(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】細胞標的化標識送達系
(51)【国際特許分類】
C12N 5/078 20100101AFI20220405BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 51/08 20060101ALI20220405BHJP
A61K 49/14 20060101ALI20220405BHJP
A61K 49/04 20060101ALI20220405BHJP
C12Q 1/02 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
C12N5/078 ZNA
A61K49/00
A61K51/08 200
A61K49/14
A61K49/04
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2017567303
(86)(22)【出願日】2016-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2016064483
(87)【国際公開番号】W WO2016207256
(87)【国際公開日】2016-12-29
【審査請求日】2019-06-05
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】519063093
【氏名又は名称】セリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】クロール,マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】ベニ,イレーナ
(72)【発明者】
【氏名】バイオッコ,パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ライジール,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ボッフィ,アルベルト
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-533061(JP,A)
【文献】Biomaterials, (2012), Vol.33, pp.4195-4203
【文献】Nanomedicine: Nanotechnology, Biology, and Medicine, (2014), Vol.10, pp.561-569
【文献】International Journal of Pharmaceutics, (2009), Vol.377, pp.199-206
【文献】Biochimica et Biophysica Acta, (2012), Vol.1820, pp.291-317
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍、炎症領域または低酸素マーカーであるpimonidazoloneで可視化可能な低酸素領域を診断するためのin vivo方法で使用するための単離標的化送達系であって、CD45
+白血球細胞を含み、該細胞内に1つ以上の鉄結合タンパク質と標識との複合体を含む、単離標的化送達系。
【請求項2】
前記白血球細胞がCD34
+造血前駆細胞から作製
される、請求項1に記載の単離標的化送達系。
【請求項3】
前記白血球が単球、分化単球、リンパ球及び顆粒球からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の単離標的化送達系。
【請求項4】
(i)前記単球がCD11b
+ CD14
+単球、CD11b
+ CD16
+単球、CD11b
+CD14
+CD16
+単球、CD11b
+ CD14
+MHCII
+単球、CD11b
+ CD14
+ CD115
+単球、CD11b
+ CD114
+単球、CD11b
+CD116
+単球、CD11b
+ CCR1
+単球、CD11b
+CCR2
+単球、CD11b
+CX3CR
+単球、CD11b
+CXR4
+単球、CD11b
+CXR6
+単球及びCD11b
+CD14
+CD33
+単球からなる群から選択されるCD11b
+単球であり、
(ii)前記分化単球がマクロファージ、活性化マクロファージ、若しくはCD11b
+マクロファージ、若しくはCD11b
+CD16
+マクロファージ、CD11b
+ CD32
+マクロファージ、CD11b
+CD64
+マクロファージ、CD11b
+CD68
+マクロファージ、若しくはCD11b
+ CD86
+ M1マクロファージ、若しくはiNOSを産生する及び/又はインターロイキン12(IL-12)を分泌するもの、若しくはCD11b
+ CCR2
+M2マクロファージ、CD11b
+ CD204
+ M2マクロファージ、CD11b
+ CD206
+ M2マクロファージ、CD11b
+ CD204
+ CD206
+ M2マクロファージ、CD11b
+主要組織適合遺伝子複合体II
+(MHCII
+)(低発現又は高発現)M2マクロファージ、CD11b
+ CD200R
+ M2マクロファージ、CD11b
+ CD163
+ M2マクロファージ、若しくはアルギナーゼを産生する及び/又はインターロイキン10(IL-10)を分泌する活性化マクロファージ;若しくはCD11b CD11c、CD11b CD80、CD11c CD80、CD11c CD86、CD11c MHCII及びCD11c CD123の発現を有する樹状細胞からなる群から選択され、若しくは前記分化単球がLox1
+、CXCR7
+及びNRF2
+泡沫細胞ではなく、
(iii)単球若しくは活性化単球がCCR1、CCR2
+、CXR4
+及びCXR6
+からなる群から選択される少なくとも1つのケモカイン受容体、若しくはマクロファージコロニー刺激因子受容体(CD115)、顆粒球コロニー刺激因子受容体(CD114)及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子受容体(CD116及びCD131からなる)からなる群から選択される少なくとも1つの成長因子受容体を発現し、これらの特徴の単球が炎症状態及び癌の治療に好適であり、
(iv)前記リンパ球がCD3
+及びCD4
+若しくはCD8
+ Tリンパ球、若しくはCD19
+、CD20
+、CD21
+、CD19
+ CD20
+、CD19
+ CD21
+、CD20
+CD21
+若しくはCD19
+ CD20
+ CD21
+Bリンパ球からなる群から選択され、又は、
(v)前記顆粒球が好中球、若しくはCD66b
+好中球、好酸球及び好塩基球、若しくはCD193
+好酸球からなる群から選択される、
請求項3に記載の単離標的化送達系。
【請求項5】
前記活性化マクロファージが、
(i)マクロファージ上の発現マーカーを変化させることが可能な因子との、
(a)少なくとも1つのM1誘導因子との、
(b)少なくとも1つのM2誘導因子との、又は、
(c)サイトカイン、若しくはIL-10及びIL-12、ケモカインを分泌する、及び/又はiNOS、アルギナーゼ若しくは他の免疫調節酵素を産生するマクロファージの能力を変化させることが可能な因子との、
単球又はマクロファージのin vitroインキュベーションによって作製
され、
(ii)以下の抗原:CD64、CD86、CD16、CD32の少なくとも1つの発現、MHCIIの高発現、及び/又はiNOS及び/又はIL-12の産生を特徴とし、
(iii)マクロファージの貪食能力を誘導することが可能な因子との単球又はマクロファージのinvitroインキュベーションによって作製
され、
(iv)以下の抗原:CD204、CD206、CD200R;CCR2、トランスフェリン受容体(TfR)、CXC-モチーフケモカイン受容体4(CXCR4)、CD163、及び/又はT細胞免疫グロブリン-ドメイン及びムチン-ドメイン2(TIM-2)の少なくとも1つの発現を特徴とし、及び/又はMHCIIの低発現を示し、
(v)貪食能力を有し、及び/又は、
(vi)サイトカイン、若しくはIL-12若しくはIL-10の分泌、又は誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)(又は他の炎症誘発性化合物)、アルギナーゼ又は他の免疫抑制性/抗炎症性化合物の産生が可能である、
請求項4に記載の単離標的化送達系。
【請求項6】
(i)前記M1誘導因子がLPS、INF-γ、GM-CSF、並びにウイルス感染及び細菌感染からなる群から選択され、又は、
(ii)前記M2誘導因子がIL-4、IL-10、IL-13、抗原と抗体との免疫複合体、IgG、熱活性化γ-グロブリン、糖質コルチコステロイド、TGF-β、IL-1R、CCL-2、IL-6、M-CSF、PPARγアゴニスト、白血球阻止因子、アデノシン、蠕虫感染及び真菌感染からなる群から選択される、
請求項5に記載の標的化送達系。
【請求項7】
前記単球が、
(i)CD34
+造血前駆細胞から作製
され、
(ii)少なくとも1つの誘導因子、若しくはM1又はM2誘導因子、若しくは少なくとも1つのM2誘導因子との単球のinvitroインキュベーションによって作製
され、
(iii)以下の抗原:TfR
+、CD163
+、TIM-2
+、CD14
+、CD16
+、CD33
+及び/又はCD115
+の少なくとも1つの発現を特徴とし、
(iv)以下の抗原:TfR
+、CD163
+、TIM-2
+、CXCR4
+、CD14
+及び/又はCD16
+の少なくとも1つの発現を特徴とし、及び/又は、
(v)貪食能力を有する、
請求項4に記載の単離標的化送達系。
【請求項8】
(i)前記M1誘導因子がLPS、INF-γ、GM-CSF、又はウイルス感染若しくは細菌感染からなる群から選択され、
(ii)前記M2誘導因子がIL-4、IL-10、IL-13、抗原と抗体との免疫複合体、IgG、熱活性化γ-グロブリン、糖質コルチコステロイド、TGF-β、IL-1R、CCL-2、IL-6、M-CSF、PPARγアゴニスト、白血球阻止因子、癌馴化培地、癌細胞、アデノシン、及び蠕虫感染又は真菌感染からなる群から選択される、
請求項7に記載の標的化送達系。
【請求項9】
前記リンパ球が、
(i)血液、脾臓若しくは骨髄から得られるか、又はCD34
+前駆細胞から作製
され、
(ii)免疫適格リンパ球であり、
(iii)抗原特異的T細胞受容体を発現し、及び/又は、
(iv)以下の抗原:(a)CD3
+及びCD4
+若しくはCD8
+、又は(b)CD19
+、CD20
+、CD21
+、CD19
+ CD20
+、CD19
+ CD21
+、CD20
+CD21
+若しくはCD19
+ CD20
+ CD21
+抗原の少なくとも1つの発現を特徴とし、若しくは免疫グロブリンを産生することが可能である、
請求項4に記載の単離標的化送達系。
【請求項10】
前記顆粒球が、
(i)血液、脾臓若しくは骨髄から得られるか、又はCD34
+前駆細胞から作製
され、
(ii)CD66b
+及び/又はCD193
+の少なくとも1つの発現を特徴とし、
(iii)それらの細胞質中の顆粒の存在を特徴とする多形核白血球であり、及び/又は、
(iv)TfR
+、CD163
+、TIM-2
+及び/又はCXCR4
+の少なくとも1つの発現を特徴とする、
請求項4に記載の単離標的化送達系。
【請求項11】
前記鉄結合タンパク質がフェリチン、若しくは重鎖(H)型フェリチン、軽鎖(L)フェリチン及び/又はミトコンドリアのフェリチン;ヘモグロビン、若しくはヘモグロビンA、ヘモグロビンAS、ヘモグロビンSC、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、ヘモグロビンH;ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体、ヘモペキシン、トランスフェリン;並びにラクトフェリンからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の単離標的化送達系。
【請求項12】
前記標識が蛍光色素、蛍光発光同位体、放射性同位体、検出可能なポリペプチド又は検出可能なポリペプチドをコードする核酸、及び造影剤から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の単離標的化送達系。
【請求項13】
前記標識が二価又は三価金属カチオンと錯体を形成するキレート剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の単離標的化送達系。
【請求項14】
前記キレート剤が1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N,N'-四酢酸(DOTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン-N,N,N',N',N''-五酢酸(DTPA)及び6-ヒドラジノピリジン-3-カルボン酸(HYNIC)からなる群から選択される、請求項13に記載の単離標的化送達系。
【請求項15】
前記造影剤がGd、Eu、W及びMn、又はフェリハイドライトから選択される常磁性剤を含む、請求項12に記載の単離標的化送達系。
【請求項16】
前記放射性同位体/蛍光発光同位体がα線放出同位体、γ線放出同位体、オージェ電子放出同位体、X線放出同位体、
65Tb等の蛍光同位体、
18F、
51Cr、
67Ga、
68Ga、
89Zr、
111In、
99mTc、
140La、
175Yb、
153Sm、
166Ho、
88Y、
90Y、
149Pm、
177Lu、
47Sc、
142Pr、
159Gd、
212Bi、
72As、
72Se、
97Ru、
109Pd、
105Rh、
101m15Rh、
119Sb、
128Ba、
123I、
124I、
131I、
197Hg、
211At、
169Eu、
203Pb、
212Pb、
64Cu、
67Cu、
188Re、
186Re、
198Au及び
199Ag等の蛍光発光同位体、並びに上記のものとタンパク質、ペプチド、小分子阻害剤、抗体又は他の化合物とのコンジュゲート及び組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の単離標的化送達系。
【請求項17】
前記蛍光色素が以下の蛍光色素群:キサンテン、アクリジン、オキサジン、シアニン、スチリル色素、クマリン、ポルフィン、金属-配位子錯体、蛍光タンパク質、ナノ結晶、ペリレン及びフタロシアニン、並びにこれらの色素群のコンジュゲート及び組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の単離標的化送達系。
【請求項18】
前記検出可能なポリペプチドが自家蛍光タンパク質、若しくは緑色蛍光タンパク質、又は吸着及び/又は発光スペクトルが変更された任意のその構造変異体である、請求項12に記載の単離標的化送達系。
【請求項19】
(i)前記複合体に含まれる
1以上の鉄結合タンパク質
と前記標識
が1以上の共有結合
及び/又は非共有結合
で連結され、及び/又は、
(ii)前記複合体に含まれる前記標識が前記鉄結合タンパク質又はその多量体によって捕捉/封入される、
請求項1~18のいずれか一項に記載の単離標的化送達系。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の単離標的化送達系を作製する方法であって、
a)精製鉄結合タンパク質を準備する工程と、
b)標識を鉄結合タンパク質に共有結合的若しくは非共有結合的に連結する、及び/又は標識を鉄結合タンパク質に封入する工程と、
c)CD45
+白血球細胞を準備する工程と、
d1)前記CD45
+白血球細胞を、工程b)において作製される前記鉄結合タンパク質と前記標識との複合体の存在下で、該CD45
+白血球細胞に工程b)において作製される該鉄結合タンパク質と標識との複合体が少なくとも部分的にロードされるまでインキュベートする工程、及び/又は、
d2)CD45
+白血球細胞を、前記標識の存在下で該CD45
+白血球細胞が該標識で少なくとも部分的に標識されるまでインキュベートする工程と、
を含む、方法。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の単離標的化送達系
と、薬学的に許容可能な担体及び/又は好適な賦形剤
とを含む診断用組成物。
【請求項22】
腫瘍、若しくは固形腫瘍、その転移、又は乳癌、膵癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌若しくはその転移、又は低酸素マーカーであるpimonidazoloneで可視化可能な低酸素領域を有する腫瘍の診断するためのinvivo方法に使用される、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離標的化送達系
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD45+白血球細胞を含み、該細胞内に1つ以上の鉄結合タンパク質及び/又は標識の複合体を含む単離細胞標的化送達系、並びにかかる単離細胞標的化送達系を作製する方法、並びに診断、特に癌、特に転移性癌の診断へのかかる系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のイメージングツールは、大きな転移(サイズが0.5 cm~1 cm超)を検出することが可能である。しかしながら、これらのイメージングツールは転移性腫瘍細胞の早期拡大を検出することは殆どない。0.5 cm未満のヒト転移は無血管であるため、適当な血液及び酸素供給を有しない。これは、それらの転移の標識及びそれらのイメージングを目的とする血液循環を介した造影剤の送達が可能でないことを意味する。低酸素状態の存在は微小転移に共通の特徴であり、血液灌流が殆ど又は全くない低酸素画分は90%に達し得る(非特許文献1)。このため、重度の低酸素状態が微小転移の一般的特徴と考えられる。
【0003】
大きな正常細胞集団内に隠された1つ以上の微小転移の標的化は、微小転移へのアクセスが幾つかの生物学的障壁、低い血液供給により妨げられることから特有の問題となり、微小転移の小さなサイズ及び器官へのそれらの分散により更なる障害が示される。
【0004】
同じ理由から、微小転移は療法に反応しない(refractive)ことが多い。微小転移の元となる固形腫瘍は多くの場合、従来の療法に良好に応答するが、原発腫瘍の部位又は転移の部位に再成長が見られることが多い。このことは臨床腫瘍学において深刻な問題となる(非特許文献2)。これは薬物透過を制限する固形腫瘍の微小環境の特徴に関連し、腫瘍は有効濃度より低い薬物に曝される(非特許文献3)。これは、塊内の癌細胞の高い不均一性、低い酸素圧(低酸素状態)、低いpH及び低いグルコース濃度をもたらす不適切な血管系に起因する(非特許文献4)。付加的に、幾つかの領域では急速な腫瘍細胞増殖が新たな血管の成長速度を上回り、低酸素領域の形成を促進する場合がある(非特許文献5)。腫瘍低酸素状態をもたらす、この異常な血管構造、続くそれらの機能障害は固形腫瘍を患う患者におけるより悪性の表現型及び低い生存率と関連し、癌細胞における薬物取込みの減少及び低酸素状態により誘導される変化による両方の治療の失敗を引き起こす(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献4)。さらに、化学療法又は放射線療法が大きな腫瘍低酸素領域の付加的な形成を引き起こし、腫瘍の治療を一層困難なものとしている。抗癌療法の有効性が低酸素腫瘍細胞の存在によって制限されることから、この問題の克服を目的とする様々な治療アプローチの導入につながっている。
【0005】
本発明者らは、CD45+白血球細胞、特に活性化マクロファージが1つ以上の鉄結合タンパク質と複合した又は複合していない1つ以上の標識をin vitroで取り込み、これらの複合体を細胞に又は細胞内に、好ましくは腫瘍細胞に又は腫瘍細胞内にin vivoで送達することができることを発見した。この観察結果に基づいて、本発明者らは上述の従来技術の問題の1つ以上を克服した。このため、本発明の標的化送達系は特に(inter alia)、以下の利点の1つ以上をもたらす:(i)上述のCD45+白血球を誘引する組織への、好ましくは罹患細胞内への1つ以上の標識の特異的送達、(ii)血液循環中での不活性化又は身体からの除去からの標識の保護、(iii)血管新生が乏しい又は血管新生されない疾患領域、例えば転移、より大きな腫瘍内の低酸素領域、リウマチ性病変、無血管創傷、皮膚の細胞への、好ましくは細胞内への標識の送達、(iv)標識の毒性の低減、(v)薬物動態が低い標識の送達、(vi)標識の標的化送達に起因する副作用の低減、(vii)標的化送達によるより低用量の標識を用いたより高い診断有効性、(viii)CD45+白血球内にロードされる鉄結合タンパク質に連結した標識の投与に起因する標識投与部位での局所組織傷害のより低いリスク、及び/又は(ix)高度に低酸素状態の小転移の検出可能性(非特許文献8)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Li, et al. 2012, Journal of Solid Tumours, 2(2): 28-33
【文献】Muthana, et al. 2012, Cancer Res; 73(2); 490-495
【文献】Hobbs, et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA: 4607-4612
【文献】Kizaka-Kondoh, et al., 2003, Cancer Sci94(12):1021-1028
【文献】Lewis and Murdoch, 2005, Am J Pathol 167(3):627-635
【文献】Sun, et al., 2012, Clin Cancer Res 18(3):758-770
【文献】Sullivan, et al., 2008 Mol Cancer Ther 7(7):1961-1973
【文献】Perez-HerreroE, Fernandez-MedardeA. 2015, Eur J Pharm Biopharm 93:52-79
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明は、好ましくは鉄結合タンパク質を内在化させることが可能なCD45+白血球細胞を含み、該細胞内に1つ以上の鉄結合タンパク質と1つ以上の標識との複合体を含む単離標的化送達系に関する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、好ましくは標識することが可能なCD45+白血球細胞を含み、1つ以上の標識、好ましくは放射標識又はそれらのコンジュゲート及び組合せを含む、単離標的化送達系に関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の単離標的化送達系を作製する方法であって、
a)好ましくは精製鉄結合タンパク質を準備する工程と、
b)標識を鉄結合タンパク質に共有結合的若しくは非共有結合的に連結する、及び/又は標識を鉄結合タンパク質に封入する工程と、
c)CD45+白血球細胞を準備する工程と、
d1)CD45+白血球細胞を、工程b)において作製される鉄結合タンパク質と標識との複合体の存在下で、該CD45+白血球細胞に工程b)において作製される該鉄結合タンパク質と標識との複合体が少なくとも部分的にロードされるまでインキュベートする工程、及び/又は、
d2)CD45+白血球細胞を、標識の存在下で該CD45+白血球細胞が該標識で少なくとも部分的に標識されるまでインキュベートする工程と、
を含む、方法に関する。
【0010】
第4の態様では、本発明は、診断剤として使用される、本発明の第1の態様の又は本発明の第3の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系に関する。
【0011】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の又は本発明の第3の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系と、薬学的に許容可能な担体及び/又は好適な賦形剤(複数の場合もある)とを含む診断用組成物に関する。
【0012】
第6の態様では、本発明は、腫瘍、好ましくは固形腫瘍及び/又はその転移、好ましくは乳癌、膵癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌若しくはその転移、又は特に皮膚創傷中、若しくは臓器梗塞(organ infarctus)(心臓)若しくは網膜虚血の後の低酸素領域、炎症性疾患若しくは虚血領域を有する腫瘍の診断に使用される、本発明の第1の態様の又は本発明の第3の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1-1】パネル(A)は、哺乳動物フェリチンH鎖におけるコンセンサスアミノ酸配列の最小活性フラグメント及び幾つかの哺乳動物フェリチンH鎖に基づく2つの完全長コンセンサス配列(それぞれ配列番号1、2及び7を参照されたい)、並びにマウス(配列番号3及び4)及びヒト(配列番号5及び6)フェリチンH鎖の最小及び完全長のアミノ酸配列を示す。パネル(B)は、哺乳動物フェリチンL鎖におけるコンセンサスアミノ酸配列の最小活性フラグメント及び幾つかの哺乳動物フェリチンL鎖に基づく2つの完全長コンセンサス配列(それぞれ配列番号8、9及び14を参照されたい)、並びにマウス(配列番号10及び11)及びヒト(配列番号12及び13)フェリチンL鎖の最小及び完全長のアミノ酸配列を示す。パネル(C)は、哺乳動物ヘモグロビンα鎖におけるコンセンサスアミノ酸配列の最小活性フラグメント及び幾つかの哺乳動物ヘモグロビンα鎖に基づく1つの完全長コンセンサス配列(それぞれ配列番号15及び16を参照されたい)、並びにヒトヘモグロビンα鎖の最小及び完全長のアミノ酸配列(配列番号17及び18)を示す。パネル(D)は、哺乳動物ヘモグロビンβ鎖におけるコンセンサスアミノ酸配列の最小活性フラグメント及び幾つかの哺乳動物ヘモグロビンβ鎖に基づく完全長コンセンサス配列(それぞれ配列番号19及び20を参照されたい)、並びにヒトヘモグロビンβ鎖の最小及び完全長のアミノ酸配列(配列番号21及び22)を示す。パネル(E)は、哺乳動物トランスフェリンにおけるコンセンサスアミノ酸配列のN末端及びC末端の最小活性フラグメント(配列番号23及び24)、並びに幾つかの哺乳動物トランスフェリンに基づく完全長コンセンサス配列(配列番号25)、並びにヒトトランスフェリンのN末端及びC末端の最小活性フラグメント(配列番号26及び27)、並びにヒトトランスフェリンの完全長アミノ酸配列(配列番号28)を示す。コンセンサス配列において、Xは可変の位置を示し、任意の天然アミノ酸を表す。好ましくは、いずれの場合にも、Xは他のXと独立してヒトタンパク質中に存在するアミノ酸を表す。
【
図2】マウス腫瘍塊内のマクロファージを示す図である(注射前にTRITC染色し、FITC装飾フェリチンをロードした)。
【
図3】乳癌細胞を注射し、FITC-フェリチンをロードしたマクロファージを静脈内で与えたマウスの腫瘍組織の共焦点顕微鏡画像を示す図である(星印(asterisk))。マクロファージだけでなく、癌細胞においてもフェリチン-FITCが全ての腫瘍塊に広がることが明らかに観察される。
【
図4】マウス乳腺腫瘍のMRI画像を示す図である。マウスを、フェリチンFhをロードしたマクロファージ(静脈内注射)で処理した(0時間の時点)。次いで、注射したマクロファージで満たされた血管の直径の増大(矢印)(顕著なT2-シグナルの低減をもたらす)、その後(afterward)マクロファージの組織への広がり(スポット状パターン;矢印)が観察された。これらの変化(同じ時点)は検査した全てのマウスに観察された。
【
図5】マクロファージによるフェリチン、ヘモグロビン及びトランスフェリンの取込み、単球によるフェリチン及びヘモグロビンの取込み、並びにリンパ球及び顆粒球によるフェリチンの取込みを示す図である。
【
図6】マクロファージによるフェリチン貯蔵の安定性を示す図である。
【
図7】フェリチン-FITCを含有する前標識(投与前)マクロファージを与えたマウスの腫瘍を示す二光子顕微鏡法による写真を示す図である。
【
図8】腫瘍部位におけるそれらの蓄積及び他の器官におけるそれらの分布を示す、標識マクロファージを静脈内に与えたマウスの全身イメージングを示す図である。
【
図9】低酸素組織へのマクロファージの移動、前標識マクロファージを静脈内投与したマウスの腫瘍の断面を示す図である。腫瘍低酸素領域を低酸素マーカーpimonidazolone(pimonidazole)で可視化する。
【
図10】転移性4T1癌を有するマウスの全身分析のPETによって記録されたシグナルを示す図である。マウスに18F-FDGをロードしたマクロファージを静脈内に与えた。シグナル蓄積は、微小転移を有するマウスの肺において増大する(病理学検査によって確認される)。素18F-FDGを与えたマウス又は4T1癌を有しないマウスはより低いPETシグナルを有していた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を下記に詳細に説明する前に、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬は変更することができるため、本発明がこれらに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態を説明することを目的とするものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。他に定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0015】
下記で本発明の要素を記載する。これらの要素は特定の実施形態とともに挙げられているが、更なる実施形態を作成するのに、これらの要素をどのような方法及びどのような数でも組み合わせることができることを理解されたい。多様に記載された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を例示的に記載された実施形態のみに限定するものとは解釈されない。本明細書は例示的に記載された実施形態と、あらゆる数の開示された及び/又は好ましい要素とを組み合わせた実施形態を支持及び包含するものであると理解されたい。さらに文脈上他に指定のない限り、本出願において記載された全ての要素のあらゆる並び替え(permutations)及び組合せが本出願の明細書により開示されていると見なされる。
【0016】
幾つかの文献が本明細書の文章全体を通して引用される。本明細書に引用される各々の文献(特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、使用説明書等の全てを含む)は、上記又は下記を問わず、それらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。本明細書中のいずれの記載も、本発明が先行発明のためにかかる開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるものではない。
【0017】
定義
本発明の実施には、特に示されない限り、当該技術分野での文献(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J.Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989を参照)に説明される化学、生化学、及び組換えDNA技法の慣用の方法が使用される。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む」という語(the word "comprise", and variations such as"comprises" and "comprising")は、提示の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外しないことを意味するものと理解される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、数量を特定していない単数形(thesingular forms "a", "an", and "the")は、文脈上他に明確に示されていない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
「標的化標識送達」又は「標的化造影剤送達」という用語は、その患者の身体の他の領域と比較した場合に身体の特定の領域における標識、特に造影剤の濃度の増大をもたらす患者又は診断対象者への標識、特に造影剤の送達を指す。相対濃度を身体の罹患領域(複数の場合もある)と、同様の血液循環へのアクセスを有する身体の他の領域との間で比較するのが好ましい。好ましい実施形態では、罹患領域に由来する所与の数の細胞又は所与の生検量における標識、特に造影剤の濃度は、本発明の標的化送達系の投与後、好ましくは1時間~24時間後に非罹患領域に由来する同一の数の細胞又は生検量と比較した場合に少なくとも10%高い。より好ましくは、患者の身体の罹患領域における標識、特に造影剤の濃度は、本発明の標的化送達系の投与後、好ましくは2時間~24時間後に身体の非罹患領域における濃度よりも少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、少なくとも500%、より好ましくは少なくとも1000%高い。全身分布に基づいて判定した場合に、患者又は診断対象者に投与される標識、特に造影剤の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%が身体の罹患領域へと送達されるのが好ましい。標識、特に造影剤の標的化送達により、身体の罹患領域への標識、特に造影剤の潜在的有害作用が制限される。
【0020】
「標的化標識送達系」又は「標的化送達系」という用語は、本願において同義的に使用され、標識、特に造影剤を標的化領域へと送達することが可能な、すなわち好ましくは患者の身体内での標的化送達が可能な系を指す。
【0021】
「標識」という用語は本発明において使用される場合、診断目的に好適な任意の種類の化合物を指す。好ましい化合物は蛍光色素、放射性同位体及び造影剤から選択される。造影剤は、身体内の異常な領域を示す助けとなる色素又は他の物質である。一実施形態では、標識という用語は、二価又は三価金属カチオンと錯体を形成するキレート剤を含む化合物を指す。好ましい放射性同位体/蛍光発光同位体はα線放出同位体、γ線放出同位体、オージェ電子放出同位体、X線放出同位体、65Tb等の蛍光同位体、18F、51Cr、67Ga、68Ga、111In、99mTc、140La、175Yb、153Sm、166Ho、88Y、89Zr、90Y、149Pm、177Lu、47Sc、142Pr、159Gd、212Bi、72As、72Se、97Ru、109Pd、105Rh、101m15Rh、119Sb、128Ba、123I、124I、131I、197Hg、211At、169Eu、203Pb、212Pb、64Cu、67Cu、188Re、186Re、198Au及び199Ag等の蛍光発光同位体、並びに上記のものとタンパク質、ペプチド、小分子阻害剤、抗体又は他の化合物とのコンジュゲート及び組合せ、例えば18Fフルオロデオキシグルコース(18F-FDG)又は64Cu-ポルフィリン(porphyrin)からなる群から選択される。好ましい蛍光色素は以下の色素群:キサンテン(Xanthenes)(例えばフルオレセイン)、アクリジン(例えばアクリジンイエロー)、オキサジン(例えばオキサジン1)、シアニン(Cyanines)(例えばCy7/Cy3)、スチリル色素(例えばDye-28)、クマリン(例えばAlexa Fluor 350)、ポルフィン(例えばクロロフィルB)、金属-配位子錯体(例えばPtOEPK)、蛍光タンパク質(例えばAPC、R-フィコエリトリン)、ナノ結晶(例えばQuantumDot 705)、ペリレン(例えばLumogen Red F300)及びフタロシアニン(Phthalocyanines)(例えばIRDYE(商標)700DX)、並びにこれらの色素群又は蛍光65T発光同位体のコンジュゲート及び組合せから選択される。好ましい造影剤は、好ましくはキレート剤と複合した常磁性剤、例えばGd、Eu、W及びMnから選択される。更なる選択肢は超常磁性鉄(Fe)錯体及び粒子、高原子番号の原子を含有する化合物、すなわちコンピューター断層撮影法(CT)用のヨウ素、造影剤を含有するリポソーム等のマイクロバブル及び担体である。
【0022】
「ペプチド」又は「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結した少なくとも2アミノ酸の鎖を指すために本発明において区別なく使用される。このため、本発明における「ペプチド」という用語は50超、100超又は150超のアミノ酸を含むアミノ酸鎖を指すためにも使用される。
【0023】
「配列同一性」という用語が、ポリペプチド及びヌクレオチド配列比較に関して本明細書全体を通して使用される。2つの配列を比較し、配列同一性パーセンテージを算出するために比較される参照配列が指定されない場合、他に具体的な指示がない限り、配列同一性は比較対象の2つの配列のうち長い方を参照して算出される。参照配列が指示される場合、配列同一性は他に具体的な指示がない限り、配列番号によって指示される参照配列の完全長に基づいて決定される。例えば、200アミノ酸からなるポリペプチド配列は、参照300アミノ酸長ポリペプチド配列と比較して66.6%(200/300)という配列同一性の最大パーセンテージを示し得るが、150アミノ酸長の配列は50%(150/300)という配列同一性の最大パーセンテージを示し得る。これら150個のアミノ酸のうち15個が300アミノ酸長参照配列のそれぞれのアミノ酸と異なる場合、配列同一性のレベルは45%まで減少する。ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性のパーセンテージは、配列アラインメントを介して決定することができる。そのようなアラインメントは、幾つかの当該技術分野において知られているアルゴリズムを用いて、好ましくはKarlin及びAltschulの数学的アルゴリズム(Karlin & Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877)、hmmalignアルゴリズム(HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)又はCLUSTALアルゴリズム(Thompson, J. D., Higgins, D. G. & Gibson, T. J. (1994) NucleicAcids Res. 22, 4673-80)を用いて、例えばhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html又はhttp://npsa-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/npsa_automat.pl?page=/NPSA/npsa_clustalw.htmlで入手することができるアルゴリズムを用いて実施することができる。使用される好ましいパラメータは、http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlで設定されるデフォルトパラメータである。配列同一性(配列マッチング)の度合いは、例えばBLAST、BLAT又はBlastZ(又はBlastX)を使用して算出することができる。BLASTタンパク質検索をBLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行う。比較目的でギャップドアラインメントを得るために、Gapped BLASTをAltschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように利用する。BLAST及びGappedBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを使用する。配列マッチング分析を、Shuffle-LAGAN(BrudnoM., Bioinformatics 2003b, 19 Suppl 1:I54-I62)又はマルコフ確率場のような確立されている相同性マッピング法により補足することができる。配列データベース検索からの情報を用いた多数のタンパク質配列及び/又は構造についての構造ベースのアラインメントでは、3D構造及びユーザー定義制約を有する利用可能なホモログを使用することもできる(Pei J, Grishin NV: PROMALS: towards accurate multiplesequence alignments of distantly related proteins. Bioinformatics 2007, 23:802-808、3DCoffee@igs: a web server for combining sequences andstructures into a multiple sequence alignment. Poirot O,Suhre K, Abergel C, O'Toole E, Notredame C. Nucleic Acids Res. 2004 Jul 1;32:W37-40)。配列同一性のパーセンテージが本願において言及される場合、これらのパーセンテージは他に具体的な指示がない限り、より長い配列の完全長との関連で算出される。
【0024】
「白血球」という用語は、感染性疾患及び外来侵入物の両方からの身体の保護に関与する免疫系の細胞を指すために本発明において使用される。全ての白血球が造血幹細胞として知られる骨髄中の多能性細胞から産生され、それに由来する。白血球は血液及びリンパ系を含む全身に見られる。全ての白血球は核を有し、他の血液細胞である無核赤血球(RBC)及び血小板から区別される。白血球のタイプは標準的方法で分類することができる。2組の最も広いカテゴリーにより、白血球は構造(顆粒球又は無顆粒球)又は細胞分裂系統(骨髄細胞又はリンパ系細胞)によって分類される。これらの最も広いカテゴリーは更に、5つの主要タイプ:好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球及び単球に分けることができる。これらのタイプは、それらの物理的特徴及び機能的特徴によって区別される。単球及び好中球は食作用を示す。更なるサブタイプを分類することができる。例えば、リンパ球にはB細胞、T細胞及びNK細胞がある。顆粒球は、それらの核形状(分葉対円形、すなわち多形核対単核)及びそれらの細胞質顆粒(存在若しくは非存在、又はより正確には、光学顕微鏡で見ることができる若しくはそれにより見ることができない)によって無顆粒球から区別される。他の二分法は系統によるものである。骨髄細胞(好中球、単球、好酸球及び好塩基球)は、造血系統(細胞分化系統)によるリンパ系細胞(リンパ球)と区別される。
【0025】
本発明者らにより、特にCD45+白血球細胞が身体内の特定の組織及び細胞に誘引され、1つ以上の鉄結合タンパク質と1つ以上の標識、特に造影剤との複合体を細胞へ又は細胞内へ送達することが可能であるため、CD45+発現が本発明の標的化送達系との関連で使用するのに好適な白血球細胞に特徴的であることが観察された。クローン起源を除くCD45+白血球細胞が、CD45+表面抗原を発現する共通特性を有する異なる白血球の混合集団であることが当業者には理解される。したがって、多様なCD45+白血球群内の細胞の亜集団が、本明細書全体を通して更なる機能的及び/又は構造的特徴によって特徴付けられる。「CD45+」という用語は、細胞集団内の細胞の大部分又は本質的に全ての細胞がCD45+表面抗原を発現することを示す。これに関連して、また他の細胞表面抗原に関して、「発現する」という用語は、表面抗原が細胞内で産生され、細胞の表面上に検出可能に露出することを示す。発現のレベル、ひいては細胞の表面上に検出可能に露出した表面抗原の数は、白血球によって大幅に異なり得る。概して、少なくとも5個、好ましくは少なくとも10個の表面抗原のコピーが細胞の表面上に検出可能に露出する場合に、細胞は細胞表面抗原について陽性であるとみなされ、すなわち「+」と示される。当業者は、所与の細胞表面抗原について陽性(又は陰性)である細胞を検出、定量化及び選択する方法を十分に認識している。好ましい方法には蛍光活性化細胞選別(FACS)が含まれる。この技術では、蛍光標識抗体を用いて細胞集団の細胞表面抗原に結合させ、細胞を続いて単一細胞へと単離し、単一細胞について測定される蛍光強度に基づいて、所与の細胞表面抗原について陽性又は陰性として特徴付ける。本発明の幾つかの実施形態では、所与のタンパク質の発現が高い又は低いことが示される。これは、タンパク質が異なるレベルではあるが、どちらの場合も検出可能に発現する、すなわち「+」であることを意味する。高発現及び低発現はそれぞれ、異なるタンパク質について細胞1つ当たりの異なる絶対数のタンパク質を意味する。このため、所与のタンパク質は、細胞1つ当たり500個を超える検出可能なコピーのそのタンパク質が存在する場合に高レベルで発現し、細胞1つ当たり1個~50個の検出可能なコピーのそのタンパク質が存在する場合に低レベルで発現するとみなすことができる。しかしながら、別のタンパク質は、細胞1つ当たり5000個を超える検出可能なコピーが存在する場合に高レベルで発現し、1個~500個の検出可能なコピーが存在する場合に低レベルで発現するとみなすことができる。フローサイトメトリー及びBecton Dickinson Quantibrite(商標)ビーズ法(例えば、Pannu, K.K., 2001, Cytometry. 2001 Dec 1;45(4):250-8を参照されたい)又は質量分析(例えば、Milo, R., 2013, Bioessays, 35(12): 1050-1055を参照されたい)を用いて、細胞内で発現又は産生されるタンパク質の数を定量化する方法が当該技術分野で既知である。本発明の目的上、所与のタンパク質の「高発現」という用語は、健常CD45+白血球集団において見られる最高発現レベル、すなわち細胞1つ当たりのコピー数の少なくとも70%である、そのタンパク質の検出可能な発現を指す。所与のタンパク質の「低発現」という用語は、健常CD45+白血球集団において見られる最高発現レベル、すなわち細胞1つ当たりのそのタンパク質のコピー数の30%以下である、そのタンパク質の検出可能な発現を指す。「最高発現レベル」は、種々の被験体の健常CD45+白血球において見られる最高発現レベルの平均として決定するのが好ましい。幾つかの実施形態では、細胞の好ましい亜集団は、所与のタンパク質を「産生する」として特徴付けられる。これは、タンパク質が必ずしも細胞の表面上で検出可能でなく、細胞内にのみ存在していてもよいことを意味すると理解される。当業者は、細胞内のタンパク質の産生を検出及び/又は定量化し、及び/又はかかるタンパク質を産生する細胞を選択する方法を十分に認識している。
【0026】
「分化単球」という用語は、主に骨髄に常在し(脾臓にも見られ得る)、樹状細胞又はマクロファージのいずれかへと分化するマクロファージ-DC前駆体(MDP)と呼ばれる関与前駆体から分化した単球を指すために本発明において使用される。マウスにおいては、これらは2つの主要亜集団:(i)CX3CR1の高発現、CCR2及びLy6C-の低発現を有するCD11b+細胞、並びに(ii)CX3CR1の低発現、CCR2及びLy6C+の高発現を有するCD11b+細胞からなる。骨髄から離れた後、マウスLy6C+単球は循環中でLy6C-単球へと分化する。同様に、ヒト単球分化においては、CD14++古典的単球が骨髄から離れ、末梢血循環中でCD14++ CD16+中間単球、また順次CD14+CD16++非古典的単球へと分化することが認められている(Yang et al.2014; Biomark Res 2(1) doi. 10.1186/2050-7771-2-1)。
【0027】
マクロファージは、循環末梢血単球(PBM)から分化する組織常在性プロフェッショナル食細胞及び抗原提示細胞(APC)である。「活性化マクロファージ」という用語は、偏向した任意のマクロファージを指すために本発明において使用される。マクロファージ活性化は概して、インターロイキン、サイトカイン及び/又は成長因子とのインキュベーションによって達成される。特に、IL-4及びM-CSFを活性化剤として使用することができる。異なる表現型の活性化マクロファージがM1-マクロファージ、古典的活性化マクロファージ(CAM)及びM2-マクロファージ、代替活性化マクロファージ(AAM)へと分類される。古典的活性化M1-マクロファージは、急性炎症表現型を有する免疫エフェクター細胞を含む。これらは細菌に対して非常に攻撃的であり、多量のリンホカインを産生する(Murray, and Wynn, 2011, J Leukoc Biol, 89(4):557-63)。代替活性化抗炎症M2-マクロファージは少なくとも3つのサブグループに分けることができる。これらのサブタイプは免疫の調節、耐性の維持及び組織修復/創傷治癒を含む様々な異なる機能を有する。「M1誘導因子」という用語は、M1型のマクロファージへのPBMの分化を指向する化合物を指すために本発明において使用される。「M2誘導因子」という用語は、M2型のマクロファージへのPBMの分化を指向する化合物を指すために本発明において使用される。当業者は、M1又はM2マクロファージのいずれかへの分化を促進する多数の方法を認識している。
【0028】
「マクロファージによる食作用」という用語は、マクロファージが固体粒子を飲み込み、ファゴソームとして知られる内部小胞を形成するプロセスである。
【0029】
使用される「鉄結合タンパク質」という用語は、鉄イオンを非共有結合するタンパク質を指す。かかるタンパク質の例はフェリチン、ヘモグロビン、トランスフェリン及びラクトフェリンを含む。鉄結合タンパク質に細胞表面受容体が結合することで、これらのタンパク質の細胞への内在化が促進される。
【0030】
第1の態様では、本発明は、好ましくは鉄結合タンパク質を内在化させることが可能なCD45+白血球細胞を含み、該細胞内に1つ以上の鉄結合タンパク質と1つ以上の標識、特に造影剤との複合体を含む単離標的化送達標識系に関する。
【0031】
驚くべきことに、CD45+白血球、好ましくは単球又は活性化単球及びマクロファージ、好ましくは活性化マクロファージ、好ましくはM1マクロファージ、より好ましくはM2マクロファージが標識を獲得し、イメージングシステムを用いて検出するのに十分な量の標識を送達するため、それらを身体内のそれらの位置のトレースに使用することが可能となることが本発明者らによって見出された。18F-FDGの場合、これは単球及び活性化単球、マクロファージ、活性化マクロファージ、好ましくはM1マクロファージ、最も好ましくはM2マクロファージの場合に特に好ましい。標識(18F-FDG)、好ましくは放射性標識をロードした細胞の投与では、好ましくはポジトロン放出断層撮影(PET)イメージングにより標識細胞が蓄積した器官を可視化することができる。したがって、第2の態様では、本発明は、CD45+白血球細胞を含み、好ましくは1つ以上の標識、好ましくは放射標識、又はそれらのコンジュゲート及び組合せで標識することが可能な単離標的化送達標識系に関する。細胞を標識と直接連結又は標識することが本発明の第2の態様の好ましい実施形態である。標識は上記細胞内又はその表面上にあってもよいが、細胞表面上にあるのが好ましい。
【0032】
以下の好ましい実施形態は、いずれの場合にも本発明の第1及び第2の態様の両方を更に明記するものである。
【0033】
鉄結合タンパク質を内在化する所与のCD45+白血球細胞又は細胞集団の能力は、この内在化プロセスに関与する受容体の発現によって決まる。フェリチンの内在化をもたらす受容体には、例えばTfR、CXCR4、CD163及びTIM-2が含まれる。当業者は、鉄結合タンパク質の取込み量を測定する方法を十分に認識しており、取込みを測定する好ましい方法を下記の実施例の項に記載する。本発明者らは、CD45+白血球細胞の亜集団が或る鉄結合タンパク質を別の鉄結合タンパク質よりも内在化する或る特定の傾向を有し、より高い複合体濃度に達し、及び/又は細胞からの複合体のより少ない漏出を示すことができることにも注目した。かかるCD45+白血球亜集団を下記により詳細に記載する。
【0034】
「1つ以上の鉄結合タンパク質と標識との複合体」という表現は本発明において使用される場合、標識の1つ以上の分子が1つ以上の鉄結合タンパク質に共有結合又は非共有結合した組成物を指す。1つ以上の鉄結合タンパク質と1つ以上の標識との間の共有結合又は非共有結合は、直接的であっても又は間接的であってもよい。後者の場合、標識はリンカー又はスペーサーを介して鉄結合タンパク質に連結される。ポリアラニン、ポリグリシン、炭水化物、(CH2)n基又はポリペプチドリンカー等のリンカー又はスペーサーが当業者に既知である。このため、当業者は、それぞれの用途に応じてそれぞれの好適なリンカー(複数の場合もある)又はスペーサー(複数の場合もある)を選択することが可能である。鉄結合タンパク質が、例えばフェリチンのようなケージを形成する場合、「複合体」という用語は、タンパク質(複数の場合もある)と活性化合物(複数の場合もある)との間の共有結合又は非共有結合の非存在下であってもケージ内への標識の封入も包含する。複合体の形成は、細胞に鉄結合タンパク質が内在化する場合の細胞への標識の輸送を可能にする。このため、輸送機構を妨げないように標識を鉄結合タンパク質に結合することが好ましい。当業者はこれを当該技術分野で既知の取込みアッセイを用いて容易に試験することができ、下記の実施例の項に記載する。複合体が身体内の標的領域への細胞内での輸送を切り抜けるよう、十分に安定していることが好ましい。このため、標識単独ではなく、複合体を細胞又は標的領域の細胞へと送達することが好ましい。この特性により、CD45+白血球に対する標識の潜在的有害作用、例えば細胞毒性も低減する。標識を鉄結合タンパク質に共有結合的にカップリングする場合、かかるカップリングは、鉄結合タンパク質の細胞取込みに必要とされる細胞受容体への結合に関与しない表面領域に位置することが知られるアミノ酸残基によるものであるのが好ましい。本発明において使用される鉄結合タンパク質は、広範な標識と安定な非共有結合複合体を形成することができる。
【0035】
CD45+白血球は治療対象の患者に由来し、そのような場合に複合体がロードされる細胞は患者に対して自己であり得る。患者が本発明の標的化送達による治療前にMHCタイピングされ、所与の患者に使用される白血球細胞型のMHCが患者と一致していることも想定される。これら2つの好ましい実施形態では、CD45+白血球は初代細胞であるか、又は少数の分化工程により初代細胞から誘導される。代替的には、CD45+白血球は不死化されているが、好ましくは形質転換されていないCD45+白血球細胞株に由来するものであってもよい。このため、CD45+白血球、好ましくはマクロファージの単離に使用される血液は治療対象の患者又は健常ドナーから得るのが好ましい。代替的には、血液は血液バンクから得ることができる。臍帯血の使用も本明細書で検討される。
【0036】
本発明者らは、CD34+造血前駆細胞から作製可能なCD45+白血球の亜集団が、標識の標的特異的送達に特に好適であることに注目した。したがって、標的送達系の作製に使用される白血球がCD34+造血前駆細胞に由来することが好ましい。当業者は、CD34+造血前駆細胞を選択する方法及びかかる細胞を白血球へと分化させる方法を十分に認識している。
【0037】
好ましくは、CD45+白血球は、単球、分化単球、リンパ球及び顆粒球からなる群から選択される。これらの白血球の一般的カテゴリー内の好ましい亜集団は、以下の構造パラメータ、例えば所与のタンパク質の存在又は非存在、機能的特性及び/又はそれらの作製/分化方法によって規定される。上記に概説されるように、集団内の細胞の大部分が特定の特性を有する限りにおいて、細胞の集団における全ての細胞がその特性を有するわけではない場合であっても、本発明の標的化送達系は上記に概説される利点をもたらす。このため、以下に本発明の標的化送達系の或る好ましい細胞の特性を記載する。本発明の医薬組成物が何百万もの細胞を含み、集団内の全ての細胞が本明細書で概説される機能的及び/又は構造的特性を有するわけではないが、それにもかかわらず、細胞の大部分がそれぞれの機能的及び/又は構造的特性を共有する場合に、医薬組成物を疾患の治療に使用することができることが当業者に認められる。
【0038】
本発明者らにより、CD45+白血球の亜集団が、特に複合体取込みの効率及び/又は量、概して複合体を細胞内に保持する、すなわち漏出を回避する能力、及び標識の標的放出の効率及び/又は量、特定の鉄結合タンパク質の取込み、及び/又は特定の組織若しくは細胞への標的化の効率、ひいては特定の疾患の治療又は改善への適合性を含む特定の有利な特性を有することが認識された。本発明者らにより、例えば以下の抗原:CD204、CD206、CD200R、CCR2の1つ以上を発現するCD45+白血球が他の鉄結合タンパク質の取込みに対してフェリチン取込みへの選好を有することが観察された。このため、複合体中の鉄結合タンパク質がフェリチンである場合、以下の抗原:CD204、CD206、CD200R、CCR2の1つ以上を発現するCD45+白血球を選択するのが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、
(i)単球が、好ましくはCD11b+ CD14+単球、CD11b+ CD16+単球、CD11b+CD14+ CD16+単球、CD11b+ CD14+MHCII+単球、CD11b+ CD14+ CD115+単球、CD11b+ CD114+単球、CD11b+CD116+単球、CD11b+ CCR1+単球、CD11b+ CCR2+単球、CD11b+CX3CR+単球、CD11b+ CXR4+単球、CD11b+ CXR6+単球及びCD11b+CD14+ CD33+単球からなる群から選択されるCD11b+単球である;
(ii)分化単球が、マクロファージ、活性化マクロファージ、好ましくはCD11b+マクロファージ、より好ましくはCD11b+ CD16+マクロファージ、CD11b+CD32+マクロファージ、CD11b+ CD64+マクロファージ、CD11b+ CD68+マクロファージ、好ましくはCD11b+ CD86+ M1マクロファージ、好ましくは誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)を産生する及び/又はインターロイキン12(IL-12)を分泌するもの、又は好ましくはCD11b+ CCR2+M2マクロファージ、CD11b+ CD204+ M2マクロファージ、CD11b+ CD206+ M2マクロファージ、CD11b+ CD204+ CD206+ M2マクロファージ、CD11b+主要組織適合遺伝子複合体II+(MHCII+)(低発現又は高発現)M2マクロファージ、CD11b+ CD200R+ M2マクロファージ、CD11b+ CD163+ M2マクロファージ、若しくはアルギナーゼ-1及び/又はインターロイキン10(IL-10)を産生及び/又は分泌する活性化マクロファージ、又は好ましくはCD11b CD11c、CD11b CD80、CD11c CD80、CD11c CD86、CD11c MHCII及びCD11c CD123の発現を有する樹状細胞からなる群から選択され、好ましくは、分化単球はレクチン様酸化低密度リポタンパク質受容体-1(Lox1+)、C-X-Cケモカイン受容体タイプ7(CXCR7+)及び核因子(赤血球由来2)様2(NRF2+)を発現する泡沫細胞ではない。泡沫細胞は、血管壁の脂肪性沈着物に局在化し、そこで低密度リポタンパク質を捕食し、脂質がロードされ、泡沫状外観が与えられるマクロファージの一種である。これらの細胞はプラーク成長に関与する様々な物質を分泌し、それらの死により炎症が促進されるため、心血管疾患に寄与する;
(iii)単球又は活性化単球が、好ましくはCCR1、CCR2、CXR4及びCXR6からなる群から選択される少なくとも1つのケモカイン受容体、又は好ましくはマクロファージコロニー刺激因子受容体(CD115)、顆粒球コロニー刺激因子受容体(CD114)及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子受容体(CD116及びCD131からなる)からなる群から選択される少なくとも1つの成長因子受容体を発現する。これらの特徴の単球は炎症状態及び癌の治療に特に好適である;
(iv)リンパ球が、CD3+及びCD4+若しくはCD8+ Tリンパ球、若しくはCD19+、CD20+、CD21+、CD19+ CD20+、CD19+ CD21+、CD20+CD21+若しくはCD19+ CD20+ CD21+Bリンパ球からなる群から選択される;又は、
(v)顆粒球が、好中球、好ましくはCD66b+好中球、好酸球及び好塩基球、好ましくはCD193+好酸球からなる群から選択される。
【0039】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、活性化マクロファージは、
(i)マクロファージ上の発現マーカーを変化させることが可能な因子との、好ましくは、
(a)少なくとも1つのM1誘導因子との、
(b)少なくとも1つのM2誘導因子との、若しくは、
(c)サイトカイン、好ましくはIL-10及びIL-12、ケモカインを分泌する、及び/又はiNOS、アルギナーゼ若しくは他の免疫調節酵素を産生するマクロファージの能力を変化させることが可能な因子(かかる因子の例は活性化血小板、IL-4、IL-10、IL-13、抗原と抗体との免疫複合体、IgG、熱活性化γ-グロブリン、糖質コルチコステロイド、腫瘍成長因子-β(TGF-β)、IL-1R、CC-ケモカインリガンド2(CCL-2)、IL-6、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト、白血球阻止因子(LIF)、アデノシン、蠕虫感染及び真菌感染、リポ多糖(LPS)、インターフェロンγ(INF-γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、並びにウイルス感染及び細菌感染である;この点で、M1誘導因子、特にLPSによる単球の活性化が細胞にiNOSを発現させ、M1誘導因子、特にLPSによる単球の活性化が細胞にアルギナーゼ-1を発現させず、M2誘導因子、特にIL-4による単球の活性化が細胞にアルギナーゼ-1を発現させ、M2誘導因子、特にIL-4による単球の活性化が細胞にiNOSを発現させないことが観察された)との、
単球若しくはマクロファージ、若しくはそれらの前駆体のin vitroインキュベーションによって作製可能であり、
(ii)以下の抗原:CD64、CD86、CD16、CD32の少なくとも1つの発現、MHCIIの高発現、及び/又はiNOS及び/又はIL-12の産生を特徴とし、
(iii)マクロファージの貪食能力を誘導することが可能な因子、例えばIL-18、オプソニン(例えば、iC3b等の補体由来タンパク質、免疫グロブリンG)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、リポ多糖(LPS)、インターフェロンγ(INF-γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ウイルス感染及び/又は細菌感染との単球若しくはマクロファージのin vitroインキュベーションによって作製可能であり、
(iv)以下の抗原:CD204、CD206、CD200R;CCR2、トランスフェリン受容体(TfR)、CXC-モチーフ(motif)ケモカイン受容体4(CXCR4)、CD163、及び/又はT細胞免疫グロブリン-ドメイン及びムチン-ドメイン2(TIM-2)の少なくとも1つの発現を特徴とし、及び/又はMHCIIの低発現を示し(これらの特性を有する活性化マクロファージは、フェリチンを鉄結合タンパク質として含む複合体に特に好適である)、
(v)貪食能力を有し、及び/又は、
(vi)サイトカイン、好ましくはIL-12若しくはIL-10の分泌、若しくは誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)(又は他の炎症誘発性化合物)、アルギナーゼ若しくは他の免疫抑制性/抗炎症性化合物の産生が可能である。
【0040】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、マクロファージをM1マクロファージへと分化させるためのM1誘導因子はリポ多糖(LPS)、インターフェロンγ(INF-γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、並びにウイルス感染及び細菌感染からなる群から選択され、マクロファージをM2マクロファージへと分化させるためのM2誘導因子はIL-4、IL-10、IL-13、抗原と抗体との免疫複合体、IgG、熱活性化γ-グロブリン、糖質コルチコステロイド、腫瘍成長因子-β(TGF-β)、IL-1R、CC-ケモカインリガンド2(CCL-2)、IL-6、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト、白血球阻止因子(LIF)、アデノシン、蠕虫感染及び真菌感染からなる群から選択される。
【0041】
驚くべきことに、複合体をロードしたM1マクロファージ及びM2マクロファージの両方が低酸素組織、好ましくは腫瘍又はその転移への標的化活性物質送達に好適であることが本発明者らによって見出された。概して、投与されたM1マクロファージの3%~5%が腫瘍部位に局在化し、M2マクロファージの約35%が腫瘍特異的な標的化を示すことが観察された。しかしながら、このM2マクロファージの一般的利点は、ヘモグロビンと標識とを含む複合体を使用した場合に、M2マクロファージよりも顕著に多量のこの複合体がM1マクロファージへとロードされることから相殺された。概して、この特異的指向性から、M2マクロファージは低酸素組織を特徴とする腫瘍及び疾患の治療により好適である。
【0042】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、単球が、
(i)CD34+造血前駆細胞から作製可能であり、
(ii)少なくとも1つの誘導因子、好ましくはM1又はM2誘導因子、より好ましくは少なくとも1つのM2誘導因子との単球のinvitroインキュベーションによって作製可能であり、
(iii)以下の抗原:TfR、CD163、TIM-2、CD14、CD16、CD33及び/又はCD115の少なくとも1つの発現を特徴とし、
(iv)以下の抗原:TfR、CD163、TIM-2、CXCR4、CD14及び/又はCD16の少なくとも1つの発現を特徴とし、及び/又は、
(v)貪食能力を有する。
【0043】
本発明の標的化送達系のこの実施形態では、単球を分化させるためのM1誘導因子がLPS、INF-γ、GM-CSF、若しくはウイルス感染若しくは細菌感染からなる群から選択されるか、又は単球を分化させるためのM2誘導因子がIL-4、IL-10、IL-13、抗原と抗体との免疫複合体、IgG、熱活性化γ-グロブリン、糖質コルチコステロイド、TGF-β、IL-1R、CCL-2、IL-6、M-CSF、PPARγアゴニスト、白血球阻止因子(LIF)、癌馴化培地、癌細胞、アデノシン、及び蠕虫感染若しくは真菌感染からなる群から選択される。
【0044】
驚くべきことに、単球が低酸素組織、好ましくは腫瘍又はその転移への標的化活性物質送達に好適であり、M2活性化因子で処理した単球が低酸素組織、好ましくは腫瘍又はその転移への標的化活性物質送達により好適であることが本発明者らによって見出された。この特異的指向性から、M2活性化因子で処理した単球は腫瘍及び低酸素部位の標的化により好適である。
【0045】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、リンパ球が、
(i)血液、脾臓若しくは骨髄から得られるか、又は当業者に既知であり、また例えばLefort and Kim, 2010, J Vis Exp 40: 2017、Tassone and Fidler, 2012, Methods in Molecular Biology882: 351-357、Kouro et al. 2005, Current Protocols inImmunology, 66:F22F.1:22F.1.1-22F.1.9.に記載されるようにCD34+前駆細胞から作製可能であり、
(ii)免疫適格リンパ球であり、
(iii)抗原特異的T細胞受容体を発現し、及び/又は、
(iv)以下の抗原:(a)CD3及びCD4若しくはCD8、又は(b)CD19、CD20、CD21、CD19 CD20、CD19 CD21、CD20CD21若しくはCD19 CD20 CD21抗原の少なくとも1つの発現を特徴とし、好ましくは免疫グロブリンを産生することが可能である。
【0046】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、顆粒球が、
(i)血液、脾臓若しくは骨髄から得られるか、又は例えばKuhs et al. 2015, Curr Protoc Immunol 111:7.23-1-7.23.16、Coquery et al. 2012, Cytometry A 81(9): 806-814、Swemydas and Lionakis 2013, J Vis Exp 77: 50586.に記載のようにCD34+前駆細胞から作製可能であり、
(ii)CD66b及び/又はCD193の少なくとも1つの発現を特徴とし、
(iii)その細胞質における顆粒の存在を特徴とする多形核白血球であり、及び/又は、
(iii)TfR、CD163、TIM-2及び/又はCXCR4の少なくとも1つの発現を特徴とする。
【0047】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、鉄結合タンパク質はフェリチン、好ましくは重鎖(H)型フェリチン、軽鎖(L)フェリチン及び/又はミトコンドリアのフェリチン;ヘモグロビン、好ましくはヘモグロビンA、ヘモグロビンAS、ヘモグロビンSC、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、ヘモグロビンH;ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体、ヘモペキシン(haemopexin)、トランスフェリン;並びにラクトフェリンからなる群から選択される。フェリチン;ヘモグロビン、好ましくはヘモグロビンA、ヘモグロビンAS、ヘモグロビンSC、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、ヘモグロビンH;ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体、ヘモペキシン、トランスフェリン;及びラクトフェリンという用語は自然発生タンパク質の構造変異体を包含し、それぞれの野生型タンパク質の鉄イオン(複数の場合もある)に結合する能力の少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも100%を有するタンパク質に関する。本発明において使用される鉄結合タンパク質は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウス、ラット、イヌ、類人猿、特にチンパンジー又はヒト、最も好ましくはヒト起源のものである。本発明において使用される好ましい鉄結合タンパク質のコンセンサス配列を下記
図1に示す。好ましい構造変異体は
図1に示される配列に基づくものである。Xで印される残基は哺乳動物フェリチン、トランスフェリン及びヘモグロビンによって異なる。これらの残基の変化は、鉄イオンに結合するタンパク質の能力にとって重要でない。したがって、アミノ酸の突然変異又は欠失がXで印される残基の1つ以上に生じるのが好ましい。
【0048】
血漿タンパク質は常に、癌療法における医薬品有効成分(active pharma ingredients)の送達にとって特権的な担体であった。このため、最も豊富な血漿タンパク質であるアルブミンが、タキサン分子及びドキソルビシン誘導体の送達のための治療プロトコルに現在使用されている(Larsen MT et al. 2016, Mol Cell Ther 27;4:3)。
【0049】
ヒトトランスフェリン及びフェリチンタンパク質が、特定の標的癌細胞への小分子の送達に効果的な担体とみなされている。しかしながら、これまで、多大な労力にもかかわらず、トランスフェリン又はフェリチン複合体は臨床への到達に成功していない(Luck AN et al. 2013, Adv Drug Deliv Rev 65(8):1012-9)。
【0050】
フェリチンはケージ構造及び鉄結合能力を有するため、その空洞内に標識を封入するために使用することができる。フェリチンは血漿中で豊富ではないが、大腸菌(Escherichia coli)細胞等の一般的なタンパク質発現ベクターにおいて組み換えタンパク質として高収率で容易に作製することができる。フェリチンH鎖又はL鎖は、直径8 nmの空洞を画定するケージ様構造への24マー集合が可能な低分子タンパク質モノマー(H鎖及びL鎖のそれぞれについて21 kDa及び19KDa)としてコードされる。本発明者らは、本発明の取組みにおいて、H-フェリチンホモポリマーがTfRを発現するCD45+白血球細胞へと封入薬物を特異的に送達するために好ましいタンパク質構築物であることに注目した。さらに、H-フェリチン標的により標識が細胞核と複合する(したがって、DNA結合タンパク質が核内に直接送達される)。
【0051】
精製トランスフェリンは、細胞内に適切に放出される様々な分子に共有結合リンカーを介して効率的にコンジュゲートすることができる(Beyer U et al. 1998, J Med Chem 41(15):2701-2708)。トランスフェリンの場合、タンパク質表面上のリシン基のみが共有結合的付着に即時に利用可能である。
【0052】
ヘモグロビンは従来、様々な分子との化学的コンジュゲーションにおけるその多用途性、血中でのその豊富さ及び相対的安定性から担体とみなされてきた(Somatogen, 1993、国際公開第1993008842号)。それにもかかわらず、受容体標的化特性の欠如から、代用血液又は抗鎌状化剤以外の生物医学的用途は発展していない。実際のところ、Hbは特に単球-マクロファージ起源の白血球上のCD163(ハプトグロビン/ヘモグロビン受容体)エピトープによってのみ認識され得る。本願に記載されるCD45+白血球、特にマクロファージベースのタンパク質送達により、ヘモグロビンは標的特異的標識担体としての中心的な立場へと移行している。ヘモグロビンは、ヘムを含まない蛍光ポルフィリン又は放射標識にカップリングしたポルフィリンを交換することによって、ヘム結合ポケット内のホスト疎水性標識分子である適切な標識に容易に共有結合的に連結し、又は更にはヘム鉄に連結した標識と組み合わせた小分子を輸送することができる。Hbは、タンパク質表面上の唯一の滴定可能なシステインであるβ93システイン残基への適切な標識コンジュゲートの選択的付着によって容易に修飾することができる。マレイミド官能化標識が、関連cys β93残基に容易かつ特異的に付着することができる標識の例である。代替的には、Hb表面上のリシン残基(Hb四量体1つ当たり少なくとも10個の滴定可能なリシン残基)に、切断可能なスクシンイミドリンカーを介した標識コンジュゲーションを容易に行うことができる。ヘモグロビンも非共有結合したヘム基を酸性pH値で放出する独自の能力を示す。このようにして得られるアポヘモグロビンは、著しい蛍光特性を備える幾つかの疎水性分子(例えば塩素e6、ヒペリシン(hypericin)、フタロシアニン(phthalocyanine)誘導体)を空のヘムポケット内に受け入れることが可能である(Dong J et al. J Photochem Photobiol B 2014, 140:163-172)。
【0053】
いずれのコンジュゲーション/吸着/結合方法であっても、腫瘍標的化特性を有する適切な細胞系、例えば活性化マクロファージにロードされる場合にヘモグロビン(Hb)、トランスフェリン(Tf)及びフェリチンが特権的な標識担体であることが本発明によって示された。これらのタンパク質の容易、迅速、安価かつ安全な精製手順も多大な付加価値をもたらす。
【0054】
哺乳動物H型フェリチン、L型フェリチン、ヘモグロビンα鎖、ヘモグロビンβ鎖及びトランスフェリンの配列に基づいて、コンセンサス配列をこれらのタンパク質の各々について決定した(これらを
図1の配列番号2、7、9、14、16、20及び25のそれぞれに示す)。これに基づいて、また従来技術において開示される欠失及び構造分析に基づいて、CD45
+白血球による取込みに十分な最小フラグメントをH型フェリチン、L型フェリチン、ヘモグロビンα鎖及びヘモグロビンβ鎖について決定した。これらを配列番号1、3、5(H型フェリチン)、8、10、12(L型フェリチン)、15及び17(ヘモグロビンα鎖)、並びに19及び21(ヘモグロビンβ鎖)に示す。トランスフェリンは、1つのポリペプチドに含まれ、100アミノ酸~450アミノ酸離れて、好ましくは150アミノ酸~400アミノ酸、より好ましくは200アミノ酸~350アミノ酸、より好ましくは250アミノ酸~320アミノ酸離れて位置する場合に、鉄の結合及びCD45
+白血球による取込みに必要とされるN末端に位置したドメイン及びC末端に位置したドメインを含む。N末端ドメインは、完全長コンセンサストランスフェリン(配列番号25)又は完全長ヒトトランスフェリン(配列番号28)のアミノ酸1~82を含む。C末端ドメインは、完全長コンセンサストランスフェリン(配列番号25)又は完全長ヒトトランスフェリン(配列番号28)のアミノ酸396~510を含む。いずれの場合も、Xがコンセンサス配列中に示され、独立して任意のアミノ酸を表し、哺乳動物H型フェリチンにおいて保存されない又は僅かしか保存されないアミノ酸を特徴とし、それぞれの鉄結合タンパク質の鉄結合特性を損なうことなく又は僅かしか損なわずに突然変異することができる。Xはいずれの場合にも、Xと一致するそれぞれのヒト鉄結合タンパク質のアミノ酸を意味することが好ましい。この情報は、例えばヒト、場合によってはマウスタンパク質とのコンセンサス配列のアラインメントを示す
図1から引き出すことができる。
【0055】
好ましいH型フェリチンは、配列番号1に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号1によるアミノ酸配列からなるH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2白血球に取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体含むか、又はそれからなる。配列番号1において、5位のXは存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合に任意のアミノ酸、好ましくはIleを意味し、6位のXは任意のアミノ酸、好ましくはAsnを意味し、14位のXは任意のアミノ酸、好ましくはTyrを意味し、24位のXは任意のアミノ酸、好ましくはTyr又はCysを意味し、66位のXは任意のアミノ酸、好ましくはPheを意味し、68位のXは任意のアミノ酸、好ましくはGlnを意味し、75位のXは任意のアミノ酸、好ましくはArg又はCysを意味し、90位のXは任意のアミノ酸、好ましくはHisを意味し、94位のXは任意のアミノ酸、好ましくはSer又はAsnを意味し、120位のXは存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合に任意のアミノ酸、好ましくはHis又はTyr、より好ましくはHisを意味し、123位のXは任意のアミノ酸、好ましくはAsn又はSer、より好ましくはAsnを意味し、128位のXは任意のアミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくは(preferably)Alaを意味する。
【0056】
好ましい実施形態では、H型フェリチンは、配列番号3によるネズミフェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号3によるアミノ酸配列からなるH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0057】
好ましい実施形態では、H型フェリチンは、配列番号5によるヒトフェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号5によるアミノ酸配列からなるH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0058】
好ましい実施形態では、H型フェリチンは、配列番号2又は7(2が好ましい)による整列完全長H型フェリチンに由来する哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号2又は7(2が好ましい)によるアミノ酸配列からなるH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。配列番号2において、6位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはProとすることができ、14位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはHisとすることができ、16位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAspとすることができ、21位のXは存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合に任意のアミノ酸、好ましくはIleを意味し、22位のXは任意のアミノ酸、好ましくはAsnを意味し、30位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyrとすることができ、40位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はCys、より好ましくはTyrとすることができ、82位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPheとすることができ、84位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlnとすることができ、91位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはArg又はCys、より好ましくはCysとすることができ、106位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはHisとすることができ、110位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsn又はSer、より好ましくはAsnとすることができ、137位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはHis又はTyr、より好ましくはHisとすることができ、140位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsn又はSer、より好ましくはAsnとすることができ、145位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくはAlaとすることができ、164位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくはSerとすることができ、166位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はLeu、好ましくはLeuとすることができ、178位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はHis、より好ましくはAspとすることができ、181位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsnであり、182位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGluであり、183位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSerである。配列番号7において、6位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはProとすることができ、14位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはHisとすることができ、16位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAspとすることができ、21位のXは存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合に任意のアミノ酸、好ましくはIleを意味し、29位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyrとすることができ、81位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPheとすることができ、83位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlnとすることができ、105位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはHisとすることができ、144位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくはAlaとすることができ、180位のXは存在しないか、又は任意の自然発生(naturallyoccurring)アミノ酸、好ましくはAsnであり、181位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGluであり、182位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSerである。
【0059】
好ましい実施形態では、H型フェリチンは、好ましくは配列番号4によるネズミ完全長フェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号4によるアミノ酸配列からなるネズミH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0060】
好ましい実施形態では、H型フェリチンは、好ましくは配列番号6によるヒト完全長フェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号6によるアミノ酸配列からなるヒトH型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0061】
好ましいL型フェリチンは、配列番号8に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号8によるアミノ酸配列からなるL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2白血球に取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むか、又はそれからなる。配列番号8において、5位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はGlu、より好ましくはAspとすることができ、12位のXは任意の自然発生(naturally occurring)アミノ酸、好ましくはArg又はSer、より好ましくはSerとすることができ、17位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はArg、より好ましくはSerとすることができ、19位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはArg又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、29位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPheとすることができ、30位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はPhe、より好ましくはTyrとすることができ、42位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はGly、より好ましくはSerとすることができ、56位のXは任意の自然発生(naturally occurring)アミノ酸、好ましくはAla又はTyr、より好ましくはTyrとすることができ、61位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はLys、より好ましくはLysとすることができ、62位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はPhe、より好ましくはMetとすることができ、65位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、75位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはIle又はVal、より好ましくはIleとすることができ、76位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はGln、より好ましくはLysとすることができ、79位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくはAlaとすることができ、80位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、87位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPro又はGln、より好ましくはProとすることができ、88位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はAsp、より好ましくはAspとすることができ、91位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はLys、より好ましくはLysとすることができ、94位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はLeu、より好ましくはLeuとすることができ、96位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はLeu、より好ましくはMetとすることができ、99位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はAsn、好ましくはLysとすることができ、115位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはThr又はAla、より好ましくはThrとすることができ、119位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLeuとすることができ、125位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はThr、より好ましくはThrとすることができ、127位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はPhe、より好ましくはPheとすることができ、130位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はGlu、より好ましくはGluとすることができ、140位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はAsn、より好ましくはAspとすることができ、146位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはArg又はHis、より好ましくはHisとすることができ、148位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLeu又はVal、より好ましくはLeuとすることができる。
【0062】
好ましい実施形態では、L型フェリチンは、配列番号10によるネズミL型フェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号10によるアミノ酸配列からなるL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0063】
好ましい実施形態では、L型フェリチンは、配列番号12によるヒトフェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号12によるアミノ酸配列からなるL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0064】
好ましい実施形態では、L型フェリチンは、配列番号9又は14(9が好ましい)による整列完全長H型(L型)フェリチンに由来する哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号9又は14(9が好ましい)によるアミノ酸配列からなるL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。配列番号9において、12位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はGlu、より好ましくはAspとすることができ、19位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はArg、より好ましくはSerとすることができ、24位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はArg、より好ましくはSerとすることができ、26位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはArg又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、36位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPheとすることができ、37位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はPhe、より好ましくはTyrとすることができ、47位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はGly、より好ましくはSerとすることができ、63位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はTyr、より好ましくはTyrとすることができ、68位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はLys、より好ましくはLysとすることができ、69位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はPhe、より好ましくはMetとすることができ、72位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、82位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはIle又はVal、より好ましくはIleとすることができ、83位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はGln、より好ましくはLysとすることができ、86位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAla又はSer、より好ましくはAlaとすることができ、87位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はGln、より好ましくはGlnとすることができ、94位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPro又はGln、より好ましくはProとすることができ、95位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はAsp、より好ましくはAspとすることができ、98位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGlu又はLys、より好ましくはLysとすることができ、101位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はLeu、より好ましくはLeuとすることができ、103位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはMet又はLeu、より好ましくはMetとすることができ、106位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はAsn、好ましくはLysとすることができ、Xは任意の自然発生アミノ酸とすることができ、126位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLeuとすることができ、132位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはSer又はThr、より好ましくはThrとすることができ、134位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はPhe、より好ましくはPheとすることができ、137位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はGlu、より好ましくはGluとすることができ、147位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はAsn、より好ましくはAspとすることができ、153位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはArg又はHis、より好ましくはHisとすることができ、155位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLeu又はVal、より好ましくはLeuとすることができ、161位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAlaとすることができ、163位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはThrとすることができ、166位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはProとすることができ、168位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGly又はAla、より好ましくはAlaとすることができる。配列番号14において、36位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPheとすることができ、37位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはTyr又はPhe、より好ましくはTyrとすることができ、94位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはPro又はGln、より好ましくはProとすることができ、126位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLeuとすることができ、137位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはLys又はGlu、より好ましくはGluとすることができ、147位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはAsp又はAsn、より好ましくはAspとすることができ、Xは任意の自然発生アミノ酸とすることができ、163位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはThrとすることができ、166位のXは存在しないか、又は任意の自然発生アミノ酸、好ましくはProとすることができ、168位のXは任意の自然発生アミノ酸、好ましくはGly又はAla、より好ましくはAlaとすることができる。
【0065】
好ましい実施形態では、L型フェリチンは、好ましくは配列番号11によるネズミ完全長フェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号11によるアミノ酸配列からなるネズミL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0066】
好ましい実施形態では、L型フェリチンは、好ましくは配列番号13によるヒト完全長フェリチンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号13によるアミノ酸配列からなるヒトL型フェリチンのCD45+白血球、好ましくはM2マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0067】
好ましい実施形態では、αヘモグロビンは、配列番号15による整列完全長αヘモグロビンに由来する最小哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなり、好ましくは配列番号15に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号15によるアミノ酸配列からなるαヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むか、又はそれからなる。
【0068】
好ましい実施形態では、αヘモグロビンは、配列番号17によるヒトαヘモグロビンに由来する最小ヒトアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号17によるアミノ酸配列からなるαヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0069】
好ましい実施形態では、αヘモグロビンは、配列番号16による整列完全長αヘモグロビンに由来する哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号16によるアミノ酸配列からなるαヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM2(M1)マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0070】
好ましい実施形態では、αヘモグロビンは、配列番号18によるヒト完全長αヘモグロビンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号18によるアミノ酸配列からなるヒト完全長αヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM2(M1)マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0071】
好ましい実施形態では、α(β)ヘモグロビンは、配列番号19による整列完全長βヘモグロビンに由来する最小哺乳動物コンセンサス配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号19によるアミノ酸配列からなるβヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むか、又はそれからなる。
【0072】
好ましい実施形態では、α(β)ヘモグロビンは、配列番号21によるヒトβヘモグロビンに由来する最小ヒトアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号21によるアミノ酸配列からなるβヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0073】
好ましい実施形態では、βヘモグロビンは、配列番号20による整列完全長βヘモグロビンに由来する哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号20によるアミノ酸配列からなるβヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM2(M1)マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0074】
好ましい実施形態では、βヘモグロビンは、配列番号22によるヒト完全長βヘモグロビンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号22によるアミノ酸配列からなるヒト完全長βヘモグロビンのCD45+白血球、好ましくはM2(M1)マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0075】
好ましい実施形態では、トランスフェリンは、配列番号25による整列完全長αヘモグロビン(トランスフェリン)に由来する哺乳動物コンセンサス配列を含むか、又はそれからなる。このため、特に、好ましいトランスフェリンは配列番号25に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号25によるアミノ酸配列からなるトランスフェリンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むか、又はそれからなる。
【0076】
好ましい実施形態では、トランスフェリンは、配列番号28によるヒトトランスフェリンを含むか、又はそれからなる。したがって、好ましい構造変異体は少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、及びいずれの場合にも配列番号28によるアミノ酸配列からなるトランスフェリンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有する。
【0077】
トランスフェリンの鉄結合特性は、N末端及びC末端に位置するドメインに依存する。このため、好ましい実施形態では、本発明に使用されるトランスフェリンは、少なくとも配列番号23によるN末端ドメイン及び配列番号24によるC末端ドメインを含む。好ましいトランスフェリンは配列番号23及び24に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、並びにいずれの場合にも配列番号23及び24によるアミノ酸配列からなるトランスフェリンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むタンパク質を含む。配列番号23又は24は、哺乳動物トランスフェリンのコンセンサス配列を示す。
【0078】
このため、好ましい実施形態では、本発明に使用されるトランスフェリンは、少なくとも配列番号26によるN末端ドメイン及び配列番号27によるC末端ドメインを含む。好ましいトランスフェリンは配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列、並びに少なくとも70%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも75%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性、並びにいずれの場合にも、それぞれ配列番号26及び27によるアミノ酸配列からなるトランスフェリンのCD45+白血球、好ましくはM1マクロファージに取り込まれる能力の少なくとも70%を有するその変異体を含むタンパク質を含む。
【0079】
好ましいフェリチンは、所与のアミノ酸配列に関わらず、4ヘリックスバンドルタンパク質モジュールの24マーサブユニット集合に適合し、3D構造ベースのアラインメントによって規定される遠縁タンパク質の所与の配列アラインメントの範囲内にあるタンパク質も含む。
【0080】
単球、マクロファージ、好ましくはM2マクロファージが、それらの蓄積部位で(例えば、腫瘍又はその転移、低酸素部位において)イメージング法を用いて可視化するのに十分な量の標識を取り込むことが可能であることは本発明者らの驚くべき観察結果である。驚くべきことに、本発明者らによって、リンパ球及びM2マクロファージが1つ以上のフェリチンと1つ以上の標識とを含む複合体の取込みにより良好であり、M1マクロファージが1つ以上のヘモグロビンと1つ以上の標識とを含む複合体の取込みにより良好であり、マクロファージが1つ以上のトランスフェリンと1つ以上の標識とを含む複合体の取込みにより良好であることであることが見出された。したがって、上記のCD45+白血球:単球、M1及びM2マクロファージ、顆粒球並びにリンパ球の組織及び細胞指向性に基づくと、M2マクロファージ、リンパ球又は単球の指向性が所望される場合、1つ以上のフェリチンと1つ以上の標識とを含む複合体がM2マクロファージ、リンパ球又は単球にロードするために使用され、M1マクロファージの指向性が所望される場合、1つ以上のヘモグロビンと1つ以上の標識とを含む複合体がM1マクロファージにロードするために使用される。
【0081】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、標識は、蛍光色素、蛍光発光同位体、放射性同位体、検出可能なポリペプチド又はこのような検出可能なポリペプチドをコードする核酸、及び造影剤から選択される。
【0082】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、標識は、二価又は三価金属カチオンと錯体を形成するキレート剤を含む。
【0083】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N,N'-四酢酸(DOTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン-N,N,N',N',N''-五酢酸(DTPA)及び6-ヒドラジノピリジン-3-カルボン酸(HYNIC)からなる群から選択される。
【0084】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、造影剤は、好ましくはGd、Eu、W及びMn、又はフェリハイドライト(ferrihydrite)から選択される常磁性剤を含む。
【0085】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、放射性同位体/蛍光発光同位体は、α線放出同位体、γ線放出同位体、オージェ電子放出同位体、X線放出同位体、18F、51Cr、蛍光性65Tb、67Ga、68Ga、111In、99mTc、140La、175Yb、153Sm、166Ho、88Y、90Y、149Pm、177Lu、47Sc、142Pr、159Gd、212Bi、72As、72Se、97Ru、109Pd、105Rh、101m15Rh、119Sb、128Ba、123I、124I、131I、197Hg、211At、169Eu、203Pb、212Pb、64Cu、89Zr、67Cu、188Re、186Re、198Au及び199Ag等の蛍光発光同位体、並びに上記のものとタンパク質、ペプチド、小分子阻害剤、抗体又は他の化合物とのコンジュゲート及び組合せ(例えば、18F-FDG又は64Cu-ポルフィリン)からなる群から選択される。
【0086】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、蛍光色素は、以下の蛍光色素群:キサンテン、アクリジン、オキサジン、シアニン、スチリル色素、クマリン、ポルフィン、金属-配位子錯体、蛍光タンパク質、ナノ結晶、ペリレン及びフタロシアニン、並びにこれらの色素群のコンジュゲート及び組合せからなる群から選択される。
【0087】
本発明の標的化送達系の好ましい実施形態では、検出可能なポリペプチドは、自家蛍光タンパク質、好ましくは緑色蛍光タンパク質、又は吸着及び/又は発光スペクトルが変更された任意のその構造変異体である。
【0088】
上記で概説したように、本発明の標的化送達系は標識を低酸素領域へと送達する特定の適合性を有する。
【0089】
本発明の単離標的化送達系の好ましい実施形態では、複合体に含まれる鉄結合タンパク質(複数の場合もある)と標識との間の結合(複数の場合もある)が共有結合性及び/又は非共有結合性であり、及び/又は、複合体に含まれる標識が鉄結合タンパク質、好ましくはフェリチン又はその多量体によって捕捉/封入される。一実施形態では、共有結合及び/又は非共有結合カップリングは、リンカー又はスペーサーによる間接的なものである。共有結合の形成が所望される場合、鉄結合タンパク質の関連チオール、アミノ又はカルボキシル基が、標識を直接的又は間接的に1つ以上の鉄結合タンパク質に共有結合的にカップリングするために使用される。異なる標識が複合体に含まれることも想定される。例えば、或るタイプの標識を鉄結合タンパク質に結合(非共有結合)させることができ、この場合別のタイプの標識が封入される。このアプローチでは、標的化組織及び/又は細胞へと送達された場合に鉄結合タンパク質からの放出率が異なる標識を利用する。
【0090】
第3の態様では、本発明は、本発明の単離標的化送達系を作製する方法であって、
a)上に規定の精製鉄結合タンパク質を準備する工程と、
b)標識を鉄結合タンパク質に共有結合的若しくは非共有結合的に連結する、及び/又は標識を鉄結合タンパク質に封入する工程と、
c)上に規定のCD45+白血球細胞を準備する工程と、
d1)CD45+白血球細胞を、工程b)において作製される鉄結合タンパク質と標識との複合体の存在下で、該CD45+白血球細胞に工程b)において作製される該鉄結合タンパク質と標識との複合体が少なくとも部分的に、好ましくは完全にロードされるまでインキュベートする工程、及び/又は、
d2)CD45+白血球細胞を、標識の存在下で該CD45+白血球細胞が該標識で少なくとも部分的に標識されるまでインキュベートする工程と、
を含む、方法に関する。
【0091】
更なる態様では、本発明は、本発明の第2の態様による方法によって作製可能な単離標的化送達系に関する。
【0092】
タンパク質と標識との間の付加物の形成は、標的タンパク質への標識の非共有結合であってもよく、以下のように説明することができる。フェリチンの場合、標識は通例、フェリチン巨大分子自体の会合解離特性を利用することによって内部空洞内に封入することができる(物理的な閉じ込め)。標識分子は、空洞内部表面のアミノ酸残基との非共有相互作用によって適所に保たれる。ヘモグロビン巨大分子も、ヘモグロビン自体のヘム結合ポケット内に受け入れることができる選択標識分子の非共有結合の可能性をもたらす。ヘムはポケットによって移動され、適切な疎水性プロファイルを有する標識に置き換えられ得る。更なる態様では、本発明において検討される全てのタンパク質を、タンパク質自体のチオール又はアミノ基に対して反応性の特定の活性リンカー部分によって修飾される標識に共有結合的に付着させることができる。このように、フェリチン又はヘモグロビンを、ペプチドベースの切断可能なリンカー(例えば、カテプシン感受性バリン-シトルリン配列及びパラアミノベンジルカルバメートスペーサー)を保有するシステインチオール反応性標識に連結することができる。ペプチドベースのリンカーは、標識が生理的条件下でタンパク質から容易に放出されず、健常細胞に対する毒性及び健常細胞への漏出の予防を補助し、標識化の特異性を確実にするように安定してタンパク質を標識へと結合する。このように生成するタンパク質標識付加物は選択受容体型、すなわちヘモグロビンについてはCD163、フェリチン又はトランスフェリンについてはTfRにそれぞれ付着することが可能である。結合後、タンパク質標識付加物はエンドサイトーシスによって内在化し、選択的に標的化細胞に取り込まれる。標識を含有する小胞はリソソームと融合し、リソソームシステインプロテアーゼ、特にカテプシンBがバリン-シトルリンリンカーの破壊を開始し、抗体への結合がなくなり、腫瘍環境へと直接放出される。
【0093】
代替的には、フェリチン、ヘモグロビン又はトランスフェリンとの共有結合複合体を生成する、リシン残基に特異的に結合するリンカーを保有する標識が使用される。
【0094】
「完全なロード」という用語は、CD45+白血球細胞、好ましくはマクロファージ、より好ましくは活性化マクロファージに取り込まれることができる標識と複合した最大量の鉄結合タンパク質、好ましくはフェリチンを指すために本発明において使用される。
【0095】
第4の態様では、本発明は、診断剤として使用される、本発明の第1の態様の又は本発明の第2の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系に関する。
【0096】
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の又は本発明の第2の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系と、薬学的に許容可能な担体及び/又は好適な賦形剤(複数の場合もある)とを含む診断用組成物に関する。単離標的化送達系が生細胞を含むことから、担体及び賦形剤には細胞を生きたままに保つようなものを選ぶのが好ましい。
【0097】
「薬学的に許容可能な」は、連邦規制機関若しくは州政府によって承認された、又は米国薬局方、若しくは動物、より特にはヒトにおける使用について一般に認められる他の薬局方に記載されるものを意味する。
【0098】
「担体」という用語は本明細書で使用される場合、標識とともに投与される希釈剤、賦形剤、界面活性剤、安定剤、生理的緩衝溶液又はビヒクル等であるが、これらに限定されない薬理学的に不活性な物質を指す。かかる医薬担体は液体であっても又は固体であってもよい。液体担体としては、水、及び石油、動物、植物又は合成起源のものを含むが、これらに限定されない油、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等における生理食塩溶液等の滅菌液が挙げられるが、これらに限定されない。生理食塩溶液、並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液を特に注射溶液の液体担体として用いることもできる。医薬組成物を静脈内投与する場合、生理食塩溶液が好ましい担体である。好適な医薬担体の例は、E. W. Martinによる"Remington'sPharmaceutical Sciences"に記載されている。
【0099】
好適な医薬「賦形剤」としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。
【0100】
「界面活性剤」としては、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton X-100、並びにポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65及びポリソルベート80等のポリソルベート等であるが、これらに限定されない陰イオン、陽イオン及び非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0101】
「安定剤」としては、マンニトール、スクロース、トレハロース、アルブミン、並びにプロテアーゼ及び/又はヌクレアーゼアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
「生理的緩衝溶液」としては、塩化ナトリウム溶液、脱塩水、及びリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES緩衝液([4(2ヒドロキシエチル)ピペラジノ]エタンスルホン酸)又はMOPS緩衝液(3モルホリノ-1プロパンスルホン酸)等であるが、これらに限定されない好適な有機又は無機緩衝溶液が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれの緩衝液の選択は概して、所望の緩衝液モル濃度によって決まる。リン酸緩衝液は、例えば注射溶液及び輸液に好適である。
【0103】
第6の態様では、本発明は、腫瘍、好ましくは固形腫瘍及び/又はその転移、好ましくは乳癌、膵癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌若しくはその転移、又は特に皮膚創傷、他の創傷中、若しくは臓器梗塞(心臓)若しくは網膜虚血の後の低酸素領域、炎症性疾患若しくは虚血領域を有する腫瘍の診断に使用される、本発明の第1の態様の又は本発明の第2の態様の方法に従って作製可能な単離標的化送達系に関する。
【0104】
本発明による標的化送達系は、通常は(例えば、溶解性の問題又は血管系の喪失のために)腫瘍に到達することが可能でない標識、好ましくは造影剤の腫瘍送達を可能にする。この系は、低酸素腫瘍又は腫瘍の低酸素領域への標識、好ましくは造影剤の送達も可能にする。この系は、例えば虚血性事例中に低酸素状態となる、又は炎症過程にある生物内での任意の領域への造影剤の送達ももたらす。
【0105】
上述のように、本発明は腫瘍塊への標的化標識送達の方法も提供する。この方法は、マクロファージによる高効率の標識の取り込み又は鉄結合タンパク質(フェリチン、ヘモグロビン及び/又はトランスフェリン(transferrin))の取込みを可能にするCD45+白血球の調製(上記フェリチン、ヘモグロビン及び/又はトランスフェリンが標識、好ましくは造影剤を運ぶ)と、
腫瘍の標的化と、
を含む。
【0106】
付加的に、本発明は腫瘍塊内への放射標識の標的化を可能にする。これらの方法は、MRIイメージング(例えばフェリハイドライト)又はPET/SPECTイメージング(例えば、好ましくはルテチウム-177、イッテルビウム-90、ヨウ素-131、サマリウム-153、リン-32、セシウム-131、パラジウム-103、ラジウム-233、ヨウ素-125及びホウ素-10からなる群から選択される細胞傷害量のγ線、又は好ましくはアクチニウム-225、ビスマス-213、鉛-212及びポロニウム-212からなる群から選択される細胞傷害量のα線も放出するα又はβ線放出放射性同位体)用の造影剤を封入又は装飾したフェリチンをロードしたCD45+白血球、好ましくは活性化マクロファージを含む。
【0107】
本発明では、腫瘍を標的とする送達系として標識、好ましくは造影剤と連結した鉄結合タンパク質がロードされるCD45+白血球、好ましくは活性化マクロファージを利用する。代替的には、標識、好ましくは造影剤で標識したCD45+白血球、好ましくは活性化マクロファージが、腫瘍を標的化するための送達標識系を構成し、イメージング法(例えばPET)を用いて可視化される。イメージング法を用いたそれらの検出の困難さは、固形腫瘍、特にそれらの微小転移において観察される血管系の不良に起因する低酸素領域への造影剤の透過度の変更に主に関連する。しかしながら、これらの無血管領域は血管から遠く離れた領域であってもCD45+白血球、好ましくは活性化マクロファージの移動を誘引する。したがって、これらは腫瘍塊への粒子の送達系を構成する。かかる粒子の有望な例は鉄結合タンパク質である。しかしながら、単一作用物質として使用した場合に、これらは他の化合物と同様、低酸素領域に到達せず、他の器官に蓄積する。
【0108】
本発明者らは実施例に記載されるように、化学的方法を用いて標識又はアイソトープをヘモグロビン又はトランスフェリンへと連結し、それをCD45+白血球(単球、マクロファージ、リンパ球及び/又は顆粒球)、好ましくは活性化マクロファージにロードし、細胞を鉄結合タンパク質溶液で処理した。動物への投与時に、ロードされたCD45+白血球、好ましくは活性化マクロファージが腫瘍低酸素部位へと移動し、鉄結合タンパク質とともに封入された標識を癌細胞へと放出することが本発明者らにより観察された。この方法は腫瘍部位(特に低酸素領域)への標識の正確な投与を可能とし、他の器官におけるそれらの蓄積を回避する。
【実施例】
【0109】
実施例1 - マクロファージの活性化
本発明に使用されるマクロファージを以下のように得て、分化させ、活性化させた。マクロファージを活性化するために、マクロファージを初めに骨髄前駆体(例えば、論文:Weischenfeld and Porse, 2008, CSHProtoc, doi. 10.1101/pdb.prot.5080を参照されたい)又は血液単球から得る。代替的には、マクロファージを腹膜から得ることができる。マクロファージの単離、培養、分化及び極性化/活性化の方法は当業者に既知である。例えば、これらはMurray et al. (Immunity, 2014,41(1):14-20)によって詳細に記載されている。
【0110】
本発明のこの実用化において、骨髄由来マクロファージをBALB/c又はC57Bl/6マウスから得た。また、イヌ血液単球由来マクロファージ又は市販のマクロファージ細胞株(単球-マクロファージ系統マウス細胞:RAW 264.7、J744、ヒト細胞:THP-1、U937、又はイヌ細胞DH82)を使用した。
【0111】
簡潔に述べると、かかる骨髄由来マクロファージを、プラスチックペトリ皿内の5 mlの培地(1プレート当たり3 mlの細胞):DMEM:F12+グルタミン/glutamax+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン及び20%L929条件培地又はM-CSF(50 ng/ml)中に播種する。その後5日間で、培地に成長因子及び活性化化合物の1つ、又は1つのサイトカインカクテルとしてのそれらの組合せを添加する。
【0112】
代替的には、マクロファージを全ての必須サイトカイン及びインターロイキンを含有する「M1/M2 Macrophage Generation Medium」(Promocell)又は市販の同等物又は自製培地中で培養し、これを活性化されているとみなした。
【0113】
血液単球からマクロファージを得るために、新鮮血液(12時間を超えない)を、Histopaqueシステム1077又は同等物、及び適切な量の予め加温したMonocyte Attachment Medium(又は同等物、例えばM-CSFを添加したDMEM/RPMI)、例えばT-75フラスコ1本当たり15 mlの培地中の白血球細胞(又は代替的には、血液バンクから収集した白血球細胞のみ)を用いて遠沈する。播種密度は、単球含量が25%以上の単核細胞については100万個/cm2~200万個/cm2、単球含量が25%未満の単核細胞については150万個/cm2~300万個/cm2とする。次いで、細胞を更に操作することなく5%CO2及び37℃のインキュベーター内で1時間~1.5時間インキュベートする。
【0114】
細胞付着後に、少なくとも2回洗浄した後、適切な量の完全「M1-又はM2-MacrophageGeneration Medium DXF」を細胞に添加し(例えば、T-75フラスコ1本当たり20 ml)、細胞を37℃及び5%CO2で6日間、培地を交換することなくインキュベートする。マクロファージを活性化するために、活性化化合物を添加した培地で全培地を置き換える必要がある。
【0115】
本発明に使用される活性化化合物(骨髄由来細胞に対して、又は単球-マクロファージ細胞株に由来する細胞を活性化するため)は以下のとおりである:IL-4(20 ng/ml)、IFN-γ(少なくとも20 ng/ml)、LPS(少なくとも10ng/ml)、IL-13(少なくとも20 ng/ml)、IL-10(少なくとも20 ng/ml)、デキサメタゾン(少なくとも20 μg/ml)、oxLDL(少なくとも20 ng/ml)、TNF-α(20 ng/ml)、TGF-β(20 ng/ml)、コルチゾール(150 ng/ml~300 ng/ml)、又は1つのサイトカインカクテルとしてのそれらの組合せ。活性化されていないマクロファージを得るためには、活性化化合物を添加しなかった。
【0116】
マクロファージの極性化/活性化の逆転(古典的活性化から代替活性化まで)は、例えば上記に挙げた適切なサイトカイン中での少なくとも48時間のマクロファージの培養によって達成することができる。
【0117】
実施例2 - 単球の単離
本発明のこの実用化において単球を得るために、骨髄由来又は脾臓由来単球をBALB/c又はC57Bl/6マウスから得た。また、イヌ血液単球又は市販の単球細胞株(単球-マクロファージ系統マウス細胞:RAW 264.7、J744、ヒト:THP-1、U937又はイヌDH82細胞株)を使用した。
【0118】
血液単球を得るために、新鮮血液(12時間を超えない)をHistopaqueシステム1077又は同等物を用いて遠沈し、白血球細胞を適切な量の予め加温したMonocyte Attachment Medium(又は同等物、例えば20 ng/ml M-CSFを添加したDMEM/RPMI)、例えばT-75フラスコ1本当たり15 mlの培地中に播種する。代替的には、血液バンクから収集した白血球細胞(バフィーコート)のみを使用してもよい。播種密度は、単球含量が25%以上の単核細胞については100万個/cm2~200万個/cm2、単球含量が25%未満の単核細胞については150万個/cm2~300万個/cm2とする。次いで、細胞を更に操作することなく5%CO2及び37℃のインキュベーター内で1時間~1.5時間インキュベートする。細胞付着後に、少なくとも2回洗浄し、接着細胞を単球とみなす。
【0119】
本発明のこの実用化において骨髄由来単球を得るために、骨髄由来マクロファージをBALB/c又はC57Bl/6マウスから得た。簡潔に述べると、かかる骨髄由来前駆体をプラスチックペトリ皿内の5 mlの培地(1プレート当たり3 mlの細胞):DMEM:F12+グルタミン/glutamax+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン及び20%L929条件培地又は20 ng/ml M-CSF中に播種する。2日後に5 mlの標準培地を添加する。次いで、2日後に1プレート当たり0.5 mlのL929条件培地を添加する。接着細胞を単球とみなす。
【0120】
本発明のこの実用化において脾臓由来単球を得るために、脾臓を機械的に解離して単一細胞懸濁液を得て、70 μmセルストレーナーに通した。細胞を遠心分離し、上清を除去した。赤血球溶解後に、単球を磁性ビーズ精製、例えばEasySep Mouse Monocyte EnrichmentKitプロトコル及び適切な磁石を用いて単離した。
【0121】
それらのタンパク質ロード及び移動のより良好な効果を得るために、使用前にマクロファージ活性化刺激:IL-4(20 ng/ml)、IFN-γ(少なくとも20 ng/ml)、LPS(少なくとも10ng/ml)、IL-13(少なくとも20 ng/ml)、IL-10(少なくとも20 ng/ml)、デキサメタゾン(少なくとも20 μg/ml)、oxLDL(少なくとも20 ng/ml)、TNF-α(20 ng/ml)、TGF-β(20 ng/ml)、コルチゾール(150 ng/ml~300 ng/ml)、又は1つのサイトカインカクテルとしてのそれらの組合せによって前処理してもよい。
【0122】
実施例3 - 顆粒球の単離
顆粒球細胞を血液から得るために、9部の血液を1部のACD緩衝液(0.17 M d-グルコース、0.10 Mクエン酸、0.11 Mクエン酸三ナトリウムを含有する)で希釈した。この工程からの血液を1:1比のPBSで更に希釈し、遠心分離した。血漿及びバフィーコートを除去した後、残りの細胞を第1の工程(ACD-血液)の元の容量の80%までPBSと混合し、続いて4:12の比率の冷蒸留水で希釈した。次いで、6部の2.7%NaCl溶液を添加し、遠心分離した。上清を除去した後、細胞をRPMI-1640培地に再懸濁した。これらの細胞を顆粒球とみなした。
【0123】
実施例4 - リンパ球の単離
本発明のこの実用化において脾臓由来リンパ球を得るために、脾臓を機械的に解離して単一細胞懸濁液を得て、70 μmセルストレーナーに通した。細胞を遠心分離し、上清を除去した。赤血球溶解の後、リンパ球を磁性ビーズ精製、例えばEasySep Mouse CD4+Enrichment Kitプロトコル及び適切な磁石を用いて単離した。
【0124】
実施例5 - フェリチン複合体の調製
フェリチンに抗癌剤(例えばシクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、ベンダムスチン、バノキサントロンのような古典的薬物、又はTH-302のような低酸素活性化プロドラッグ)又は「イメージング造影剤」(例えばフェリハイドライト又はアイソトープ)を組み込むために、フェリチンをマクロファージ処理前に調製する必要がある。簡潔に述べると、配列番号4による組み換えマウスタンパク質(
図1)を以下のように得る。配列番号4のフェリチンタンパク質をコードする合成遺伝子を含有する発現ベクターpET-22bを、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)に形質転換した。大腸菌培養物を、アンピシリン(100 mg/L)を添加した1 LのLuria-Bertaniブロス(LB)中、37℃でOD600 0.6まで成長させた。タンパク質発現を1 mMイソプロピルチオ-b-D-ガラクトシド(IPTG)の添加によって誘導し、培養物を一晩インキュベートした。細胞を遠心分離(15000gで15分間)によって採取し、20 mM Hepes(pH 7.5)、150 mM NaCl、0.1mg/mL DNase、10 mM MgCl
2中に懸濁し、超音波処理によって破壊した。溶解物を15000 gで30分間遠心分離し、上清を50℃で10分間処理し、遠心分離して変性タンパク質を除去した後、70℃で10分間再び遠心分離した。上清に30%(NH)
4SO
4を4℃で添加し、1時間撹拌し、15000 gで30分間遠心分離した。上清に70%(NH)
4SO
4を4℃で添加し、1時間撹拌し、15000 gで30分間遠心分離した。ペレットを20 mM Hepes(pH 7.5)、150 mM NaCl中に再懸濁し、同じ緩衝液に対して4℃で一晩透析した。タンパク質をHILOAD 26/600 SUPERDEX 200ゲル濾過カラム(GE-Healthcare)にロードした後、滅菌濾過し、4℃で保管した(
図9)。タンパク質濃度を、21000 M
-1 m
-1のモル吸光係数を用いた280 nmでの分光光度法及び595 nmでの吸光度を測定するブラッドフォードアッセイによって決定した。
【0125】
上記フェリチンは、組み換え哺乳動物フェリチンタンパク質H及び/又はLホモポリマーを含む。
【0126】
前述のように得られるフェリチンを標準方法によって精製して、エンドトキシンを含まない前臨床グレードの生成物を得る(例えば、Ceci et al. 2011, Extremophiles15(3):431-439、Vanucciet al. 2012, Int J Nanomed 7:1489-1509を参照されたい)。簡潔に述べると、20 mM Hepes(pH 7.5)を含有する貯蔵溶液中で滅菌保存したフェリチンを、酸性24マー溶液(最終pH<3.0)中4uMの最終濃度、又は代替的には高塩基性のpH値(pH>9.5)まで希釈して(例えば、Pontillo et al., 2016を参照されたい)、多量体の解離を可能にする。薬物を適切な溶媒中に非常に高い濃度で溶解した後、少量を200モル過剰のフェリチン溶液に添加する。次いで、pHを適切な量のNaOH/HCl溶液の添加によって中性にして、多量体再構成を可能にする。本実験方法により、100 kDaカットオフ濃縮器内でのPBSを用いた3回/4回の洗浄(濃縮工程)により共溶媒及び封入されていない薬物の両方の急速かつ完全な排除、並びに薬物をロードしたフェリチンナノケージの完全な回収が可能となることが示される。次いで、これにより得られるフェリチン-薬物複合体を液体窒素中で急速凍結し、凍結乾燥した。
【0127】
共溶媒の選択及び薬物分子の固有の化学的特性に応じて、最大150個~180個の薬物分子を24マーフェリチンケージ内に捕捉/吸着し得ると推定することができる。
【0128】
標識を適切なフェニルヒドラゾン、スクシンイミド又はマレイミド活性化標識の選択によってフェリチンアミノ酸側鎖(リシン又はシステイン)に共有結合的にカップリングすることもできる。したがって、i)フェニルヒドラゾン誘導体は、標識をフェリチン表面から分離し、遊離させることができ、ii)リシン結合誘導体は、アミノ酸への完全なタンパク質分解後に活性となることができ、又はiii)システイン結合誘導体は、マレイミド(maleimide)チオエーテル結合の還元的加水分解により細胞内で遊離することができる。
【0129】
実施例6 - ヘモグロビン-化合物複合体の調製
ヒトヘモグロビンを、Rossi-Fanelli et al. (Archives of biochemistry and biophysics77:478-492, 1958)に記載のように新鮮赤血球から調製する。簡潔に述べると、健常ドナーから得られるヘパリン化血を、1600 rpmで30分間遠心分離し(4℃)、RBCを沈殿させた。バフィーコートをペレットの表面上の針吸引によって正確に除去した。血漿上清を捨て、等張0.9%生理食塩溶液中にRBCを再懸濁し、1600 rpm、4℃で30分間遠心分離することによってRBCペレットを3回洗浄した。最終生理食塩水洗浄及び遠心分離工程後に、RBCペレットを5 mMリン酸カリウム緩衝液(PB、pH=7.2)でpH 7.2に緩衝化した蒸留水中に再懸濁し、穏やかに撹拌しながら4℃で一晩溶解させた。透析RBC溶解物を続いて13.000(13000) rpm、4℃で30分間遠心分離し、Q-sepharose XL樹脂(GE Healthcare)を充填したXK 26/40カラムを備えるAKTA Explorerシステムに上清を室温で直接ロードした。カラムを緩衝液A(20 mMトリス-HCl、pH=8.2)により12 mL/分の流速で平衡化し、同じ緩衝液で3回洗浄した。線形勾配溶出を、100%緩衝液Aから75%緩衝液B(20 mMトリス-Cl+0.2 MNaCl(pH 8.20))、続いて100%緩衝液Bの段階勾配へと変化させることによって生成した。溶出時に、フラクションコレクターを用いてタンパク質画分を回収した。このようにして得られたタンパク質をSDS pageによって分析し、-80℃で凍結保管した。
【0130】
ヒトヘモグロビン(配列番号18又は22、
図1を参照されたい)は、ヘム結合ポケット内のホスト疎水性薬物分子である適切な薬物コンジュゲートに容易に共有結合的に連結し、又は更にはヘム鉄に連結した小細胞毒性分子を輸送することができる。Hbは、タンパク質表面上の唯一の滴定可能なシステインであるβ鎖の93位のシステイン残基への適切な薬物コンジュゲートの選択的付着によって容易に修飾することができる。アポタンパク質溶液は、再構成プロセスの期間中氷浴で維持しなければならない。0.1 M NaOH中の1.5倍モル過剰のCuT-CPP(Cu-TCPP 4,4',4'',4'''-(ポルフィン-5,10,15,20-テトライル)テトラキス(安息香酸)-Cu
67)を、0.2 M KPi緩衝液中のアポグロビン溶液(pH 7.0)に滴加し、室温で迅速にボルテックスした後、氷浴内に30分間戻さなければならない。次いで、タンパク質溶液を使用前にシリンジフィルター中で濾過しなければならない。
【0131】
実施例7 - トランスフェリン-化合物複合体の調製
血清を健常ドナーから得て、キレート剤としてのクエン酸イオン及びトランスフェリンへの鉄結合を促進する重炭酸塩の存在下で過剰な鉄を添加した。反応混合物は、血清100 mL当たり6.5 mgの重炭酸ナトリウム及び153.16のクエン酸酸化鉄(pH=8、4℃、1時間)を含有していた。アルブミンを続いて、アルコール溶液を血清サンプルに3.5V/V比で添加することにより、4℃及びpH=9.4で2時間Rivanol(4%)によって沈殿させた。次いで、溶液を3000 rpmで20分間遠心分離し、0.8mmシリンジフィルターで濾過することによって最後に濾過した。過剰なRivanolを続いて、0.025 M硫酸アンモニウム中のSephadex G-25カラムでのゲル濾過によって除去した。50%飽和硫酸アンモニウム(pH=6.5)による最初の沈殿を続いて行い、その後3000 rpmで10分間の遠心分離を行った(免疫グロブリン除去)。次いで、80%飽和硫酸アンモニウムでの2回目の沈殿を行い、トランスフェリン沈殿物を回収した。次いで、固体沈殿物を、1 M NaClを含有する0.06 MトリスHCl緩衝液(pH=8)中の緩衝液に溶解した。溶液を同じ緩衝液中で透析して、硫酸アンモニウムを完全に除去した。次いで、タンパク質溶液を、centricon PM50遠心濃縮器を用いて10 mg/ml~15 mg/ml(ブラッドフォード法によって推定される)まで濃縮し、1M NaClで平衡化したSephadex G-100ゲル濾過カラム(2.4×80 cm)に15 ml/時間の流速でロードした。このようにして得られたトランスフェリンは、SDS pageにより純度88%~90%であることが推定された。次いで、陰イオン交換体DEAE Sephadex A-50によるイオン交換クロマトグラフィーを最終精製(polishing)工程として使用した。トランスフェリンサンプルを0.06 MトリスHCl(pH=8)で平衡化したカラムにロードし、溶出緩衝液0.3 MトリスHCl(pH=8)を用いた線形濃度勾配により溶出した。タンパク質純度は98%超であり、収率は血清100 mL当たり約150 mgであった。
【0132】
ヒトホロトランスフェリン(配列番号28、
図1)はヘモグロビンと同様、適切な標識コンジュゲートに容易に共有結合的に連結することができる。アポタンパク質溶液は、再構成プロセスの期間中氷浴で維持しなければならない。0.1 M NaOH中の1.5倍モル過剰のCuT-CPP(Cu-TCPP 4,4',4'',4'''-(ポルフィン-5,10,15,20-テトライル)テトラキス(安息香酸)-Cu
67)を、0.2 M KPi緩衝液中のアポグロビン溶液(pH 7.0)に滴加し、室温で迅速にボルテックスした後、氷浴内に30分間戻さなければならない。次いで、タンパク質溶液を使用前にシリンジフィルター中で濾過しなければならない。
【0133】
実施例8 - フェリチンをロードした細胞を得る
得られる細胞をフェリチン溶液中、それらの完全なロードに適当なフェリチン/細胞比を確実にし、また適当なイメージングを得るのに適当な造影剤含量を確実にするのに十分な時間及び濃度でインキュベートする)。時間及び濃度はフェリチンケージに封入/吸着される分子の数、細胞活性化の状態、条件及びそれらの意図される投与の回数に応じて変更することができる。
【0134】
例えば、フェリチンの適当なロードを確実にするために、細胞を0.2 mg/mlフェリチン溶液中、標準培養条件で1時間~4時間インキュベートする。少なくとも0.01 mg/ml~4 mg/mlのフェリチン濃度枠及びインキュベーション時間(5分間~6時間以上)を変更することができる。細胞へのフェリチンロードの時間及び濃度を調整することで、細胞生存能力に対するフェリチン及び処理条件の影響に注意を払う必要がある。上述のように得られる細胞は、フェリチンを比較的短時間(分単位;
図5)で非常に容易に取り込む。フェリチンを吸収した後、細胞はフェリチンを培養培地へと放出しない(
図6)。
【0135】
それにもかかわらず、当業者は独自の研究室内で上記の条件を再調整し、プロトコルを独自の目的に最適化することが可能である。
【0136】
実施例9 - ヘモグロビンをロードした細胞を得る
得られる細胞をヘモグロビン溶液中、それらの完全なロードに適当なヘモグロビン/細胞比を確実にし、また適当なイメージングを得るのに適当な造影剤含量を確実にするのに十分な時間及び濃度でインキュベートする)。時間及び濃度はヘモグロビン分子に連結する分子の数、細胞活性化の状態、条件及びそれらの意図される投与の回数に応じて変更することができる。
【0137】
例えば、ヘモグロビンの適当なロードを確実にするために、細胞を0.1 mg/mlヘモグロビン溶液中、標準培養条件で1時間~4時間インキュベートする。少なくとも0.01 mg/ml~0.2 mg/mlのヘモグロビン濃度枠及びインキュベーション時間(5分間~4時間以上)を変更することができる。細胞へのヘモグロビンロードの時間及び濃度を調整することで、細胞生存能力に対するフェリチン及び処理条件の影響に注意を払う必要がある。上述のように得られる細胞は、ヘモグロビンを比較的短時間(分単位;
図5)で非常に容易に取り込む。
【0138】
それにもかかわらず、当業者は独自の研究室内で上記の条件を再調整し、プロトコルを独自の目的に最適化することが可能である。
【0139】
実施例10 - トランスフェリンをロードした細胞を得る
得られる細胞をトランスフェリン溶液中、それらの完全なロードに適当なトランスフェリン/細胞比を確実にし、また適当なイメージングを得るのに適当な造影剤含量を確実にするのに十分な時間及び濃度でインキュベートする)。時間及び濃度はトランスフェリン分子に連結する分子の数、細胞活性化の状態、条件及びそれらの意図される投与の回数に応じて変更することができる。
【0140】
例えば、トランスフェリンの適当なロードを確実にするために、細胞を0.1 mg/mlトランスフェリン溶液中、標準培養条件で1時間~4時間インキュベートする。少なくとも0.01 mg/ml~0.2 mg/mlのトランスフェリン濃度枠及びインキュベーション時間(5分間~4時間以上)を変更することができる。細胞へのトランスフェリンロードの時間及び濃度を調整することで、細胞生存能力に対するトランスフェリン及び処理条件の影響に注意を払う必要がある。上述のように得られる細胞は、トランスフェリンを比較的短時間(分単位;
図5)で非常に容易に取り込む。
【0141】
それにもかかわらず、当業者は独自の研究室内で上記の条件を再調整し、プロトコルを独自の目的に最適化することが可能である。
【0142】
実施例11 - 放射性同位体による細胞標識化
本発明では、細胞をPETでイメージングされるように18F-FDGで標識した。細胞をプレートから分離し、細胞による最適な18F-FDG取込みを確実にし、それらの蓄積部位でのそれらの放射検出を可能にする適切な濃度の18F-FDG溶液とともにインキュベートした。本実用的発明では、細胞を様々なサイトカインカクテル、成長因子及びそれらの活性化状態に影響を与え、それらの標識取込みを向上させる他の因子で前処理し、20 MBq~60 MBqを含有する温18F-FDG溶液中でインキュベートした。標識化後に、細胞を遠心分離する必要があり、上清を除去する必要がある。この工程を上清中で放射活性が検出されなくなるまで繰り返す必要がある。
【0143】
実施例12 - 腫瘍への有用な送達ツールとしてのフェリチン/ヘモグロビン/トランスフェリン/標識-白血球複合体
実施例8、9、10及び11に記載のように調製した実施例1によるマクロファージ、実施例8、9、10及び11に記載のように調製した実施例2による単球、実施例8、9、10及び11に記載のように調製した実施例3による顆粒球、並びに実施例8、9、10及び11に記載のように調製した実施例4によるリンパ球は、フェリチン、ヘモグロビン、トランスフェリン及び標識を腫瘍へとイメージングシステムを用いた検出に十分な量で非常に容易に輸送する(
図2、
図3、
図4、
図7及び
図8)。
【0144】
実施例13 - 低酸素領域への有用な標的化薬物送達剤としての白血球-タンパク質担体複合体
上記のように調製したマクロファージを、腫瘍を有する動物の尾静脈へと注射する(適切な数のマクロファージを腫瘍サイズ、発生の段階及び転移の存在に対して調整する必要がある)。
図2、
図3、
図4、
図7、
図8及び
図10に示されるように、マクロファージは特異的に腫瘍に到達し(数時間後)、動物全体の他の器官にも分散する(。さらに、
図9に示されるように、低酸素モデルでは、マクロファージは無血管の低酸素部位へと移動することが可能である。
【0145】
イメージング目的で、100万個~5000万個のマクロファージを乳癌又は結腸癌腫瘍担持動物の尾静脈に注射した。先に、マクロファージをCell Trackerで前標識し、フェリチン-FITCをロードした(実施例8に示される)。マクロファージ投与の8時間後に、腫瘍塊の二光子イメージングを用いて、フェリチン-FITCを運搬するマクロファージの存在を検出した(
図7)。それらの特異的な腫瘍の標的化だけでなく、他の器官へのそれらの移動も、XenoLight DiR親油性DIR細胞質染料を用いたマクロファージ前標識化後の動物全身イメージング(IVIS)を用いて示された(
図8)。
【0146】
実施例14 - 有用なイメージングツールとしての白血球-タンパク質担体複合体又は標識白血球
本発明に記載される標的化送達系は、非常に有用なイメージングツールを構成する。
図4及び
図10に示されるように、実施例8に記載のように造影剤(この場合、フェリハイドライト、しかしながらアイソトープ、例えば
123Iによっても同じ結果が得られる)とカップリングした又はアイソトープ(この場合、
18F-FDG)(
図10)で標識したフェリチンをロードした1 ml~50 mlのマクロファージの注射後に、これらをMRI、PET又はSPECTによって容易に検出することができる。本実施例では(
図4)、乳腺腫瘍担持マウスを、フェリチンFhをロードしたマクロファージの静脈内注射の3時間、22時間及び24時間後にMRIを用いてイメージングした。
図4に示されるように、フェリチン/マクロファージ複合体は非常に有用なイメージングツールである。マウスをマクロファージで処理した(0時間の時点)。次いで、注射したマクロファージで満たされた血管の直径の増大(矢印)(顕著なT2-シグナルの低減をもたらす)、その後マクロファージの組織への広がり(スポット状パターン;矢印)が観察された。これらの変化(同じ時点)は検査した全てのマウスに観察された。
【0147】
また、マクロファージを
18F-FDG(1 mln~50 mln)で標識し、腫瘍担持マウスへの静脈内投与の1時間後にPETを用いてイメージングした。実験の3週間前に、これらのマウスに4T1転移性細胞株を接種し、肺、肝臓及び脾臓における転移を病理組織学的に(histopathologically)確認した。マクロファージが転移性腫瘍を有する領域へと移動し、PETでのそれらの可視化が可能となることが
図10に見られる。
【0148】
本発明の以上の明細書により当業者が現在その最良の形態とみなされるものを作製及び使用することが可能となるが、本明細書の具体的な実施形態、方法及び実施例の変更、組合せ及び均等物の存在が当業者により理解及び認識される。したがって、本発明は上記の実施形態、方法及び実施例ではなく、本発明の範囲及び趣旨に含まれる全ての実施形態及び方法によって限定される。
【0149】
本発明は、以下の態様及びこれらの態様の好ましい実施形態にも関する。上記で提示される定義が下記の態様及び実施形態にも同様に当てはまる。
1. 造影剤を運搬するフェリチンがロードされた活性化マクロファージを含む標的化送達系。
2. 造影剤がフェリハイドライト又は同位体である、実施形態1による標的化送達系。
3. 造影剤を運搬するフェリチンがロードされた活性化マクロファージを含む標的化送達系を作製する方法であって、
a)フェリチンを精製する工程と、
b)フェリチンと上記造影剤とを連結することによって、造影剤を運搬するフェリチンを得る工程と、
c)単離マクロファージを活性化する工程と、
d)造影剤を運搬するフェリチンのマクロファージへの完全なロードを確実にするのに十分な時間及びフェリチン濃度で、工程b)において得られる造影剤を運搬するフェリチンの溶液中でマクロファージをインキュベートする工程と、
を含む、方法。
4. 活性化マクロファージが骨髄由来のマクロファージである、実施形態3の方法。
5. 活性化マクロファージが血液由来のマクロファージである、実施形態3の方法。
6. 活性化マクロファージがマクロファージ細胞株に由来する、実施形態3の方法。
7. 活性化マクロファージがM1又はM2へと偏向したマクロファージである、実施形態3~6のいずれか1つの方法。
8. 活性化マクロファージがM2へと偏向している、実施形態7の方法。
9. 活性化マクロファージが鉄代謝に関して操作されている、実施形態7の方法。
10. 造影剤がフェリハイドライト又は同位体である、実施形態3~9のいずれか1つの方法。
11. イメージングツールとして使用される、実施形態1又は2のいずれかに規定の標的化送達系。
【0150】
好ましい実施形態において、本発明は上記項目1~11の主題を含まない。
【符号の説明】
【0151】
図面訳
図1
Mammalianferritin H chain (SEQ ID NO: 1 to 7) 哺乳動物フェリチンH鎖(配列番号1~7)
SEQ ID NO 配列番号
Mammalianferritin L chain (SEQ ID NO: 8 to 14) 哺乳動物フェリチンL鎖(配列番号8~14)
Mammalianhaemoglobin alpha chains (SEQ ID NO: 15 to 18) 哺乳動物ヘモグロビンα鎖(配列番号15~18)
Mammalianhaemoglobin beta chains (SEQ ID NO: 19 to 22) 哺乳動物ヘモグロビンβ鎖(配列番号19~22)
Mammaliantransferrins (SEQ ID NO: 23 to 28) 哺乳動物トランスフェリン(配列番号23~28)
Transferrin トランスフェリン
図5
uptake 取込み
MFI of FITC FITCのMFI
Time ofincubation インキュベーション時間
min 分
Monocyte Ftand Hb uptake 単球によるFt及びHbの取込み
MeanFluorescence Intensity 平均蛍光強度
treatment 処理
untreated 未処理
MFI ofGranulocyte-Ft 顆粒球-FtのMFI
Time oftreatment 処理時間
MFI ofLymphocyte-Ft リンパ球-FtのMFI
図6
Ft-Banoxantrone(0.8 mg/ml) leakage from cells to the medium 細胞から培地へのFt-バノキサントロン(0.8 mg/ml)の漏出
FACS analysis FACS分析
Percentage ofcancer cells 癌細胞のパーセンテージ
h 時間
hrs 時間
Ft-Banoxantrone(0.2 mg/ml) leakage from cells to the medium 細胞から培地へのFt-バノキサントロン(0.2 mg/ml)の漏出
Relative MeanFluorescence Intensity 相対平均蛍光強度
図7
macrophage マクロファージ
plainferritin-FITC 素フェリチン-FITC
図8
control 対照
tumor 腫瘍
injectionsite 注射部位
図10
LungRadioactivity 肺放射活性
naive miceMQ-FDG ナイーブマウスMQ-FDG
Graph legend グラフの説明
Mice withmetastatic 4T1 tumour + intravenous macrophages loaded with 18F-FDG 転移性4T1腫瘍を有するマウス+18F-FDGをロードした静脈内マクロファージ
Mice withmetastatic 4T1 tumour + intravenous free18F-FDG 転移性4T1腫瘍を有するマウス+遊離18F-FDG
Naive micewithout tumour + intravenous macrophages loaded with 18F-FDG 腫瘍を有しないナイーブマウス+18F-FDGをロードした静脈内マクロファージ
【配列表】