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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/08 20060101AFI20220405BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220405BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20220405BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20220405BHJP
   F02N 15/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B62H5/08
E05B49/00 J
B60R25/24
F02N11/08 X
F02N15/00 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018043941
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019156089
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 友宏
(72)【発明者】
【氏名】永田 達樹
(72)【発明者】
【氏名】堀端 勇治
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163669(JP,A)
【文献】特開2015-209826(JP,A)
【文献】特開2001-010405(JP,A)
【文献】特開2004-106621(JP,A)
【文献】特開2012-031851(JP,A)
【文献】特開2015-209094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/08
E05B 49/00
B60R 25/24
F02N 11/08
F02N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両に搭載され、該鞍乗型車両の走行動力源を駆動する駆動部と、
前記鞍乗型車両に搭載され、前記駆動部を制御する車両制御装置と、
前記鞍乗型車両の利用者に携帯され、前記車両制御装置と無線通信する携帯機と、を備え、
前記車両制御装置は、前記携帯機と無線通信して前記携帯機の認証を行い、該認証が成功すると、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を許可する車両制御システムにおいて、
前記駆動部または前記走行動力源の電源をオンするためにオン操作され、かつ該電源をオフするためにオフ操作される第1電源スイッチと、
前記鞍乗型車両を自立させるためのスタンドの起立状態および収納状態を検知するスタンド検知部と、をさらに備え、
前記車両制御装置は、
前記走行動力源の停止中に、前記第1電源スイッチがオン操作されると、前記携帯機の認証を行って、該認証が成功すれば、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を許可し、前記携帯機の認証が成功しなければ、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を禁止し、
前記走行動力源の駆動中に、前記スタンド検知部により前記スタンドの起立状態が検知されると、前記駆動部に対して前記走行動力源の駆動を禁止し、
その後、前記走行動力源が停止してから、前記スタンド検知部により前記スタンドの収納状態が検知されると、前記携帯機の認証を行って、該認証が成功すれば、前記駆動部に対して前記走行動力源の再始動を許可し、前記携帯機の認証が成功しなければ、前記駆動部に対して前記走行動力源の再始動を禁止し、
前記走行動力源の駆動中に、
前記第1電源スイッチがオフ操作された場合は、前記走行動力源が停止し、
前記第1電源スイッチがオフ操作されることなく、前記スタンド検知部により前記スタンドの起立状態を検知した場合は、前記駆動部または前記走行動力源の電源のオン状態が継続する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記車両制御装置は、前記走行動力源の停止中に、前記第1電源スイッチがオン操作されると、前記携帯機の認証が成功しない限り、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を禁止する、ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
鞍乗型車両に搭載され、該鞍乗型車両の走行動力源を駆動する駆動部を制御する車両制御装置であって、
前記鞍乗型車両の利用者に携帯される携帯機と無線通信して前記携帯機の認証を行い、該認証が成功すると、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を許可する車両制御装置において、
前記駆動部または前記走行動力源の電源をオンするためにオン操作され、かつ該電源をオフするためにオフ操作される第1電源スイッチの操作状態を監視し、
前記走行動力源の停止中に、前記第1電源スイッチがオン操作されると、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を禁止して、前記携帯機の認証を行い、該認証が成功したときにのみ、前記駆動部に対して前記走行動力源の始動を許可し、さらに、
前記鞍乗型車両を自立させるためのスタンドの起立状態および収納状態を検知するスタンド検知部の検知結果を監視し、
前記走行動力源の駆動中に、前記スタンド検知部により前記スタンドの起立状態が検知されると、前記駆動部に対して前記走行動力源の駆動を禁止し、
その後、前記走行動力源が停止してから、前記スタンド検知部により前記スタンドの収納状態が検知されると、前記携帯機の認証を行って、該認証が成功すれば、前記駆動部に対して前記走行動力源の再始動を許可し、前記携帯機の認証が成功しなければ、前記駆動部に対して前記走行動力源の再始動を禁止する、ことを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両の走行動力源の駆動を制御する車両制御システムおよび車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば自動二輪車などの鞍乗型車両には、盗難防止や事故防止などのため、走行動力源の駆動を制御する車両制御システムが搭載されたものがある(たとえば、特許文献1~5)。鞍乗型車両の走行動力源としては、エンジンなどの内燃機関や電動モータなどがある。これらの走行動力源の駆動や停止は、点火装置、フューエルインジェクション、スタータモータ、またはモータ駆動回路などの駆動部により実行される。そして、これらの駆動部の動作は、ECU(電子制御装置)などの車両制御装置により制御される。走行動力源と駆動部と車両制御装置は、鞍乗型車両に搭載されている。
【0003】
鞍乗型車両の車体の下部には、足などで回動操作可能なスタンド(サイドスタンドやセンタスタンドなど)が設置されている。このスタンドを起立して地面に着地させることで、鞍乗型車両は自立し転倒が防止される。鞍乗型車両の走行時や移動時には、サイドスタンドが車体に沿うように収納される。
【0004】
スタンドの起立状態で鞍乗型車両が走行した場合、該スタンドと地面などとの接触により、スタンドや車体が損傷したり、車体が転倒したりするなどの事故が生じるおそれがある。
【0005】
これに対し、特許文献1では、鞍乗型車両の変速機の中立時またはサイドスタンドの収納時にのみ、点火装置を点火可能にする。また、変速機の中立時、またはサイドスタンドの収納状態でかつクラッチの切断時もしくはブレーキの作動時にのみ、スタータモータによりエンジンを始動可能にする。
【0006】
また、特許文献2では、サイドスタンドが起立状態でかつ変速ギヤが非ニュートラル状態(ギヤが入った状態)にあるときに、エンジン始動装置と点火装置の機能が停止され、エンジンが失火する。また、走行時の振動でスタンドスイッチが閉路して、エンジンが失火するのを防止するため、サイドスタンドの起立・収納の状態を検知するスタンドスイッチが、サイドスタンドの起立状態で閉路するような構成にしている。
【0007】
また、特許文献3では、鞍乗型車両の始動時の利便性を考慮して、センタスタンドとサイドスタンドのうち、少なくとも一方が使用され、かつギヤポジションがニュートラルであるときに、遠隔位置にあるリモコン操作により、エンジン始動を可能にする。
【0008】
また、特許文献4では、鞍乗型車両の盗難防止を考慮して、鞍乗型車両に設けられたスイッチが操作されると、車両制御装置が携帯機と無線で通信して、携帯機から受信した応答信号に基づいて、携帯機の認証を行う。そして、携帯機の認証が成功すると、車両制御装置が内燃機関の始動を許可する。
【0009】
さらに、特許文献5では、鞍乗型車両に設けられたエンジン始動用のノブスイッチが押し込み操作されると、車両制御装置が、携帯機と無線で通信して、携帯機から受信した応答信号に基づいて、携帯機の認証を行う。携帯機の認証が成功すると、車両制御装置は、ロック機構をアンロック状態にして、ノブスイッチの回動操作を可能にする。そして、ノブスイッチが回動操作されると、車両制御装置は、エンジンの始動を許可する。また、エンジンが始動すると、車両制御装置は、アイドリングストップスイッチをオンして、アイドリングストップスイッチ機能を有効化する。この後、車速ゼロの状態が一定時間継続すると、車両制御装置はエンジンを停止させる。そして、鞍乗型車両がサイドスタンドで駐車した後、サイドスタンドが上げられたときに、車両制御装置は、携帯機の認証を行い、該認証が成功すると、エンジンの再始動を許可する。この後、鞍乗型車両のスロットルやキックペダルが回動操作されると、燃料噴射制御ユニットや点火プラグに電力が供給されて、エンジンが始動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公昭62-20954号公報
【文献】特開昭62-195456号公報
【文献】特開平6-272646号公報
【文献】特許第4181198号公報
【文献】特開2016-68837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
鞍乗型車両では、スタンドの起立状態で走行することによる事故の防止と、簡易な操作で走行動力源を速やかに始動させることによる利便性の向上と、悪意の第三者による盗難の防止とが求められている。たとえば、盗難防止のため、スイッチやスタンドや変速機などの操作部で所定の始動操作が行われ、かつ車両制御装置が携帯機の認証に成功した場合に、各部の電源がオン(投入)されて、走行動力源の始動が可能となる。そしてこの後、操作部で所定の停止操作が行われるなどして、各部の電源がオフされない限り、携帯機の認証が成功したことは有効となり、携帯機を携帯する正当な利用者が鞍乗型車両を使用しているとみなされる。このため、各部の電源のオン状態が継続したまま、停止条件が成立して、走行動力源が停止した後、悪意の第三者による操作部の始動操作により、走行動力源が始動してしまい、鞍乗型車両が乗り逃げによって盗難されるおそれがある。
【0012】
本発明は、鞍乗型車両の事故と盗難を防止しつつ、走行動力源の始動時の利便性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両制御システムは、鞍乗型車両に搭載され該鞍乗型車両の走行動力源を駆動する駆動部と、鞍乗型車両に搭載され駆動部を制御する車両制御装置と、鞍乗型車両の利用者に携帯され車両制御装置と無線通信する携帯機とを備えている。車両制御装置は、携帯機と無線通信して携帯機の認証を行って、該認証が成功すると、駆動部に対して走行動力源の始動を許可する。この構成において、本発明では、鞍乗型車両を自立させるためのスタンドの起立状態および収納状態を検知するスタンド検知部をさらに備える。そして、車両制御装置は、走行動力源の駆動中に、スタンド検知部によりスタンドの起立状態が検知されると、駆動部に対して走行動力源の駆動を禁止し、その後、走行動力源が停止してから、スタンド検知部によりスタンドの収納状態が検知されると、携帯機の認証を行って、該認証が成功すれば、駆動部に対して走行動力源の再始動を許可し、携帯機の認証が成功しなければ、駆動部に対して走行動力源の再始動を禁止する。
【0014】
上記によると、鞍乗型車両の走行動力源の駆動中に、スタンドが起立操作されると、走行動力源の駆動が禁止されるので、駆動部により走行動力源が停止される。このため、スタンドが起立状態にあるときに、鞍乗型車両が走行せず、該スタンドと地面などとの接触により、スタンドが損傷したり車体が転倒したりするなどの事故を防止することができる。また、スタンドが起立操作されて、駆動部により走行動力源が停止されてから、スタンドが収納操作されると、車両制御装置が携帯機と無線通信して携帯機の認証を行い、該認証が成功したときにのみ、走行動力源の再始動が許可される。このため、正しいIDを有する携帯機を携帯した、正当な利用者がスタンドを収納操作した場合に、走行動力源の再始動が可能になり、悪意の第三者がスタンドを収納操作した場合に、走行動力源の再始動が不可能になって、鞍乗型車両の盗難を防止することができる。さらに、正当な利用者がスタンドを収納操作するだけで、車両制御装置による携帯機の認証が行われて、該認証の成功により走行動力源の再始動が可能になる。このため、走行動力源が再始動するまでの時間を短縮して、利便性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明では、駆動部または走行動力源の電源をオンするためにオン操作され、かつ該電源をオフするためにオフ操作される第1電源スイッチが設けられる。走行動力源の停止中に、第1電源スイッチがオン操作されると、車両制御装置が携帯機の認証を行って、該認証が成功すれば、車両制御装置が駆動部に対して走行動力源の始動を許可し、携帯機の認証が成功しなければ、車両制御装置が駆動部に対して走行動力源の始動を禁止する。また、走行動力源の駆動中に、第1電源スイッチがオフ操作された場合は、走行動力源が停止し、第1電源スイッチがオフ操作されることなく、スタンド検知部によりスタンドの起立状態を検知した場合は、駆動部または走行動力源の電源のオン状態が継続される
【0017】
また、本発明では、車両制御装置は、走行動力源の停止中に、第1電源スイッチがオン操作されると、携帯機の認証が成功しない限り、駆動部に対して走行動力源の始動を禁止してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鞍乗型車両の事故と盗難を防止しつつ、走行動力源の始動時の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による車両制御システムの電気的構成図である。
図2A】鞍乗型車両を模式的に示した側面図である。
図2B】鞍乗型車両の各種の状態を示した上面図である。
図2C】鞍乗型車両の各種の状態を示した上面図である。
図3A】車両制御システムの各部の動作を示したタイムチャートである。
図3B】車両制御システムの各部の動作を示したタイムチャートである。
図4A】車両制御システムの各部の動作を示したフローチャートである。
図4B図4Aの続きのフローチャートである。
図4C図4Bの続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0023】
まず、実施形態の車両制御システム100の構成を説明する。
【0024】
図1は、車両制御システム100の電気的構成図である。図2Aは、車両制御システム100が組み込まれた鞍乗型車両30の側面図である。図2Bおよび図2Cは、鞍乗型車両30の各種の状態を示した上面図である。
【0025】
図1に示す車両制御システム100は、図2Aに示す鞍乗型車両30に組み込まれている。鞍乗型車両30は、変速機のギヤを自動で切り替えるオートマティック式の自動二輪車から成る。図2Aにおいて、(a)は鞍乗型車両30のサイドスタンド13が起立した状態、(b)は鞍乗型車両30のサイドスタンド13が収納された状態を示している。
【0026】
図1に示すように、車両制御システム100には、車両制御装置10、IGN(イグニション)_SW(スイッチ)4、ACC(アクセサリ)_SW(スイッチ)5、サイドスタンドSW(スイッチ)6、スタータSW(スイッチ)7、エンジン8、駆動部9、電装品11、電源装置12、および携帯機20が備わっている。このうち、携帯機20は、FOBから成り、車両30の正当な利用者により携帯される。携帯機20以外は、鞍乗型車両30に搭載されている。
【0027】
車両制御装置10は、ECU(電子制御装置)から成る。車両制御装置10には、制御部1、LF(Low Frequency;長波)送信部2、およびUHF(Ultra High Frequency;高周波)受信部3が備わっている。制御部1は、マイクロコンピュータから構成されている。
【0028】
LF送信部2は、LF送信アンテナと送信用信号処理部などから構成されている(図示省略)。LF送信部2は、送信用信号処理部で生成したLF信号(LF帯域の信号)を、LF送信アンテナから携帯機20へ送信する。LF送信部2により送信されるLF信号には、携帯機20に対して応答を要求する応答要求信号が含まれる。
【0029】
UHF受信部3は、UHF受信アンテナと受信用信号処理部などから構成されている(図示省略)。UHF受信部3は、携帯機20から送信されたUHF信号(UHF帯域の信号)を、UHF受信アンテナと受信用信号処理部により受信する。UHF受信部3により受信するUHF信号には、後述の携帯機20から送信された応答信号が含まれる。
【0030】
制御部1は、LF送信部2とUHF受信部3により、携帯機20と無線通信を行い、携帯機20に対してLF信号とUHF信号の送受信を行う。これらのLF信号とUHF信号には、各種の情報が含まれる。
【0031】
エンジン8は、鞍乗型車両30の走行動力源である。駆動部9には、エンジン8を駆動するための、点火プラグ9a、FI(フューエルインジェクション(電子制御燃料噴射装置))9b、スタータモータ9c、およびモータ駆動回路9dが含まれている。
【0032】
FI9bは、点火プラグ9aに電流を流して、エンジン8に点火する。また、FI9bは、エンジン8の回転数、エンジン8への吸入空気量、エンジン8の温度、およびエンジン8の点火時期などの各情報をマイクロコンピュータで処理して、エンジン8の作動状況に適した量の燃料(ガソリン)を霧状にしてエンジン8に噴射する。スタータモータ9cは回転することにより、エンジン8の始動時にピストンなどを回転させる。モータ駆動回路9dは、スタータモータ9cを駆動する。車両制御装置10の制御部1は、駆動部9に対してエンジン8の駆動を許可・禁止する。
【0033】
電装品11には、鞍乗型車両30の周囲を照らすライトや、表示盤のLED(発光ダイオード)などの照明類11aが含まれている。車両制御装置10の制御部1は、電装品11を制御する。
【0034】
電源装置12には、バッテリ12aと、バッテリ12aの電力の供給・遮断を制御する制御回路(図示省略)とが含まれている。電源装置12は、バッテリ12aの電力を鞍乗型車両30の各部に供給することにより、各部の電源をオンしたり、該電力の供給を遮断することにより、各部の電源をオフしたりする。
【0035】
IGN_SW4とACC_SW5は、鞍乗型車両30のステアリングハンドルの近傍に設置されている。IGN_SW4は、駆動部9の電源をオンするために、利用者によりオン操作されたり、駆動部9の電源をオフするために、利用者によりオフ操作されたりする。ACC_SW5は、電装品11の電源をオンするために、利用者によりオン操作されたり、電装品11の電源をオフするために、利用者によりオフ操作されたりする。IGN_SW4は、本発明の「第1電源スイッチ」の一例である。ACC_SW5は、本発明の「第2電源スイッチ」の一例である。
【0036】
IGN_SW4とACC_SW5の操作ノブ(図示省略)は同一である。このため、たとえば、操作ノブをオン操作することで、ACC_SW5がオンに切り替わった後、IGN_SW4がオンに切り替わる。また、操作ノブをオフ操作することで、IGN_SW4がオフに切り替わった後、ACC_SW5がオフに切り替わる。他の例として、操作ノブをオン・オフ操作することで、IGN_SW4とACC_SW5のオン・オフが同時に切り替わるような構成にしてもよい。
【0037】
車両制御装置10の制御部1は、IGN_SW4とACC_SW5の操作状態を監視する。そして、制御部1は、IGN_SW4とACC_SW5のオン・オフ状態を、駆動部9と電源装置12に通知する。
【0038】
制御部1からの通知により、電源装置12は、IGN_SW4がオン操作されたことを検知すると、バッテリ12aの電力を駆動部9に供給することにより、駆動部9の電源をオンする。また、電源装置12は、IGN_SW4がオフ操作されたことを検知すると、バッテリ12aの電力の駆動部9への供給を遮断することにより、駆動部9の電源をオフする。また、電源装置12は、ACC_SW5がオン操作されたことを検知すると、バッテリ12aの電力を電装品11に供給することにより、電装品11の電源をオンする。さらに、電源装置12は、ACC_SW5がオフ操作されたことを検知すると、バッテリ12aの電力の電装品11への供給を遮断することにより、電装品11の電源をオフする。
【0039】
制御部1は、電源装置12から駆動部9への給電ライン18の電圧と、電源装置12から電装品11への給電ライン19の電圧とを検出する(破線の矢印)。そして、その検出電圧に基づいて、駆動部9と電装品11の電源のオン・オフ状態を確認する。
【0040】
サイドスタンドSW6は、鞍乗型車両30のサイドスタンド13(図2A)の収納・起立の状態を検知する。サイドスタンド13は、鞍乗型車両30の車体の側方下部に設置されている。サイドスタンド13は、利用者の足による回動操作で、起立(着地)して(図2Aの(a)の状態)、鞍乗型車両30を自立させたり、鞍乗型車両30の車体に沿うように収納されたり(図2Aの(b)の状態)する。
【0041】
たとえば、サイドスタンド13の起立状態で、サイドスタンドSW6はオンになり、サイドスタンド13の収納状態で、サイドスタンドSW6はオフになる。車両制御装置10の制御部1は、サイドスタンドSW6の操作状態を監視して、サイドスタンド13の起立状態および収納状態を検知する。サイドスタンド13は、本発明の「スタンド」の一例である。サイドスタンドSW6は、本発明の「スタンド検知部」の一例である。
【0042】
スタータSW7は、鞍乗型車両30のステアリングハンドルに設置されている(図示省略)。スタータSW7は、駆動部9によりエンジン8を始動させるために、利用者によりオン操作される。スタータSW7は、駆動部9に接続されている。駆動部9は、スタータSW7の操作状態を監視し、スタータSW7がオン操作されると、該オン状態を車両制御装置10の制御部1に通知する。つまり、制御部1は、駆動部9を介して、スタータSW7の操作状態を監視する。
【0043】
他の例として、スタータSW7を車両制御装置10の制御部1に接続し、制御部1がスタータSW7の操作状態を直接監視して、駆動部9に通知するようにしてもよい。
【0044】
携帯機20には、制御部21、LF受信部22、およびUHF送信部23が備わっている。制御部21は、マイクロコンピュータから構成されている。
【0045】
LF受信部22は、LF受信アンテナと受信用信号処理部などから構成されている(図示省略)。LF受信部22は、車両制御装置10から送信されたLF信号を、LF受信アンテナと受信用信号処理部により受信する。
【0046】
UHF送信部23は、LF送信アンテナと送信用信号処理部などから構成されている(図示省略)。UHF送信部23は、送信用信号処理部で生成したUHF信号を、UHF送信アンテナから車両制御装置10へ送信する。
【0047】
制御部21は、UHF送信部23とLF受信部22により、車両制御装置10と無線通信を行い、車両制御装置10に対してLF信号とUHF信号の送受信を行う。これらLF信号とUHF信号には、各種の情報が含まれる。
【0048】
IGN_SW4がオン操作されたとき(このときACC_SW5もオン操作されている)などに、鞍乗型車両30が正当な利用者により利用されていることを確認するため、車両制御装置10は、携帯機20と無線通信して、携帯機20の認証を行う。
【0049】
具体的には、たとえば、車両制御装置10の制御部1が、LF送信部2により携帯機20に対して応答要求信号を送信する。正当な利用者が携帯機20を携帯した状態で鞍乗型車両30の近傍にいれば、車両制御装置10からの応答要求信号が、携帯機20のLF受信部22により受信される。すると、携帯機20の制御部21は、UHF送信部23により車両制御装置10に対して応答信号を送信する。この応答信号には、携帯機20のID(識別情報)が含まれている。
【0050】
車両制御装置10の制御部1は、携帯機20から送信された応答信号をUHF受信部3により受信すると、該応答信号に含まれる携帯機20のIDに基づいて、携帯機20の認証を行う。このとき、制御部1は、予め記憶されたIDと、応答信号に含まれる携帯機20のIDとを照合する。そして、両IDが一致すると、制御部1は、携帯機20の認証が成功したと判断し、鞍乗型車両30が正当な利用者により利用されているとみなす。対して、上記両IDが一致しなければ、制御部1は、携帯機20の認証が成功しなかったと判断し、鞍乗型車両30が不正者により利用されているとみなす。携帯機20の認証が成功した場合にのみ、制御部1は、駆動部9に対して、エンジン8の始動および電装品11の駆動を許可する。
【0051】
次に、車両制御システム100の各部の動作を説明する。
【0052】
図3Aおよび図3Bは、車両制御システム100の各部の動作を示したタイムチャートである。図4A図4Cは、車両制御システム100の各部の動作を示したフローチャートである。
【0053】
図2Bの(a)では、鞍乗型車両30のエンジン8が停止状態、サイドスタンド13が収納状態、駆動部9および電装品11の電源がオフ状態にある。この状態において、たとえば、利用者が鞍乗型車両30に近づいて、ACC_SW5とIGN_SW4とをオン操作すると(図3Aのt1、t1’、図4AのステップS1:YES)、電源装置12が電装品11と駆動部9の電源をオンする(図3Aのt2、t2’、図4AのステップS2)。
【0054】
そして、車両制御装置10の制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の始動を禁止する(図4AのステップS3)。このとき、制御部1がエンジン始動禁止指令を駆動部9に出力し、該指令を受けた駆動部9が内部メモリに設けられたエンジン始動禁止フラグをオンする。このエンジン始動禁止フラグがオンの間は、スタータSW7がオン操作されても、駆動部9がエンジン8を始動させない。対して、エンジン始動禁止フラグがオフの間は、携帯機20の認証が成功した後に、スタータSW7がオン操作されると、駆動部9がエンジン8を始動させる。
【0055】
次に、制御部1は、LF送信部2により携帯機20に対して応答要求信号を送信する(図3Aのt3、図4AのステップS4)。このとき、応答要求信号は所定の周期で間欠的に送信される。
【0056】
鞍乗型車両30に接近した利用者が携帯機20を携帯している場合は、車両制御装置10から送信された応答要求信号が、携帯機20のLF受信部22により受信される(図3Aのt4)。すると、制御部21が、UHF送信部23により車両制御装置10に対して応答信号を送信する(図3Aのt5)。
【0057】
携帯機20から送信された応答信号が車両制御装置10のUHF受信部3により受信されると(図3Aのt6、図4AのステップS5:YES)、制御部1は、該応答信号に含まれる携帯機20のIDに基づいて、携帯機20の認証を行う(図2Bの(b))。
【0058】
このとき、携帯機20の認証が成功しなかった場合は(図4AのステップS6:NO)、電装品11が駆動することはない。このため、たとえば照明類11aが消灯状態のままとなる。また、利用者がスタータSW7をオン操作しても、エンジン8の始動が禁止されているので、駆動部9がエンジン8を始動させることはない。このため、異変を感じた利用者がIGN_SW4とACC_SW5とをオフ操作すると(図4AのステップS12:YES)、電源装置12が駆動部9と電装品11の電源をオフする(図4AのステップS13)。この後、たとえば利用者は、携帯機20を確認したり、ACC_SW5とIGN_SW4を再度オン操作したりする(図4AのステップS1:YES)。
【0059】
一方、携帯機20の認証が成功した場合は(図3Aのt7、図4AのステップS6:YES)、制御部1が電装品11を駆動する(図3Aのt8、図4AのステップS7)。これにより、たとえば照明類11aが点灯する。
【0060】
また、制御部1は、サイドスタンド13が収納状態にあることをサイドスタンドSW6により検知すると(図4AのステップS8:YES)、駆動部9に対してエンジン8の始動を許可する(図4AのステップS9)。このとき、制御部1がエンジン始動許可指令を駆動部9に出力し、該指令を受けた駆動部9が内部メモリのエンジン始動禁止フラグをオフする。
【0061】
その後、利用者がスタータSW7をオン操作すると(図3Aのt9、図4AのステップS10:YES)、駆動部9がエンジン8を始動させる(図2B(c)、図3Aのt10、図4AのステップS11)。このとき、たとえば、駆動部9は、エンジン始動禁止フラグがオフであることを確認してから、エンジン8を始動させる。
【0062】
対して、携帯機20の認証が成功したときに(図4AのステップS6:YES)、サイドスタンド13が収納状態にないことをサイドスタンドSW6により検知した場合は(図4AのステップS8:NO(サイドスタンド13が起立状態))、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の始動を禁止したままにする。
【0063】
また、エンジン8の始動が許可された(図4AのステップS9)後、スタータSW7がオン操作されることなく(図4AのステップS10:NO)、サイドスタンド13が起立操作されたことをサイドスタンドSW6により検知した場合は(図4AのステップS14:YES)、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の始動を禁止する(図4AのステップS15)。
【0064】
上記のようにエンジン8の始動が禁止されているときは、利用者がスタータSW7をオン操作しても、駆動部9がエンジン8を始動させることはない。制御部1は、上記のようにエンジン8の始動を禁止した状態で、IGN_SW4、ACC_SW5、またはサイドスタンド13が操作されるのを待つ。
【0065】
そして、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作されることなく(図4AのステップS16:NO)、サイドスタンド13が収納操作されたことをサイドスタンドSW6により検知した場合は(図4AのステップS8:YES)、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の始動を許可する(図4AのステップS9)。
【0066】
対して、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作されると(図4AのステップS16:YES)、電源装置12が駆動部9と電装品11の電源をオフする(図4AのステップS13)。
【0067】
携帯機20の認証が成功して、電装品11とエンジン8が駆動しているときに、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作されると(図4BのステップS17:YES)、駆動部9がエンジン8を停止させ、車両制御装置10の制御部1が電装品11を停止させる(図4BのステップS18)。この際、駆動部9は、車両制御装置10の制御部1よりエンジン8の停止指示を受けてから、エンジン8を停止してもよい。
【0068】
その後、電源装置12が駆動部9と電装品11の電源をオフする(図4BのステップS19)。この際、制御部1は、エンジン8が停止した旨の通知を駆動部9から受けた後、駆動部9の電源のオフ指示を電源装置12に送り、該指示を受けてから電源装置12が駆動部9の電源をオフしてもよい。また、制御部1は、電装品11を停止させた後、電装品11の電源オフ指示を電源装置12に送り、該指示を受けてから電源装置12が電装品11の電源をオフしてもよい。電装品11の停止により、たとえば照明類11aが消灯する。
【0069】
一方、電装品11とエンジン8の駆動中に、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作されることなく(図4BのステップS17:NO)、利用者が鞍乗型車両30を停車させて、鞍乗型車両30を自立させるために、サイドスタンド13を起立操作し、この起立操作をサイドスタンドSW6により検知した場合(図3Bのt11、図4CのステップS20:YES)、車両制御装置10の制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の駆動を禁止する(図4CのステップS21)。このとき、制御部1がエンジン8の駆動を禁止する指令を駆動部9に出力し、該指令を受けた駆動部9がエンジン8を停止させる(図3Bのt12、図4CのステップS22)。また、駆動部9は、内部メモリのエンジン始動禁止フラグをオンする。
【0070】
上記のようにエンジン8が停止しても、駆動部9と電装品11の電源のオン状態は継続され、電装品11の駆動状態も継続される。これにより、たとえば照明類11aが点灯し続ける(図2C(d))。また、サイドスタンド13が起立状態のまま、スタータSW7がオン操作されても、エンジン8の駆動が禁止されているので、駆動部9がエンジン8を再始動させることはない。
【0071】
その後、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作された場合(図4CのステップS31:YES)、車両制御装置10の制御部1が電装品11を停止し(図4CのステップS32)、電源装置12が駆動部9と電装品11の電源をオフする(図4CのステップS33)。
【0072】
一方、エンジン8の停止中に、サイドスタンド13が収納操作されたことをサイドスタンドSW6により検知した場合は(図3Bのt13、図4CのステップS23:YES)、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の再始動を禁止する(図4CのステップS24)。このとき、駆動部9は、内部メモリのエンジン始動禁止フラグをオンする。そして、制御部1は、LF送信部2により携帯機20に対して応答要求信号を送信する(図3Bのt14、図4CのステップS25)。このときも、応答要求信号は所定の周期で間欠的に送信される。
【0073】
そして、車両制御装置10から送信された応答要求信号が、携帯機20のLF受信部22により受信されると(図3Bのt15)、制御部21が、UHF送信部23により車両制御装置10に対して応答信号を送信する(図3Bのt16)。この応答信号が車両制御装置10のUHF受信部3により受信されると(図3Bのt17、図4CのステップS26:YES)、制御部1は、該応答信号に含まれる携帯機20のIDに基づいて携帯機20の認証を行う(図2Cの(e))。
【0074】
携帯機20の認証が成功しなかった場合(図4CのステップS27:NO)、制御部1は、サイドスタンド13、IGN_SW4、またはACC_SW5が操作されるのを待つ。また、スタータSW7がオン操作されても、エンジン8の再始動が禁止されているので、駆動部9がエンジン8を始動させることはない。
【0075】
そして、サイドスタンド13が起立操作されたことをサイドスタンドSW6により検知した場合(図4CのステップS34:YES)、制御部1は、サイドスタンド13が収納操作されるのを待つ(図4CのステップS23)。また、サイドスタンド13が収納状態のまま(図4CのステップS34:NO)、IGN_SW4とACC_SW5がオフ操作された場合は(図4CのステップS35:YES)、制御部1が電装品11を停止し(図4CのステップS32)、電源装置12が駆動部9と電装品11の電源をオフする(図4CのステップS33)。
【0076】
一方、携帯機20の認証が成功した場合(図3Bのt18、図4CのステップS27:YES)は、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の再始動を許可する(図4CのステップS28)。このとき、駆動部9は、内部メモリのエンジン始動禁止フラグをオフする。この後、スタータSW7がオン操作されることなく(図4CのステップS29:NO)、サイドスタンド13が起立操作されたことをサイドスタンドSW6により検知した場合は(図4CのステップS36:YES)、制御部1が、駆動部9に対してエンジン8の再始動を禁止する(図4CのステップS37)。このとき、駆動部9は、内部メモリのエンジン始動禁止フラグをオンする。
【0077】
また、エンジン8の再始動が許可された(図4CのステップS28)後、スタータSW7がオン操作されると(図3Bのt19、図4CのステップS29:YES)、駆動部9がエンジン8を再始動させる(図2Cの(f)、図3Bのt20、図4CのステップS30)。この後、制御部1は、IGN_SW4、ACC_SW5、またはサイドスタンド13の操作状態を監視する(図4BのステップS17、図4CのステップS20)。
【0078】
以上の実施形態によると、鞍乗型車両30のエンジン8の駆動中に、サイドスタンド13が起立操作されると、エンジン8の駆動が禁止されるので、駆動部9によりエンジン8が停止される。このため、サイドスタンド13が起立状態にあるときに、鞍乗型車両30が走行せず、該サイドスタンド13と地面などとの接触により、サイドスタンド13が損傷したり車体が転倒したりするなどの事故を防止することができる。
【0079】
また、サイドスタンド13が起立操作されて、駆動部9によりエンジン8が停止されてから、サイドスタンド13が収納操作されると、車両制御装置10が携帯機20と無線通信して携帯機20の認証を行い、該認証が成功したときにのみ、エンジン8の再始動が許可される。このため、正しいIDを有する携帯機20を携帯した、正当な利用者がサイドスタンド13を収納操作した場合に、エンジン8の再始動が可能になる。また、悪意の第三者がサイドスタンド13を収納操作した場合や、サイドスタンド13を起立操作した場合に、エンジン8の再始動が不可能になって、鞍乗型車両30の盗難を防止することができる。さらに、正当な利用者がサイドスタンド13を収納操作するだけで、車両制御装置10による携帯機20の認証が行われて、該認証の成功によりエンジン8の再始動が可能になる。このため、エンジン8が再始動するまでの時間を短縮して、利便性を向上させることができる。
【0080】
また、以上の実施形態では、サイドスタンド13が起立操作されて、駆動部9によりエンジン8が停止されてから、サイドスタンド13が収納操作されると、車両制御装置10が携帯機20の認証を成功しない限り、駆動部9に対してエンジン8の再始動を禁止する。このため、サイドスタンド13が収納操作されてから、車両制御装置10が携帯機20の認証を成功するまでの間に、悪意の第三者によりスタータSW7がオン操作されても、エンジン8が再始動することはなく、鞍乗型車両30の盗難をより有効に防止することができる。
【0081】
また、以上の実施形態では、IGN_SW4がオン操作されたときに、車両制御装置10が携帯機20の認証を行い、該認証が成功すると、エンジン8の始動が許可されて、この後スタータSW7がオン操作されたときに、エンジン8が始動される。このため、IGN_SW4がオン操作された後、スタータSW7がオン操作されたときに、車両制御装置10が携帯機20の認証を行う場合よりも、エンジン8が始動するまでにかかる時間を短縮して、利便性を一層向上させることができる。また、エンジン8の駆動中に、サイドスタンド13の起立操作に応じてエンジン8が停止しても、駆動部9の電源のオン状態が継続するので、サイドスタンド13の起立操作に応じてエンジン8が停止しかつ駆動部9の電源がオフされる場合よりも、エンジン8が再始動するまでにかかる時間を短縮して、利便性を一層向上させることができる。
【0082】
また、以上の実施形態では、エンジン8の停止中に、IGN_SW4がオン操作されると、車両制御装置10が携帯機20の認証を成功しない限り、駆動部9に対してエンジン8の始動を禁止する。このため、IGN_SW4がオン操作されてから、車両制御装置10が携帯機20の認証を成功するまでの間に、悪意の第三者によりスタータSW7がオン操作されても、エンジン8が再始動することはなく、鞍乗型車両30の盗難をより有効に防止することができる。
【0083】
さらに、以上の実施形態では、エンジン8の駆動中に、電装品11も駆動中となり、サイドスタンド13が起立操作されると、エンジン8は停止するが、駆動部9と電装品11の電源のオン状態が継続され、電装品11の駆動状態も継続される。このため、サイドスタンド13の起立状態で鞍乗型車両30が走行することによる事故を防止しつつ、電装品11が継続して利用可能となるので、利用者の利便性を向上させることができる。
【0084】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、エンジン8の停止中でかつ駆動部9の電源のオフ中に、IGN_SW4がオン操作されたときに、車両制御装置10が携帯機20と無線通信して、携帯機20の認証を行う例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、車両制御装置10がポーリング方式で応答要求信号を送信し、携帯機20が鞍乗型車両30に所定距離まで接近したときに、車両制御装置10が携帯機20と相互に無線通信して、携帯機20の認証を行ってもよい。または、ACC_SW5もしくはスタータSW7がオン操作されたときなどに、車両制御装置10が携帯機20と相互に無線通信して、携帯機20の認証を行ってもよい。
【0085】
また、以上の実施形態では、車両制御装置10が携帯機20の認証に成功して、エンジンン8の始動を許可した後、スタータSW7がオン操作されると、駆動部9がエンジン8を始動した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、スタータSW7を省略して、携帯機20の認証が成功した後、鞍乗型車両30に対する利用者の乗車行為や走行準備操作を検出したときに、駆動部9がエンジン8を始動してもよい。
【0086】
また、以上の実施形態では、IGN_SW4やACC_SW5のオン・オフ操作に応じて、電源装置12が駆動部9や電装品11に対してバッテリ12aの電力を供給・遮断した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、車両制御装置10がIGN_SW4やACC_SW5のオン・オフ操作に応じて、駆動部9や電装品11に対して電力を供給・遮断する指令を電源装置12に出力し、該指令に基づいて電源装置12がバッテリ12aの電力を供給・遮断してもよい。また、給電ライン18、19上にスイッチング素子を設け、車両制御装置10がIGN_SW4やACC_SW5のオン・オフ操作に応じて当該スイッチング素子のオン・オフ動作を制御することにより、駆動部9や電装品11に対してバッテリ12aの電力を供給・遮断してもよい。
【0087】
また、以上の実施形態では、車両制御装置10がACC_SW5のオン・オフ操作に応じて、電装品11を駆動・停止した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、車両制御装置10とは別のECU(電子制御装置)などが、ACC_SW5のオン・オフ操作に応じて、電装品11の駆動・停止を制御してもよい。
【0088】
また、以上の実施形態では、鞍乗型車両30に単一のサイドスタンド13を設けた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、鞍乗型車両30の車体の中央下部に、センタスタンド(図示省略)を設けてもよい。つまり、鞍乗型車両の車体の適宜箇所に、自立用のスタンドを1つまたは複数設けてもよい。
【0089】
また、以上の実施形態では、鞍乗型車両30の走行動力源としてエンジン8を用いた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではなく、エンジン8のような内燃機関の代わりに、電動モータなどを走行動力源として用いてもよい。この場合、IGN_SW4のオン・オフ操作により、当該電動モータの電源をオン・オフすればよい。
【0090】
また、以上の実施形態では、鞍乗型車両30の電装品11として、照明類11aを例に挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、その他の電装品の駆動を車両制御装置10により制御してもよい。
【0091】
さらに、以上の実施形態では、自動二輪車から成る鞍乗型車両30用の車両制御システム100および車両制御装置10に本発明を適用した例を挙げたが、その他の鞍乗型車両用の車両制御システムおよび車両制御装置に対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0092】
4 IGN_SW(第1電源スイッチ)
5 ACC_SW(第2電源スイッチ)
6 サイドスタンドSW(スタンド検知部)
7 スタータSW
8 エンジン(走行動力源)
9 駆動部
10 車両制御装置
11 電装品
13 サイドスタンド(スタンド)
20 携帯機
30 鞍乗型車両
100 車両制御システム
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C