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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】フードスライサ
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20220405BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20220405BHJP
   B65G 15/16 20060101ALI20220405BHJP
   B65G 23/44 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B26D3/28 610L
B26D7/06 D
B65G15/16
B65G23/44
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018099045
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2019202385
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敏和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-037111(JP,U)
【文献】特開2011-194516(JP,A)
【文献】特開2000-351435(JP,A)
【文献】特開2002-139113(JP,A)
【文献】米国特許第05934449(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
B26D 7/06
B65G 15/16
B65G 23/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアフレームと、
前記コンベアフレームに取り付けられ、回転駆動する駆動ローラと、
前記コンベアフレームに取り付けられた先端ローラと、
前記コンベアフレームに取り付けられたテークローラと、
前記駆動ローラと、前記先端ローラと、前記テークローラに掛け回された状態で、前記駆動ローラの回転駆動に伴い移動し、載置された食品を搬送する無端状の搬送用ベルトと、
前記先端ローラを越えて前記搬送用ベルトの外側へ送り出された食品を切断する回転可能な回転刃と、を備え、
前記テークローラが、前記搬送用ベルトと接触した状態および前記搬送用ベルトから離間した状態をとるように、移動可能に前記コンベアフレームに取り付けられ、
前記先端ローラが、前記回転刃に接近した状態および前記回転刃から離間した状態をとるように、移動可能に前記コンベアフレームに取り付けられ
前記先端ローラおよび前記テークローラが連動して移動可能であり、
前記テークローラが前記搬送用ベルトと接触した状態において、前記先端ローラが前記回転刃に接近した状態となり、
前記テークローラが前記搬送用ベルトから離間した状態において、前記先端ローラが前記回転刃から離間した状態となる、
フードスライサ。
【請求項2】
請求項に記載のフードスライサであって、
前記テークローラが、テーク軸を中心として前記コンベアフレームに対し揺動可能に取り付けられたテークフレームに設けられ、
前記先端ローラおよび前記テークフレームがクランク機構によって連結されており、
前記テークフレームの前記コンベアフレームに接近する揺動回転に伴い、前記先端ローラが前記回転刃から離間するようにスライドする、
フードスライサ。
【請求項3】
請求項に記載のフードスライサであって、
前記テークフレームが、
前記クランク機構に接続したクランクアームと、
当該クランクアームと一体的に設けられ、前記テークローラを回転可能に支持するテークフレーム本体と、
前記テーク軸に取り付けられたカムと、を有し、
前記テーク軸の回転に伴い、前記カムが前記テークフレーム本体と接触した状態および前記テークフレーム本体から離間した状態をとり、
前記カムが前記テークフレーム本体と接触した状態において前記テーク軸が回転した時に、前記テークフレーム本体も揺動回転する、
フードスライサ。
【請求項4】
請求項に記載のフードスライサであって、
前記カムが使用姿勢カム面と格納姿勢カム面を有し、
前記使用姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触した状態において、当該テークフレーム本体が、前記コンベアフレームに対し垂直な垂直方向に起立して前記テークローラが前記搬送用ベルトと接触し、
前記格納姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触した状態において、当該テークフレーム本体が、前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置して前記テークローラが前記搬送用ベルトから離間する、
フードスライサ。
【請求項5】
請求項に記載のフードスライサであって、
前記テークフレームが前記テーク軸に取り付けられ、ユーザの操作により回転可能な操作レバーを更に備え、
前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームに対し垂直方向に起立した状態において、前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置し、
前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向の位置から270度回転する間に、前記使用姿勢カム面が前記テークフレーム本体から離間して前記テーク軸が前記テークフレーム本体から独立して回転し、
前記操作レバーが、前記コンベアフレームと平行な平行方向の位置から270度回転した位置から、前記コンベアフレームと平行な平行方向の位置から360度回転した位置までさらに回転することにより、前記格納姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触して前記テーク軸が前記テークフレーム本体とともに回転し、前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置する、
フードスライサ。
【請求項6】
請求項またはに記載のフードスライサであって、
前記コンベアフレームに移動可能な固定ピンが設けられ、
前記テーク軸には固定用溝が設けられ、
前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームに対し垂直な垂直方向に起立した状態および前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置した状態において、前記固定ピンが前記固定用溝に入り込み前記テーク軸の回転が抑制される、
フードスライサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードスライサに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアで食品を搬送し、カッタで切截し、ベルトコンベアを緊張及び弛緩する装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、ベルトコンベアのリターン側に、ベルトコンベアの緊張及び弛緩の両動作を行う切換操作部材を設置し、この切換操作部材をベルトコンベアの緊張走行時に安定保持するフードスライサであり、ベルトコンベアを駆動及び従属ローラより極めて簡易に取り外し、このベルトコンベアを水洗洗浄や、ブラシ洗浄などにより清浄化させて再度繰り返し使用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-166395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1におけるベルトコンベアの取り外し操作において、切り替え操作部材を倒してベルトコンベアのリターン側から遊離させて、駆動ローラ、先端のローラから外すようにしているが、ベルトコンベアの長さよりもベルトコンベアを広げる必要があり、さらに先端のローラまわりに充分なスペースがないため、作業性が悪く、作業時間が長く掛かってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、搬送用ベルトのメンテナンスの作業性を良好としたフードスライサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフードスライサは、コンベアフレームと、前記コンベアフレームに取り付けられ、回転駆動する駆動ローラと、前記コンベアフレームに取り付けられた先端ローラと、前記コンベアフレームに取り付けられたテークローラと、前記駆動ローラと、前記先端ローラと、前記テークローラに掛け回された状態で、前記駆動ローラの回転駆動に伴い移動し、載置された食品を搬送する無端状の搬送用ベルトと、前記先端ローラを越えて前記搬送用ベルトの外側へ送り出された食品を切断する回転可能な回転刃と、を備え、前記テークローラが、前記搬送用ベルトと接触した状態および前記搬送用ベルトから離間した状態をとるように、移動可能に前記コンベアフレームに取り付けられ、前記先端ローラが、前記回転刃に接近した状態および前記回転刃から離間した状態をとるように、移動可能に前記コンベアフレームに取り付けられる。
【0008】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記先端ローラおよび前記テークローラが連動して移動可能であり、前記テークローラが前記搬送用ベルトと接触した状態において、前記先端ローラが前記回転刃に接近した状態となり、前記テークローラが前記搬送用ベルトから離間した状態において、前記先端ローラが前記回転刃から離間した状態となる。
【0009】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記テークローラが、テーク軸を中心として前記コンベアフレームに対し揺動可能に取り付けられたテークフレームに設けられ、前記先端ローラおよび前記テークフレームがクランク機構によって連結されており、前記テークフレームの前記コンベアフレームに接近する揺動回転に伴い、前記先端ローラが前記回転刃から離間するようにスライドする。
【0010】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記テークフレームが、前記クランク機構に接続したクランクアームと、当該クランクアームと一体的に設けられ、前記テークローラを回転可能に支持するテークフレーム本体と、前記テーク軸に取り付けられたカムと、を有し、前記テーク軸の回転に伴い、前記カムが前記テークフレーム本体と接触した状態および前記テークフレーム本体から離間した状態をとり、前記カムが前記テークフレーム本体と接触した状態において前記テーク軸が回転した時に、前記テークフレーム本体も揺動回転する。
【0011】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記カムが使用姿勢カム面と格納姿勢カム面を有し、前記使用姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触した状態において、当該テークフレーム本体が、前記コンベアフレームに対し垂直な垂直方向に起立して前記テークローラが前記搬送用ベルトと接触し、前記格納姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触した状態において、当該テークフレーム本体が、前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置して前記テークローラが前記搬送用ベルトから離間する。
【0012】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記テークフレームが前記テーク軸に取り付けられ、ユーザの操作により回転可能な操作レバーを更に備え、前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームに対し垂直方向に起立した状態において、前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置し、前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向の位置から270度回転する間に、前記使用姿勢カム面が前記テークフレーム本体から離間して前記テーク軸が前記テークフレーム本体から独立して回転し、前記操作レバーが270度回転した位置からさらに360度まで回転することにより、前記格納姿勢カム面が前記テークフレーム本体と接触して前記テーク軸が前記テークフレーム本体とともに回転し、前記操作レバーが前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置する。
【0013】
本発明のフードスライサの一態様として例えば、前記コンベアフレームに移動可能な固定ピンが設けられ、前記テーク軸には固定用溝が設けられ、前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームに対し垂直な垂直方向に起立した状態および前記テークフレーム本体が前記コンベアフレームと平行な平行方向に位置した状態において、前記固定ピンが前記固定用溝に入り込み前記テーク軸の回転が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフードスライサは、テークローラと先端ローラが搬送用ベルトから離間するため、容易に搬送用ベルトを取り外すことができ、メンテナンス時の作業性が良好となると共に搬送用ベルトの清潔の維持及び衛生管理の向上に繋がる。また、先端ローラが回転刃から離間するため、先端ローラと回転刃との間に溜まった食品のクズ等を除去しやすくなり、清掃が容易で衛生的となることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るフードスライサの一例を示す左側面斜視図である。
図2図1のフードスライサのカバーを外した状態を示す左側面斜視図である。
図3図1のフードスライサの右側面から見た分解斜視図である。
図4図3の要部正面図である。
図5】本発明に係るフードスライサの調整部の操作機構を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図6】本発明に係るフードスライサの調整部のクランク機構の動作を説明した概念図、(a)搬送用ベルトの使用時、(b)搬送用ベルトの取り外し時である。
図7】本発明に係る調整部の動きを示し、(a)側面図、(b)カム面透視図であり、(1)初期時、(2)から(5)が操作レバーの270度までの回転、(6)操作レバーを360度回転した状態である。
図8】本発明に係る操作レバー及びテーク軸の固定構造を示す説明図、(a)搬送用ベルト張力時、(b)テーク軸と固定ピンの拡大図、(c)操作レバー使用時、(d)操作レバー回動時である。
図9】本発明に係るフードスライサのテークローラの調整機構を示す概念図、(a)はテークローラが低い位置、(b)はテークローラが高い位置である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るフードスライサの好適な実施形態を、図1図9に基づいて詳述する。
【0017】
図1はフードスライサの一例を示す左側面斜視図である。図2は、図1のフードスライサのカバーを外した状態を示す左側面斜視図である。図3は、図1のフードスライサの右側面から見た分解斜視図である。図4は、図3の要部正面図である。図1から図4に基づいて本実施形態のフードスライサを詳述する。
【0018】
本実施形態のフードスライサ1は、例えば野菜などの食品を細かく切断する装置であり、架台2に支持され機械室を収納する本体部10と、本体部10の側方に配置され食品を搬送する搬送部20と、搬送部20の終端近傍に配置され搬送された食品を切断する切截部30とを備えている。
【0019】
本体部10には、操作盤11を有する制御部12が取り付けられ、本体部10に収納された機械室の駆動モータ等を制御している。搬送部20は、上部を覆う第1のカバー21と、下部を覆う第2のカバー22とで覆われ、搬送部20の一端に配置された切截部30は、刃物カバー31で覆われ、回転刃32を収納している。また、搬送部20には、左右に立設するガイド板23が設けられ、食品の投入部が設けられている。
【0020】
搬送部20は、送り部40と、押さえ部50と、調整部60とを有している。送り部40は、本体部10に固定されるコンベアフレーム41と、コンベアフレーム41に回動自在に取り付けられる駆動ローラ42と、先端ローラ43と、テークローラ44と、駆動ローラ42、先端ローラ43及びテークローラ44に掛け回された状態で、駆動ローラ42の回転駆動に伴い移動し、載置された食品を搬送する無端状の搬送用ベルト45とを備える。
【0021】
コンベアフレーム41は、搬送用ベルト45の搬送方向に沿って延在し、搬送用ベルト45の左右に配置され、左右のコンベアフレーム41は、複数のフレーム梁41aにより連結されている。先端ローラ43は、搬送用ベルト45の搬送方向の終端近傍に位置し、切截部30に隣接した位置に配置されている。
【0022】
押さえ部50は、搬送用ベルト45で搬送されてきた食品を上部から押さえ、切截部30に確実に送り込むために切截部30近傍の搬送用ベルト45の上部に位置し、ギヤケース51に回動自在に取り付けられる押さえ駆動ローラ52と、押さえローラ53と、駆動ローラ52及び押さえローラ53に掛け回された状態で、押さえ駆動ローラ52の回転駆動に伴い移動する無端状の押さえベルト54とを備えている。
【0023】
押さえ駆動ローラ52は、機械室から突出する押さえ部用出力軸55と連動しており、押さえ部用出力軸55の駆動が押さえ駆動ローラ52に伝達される。押さえ部50は、押さえアーム56と押さえ支持フレーム57に支持され、押さえ支持フレーム57は、コンベアフレーム41に固定ネジ58によりコンベアフレーム41に対して垂直状に固定されている。
【0024】
押さえ部50は、本体部10に対して着脱自在に取り付けられ、押さえ部用出力軸55の駆動をギヤケース51の入力ギヤ51aから出力ギヤ51bへ伝達し、さらに、押さえ駆動ローラ52に伝達されて、押さえベルト54を回転させる。また、ギヤケース51は、搬送用ベルト45で搬送されてきた食品の厚みによる押さえベルト54の上下振動に合わせて、押さえ部用出力軸55を中心に振動可能に取り付けられている。
【0025】
切截部30は、本体部10に固定される仕切り板33に刃物カバー31が開閉自在に取り付けられ、回転刃32は、仕切り板33から突出する回転軸34に取り付けられている。また、仕切り板33には搬送用ベルト45で搬送されてきた食品を切截部30に送り込むための切欠き部35が設けられ、当該切欠き部35に搬送用ベルト45の搬送方向に対して側方方向に着脱可能な開口枠体36が取り付けられている。開口枠体36には食品を送り出すことが可能な正面視四角形状を呈する排出開口部37が形成されている。
【0026】
先端ローラ43を越えて搬送用ベルト45の外側へ送り出された食品が、回転可能な回転刃32に切断される際、排出開口部37の側面が食品を支持するため、確実な食品の切断が可能となる。
【0027】
本体部10に収納された機械室には、駆動ローラ42、押さえ駆動ローラ52、回転軸34などをそれぞれ駆動する駆動モータが収納され、搬送用ベルト45、押さえベルト54及び回転刃32の駆動、停止、搬送速度、などが制御部12により制御されている。また、搬送用ベルト45の搬送速度や回転刃32の回転制御により、食品を所定の厚さに切断(切截)することが可能である。
【0028】
搬送用ベルト45は、駆動ローラ42の回転により搬送方向(図2及び図4矢印参照)に回動することが可能であり、搬送用ベルト45の往路側となる上側45aは、食品を載置搬送する搬送面であり、復路側となる下側45bにテークローラ44が配置されている。
【0029】
調整部60は、クランク機構により搬送用ベルト45を着脱可能とする装置であり、搬送用ベルト45を使用中はテークローラ44により搬送用ベルト45にテンションを掛け、搬送用ベルト45を張り渡すことが可能であり、搬送用ベルト45をメンテナンスなどで外す時は、搬送用ベルト45のテンションを解除して、搬送用ベルト45の離脱を容易にしている。
【0030】
テークローラ44は、調整部60のテークフレーム61に回動自在に取り付けられ、テークフレーム61は、一対のコンロッド62とプッシュロッド63を介して先端ローラ43と連結している。コンロッド62の一端はテークフレーム61と連結され、他端はプッシュロッド63と回動自在に連結され、両端の連結は例えばネジ等で行われ、コンロッド62を回転させるとネジにより連結部分が伸縮してコンロッド62全体の長さを調整することが可能である。また、ネジは固定用ナットに固定されていてもよい。
【0031】
プッシュロッド63は、搬送用ベルト45の搬送方向に沿って延在する棒部材からなり、コンベアフレーム41に固定されている複数のフレーム梁41aの貫通孔に揺動自在に挿通されている。先端ローラ43は、切截部30に向かって開口した平面視コ字状を呈する先端フレーム43aの開口近傍に回転自在に取り付けられ、先端フレーム43aは、コンベアフレーム41に対してコンベアフレーム41の内側面に形成されたガイド溝41cに沿ってスライド可能に取り付けられている。
【0032】
調整部60には、操作レバー64が設けられ、操作レバー64の回動操作により、搬送用ベルト45の張りと緩みを調整し、同時に先端ローラ43の位置決めと移動を調整している。クランク機構である調整部60において、テークフレーム61が回転体であり、テークフレーム61とコンロッド62とが連結された部分が円周上を移動する点であり、先端ローラ43が直進運動をする運動点である。
【0033】
即ち、先端ローラ43およびテークローラ44が連動して移動可能であり、操作レバー64の操作により、テークローラ44が搬送用ベルト45と接触した状態において、先端ローラ43が回転刃32に接近した状態となり、テークローラ44が搬送用ベルト45から離間した状態において、先端ローラ43が回転刃32から離間した状態となる。
【0034】
テークローラ44が搬送用ベルト45から離間した状態において、搬送用ベルト45を調整部60から容易に取り外すことができる。
【0035】
操作レバー64を操作する(時計回りに回転)ことにより、テークローラ44は、搬送用ベルト45内に移動し、先端ローラ43も搬送用ベルト45内に移動する。即ち、駆動ローラ42以外の二つのローラであるテークローラ44と先端ローラ43が搬送用ベルト45の内側に格納することができるため、搬送用ベルト45の内側に充分なスペースが確保でき、テークローラ44および先端ローラ43に引っかかることがなく容易に搬送用ベルト45を取り外すことが可能となる。また、テークローラ44を畳む操作だけで先端ローラ43が格納されるため、少ない操作で簡単に搬送用ベルト45を取り外すことが可能となる。
【0036】
図5に調整部60の操作機構を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。図5に基づいて、操作機構を説明する。
【0037】
調整部60の操作機構は、テークフレーム61と、操作レバー64と、テーク軸65と、クランクアーム66と、カム67とを備える。また、テークフレーム61は、テークローラ44を支持するテークフレーム本体61aと、テークフレーム本体61aの上部61bに位置し操作レバー64と連結するテーク軸65と、テーク軸65を支持しテークフレーム本体61aと一体的に設けられた一対のクランクアーム66と、テーク軸65に取り付けられたカム67とを含む。
【0038】
また、調整部60には、一対のクランクアーム66に連結し、コンロッド62を回動自在に取り付ける連結部68が設けられている。そして、テーク軸65には、後述する固定ピン69が挿入して、テーク軸65の回転を固定する固定用溝65aが設けられ、テークローラ44は、ばね61fにより付勢されている。
【0039】
なお、一対のクランクアーム66のうち連結部68より下部に、上下に長孔形状の貫通孔66aが形成され、それぞれテーク軸65が挿通されている。一対のクランクアーム66の中間にカム67が位置し、テークフレーム61は、テーク軸65にぶら下がる形で支持されている。テーク軸65が貫通する貫通孔66aは、上下方向の寸法がテーク軸65の直径より大きいため、テーク軸65に対し多少の上下動が許容され、かつ自在に揺動できるようになっている。
【0040】
カム67は、搬送用ベルト45の使用時にテークフレーム本体61aの上部61bに当接している使用姿勢カム面67aと、搬送用ベルト45の離脱時に上部61bに当接している格納姿勢カム面67bとを有している。
【0041】
図6は、調整部60のクランク機構の動作を説明した概念図であり、(a)は搬送用ベルト45の使用時、(b)は搬送用ベルト45の取り外し時である。
【0042】
クランクアーム66は、テーク軸65に対してテークローラ44とは反対側の端部に位置している。コンロッド62の一端にはクランクアーム66が連結され、他端にはプッシュロッド63が連結されている。プッシュロッド63のコンロッド62と連結している側と反対側には、先端ローラ43と連結する先端フレーム43aが固定されている。
【0043】
先端ローラ43は、以下のクランク機構によりスライドする。
【0044】
図6(a)の状態から、作業者が操作レバー64を時計回りに回すと、テーク軸65が時計回りに回転する(図5(c)の矢印方向)。カム67の表面とテークフレーム本体61aの上部61bの接触によりテークフレーム本体61aが時計回りに回転する。テークフレーム本体61aのテーク軸65より下部がコンベアフレーム41に接近するのに伴い、テーク軸65より上部のクランクアーム66が駆動ローラ42側に回動し、コンロッド62を駆動ローラ42側に引き込む。それに連動してプッシュロッド63が駆動ローラ42側へ移動して先端フレーム43aが駆動ローラ42側に移動して、先端ローラ43が切截部30から離間する方向にスライドし、図6(b)の状態になる。
【0045】
他方、図6(b)の状態から、作業者が操作レバー64を反時計回りに回すと、テーク軸65が反時計回りに回転する。カム67の表面とテークフレーム本体61aの上部61bの接触によりテークフレーム本体61aも反時計回りに回転する。テークフレーム本体61aのテーク軸65より下部がコンベアフレームに対し垂直方向に起立するように下降するのに伴い、テーク軸65より上部のクランクアーム66が先端ローラ43側に移動し、コンロッド62を先端ローラ43側に押し込む。それに連動してプッシュロッド63が先端ローラ43側へ移動して先端フレーム43aが先端ローラ43側にスライドし、先端ローラ43が回転刃32に接近する方向にスライドし、図6(a)の状態になる。
【0046】
搬送用ベルト45の使用時は、テークローラ44が搬送用ベルト45と接触し、先端ローラ43が回転刃32に接近した状態により搬送用ベルト45が張られた状態にある(図6(a)参照)。搬送用ベルト45を取り外す時は、操作レバー64を時計回りに回転させると、テークローラ44が、搬送用ベルト45の搬送方向に移動するように回動し、クランク機構が作動して先端ローラ43が回転刃から離間する。このようにテークローラ44と先端ローラ43との2箇所のローラが連動して格納することで、搬送用ベルト45は弛み、取り外しが容易となる(図6(b)参照)。
【0047】
他方、搬送用ベルト45を装着する時は、操作レバー64を反時計回りに回転させると、テークローラ44が搬送用ベルト45に接触する方向へ下降し、クランク機構が作動して先端ローラ43が回転刃に接近する。このようにテークローラ44と先端ローラ43とが連動して搬送用ベルト45側に張り出すことで、搬送用ベルト45にテンションを掛け、食品が搬送できる使用状態となる(図6(a)参照)。
【0048】
コンロッド62は、一対のクランクアーム66に連結した連結部68の両端部にそれぞれ連結している(図3参照)。そしてそれぞれのコンロッド62がプッシュロッド63を介して先端フレーム43aと連結している。つまり先端ローラ43は、左右2つのコンロッド62と連結し、先述した通りコンロッド62の回転によりコンロッド62全体の長さを調整することで、回転刃32及び開口枠体36と先端ローラ43との距離を微調整できる。さらに、左右のコンロッド62の長さを別々に調整すると、搬送用ベルト45の蛇行を修正することができる。
【0049】
さらにコンロッド62は、テークフレーム61の上部61bに連結しているため、搬送用ベルト45を張り渡した状態で先端ローラ43の位置を調整することができる。つまり、テークローラ44により、搬送用ベルト45の復路側が十分に下方へ張り出しているため、搬送用ベルト45を取り外さなくてもコンロッド62に手が届き、搬送用ベルト45を装着したまま先端ローラ43の位置を調整することができる。
【0050】
図7は、テークフレーム61、カム67及びテークローラ44の回動を示すフロー図であり、(a)は側面図、(b)はカム面透視図であり、(1)は初期時、(2)から(5)は操作レバー64の270度までの回転、(6)は操作レバー64を360度回転した状態であり、操作レバー64を360度回転する変化を連続的に示している。
【0051】
搬送用ベルト45にテンション(張力)がかかっている時は、テークフレーム本体61aはコンベアフレーム41に対し垂直方向に起立した状態(使用状態)にあり、ユーザの操作により回転可能な操作レバー64は、コンベアフレーム41に対して平行な平方方向に位置している。当該状態において、カム67の使用姿勢カム面67aはテークフレーム本体61aの上部61bをテンションに対抗するように下方へ押圧することで、テークフレーム本体61aが起立した状態に維持している(図7(a)(b)の(1)参照)。操作レバー64を時計回りに回転させると同時にカム67も回転し、テーク軸65を中心にテークフレーム本体61aが回転するようになる。
【0052】
操作レバー64がコンベアフレーム41と平行な平行方向の位置(図7(a)(b)の(1)参照)から270度回転するまで(図7(a)(b)の(2)~(5)参照)は、使用姿勢カム面67aがテークフレーム本体61aから離間している。この時、テーク軸65は、テークフレーム本体61aから独立して回転し、カム67の下方への押圧力が解放され、テークフレーム本体61aは自重のみで下方へ垂れ下がる状態となる。このとき搬送用ベルト45の張力が緩み、テークフレーム本体61aは、搬送用ベルト45の張力で押し戻されやや傾いた状態となる。
【0053】
操作レバー64が270度回転する(図7(a)(b)の(5)参照)と、格納姿勢カム面67bが、テークフレーム本体61aの上部61bに接触してテークフレーム本体61aがテーク軸65を中心に大きく回転し始める。
【0054】
操作レバー64が270度回転した位置からさらに360度まで回転する(図7(a)(b)の(6)参照)と、格納姿勢カム面67bがテークフレーム本体61aの上部61bを押圧しながら回転する。この間は、テーク軸65がテークフレーム本体61aとともに回転し、最後には操作レバー64がコンベアフレーム41と平行な平行方向に位置する状態(格納状態)となる。
【0055】
このようにテーク軸65の回転に伴い、カム67がテークフレーム本体61aと接触した状態およびテークフレーム本体61aから離間した状態をとり、カム67がテークフレーム本体61aと接触した状態では、テーク軸65が回転するとともに、テークフレーム本体61aも揺動回転するようになっている。
【0056】
カム67の使用姿勢カム面67aがテークフレーム本体61aと接触した状態において、当該テークフレーム本体61aが、コンベアフレーム41に対し垂直な垂直方向に起立してテークローラ44が搬送用ベルト45と接触している。また、カム67の格納姿勢カム面67bがテークフレーム本体61aと接触した状態において、当該テークフレーム本体61aが、コンベアフレーム41と平行な平行方向に位置してテークローラ44が搬送用ベルトから離間している。
【0057】
テークフレーム本体61aが、コンベアフレーム41に対し垂直な垂直方向に起立した状態(使用状態)と、コンベアフレーム41に対し平行な平行方向に位置している状態(格納状態)とにおいて、テークフレーム本体61aは、約90度回動変更する。この時、操作レバー64も約90度回動した位置で停止すると、どちらかが搬送方向に垂直な方向となり、搬送用ベルト45の着脱時や切截作業時などを妨げる恐れがある。本実施形態の操作レバー64は、使用状態、格納状態のいずれの場合でも、コンベアフレーム41と平行な平行方向に操作レバー64は位置している。これにより、操作レバー64が邪魔することなく、搬送用ベルト45の着脱や切截作業などを行うことができる。
【0058】
操作レバー64及び操作レバー64と一体のテーク軸65の固定構造は、種々あるが、一例を図8に基づいて説明する。
【0059】
操作レバー64の先端には一体結合されたテーク軸65が設けられ、テーク軸65に固定用溝65aが形成されている。コンベアフレーム41には、コンベアフレーム41に対して上下に移動可能な固定ピン69が設けられている。
【0060】
固定ピン69の先端と固定用溝65aの関係は、遊嵌状態にある(図8(b)参照)。即ち、固定用溝65aの第1面65bは固定ピン69の一側面と当接しており、固定用溝65aの第2面65cは固定ピン69の他の側面と離間している。本実施形態では、固定ピン69の外径よりも固定用溝65aの内寸が大きく形成され、固定用溝65aの第2面65cが第1面65bよりも例えば10度傾斜している。
【0061】
テークフレーム本体61aが、コンベアフレーム41に対し垂直な垂直方向に起立した状態で、搬送用ベルト45をテークローラ44により張力を与え、搬送用ベルト45が回動可能である(図8(a)参照)。このとき、搬送用ベルト45の張力により操作レバー64を時計回りに回転させる力が働いているが、固定ピン69が固定用溝65aに入り込んで固定用溝65aの第1面65bと固定ピン69の側面が当接して、操作レバー64の回転を抑制している。
【0062】
操作レバー64を回転させる場合、搬送用ベルト45の張力に反して反時計回りに操作レバー64をわずかに持ち上げればよい。即ち、操作レバー64持ち上げることで、固定ピン69を固定用溝65aから離間され、搬送用ベルト45の張力による第1面65bとの摩擦がなくなるので、固定ピン69を引き上げやすくなる(図8(c)参照)。そして、固定ピン69が引き 上げられて操作レバー64の回転が可能となる(図8(d)参照)。操作レバー64を360度回転させ、テークフレーム本体61aがコンベアフレーム41と平行な平行方向に位置すると、再び固定ピン69が同じ固定用溝65aに入り込み、テーク軸65の回転を抑制し、テークフレーム本体61aがコンベアフレーム41と平行な位置を維持する。
【0063】
このように操作レバー64は、テークフレーム本体61aがコンベアフレーム41に対し垂直に起立した状態、及び平行な状態の双方において同じ姿勢をとるので、一つの固定ピン69と固定用溝65aで操作レバー64の回転を抑制し、テークフレーム本体61aのそれぞれの状態を維持する事ができる。
【0064】
テークローラ44は、テークフレーム本体61aに対して上下に調整可能とし、搬送用ベルト45の張力調整や蛇行修正するようにしても良い。調整機構について図9に基づいて説明する。
【0065】
テークフレーム本体61aには、開口されたガイド孔61cが設けられ、ガイド孔61cに調整ネジ61dが挿入されている。テークローラ44には左右に一対に突出するテークローラ軸44aが設けられ、テークローラ軸44aに形成されている雌ネジ孔44bに調整ネジ61dが螺合している。また、テークローラ軸44aは、調整ネジ61dの頭部61eとテークローラ軸44aとの間に配置されるばね(圧縮コイルばね)61fにより付勢されている。
【0066】
調整ネジ61dの頭部61eを右側に回すと、ばね61fの付勢力に反してテークローラ44が下がり(図9(a)参照)、調整ネジ61dの頭部61eを左側に回すと、ばね61fの付勢力と併せテークローラ44が上がる(図9(b)参照)。テークローラ44は、どの位置においてもばね61fの伸張力により上向きに付勢されているため、テークローラ44が落ちることなく調整した位置に停止する。
【0067】
ばね61fの伸張力により、頭部61eとガイド孔61cとの摩擦が生じるため、不意に調整ネジ61dが回ることがなく、調整ネジ61dを固定する手段が不要であり、容易にテークローラ44の位置調整が可能である。
【0068】
本実施形態のフードスライサ1のメンテナンスは、以下の手順で行われる(図3参照)。
【0069】
フードスライサ1の電源を外し、本体部10に回動自在に取り付けられている第1のカバー21および刃物カバー31を開き、て第2のカバー22を外し、ガイド板23を取り外す。次に、押さえ部50を固定している固定ネジ58を緩め、押さえアーム56を押さえ部用出力軸55から外し、押さえ部50およびギヤケース51を側方方向に引き抜く。この分解により、搬送部20の送り部40および調整部60が露出する。
【0070】
さらに、操作レバー64を360度回転させて、テークローラ44をコンベアフレーム41に接近させ、クランク機構により先端ローラ43を回転刃32から離間するようにスライドさせることにより、搬送用ベルト45が搬送部20から容易に外すことができる。そして、コンベアフレーム41の上部面に着脱自在に取り付けられ搬送用ベルト45の往路側を支持するコンベア底板41bを取り外すことができる。
【0071】
テークローラ44と先端ローラ43が搬送用ベルト45の内側に格納することができるため、搬送用ベルト45の内側に充分なスペースが確保でき、容易に搬送用ベルト45を取り外すことが可能となる。また、先端ローラ43が回転刃32から離間するため、先端ローラ43と回転刃32間、具体的には先端ローラ43と開口枠体36との隙間に溜まった食品のクズ等を除去しやすくなる。搬送用ベルト45を含むフードスライサ1の清掃が容易となり、衛生管理の向上に繋がる。
【0072】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係るフードスライサは、搬送用ベルトを容易に取り外しができることを望む分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 フードスライサ
2 架台
10 本体部
20 搬送部
30 切截部
32 回転刃
40 送り部
41 コンベアフレーム
41a フレーム梁
42 駆動ローラ
43 先端ローラ
43a 先端フレーム
44 テークローラ
45 搬送用ベルト
50 押さえ部
60 調整部
61 テークフレーム
61a テークフレーム本体
61f ばね
62 コンロッド
63 プッシュロッド
64 操作レバー
65 テーク軸
65a 固定用溝
66 クランクアーム
67 カム
67a 使用姿勢カム面
67b 格納姿勢カム面
69 固定ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9