(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】運転支援装置及びデータ構造
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220405BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20220405BHJP
G08G 1/09 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G01C21/34
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2018001708
(22)【出願日】2018-01-10
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】増岡 孝紀
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/109471(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/096074(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウンドアバウト型の交差点の第一環状車線のデータと、前記第一環状車線よりも内側の第二環状車線のデータと、前記第二環状車線の所定の位置から前記第一環状車線の所定の位置への移行経路を規制する移行誘導データ
であって第二環状車線における移行開始の位置と第一環状車線における移行終了の位置に関する情報を含むデータと、を含む車線ネットワーク情報を記憶するデータ保持部と、
前記第一環状車線及び前記第二環状車線のデータと、前記移行誘導データとに基づいて、前記交差点内における走行予定車線を設定する走行車線設定部と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記走行車線設定部は、前記交差点への車両の進入位置からの進入先のデータとして前記第一環状車線及び前記第二環状車線のいずれかのデータを選択する際に、前記交差点からの退出位置が前記進入位置から遠くなるのに応じて前記第二環状車線のデータの優先度を高めるように構成されている、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記車線ネットワーク情報は、
前記第一環状車線における走行禁止位置のデータ及び前記交差点に接続する道路の車線のデータを更に含み、
前記走行車線設定部は、前記交差点への車両の進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータを、
前記走行禁止位置及び前記交差点からの
退出先に応じて選択するように構成されている、請求項1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
車両の走行を支援する走行支援機能を有する制御部に、記憶部に記憶された地図データを参照させる参照機能を前記制御部に実現させるプログラムであって、
前記地図データは、ラウンドアバウト型の交差点の第一環状車線のデータと、前記第一環状車線よりも内側の第二環状車線のデータと、前記第二環状車線から前記第一環状車線への移行経路を規制する移行誘導データ
であって第二環状車線における移行開始の位置と第一環状車線における移行終了の位置に関する情報を含むデータと、を含み、
前記参照機能は、前記制御部に前記第一環状車線のデータ、前記第二環状車線のデータ、前記
移行誘導データを参照させる機能を含み、
前記走行支援機能は、前記第一環状車線及び前記第二環状車線のデータと、前記移行誘導データとに基づいて、前記交差点内における走行予定車線を設定する機能を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、プログラム及び/又はデータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、案内ルート上に存在するラウンドアバウトを特定するラウンドアバウト特定部と、車両の現在位置を取得する現在位置取得部と、車両が、ラウンドアバウト内において、案内ルートから逸脱したことを検出する逸脱検出部と、案内ルートからの逸脱が検出されたとき、案内ルートの表示を更新しないように制御する表示制御部と、を備える、ナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、適切な運転支援に有効な運転支援装置及びデータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る運転支援装置は、ラウンドアバウト型の交差点の第一環状車線のデータと、第一環状車線よりも内側の第二環状車線のデータと、第二環状車線から第一環状車線への移行経路を規制する移行誘導データであって第二環状車線における移行開始の位置と第一環状車線における移行終了の位置に関する情報を含むデータと、を含む車線ネットワーク情報を記憶するデータ保持部と、第一環状車線及び第二環状車線のデータと、移行誘導データであって第二環状車線における移行開始の位置と第一環状車線における移行終了の位置に関する情報を含むデータとに基づいて、交差点内における走行予定車線を設定する走行車線設定部と、を備える。
【0006】
走行車線設定部は、交差点への車両の進入位置からの進入先のデータとして第一環状車線及び第二環状車線のいずれかのデータを選択する際に、交差点からの退出位置が進入位置から遠くなるのに応じて第二環状車線のデータの優先度を高めるように構成されている。
【0007】
車線ネットワーク情報は、第一環状車線における走行禁止位置のデータ及び交差点に接続する道路の車線のデータを更に含み、走行車線設定部は、交差点への車両の進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータを、前記走行禁止位置及び前記交差点からの退出先に応じて選択するように構成されている。
【0008】
本開示の一側面に係るプログラムは、車両の走行を支援する走行支援機能を有する制御部に、記憶部に記憶された地図データを参照させる参照機能を制御部に実現させるプログラムであって、地図データは、ラウンドアバウト型の交差点の第一環状車線のデータと、第一環状車線よりも内側の第二環状車線のデータと、第二環状車線から第一環状車線への移行経路を規制する移行誘導データであって第二環状車線における移行開始の位置と第一環状車線における移行終了の位置に関する情報を含むデータと、を含み、参照機能は、制御部に第一環状車線のデータ、第二環状車線のデータ、移行誘導データを参照させる機能を含み、走行支援機能は、第一環状車線及び第二環状車線のデータと、移行誘導データとに基づいて、交差点内における走行予定車線を設定する機能を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】運転支援システムの構成を示す模式図である。
【
図3】車線区間データの内容を例示するテーブルである。
【
図5】ラウンドアバウト型の交差点及び交差点データセットを例示する模式図である。
【
図6】運転支援装置及びサーバのハードウェア構成図である。
【
図7】走行予定車線の設定手順を例示するフローチャートである。
【
図8】リカバー処理手順を例示するフローチャートである。
【
図9】交差点データセットの変形例を示す模式図である。
【
図10】移行誘導データの変形例を示すテーブルである。
【
図11】交差点データセットの他の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
〔運転支援システム〕
図1に示す運転支援システム1は、車両2(例えば自動車)の運転支援の一例として、車両2の自動運転を実行するシステムである。運転支援システム1は、車両2に搭載される運転支援装置100と、ネットワーク回線を介して運転支援装置100に接続されるサーバ200とを備える。
【0020】
例えばサーバ200は、地図データベース211を有する。地図データベース211は、運転支援用の地図データ220を記憶している。
図2に示すように、地図データ220は、論理ネットワーク情報230及び車線ネットワーク情報240を含む。
【0021】
論理ネットワーク情報230は、目的地までの経路探索に用いられる情報である。論理ネットワーク情報230は、所定の地点に対応付けられた複数のノード231と、ノード231同士を結ぶリンク232とにより構成された情報であり、一連のノード231及びリンク232により示される経路が道路3に対応している。以下の説明においては、論理ネットワークレベルでの経路(一連のノード231及びリンク232により示される経路)を「論理経路」という。車線ネットワーク情報240は、論理経路を道路の車線レベルに細分化した情報であり、道路の車線のデータを含む。例えば車線ネットワーク情報240は、車線のデータとして、各車線3a,3bに沿って連なる複数の車線区間のデータ(以下、「車線区間データ250」という。)と、車線区間データ250ごとに定められた車線属性情報260とを含む。車線ネットワーク情報240は、論理ネットワーク情報230に対応付けられている。
【0022】
図3に例示するように、車線区間データ250は、レーンID、座標点列、進入側レーンID、退出側レーンID、及びレーン長さ等を含む。レーンIDは、車線区間に固有のIDである。座標点列は、車線区間を構成する点の座標データを順に並べたデータ列であり、車線に沿ったラインを示す。進入側レーンIDは、車線区間の始点に連なる他の車線区間のIDである。退出側レーンIDは、車線区間の終点に連なる他の車線区間のIDである。レーン長さは、車線区間の始点から終点までの長さである。
【0023】
図4に例示するように、車線属性情報260は、レーンID、車線幅、総レーン数、レーン番号、左側レーンID、右側レーンID、車線変更情報を含む。レーンIDは、当該属性情報の対象となる車線区間のIDである。車線幅は、車線の幅員を示す数値である。総レーン数は、同一の道路内において同一方向へ向かう車線の総数である。レーン番号は、車線区間が左側又は右側から何番目の車線に属するかを示す値である。左側レーンIDは、車線区間の左側に位置する他の車線区間のIDである。右側レーンIDは、車線区間の右側に位置する他の車線区間のIDである。車線変更情報は、左側及び右側のそれぞれへの車線変更の可否を示す。
【0024】
ここで、車線ネットワーク情報240は、ラウンドアバウト型の交差点のデータセット(以下、「交差点データセット300」という。)を更に含む。
図5は、ラウンドアバウト型の交差点及び交差点データセットを例示する模式図である。
図5に例示されるラウンドアバウト型の交差点5は、4本の道路31,32,33,34の交差部に設けられている。
【0025】
道路31,32,33,34のそれぞれは、交差点5に進入するための車線(以下、「進入車線」という。)と、交差点5から退出するための車線(以下、「退出車線」という。)とを含む。道路31,32,33,34は、所謂左側走行の道路であり、交差点5に向かって左側(以下、単に「左側」という。)の車線が進入車線となっており、交差点5に向かって右側(以下、単に「右側」という。)の車線が退出車線となっている。例えば道路31は、進入車線31a,31bと、退出車線31c,31dとを含む。進入車線31a,31bと、退出車線31c,31dとは、この順序で道路31の左側から右側(右側走行の場合にあっては右側から左側)に並んでいる。道路32も、進入車線32a,32bと、退出車線32c,32dとを含む。進入車線32a,32bと、退出車線32c,32dとは、この順序で道路32の左側から右側に並んでいる。道路33も、進入車線33a,33bと、退出車線33c,33dとを含む。進入車線33a,33bと、退出車線33c,33dとは、この順序で道路33の左側から右側に並んでいる。道路34も、進入車線34a,34bと、退出車線34c,34dとを含む。進入車線34a,34bと、退出車線34c,34dとは、この順序で道路34の左側から右側に並んでいる。
【0026】
交差点5は、道路31,32,33,34の全てに交わる第一環状車線51と、第一環状車線51よりも内側の第二環状車線52とを含む。第一環状車線51及び第二環状車線52における進行方向は、上から見て時計回り(右側走行の場合には反時計回り)に制限されている。交差点5においては、第二環状車線52から第一環状車線51への車線変更は認められる一方で、第一環状車線51から第二環状車線52への車線変更は認められない。更に、第一環状車線51には、2か所の走行禁止位置53,54が設けられている。走行禁止位置53は、進入車線31a,31bと退出車線31c、31dとの間に設けられ、走行禁止位置54は進入車線33a,33bと退出車線33c,33dとの間に設けられている。
【0027】
上述した交差点5内の走行ルールに応じて、道路31の進入車線31aは、直進(道路33への退出)及び左折(道路32への退出)用に指定されている。道路31の進入車線31bは、直進及び右折(道路34への退出)用に指定されている。道路32の進入車線32aは、左折(道路33への退出)用に指定されている。道路32の進入車線32bは、直進(道路34への退出)及び右折(道路31への退出)用に指定されている。道路33の進入車線33aは、直進(道路31への退出)及び左折(道路34への退出)用に指定されている。道路33の進入車線33bは、直進及び右折(道路32への退出)用に指定されている。道路34の進入車線34aは、左折(道路31への退出)用に指定されている。道路34の進入車線34bは、直進(道路32への退出)及び右折(道路33への退出)用に指定されている。なお、これらの走行ルールは、道路交通法等により設定されている。
【0028】
交差点データセット300は、第一環状車線データ310と、第二環状車線データ320と、移行誘導データ330と、第一進入経路データ341a,342a,343a,344aと、第二進入経路データ341b,342b,343b,344bと、退出経路データ341c,342c,343c,344c,341d,342d,343d,344dとを含む。
【0029】
第一環状車線データ310は、第一環状車線51のデータである。例えば第一環状車線データ310は、三次元座標空間において第一環状車線51に沿ったラインを示すデータを含む。第一環状車線データ310のラインは、第一環状車線51に沿っていればよく、必ずしも環状に閉じていなくてもよい。第二環状車線データ320は、第二環状車線52のデータである。例えば第二環状車線データ320は、三次元座標空間において第二環状車線52に沿ったラインを示すデータを含む。移行誘導データ330は、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を規制するデータである。例えば移行誘導データ330は、三次元座標空間において第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を指定するデータを含む。
【0030】
第一進入経路データ341a,342a,343a,344aは、交差点5に接続する道路31,32,33,34から第一環状車線51への進入経路である第一進入経路のデータである。第二進入経路データ341b,342b,343b,344bは、道路31,32,33,34から第二環状車線52への進入経路である第二進入経路のデータである。退出経路データ341c,342c,343c,344c,341d,342d,343d,344dは、第一環状車線51から道路31,32,33,34への退出経路のデータである。
【0031】
第一進入経路データ341aは、進入車線31aから第一環状車線51への進入経路のデータである。例えば第一進入経路データ341aは、三次元座標空間において進入車線31aから第一環状車線51への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第一進入経路データ341aは、進入車線31aの車線区間データ251aのラインと、第一環状車線データ310のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0032】
第二進入経路データ341bは、進入車線31bから第二環状車線52への進入経路のデータである。例えば第二進入経路データ341bは、三次元座標空間において進入車線31bから第二環状車線52への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第二進入経路データ341bは、進入車線31bの車線区間データ251bのラインと、第二環状車線データ320のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0033】
退出経路データ341cは、第一環状車線51から退出車線31cへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ341cは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線31cへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ341cは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線31cの車線区間データ251cのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0034】
退出経路データ341dは、第一環状車線51から退出車線31dへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ341dは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線31dへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ341dは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線31dの車線区間データ251dのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0035】
第一進入経路データ342aは、進入車線32aから第一環状車線51への進入経路のデータである。例えば第一進入経路データ342aは、三次元座標空間において進入車線32aから第一環状車線51への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第一進入経路データ342aは、進入車線32aの車線区間データ252aのラインと、第一環状車線データ310のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0036】
第二進入経路データ342bは、進入車線32bから第二環状車線52への進入経路のデータである。例えば第二進入経路データ342bは、三次元座標空間において進入車線32bから第二環状車線52への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第二進入経路データ342bは、進入車線32bの車線区間データ252bのラインと、第二環状車線データ320のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0037】
退出経路データ342cは、第一環状車線51から退出車線32cへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ342cは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線32cへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ342cは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線32cの車線区間データ252cのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0038】
退出経路データ342dは、第一環状車線51から退出車線32dへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ342dは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線32dへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ342dは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線32dの車線区間データ252dのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0039】
第一進入経路データ343aは、進入車線33aから第一環状車線51への進入経路のデータである。例えば第一進入経路データ343aは、三次元座標空間において進入車線33aから第一環状車線51への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第一進入経路データ343aは、進入車線33aの車線区間データ253aのラインと、第一環状車線データ310のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0040】
第二進入経路データ343bは、進入車線33bから第二環状車線52への進入経路のデータである。例えば第二進入経路データ343bは、三次元座標空間において進入車線33bから第二環状車線52への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第二進入経路データ343bは、進入車線33bの車線区間データ253bのラインと、第二環状車線データ320のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0041】
退出経路データ343cは、第一環状車線51から退出車線33cへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ343cは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線33cへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ343cは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線33cの車線区間データ253cのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0042】
退出経路データ343dは、第一環状車線51から退出車線33dへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ343dは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線33dへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ343dは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線33dの車線区間データ253dのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0043】
第一進入経路データ344aは、進入車線34aから第一環状車線51への進入経路のデータである。例えば第一進入経路データ344aは、三次元座標空間において進入車線34aから第一環状車線51への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第一進入経路データ344aは、進入車線34aの車線区間データ254aのラインと、第一環状車線データ310のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0044】
第二進入経路データ344bは、進入車線34bから第二環状車線52への進入経路のデータである。例えば第二進入経路データ344bは、三次元座標空間において進入車線34bから第二環状車線52への進入経路を指定するデータを含む。より具体的に、第二進入経路データ344bは、進入車線34bの車線区間データ254bのラインと、第二環状車線データ320のラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0045】
退出経路データ344cは、第一環状車線51から退出車線34cへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ344cは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線34cへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ344cは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線34cの車線区間データ254cのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0046】
退出経路データ344dは、第一環状車線51から退出車線34dへの退出経路のデータである。例えば退出経路データ344dは、三次元座標空間において第一環状車線51から退出車線34dへの退出経路を指定するデータを含む。より具体的に、退出経路データ344dは、第一環状車線データ310のラインと、退出車線34dの車線区間データ254dのラインとを接続するラインを示すデータを含む。
【0047】
ここで、第一環状車線データ310は、少なくとも複数の第一進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータを含んでもよい。例えば第一環状車線データ310は、4カ所の第一進入経路の終点と、4カ所の第一退出経路の始点とにより区分された6つの車線区間データ311,312,313,314,315,316を含む。
【0048】
車線区間データ311は、第一進入経路データ341aのラインの終点ep1と、退出経路データ342c,342dのラインの始点sp22とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ312は、始点sp22と、第一進入経路データ342aのラインの終点ep2とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ313は、終点ep2と、退出経路データ343c,343dのラインの始点sp23とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ314は、第一進入経路データ343aのラインの終点ep3と、退出経路データ344c,344dのラインの始点sp24とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ315は、始点sp24と、第一進入経路データ344aのラインの終点ep4とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ316は、終点ep4と、退出経路データ341c,341dのラインの始点sp21とにより区分される車線区間のデータである。
【0049】
第一環状車線データ310は、上述した走行禁止位置53,54に関する情報を含んでいてもよい。例えば第一環状車線データ310は、始点sp21と終点ep1との間、及び始点sp23と終点ep3との間の車線区間データを含んでいない。このため、第一環状車線データ310に従えば、走行禁止位置53,54の走行が禁止される。すなわち、第一環状車線データ310は走行禁止位置53,54に関する情報を含んでいる。
【0050】
第二環状車線データ320は、少なくとも複数の第二進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータを含んでもよい。例えば第二環状車線データ320は、4カ所の第二進入経路の終点により区分された4つの車線区間データ321,322,323,324を含む。
【0051】
車線区間データ321は、第二進入経路データ341bのラインの終点ep11と、第二進入経路データ342bのラインの終点ep12とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ322は、終点ep12と、第二進入経路データ343bのラインの終点ep13とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ323は、終点ep13と、第二進入経路データ344bのラインの終点ep14とにより区分される車線区間のデータである。車線区間データ324は、終点ep14と終点ep11とにより区分される車線区間のデータである。
【0052】
車線区間データ311~316は、第一環状車線51に沿うラインを示す座標点列を含む。車線区間データ321~324は、第二環状車線52に沿うラインを示す座標点列を含む。例えば車線区間データ311~316及び車線区間データ321~324は、
図3において例示した車線区間データ250の構成内容と同様の構成内容を含んでいてもよい。
【0053】
交差点データセット300は、車線区間データ311~316及び車線区間データ321~324のそれぞれについて、
図4において例示した車線属性情報260と同様の車線属性情報を含んでいてもよい。車線区間データ311~316及び車線区間データ321~324の車線属性情報においては、少なくとも車線変更情報を省略可能である。交差点データセット300は、車線区間データ311~316及び車線区間データ321~324についての車線属性情報を含んでいなくてもよい。
【0054】
移行誘導データ330及び第二進入経路データ341b,342b,343b,344bは、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路が第二進入経路と交差するように設定されていてもよい。例えば、移行誘導データ330は、第二環状車線52のいずれかの車線区間と、第一環状車線51のいずれかの車線区間とを、車線変更の開始区間及び終了区間として対応付けるように設定されている。具体的に、移行誘導データ330は、移行経路データ331,332,333,334を含む。
【0055】
移行経路データ331は、車線区間データ324により示される車線区間と、車線区間データ311により示される車線区間とを、上記開始区間及び終了区間として対応付ける。すなわち移行経路データ331は、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路の始点が当該開始区間内に位置し、当該移行経路の終点が当該終了区間内に位置するように設定されている。例えば移行経路データ331は、当該開始区間から当該終了区間への移行経路のデータであり、三次元空間において当該移行経路を示すデータを含む。より具体的に、移行経路データ331は、車線区間データ324のラインと、車線区間データ311のラインとを接続するラインを示すデータを含む。移行経路データ331のラインは、第二進入経路データ341bのラインと交差している。
【0056】
換言すると、移行経路データ331は、車線区間データ324のライン上に配置された始点sp31と、車線区間データ311のライン上に配置された終点ep32とを接続するように設定されている。始点sp31は、終点ep11よりも進行方向上流側に配置されており、終点ep32は、終点ep1よりも進行方向下流側に配置されている。なお、始点sp31によって車線区間データ324が車線区間データ324a(進行方向上流側)及び車線区間データ324b(進行方向下流側)に分割され、終点ep32によって車線区間データ311が車線区間データ311a(進行方向上流側)及び車線区間データ311b(進行方向下流側)に分割されていると考えることも可能である。このように考えたとしても、移行誘導データ330は、第二環状車線52のいずれかの車線区間と、第一環状車線51のいずれかの車線区間とを、車線変更の開始区間及び終了区間として対応付けるように設定されていることに変わりはない。例えば、移行経路データ331は、車線区間データ324a,324bの境界のノード(始点sp31)と、車線区間データ311a,311bの境界のノード(終点ep32)とを結ぶことによって、車線区間データ324a,324bと、車線区間データ311a,311bとを対応付けている。
【0057】
移行経路データ332は、車線区間データ321により示される車線区間と、車線区間データ313により示される車線区間とを、上記開始区間及び終了区間として対応付ける。例えば移行経路データ332は、当該開始区間から当該終了区間への移行経路のデータであり、三次元空間において当該移行経路を示すデータを含む。より具体的に、移行経路データ332は、車線区間データ321のラインと、車線区間データ313のラインとを接続するラインを示すデータを含む。移行経路データ332のラインは、第二進入経路データ342bのラインと交差している。
【0058】
移行経路データ333は、車線区間データ322により示される車線区間と、車線区間データ314により示される車線区間とを、上記開始区間及び終了区間として対応付ける。例えば移行経路データ333は、当該開始区間から当該終了区間への移行経路のデータであり、三次元空間において当該移行経路を示すデータを含む。より具体的に、移行経路データ333は、車線区間データ322のラインと、車線区間データ314のラインとを接続するラインを示すデータを含む。移行経路データ333のラインは、第二進入経路データ343bのラインと交差している。
【0059】
移行経路データ334は、車線区間データ323により示される車線区間と、車線区間データ316により示される車線区間とを、上記開始区間及び終了区間として対応付ける。例えば移行経路データ334は、当該開始区間から当該終了区間への移行経路のデータであり、三次元空間において当該移行経路を示すデータを含む。より具体的に、移行経路データ334は、車線区間データ323のラインと、車線区間データ316のラインとを接続するラインを示すデータを含む。移行経路データ334のラインは、第二進入経路データ344bのラインと交差している。
【0060】
移行経路データ331~334は、移行経路に沿うラインを示す座標点列を含む。例えば移行経路データ331~334は、
図3において例示した車線区間データ250の構成内容と同様の構成内容を含んでいてもよい。移行経路データ331~334の座標点列の密度は、車線区間データ311~316及び車線区間データ321~324のデータの座標点列の密度に比較して低くてもよい。例えば移行経路データ331~334の座標点列は、始点と終点の2点のみにより構成されていてもよい。
【0061】
交差点データセット300は、移行経路データ331~334についての車線属性情報を含んでいないが、必要に応じて移行経路データ331~334についての車線属性情報を含んでいてもよい。なお、
図5の交差点データセット300は一例であり、交差点5の構成に応じて適宜変更可能である。例えば交差点5が3以上の環状車線を含む場合、交差点データセット300は3以上の環状車線データを含んでいてもよい。
【0062】
図1に戻り、車両2は、ユーザインタフェース21と、GPS受信機22と、車載カメラ23と、レーダ24と、アクセルアクチュエータ25と、ブレーキアクチュエータ26と、ステアリングアクチュエータ27と、運転支援装置100とを有する。
【0063】
ユーザインタフェース21は、入力部及び表示部を含む(不図示)。入力部は、例えばキーパッド等であり、ユーザによる情報入力を取得する。表示部は、例えば液晶モニタ等であり、ユーザへの情報を表示する。なお、所謂タッチパネルのように、入力部及び表示部は一体化されていてもよい。
【0064】
GPS受信機22は、GPS(Global Positioning System)用の衛星信号を受信する。車載カメラ23は、車両2の周辺の画像情報を取得する。レーダ24は、車両2の周辺の物体の情報を取得する。アクセルアクチュエータ25は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2のアクセルの開度を調節する。ブレーキアクチュエータ26は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2のブレーキの作動状態を調節する。ステアリングアクチュエータ27は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2の舵角を調節する。
【0065】
運転支援装置100は、車両2の運転支援を実行する。当該運転支援は、少なくとも、交差点5への進入位置と、交差点5からの退出位置と、第一環状車線データ310及び第二環状車線データ320と、移行誘導データ330とに基づいて、交差点5内における走行予定車線を設定することを含む。例えば運転支援装置100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、目的地情報取得部111と、位置情報取得部112と、他車情報取得部113と、地図情報取得部114と、地図データ保持部115と、経路探索部116と、走行車線設定部117と、走行制御部118とを有する。
【0066】
目的地情報取得部111は、ユーザインタフェース21への入力に基づいて車両2の目的地の情報を取得する。位置情報取得部112は、GPS受信機22から車両2の現在位置情報を取得する。他車情報取得部113は、車載カメラ23及びレーダ24からの情報に基づいて、車両2の周辺車両の走行状態に関する情報を取得する。走行状態に関する情報は、例えば周辺車両の現在位置及び速度の情報を含む。
【0067】
地図情報取得部114は、車両2の走行予定範囲の地図データ220を地図データベース211から取得する。例えば地図情報取得部114は、車両2の現在位置と、目的地の位置とを含む所定範囲の地図データ220を地図データベース211から取得する。地図データ保持部115は、地図情報取得部114により取得された地図データ220を保持する。経路探索部116は、地図データ保持部115に記憶された論理ネットワーク情報230と、目的地情報取得部111により取得された目的地の位置情報と、位置情報取得部112により取得された現在位置の情報とに基づいて、現在位置から目的地までの車両2の走行予定経路を導出する。
【0068】
走行車線設定部117は、経路探索部116により設定された走行予定経路に沿った走行を可能とするように、車両2の走行予定車線を設定する。例えば走行車線設定部117は、交差点5への進入位置と、交差点5からの退出位置と、第一環状車線データ310及び第二環状車線データ320と、移行誘導データ330とに基づいて、交差点内における走行予定車線を設定する。
【0069】
走行車線設定部117は、進入位置からの進入先のデータとして第一環状車線データ310及び第二環状車線データ320のいずれかを選択する際に、退出位置が進入位置から遠くなるのに応じて第二環状車線データ320の優先度を高めるように構成されていてもよい。例えば走行車線設定部117は、進入位置と退出位置とが交差点5内の進行方向に沿って隣り合っている場合に、進入位置からの進入先のデータとして第一環状車線データ310を選択するように構成されていてもよい。走行車線設定部117は、進入位置と退出位置とが交差点5内の進行方向に沿って隣り合っていない場合には、進入位置からの進入先のデータとして第二環状車線データ320を選択するように構成されていてもよい。走行車線設定部117は、交差点5内の進行方向に沿って進入位置と退出位置との間に走行禁止位置53,54がある場合に、進入位置からの進入先のデータとして第二環状車線データ320を選択するように構成されていてもよい。
【0070】
更に、走行車線設定部117は、進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータを、当該進入位置からの進入先に応じて選択するように構成されている、例えば車両2が道路31から交差点5に進入する場合に、走行車線設定部117は、道路31からの進入先が第一環状車線51及び第二環状車線52のいずれであるかに応じて車線区間データ251a,251bのいずれかを選択するように構成されていてもよい。具体的に、走行車線設定部117は、道路31からの進入先が第一環状車線51である場合には車線区間データ251aを選択し、道路31からの進入先が第二環状車線52である場合には車線区間データ251bを選択する。
【0071】
走行制御部118は、位置情報取得部112により取得された現在位置情報と、他車情報取得部113により取得された周辺車両の走行状態に関する情報とに基づいて周辺車両との衝突を回避しつつ、走行車線設定部117により設定された走行予定車線に沿って車両2を走行させるようにアクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27を制御する。
【0072】
上述した運転支援装置100は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えば運転支援装置100は、
図6に示す回路190を有する。回路190は、一つ又は複数のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、通信ポート194と、入出力ポート195とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体を有する。ストレージ193は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムの記憶領域と、上述した地図データ保持部115に割り当てられる記憶領域とを含む。記録媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。通信ポート194は、無線の通信方式によりネットワーク回線NWに接続されており、プロセッサ191からの指令に従い、ネットワーク回線NWを介してサーバ200との間でデータ通信を行う。入出力ポート195は、プロセッサ191からの指令に従って、ユーザインタフェース21、GPS受信機22、車載カメラ23、レーダ24、アクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26、及びステアリングアクチュエータ27との間で電気信号の入出力を行う。
【0073】
サーバ200は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えばサーバ200は、
図6に示す回路290を有する。回路290は、一つ又は複数のプロセッサ291と、メモリ292と、ストレージ293と、通信ポート294とを有する。ストレージ293は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体を有する。ストレージ293は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムの記憶領域と、上述した地図データベース211に割り当てられる記憶領域とを含む。記録媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ292は、ストレージ293からロードしたプログラム及びプロセッサ291による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ291は、メモリ292と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。通信ポート294は、有線又は無線の通信方式によりネットワーク回線NWに接続されており、プロセッサ291からの指令に従い、ネットワーク回線NWを介して運転支援装置100の通信ポート194との間でデータ通信を行う。
【0074】
〔運転支援手順〕
続いて、運転支援方法の一例として、運転支援装置100が実行する走行予定車線の設定手順を例示する。
図7は、交差点5に進入予定の車両2が当該交差点5を退出するまでの間に運転支援装置100が実行する走行予定車線の設定手順を示すフローチャートである。
【0075】
図7に示すように、運転支援装置100は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、退出位置(退出予定位置)が、交差点5内の進行方向に沿って進入位置(進入予定位置)に隣り合っているか否かを走行車線設定部117が確認する。
【0076】
ステップS01において、退出位置が進入位置に隣り合っていないと判定した場合、運転支援装置100はステップS02を実行する。ステップS02では、第一環状車線51に進入した場合に車両2が退出位置に到達し得るか否かを走行車線設定部117が確認する。例えば、走行車線設定部117は、車両2の現在位置から退出位置までの間に走行禁止位置53,54が存在する場合には、退出位置への到達は不可能であると判定し、車両2の現在位置から退出位置までの間に走行禁止位置53,54が存在しない場合には、退出位置への到達は可能であると判定する。
【0077】
ステップS01において、退出位置が進入位置に隣り合っていると判定した場合、又は、ステップS02において、退出位置への到達が可能であると判定した場合、運転支援装置100はステップS03を実行する。ステップS03では、走行車線設定部117が、進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータとして、第一環状車線51への進入用の車線区間データを設定する。例えば車両2が道路31から交差点5に進入予定である場合、走行車線設定部117は車線区間データ251aを選択する。
【0078】
ステップS02において、退出位置への到達は不可能であると判定した場合、運転支援装置100はステップS04を実行する。ステップS04では、走行車線設定部117が、進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータとして、第二環状車線52への進入用の車線区間データを設定する。例えば車両2が道路31から交差点5に進入予定である場合、走行車線設定部117は車線区間データ251bを選択する。
【0079】
次に、運転支援装置100はステップS05を実行する。ステップS05では、走行車線設定部117が、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を設定する。例えば走行車線設定部117は、退出位置に応じて第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を設定する。具体的に、走行車線設定部117は、退出先の道路と、当該道路の一つ手前(進入位置側)の道路との間にて第一環状車線51への移行を完了するように、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を設定する。例えば道路31から交差点5に進入する車両を道路33に退出させる場合、走行車線設定部117は、道路33と道路32の間にて第一環状車線51への移行を完了するように、移行経路データ332を選択する。
【0080】
ステップS01,S05を実行した後、運転支援装置100はステップS06を実行する。ステップS06では、走行車線設定部117が、退出先の道路におけるいずれかの退出車線を選択する。
【0081】
次に、運転支援装置100はステップS07を実行する。ステップS07では、車両2が走行予定車線を走行しているか否かを走行車線設定部117が確認する。例えば走行車線設定部117は、車両2が走行予定車線を走行しているか否か示す情報を走行制御部118から取得する。
【0082】
ステップS07において、車両2が走行予定車線を走行していないと判定した場合、運転支援装置100はステップS08を実行する。ステップS08では、車両2を引き続き目的地に導くためのリカバー処理を走行車線設定部117が実行する。ステップS08の具体的な処理内容については後述する。
【0083】
次に、運転支援装置100はステップS09を実行する。ステップS07において、車両2が走行予定車線を走行していると判定した場合、運転支援装置100はステップS08を実行することなくステップS09を実行する。ステップS09では、車両2が退出位置に到達したか否かを走行車線設定部117が確認する。例えば走行車線設定部117は、車両2が退出位置に到達したか否か示す情報を走行制御部118から取得する。
【0084】
ステップS09において、車両2が退出位置に到達していないと判定した場合、運転支援装置100は処理をステップS07に戻す。以後、車両2が退出位置に到達するまでは、走行予定車線を走行しているか否かの確認と、走行予定車線から逸脱した場合のリカバー処理とが繰り返される。ステップS09において、車両2が退出位置に到達したと判定した場合、運転支援装置100は処理を終了する。
【0085】
続いて、ステップS08におけるリカバー処理手順を例示する。
図8に示すように、運転支援装置100は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、車両2が第二環状車線52を走行しているか否かを走行車線設定部117が確認する。
【0086】
ステップS11において、車両2が第二環状車線52を走行していると判定した場合、運転支援装置100はステップS12を実行する。ステップS12では、車両2が進入位置に再到達する(交差点5内を周回する)のを走行車線設定部117が待機する。車両2が進入位置に再到達すると、車両2は走行予定車線に復帰することとなる。
【0087】
ステップS11において、車両2が第二環状車線52を走行していないと判定した場合、運転支援装置100はステップS13を実行する。ステップS13では、車両2が退出位置に到達し得るか否かを走行車線設定部117が確認する。例えば走行車線設定部117は、車両2の現在位置から退出位置までの間に走行禁止位置53,54が存在する場合には、退出位置への到達は不可能であると判定し、車両2の現在位置から退出位置までの間に走行禁止位置53,54が存在しない場合には、退出位置への到達は可能であると判定する。
【0088】
ステップS13において、退出位置への到達は可能であると判定した場合、運転支援装置100はステップS14を実行する。ステップS14では、走行車線設定部117が、第一環状車線51に沿って車両2を退出位置に到達させるように走行予定車線を変更する。
【0089】
ステップS13において、退出位置への到達は不可能であると判定した場合、運転支援装置100はステップS15,S16,S17を順に実行する。ステップS15では、車両2が到達可能となるように、走行車線設定部117が退出位置を変更する。ステップS16では、走行車線設定部117が、第一環状車線51に沿って車両2を変更後の退出位置に到達させるように走行予定車線を変更する。ステップS17では、退出位置の変更に応じて、経路探索部116が論理経路を変更する。以上でリカバー処理が完了する。
【0090】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、運転支援装置100は、ラウンドアバウト型の交差点5の第一環状車線51のデータ310と、第一環状車線51よりも内側の第二環状車線52のデータ320と、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路を規制する移行誘導データ330と、を含む車線ネットワーク情報240を記憶する地図データ保持部115と、交差点5への進入位置と、交差点5からの退出位置と、第一環状車線51及び第二環状車線52のデータ310,320と、移行誘導データ330とに基づいて、交差点5内における走行予定車線を設定する走行車線設定部117と、を備える。
【0091】
この運転支援装置によれば、ラウンドアバウト型の交差点5が第一環状車線51及び第二環状車線52を含む場合においても、第一環状車線51及び第二環状車線52のデータ310,320と、移行誘導データ330とに従うことによって、当該交差点5内における適切な走行予定車線を設定することができる。従って、ラウンドアバウト型の交差点5における適切な運転支援に有効である。
【0092】
車線ネットワーク情報240は、交差点5に接続する道路31,32,33,34から第一環状車線51への進入経路である第一進入経路のデータ341a,342a,343a,344aと、当該道路31,32,33,34から第二環状車線52への進入経路である第二進入経路のデータ341b,342b,343b,344bとを更に含み、移行誘導データ330及び第二進入経路のデータ341b,342b,343b,344bは、第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路が第二進入経路と交差するように設定されていてもよい。第二環状車線52から第一環状車線51への移行経路が第二進入経路と交差しない場合、第二進入経路から第二環状車線52への進入後に、第一環状車線51への急な車線変更を行う走行経路が設定される可能性がある。例えば、当該移行経路の始点が、当該第二進入経路の終点の直後に位置する場合、当該第二進入経路を通過した直後に当該移行経路に進入する走行予定車線が設定される可能性がある。これに対し、当該第二進入経路と当該移行経路とが交差していれば、少なくとも、当該進入経路を通過した直後に当該移行経路に進入する走行予定車線の設定は不可能となる。従って、より適切な走行予定車線を設定することができる。
【0093】
第一環状車線51のデータ310は、少なくとも複数の第一進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータ311,312,313,314,315,316を含み、第二環状車線52のデータ320は、少なくとも複数の第二進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータ321,322,323,324を含み、移行誘導データは、第二環状車線52のいずれかの車線区間と、第一環状車線51のいずれかの車線区間とを、車線変更の開始区間及び終了区間として対応付けるように設定されていてもよい。この場合、移行誘導データ330による規制に従いつつ、第一環状車線51の車線区間と、第二環状車線52の車線区間との組み合わせを変更し、走行予定車線を柔軟に設定することができる。
【0094】
移行誘導データ330は、車線変更の開始区間から終了区間への移行経路のデータを含んでいてもよい。この場合、開始区間から終了区間への移行経路を指定することにより、安定した経路での車線変更を促す運転支援が可能となる。
【0095】
第一環状車線のデータ310、第二環状車線のデータ320及び移行経路のデータ330は座標点列を含み、移行経路のデータ330の座標点列の密度は、第一環状車線及び第二環状車線のデータ310,320の座標点列の密度に比較して低くてもよい。この場合、車線ネットワーク情報240のデータ容量を抑制することができる。
【0096】
走行車線設定部117は、進入位置からの進入先のデータとして第一環状車線51及び第二環状車線52のいずれかのデータ310,320を選択する際に、退出位置が進入位置から遠くなるのに応じて第二環状車線52のデータの優先度を高めるように構成されていてもよい。この場合、第一環状車線51及び第二環状車線52をより適切に使い分けた走行予定車線を設定することができる。
【0097】
走行車線設定部117は、進入位置と退出位置とが交差点5内の進行方向に沿って隣り合っている場合に、進入位置からの進入先のデータとして第一環状車線51のデータを選択するように構成されていてもよい。この場合、進入位置から退出位置に効率的に導く走行予定車線を設定することができる。
【0098】
第一環状車線のデータは、第一環状車線51における走行禁止位置53,54に関する情報を含み、走行車線設定部117は、交差点5内の進行方向に沿って進入位置と退出位置との間に走行禁止位置53,54がある場合に、進入位置からの進入先のデータとして第二環状車線52のデータを選択するように構成されていてもよい。この場合、走行禁止位置53,54を回避して進入位置から退出位置に導く走行予定車線を設定することができる。
【0099】
車線ネットワーク情報240は、交差点5に接続する道路31,32,33,34の車線のデータを更に含み、走行車線設定部117は、進入位置への到達前に走行すべき道路車線のデータを、当該進入位置からの進入先に応じて選択するように構成されていてもよい。この場合、第一環状車線51及び第二環状車線52をより適切に使い分けた走行予定車線を設定することができる。
【0100】
移行誘導データ330は、車線変更の開始区間から終了区間への移行経路の設定可能領域を示すエリアデータを含んでもよい。
図9に例示する移行誘導データ330においては、移行経路データ331,332,333,334がエリアデータ351,352,353,354をそれぞれ含んでいる。
【0101】
エリアデータ351は、車線区間データ324により示される車線区間から車線区間データ311により示される車線区間への移行経路の設定可能領域を示す。エリアデータ352は、車線区間データ321により示される車線区間から車線区間データ313により示される車線区間への移行経路の設定可能領域を示す。エリアデータ353は、車線区間データ322により示される車線区間から車線区間データ314により示される車線区間への移行経路の設定可能領域を示す。エリアデータ354は、車線区間データ323により示される車線区間から車線区間データ316により示される車線区間への移行経路の設定可能領域を示す。
【0102】
例えばエリアデータ351,352,353,354は、
図10に示すように、面状に点在するポリゴン座標点列により構成されている。なお、
図10におけるリンク座標点列は、標準的な移行経路を示す座標点列である。一例として、リンク座標点列は、始点及び終点の2点のみで構成されている。
【0103】
このように、移行誘導データ330がエリアデータ351,352,353,354を含む場合、走行予定車線をより柔軟に設定することができる。
【0104】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば交差点データセット300は、交差点5への進入元の車線区間(進入前の車線区間)と、退出先の車線区間との組み合わせごとに設定された複数の個別車線データを含んでいてもよい。
【0105】
図11は、道路31の進入車線31a,31bを進入元の車線区間とする場合の個別車線データを例示する模式図である。
図11の交差点データセット300は、進入車線31aを進入元の車線区間とする個別車線データ361,362,363,364と、進入車線31bを進入元の車線区間とする個別車線データ371,372,373,374,375,376とを含んでいる。
【0106】
個別車線データ361は、進入車線31aから退出車線32dへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ362は、進入車線31aから退出車線32cへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ363は、進入車線31aから退出車線33dへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ364は、進入車線31aから退出車線33cへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ371は、進入車線31bから退出車線33dへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ372は、進入車線31bから退出車線33cへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ373は、進入車線31bから退出車線34dへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ374は、進入車線31bから退出車線34cへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ375は、進入車線31bから退出車線31dへの走行車線を定めるデータである。個別車線データ376は、進入車線31bから退出車線31cへの走行車線を定めるデータである。
【0107】
この場合、個別車線データ361~364のそれぞれが、第一進入経路データ、第一環状車線データ及び退出経路データを個別に含み、個別車線データ371~376のそれぞれが、第二進入経路データ、第二環状車線データ、移行経路データ、第一環状車線データ及び退出経路データを個別に含む。
【0108】
運転支援装置100は、必ずしもアクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27等を制御して車両2の自動運転を遂行するものでなくてもよい。例えば車線変更支援部150は、アクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27の制御に代えて、車線変更要否及び車線変更可否等をユーザインタフェース21により運転者に報知するものであってもよい。
【0109】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、車線変更に係る適切な運転支援の実現に有効な運転支援装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0110】
5…交差点、31,32,33,34…道路、51…第一環状車線、52…第二環状車線、53,54…走行禁止位置、100…運転支援装置、115…地図データ保持部(データ保持部)、117…走行車線設定部、240…車線ネットワーク情報、310…第一環状車線データ(第一環状車線のデータ)、311,312,313,314,315,316…複数の第一進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータ、321,322,323,324…複数の第二進入経路の終点により区分された複数の車線区間のデータ、320…第二環状車線データ(第二環状車線のデータ)、330…移行誘導データ、341a,342a,343a,344a…第一進入経路データ(第一進入経路のデータ)、341b,342b,343b,344b…第二進入経路データ(第二進入経路のデータ)。