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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/237 20060101AFI20220405BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20220405BHJP
【FI】
B60R21/237
B60R21/205
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018025597
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019142258
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】板倉 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 圭
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-163143(JP,A)
【文献】特開平10-310015(JP,A)
【文献】特開平11-170955(JP,A)
【文献】特開平11-115664(JP,A)
【文献】特開2007-076448(JP,A)
【文献】特開2008-168868(JP,A)
【文献】特開2005-280629(JP,A)
【文献】特開2005-280630(JP,A)
【文献】特開2002-053001(JP,A)
【文献】特開2000-016212(JP,A)
【文献】特開2009-143545(JP,A)
【文献】特開2013-006589(JP,A)
【文献】米国特許第05375393(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 - 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成されたエアバッグ本体と、
折り畳まれた前記エアバッグ本体を収容するケース体と、を備え、
前記エアバッグ本体は、基端部にガス導入用の開口部を有する第一折畳部と、前記第一折畳部の先端部に接続される複数の第二折畳部とを有し、
折り畳まれた状態で前記ケース体に収容される前記エアバッグ本体は、前記第一折畳部と前記第二折畳部との接続部が前記ケース体の扉部に対向しており、
前記エアバッグ本体は、前記第二折畳部を少なくとも二つ有し、少なくとも二つの前記第二折畳部の内の一つの前記第二折畳部における前記接続部側の端部は、前記第一折畳部の前記接続部側の端部と同一の平面上に位置していることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグ本体は、前記第一折畳部における前記開口部から前記接続部までの長さが前記第二折畳部における前記接続部から前記エアバッグ本体の末端までの長さよりも短くなるように折り畳まれていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護するエアバッグ装置が公知である(例えば、特許文献1)。
【0003】
このエアバッグ装置は、例えば、袋状に形成されたエアバッグ本体と、エアバッグ本体を収容するケース体と、を備える。このようなエアバッグ装置においては、エアバッグ本体は折り畳まれた状態でケース体に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-79862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアバッグ本体を折り畳む方法は、乗員拘束性能などの諸性能に影響するため、種々存在している。特に、エアバッグ本体をケース体への収納のために折り畳む際には、エアバッグ本体の膨張展開時にエアバッグ本体をより円滑に展開させることが要求される。
【0006】
そこで、本発明は、エアバッグ本体の膨張展開時にエアバッグ本体をより円滑に展開させることができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、袋状に形成されたエアバッグ本体と、折り畳まれたエアバッグ本体を収容するケース体と、を備える。エアバッグ本体は、基端部にガス導入用の開口部を有する第一折畳部と、第一折畳部の先端部に接続される複数の第二折畳部とを有する。折り畳まれた状態でケース体に収容されるエアバッグ本体は、第一折畳部と第二折畳部との接続部がケース体の扉部に対向している。エアバッグ本体は、第二折畳部を少なくとも二つ有し、少なくとも二つの第二折畳部の内の一つの第二折畳部における接続部側の端部は、第一折畳部の接続部側の端部と同一の平面上に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエアバッグ装置によれば、エアバッグ本体の膨張展開時にエアバッグ本体をより円滑に展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るエアバッグ装置の縦断面図である。
図2】エアバッグ本体が膨張展開した状態を示す概略的な斜視図である。
図3】エアバッグ本体を折り畳む工程の一例を示す説明図である。
図4】エアバッグ本体を折り畳む工程の一例を示す説明図である。
図5】エアバッグ本体を折り畳む工程の一例を示す説明図である。
図6】エアバッグ本体を折り畳む工程の一例を示す説明図である。
図7】エアバッグ本体を折り畳む工程の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
本実施形態では、自動車の助手席前方のインストルメントパネル等に配設される助手席乗員用のエアバッグ装置を例示する。
【0012】
図1及び図2に示すように、エアバッグ装置10は、自動車の助手席の前方に位置するインストルメントパネル11の内側に配設され、助手席乗員用のエアバッグ装置を構成している。なお、図1及び図2中において、矢印WSは、ウインドシールド側(つまり、自動車の前方側)を示し、矢印Rは、乗員側(つまり、自動車の後方側)を示す。
【0013】
エアバッグ装置10は、袋状に形成されたエアバッグ本体12と、折り畳まれたエアバッグ本体12を収容するケース体13と、を備えている。
【0014】
ケース体13は、上部開口14を有する箱形状に形成されたケース体本体15を有している。このケース体本体15の内部は、仕切部材でもあるリテーナー16により上下に区画されている。具体的には、ケース体本体15の内部には、リテーナー16の下側に位置するインフレーター収容部17と、リテーナー16の上側に位置するエアバッグ収容部18とが区画形成されている。インフレーター収容部17には、ガスを噴射するインフレーター19が収容され、エアバッグ収容部18には、折り畳まれた状態のエアバッグ本体12が収容されている。また、ケース体本体15の上部の外面には、側面視で略C字状のカバー取付爪20が複数固定されている。そして、ケース体本体15の上部開口14は、カバー体21により覆われて閉塞されている。ケース体13のケース体本体15、リテーナー16及びカバー取付爪20は、例えば、金属材料により構成される。
【0015】
カバー体21は、リッドとも称されるものであり、例えば合成樹脂材料により構成される。このカバー体21は、インストルメントパネル11と略面一に配設されるパネル部22と、パネル部22の裏面に凸設された一対の脚片部23と、脚片部23のさらに外側に配設された爪部24とを有して構成されている。パネル部22の裏面には、パネル部22の他の部分よりも薄肉で比較的容易に破断する破断部(テアライン)25が形成され、この破断部25によりカバー体21に扉部(扉予定部)26が区画形成される。また、各脚片部23には、ケース体13のカバー取付爪20が係止される係止孔27が形成されている。
【0016】
エアバッグ本体12は、単にエアバッグとも称されるものであり、単数又は複数の基布を縫い合わせて袋状に形成されている。このエアバッグ本体12は、ガスの導入部となる第一展開部28と、第一展開部28から乗員側R(下部側)に連続して形成される乗員側Rの第二展開部29と、第一展開部28からウインドシールド側WS(上部側)に連続して形成されるウインドシールド側WSの第二展開部30とを有して構成されている(図2参照)。
【0017】
このようなエアバッグ本体12が、所定の折畳形態にて折り畳まれてケース体13に収容されている(図1参照)。折り畳まれた状態のエアバッグ本体12は、基端部にガス導入用の開口部31を有する第一折畳部32と、第一折畳部32の先端部に接続される複数(本実施形態では、二つ)の第二折畳部33,34とを有して構成される。折り畳まれた状態でケース体13に収容されるエアバッグ本体12は、第一折畳部32と第二折畳部33,34との接続部35がケース体13の扉部26に対向している。また、二つの第二折畳部33,34の内の一方の第二折畳部34における接続部35側の端部34aが、第一折畳部32の接続部35側の端部32aと同一の平面(ケース体13の扉部26表面と平行な面)P上に位置している。
【0018】
第一折畳部32は、第一展開部28(図2参照)に相当する部分である。本実施形態の図示例では、第一折畳部32は、上下に二つの第二折畳部33,34をくわえるアリゲーター折り状に折り畳まれている。第一折畳部32の折畳形態は、図1に示すようなアリゲーター折り状に限定はされず、他の折畳形態にて折り畳まれていてもよい。
【0019】
二つの第二折畳部33,34の内の乗員側Rの第二折畳部33は、乗員側Rの第二展開部29(図2参照)に相当する部分である。本実施形態の図示例では、乗員側Rの第二折畳部33は、重ね折り状に折り畳まれている。乗員側Rの第二折畳部33の折畳形態は、重ね折り状に限定はされず、ロール折り状及びジャバラ折り状等の他の折畳形態にて折り畳まれていてもよい。
【0020】
二つの第二折畳部33,34の内のウインドシールド側WSの第二折畳部34は、ウインドシールド側WSの第二展開部30(図2参照)に相当する部分である。本実施形態の図示例では、ウインドシールド側WSの第二折畳部34は、ジャバラ折り状に折り畳まれている。ウインドシールド側WSの第二折畳部34の折畳形態は、ジャバラ折り状に限定はされず、ロール折り状及び重ね折り状等の他の折畳形態にて折り畳まれていてもよい。
【0021】
車両の衝突等の際には、図示しない制御装置によりインフレーター19が作動され、ガスがインフレーター19からエアバッグ本体12の内部に導入される。そうすると、エアバッグ本体12が、ガスの導入に伴って膨張展開し、カバー体21の破断部(テアライン)25を破断してカバー体21の開口から外部へと突出する。
【0022】
次に、エアバッグ本体12を折り畳む工程の一例を図3から図7に基づいて説明する。
【0023】
先ず、図3及び図4に示すように、エアバッグ本体12を、側面視で略T字状となるように折り畳む。側面視で略T字状となるように、エアバッグ本体12の側部を中央部側へと入れ込むことにより、エアバッグ本体12に、第一折畳部32、二つの第二折畳部33,34、第一折畳部32と第二折畳部33,34との接続部35が形成される。この際、エアバッグ本体12は、第一折畳部32における開口部31から接続部35までの長さLaが第二折畳部33,34における接続部35からエアバッグ本体12の末端12aまでの長さLbよりも短くなるように折り畳まれる(図4参照)。
【0024】
次いで、図5に示すように、乗員側Rの第二折畳部33を、重ね折り状に折り畳む。乗員側Rの第二折畳部33は、前述のように、ロール折り状及びジャバラ折り状等の他の折畳形態に折り畳むようにしてもよい。
【0025】
次いで、図6に示すように、ウインドシールド側WSの第二折畳部34の一部分を、上下に乗員側Rの第二折畳部33をくわえるように折り畳む。さらに、図7に示すように、ウインドシールド側WSの第二折畳部34の残り部分を、ジャバラ状に折り畳む。ウインドシールド側WSの第二折畳部34の残り部分は、前述のように、ロール折り状及び重ね折り状等の他の折畳形態に折り畳むようにしてもよい。
【0026】
そして、第一折畳部32を、上下に二つの第二折畳部33,34をくわえるアリゲーター折り状に折り畳む(図1参照)。
【0027】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0028】
(1)本実施形態に係るエアバッグ装置10は、袋状に形成されたエアバッグ本体12と、折り畳まれたエアバッグ本体12を収容するケース体13と、を備える。エアバッグ本体12は、基端部にガス導入用の開口部31を有する第一折畳部32と、第一折畳部32の先端部に接続される複数の第二折畳部33,34とを有する。折り畳まれた状態でケース体13に収容されるエアバッグ本体12は、第一折畳部32と第二折畳部33,34との接続部35がケース体13の扉部26に対向している。
【0029】
本発明に係るエアバッグ装置10によれば、ガス導入用の開口部31に配置されるインフレーター19から、第一折畳部32と第二折畳部33,34とが接続する接続部35までの距離を短くすることにより、エアバッグ本体12をより円滑に展開させることが可能となる。
【0030】
(2)エアバッグ本体12は、第一折畳部32における開口部31から接続部35までの長さLaが第二折畳部33,34における接続部35からエアバッグ本体12の末端12aまでの長さLbよりも短くなるように折り畳まれている(図4参照)。
【0031】
このようにすることにより、ガス導入用の開口部31に配置されるインフレーター19から、第一折畳部32と第二折畳部33,34とが接続する接続部35までの距離をより短くすることができ、エアバッグ本体12をより円滑に展開させることが可能となる。
【0032】
(3)エアバッグ本体12は、第二折畳部を少なくとも二つ有し、少なくとも二つの第二折畳部33,34の内の一つの第二折畳部34における接続部35側の端部34aは、第一折畳部32の接続部35側の端部32aと同一の平面P上に位置している。
【0033】
折り畳まれた状態でケース体13に収容されるエアバッグ本体12をこのような構造にすることにより、少なくとも二つの第二折畳部33,34内の一つの第二折畳部34の接続部35側の端部34aは疑似的に第一折畳部32の一部となる。このため、二つの第二折畳部33,34が疑似的に同一の接続部で接続せず、第一折畳部32と第二折畳部33,34とが接続する接続部35に加わる負荷を低減することが可能となる。
【0034】
ところで、本発明のエアバッグ装置は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【0035】
例えば、第一折畳部32をより短くできる場合には、第一折畳部32と第二折畳部33,34との接続部35を、ケース体13の扉部26に対向させずに、ウインドシールド側WSの脚片部23に対向させ、第二折畳部34における接続部35側の端部34aを、第一折畳部32の接続部35側の端部32aと同一の平面(ウインドシールド側WSの脚片部23表面と平行な面)上に位置させてもかまわない。
【0036】
前述の実施形態では、自動車の助手席前方のインストルメントパネル等に配設される助手席乗員用のエアバッグ装置を例示したが、本発明はこれに限定されず、自動車のステアリングホイールに配設される運転席乗員用のエアバッグ装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 エアバッグ装置
12 エアバッグ本体
13 ケース体
21 カバー体
26 扉部
31 ガス導入用の開口部
32 第一折畳部
33 第二折畳部
34 第二折畳部
35 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7