(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】海苔束の端面削り装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220405BHJP
B65B 25/14 20060101ALI20220405BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20220405BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20220405BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20220405BHJP
B26D 1/14 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
B65B25/14 A
B26D7/02 D
B26D7/06 F
B26D7/18 C
B26D1/14 B
B26D1/14 F
B26D7/06 E
(21)【出願番号】P 2018036589
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2020-11-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 試験運転を行った日は、平成30年1月6日。場所は、永江浩二様の海苔生産工場(福岡県みやま市高田町江浦951番地)。
(73)【特許権者】
【識別番号】392024699
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】川島 一美
【審査官】茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-083385(JP,U)
【文献】実開昭49-083386(JP,U)
【文献】実開平02-142180(JP,U)
【文献】実開平04-009295(JP,U)
【文献】特開2004-000110(JP,A)
【文献】特開2001-333746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
B65B 25/14
B26D 7/00-11/00
B26D 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査,整列,折曲,結束の各工程を辿る海苔の生産工程で使用される、端面削り装置であって、複数枚の海苔を積み重ね束ねて海苔束とする整列装置の次に、配置され、
該端面削り装置は、生産工程のライン中における装置化,自動化により、該海苔束の側端面について残存付着していた海苔屑を切削除去して、次の折曲装置へと供給し、
供給コンベア,切削手段,整列手段,上コンベア,押え手段を、組み合わせて有しており、
該供給コンベアは、該海苔束を1束ずつ載せて搬送し、
該切削手段は、外周に削り刃を備えた回転丸刃よりなり、該供給コンベアの側位置に配設され、搬送される該海苔束の側端面について、残存付着していた該海苔屑を削り取り、
該整列手段は、装置入口側に配設され、縦プレート板状をなし、該供給コンベアの両側に左右一対配設され、少なくともその一方が、該海苔束を側方から押動動作可能であり、
もって、該海苔束の側端面を下流の該回転丸刃に向けて整列させ、該海苔束の側端面を形成する各該海苔の側端縁を、該回転丸刃に向け同列ライン状に揃えて整列調整させ、該供給コンベアは、該整列手段の動作中は、該海苔束の搬送を一旦停止し、
該上コンベアは、該整列手段より下流側の該供給コンベア上に配設されており、該海苔束を該供給コンベアと上下から挟んで搬送しつつ、該回転丸刃を通過させ、
該押え手段は、上下一対の縦プレート板状をなし、該回転丸刃の内側に隣設されており、該回転丸刃による該海苔屑の切削除去に際し、搬送される該海苔束の側端面を上下から挟み込み可能であること、を特徴とする海苔束の端面削り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔束の端面削り装置に関する。すなわち、海苔の生産工程で使用され、海苔束の側端面に残存付着していた海苔屑を切削除去する、海苔束の端面削り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
乾燥海苔(本明細書では単に海苔という)の生産工程では、まず、生海苔摘採,水洗,抄き,脱水,乾燥等の各工程を辿った後、検査選別,整列,折曲,結束,箱詰め等の各工程を辿り、海苔が生産されて出荷されている。
すなわち
図4の(3)図に示したように、生産工程において、乾燥装置(S1)から1枚ずつ搬出された平海苔は、各種選別装置(S2)で異物や形状について検査,選別される。
→それから、10枚カウント装置(S3)でカウントされ、10枚束の整列装置(S4)で、海苔が10枚積み重ねて束ねられる。→そして、10枚束の折曲装置(S5)で2つ折りされてから、100枚束の結束装置(S6)で、10束毎にテープで結束されて100枚束に結束される。
→それから従来は、このような生産工程後、100枚束結束の端面削り作業(S7)が行われてから、→100枚束結束の箱詰作業(S8)が行われ、もって市場に出荷されていた。
【0003】
《従来技術》
上述したように従来は、海苔10枚の海苔束を10束結束して、100枚束に結束した後(S6)、結束端面の削り作業が行われていた(S7)。このように生産工程で束ねられ結束された100枚の海苔について、端面削り作業(S7)や箱詰作業(S8)が行われていた。
端面削り作業(S7)の必要性については、次のとおり。生産工程で簀を使用して抄製されて剥離された海苔の端縁には、細かい海苔屑が残存付着している。もって、海苔屑が残存付着したままの100枚の海苔を、束ね結束して箱詰めすると、見栄えが悪く商品価値が低下する。
特に、残存付着していた海苔屑が、箱詰めによって折れ曲がり、見た目が悪くなる。又、事後の等級検査に際して、折れ曲がった海苔屑が邪魔となり、海苔の正確な判定が阻害される。
そこで従来は、生産工程で生産された海苔について、事後、箱詰作業(S8)前に端面削り作業(S7)が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
このような海苔の生産工程については、例えば、次の特許文献1中に示されている。
【文献】特開2001―333746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《従来技術の問題点》
ところで、このような従来技術については、次の問題が課題として指摘されていた。
上述したように従来は、生産工程で束ねられ結束された100枚の海苔について、端面削り作業(S7)が行われていた。そして、端面削り作業(S7)は従来、手作業により行われていた。
すなわち作業者が、おろし金のような道具(表面に多数の小突起が形成された物)を使用して、束ねられ結束された100枚の海苔の端面に残存付着していた海苔屑を、削り取り除去していた。
そこで、作業が面倒で煩わしく、多大な時間,労力,人手を要する等、効率が悪くコストも嵩むという問題が、指摘されていた。又、海苔屑の削り取りミス,削り漏れ発生も、指摘されていた。
【0006】
《本発明について》
本発明の海苔束の端面削り装置は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、装置化,自動化により、効率面やコスト面に優れると共に、第2に、海苔屑を確実に切削除去可能な、海苔束の端面削り装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲の請求項1に記載したように、次のとおりである。
この海苔束の端面削り装置は、検査,整列,折曲,結束の各工程を辿る海苔の生産工程で使用され、複数枚の海苔を積み重ね束ねて海苔束とする整列装置の次に、配置される。
もって該端面削り装置は、生産工程のライン中における装置化,自動化により、該海苔束の側端面について残存付着していた海苔屑を切削除去して、次の折曲装置へと供給する。
【0008】
そして該端面削り装置は、供給コンベア,切削手段,整列手段,上コンベア,押え手段等を、組み合わせて有している。
該供給コンベアは、該海苔束を1束ずつ載せて搬送する。
該切削手段は、外周に削り刃を備えた回転丸刃よりなり、該供給コンベアの側位置に配設され、搬送される該海苔束の側端面について、残存付着していた該海苔屑を削り取る。
【0009】
該整列手段は、装置入口側に配設され、縦プレート板状をなし、該供給コンベアの両側に左右一対配設される。
そして、少なくともその一方が、該海苔束を側方から押動動作可能であり、もって、該海苔束の側端面を下流の該回転丸刃に向けて整列させ、該海苔束の側端面を形成する各該海苔の側端縁を、該回転丸刃に向け同列ライン状に揃えて整列調整させる。
該供給コンベアは、該整列手段の動作中は、該海苔束の搬送を一旦停止する。
該上コンベアは、該整列手段より下流側の該供給コンベア上に配設されており、該海苔束を該供給コンベアと上下から挟んで搬送しつつ、該回転丸刃を通過させる。
該押え手段は、上下一対の縦プレート板状をなし、該回転丸刃の内側に隣設されており、該回転丸刃による該海苔屑の切削除去に際し、搬送される該海苔束の側端面を上下から挟み込み可能であること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)海苔の生産工程では、海苔束が、整列装置から本発明の端面削り装置へと供給される。すなわち、この端面削り装置は、検査,整列,折曲,結束の各工程を辿る海苔の生産工程で使用され、複数枚の海苔を積み重ねて束ねられた海苔束とする整列装置の次に、配置される。
(2)端面削り装置は、供給コンベア,整列手段,上コンベア,切削手段,押え手段等を、備えている。そして、供給コンベアが海苔束を搬送する。
(3)供給コンベアは、まず、整列手段の所で一旦停止する。そして整列手段により、海苔束が側方から押動され、側端面を形成する各海苔の側端縁が、下流の切削手段の回転丸刃に向け同列ライン状に揃えられる。
(4)整列が完了すると、搬送が再開される。海苔束は、上コンベアと供給コンベアで、上下から挟まれつつ搬送される。
(5)そして、このように搬送され,送り運動される海苔束は、側位置で高速回転運動する切削手段の回転丸刃により、海苔屑が切削除去される。側端面に残存付着していた海苔屑が、削り取られる。
(6)なお切削除去は、押え手段にて、海苔束の側端面を上下から挟み込みつつ行われる。もって安定的に精度高く行われ、海苔束の振動割れ,ヒビ,裂け等も防止される。
(7)海苔屑が除去された海苔束は、生産工程を次の折曲装置へと搬送される。
(8)本発明の端面削り装置は、このように生産工程のライン中において、装置化,自動化により海苔屑を除去する。もって除去の時間,労力,人手が削減される。
(9)又、装置化,自動化により、海苔屑を、ミスや漏れなく確実に除去できる。
(10)そこで、本発明に係る海苔束の端面削り装置は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
《第1の効果》
第1に、装置化,自動化により、効率面やコスト面に優れている。
本発明の海苔束の端面削り装置は、供給コンベアで搬送される海苔束について、残存付着していた海苔屑を切削手段で切削除去して、折曲装置に供給する。そして更に、整列手段,上コンベア,押え手段等を、組み合わせて採用してなる。
もって、このような生産工程のライン中における装置化,自動化により、海苔屑を除去する。そこで、生産工程後の箱詰作業前に、作業者の手作業により海苔屑を削り取っていた前述した従来技術に比し、海苔屑除去に要する時間,労力,人手が大幅に削減される等、効率面や生産コスト面に優れている。
面倒で煩わしく、多大な時間と労力を要していた、人手による海苔屑除去作業は解消される。
【0012】
《第2の効果》
第2に、海苔屑を確実に切削除去可能である。
本発明の海苔束の端面削り装置は、上述した装置化,自動化により、残存付着していた海苔屑を、確実に削除除去することができる。作業者の手作業に頼っていた前述した従来技術のように、海苔屑の削り取りミス,削り取り漏れ発生も防止される。
このように海苔屑が確実に除去され、出荷される海苔の見栄えが向上する。特に、束ねられ結束されて箱詰めされた海苔束の見栄えが良いと共に、事後の等級検査の邪魔となることもなく、海苔の正確な判定が阻害なく行われるようになる。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る海苔束の端面削り装置について、発明を実施するための形態の説明に供し、側面斜視図である。
【
図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、平面図である。
【
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、正面図である。
【
図4】(1)図は、同発明を実施するための形態の説明に供し、配置図である。(2)図,(3)図は、この種従来例の説明に供し、(2)図は配置図、(3)図は工程フロー図である。
【
図5】同発明を実施するための形態の説明に供し、全体斜視図である。
【
図6】同発明を実施するための形態の説明に供し、回転丸刃の写真であり、(1)図はその一例を、(2)図は他の例を、(3)図は更に他の例を示す。
【
図7】同発明を実施するための形態の説明に供し、海苔束の側端面の写真である。そして図中、画面左側は、海苔屑の切削除去後を示し、画面右側は、海苔屑の切削除去前を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。
《本発明の概要》
まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明の海苔束Aの端面削り装置1は、検査,整列,折曲,結束の各工程を辿る、海苔Bの生産工程のライン中で使用される。そして整列装置の次に配置され、複数枚の海苔Bを重ねて束ねた海苔束Aの側端面について、残存付着していた海苔屑Cを切削除去して、次の折曲装置Dへと供給する。
そして、供給コンベア2と切削手段3を有している。供給コンベア2は、海苔束Aを1束ずつ載せて搬送する。切削手段3は、外周に削り刃を備えた回転丸刃4よりなり、供給コンベア2の側位置に配設され、搬送される海苔束Aの側端面について、残存付着していた海苔屑Cを削り取る。更に、整列手段5,上コンベア6,押え手段7等が、組み合わせて用いられている。
整列手段5は、海苔束Aの側端面を、下流の回転丸刃4に向けて整列させる。上コンベア6は、海苔束Aを供給コンベア2と上下から挟んで搬送する。押え手段7は、回転丸刃4の内側に隣接され、海苔束Aの側端面を上下から挟み込む。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明に係る海苔束Aの端面削り装置1について、更に詳述する。
【0015】
《端面削り装置1の配置について》
まず、本発明の海苔束Aの端面削り装置1の配置について、
図4を参照して説明する。
端面削り装置1は、
図4の(1)図に示したように、海苔Bの生産工程中、整列装置Eと折曲装置Dとの間に配置される。
これに対し、
図4の(2)図,(3)図に示したように、従来技術では、整列装置E(S4)に続いて直接、折曲装置D(S5)が配置されていた。
【0016】
これらについて更に詳述する。前述した技術的背景欄でも述べたように、生産工程の整列装置Eでは、複数枚(代表的には10枚)の海苔Bが積み重ねて束ねられ、海苔束A(代表的には10枚束)とされる。折曲装置Dでは、このような海苔束Aが2つ折りに折り曲げられる。
そして端面削り装置1は、整列装置Eから搬送されてきた海苔束Aについて、付着残存していた海苔屑Cを切削除去し、もって折曲装置Dへと搬送する。
なお、整列装置Eからの海苔束Aについて大きな不揃いがあると、端面削り装置1へは搬送せず搬出される。例えば、海苔束Aに寸法過大な海苔Bや、前後左右に大幅ズレした複数枚の海苔Bが含まれていると、ライン外へと搬出,除去される。図中Fは、Vベルト等の搬送コンベア、Gは搬送方向を示す。
端面削り装置1の配置については、以上のとおり。
【0017】
《供給コンベア2》
次に、供給コンベア2について
図1~
図3,
図5等を参照して説明する。
端面削り装置1の供給コンベア2は、海苔束Aを1束ずつ載せて搬送する。すなわち供給コンベア2は、整列装置E(
図4の(1)図を参照)から供給された海苔束Aを載せて、前後の搬送方向Gに沿い、上流側から下流側に所定ピッチを置いて連続的に水平搬送すると共に、途中で搬送を一旦停止可能となっている。
図示の供給コンベア2は、併設された2本のベルトコンベアよりなり、駆動モーターに接続されたローラー8間で、走行される。なお、図示例ではベルトコンベアが使用されているが、これによらず、多数のローラーを列設したローラーコンベアを使用することも可能である。
【0018】
ところで供給コンベア2の左右側幅は、搬送する海苔束Aの左右横寸法より、僅かに小さく設定される。
すなわち平海苔Bは、代表的には長さ210mm(~230mm)、幅190mm(~200mm)、肉厚0.2mm~0.5mm程度の長方形の薄いシート状をなす。もって折曲前の海苔束Aも、例えば長さ210mm、幅190mm程度よりなる。
そこで、このような海苔束Aを搬送する供給コンベア2の全体的な左右側幅寸法は、長さを側方向Hに向けて搬送される海苔束Aの左右横寸法より、若干小に設定される。
すなわち後述するように、整列手段5による海苔束A整列の動作や、切削手段3による海苔屑C削り取りの動作に鑑み、供給コンベア2の側方向H(搬送方向Gに直交する方向)の左右側幅寸法は、海苔束Aより若干小とされる。
海苔屑C切削除去前の海苔束Aは、このように、側端面が(つまり束ねられた各海苔Bの各側端縁が)、供給コンベア2上から左右に、少しはみ出た状態で搬送される。
供給コンベア2については、以上のとおり。
【0019】
《上コンベア6》
次に、上コンベア6について、
図1~
図3,
図5等を参照して、説明する。
端面削り装置1の上コンベア6は、整列手段5より下流側の供給コンベア2上に配設されており、海苔束Aを、供給コンベア2と上下から挟んで搬送しつつ、切削手段3の回転丸刃4を通過させる。
【0020】
このような上コンベア6について、更に詳述する。上コンベア6は、供給コンベア2の中流,下流上に配設されており、供給コンベア2で搬送される海苔束Aを上押えし、もって供給コンベア2との間で、海苔束Aを上下で挟み込んで搬送しつつ、回転丸刃4による切削箇所を通過させる。
図示の上コンベア6は、併設された4本のベルトコンベアよりなり、駆動モーターに接続されたローラー9間で、供給コンベア2と同期連動して走行される。なお、図示例ではベルトコンベアが使用されているが、これによらず、多数のローラーを列設したローラーコンベアを使用することも可能である。
【0021】
上コンベア6は、保持フレーム10下に組み付けられている。保持フレーム10は、水平でフラットな板体よりなり、装置ボディ11の天板12下に、縦ネジ13を介して取付けられている。そこで、縦ネジ13に螺合する高さ調整ハンドル14を、天板12上から回動操作することにより、保持フレーム10そして上コンベア6の高さ位置を、上下調整可能となっている。
更に、装置ボディ11の天板12と、上コンベア6が組み付けられた保持フレーム10との間には、圧縮スプリングが介装されている。もって、両者間の上下間隔に遊びが与えられ、上コンベア6が若干上下動可能となっており、海苔束Aを挟み込む際の衝撃を吸収可能となっている。
上コンベア6の左右側幅については、供給コンベア2について前述した所に準じる。すなわち、上コンベア6の全体的な左右側幅寸法は、搬送する海苔束Aより若干小に設定される。上コンベア6の両側端は、供給コンベア2の両側端に揃えられている。
上コンベア6については、以上のとおり。
【0022】
《切削手段3》
次に、切削手段3について、
図1~
図3,
図5,
図6等を参照して、説明する。
端面削り装置1の切削手段3は、外周に削り刃を備えた回転丸刃4よりなり、供給コンベア2および上コンベア6の側位置に配設され、搬送される海苔束Aの側端面について、残存付着していた海苔屑Cを切削除去する。
【0023】
このような切削手段3について、更に詳述する。切削手段3の回転丸刃4としては、
図6の(1)図に示した一般的鋸刃や、(2)図に示したプラスチック用鋸刃や、(3)図に示した丸両刃、その他が考えられるが、図示例では(1)図の鋸刃を採用した。そして例えば、直径が120mm、厚みが0.8mm程度のものが使用される。
(3)図の丸両刃は、切削屑が少ない利点はあるが、過乾燥の海苔Bの場合に割れる虞があり、硬い海苔Bの場合に切断不能となり装置内に詰まる虞も考えられる。
【0024】
図示例の回転丸刃4は、供給コンベア2および上コンベア6の左右両側に、それぞれ縦に配設されている。そして、供給コンベア2と上コンベア6に挟まれて,水平搬送,送り運動される海苔束Aについて、左右両側端面に残存付着していた海苔屑Cを、それぞれ高速回転運動により削り取る。
図5中において、15は、回転丸刃4の駆動モーター、16は、削り取られた海苔屑Cの受けボックス、17は、装置の駆動制御部、18は、削り幅調整ハンドルである。
削り幅調整ハンドル18は、その回動操作により、図示例では左右の回転丸刃4の側方向H位置を対称移動させ、もって、海苔束Aの両側端面をどの程度削り取るかを、調節する。
すなわち、海苔屑Cが残存付着している海苔束Aの側端面を、どの程度の寸法幅で削り取るかを、調節する。図示例では、左右の両回転丸刃4は、仮想された側方向H中心線から左右・内外に対称移動され、もって、搬送される海苔束Aの削り幅を設定可能となっている。
切削手段3については、以上のとおり。
【0025】
《押え手段7》
次に、押え手段7について、
図1~
図3を参照して、説明する。
端面削り装置1の押え手段7は、上下一対の縦プレート板状をなし、回転丸刃4に隣設されており、搬送される海苔束Aの側端面を上下から挟み込み可能である。
【0026】
このような押え手段7について、更に詳述する。押え手段7は、上下一対の上押え19と下押え20とからなり、それぞれ縦プレート板状をなすと共に、装置ボディ11の側フレーム等に垂直に固定されている。
そして上押え19と下押え20は、搬送される海苔束Aの側端面を上下から挟み込むに足る上下間隔で配されると共に、図示例では、切削手段3の左右の両回転丸刃4の内側に、それぞれ隣接して配されている。
そして上押え19と下押え20は、回転丸刃4による海苔束A側端面の海苔屑C削り取りに際し、上下からの挟み込みにより、海苔束Aを安定的に保持する。
すなわち、回転丸刃4による削り取りに際し、海苔束Aは衝撃を受けるが、上押え19と下押え20間での挟み込みにより、その位置や姿勢が乱れ,変位しないように、規制すべく機能する。削り取り円滑化、精度向上に寄与する。
又、削り取りに際し海苔束Aは、側端面から全体的に上下振動するが、上押え19と下押え20間への挟み込みにより、振動割れ,ヒビ,裂け等が発生しないように、規制すべく機能する。
押え手段7については、以上のとおり。
【0027】
《整列手段5》
次に、整列手段5について、
図1~
図3,
図5等を参照して、説明する。
端面削り装置1は更に、装置入口側に整列手段5を備えている。整列手段5は、縦プレート板状をなし、供給コンベア2の両側に左右一対配設され、海苔束Aの側端面を回転丸刃4に向けて整列させる。
左右の整列手段5は、少なくともその一方が海苔束Aを側方から押動動作可能であり、もって海苔束Aの側端面を形成する各海苔Bの側端縁を、回転丸刃4に向け同列ライン状に揃えて整列調整する。
そして供給コンベア2は、このような整列手段5の動作中は、海苔束Aの搬送を一旦停止する。
【0028】
このような整列手段5について、更に詳述する。整列手段5は、縦プレート板状をなし、供給コンベア2の上流の両側に沿って左右一対、そして供給コンベア2や搬送方向Gに平行かつ垂直に配設されており、それぞれ入口部分が左右外側に拡開されている。そして左右の整列手段5は、図示例では共に押動動作可能となっている。
供給コンベア2は、海苔束Aが整列手段5の位置まで搬送され、光電スイッチ等のセンサがこれを検出すると、一旦海苔束Aの搬送を停止し、もって整列手段5の押動動作による整列が行われ、事後再び海苔束Aの搬送を再開する。
【0029】
そして左右の整列手段5の押動動作は、停止した供給コンベア2上の海苔束Aを、側方向Hの外側から内側の整列位置まで押動する、一工程により行われる。
すなわち押動動作は、予め側方向Hの外側に位置していた左右の整列手段5が、海苔束Aの両側端面を、それぞれ内側の整列位置まで対称的に押動して、下流側の両回転丸刃4に向け整列させることにより、実施される。
例えば、下流側の回転丸刃4と同列ライン状をなす整列位置に、リミットスイッチを設けておき、整列手段5は、外側から整列位置に到達すると押動を停止する。これにより、海苔束Aの側端面を形成する各海苔Bの側端縁が、下流側の回転丸刃4の左右位置と揃えられ,整列調整される。
【0030】
ところで、整列手段5と切削手段3の回転丸刃4とは、一体式又は連動式よりなる。
すなわち、まず左右の回転丸刃4は、前述したように削り幅調整ハンドル18により、側方向Hの位置を対称移動され、もって、海苔束Aの側端面の削り幅を調整可能となっている。仮想された側方向Hの中心線から左右・内外に対称移動され、もって海苔束Aの削り幅を設定可能となっている。
そこで、このように調整,設定される回転丸刃4の左右位置に、整列手段5の整列位置を揃え,追従させる手段として、一体式や連動式が考えられる。
一体式は、左右の回転丸刃4と左右の整列手段5とが、それぞれ、左右で同じベース上に搭載された一体構造よりなる。
そこで一体式では、左右の回転丸刃4と整列手段5が、それぞれ側方向Hに一緒に動き、回転丸刃4の左右位置が調整,設定,変更されると、整列手段5の整列位置も一致して設定,変更されるようになる。同列ライン状に揃えられ、整列される。
連動式は、左右の回転丸刃4と左右の整列手段5とが、それぞれ、別体構造よりなると共に、チェーンやギアで連結された構造よりなる。そこで連動式でも、上述した一体式に準じ、回転丸刃4の左右位置と整列手段5の整列位置とが、一致するようになる。同列ライン状に揃えられ、整列されるようになる。
整列手段5については、以上のとおり。
【0031】
《作用等》
本発明の海苔束Aの端面削り装置1は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)海苔Bの生産工程において、海苔Bが重ねて束ねられた海苔束Aが、整列装置Eから、本発明の端面削り装置1へと供給される(
図4の(1)図等を参照)。
【0032】
(2)端面削り装置1は、供給コンベア2,整列手段5,上コンベア6,切削手段3,押え手段7等を、備えている。
そして供給コンベア2が、海苔束Aを1束ずつ載せて搬送方向Gに搬送する(
図1,
図2を参照)。
【0033】
(3)供給コンベア2は、まず、海苔束Aを整列手段5まで搬送すると、一旦停止する。そして整列手段5により、海苔束Aの整列が行われる。
すなわち、左右の整列手段5の押動動作により、海苔束Aの側端面が、切削手段3の回転丸刃4に向け整列される。海苔束Aの側端面を形成する各海苔Bの側端縁が、下流の回転丸刃4に向け、同列ライン状に揃えられ整列調整される(
図1~
図3,
図5を参照)。
【0034】
(4)整列手段5による海苔束Aの整列が完了すると、供給コンベア2による海苔束Aの搬送が再開される。
そして海苔束Aは、下流に至るまで上コンベア6で上押えされる。海苔束Aは、上コンベア6と供給コンベア2とで、上下から挟まれて搬送される(
図1~
図3を参照)。
【0035】
(5)このように搬送され,直線送り運動される海苔束Aは、側位置で高速回転運動する切削手段3の回転丸刃4により、側端面に残存付着していた海苔屑Cが、切削除去される。
図7は、海苔束Aの側端面の写真であり、画面左側は海苔屑Cの切削除去後を示し、画面左側は海苔屑Cの切削除去前を示す。
図示例では、左右両側に配設された回転丸刃4により、海苔束Aの左右両側端面に残存付着していた海苔屑Cが、左右両側端面と共に削り取られる(
図1~
図3を参照)。
【0036】
(6)そして、このような切削手段3の回転丸刃4による切削除去は、押え手段7の上押え19と下押え20により、海苔束Aの側端面を上下から挟み込みつつ行われる。
このような挟み込みにおり、海苔束Aは、削り取りに際し安定的に保持されると共に、振動割れ,ヒビ,裂け等の発生も防止される(
図1~
図3を参照)。
【0037】
(7)海苔Bの生産工程において、海苔束Aは、このように端面削り装置1により、付着残存していた海苔屑Cが切削除去された後、次の折曲装置Dへと搬送される(
図4の(1)図を参照)。
【0038】
(8)本発明の端面削り装置1は、このように生産工程のラインにおいて、装置化,自動化により、残存付着していた海苔屑Cを切削除去する。もって、生産工程のライン後の箱詰前に、手作業で削り取り除去していた従来技術に比し、時間,労力,人手が大幅削減される。
【0039】
(9)又、本発明の端面削り装置1は、装置化,自動化により海苔屑Cを削り取るので、海苔屑Cを確実に切削除去可能である。ミスや漏れなく除去可能である。
本発明の作用等については、以上のとおり。
【0040】
《他の例について》
以下、他の例について説明しておく。
本発明の海苔束Aの端面削り装置1は、図示例によらず、次の例のように構成することも可能である。
すなわち、図示例の端面削り装置1では、切削手段3の回転丸刃4は、供給コンベア2の左右両側に配設され、もって、搬送される海苔束Aの両側端面の海苔屑Cを、切削除去していた。
これに対し、次の例のように端面削り装置1を構成することも可能である。すなわち回転丸刃4を、供給コンベア2の左右いずれか一方の片側にのみに配設し、もって、搬送される海苔束Aのいずれか一方の側端面の海苔屑Cのみを、切削除去するようにする例も、可能である。
この例において、残った他方の側端面の海苔屑Cについては、海苔束Aの左右を逆にして、端面削り装置1に再度供給することにより、切削除去される。
又、この例の端面削り装置1において、左右の整列手段5については、そのいずれか一方のみを海苔束Aの押動動作を可能とし、他方は固定する方式の採用が考えられる。
すなわち、一方の整列手段5が、前述した図示例と同様に、側方からの押動動作により海苔束Aを回転丸刃4に向け同列ライン状に整列させるのに対し、他方の整列手段5は、このような押動動作をせず固定したままとする方式が可能である。なお、整列手段5のこのような方式は、前述した図示例についても採用可能である。
他の例については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0041】
A 海苔束
B 海苔
C 海苔屑
D 折曲装置
E 整列装置
F 搬送コンベア
G 搬送方向
H 側方向
S スプリング
1 端面削り装置
2 供給コンベア
3 切削手段
4 回転丸刃
5 整列手段
6 上コンベア
7 押え手段
8 ローラー
9 ローラー
10 保持フレーム
11 装置ボディ
12 天板
13 縦ネジ
14 高さ調整ハンドル
15 モーター
16 受けボックス
17 制御部
18 削り幅調整ハンドル
19 上押え
20 下押え