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特許7053347プラグコネクタおよびプラグ接続を形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】プラグコネクタおよびプラグ接続を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20220405BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/639 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018070518
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2018181842
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】10 2017 003 296.3
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】リスティング,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ゼンガー,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】バレス,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】キオスキス,カイ
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-059765(JP,U)
【文献】実開昭63-002375(JP,U)
【文献】国際公開第2016/026563(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ接触を介して互いに接続することができる互いに割り当てられたプラグ要素(6、48)を有する第1のプラグ(2)および第2のプラグ(22)と、前記差し込まれたプラグを機械的に固定する固定デバイスとを備えるプラグコネクタにおいて、
前記固定デバイスは、前記第1のプラグ(2)上に旋回可能に取り付けられたレバー(30)を備え、前記レバー(30)は、その旋回軸から偏心して接続要素(34)を旋回可能に支承し、前記接続要素(34)は、その自由端に固定カム(54)を有し、前記第2のプラグ(22)は、前記固定カム(54)を形状嵌めで収容するように適合されて形成されたレセプタクル(46)を有し、前記レセプタクル(46)は、その内側に前記接続要素(34)の前記自由端と協働する斜面(62)を有しており、前記固定カム(54)は、前記斜面(62)を介して差込み中に前記レセプタクル(46)のロック面(64)の後ろへ強制的に案内される
ことを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項2】
前記接続要素(34)は、ばね(66)の初張力を受けて初期位置(図6a、図7a)で保持され、前記初期位置で、前記固定カム(54)は、前記差込み中に接合方向に前記レセプタクル(46)への挿入開口(52)に位置合わせされていることを特徴とする、請求項1に記載のプラグコネクタ。
【請求項3】
前記レセプタクル(46)は、止め面(60)を形成しており、前記接続要素(34)は、前記固定カム(54)が前記ロック面(64)の後ろへ強制的に案内された後、前記止め面(60)に当接することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグコネクタ。
【請求項4】
前記接続要素(34)は、ロックカム(68)を有し、前記ロックカム(68)は、前記接続要素(34)がばね(66)の初張力を受けて保持される初期位置(図6a、図7a)で嵌合面(70)と協働し、前記嵌合面(70)は、前記レバー(30)の旋回運動を防止し、前記第1のプラグ(2)のハウジング(4)によって形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項5】
前記接続要素(34)を旋回可能に支承する前記レバー(30)の長孔(36)が、前記接続要素(34)の寸法に整合されており、それにより、前記接続要素(34)が前記レセプタクル(46)に形成される止め面(60)上に位置する場合、前記ロックカム(68)は、前記ばね(66)の前記力に逆らって前記嵌合面(70)から外され、それにより前記レバー(30)の旋回可能運動が可能になることを特徴とする、請求項4に記載のプラグコネクタ。
【請求項6】
前記レバー(30)上に旋回可能に取り付けられた固定要素(32)を有しており、前記固定要素(32)は、終了位置(図6e、図7e)を固定するために、前記レバー(30)が前記固定要素(32)を介して前記第1のプラグ(2)のハウジング(4)に対して固定されるロック位置(図7f)内へ可動であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項7】
終了位置で、前記レバー(30)の旋回軸(SH)が、前記レセプタクルと前記接続要素(34)の旋回軸(SV)との間に位置していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項8】
了位置で、前記レバーの旋回軸(SH)と前記接続要素(34)の旋回軸(SV)とを接続する接続線(VL)が、接合方向(FR)に対してほぼ横断方向に向けられ、終了位置で、前記接続線(VL)は、実質上前記接合方向(FR)に延びていること
を特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項9】
第1のプラグ(2)と第2のプラグ(22)との間にプラグ接続を形成する方法であって、差込み中に、接続要素(34)の自由端上に設けられた固定カム(54)が、前記第2のプラグ(22)に形成されたレセプタクル(46)のロック面(64)の後ろへ前記レセプタクル(46)の内側に設けられた斜面(62)を介して強制的に案内され、その後、前記接続要素(34)を旋回可能に支承するレバー(30)を旋回させることによって、2つの前記プラグ(2、22)が互いの方へ引き寄せられる方法。
【請求項10】
前記固定カム(54)が前記レセプタクル内に形状嵌め式で係合された後、前記レバー(30)の旋回ロック(68、70)が、強制的に案内されて外され、それにより前記レバー(30)を終了位置内へ旋回させることができ、前記終了位置では、前記レバー(30)の旋回軸(SH)が、前記レセプタクル(46)と前記接続要素(34)の旋回軸(SV)との間に位置することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記終了位置は、前記レバー(30)を前記第1のプラグ(2)のハウジング(4)に形状嵌め式で結合する固定要素(32)によって固定されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のプラグ(2)と第2のプラグ(22)との間にプラグ接続を形成する方法であって、差込み中に、接続要素(34)の自由端上に設けられた固定カム(54)が、前記第2のプラグ(22)に形成されたロック面(64)の後ろへ強制的に案内され、その後、前記接続要素(34)を旋回可能に支承するレバー(30)を旋回させることによって、2つの前記プラグ(2、22)が互いの方へ引き寄せられ、
前記固定カム(54)がレセプタクル(46)内に形状嵌め式で係合された後、前記レバー(30)の旋回ロック(68、70)が、強制的に案内されて外され、それにより前記レバー(30)を終了位置内へ旋回させることができ、前記終了位置では、前記レバー(30)の旋回軸(SH)が、前記レセプタクル(46)と前記接続要素(34)の旋回軸(SV)との間に位置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグ接触を介して互いに接続することができる互いに割り当てられたプラグ要素を有する第1のプラグおよび第2のプラグを備えるプラグコネクタに関する。そのようなプラグは、概して知られている。プラグ接続されたプラグを機械的に固定することができる固定デバイスをプラグコネクタの一部として提供することも知られている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、詳細には、自動車技術向け、特にエレクトロモビリティ向けのプラグコネクタに関する。自動車には、特に車両内のすべての構造的構成要素に振動応力が加えられるという問題が存在する。したがって、プラグコネクタを特定のやり方で固定しなければならない。特に高圧電流によって電力供給される電気車両の場合、電気プラグ接続の領域内で確実かつ永続的な接触を用いるべきである。自動車では、たとえば製造に関連して異なるモジュールを互いに電気的に接続するために、電気プラグ接続は避けられない。
【0003】
さらに、基本的な製造条件では、特に自動車産業において接合するべき部品が、所望のやり方で確実に可能な限り誤りなく互いに接合されることが必要とされる。製造に関連して障害のある接続は、車両の障害および苦情を招く可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根本的な問題は、上述したこれらの要件を満たすプラグコネクタを創出することである。この場合、本発明では特に、組立ての問題を可能な限り解消することができる、差し込まれたプラグを機械的に固定する固定デバイスおよび対応する方法を詳述することを望む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このデバイスの問題を解決するために、本発明によって、請求項1の機構を有するプラグコネクタが詳述される。このプラグコネクタ内で、第1のプラグは、旋回可能に取り付けられたレバーを有し、このレバーは、その旋回軸から偏心して接続要素を旋回可能に支承する。接続要素は、旋回軸の規則的に反対側に位置するその自由端に固定カムを有する。第2のプラグ要素は、固定カムを形状嵌めで収容するように適合されて形成されたレセプタクルを有する。このレセプタクルはロック面を有し、ロック面の後ろに固定カムをロックすることができる。固定カムは、この場所に位置し、差し込まれたプラグを機械的に固定する。しかし、レセプタクルはむしろ、接続要素の自由端と協働する斜面を有し、固定カムを、この斜面を介して差込み中にロック面の後ろへ動くように強制的に案内することができる。この場合、ロック面は、典型的には、差込み中に接合方向に対して実質上直角をなす延長を有する。
【0006】
本発明による解決策の場合、接合を開始する際、固定カムは、固定カムをレセプタクル内へ導入することができ、すなわち外側からロック面を通過させることができ、接合方向にロック面の後ろへ動かすことができる位置にある。2つのプラグの差込み中に固定カムがこうして典型的には線形に動くことに関連して、接続要素の自由端は斜面を押し付け、それによって接続要素の自由端は、固定カムが後ろから接合方向にロック面に係合する位置へ強制的に動かされる。接続要素の自由端もまた、固定カムとして形成することができる。「自由端」という用語は、概して、接続要素の取付けとは反対側に設けられる自由端領域の識別としてここでは理解されることが意図される。
【0007】
この構成によって、2つのプラグが差し込まれるとき、固定カムをロック面の後ろへ強制的に案内するための条件が形成され、それによって2つのプラグの誤りのない接続が保証される。
【0008】
本発明の好ましい発展形態によれば、これは、動作不良に対するさらなる保護方策を示唆し、接続要素は、ばねの初張力を受けて初期位置で保持され、初期位置で、固定カムは、差込み中に接合方向にレセプタクルへの挿入開口に位置合わせされる。ばね要素は、それに対応して、接続要素上の所定の初期位置を強制し、初期位置で、固定カムは挿入開口と位置合わせされ、差込み中にロック面を押し付けるのではなく、挿入開口を通ってロック面の後ろへ動かされる。ばね要素は、初期位置を固定させるものであり、ばね要素は、接続要素の初期位置を固定するように、押下デバイスとして接続要素に作用することが可能である。しかし、ばねは、好ましくは、前述したように固定カムがロック面の後ろに強制的に案内されるまで、レバーの初期位置を固定する働きをし、その旋回運動を防止する。
【0009】
この目的で、接続要素は、好ましくはロックカムを有し、ロックカムは、初期位置で嵌合面と協働し、嵌合面は、レバーの旋回運動を防止する。嵌合面は、典型的には、第1のプラグ要素のハウジングの表面である。それに対応して、前記ばねは、初期位置でレバーの画定された旋回位置を固定し、この位置で、固定カムは、接合方向に挿入開口と位置合わせされる。
【0010】
固定カムがロック面の後ろに案内される前にレバーが旋回可能になることを防止するさらなる強制的案内手段が設けられる。これは、そのとき初めて固定カムがレセプタクル内に形状嵌め式で保持されるため、そのとき初めてレバーの旋回運動により、2つのプラグに互いの方へ張力をかけるからである。したがって、本発明の好ましい発展形態によれば、止め面を有するレセプタクルが形成され、接続要素は、プラグ接続を接合するとき、固定カムがロック面の後ろへ案内された後、止め面を強制的に押し付けることが示唆される。接続要素および止め面の協働は、典型的には、接続要素を介してばね要素上へ伝達される。この場合、接続要素は、好ましくは、たとえばレバーおよび/または接続要素上に形成することができる長孔を通って、レバーに対して、旋回可能であるだけでなく、制限範囲内で変位可能に取り付けられる。
接続要素が止め面に当接したことに応答して、接続要素の取付けが長孔内で変位され、それによりロックカムは、ハウジングによって形成される嵌合面からのばねの力に逆らって初期位置から外される。次いでレバーの旋回運動が可能になる。したがって、こうしてレセプタクル内で接続要素を強制的に案内することで、まず接続要素とレセプタクルとの間の形状嵌め接続が形成され、その後に初めて固定デバイスによって2つのプラグを連動するためのレバーの旋回が可能になることが確実に確保される。
【0011】
固定デバイスは、好ましくは、レバーの旋回軸がレセプタクルと接続要素の旋回軸との間に位置する終了位置で、その作用を発揮する。したがって、2つの差し込まれたプラグの連動は、トグルレバー機構から生じる。さらに、この構成により、旋回運動が一定であると仮定したとき、終了位置にますます近接するにつれて、互いの方への2つの同等物の動きが連続して減少するため、2つのプラグの改善された接合が可能になる。トグルレバー機構は、終了位置において、レバーの旋回方向でレバーの旋回軸の後ろに接続要素の旋回軸とレセプタクルとの間に接続線が存在することから、可能な限り最善の効力を生じる。
【0012】
本発明の好ましい発展形態によれば、終了位置を固定するために、ロック位置内へ可動である可動の固定要素が設けられることが示唆され、このロック位置で、レバーは、固定要素を介して第1のプラグ要素のハウジングに対してその上で固定される。固定要素は、並進方向および/または回転方向に可動とすることができる。固定要素は、好ましくは、レバー上に設けられ、レバーに変位可能に取り付けられる。固定要素は、好ましくは2つの差し込まれた電気構成要素を交換する場合に損傷を引き起こすことなくプラグ接続を解放することが可能になるように解放可能なラッチカムなどを介して、ロック位置で固定される。
【0013】
第1のプラグと第2のプラグとの間にプラグ接続を形成する本発明の方法では、接続要素の自由端に設けられる前述した固定カムは、第2のプラグ上に形成されたロック面の後ろへ強制的に案内される。ここで強制的な案内とは、接合に関連して第1のプラグおよび第2のプラグの互いに割り当てられた表面の協働を通じて、固定カムがロック面の後ろへ強制的に動かされることを意味する。本発明のプロセスでは、これは、固定カムが挿入開口に位置合わせされる接続要素の初期位置から、固定カムがロック面の後ろに位置する変位位置まで、相対運動が強制的に案内されることを伴う。こうして固定カムをロック面の後ろへ強制的に案内して配置した後、接続要素を旋回可能に支承するレバーを旋回させることによって、2つのプラグが互いの方へ引き寄せられる。レバーを旋回させることで、それに対応して、終了位置に到達するまで規則的に、2つのプラグが能動的に互いに接近する。
【0014】
前述したロックカムは、好ましいプロセスを実施するための構造上の例示的な実施形態であり、固定カムがレセプタクル内に形状嵌め式で係合された後、ロックカムによって固定される特有の例示的な実施形態による旋回ロックが、強制的に案内されて外される。強制的に案内された取外しは、特有の例示的な実施形態では、接続要素が止め面に当接することによって、ロックカムをハウジング側の嵌合面に対して持ち上げたことに対する逆反応として実施され、それによりレバーは、終了位置内へ旋回可能になる。
【0015】
プラグ接続を形成する方法における摩擦力の低減および運動学の改善は、接続要素の旋回軸がレバーの旋回軸に対してロック面とは反対側へ案内されることによって実現される。この場合、ロック面、レバーの旋回軸、および接続要素の旋回軸は、実質上、典型的には接合方向またはプラグイン方向に対して略平行に延びる一直線上に位置する。
【0016】
その後、好ましいプロセスによれば、レバーを第1のプラグのハウジングに形状嵌め式で結合する固定要素によって、終了位置が固定される。
【0017】
本発明のさらなる詳細および利点は、図面と組み合わせて例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】例示的な実施形態の第1のプラグの斜視分解図である。
図2】第1のプラグが組み立てられた状態にある、例示的な実施形態の第2のプラグの斜視分解図である。
図3】例示的な実施形態の第2のプラグの主要部分の斜視平面図である。
図4】例示的な実施形態のわずかに中心を外れた斜視縦断面図である。
図5】第2のプラグのレセプタクルの斜視縦断面図である。
図6a】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図6b】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図6c】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図6d】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図6e】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図6f】2つのプラグの接合の異なる段階を示す斜視縦断面図である。
図7a図6による段階a~eに対応する異なる段階における例示的な実施形態の斜視側面図である。
図7b図6による段階a~eに対応する異なる段階における例示的な実施形態の斜視側面図である。
図7c図6による段階a~eに対応する異なる段階における例示的な実施形態の斜視側面図である。
図7d図6による段階a~eに対応する異なる段階における例示的な実施形態の斜視側面図である。
図7e図6による段階a~eに対応する異なる段階における例示的な実施形態の斜視側面図である。
図8】例示的な実施形態のわずかに中心を外れた斜視縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、プラグコネクタのプラグとして形成された第1のプラグを示し、第1のプラグは、射出成形されたプラスチック製のプラグハウジングを有し、このプラグハウジング内に雌プラグ要素6が収容されており、雌プラグ要素6は、圧着によってそれらの接続端で電気ケーブル8に接続することができる。
【0020】
さらに、電気ケーブル8の貫通接続を封止するための単心シール14と、ケーブル8の外装に当接してそれをプラグハウジング4内で張力を逃して保持するようにカバーキャップ18の円錐形のレセプタクルと相互作用する各電気ケーブル8に対するストレインリリーフ16とが示されている。
【0021】
プラグハウジング4は、雌プラグ要素6につながる接続片20a、20bを形成し、接続片20a、20bには、第1のプラグ2を図2~4に示す第2のプラグ22内へ明快に差し込むことを可能にするために、表面上に異なる溝が形成される。この目的で、第2のプラグ22のプラグハウジング24は、接続片20の溝の中に係合するガイドウエブを有する(図3参照)。接続片20は、シール26を越えて突出しており、シール26は、プラグハウジング4の円周方向のU字溝内に収容され、シールホルダ28を介してプラグハウジング4に対して固定される。
【0022】
レバーが参照番号30で示されており、前記レバーは、プラグハウジング4上に旋回可能に取り付けられる。レバー30は、本質的に、中心長手方向軸に対して対称の構造を有しており、参照番号32で示す固定要素および参照番号34で示す接続要素の取付け側の端部に対する収容空間を開いている。
【0023】
レバー30は、接続要素34を旋回可能に支承するための長孔36を有する。この目的で、長孔36は、少なくとも1つの方向に、また任意選択で完全に、接続要素34上に一体成形された支承ピン38の外径より大きい直径を有する。したがって、接続要素34は、レバー30に対してやはり制限範囲内で並進方向に動かすことができる。構造的構成要素30、32、34は、差し込まれたプラグ2、22を機械的に固定する固定デバイスの主要要素を形成する。この機能グループを組み立てるために、レバー30の2つの半体を押し広げて、接続要素34の取付け側の端部を2つの半体間に動かして収容空間に入れ、支承ピン38を長孔36内へ挿入する。同様に、固定要素32が、レバー30の2つの半体間に案内される。
固定要素32は、その主側面から突出する係止ウエブ40を有し、係止ウエブ40は、レバー30の半体上に形成された係止溝42と協働して、レバー30に対する固定要素32のある程度案内された変位運動を可能にし、係止接続によって、固定要素32がレバー30に対して固定されるロック位置を固定する。固定要素32はまた、支承ピン38および係止ウエブ40によってレバー30の2つの半体を互いに対して固定する。
【0024】
第2のプラグは、接続片20を収容するように適合されて形成された接続片レセプタクル44を有し、接続片レセプタクル44間にレセプタクル46が設けられる。接続片レセプタクル44およびレセプタクル46は、雄プラグ要素48を収容する第2のプラグ22のプラグハウジング24を通って形成される。レセプタクル46は、プラグハウジング24の前面を越えて突出し、シールリング50の上流に、接続要素34の自由端上に成形された固定カム54のための挿入開口52を形成する。固定カム54は、接続要素34の細長い接続ウエブ56を越えて突出する。
【0025】
以下の説明で詳述するように、レセプタクル46を形成する収容本体58が、固定カム54を収容するように適合されて形成される。
【0026】
図4は、第1のプラグ2および第2のプラグ22それぞれをわずかに中心を外れた縦断面図に示す。接合の開始位置が示されており、接続片20a、20bが接続片レセプタクル44a、44bと位置合わせされ、接続要素34が収容本体58上に向けられている。
【0027】
図5は、収容本体58の詳細を縦断面図に示す。確かに図5は、収容本体58が別個の構造的構成要素として設けられているという印象を与える。しかし、収容本体58は、実際には通常、射出成形によって、プラグハウジング24上に固定して、好ましくは一体に成形される。収容本体58は、2つのプラグ2、22の差込み中に接続要素34の自由端およびその固定カム54と協働する異なる表面を有する。収容本体58は、挿入開口52の反対側に止め面60を形成し、止め面60は、接合方向に挿入開口52の反対側に形成された斜面62に接続される。挿入開口52は、止め面60の反対側に形成されたロック面64によって内側で区切られる。ロック面64は、中心長手方向軸に対して外方にずれて設けられるのに対して、斜面62および止め面60は、中心長手方向軸と交差する。レセプタクル46は、中心長手方向軸にて切れ目が入っており、したがって接続ウエブ56の自由端を収容するように適合されて形成される。
【0028】
例示的な実施形態のわずかに中心を外れた縦断面図を示す図6a~図6fに示すように、いずれの場合も、レバー30上に一体成形されたばね66が、内側でレバー30のそれぞれの半体の相互に対向する側面を越えて突出し、ばね66は、初張力を受けて接続要素に当接する。支承ピン38は、このばね66によって長孔36の下部領域に押し付けられる。ロックカム68が、両側で軸方向に支承ピン38を越えて突出しており、ロックカム68は、図7a~図7cから認識することができ、図6aおよび図7aに示す初期位置でプラグハウジング4の嵌合面70と協働する。ここで、ロックカム68は、ばね66の力によって嵌合面70に押し付けられる。この結果、レバー30の旋回が防止される。
【0029】
さらなる説明のために、図6aに示す特有の運動軸および運動方向を導入する。レバー30の凹部74内に係合するプラグハウジング4のハウジングピン72によって形成されるレバーの旋回軸をSHによって示す。プラグハウジング4は、2つの相互に対向するハウジングピン72を有し、各ハウジングピン72自体は、レバー30の対応する半体の凹部74内にそれぞれ係合される。組み立てるために、これらの半体は、ハウジングピン72が凹部74内へ係止するまで、互いの方へ弾性的に動かされる。接続要素34の旋回軸をSVで示す。旋回軸SHおよびSVは、互いに対して平行であり、図6a~図6fによる突出平面に対して実質上直角をなす。旋回軸SHおよびSVは、仮想接続線VLによって互いに接続される。これは、図6aによる初期位置で、接合方向FRに対して本質的に直角をなして延び、接合方向FRは、たとえば、接続片20の長手方向の延長によって予め定められており、接続片20は、2つのプラグ2、22の差込み中に接続片レセプタクル44内へ案内される。
【0030】
2つのプラグ2、22が互いに接近するとき、接続要素34の自由端は、図6a~図6fに関する下降位置に配置される。この位置は、その初期位置でレバー30によって予め定められており、初期位置は、レバー30の両側でのロックカム68と嵌合面70との協働によって予め定められている。加えて、接続要素34は、プラグハウジング内のチャネルの上縁部によって図6aに示すように、プラグハウジング4のハウジング表面によって下降位置内へ押下することができる。
【0031】
それにもかかわらず、図6aに示す初期位置で、固定カム54は、接合方向FRに挿入開口52と位置合わせされる。したがって、差込み中、固定カム54はまず、挿入開口52を通ってレセプタクル46に入る。したがって、固定カム54は、ロック面64を通る。図5では、固定カム54は、左から右にレセプタクル46内へ挿入される。接合の枠組みの範囲内で、接続要素34の自由前端が斜面62を押し、その結果、接続要素34は強制的に案内されて持ち上げられる。その結果、固定カム54は、接合方向FRにロック面64の後ろへ案内される。レセプタクル46のこの摺動ガイドによって、その後、まず固定カム54がレセプタクル46内へ導入され、次にロック面64の後ろへ動かされることが、確実に確保される。斜面62に沿って案内することによる旋回運動は、斜面62が止め面60内へ移行すると終了する。
ここでは、さらなる接合運動が接続要素34の逆反応を招き、それにより支承ピンは、ばね66の力に逆らって長孔36内へ変位する。その結果、ロックカム68が嵌合面70から係合解除される。ロックカムのこの相対運動は、図7aと図7bの間の差異に起因する。図7bでは、レバー30は、図6および図7に対して時計回り方向に旋回可能である。レバー30を旋回させることによって、次いで2つのハウジング4、24が互いの方へ引き寄せられる。初期位置で接続線VLは、接合方向FRに対して本質的に直角をなして延びるため、レバー30の旋回運動に関連して、トグルレバー機構が上昇し、それにより、2つのプラグハウジング4、24が互いにますます近接すると、摩擦力が低くなるが、図6eおよび図7eに示す終了位置に到達する直前にハウジング4、24の実効最小の接近を形成する梃子比が得られる。
終了位置は、本質的に、レバー30の旋回軸SHの周りの接続要素34の旋回軸SVの死点に対応する。終了位置で、接続線VLは、接合方向FRに対して略平行に位置し、レバーの旋回軸SHは、接続要素の旋回軸SVとレセプタクル46との間に位置する。したがって、これらの梃子比だけによって、レバー30の強制的なロックが行われる。終了位置は、レバーがプラグハウジング4に当たって止まることによって予め定めることができる。これにより、たとえば、図6eで下に示すように、固定要素32とは反対側のレバー30の第2の端部が、プラグハウジング4の嵌合面に当たって止まることが可能になる。
【0032】
終了位置で、2つのプラグハウジング4、24は、シール50の中間層の下で収容本体58の領域内に封止されて互いに当接し、それによりここでも、汚れまたは湿気が差し込まれたプラグ要素に到達する可能性がなくなる。
【0033】
変位運動は、図6aおよび図6fを比較することによって明らかになる。固定要素32は、レセプタクルの方向に、すなわち第2のプラグハウジング24の方向に変位する。この場合、固定要素32のU字状の外側レセプタクルはそれぞれ、ハウジング側の固定突起76を介して変位する(図8参照)。終了位置は、固定突起76と固定要素32との間のこの形状嵌め接続によってさらに固定される。
【符号の説明】
【0034】
2 プラグ
4 プラグハウジング
6 雌プラグ要素
8 電気ケーブル
14 単心シール
16 ストレインリリーフ
18 カバーキャップ
20 接続片
22 第2のプラグ
24 プラグハウジング(第2のプラグ)
26 シール
28 シールホルダ
30 レバー
32 固定要素
34 接続要素
36 長孔
38 支承ピン
40 係止ウエブ
42 係止溝
44 接続片レセプタクル
46 レセプタクル
48 雄プラグ要素
50 シールリング
52 挿入開口
54 固定カム
56 接続ウエブ
58 収容本体
60 止め面
62 斜面
64 ロック面
66 ばね
68 ロックカム
70 嵌合面
72 ハウジングピン
74 凹部
76 固定突起
SH 旋回軸、レバー
SV 旋回軸、接続要素
VL 接続線
FR 接合方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8