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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/64 20060101AFI20220405BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B60N2/64
B60N2/42
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018077111
(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公開番号】P2019182274
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516197218
【氏名又は名称】レゲット・アンド・プラット・カナダ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 龍平
(72)【発明者】
【氏名】御園生 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】水越 敏充
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 将樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 啓
(72)【発明者】
【氏名】福田 優樹
(72)【発明者】
【氏名】長友 広光
(72)【発明者】
【氏名】ロブ コルジャ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206551923(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0091349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0341982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/64
B60N 2/42
A47C 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の背を支えるシートバックを備える乗物用シートであって、
前記シートバック内には、乗員の背からの荷重を受けた状態で後方へ移動可能な受圧部材が備えられており、
該受圧部材は、乗員の背からの荷重を前面にて受ける荷重受け部を有し、
該荷重受け部は、
前記シートバックの上下方向における長さが前記乗物用シートの幅方向における長さよりも短くなるように形成された荷重受け部片と、
該荷重受け部片から前記荷重受け部の厚み方向に沿って突出しており、前記幅方向に沿って延出した補強部と、を備え
前記荷重受け部片の前面には、後方に凹むことで形成された溝状凹部が設けられ、
前記補強部は、前記荷重受け部片の後面中、前記溝状凹部が設けられている部分に設けられていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記補強部は、前記荷重受け部片の後面中、前記溝状凹部が設けられている部分のうち、後方に最も隆起している部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記補強部は、前記上下方向における前記荷重受け部片の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記荷重受け部片には、前記補強部とは異なる位置に配置されており前記補強部とは交差する交差補強部が設けられ、
該交差補強部は、前記荷重受け部の厚み方向に突出し、前記上下方向に沿って延出していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記補強部の突出量は、前記交差補強部の突出量よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記シートバックは、シートバックフレームを備え、
前記受圧部材は、前記荷重受け部を前記シートバックフレームに取り付けるための取り付け部を有し、
該取り付け部は、前記シートバックフレームの下部に接続される下部取り付け部を備え、
前記補強部は、前記幅方向において、前記下部取り付け部が設けられた位置に差し掛かるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記シートバックは、シートバックフレームを備え、
前記受圧部材は、前記荷重受け部を前記シートバックフレームに取り付けるための取り付け部を有し、
該取り付け部は、前記シートバックフレームの上部に接続される上部取り付け部を備え、
前記補強部は、前記幅方向において、前記上部取り付け部が設けられた位置から外れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記補強部の突出量は、前記溝状凹部の深さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記荷重受け部片は、前記上下方向において間隔をあけて複数設けられており、
複数の前記荷重受け部片は、第一の荷重受け部片と、前記幅方向において前記第一の荷重受け部片よりも短い第二の荷重受け部片と、を有し、
前記幅方向における前記補強部の両端の各々は、前記幅方向において前記第二の荷重受け部片よりも外側に位置していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、乗員の背からの荷重を受けた状態で後方へ移動可能な受圧部材をシートバック内に備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートの中には、乗員の背からの荷重を受けた状態で後方へ移動可能な受圧部材をシートバック内に備えているシートが存在する。受圧部材は、乗物(例えば車両)が後面衝突した際に乗員の背から後方荷重を受けて後方に移動(変位)する。このような受圧部材の移動により、衝突時に乗員に掛かる荷重(衝撃荷重)を軽減させることが可能となる。
【0003】
一方、上記の受圧部材については、乗員の背から入力させる荷重を効果的に受けられるように形状等が改良されている。具体的に説明すると、例えば、特許文献1に記載の車両用シートのシートバック内に設けられた受圧部材(特許文献1では「背凭れパネル」)は、その上下方向において、横幅が長い部分(幅広部)と横幅が短い部分(幅狭部)とが交互が並んだ形状となっている。このような構成であれば、幅狭部における横幅が幅広部の横幅よりも短くなっている分、受圧部材を軽量化させることが可能となる。また、幅広部及び幅狭部が交互に並んでいる構造の受圧部材では、その側端部が撓み易くなり、結果として乗員の背を支える際に乗員の背にフィット(追従)し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-173353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された受圧部材の構成では、横幅がより長くなっている部分(すなわち、幅広部)の側端部が撓み易くなる反面、当該側端部の剛性を低下させてしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、受圧部材の撓み易さ及び剛性を確保することが可能な乗物用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、乗員の背を支えるシートバックを備える乗物用シートであって、前記シートバック内には、乗員の背からの荷重を受けた状態で後方へ移動可能な受圧部材が備えられており、該受圧部材は、乗員の背からの荷重を前面にて受ける荷重受け部を有し、該荷重受け部は、前記シートバックの上下方向における長さが前記乗物用シートの幅方向における長さよりも短くなるように形成された荷重受け部片と、該荷重受け部片から前記荷重受け部の厚み方向に沿って突出しており、前記幅方向に沿って延出した補強部と、を備え、前記荷重受け部片の前面には、後方に凹むことで形成された溝状凹部が設けられ、前記補強部は、前記荷重受け部片の後面中、前記溝状凹部が設けられている部分に設けられていることにより解決される。
【0008】
上記のように構成された乗物用シートでは、受圧部材の荷重受け部に横長な荷重受け部片が設けられている。また、荷重受け部片には、荷重受け部片から突出してシート幅方向に沿って延出した補強部が設けられている。これにより、荷重受け部片での撓み易さを確保しつつ、荷重受け部片の剛性を補強部によって向上させることが可能となる。
【0009】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記補強部は、前記荷重受け部片の後面中、前記溝状凹部が設けられている部分のうち、後方に最も隆起している部分に設けられているとよい。
上記の構成では、荷重受け部片の後面中、溝状凹部が設けられている部分のうち、後方に最も隆起している部分に補強部が設けられている。このような構成であれば、荷重受け部片のうち、溝状凹部が設けられている部分が撓む際に、その撓み変形が補強部によって阻害されてしまうのを抑えることが可能となる。
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記補強部は、前記荷重受け部片の後面に設けられているとよい。
上記の構成では、補強部が荷重受け部片の後面(すなわち、乗員の背からの荷重を受ける側とは反対の面)に設けられているので、補強部による補強効果を発揮させつつ、補強部がシートの乗り心地に影響を与えるのを抑えることが可能となる。
【0010】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記補強部は、前記上下方向における前記荷重受け部片の中央部に設けられているとよい。
上記の構成では、補強部がシート上下方向における荷重受け部片の中央部に設けられているので、荷重受け部片の剛性をシート上下方向においてバランスよく向上させることが可能となる。
【0012】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記荷重受け部片には、前記補強部とは異なる位置に配置されており前記補強部とは交差する交差補強部が設けられ、該交差補強部は、前記荷重受け部の厚み方向に突出し、前記上下方向に沿って延出しているとよい。
上記の構成では、補強部と共に交差補強部が更に荷重受け部片に設けられている。これにより、荷重受け部片の剛性をより一層向上させることが可能となる。
【0013】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記補強部の突出量は、前記交差補強部の突出量よりも大きいとよい。
上記の構成では、補強部の突出量が交差補強部の突出量よりも大きくなっているため、補強部による補強効果(すなわち、シート幅方向における剛性の強化)がより有効に発揮されるようになる。
【0014】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記シートバックは、シートバックフレームを備え、前記受圧部材は、前記荷重受け部を前記シートバックフレームに取り付けるための取り付け部を有し、該取り付け部は、前記シートバックフレームの下部に接続される下部取り付け部を備え、前記補強部は、前記幅方向において、前記下部取り付け部が設けられた位置に差し掛かるように配置されているとよい。
上記の構成では、荷重受け部をシートバックフレームに取り付けるための取り付け部中、下部取り付け部が設けられた位置に補強部が差し掛かるように、補強部が配置されている。このような構成であれば、下部取り付け部による荷重受け部の支持性能が向上し、結果として、荷重受け部がシートバックフレームに適切に取り付けられるようになる。
【0015】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記シートバックは、シートバックフレームを備え、前記受圧部材は、前記荷重受け部を前記シートバックフレームに取り付けるための取り付け部を有し、該取り付け部は、前記シートバックフレームの上部に接続される上部取り付け部を備え、前記補強部は、前記幅方向において、前記上部取り付け部が設けられた位置から外れた位置に配置されているとよい。
上記の構成では、荷重受け部をシートバックフレームに取り付けるための取り付け部中、上部取り付け部から外れた位置に補強部が設けられている。これにより、乗物が後面衝突したときに受圧部材が後方へ移動するように上部取り付け部が変形する(撓む)のを妨げずに、荷重受け部片の剛性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記補強部の突出量は、前記溝状凹部の深さよりも大きいとよい。
上記の構成では、補強部の突出量が溝状凹部の深さよりも大きくなっているため、その分、補強部による補強効果をより有効に発揮させることが可能となる。
【0017】
また、上記の乗物用シートに関して好適な構成を述べると、前記荷重受け部片は、前記上下方向において間隔をあけて複数設けられており、複数の前記荷重受け部片は、第一の荷重受け部片と、前記幅方向において前記第一の荷重受け部片よりも短い第二の荷重受け部片と、を有し、前記幅方向における前記補強部の両端の各々は、前記幅方向において前記第二の荷重受け部片よりも外側に位置しているとよい。
上記の構成では、シート幅方向における補強部の両端が、第二の荷重受け部片よりもシート幅方向外側に位置している。すなわち、シート幅方向における補強部の長さが第二の荷重受け部片の長さよりも長くなっている。これにより、補強部による補強効果が一段と有効に発揮されるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の乗物用シートによれば、荷重受け部片での撓み易さを確保しつつ、荷重受け部片の剛性を補強部によって向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、補強部が荷重受け部片の後面に設けられていることにより、補強部による補強効果を発揮させつつ、補強部がシートの乗り心地に影響を与えるのを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、荷重受け部片の剛性をシート上下方向においてバランスよく向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、荷重受け部片のうち、溝状凹部が設けられている部分が撓む際に、その撓み変形が補強部によって阻害されるのを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、補強部と共に交差補強部が更に荷重受け部片に設けられていることで、荷重受け部片の剛性をより一層向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、補強部の突出量が交差補強部の突出量よりも大きくなっている分、補強部による補強効果がより有効に発揮されるようになる。
また、本発明の乗物用シートによれば、荷重受け部をシートバックフレームに取り付けるための取り付け部が有する下部取り付け部について、荷重受け部の支持性能が向上する結果、荷重受け部がシートバックフレームに適切に取り付けられるようになる。
また、本発明の乗物用シートによれば、乗物が後面衝突して受圧部材が後方へ移動する際に、荷重受け部をシートバックフレームに取り付けるための取り付け部が有する上部取り付け部が変形するのを妨げずに、荷重受け部片の剛性を向上させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、補強部の突出量が溝状凹部の深さよりも大きくなっている分、補強部による補強効果をより有効に発揮させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、シート幅方向における補強部の長さが第二の荷重受け部片の長さよりも長くなっている分、補強部による補強効果が一段と有効に発揮されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る乗物用シートのシートフレームを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る受圧部材を斜め前方から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る受圧部材を斜め後方から見た図である。
図5】本発明の一実施形態に係る受圧部材を正面から見た図である。
図6図5に図示した受圧部材中、荷重受け部が備える第一荷重受け部片及び第二荷重受け部片を拡大して示した図である。
図7図5中のA-A断面を示す図である。
図8図5中のB-B面にて切断したときの受圧部材を示す図である。
図9図4に図示の受圧部材中、荷重受け部が備える第一荷重受け部片及び第二荷重受け部片を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<<本発明の乗物用シートの構成例について>>
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る乗物用シートの構成について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれ得る。
【0021】
以下では、乗物用シートの一例として、自動車等の車両に搭載される車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。ただし、本発明は、車両用シート以外の乗物用シート、例えば、船舶や航空機に搭載されるシートにも適用され得るものである。
【0022】
また、以下の説明において、「前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの幅方向であり、車両用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「シート上下方向」とは、後述するシートバックS1の上端から下端に向かう方向であり、車両の高さ方向(車両が水平面上を走行しているときには鉛直方向と一致する方向)に対して若干傾いた方向である。
【0023】
また、以下の説明中、「横幅」は、シート幅方向における長さを意味しており、「縦幅」は、シート上下方向における長さを意味している。
【0024】
なお、以下に説明するシート各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが通常の使用状態(車両用シートが着座可能な位置にあり、シート各部が初期位置に配置された状態)にあるケースを想定して説明することとする。
【0025】
先ず、本実施形態に係る車両用シート(以下、車両用シートS)の基本構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、車両用シートSの斜視図である。図2は、車両用シートSの骨格をなすシートフレームを示す図である。なお、図2では、シートフレームを簡略化して図示しており、受圧部材10中の一部の構成(例えば、後述する溝状凹部13や補強リブ等)については、図示を省略している。
【0026】
車両用シートSは、後述する受圧部材10を備える点を除き、一般的な車両用シートと略同様の構成となっている。具体的に説明すると、車両用シートSは、図1に示すように、乗員の背を支えるシートバックS1と、乗員の臀部を支えるシートクッションS2と、乗員の頭部を支えるヘッドレストS3と、を備える。
【0027】
また、シートバックS1は、その内部にシートバックフレーム1と受圧部材10と、を有する。シートバックフレーム1は、シートバックS1の骨格をなす。シートバックフレーム1は、正面視で略矩形状の枠をなしており、図2に示すようにサイドフレーム2と、上部フレーム3と、ロアメンバーフレーム4とを有する。サイドフレーム2は、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。上部フレーム3は、左右一対のサイドフレーム2の上端部同士を連結している。ロアメンバーフレーム4は、左右一対のサイドフレーム2の下端部の間に架設されている。
【0028】
上記のように構成されたシートバックフレーム1の前に不図示のクッションパッドを配置し、当該クッションパッドの表面を表皮によって覆うことでシートバックS1が構成される。また、シートバックS1内には、図2に示すように受圧部材10が備えられている。この受圧部材10は、乗員の背から入力される荷重を前面にて受ける部材である。また、車両用シートSが搭載された車両が後面衝突したとき、乗員の背から荷重(衝撃荷重)が受圧部材10に入力されると、受圧部材10は、乗員の背によって押されて乗員と共に後方に移動(変位)する。このような受圧部材10の変位により、衝突時に乗員の頸部に掛かる荷重(衝撃荷重)が軽減される。
【0029】
以下、受圧部材10の構成について、既出の図2、及び図3図9を参照しながら詳しく説明する。図3~5は、受圧部材10の外観を示す図であり、図3は、受圧部材10を斜め前方から見た図であり、図4は、受圧部材10を斜め後方から見た図であり、図5は、受圧部材10を正面(前方)から見た図である。図6は、図5に図示した受圧部材10中の一部分(具体的には、後述する上方受け部11Uが備える第一の荷重受け部片12a及び第二の荷重受け部片12b)を拡大して示した図である。図7は、図5中のA-A断面を示す図である。図8は、図5中のB-B面にて切断したときの受圧部材10を示す図である。図9は、図4に図示の受圧部材10中の一部分(具体的には、後述する上方受け部11Uが備える第一の荷重受け部片12a及び第二の荷重受け部片12b)を拡大して示した図である。
【0030】
受圧部材10は、前述したように、乗員の背からの荷重を受けた状態で後方へ移動可能に構成されている。また、受圧部材10は、図2に示すように、シートバックS1を構成するクッションパッドの後方に配置されている。より具体的に説明すると、受圧部材10は、左右一対のサイドフレーム2、上部フレーム3及びロアメンバーフレーム4によって囲まれた矩形状スペース内に配置されている。
【0031】
受圧部材10は、シート幅方向の中央を境にして左右対称に構成されており、図3図5に示すように、荷重受け部11及び取り付けワイヤ20を有する。荷重受け部11は、乗員の背からの荷重を受ける部分であり、樹脂製のプレート(板状部材)を図3図4等に図示の形状に成形することで構成されている。
【0032】
取り付けワイヤ20は、荷重受け部11をシートバックフレーム1に取り付けるための取り付け部として機能し、金属製のワイヤを所定形状に折り曲げることで構成され、荷重受け部11に組み付けられている。なお、本実施形態において、取り付けワイヤ20は、インサート成形によって荷重受け部11と一体的に成形される。すなわち、取り付けワイヤ20の一部(主として、後述する上下方向延出部23の一部)は、荷重受け部11を構成する樹脂プレート内に埋め込まれている。
以下、荷重受け部11及び取り付けワイヤ20の各々の構成について説明する。
【0033】
<荷重受け部の構成>
荷重受け部11は、前述したように、樹脂製のプレートによって構成されている。本実施形態の荷重受け部11は、図3図5に示すように、上側部分(以下、上方受け部11U)と下側部分(以下、下方受け部11L)とに分かれている。下方受け部11Lは、図5に示すように正面視で矩形形状をなした部分であり、車両後突時には乗員の背のうち、主に腰部に相当する部位を支える。
【0034】
上方受け部11Uは、図5に示すように人体の肋骨形状を模した形状をなした部分であり、車両後突時には乗員の背のうち、主に胸椎部に相当する部位を支える。上方受け部11Uの下端部は、連絡部19を介して下方受け部11Lの上端部と連結している。なお、連絡部19は、その横幅が上方受け部11Uや下方受け部11Lの横幅に比して十分短くなった形状をなしており、シート幅方向において互いに離れた位置に複数(本実施形態では2個)設けられている。
【0035】
上方受け部11Uの構成について説明すると、上方受け部11Uは、シート幅方向に長い細長部分である荷重受け部片12を有する。この荷重受け部片12は、縦幅が横幅に対して十分に短くなるように形成されており、本実施形態では図5に示すように長円状に形成されている。上方受け部11Uには、荷重受け部片12がシート上下方向において間隔を開けて複数(本実施形態では5個)設けられている。なお、荷重受け部片12の形状及び個数については、上記の内容に限定されるものではなく、荷重受け部11がその機能を良好に発揮し得る限りにおいては、自由に設計することが可能である。
【0036】
複数設けられた荷重受け部片12のうち、最も上方に位置する荷重受け部片12と、それ以外の荷重受け部片12との間では形状が異なっている。より詳しく説明すると、最も上方に位置する荷重受け部片12以外の荷重受け部片12は、第一の荷重受け部片12aに該当する。各第一の荷重受け部片12aの横幅は、第一の荷重受け部片12aの間で均一となっている。一方、最も上方に位置する荷重受け部片12は、第二の荷重受け部片12bに該当する。第二の荷重受け部片12bの横幅は、図5図6に示すように、第一の荷重受け部片12aの横幅よりも短くなっている。
【0037】
上方受け部11Uのうち、第二の荷重受け部片12bよりも上方に位置する部分(以下、上方受け部11Uの上端部)は、図5に示すように、正面視で略台形状をなしており、その横幅は、第二の荷重受け部片12bの横幅よりも幾分短くなっている。
【0038】
また、複数の荷重受け部片12の各々は、乗員の背を良好に支えるようにシート幅方向に対して若干曲がっている。具体的に説明すると、シート幅方向における荷重受け部片12の両端部の各々(以下、シート幅方向端部12t)は、図7に示すように、シート幅方向端部12t中、シート幅方向外側に位置する部分がシート幅方向内側に位置する部分よりも前方に位置するように屈曲している。つまり、各荷重受け部片12のシート幅方向端部12tには、屈曲箇所12xが存在する。
【0039】
また、図5及び図6に示すように、複数の荷重受け部片12の各々には、シート幅方向に沿って長く形成された溝状凹部13が設けられている。溝状凹部13は、荷重受け部片12の前面のうち、シート上下方向における中央部分を後方に凹ませることで形成されている。換言すると、荷重受け部片12の後面のうち、シート上下方向における中央部分は、溝状凹部13の形成に伴って隆起して隆起部12rを形成している。なお、隆起部12rは、図8に示すように側方視で略円弧状に隆起している。
【0040】
溝状凹部13は、荷重受け部片12のシート幅方向一端部から他端部に亘って連続して形成されている。溝状凹部13の開口は、荷重受け部片12の前面に設けられており、図6に示すように長円形状をなしている。また、本実施形態において、溝状凹部13の開口の横幅は、当該溝状凹部13が形成されている荷重受け部片12の横幅よりも一回り小さくなっており、溝状凹部13の開口の縦幅は、当該溝状凹部13が形成されている荷重受け部片12の縦幅の約半分となっている。
【0041】
また、第一の荷重受け部片12aに形成された溝状凹部13のサイズ(横幅及び縦幅)は、第一の荷重受け部片12a間で均一となっている。一方、第二の荷重受け部片12bに形成された溝状凹部13の横幅は、第一の荷重受け部片12aに形成された溝状凹部13の横幅よりも幾分短くなっている。
【0042】
さらに、荷重受け部11において第二の荷重受け部片12bの直上位置に在る部分、すなわち、荷重受け部11の上端部にも溝状凹部13が設けられている。荷重受け部11の上端部に設けられた溝状凹部13は、当該上端部のシート幅方向一端から他端まで延びている。
【0043】
また、荷重受け部11は、荷重受け部11の剛性を高めるために形成された3種類の補強リブを備えている。具体的に説明すると、荷重受け部11の前面には、図5及び図6に示すように、荷重受け部片12から荷重受け部11の厚み方向に沿って前方に突出した補強リブ(以下、前側補強リブ16)が設けられている。また、荷重受け部11の後面には、図9に示すように、荷重受け部片12から荷重受け部11の厚み方向に沿って後方に突出した補強リブ(以下、後側補強リブ17)が設けられている。さらに、荷重受け部11の後面には、後側補強リブ17に交差する補強リブ(以下、交差補強リブ18)が設けられている。
【0044】
以上のように本実施形態では、各荷重受け部片12に前側補強リブ16、後側補強リブ17及び交差補強リブ18が設けられている。これにより、荷重受け部片12を設けて荷重受け部11の撓み易さ(厳密には、荷重受け部片12での撓み易さ)を確保すると共に、荷重受け部片12の剛性を確保することも可能となる。
なお、各補強リブについては、後に詳述することとする。
【0045】
また、荷重受け部11は、シート上下方向において荷重受け部片12の間に配置された連結部14を有する。連結部14は、シート上下方向において荷重受け部片12の間を連結する部分である。連結部14のうち、第一の荷重受け部片12a同士の間を連結する連結部14は、比較的横幅が短い矩形形状をなしており、本実施形態では、図5に示すようにシート幅方向において互いに離れた位置に一対ずつ設けられている。これに対し、第一の荷重受け部片12aと第二の荷重受け部片12bとの間を連結する連結部14は、比較的横幅が長い帯形状をなしており、第一の荷重受け部片12a及び第二の荷重受け部片12bの各々のシート幅方向中央部分を連結するように設けられている。
【0046】
なお、第一の荷重受け部片12a同士を連結する連結部14は、第一の荷重受け部片12a間の隙間の数に応じて複数設けられている。そして、複数の連結部14(第一の荷重受け部片12a同士を連結する連結部14)の各々は、シート幅方向において同じ位置に配置されており、図5に示すように一直線上に並んでいる。
【0047】
また、荷重受け部11には、荷重受け部11の軽量化を図るために形成された貫通穴15が設けられている。この貫通穴15は、荷重受け部11の厚み方向において荷重受け部11を貫通した正面視で略矩形状の穴である。本実施形態において、貫通穴15は、シート上下方向において荷重受け部片12から外れた位置に設けられており、具体的には、図5及び図6に示すように連結部14に設けられている。より詳しく説明すると、第一の荷重受け部片12a同士の間を連結している左右一対の連結部14の各々に貫通穴15が形成されている。また、第一の荷重受け部片12a及び第二の荷重受け部片12bの間を連結している連結部14には、シート幅方向において互いに異なる位置に複数(本実施形態では2つ)設けられている。
【0048】
なお、本実施形態では、図5に示すように、シート幅方向における貫通穴15の形成位置が荷重受け部片12間で揃っている。より詳しく説明すると、第一の荷重受け部片12a同士の間を連結している左右一対の連結部14のうち、左側(シート幅方向一端側)の連結部14に設けられた貫通穴15は、シート幅方向において、第一の荷重受け部片12aと第二の荷重受け部片12bとの間を連結している連結部14に形成された左右一対の貫通穴15のうち、左側(シート幅方向一端側)の貫通穴15と同じ位置に形成されている。同様に、第一の荷重受け部片12a同士の間を連結している左右一対の連結部14のうち、右側(シート幅方向他端側)の連結部14に設けられた貫通穴15は、シート幅方向において、第一の荷重受け部片12aと第二の荷重受け部片12bとの間を連結している連結部14に形成された左右一対の貫通穴15のうち、右側(シート幅方向他端側)の貫通穴15と同じ位置に形成されている。
【0049】
次に、上述した各種の補強リブについて詳しく説明する。
前側補強リブ16は、荷重受け部片12の前面に形成されており、図6に示すようにシート上下方向に沿って延出している。本実施形態において、前側補強リブ16は、荷重受け部11をなす樹脂プレート中、前側補強リブ16以外の部分と同一の材質からなり、前側補強リブ16以外の部分と一体化するように形成されている。つまり、前側補強リブ16は、荷重受け部11をなす樹脂プレートを成形する際に他の部分(前側補強リブ16以外の部分)と共に一体成形される。
【0050】
前側補強リブ16は、複数の荷重受け部片12の各々に複数設けられており、具体的には、シート幅方向に沿って並ぶように複数配置されている。より具体的に説明すると、前側補強リブ16は、荷重受け部片12のシート幅方向一端部から他端部に亘って列をなすように、間隔を開けながら複数設けられている。また、本実施形態では、シート幅方向における荷重受け部11の中央を境にして対称となるように前側補強リブ16が配置されている。なお、前側補強リブ16の個数については、特に限定されるものではなく、任意の数(ただし、少なくとも2個以上であることが望ましい)に設定することが可能である。
【0051】
また、各荷重受け部片12に設けられた複数の前側補強リブ16の各々の形成位置は、図5に示すように、荷重受け部片12間で揃っている。具体的に説明すると、シート上下方向において互いに隣り合う2つの荷重受け部片12のうち、一方の荷重受け部片12(分かり易くは、上側)に設けられた複数の前側補強リブ16の各々と、他方の荷重受け部片12(分かり易くは、下側)に設けられた複数の前側補強リブ16の各々と、がシート幅方向において同じ位置に並ぶように配置されている。換言すると、各荷重受け部片12に設けられた複数の前側補強リブ16のうち、シート幅方向の所定位置に配置された前側補強リブ16は、当該所定位置において一直線上に並ぶように配置されている。
【0052】
また、第一の荷重受け部片12aに設けられている前側補強リブ16の個数は、第一の荷重受け部片12a間で揃っている。さらに、第一の荷重受け部片12aに設けられている前側補強リブ16の個数は、第二の荷重受け部片12bに設けられている前側補強リブ16の個数よりも多い。ここで、第一の荷重受け部片12aに設けられた前側補強リブ16のうち、シート幅方向端部に配置された前側補強リブ16は、シート幅方向において第二の荷重受け部片12bよりも外側の位置にある。すなわち、本実施形態では、シート幅方向において第二の荷重受け部片12bよりも外側の位置に前側補強リブ16が配置されている。
【0053】
また、図5図6及び図8に示すように、前側補強リブ16は、溝状凹部13内に配置されている。換言すると、各荷重受け部片12に設けられた前側補強リブ16は、当該各荷重受け部片12に形成された溝状凹部13内に収容されている。さらに、図8に示すように、荷重受け部片12において溝状凹部13の開口周縁に位置する面12sと、前側補強リブ16の突出方向における前側補強リブ16の端(すなわち、先端16a)とが、荷重受け部11の厚み方向において同じ位置にある。つまり、本実施形態では、開口周縁に位置する面12sと、前側補強リブ16の先端16aの面と、が同一面上にあり、前側補強リブ16が完全に溝状凹部13内に収まっている。
【0054】
なお、図5に示すように、荷重受け部11の上端部に設けられた溝状凹部13、すなわち、第二の荷重受け部片12bの直上位置に設けられた溝状凹部13内にも前側補強リブ16が設けられている。
【0055】
後側補強リブ17は、荷重受け部片12の後面に形成された補強部であり、図9に示すようにシート幅方向に沿って直線状に延出している。本実施形態において、後側補強リブ17は、荷重受け部11をなす樹脂プレートを成形する際に他の部分(後側補強リブ17以外の部分)と共に一体成形される。
【0056】
後側補強リブ17は、複数の荷重受け部片12の各々に一つずつ設けられており、具体的には、図8に示すようにシート上下方向における各荷重受け部片12の中央部に設けられている。より厳密に説明すると、後側補強リブ17は、各荷重受け部片12の後面に形成された隆起部12r(換言すると、溝状凹部13が設けられている部分)のうち、後方に最も隆起している部分に設けられている。
【0057】
また、本実施形態において、後側補強リブ17は、溝状凹部13の深さ(荷重受け部11の厚み方向における長さ)よりも長く突出している。つまり、本実施形態では、後側補強リブ17の突出量が溝状凹部13の深さよりも大きくなっている。
【0058】
また、後側補強リブ17は、図9に示すように、隆起部12r(換言すると、溝状凹部13が設けられている部分)のシート幅方向一端部から他端部に亘って連続して設けられている。
【0059】
交差補強リブ18は、交差補強部に該当し、荷重受け部11の後面に形成されており、シート上下方向に沿って直線状に延出している。本実施形態において、交差補強リブ18は、荷重受け部11をなす樹脂プレートを成形する際に他の部分(交差補強リブ18以外の部分)と共に一体成形される。
【0060】
交差補強リブ18は、荷重受け部11の後面において後側補強リブ17とは異なる位置に配置されており、具体的には、図9に示すように、連結部14及び各荷重受け部片12中、連結部14と隣り合う部分に配置されている。かかる位置に設けられた交差補強リブ18は、後側補強リブ17とは交差(厳密には、略直交)している。なお、本実施形態において、交差補強リブ18は、シート上下方向に沿って十分長く延出しており、複数の荷重受け部片12の各々に設けられた後側補強リブ17のすべてと交差している。
【0061】
また、本実施形態では、図9に示すように、複数の交差補強リブ18が形成されており、具体的には、荷重受け部11の後面のうち、シート幅方向一端寄りの領域に2つ、シート幅方向他端よりの領域に2つ設けられている。なお、交差補強リブ18の個数については、特に限定されるものではなく、任意の数に設定することが可能である。
【0062】
また、本実施形態において、交差補強リブ18は、後側補強リブ17の突出量よりも短い突出量だけ突出している。換言すると、本実施形態では、後側補強リブ17の突出量が後側補強リブ17の突出量よりも大きくなっている。
【0063】
<取り付けワイヤの構成>
取り付けワイヤ20は、荷重受け部11に組み付けられており、厳密には荷重受け部11内に一部がインサートされている。取り付けワイヤ20は、図2図5に示すように、上部取り付け部21と、下部取り付け部22と、上下方向延出部23と、を有する。
【0064】
上部取り付け部21は、シートバックフレーム1の上部フレーム3(上部)に接続される部分であり、荷重受け部11よりも上方に配置されている。また、上部取り付け部21は、図5に示すように、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。
【0065】
下部取り付け部22は、シートバックフレーム1のロアメンバーフレーム4(下部)に接続される部分であり、荷重受け部11よりも下方に配置されている。下部取り付け部22は、シート幅方向に長く延出している。また、図5に示すように、下部取り付け部22の中途位置には、受圧部材10(厳密には、取り付けワイヤ20の下部取り付け部22)をロアメンバーフレーム4に取り付けるための取り付けクリップ5が装着されている。
【0066】
上下方向延出部23は、上部取り付け部21と下部取り付け部22との間に位置し、シート上下方向に沿って延出している部分であり、荷重受け部11に組み付けられている(インサートされている)。また、上下方向延出部23は、図5に示すように、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。
【0067】
また、上下方向延出部23は、図5に示すように、荷重受け部11に形成された貫通穴15を通過するように設けられている。換言すると、上下方向延出部23は、シート幅方向において、貫通穴15が設けられている範囲と上下方向延出部23が配置されている範囲とが部分的に重なるように設けられている。なお、上下方向延出部23のうち、貫通穴15を通過している部分は、図5に示すように貫通穴15を通じて露出している。一方、上下方向延出部23のうち、荷重受け部11にインサートされた部分は、荷重受け部片12を縦断している。
【0068】
また、荷重受け部11において上下方向延出部23がインサートされている部分は、荷重受け部片12のシート幅方向端部12tよりもシート幅方向内側にあり、より具体的には、図7に示すように、シート幅方向端部12t内に在る屈曲箇所12xよりも若干内側に位置している。
【0069】
<<前側補強リブと周辺機器との位置関係>>
以下、前側補強リブ16とその周辺機器との位置関係について、図5図7を参照しながら説明する。
前側補強リブ16は、図5に示すように、シート幅方向において、取り付けワイヤ20の上部取り付け部21が設けられた位置から外れた位置に配置されている。具体的に説明すると、各荷重受け部片12に設けられた複数の前側補強リブ16の各々は、シート幅方向において上部取り付け部21よりも内側に位置している。
【0070】
また、図5に示すように、各荷重受け部片12に設けられた複数の前側補強リブ16のうちの幾つかは、シート幅方向において、取り付けワイヤ20の下部取り付け部22が設けられている範囲内に配置されている。その一方で、複数の前側補強リブ16のうち、シート幅方向において最も外側に位置する前側補強リブ16は、シート幅方向において下部取り付け部22よりも外側に位置している。
【0071】
また、図5図6に示すように、各荷重受け部片12において、上下方向延出部23がインサートされている部分の両脇に前側補強リブ16が配置されている。換言すると、前側補強リブ16は、シート幅方向において前側補強リブ16の間に上下方向延出部23が位置するように複数配置されている。なお、上下方向延出部23の両脇に位置する前側補強リブ16は、図5図6に示すように、シート幅方向において貫通穴15が当該前側補強リブ16の間に位置するように配置されている。換言すると、前側補強リブ16は、シート幅方向において、貫通穴15が設けられている範囲から外れた位置に配置されている。
【0072】
また、各荷重受け部片12において前側補強リブ16は、少なくとも4つ以上配置されている。さらに、前側補強リブ16間の間隔は、シート幅方向における前側補強リブ16の位置に応じて異なっている。前側補強リブ16間の間隔と前側補強リブ16の位置との関係について図6を参照しながら説明すると、上下方向延出部23の両脇に位置する前側補強リブ16同士の間の隙間は、最も広くなっている。一方、上下方向延出部23の脇位置にある前側補強リブ16と、当該上下方向延出部23の脇位置にある前側補強リブ16と上下方向延出部23とは反対側で隣り合う前側補強リブ16と、の間の隙間は、最も狭くなっている。かかる位置よりも上下方向延出部23から離れた位置に配置された前側補強リブ16の間の間隔は、図6に示すように、上下方向延出部23から離れるほど広くなっている。
【0073】
また、各荷重受け部片12に設けられた前側補強リブ16は、図7に示すように、シート幅方向において、荷重受け部片12のシート幅方向端部12t中の屈曲箇所12xから離れた位置に配置されている。厳密に説明すると、屈曲箇所12xに最も近い位置にある前側補強リブ16は、屈曲箇所12xから若干外れた位置に配置されている。
【0074】
また、図5に示すように、シート幅方向において連結部14が設けられた範囲内(ただし、貫通穴15が設けられた範囲を除く)には、前側補強リブ16が複数配置されている。
【0075】
<<裏側補強リブと周辺機器との位置関係>>
以下、後側補強リブ17とその周辺機器との位置関係について、図4及び図9を参照しながら説明する。
後側補強リブ17は、図4及び図9から分かるように、シート幅方向において、取り付けワイヤ20の上部取り付け部21が設けられた位置から外れた位置に配置されている。具体的に説明すると、各荷重受け部片12に形成された後側補強リブ17は、シート幅方向において左右一対の上部取り付け部21の間に位置している。
【0076】
また、後側補強リブ17は、図4及び図9から分かるように、シート幅方向において、取り付けワイヤ20の下部取り付け部22が設けられた位置に差し掛かるように配置されている。より具体的に説明すると、第一の荷重受け部片12aに設けられた後側補強リブ17は、その横幅が下部取り付け部22の横幅より長くなるように形成されている。そして、シート幅方向において、第一の荷重受け部片12aに設けられた後側補強リブ17の両端位置の間に下部取り付け部22が配置されている。また、第二の荷重受け部片12bに設けられた後側補強リブ17は、その横幅が下部取り付け部22の横幅と等しくなるように形成されている。そして、シート幅方向において、第一の荷重受け部片12aに設けられた後側補強リブ17の位置と下部取り付け部22の位置とが重なるように、下部取り付け部22が配置されている。
【0077】
また、第一の荷重受け部片12aに設けられた後側補強リブ17は、図4及び図9から分かるように、シート幅方向において第二の荷重受け部片12bの端位置よりも外側まで延びている。すなわち、本実施形態において、第一の荷重受け部片12aに設けられた後側補強リブ17のシート幅方向両端の各々は、シート幅方向において第二の荷重受け部片12bよりも外側に位置している。
【0078】
<<交差補強リブと周辺機器との位置関係>>
以下、交差補強リブ18とその周辺機器との位置関係について図9を参照しながら説明する。
交差補強リブ18は、図9に示すように、取り付けワイヤ20が備える左右一対の上下方向延出部23の各々の両脇位置に配置されている。すなわち、本実施形態では、シート幅方向において、それぞれの上下方向延出部23を挟む位置に交差補強リブ18が配置されている。なお、上下方向延出部23を挟み込む一対の交差補強リブ18のうち、シート幅方向内側に位置する交差補強リブ18は、図9に示すように、荷重受け部11の上端部から延出しており、その下端は、荷重受け部11の下方受け部11Lの中央部(シート上下方向における中央部)に達している。
【符号の説明】
【0079】
1 シートバックフレーム
2 サイドフレーム
3 上部フレーム
4 ロアメンバーフレーム
5 取り付けクリップ
10 受圧部材
11 荷重受け部
11U 上方受け部
11L 下方受け部
12 荷重受け部片
12a 第一の荷重受け部片
12b 第二の荷重受け部片
12r 隆起部
12t シート幅方向端部
12s 開口周縁に位置する面
12x 屈曲箇所
13 溝状凹部
14 連結部
15 貫通穴
16 前側補強リブ
16a 先端
17 後側補強リブ(補強部)
18 交差補強リブ(交差補強部)
19 連絡部
20 取り付けワイヤ(取り付け部)
21 上部取り付け部
22 下部取り付け部
23 上下方向延出部
S 車両用シート(乗物用シート)
S1 シートバック
S2 シートクッション
S3 ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9