固定部材がドア3の側から見えない位置に配置されている場合も、特許請求の範囲にいう「固定部材が、前記中間枠に対して反ドア側に設けられている」に含まれる。例えば、
図5に示すように中間枠5に開口5hを設けてその開口5hを通してボルトBによって中間枠5と戸枠2を固定する作業を行う場合には、開口5hを閉じてしまえば固定部材は中間枠5によってドア3の側から見えない。つまり、
図5に示すような固定部材を使用する場合には、中間枠5の室内側の面(
図2では下方に位置する面)や中間枠5のドア側の面(
図2では左方に位置する面)に開口5hを設けた場合も、固定部材はドア3の側から見えない。このような場合も、特許請求の範囲にいう「固定部材が、前記中間枠に対して反ドア側に設けられている」に含まれる。
【0045】
また、上述したように、固定部材は中間枠5ではなくパネル4に設けてもよいが、中間枠5に設ければパネル4を安定して戸枠2に固定できる。なお、上部固定部材と下部固定部材と、を両方設ける場合には、両方を中間枠5またはパネル4に設けてもよいし、一方を中間枠5に設け他方をパネル4に設けてもよい。
【0046】
さらに、中間枠5にフランス落とし10等の固定部材を設けつつ、パネル4と戸枠2を直接連結する固定部材を別途設けてもよい。例えば、
図6に示すように、L字状の部材20を固定部材として使用することができる。つまり、一方の板状部21を戸枠2の下枠2cに面接触させて、他方の板状部22をパネル4に面接触させて、ネジn等によって板状部21を戸枠2の下枠2cに固定し、他方の板状部22をパネル4に固定する。すると、パネル4と戸枠2を固定部材20よって直接連結することができる。
【0047】
<中間枠5の他の例>
中間枠5はパネル4に固定されていてもよいが、パネル4に対して着脱可能に設けられていてもよい。この場合、パネル4を開いたときに中間枠5を取り外せば、物品の搬入等を行う際に、中間枠5が邪魔にならない。また、パネル4を軽くできるので、パネル4の移動を楽に行うことができる。
【0048】
さらに、施工の際には、施工現場でパネルと中間枠を連結して組み立てることが可能になるので、パネル4の搬送が楽になる。しかも、パネル4を戸枠2に取り付けてから中間枠5を取り付けるようにすれば、パネル4の設置作業も楽になる。
【0049】
なお、中間枠5をパネル4に着脱可能に固定する方法はとくに限定されない。例えば、ボルトやネジ等によって両者を固定解放できるようにしてもよいし、差し込み式、けんどん式等の方法を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のドアセットは、戸建住宅やマンションなどの居住用建物の玄関に設置されるドアセットとして適している。
【符号の説明】
【0051】
1 ドアセット
2 戸枠
3 ドア
4 パネル
5 中間枠
10 フランス落とし