(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】LNGプラントにおけるガス回収のための統合システムおよびプロセス
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
(21)【出願番号】P 2017550109
(86)(22)【出願日】2016-03-24
(86)【国際出願番号】 MY2016000014
(87)【国際公開番号】W WO2016153334
(87)【国際公開日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】PI2015000746
(32)【優先日】2015-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(73)【特許権者】
【識別番号】512172040
【氏名又は名称】ペトロリアム ナショナル ブルハド (ペトロナス)
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビー ガザーリー、アミール ハムザ
(72)【発明者】
【氏名】ビー アハマド、エム ファズル
(72)【発明者】
【氏名】ビー ワン ヤヒヤ、ワン アハマド アクラム
(72)【発明者】
【氏名】ビー アブドゥーラ、アミラン
(72)【発明者】
【氏名】中山 徹
(72)【発明者】
【氏名】野田 隆
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-146998(JP,A)
【文献】特開2013-087911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0275646(US,A1)
【文献】特開2015-054577(JP,A)
【文献】特開昭58-046299(JP,A)
【文献】特表2007-511717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0107686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C F17C1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGを受け入れる第1の入口と、
LNGタンクからのボイルオフガスを受け入れる第2の入口と、
前記LNGタンクからのLNGをストリッピングラインか
ら受け入れる第3の入口と、
を有するフラッシュドラムと、
少なくとも2段の圧縮機を有し、
前記フラッシュドラムの第1の出口からのガス流を圧縮して圧縮ガス流を放出するように構成された統合圧縮機列と、を備え、
該第1および第2の入口の天然ガスおよびLNGを分離して、前記第1の出口で前記ガス流を生成し、
前記フラッシュドラムの第2の出口でLNGを出すように構成され、
前記フラッシュドラムは、前記第2の入口の天然ガスを凝縮するように構成され、さらに前記第1の入口および第2の入口間での熱交換を可能にするように構成され
る、LNGプラントにおける統合ガス回収システム。
【請求項2】
前記第3の入口からのLNGは、前記第1の入口からのLNGが利用できない場合に前記ボイルオフガスを凝縮するように構成される、請求項1に記載の統合ガス回収システム。
【請求項3】
前記LNGプラントがオフショアの浮上船上に配置される、請求項1
または2に記載の統合ガス回収システム。
【請求項4】
前記システムが、前記第1の出口からの前記ガス流をフレアするフレアスタックを更に備える、請求項1
から3のいずれか一項に記載の統合ガス回収システム。
【請求項5】
前記システムが、前記圧縮ガス流を前記統合ガス回収システムに戻すラインを更に備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の統合ガス回収システム。
【請求項6】
前記ラインが、前記統合ガス回収システムに戻る圧縮ガス流の流れを制御する1つ以上の遮断弁を備える、請求項
5に記載の統合ガス回収システム。
【請求項7】
前記第1の出口の運転温度が-161℃から-159℃である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の統合ガス回収システム。
【請求項8】
前記第1段圧縮機の吸込温度が-161℃から-159℃である、請求項1に記載の統合ガス回収システム。
【請求項9】
フラッシュドラムを提供するステップと、
LNGを
前記フラッシュドラムの第1の入口から受け入れるステップと、
LNGタンクからのボイルオフガスを
前記フラッシュドラムの第2の入口から受け入れるステップと、
前記LNGタンクからのLNGを、ストリッピングラインから
、前記フラッシュドラムの第3の入口から受け入れるステップと、
該第1および第2の入口の天然ガスおよびLNGを分離して、
前記フラッシュドラムの第1の出口でガス流を生成し、
前記フラッシュドラムの第2の出口でLNGを出すステップと、
少なくとも2段の圧縮機を使用して、該第1の出口からの該ガス流を圧縮して圧縮ガス流を放出するステップと、
前記フラッシュドラムを使用して、前記第2の入口の天然ガスを凝縮し、前記第1の入口および第2の入口間で熱交換を行うステップと、を含む、統合システムを用いたLNGプラントにおけるガス回収のためのプロセス。
【請求項10】
前記第3の入口からのLNGは、前記第1の入口からのLNGが利用できない場合に前記ボイルオフガスを凝縮するように構成される、請求項9に記載のガス回収のためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの管理および回収のための統合システムおよびプロセスに関する。それは特に、排他的にではないが、LNGプラントにおけるボイルオフガス(BOG)回収に有用である。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(LNG)は、-160℃の極低温で液状の天然ガスである。天然ガスがLNGへと変化すると、その体積は減少する。この体積の減少により、天然ガスの長距離輸送を経済的に行うことが可能になる。
【0003】
一般的なLNGプラント5では、ガス田1からの天然ガスは、前処理ユニット10、酸性ガス除去ユニット15、脱水ユニット20、重炭化水素分離ユニット25を通過し、液化ユニット30で液化され、そこで体積が600分の1に減少する。次に、LNGはLNGタンク55に貯蔵される。これらの処理ユニットは、
図1、2a、および2bに示されている。
【0004】
エンドフラッシュユニット35は、液化ユニット30の下流側に設置され、LNGがLNGタンク55に貯蔵される前にその圧力を低減する。更に、エンドフラッシュユニット35は、LNGプラント5のLNGスループットを増加させるという更なる利点を有する。エンドフラッシュユニット35は、LNG流を所望の温度まで膨張冷却し、より温かいLNG流を液化ユニットから逃がす。この目的のため、エンドフラッシュユニット35は伝熱を改善し、エンドフラッシュユニット35の一部を形成する熱交換器(図示なし)の冷却負荷を低減する。結果として、より多量の天然ガスが熱交換器内で凝縮され、それが主に販売LNG 45としてエンドフラッシュユニット35を出る。エンドフラッシュユニット35からの塔頂留出流またはフラッシュガス40は、LNGプラント5の燃料ガスとして使用されてもよい。
【0005】
エンドフラッシュ圧縮機列50は、エンドフラッシュユニット35の下流側に用いられて、出ていくフラッシュガス40を、他のプロセスで燃料ガス90として使用するために圧縮することができる。
図2aは、エンドフラッシュユニット35およびエンドフラッシュ圧縮機列50の構成を更に詳細に示している。
【0006】
エンドフラッシュユニット35から放出された販売LNG 45は、LNGタンク55に一時的に貯蔵される。貯蔵および輸送中にLNGタンク55に入る熱により、タンク内の販売LNG 45の一部が継続的に蒸発し、ボイルオフガス(BOG)と呼ばれるガスを作り出し、それによって販売LNG 45の品質が時間と共に変化する。BOGは、LNGタンク55内部の圧力を上昇させるので、安全圧力レベルを維持するためには除去しなければならない。従来、BOG 60はBOGノックアウトドラム65に通され、そこで一部のBOGが再液化されLNG貯蔵タンク55に戻されて(75)、貴重なLNGを再循環させ回収するので、それを行わなければ余分なBOGとして失われるであろうLNGがフレアされ除去されて、安全圧力レベルが維持される。蒸気として残っているBOGは、次に、BOG圧縮機70によって圧縮され、天然ガス85として輸出される。熱交換のため、LNG急冷ライン62がBOGノックアウトドラム65の上流側に含まれてもよい。
図2bは、BOGノックアウトドラム65およびBOG圧縮機70の構成を更に詳細に示している。
【0007】
近年、フローティングLNG(F-LNG)が世界中で益々重要性を増してきている。オフショア液化を可能にする新技術に伴い、石油生産者は、FLNGが隔離されたオフショア天然ガス埋蔵量を活用するコスト効率の良い方法であり得ると考えている。しかしながら、LNG生産をオフショア設備に移すことには、要求が厳しい一連の課題がある。従来の「オンショア」LNGプラントは、相当量の処理ユニットと、FLNG施設で利用可能なプロットスペースを超えて延在する長いパイプラインとを必要とする。設計および建設の観点から、最高レベルの安全性を維持するとともにLNG生産に対する柔軟性を向上させつつ、従来のLNG施設のすべての要素をFLNG施設の上部に収める必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
天然ガス供給物をLNGへと変換する、コスト効率が良く空間効率が良いシステムおよびプロセスが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、LNGを受け入れる第1の入口と、ボイルオフガスを受け入れる第2の入口とを備え、第1および第2の入口の天然ガスおよびLNGを分離して、ガス流の第1の出口およびLNGの第2の出口を作成するように構成された、LNGプラントにおける統合ガス回収システムを提供する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、LNGを第1の出口から受け入れるステップと、ボイルオフガスを第2の入口から受け入れるステップと、第1および第2の入口の天然ガスおよびLNGを分離して、ガス流の第1の出口およびLNGの第2の出口を作成するステップとを含む、統合システムを用いたLNGプラントにおけるガス回収のためのプロセスを提供する。
【0011】
考察したように、従来のLNGプラントは、別個のシステムを、即ちエンドフラッシュユニット、BOGノックアウトドラム、およびそれらそれぞれのまたは専用の圧縮機列を使用して、LNGのスループットを最適化し、LNGプラント内の安全動作条件を維持する。
【0012】
従来のLNGプラントと比較して、本発明の一実施形態による統合ガス回収システムによって提供される利点は、別個の処理ユニットおよびシステムを必要とすることなく、安全動作条件を維持しながら、LNGプラントのLNGスループットと、BOGおよびエンドフラッシュガスを含むLNGプラントで発生する回収ガスの両方を管理できるという点である。安全動作条件は、一例では、統合ガス回収システムを使用してLNG圧力を調整することによって、LNGプラント内で達成することができる。したがって、本発明の統合ガス回収システムは、機器数を低減し、それによってLNGプラントの設計および建設が単純化される。その結果として、資本投資および長期運用コストを低減することができる。
【0013】
一実施形態では、統合ガス回収システムおよびLNGプラントは、オフショアの浮上船または運送船上に配置されてもよい。
【0014】
代替実施形態では、統合ガス回収システムは、統合ガス回収システムから放出されたガス流を圧縮するように構成された、統合圧縮機列を含んでもよい。有利には、統合圧縮機列は、次のものによる圧縮荷重に対処する。
i)LNGタンクから発生したBOG、
ii)輸送中の蒸気戻り、
iii)LNGランダウンもしくは統合ガス回収システムからのフラッシュガス流、または、
iv)それらの組み合わせ。
【0015】
考察したように、従来のLNGプラントは、一般的に、1つはエンドフラッシュユニット用、1つはBOGノックアウトドラム用の、少なくとも2つの別個の圧縮機列を伴って稼働する。かかる配置の欠点は、圧縮荷重を2つの圧縮機列間で分割できるという理由ではない場合よりも、圧縮機が十分に活用されないことが多い点である。
【0016】
したがって、統合圧縮機列を提供することによって、本発明は、オフショアLNGプラントを稼働するための総合的な経済性を改善する手段を提供する。これは、LNGプラントを稼働させるのに必要な圧縮機列の数を低減し、それによって先行資本投資および進行中の運転コストを低減することによって達成される。
【0017】
一実施形態では、統合ガス回収システムは、二段圧縮機を含む圧縮機列を含んでもよい。
【0018】
別の実施形態では、統合ガス回収システムは、統合システムの第1および第2の入口の間で熱交換を可能にするように構成されてもよい。この目的のため、LNG BOGと液化ユニットからのLNGランダウンとの間の熱交換は、次のことによって圧縮機列の効率を改善する。
i)第1段圧縮機の吸込温度を-160℃まで低下させること、および、
ii)圧縮機の吸込配管のサイズを低減すること。
【0019】
別の実施形態では、統合ガス回収システムの第1の出口は、-161℃~-159℃の運転温度を有してもよい。
【0020】
別の実施形態では、統合ガス回収システムは、-161℃~-159℃の吸込温度を有する第1段圧縮機を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施形態について、単なる例として図面を参照して記載する。
【
図1】従来のLNGプラントに関与するシステムおよびプロセスを示す概略ブロック図である。
【
図2a-2b】
図1のエンドフラッシュユニット、BOGノックアウトドラム、およびそれらそれぞれの圧縮機列を示す構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるガス回収のための統合システムおよびプロセスを示す概略ブロック図である。
【
図4】
図3のガス回収のための統合システムおよびプロセスを示す構成図である。
【
図5】本発明の別の実施形態によるガス回収のための統合システムおよびプロセスを示す概略ブロック図である。
【
図6】
図5のガス回収のための統合システムおよびプロセスを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、LNGプラントのLNG、BOG、およびエンドフラッシュガスのスループットを管理する、統合ガス回収システムおよびプロセスに関する。特に、統合システムおよびプロセスは、液化ユニットの下流側の圧力レベルなど、安全動作条件の管理を伴う。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態による、LNGプラント130のための統合ガス回収システム100の概略ブロック図を示している。統合ガス回収システム100は、構造充填物、液体分配器、ランダム充填物、またはそれらの組み合わせを含む、フラッシュドラム95であってもよいことが理解されるであろう。
図4は、
図3の統合ガス回収システム100の構成を示している。
【0024】
統合ガス回収システム100は、入口105、110および出口115、120を有するフラッシュドラム95を備える。液化ユニット30からのLNGは、統合ガス回収システム100の.入口110に供給される。それとは別に、LNGタンク125からのBOGは、統合ガス回収システム100の入口105に向けられる。
【0025】
それに加えて、本発明の一実施形態によるフラッシュドラム95は、入口110からのLNGと入口105からのBOGとの間の熱交換または伝熱を含んでもよい。熱交換のプロセスにおいて、入口105、110からのLNGは急冷され凝縮し、それが次に、フラッシュドラム95の底部に沈殿し、出口115を通って出る。LNG 115は次に、LNGタンク125に戻され貯蔵される。気相で残ったBOGは、窒素およびエタンなどのような気化ガスまたはフラッシュガスの比較的少量の混合物と共に、入口110から上昇し、出口120を通ってフラッシュドラム95の頂部から出る。
【0026】
出口120におけるガスの運転温度は、本発明の任意の実施形態によれば、入口110に供給されるLNGの量および/または入口105に供給されるBOGの量を変化させることによって、制御弁を介して維持または変更されてもよい。
図3および4に示される実施形態では、出口120におけるガスの運転温度は、プロセス外乱および制御ノイズがなければ、すべての運転シナリオで-161℃~-159℃に維持されてもよい。
【0027】
統合ガス回収システム100の内部およびパイプラインは、本発明の任意の実施形態によれば、LNGプラント130の最適な空間効率およびLNGスループットを達成するように、合理的にサイズ決めされてもよい。一実施形態では、フラッシュドラム95は、LNGとBOGの間における所望量の伝熱および質量移動に必要な機器を収容する、より複雑な内部を含んでもよい。
【0028】
出口120からのガスの混合物は、本発明の任意の実施形態によれば、統合圧縮機列135を使用して圧縮され、FLNG発電のために燃料ガスシステム143に向けられてもよい。あるいは、圧縮機列135から放出された圧縮ガスは、LNGプラント130の補助機関、ガスタービン、ガスディーゼル機関、および/または気化器に動力供給するのに使用されてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態では、統合圧縮機列135は、次のものによる圧縮荷重に対処する、二段圧縮機(第1段および第2段)を備えてもよい。LNGタンク125から発生する(105)BOG、LNG運送船からの輸送中の蒸気戻り150、フラッシュドラム95からのガス流120、およびそれらの組み合わせ。圧縮荷重は、積出しモードと保持モードとの間で変動してもよい。保持モード中の圧縮荷重に対して、LNG積出し作業の間は、LNG運送船からの蒸気が統合ガス回収システム100に戻る(105)ので、圧縮機列135の圧縮荷重は著しく増加する。設計要件に応じて、LNGプラント130における圧縮機列135の容量または荷重を増加させるため、更なる圧縮機が追加されてもよい。
【0030】
フラッシュドラム95は、本発明の任意の実施形態によれば、入口105からのBOGと液化ユニット30からのLNGランダウン110との間の継続的な熱交換を含んでもよい。この場合、継続的な熱交換は、圧縮機列135の冷却負荷を低減させ、それによって圧縮機列135の効率が向上する。有利には、第1段圧縮機の吸込温度は-161℃~-159℃で維持されてもよく、これは、従来のLNGプラントにおける-100℃~-140℃の範囲と比較して大幅に低い。ガスは低温で収縮するので、統合圧縮機列135の吸込配管サイズが低減されて、より一層のコストおよび操作面での削減を得ることができる。
【0031】
統合圧縮機列135は、低温条件に耐えるように設計され、またそのような材料で作られてもよいことが理解されるであろう。
【0032】
本発明の一実施形態では、
図4および6に示されるように、統合圧縮機列135の安全運転のため、耐サージライン145が設置されてもよい。耐サージライン145は、圧縮機列135から放出された圧縮ガスを、フラッシュドラム95に戻すかまたは再循環させる。この目的のため、耐サージライン145は、LNGプラント130の運転開始および停止、LNG負荷移動、および電力断の間において、圧縮機列135のサージを防ぎ、圧力および流れの転移に対処する。
【0033】
本発明の別の実施形態では、耐サージライン145は、フラッシュドラム95に戻る圧縮ガスの供給または流れを制御する、1つ以上の遮断弁または開閉弁(例えば、KSV)を含んでもよい。例えば、圧縮機の故障中または圧縮機列の整備中、弁が遮断されて、圧縮ガスがフラッシュドラム95に戻るのを停止してもよい。この配置は、整備または点検作業に備えて、圧縮機列135および耐サージライン145を統合ガス回収システム100から隔離する。
【0034】
本発明の更なる実施形態では、耐サージライン145はまた、遮断弁が全開の時およびその場合に限って圧縮機の始動を可能にするように構成された、許容ロジック(permissive logic)を含んでもよい。
【0035】
図3~6で分かるように、本発明の更なる実施形態は、フラッシュドラム95の下流側にフレアスタック140を備えて、緊急時、電力または機器の故障時、機器の整備時、または他のプラントのアップセット状態時に、ガスの安全な処分を可能にしてもよい。極度のターンダウンまたは緊急状態の場合、液化ユニット30からのLNGランダウンが継続する場合があり、フラッシュドラム95の容量を超える量でBOGが発生する場合がある。この場合、フラッシュドラム95内のBOGとフラッシュガスの混合物は、フレアリングまたは通気によって雰囲気へと送られる。
【0036】
図5および6を参照すると、統合ガス回収システム100の更なる実施形態は、LNGストリッピングライン155を含んでもよい。LNGストリッピングライン155は、LNGタンク125からのBOG 105およびLNG運送船からの蒸気戻り150を急冷または凝縮するため、LNGをLNGタンク125から給送する。その結果として、LNGストリッピングライン155は、LNGランダウンが液化ユニット30から利用できない場合のバックアップの役割を果たす。
【0037】
本発明の別の実施形態による統合ガス回収システム100は、統合圧縮機列135からの圧縮ガスを、脱水ユニットおよび重HC分離ユニットのような上流側ユニットのための再生ガス160として使用することを含んでもよい。