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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】車両用前照灯装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/675 20180101AFI20220405BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20220405BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20220405BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220405BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20220405BHJP
   F21W 102/145 20180101ALN20220405BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220405BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/663
F21V14/04
F21V23/00 110
F21V23/00 140
B60Q1/14 H
F21W102:145
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018096045
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2019200952
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】毛利 文彦
(72)【発明者】
【氏名】本多 貴彦
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067473(JP,A)
【文献】国際公開第2011/129105(WO,A1)
【文献】特開2016-185717(JP,A)
【文献】特開2015-149122(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072505(WO,A1)
【文献】特開2018-73485(JP,A)
【文献】特開2016-159709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/675
F21S 41/663
F21V 14/04
F21V 23/00
B60Q 1/14
F21W 102/145
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
第1ミラー本体と第2ミラー本体とが軸部の周方向に配置されて構成されるとともに前記軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記光源から出射された光を回転しながら反射する回転ミラーと、
前記回転ミラーで反射した光を透過させて前方へ照射するレンズと、
前記回転ミラーの回転駆動を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1ミラー本体で反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、前記第2ミラー本体で反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれており、前記第1照射領域と前記第2照射領域とは、その一部が重ねられている車両用前照灯装置。
【請求項2】
光を出射する第1光源及び第2光源と、
第1軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記第1光源から出射された光を回転しながら反射する第1回転ミラーと、
第2軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記第2光源から出射された光を回転しながら反射する第2回転ミラーと、
前記第1回転ミラー及び前記第2回転ミラーで反射した光を透過させて前方へ照射するレンズと、
前記第1回転ミラー及び前記第2回転ミラーの回転駆動を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1回転ミラーで反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、前記第2回転ミラーで反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれており、前記第1照射領域と前記第2照射領域とは、その一部が重ねられている車両用前照灯装置。
【請求項3】
前記第1照射領域と前記第2照射領域とが重ねられている部分は、車幅方向略中央部分である請求項1又は請求項2に記載の車両用前照灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ミラーにより、ハイビーム配光エリア(照射領域)を車幅方向に可変するようにした光学ユニット(車両用前照灯装置)は、従来に提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5722882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような光学ユニットにおいて、光源(LED等)の数量を維持したまま、ハイビーム配光エリアを車幅方向又は車両上下方向に拡大させると、全体的に光の照度が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、照射領域を拡大しても、光の照度の低下を抑制できる車両用前照灯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両用前照灯装置は、光を出射する光源と、第1ミラー本体と第2ミラー本体とが軸部の周方向に配置されて構成されるとともに前記軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記光源から出射された光を回転しながら反射する回転ミラーと、前記回転ミラーで反射した光を透過させて前方へ照射するレンズと、前記回転ミラーの回転駆動を制御する制御装置と、を備え、前記第1ミラー本体で反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、前記第2ミラー本体で反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれており、前記第1照射領域と前記第2照射領域とは、その一部が重ねられている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1ミラー本体で反射され、レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、第2ミラー本体で反射され、レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれている。つまり、それぞれ独立した第1照射領域と第2照射領域とによって全体の照射領域が車幅方向に拡大されている
【0008】
したがって、車幅方向に拡大された照射領域であっても、その光の照度の低下が抑制される。しかも、第1照射領域と第2照射領域とは、その一部が重ねられているため、その重ねられた部分の照度が高められる
【0009】
また、本発明に係る請求項2に記載の車両用前照灯装置は、光を出射する第1光源及び第2光源と、第1軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記第1光源から出射された光を回転しながら反射する第1回転ミラーと、第2軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記第2光源から出射された光を回転しながら反射する第2回転ミラーと、前記第1回転ミラー及び前記第2回転ミラーで反射した光を透過させて前方へ照射するレンズと、前記第1回転ミラー及び前記第2回転ミラーの回転駆動を制御する制御装置と、を備え、前記第1回転ミラーで反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、前記第2回転ミラーで反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれており、前記第1照射領域と前記第2照射領域とは、その一部が重ねられている
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、第1回転ミラーで反射され、レンズを透過して前方へ照射された光の第1照射領域と、第2回転ミラーで反射され、レンズを透過して前方へ照射された光の第2照射領域と、が車幅方向にだけずれている。つまり、それぞれ独立した第1照射領域と第2照射領域とによって全体の照射領域が車幅方向に拡大されている
【0011】
したがって、車幅方向に拡大された照射領域であっても、その光の照度の低下が抑制される。しかも、第1照射領域と第2照射領域とは、その一部が重ねられているため、その重ねられた部分の照度が高められる。
【0012】
また、請求項に記載の車両用前照灯装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用前照灯装置であって前記第1照射領域と前記第2照射領域とが重ねられている部分は、車幅方向略中央部分である。
【0013】
請求項に記載の発明によれば第1照射領域と第2照射領域とが重ねられている部分が、車幅方向略中央部分とされている。つまり、自車両の車両前方側における車幅方向略中央部分の照度が高められている。したがって、夜間走行時等の車両の運転者における車両前方側に対する視認性が向上される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1又は請求項2係る発明によれば、照射領域を拡大しても、光の照度の低下を抑制することができる。
【0025】
また、請求項1又は請求項2に係る発明によれば、第1照射領域と第2照射領域との重ねられた部分の照度を高めることができる。
【0026】
請求項に係る発明によれば、車両の運転者における車両前方側に対する視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る車両用前照灯装置を備えた車両を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る車両用前照灯装置を模式的に示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る車両用前照灯装置によって形成されたハイビーム配光エリアを示す説明図である。
図4】(A)~(E)第1実施形態に係る車両用前照灯装置の第1ミラー本体が半回転する間の照射領域を所定の時間差で順に示す説明図である。
図5】(A)~(E)第1実施形態に係る車両用前照灯装置の第2ミラー本体が半回転する間の照射領域を所定の時間差で順に示す説明図である。
図6】第2実施形態に係る車両用前照灯装置によって形成されたハイビーム配光エリアを示す説明図である。
図7】(A)~(E)第2実施形態に係る車両用前照灯装置の第2ミラー本体が半回転する間の照射領域を所定の時間差で順に示す説明図である。
図8】第3実施形態に係る車両用前照灯装置を模式的に示す斜視図である。
図9】第3実施形態に係る車両用前照灯装置によって形成されたハイビーム配光エリアを示す説明図である。
図10】第3実施形態に係る車両用前照灯装置によって形成された別のハイビーム配光エリアを示す説明図である。
図11】第4実施形態に係る車両用前照灯装置によって形成されたハイビーム配光エリアを示す説明図である。
図12】比較例に係る車両用前照灯装置によるハイビーム配光エリアを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両上方向、矢印FRを車両前方向、矢印RHを車両右方向とする。したがって、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両上下方向の上下、車両前後方向の前後、車両左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
【0031】
図1に示されるように、車両12には、車両12の前方側の視界を確保するための左右一対のヘッドランプユニット14が備えられている。すなわち、車両12の右側前端部には、ヘッドランプユニット14Rが配置され、車両12の左側前端部には、ヘッドランプユニット14Lが配置されている。
【0032】
ヘッドランプユニット14R、14Lは、車幅方向において左右対称に構成されており、それぞれ車幅方向外側に配置されたロービームユニット16と、車幅方向内側に配置されたハイビームユニット18と、を含んで構成されている。ロービームユニット16は、車両12の前方側の車道(路面)におけるロービーム配光エリア(図示省略)に、レンズ(図示省略)を透過した可視光を照射するようになっている。
【0033】
そして、ハイビームユニット18は、ロービームユニット16によって照射されるロービーム配光エリアよりも上方側で、かつ前方側となるハイビーム配光エリアHa(図2図3など参照)に、後述するレンズ32(図2参照)を透過した可視光を照射するようになっている。なお、本実施形態に係る車両用前照灯装置10は、このハイビームユニット18に適用される。
【0034】
<第1実施形態>
図2図3に示されるように、第1実施形態に係る車両用前照灯装置10が適用されたハイビームユニット18は、可視光を出射する光源20と、光源20から出射された可視光を反射する回転ミラー30と、回転ミラー30によって反射した可視光を透過させて車両12の前方側(外部)へ照射(投影)する単一のレンズ32と、を有している。
【0035】
光源20は、基板22上に1列に隙間無く並んだ複数個(例えば8個)の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成されており、その基板22は、ヒートシンク24(図3参照)上に配置されている。なお、光源20(各LED)は、制御装置40(図1参照)と電気的に接続されており、運転者のスイッチ操作だけではなく、制御装置40の制御によって消灯及び点灯が実行される構成になっている。
【0036】
レンズ32は、前面が半球状に突出した湾曲面32Aとされており、後面が平坦面32Bとされている。そして、回転ミラー30で反射されてレンズ32の後面(平坦面32B)から入射された可視光は、そのレンズ32を透過し、レンズ32の前面(湾曲面32A)から車両前方側へ出射(照射)されるようになっている。なお、各図では、図示を簡略化するため、レンズ32における光の屈折については省略している。また、レンズ32の後面は、平坦面32Bに限定されるものではない。
【0037】
回転ミラー30は、軸部26の軸方向に対して、所定の角度で傾斜した複数枚のミラー本体28が、その軸部26の周方向に等間隔に配置されて構成されている。なお、第1実施形態に係る回転ミラー30には、軸方向から見て、略半円形状のミラー本体28が2枚設けられている。つまり、この回転ミラー30は、左寄りに光を反射する曲率を有する第1ミラー本体28Aと、右寄りに光を反射する曲率を有する第2ミラー本体28Bと、を含んで構成されている。
【0038】
また、回転ミラー30は、軸部26を中心に一方向に回転駆動可能に構成されている。すなわち、この回転ミラー30は、軸部26がモーター27(図3参照)によって一方向に回転駆動されるようになっており、ファンのような構造になっている。なお、モーター27は、制御装置40に電気的に接続されており、回転ミラー30は、制御装置40の制御によって回転駆動する構成になっている。
【0039】
ここで、回転ミラー30で反射された反射光で形成されるハイビーム配光エリアHaについて説明する。なお、以下において、車両12の前方側で、かつ車幅方向略中央部から左側を「左前方側」とし、車両の前方側で、かつ車幅方向略中央部から右側を「右前方側」とする。
【0040】
図3に示されるように、ハイビーム配光エリアHaは、車両12の左前方側に照射される光の第1照射領域HaLと、車両12の右前方側に照射される光の第2照射領域HaRと、によって形成されており、第1照射領域HaLと第2照射領域HaRとは、その一部(車幅方向略中央部分)が互いに重ね合わされている。
【0041】
第1照射領域HaLは、第1ミラー本体28Aで反射され、レンズ32を透過して左前方側へ照射された光で形成されている。そして、第2照射領域HaRは、第2ミラー本体28Bで反射され、レンズ32を透過して右前方側へ照射された光で形成されている。そこで、まず第1ミラー本体28Aで反射して形成する光の第1照射領域HaLについて説明する。
【0042】
図4(A)に示されるように、光源20から出射された光(可視光)を、例えば所定の第1停止位置で停止している第1ミラー本体28Aで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の左前方側における左端の所定の位置に形成される。
【0043】
そして、図4(B)に示されるように、光源20から出射された光を、その第1停止位置から例えば36度回転した状態の第2停止位置で停止された第1ミラー本体28Aで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の左前方側における左端の所定の位置から右側へ移動した位置に形成される。
【0044】
また、図4(C)に示されるように、光源20から出射された光を、その第2停止位置から更に36度(第1停止位置から72度)回転した状態の第3停止位置で停止された第1ミラー本体28Aで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の左前方側における中央位置へ移動した位置に形成される。
【0045】
また、図4(D)に示されるように、光源20から出射された光を、その第3停止位置から更に36度(第1停止位置から108度)回転した状態の第4停止位置で停止された第1ミラー本体28Aで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の左前方側における中央位置よりも右側へ移動した位置に形成される。
【0046】
そして、図4(E)に示されるように、光源20から出射された光を、その第4停止位置から更に36度(第1停止位置から144度)回転した状態の第5停止位置で停止された第1ミラー本体28Aで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の左前方側における右端の所定の位置に形成される。
【0047】
なお、第1ミラー本体28Aを、その第5停止位置から更に36度(第1停止位置から180度)回転させると、今度は第2ミラー本体28Bで光を反射するようになっている。そこで、次に第2ミラー本体28Bで反射して形成する光の第2照射領域HaRについて説明する。
【0048】
図5(A)に示されるように、光源20から出射された光(可視光)を、その第5停止位置から更に36度(第1停止位置から180度)回転した状態の第6停止位置で停止している第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の右前方側における左端の所定の位置に形成される。
【0049】
そして、図5(B)に示されるように、光源20から出射された光を、その第6停止位置から更に36度(第1停止位置から216度)回転した状態の第7停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の右前方側における左端の所定の位置から右側へ移動した位置に形成される。
【0050】
また、図5(C)に示されるように、光源20から出射された光を、その第7停止位置から更に36度(第1停止位置から252度)回転した状態の第8停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の右前方側における中央位置へ移動した位置に形成される。
【0051】
また、図5(D)に示されるように、光源20から出射された光を、その第8停止位置から更に36度(第1停止位置から288度)回転した状態の第9停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の右前方側における中央位置よりも右側へ移動した位置に形成される。
【0052】
そして、図5(E)に示されるように、光源20から出射された光を、その第9停止位置から更に36度(第1停止位置から324度)回転した状態の第10停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Ha10は、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の右前方側における右端の所定の位置に形成される。
【0053】
なお、第2ミラー本体28Bを、その第10停止位置から更に36度(第1停止位置から360度)回転させると、回転ミラー30は、図4(A)に示される元の状態に戻って、再び第1ミラー本体28Aで光を反射することになる。
【0054】
つまり、この回転ミラー30は、1回転する間(半回転毎)に、上下方向が長手方向とされた矩形状の細分照射領域Ha、Ha、Ha、Ha、Haが、車両12の左前方側において、車幅方向の一方から他方へ(左から右へ)移動し、上下方向が長手方向とされた矩形状の細分照射領域Ha、Ha、Ha、Ha、Ha10が、車両12の右前方側において、車幅方向の一方から他方へ(左から右へ)移動するようになっている。
【0055】
したがって、回転ミラー30を所定の速度以上(例えば200Hz)で連続して回転させると、車両12の左前方側において、その細分照射領域Ha、Ha、Ha、Ha、Haが車幅方向の一方から他方へ(左から右へ)連続して高速で移動し、車両12の右前方側において、その細分照射領域Ha、Ha、Ha、Ha、Ha10が車幅方向の一方から他方へ(左から右へ)連続して高速で移動することになる。
【0056】
これにより、図2図3に示されるように、人の目には、光の残像効果により、車幅方向が長手方向とされた略矩形状の第1照射領域HaLが車両12の左前方側に見え、車幅方向が長手方向とされた略矩形状の第2照射領域HaRが車両12の右前方側に見えることになる。そして、第1照射領域HaLと第2照射領域HaRとは、その車幅方向内側の一部(少なくとも細分照射領域Haと細分照射領域Haと)が重ね合わされている。
【0057】
つまり、ハイビーム配光エリアHaは、左前方側に照射される第1照射領域HaLと右前方側に照射される第2照射領域HaRとが車幅方向(左右方向)にずれて照射されることにより、車幅方向に拡大されるようになっている。そして、このハイビーム配光エリアHaでは、第1照射領域HaLと第2照射領域HaRとが互いに重ね合わされた車幅方向略中央部分HaWの照度が高められるようになっている。
【0058】
また、図1に示されるように、車両12のフロントウインドシールドガラスの上端部で、かつ車幅方向中央部には、カメラやセンサー等の認識手段34及び歩行者認識手段36が左右に並んで設けられている。更に、車両12のルーフには、車両12の周辺状況を検知する周辺状況検知装置38が設けられている。認識手段34、歩行者認識手段36及び周辺状況検知装置38は、それぞれ制御装置40と電気的に接続されている。
【0059】
以上のような構成とされた第1実施形態に係る車両用前照灯装置10において、次にその作用について説明する。
【0060】
車両12の夜間等の走行時には、必要に応じてハイビームを点灯させる。すなわち、運転者のスイッチ操作により、回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させるか、或いは、車両12に設けられた周辺状況検知装置38によって検知された情報に基づいて、制御装置40が回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させる。
【0061】
すると、光源20から出射された可視光は、回転駆動されている回転ミラー30(第1ミラー本体28A及び第2ミラー本体28B)で反射され、レンズ32を透過して車両前方側へ照射される。これにより、ロービーム配光エリアよりも上方側で、かつ前方側に高精細なハイビーム配光エリアHaが形成される(図3参照)。
【0062】
ここで、図12に示されるように、光源20の数量を維持したまま、レンズ32の曲率を変更してハイビーム配光エリアHaを左右方向に拡大させると、その光の照度が全体的に低下する。また、その光の照度の低下を抑制する(光の照度を維持する)ために、ハイビーム配光エリアHaを照射する光源20の数量を増加させると、車両用前照灯装置の製造コストが増加する。
【0063】
これに対し、第1実施形態に係る車両用前照灯装置10では、図2図3に示されるように、第1ミラー本体28Aで反射され、車両12の左前方側に照射される光の第1照射領域HaLと、第2ミラー本体28Bで反射され、車両12の右前方側に照射される光の第2照射領域HaRとによって、ハイビーム配光エリアHaが形成されている。したがって、車両12の前方側に照射される光の照度を維持したまま、ハイビーム配光エリアHaを車幅方向(左右方向)に拡大することができる。
【0064】
つまり、第1実施形態に係る車両用前照灯装置10によれば、ハイビーム配光エリアHaを車幅方向に拡大しても、その光の照度の低下を抑制することができる。また、第1ミラー本体28Aと第2ミラー本体28Bとを備えればよく、光源20の数量を増加させる必要がないため(光源20の数量を維持することができるため)、製造コストの増加を抑制することができる。
【0065】
また、第1照射領域HaLと第2照射領域HaRとは、その車幅方向内側の一部が互いに重ね合わされているため、車両12の車両前方側におけるハイビーム配光エリアHaの車幅方向略中央部分HaWの照度を高めることができる。よって、夜間走行時等において、車両12の運転者における車両前方側に対する視認性を向上させることができる。
【0066】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る車両用前照灯装置10について説明する。なお、上記第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0067】
図6に示されるように、第2実施形態に係る車両用前照灯装置10では、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大している。すなわち、第2実施形態における回転ミラー30は、上寄りに光を反射する曲率を有する第1ミラー本体28Aと、下寄りに光を反射する曲率を有する第2ミラー本体28Bと、を含んで構成されている。
【0068】
したがって、この第2実施形態では、第1ミラー本体28Aで反射され、車両12の前方上側に照射される光の第1照射領域HaUと、第2ミラー本体28Bで反射され、車両12の前方下側に照射される光の第2照射領域HaDと、でハイビーム配光エリアHaが形成される。
【0069】
なお、車両12の前方を走行する前方車両42がいる場合には、その前方車両42の運転者等に対して眩しさを与えないように、第2ミラー本体28Bで反射して形成する第2照射領域HaDに、ハイビーム(光)を照射しない遮光領域としてのダークエリアDaが設定される。そこで、次にダークエリアDaを形成する方法について説明する。
【0070】
図7(A)に示されるように、光源20から出射された光(可視光)を、例えば所定の第1停止位置で停止している第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の前方側における左端の所定の位置に形成される。
【0071】
そして、図7(B)に示されるように、光源20から出射された光を、その第1停止位置から例えば36度回転した状態の第2停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の前方側における左端の所定の位置から右側へ移動した位置に形成される。
【0072】
また、図7(C)に示されるように、その第2停止位置から更に36度(第1停止位置から72度)回転した状態の第3停止位置で停止された第2ミラー本体28Bに対しては、光源20が消灯されることで、光が照射されない。これにより、第2照射領域HaDにおいて、光が照射されないダークエリアDaが形成されることになる。
【0073】
また、図7(D)に示されるように、光源20から出射された光を、その第3停止位置から更に36度(第1停止位置から108度)回転した状態の第4停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の前方側における中央位置よりも右側へ移動した位置に形成される。
【0074】
そして、図7(E)に示されるように、光源20から出射された光を、その第4停止位置から更に36度(第1停止位置から144度)回転した状態の第5停止位置で停止された第2ミラー本体28Bで反射したときの反射光による細分照射領域Haは、上下方向が長手方向とされた矩形状とされ、車両12の前方側における右端の所定の位置に形成される。
【0075】
なお、第2ミラー本体28Bを、その第5停止位置から更に36度(第1停止位置から180度)回転させると、第1ミラー本体28Aで光を反射するようになる。第1ミラー本体28Aで反射して形成する第1照射領域HaUについては、上記第1実施形態における第1照射領域HaL及び第2照射領域HaRと同様であるため、その説明は省略する。
【0076】
この回転ミラー30を所定の速度以上(例えば200Hz)で連続して回転させると、図6に示されるように、人の目には、光の残像効果により、車幅方向が長手方向とされ、かつ車幅方向略中央部のみが消灯された(車幅方向略中央部のみにダークエリアDaが形成された)略矩形状の第2照射領域HaDが車両12の前方下側に見え、車幅方向が長手方向とされた略矩形状の第1照射領域HaUが車両12の前方上側に見えることになる。
【0077】
なお、図示は省略するが、第1照射領域HaUと第2照射領域HaDとは、その車両上下方向の一部を重ね合わせるようにしてもよい。すなわち、第1照射領域HaUの下端部と第2照射領域HaDの上端部とが互いに重ね合わされるようになっていてもよい。
【0078】
また、車両12の前方を走行する前方車両42は、認識手段34によって認識される。そして、制御装置40は、その認識手段34によって認識した前方車両42との距離(車両12に対する前方車両42の位置)に応じて、光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングを調整するようになっている。
【0079】
以上のような構成とされた第2実施形態に係る車両用前照灯装置10において、次にその作用(共通する作用は適宜除く)について説明する。
【0080】
車両12の夜間等の走行時には、必要に応じてハイビームを点灯させる。すなわち、運転者のスイッチ操作により、回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させるか、或いは、車両12に設けられた周辺状況検知装置38によって検知された情報に基づいて、制御装置40が回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させる。
【0081】
すると、光源20から出射された可視光は、回転駆動されている回転ミラー30(第1ミラー本体28A及び第2ミラー本体28B)で反射され、レンズ32を透過して車両前方側へ照射される。これにより、ロービーム配光エリアよりも上方側で、かつ前方側に高精細なハイビーム配光エリアHaが形成される(図6参照)。
【0082】
ここで、第2実施形態に係る車両用前照灯装置10では、図6に示されるように、第1ミラー本体28Aで反射され、車両12の前方上側に照射される光の第1照射領域HaUと、第2ミラー本体28Bで反射され、車両12の前方下側に照射される光の第2照射領域HaDとによって、ハイビーム配光エリアHaが形成されている。したがって、車両12の前方側に照射される光の照度を維持したまま、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大することができる。
【0083】
つまり、第2実施形態に係る車両用前照灯装置10によれば、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大しても、その光の照度の低下を抑制することができる。また、第1ミラー本体28Aと第2ミラー本体28Bとを備えればよく、光源20の数量を増加させる必要がないため(光源20の数量を維持することができるため)、製造コストの増加を抑制することができる。
【0084】
なお、認識手段34によって車両12の前方を走行する前方車両42が認識された場合には、ハイビーム配光エリアHaを構成する第2照射領域HaDに、前方車両42に対してハイビームを照射しないダークエリアDaが形成される。具体的には、第2ミラー本体28Bの第3停止位置付近において、光源20が一時的に消灯されるように、光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングが、制御装置40によって制御される。
【0085】
したがって、車両12の夜間等の走行時にハイビームを点灯させても、前方車両42の運転者等に対して眩しさを与えることを抑制することができる。そして、前方車両42の車幅方向外側には、ハイビームが照射されるため、車両12の運転者における車両前方側に対する視認性の低下を抑制することができる。
【0086】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る車両用前照灯装置10について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0087】
図8図9に示されるように、第3実施形態に係る車両用前照灯装置10では、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大している。すなわち、第3実施形態における回転ミラー30は、上寄りに光を反射する曲率を有する第1ミラー本体28Aと、下寄りに光を反射する曲率を有する第3ミラー本体28Cと、上下方向略中央に光を反射する曲率を有する第2ミラー本体28Bと、を含んで構成されている。
【0088】
したがって、この第3実施形態では、第1ミラー本体28Aで反射され、車両12の前方上側に照射される光の第1照射領域HaUと、第3ミラー本体28Cで反射され、車両12の前方下側に照射される光の第3照射領域HaDと、第2ミラー本体28Bで反射され、車両12の前方中央側(第1照射領域HaUと第3照射領域HaDとの間)に照射される光の第2照射領域HaCと、でハイビーム配光エリアHaが形成される。
【0089】
なお、第1ミラー本体28A、第2ミラー本体28B及び第3ミラー本体28Cは、それぞれ軸方向から見て、中心角が120度の略扇型形状に形成されている(図8参照)。また、図9に示されるように、車両12の前方を走行する前方車両42がいる場合には、その前方車両42の運転者等に対して眩しさを与えないように、第3ミラー本体28Cで反射して形成する第3照射領域HaDに、ハイビームを照射しない遮光領域としてのダークエリアDaが設定される。
【0090】
ダークエリアDaを形成する方法は、図7に示される上記第2実施形態と同様である。すなわち、制御装置40が、第3ミラー本体28Cに対して光を照射する光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングを上記第2実施形態と同様に制御するようになっている。なお、図10に示されるように、前方車両42が車両12に対して比較的近い位置にいる場合には、第3照射領域HaDに加え、第2照射領域HaCにも、ハイビームを照射しない遮光領域としてのダークエリアDaが設定される。
【0091】
すなわち、制御装置40が、第2ミラー本体28Bに対しても光を照射する光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングを上記第2実施形態と同様に制御するようになっている。このように第3実施形態では、第2ミラー本体28B及び第3ミラー本体28Cのうち、少なくとも第3ミラー本体28Cで反射して形成する第3照射領域HaDに、ハイビームを照射しない遮光領域としてのダークエリアDaが設定されるようになっている。
【0092】
また、図10に示されるように、この第3実施形態では、前方車両42の近傍における路肩に歩行者Pが存在している場合には、その歩行者Pの少なくとも顔に光が照射されないように、制御装置40が、第2ミラー本体28Bに対して光を照射する光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングを制御するようになっている。
【0093】
すなわち、図7に示される細分照射領域Ha及び細分照射領域Haも、ダークエリアDaとなるように、第2ミラー本体28Bに対する光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングが制御されるようになっている。なお、図示は省略するが、歩行者Pの位置に応じて、第1ミラー本体28Aに対して光を照射する光源20の消灯タイミング及び点灯タイミングを制御するようにしてもよい。また、歩行者Pの位置は、歩行者認識手段36によって認識される。
【0094】
以上のような構成とされた第3実施形態に係る車両用前照灯装置10において、次にその作用(共通する作用は適宜除く)について説明する。
【0095】
車両12の夜間等の走行時には、必要に応じてハイビームを点灯させる。すなわち、運転者のスイッチ操作により、回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させるか、或いは、車両12に設けられた周辺状況検知装置38によって検知された情報に基づいて、制御装置40が回転ミラー30を回転駆動させ、光源20を点灯させる。
【0096】
すると、光源20から出射された可視光は、回転駆動されている回転ミラー30(第1ミラー本体28A、第2ミラー本体28B及び第3ミラー本体28C)で反射され、レンズ32を透過して車両前方側へ照射される。これにより、ロービーム配光エリアよりも上方側で、かつ前方側に高精細なハイビーム配光エリアHaが形成される。
【0097】
ここで、第3実施形態に係る車両用前照灯装置10では、図8図9に示されるように、第1ミラー本体28Aで反射され、車両12の前方上側に照射される光の第1照射領域HaUと、第3ミラー本体28Cで反射され、車両12の前方下側に照射される光の第3照射領域HaDと、第2ミラー本体28Bで反射され、車両12の前方中央側(第1照射領域HaUと第3照射領域HaDとの間)に照射される光の第2照射領域HaCとによって、ハイビーム配光エリアHaが形成されている。
【0098】
したがって、車両12の前方側に照射される光の照度を維持したまま、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大することができる。つまり、第3実施形態に係る車両用前照灯装置10によれば、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大しても、その光の照度の低下を抑制することができる。また、第1ミラー本体28Aと第2ミラー本体28Bと第3ミラー本体28Cとを備えればよく、光源20の数量を増加させる必要がないため(光源20の数量を維持することができるため)、製造コストの増加を抑制することができる。
【0099】
なお、認識手段34によって前方車両42が認識され、かつ前方車両42が車両12から比較的遠い位置にいる場合には、図9に示されるように、第3ミラー本体28Cで反射される第3照射領域HaDにのみダークエリアDaが形成される。そして、前方車両42が車両12に対して比較的近い位置にいる場合には、図10に示されるように、第3ミラー本体28Cで反射される第3照射領域HaDと、第2ミラー本体28Bで反射される第2照射領域HaCと、にダークエリアDaが形成される。
【0100】
したがって、車両12の夜間等の走行時にハイビームを点灯させても、前方車両42の運転者等に対して眩しさを与えることを抑制することができる。そして、前方車両42の車幅方向外側には、ハイビームが照射されるため、車両12の運転者における車両前方側に対する視認性の低下を抑制することができる。
【0101】
また、歩行者認識手段36により、前方車両42の近くの路肩に存在する歩行者Pが認識された場合には、第2ミラー本体28Bで反射される第2照射領域HaCの路肩を照らす左側部分に、更なるダークエリアDaが形成される。これにより、路肩に存在する歩行者Pに対して眩しさを与えることを抑制又は防止することができる。なお、路肩にいる歩行者Pの位置により、第1ミラー本体28Aで反射される第1照射領域HaUの路肩を照らす左側部分に、更なるダークエリアDaが形成されてもよい。
【0102】
<第4実施形態>
最後に、第4実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態~第3実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0103】
図11に示されるように、第4実施形態に係る車両用前照灯装置10では、上記第2実施形態と同様に、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大している。そして、この第4実施形態に係る車両用前照灯装置10では、軸方向から見て、略円形状に形成されたミラー本体28を有する回転ミラー30が独立して2個設けられている。
【0104】
すなわち、第4実施形態に係る車両用前照灯装置10には、それぞれ独立して一方向(同方向)に回転駆動する第1回転ミラー30Aと第2回転ミラー30Bとが設けられている。そして、第1回転ミラー30Aの第1軸部26Aに設けられた第1ミラー本体28Aは、上寄りに光を反射する曲率を有し、第2回転ミラー30Bの第2軸部26Bに設けられた第2ミラー本体28Bは、下寄りに光を反射する曲率を有している。
【0105】
したがって、この第4実施形態では、第1回転ミラー30A(第1ミラー本体28A)で反射され、車両12の前方上側に照射される光の第1照射領域HaUと、第2回転ミラー30B(第2ミラー本体28B)で反射され、車両12の前方下側に照射される光の第2照射領域HaDと、でハイビーム配光エリアHaが形成される。なお、この第4実施形態では、光源20も、第1回転ミラー30Aと第2回転ミラー30Bとに対応して独立して2個設けられており、それぞれ第1光源20Aと第2光源20Bとなっている。
【0106】
また、この第4実施形態において、認識手段34によって前方車両42が認識された場合には、上記第2実施形態と同様に、第2照射領域HaDにダークエリアDaが形成される。したがって、車両12の夜間等の走行時にハイビームを点灯させても、前方車両42の運転者等に対して眩しさを与えることを抑制することができる。
【0107】
なお、この第4実施形態において、それぞれ独立して回転駆動する第1回転ミラー30Aと第2回転ミラー30Bとにより、上記第1実施形態と同様に、ハイビーム配光エリアHaを車幅方向に拡大させるようにしてもよい。すなわち、第1回転ミラー30Aで反射されて照射される光の第1照射領域HaLと、第2回転ミラー30Bで反射されて照射される光の第2照射領域HaRと、でハイビーム配光エリアHaを形成するようにしてもよい。
【0108】
また、この第4実施形態において、回転ミラー30を更に1つ追加して第3回転ミラー(図示省略)とし、上記第3実施形態と同様に、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大させるようにしてもよい。すなわち、第1回転ミラー30Aで反射されて照射される光の第1照射領域HaUと、第2回転ミラー30Bで反射されて照射される光の第2照射領域HaCと、第3回転ミラーで反射されて照射される光の第3照射領域HaDと、でハイビーム配光エリアHaを形成するようにしてもよい。
【0109】
以上、本実施形態に係る車両用前照灯装置10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両用前照灯装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、第4実施形態において、第1回転ミラー30Aと第2回転ミラー30Bとの回転方向が互いに逆方向になっていてもよい。
【0110】
また、図4図5図7では、一例として細分照射領域の移動を5回ずつに分けて説明したため、回転ミラー30の回転角度が36度毎になったが、これに特に限定されるものではない。また、ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大させる照射領域の数量は、第2実施形態では2つ、第3実施形態では3つとなっているが、これに限定されるものではなく、ミラー本体28の枚数に応じて4つ以上となっていてもよい。
【0111】
ハイビーム配光エリアHaを車両上下方向に拡大させる照射領域の数量が4つ以上の場合は、次のように本発明を捉えることができる。すなわち、「光を出射する光源と、複数のミラー本体が軸部の周方向に配置されて構成されるとともに前記軸部を中心に回転駆動可能に構成され、前記光源から出射された光を回転しながら反射する回転ミラーと、前記回転ミラーで反射した光を透過させて前方へ照射するレンズと、前記回転ミラーの回転駆動を制御する制御装置と、を備え、複数の前記ミラー本体でそれぞれ反射され、前記レンズを透過して前方へ照射された複数の光の照射領域が車両上下方向にずれている車両用前照灯装置」と捉えることができる。
【0112】
また、本実施形態に係る車両用前照灯装置10は、ハイビームユニット18に適用される構成に限定されるものではない。本実施形態に係る車両用前照灯装置10は、例えばハイビームユニット18やロービームユニット16とは別にヘッドランプユニット14に設けられる構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 車両用前照灯装置
20 光源
20A 第1光源
20B 第2光源
26 軸部
26A 第1軸部
26B 第2軸部
28 ミラー本体
28A 第1ミラー本体
28B 第2ミラー本体
28C 第3ミラー本体
30 回転ミラー
30A 第1回転ミラー
30B 第2回転ミラー
32 レンズ
34 認識手段
36 歩行者認識手段
40 制御装置
42 前方車両
HaC 第2照射領域
HaD 第2照射領域/第3照射領域
HaL 第1照射領域
HaR 第2照射領域
HaU 第1照射領域
P 歩行者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12