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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220405BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018113082
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019216556
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】市川 正人
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-078357(JP,A)
【文献】特開平06-123449(JP,A)
【文献】特開2016-201883(JP,A)
【文献】特開2017-112794(JP,A)
【文献】特開2002-204580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、
電子部品配置面を有する収納ケースと、
前記電子部品配置面に対向する第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、前記収納ケース内に収納された配線基板と、
前記電子部品配置面上に配置された状態で前記収納ケース内に収納され、前記配線基板の配線に接続され、絶縁体で覆われた電子部品と、
露出した状態で前記配線基板の前記第2面上に配置された巻線部品と、を備え、
前記巻線部品は、前記第1面および前記第2面に交差する方向において前記配線基板に対して前記電子部品の反対側に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電子部品配置面上に配置された状態で前記収納ケース内に収納され、前記電子部品の入力側において前記配線基板の配線に接続された第2の電子部品と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2の電子部品の動作を制御する制御部と、
前記配線基板の前記第2面上に配置された接地電極と、を更に備え、
前記接地電極は、前記巻線部品と前記制御部との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記接地電極に接続された接地線を更に備え、
前記接地線は、前記巻線部品と前記制御部との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記巻線部品は、絶縁性を有する台座を介して前記配線基板の前記第2面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記巻線部品は、前記配線基板の前記第2面に対する前記巻線部品の投影面積が最小となる姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第2の電子部品は、前記制御部により制御され、前記入力電圧を整流して出力する整流回路を含むことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記整流回路が出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタを更に備えることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第2の電子部品は、前記平滑化キャパシタが平滑化した電圧を変換して出力するモジュールを含むことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記電子部品は、前記モジュールが出力した電圧を調整して出力するLCフィルタを構成するリアクタであることを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記LCフィルタは、前記配線基板の前記第2面上に配置されたキャパシタを有し、
前記キャパシタは、前記巻線部品に隣接して配置されていることを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記巻線部品は、
前記LCフィルタが出力した電圧をフィルタリングして出力することを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2の電子部品の入力側に接続され、前記入力電圧が供給される第1入力端子と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記入力電圧よりも低い第2入力電圧が供給される第2入力端子と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2入力電圧を電力変換した補助電源電圧を前記制御部に供給する補助電源と、を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第1入力端子と前記第2入力端子とは、互いに隣接して配置されていることを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
使用状態において、前記制御部は、前記巻線部品よりも鉛直上方に位置することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項15】
使用状態において、前記第2入力端子は、前記第1入力端子よりも鉛直上方に位置することを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯発電機等に用いられるインバータ式発電機には、エンジンの駆動にともなってエンジンに接続されたオルタネータに交流電圧を発生させ、発生した交流電圧を整流回路による整流および電解コンデンサによる平滑化によって直流電圧に変換し、変換された直流電圧をモジュールで交流電圧に変換するものがあった。
【0003】
また、インバータ式発電機においては、モジュールで変換される交流電圧のノイズのレベルに応じて、モジュールの出力側にノイズを低減するためのノイズフィルタを接続することがあった。ノイズフィルタは、モジュールや整流回路と比較して大型の巻線部品を有する。
【0004】
このようなインバータ式発電機において、各電子部品は、アルミニウム等の金属製の収納ケースに収納された状態で樹脂封止されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-102200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、巻線部品と収納ケースとの絶縁性を確保し且つ巻線部品を含む電子部品の配置面積を抑えながら巻線部品の配置の容易性を向上させることについて、有効な提案がなされていないのが実情であった。
【0007】
そこで、本発明は、巻線部品と収納ケースとの絶縁性を確保し且つ巻線部品を含む電子部品の配置面積を抑えながら、巻線部品の配置の容易性を向上させることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、
入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、
電子部品配置面を有する収納ケースと、
前記電子部品配置面に対向する第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、前記収納ケース内に収納された配線基板と、
前記電子部品配置面上に配置された状態で前記収納ケース内に収納され、前記配線基板の配線に接続され、絶縁体で覆われた電子部品と、
露出した状態で前記配線基板の前記第2面上に配置された巻線部品と、を備え、
前記巻線部品は、前記第1面および前記第2面に交差する方向において前記配線基板に対して前記電子部品の反対側に配置されている。
【0009】
前記電力変換装置において、
前記電子部品配置面上に配置された状態で前記収納ケース内に収納され、前記電子部品の入力側において前記配線基板の配線に接続された第2の電子部品と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2の電子部品の動作を制御する制御部と、
前記配線基板の前記第2面上に配置された接地電極と、を更に備え、
前記接地電極は、前記巻線部品と前記制御部との間に配置されていてもよい。
【0010】
前記電力変換装置において、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記接地電極に接続された接地線を更に備え、
前記接地線は、前記巻線部品と前記制御部との間に配置されていてもよい。
【0011】
前記電力変換装置において、
前記巻線部品は、絶縁性を有する台座を介して前記配線基板の前記第2面上に配置されていてもよい。
【0012】
前記電力変換装置において、
前記巻線部品は、前記配線基板の前記第2面に対する前記巻線部品の投影面積が最小となる姿勢で配置されていてもよい。
【0013】
前記電力変換装置において、
前記第2の電子部品は、前記制御部により制御され、前記入力電圧を整流して出力する整流回路を含んでもよい。
【0014】
前記電力変換装置において、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記整流回路が出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタを更に備えてもよい。
【0015】
前記電力変換装置において、
前記第2の電子部品は、前記平滑化キャパシタが平滑化した電圧を変換して出力するモジュールを含んでもよい。
【0016】
前記電力変換装置において、
前記電子部品は、前記モジュールが出力した電圧を調整して出力するLCフィルタを構成するリアクタであってもよい。
【0017】
前記電力変換装置において、
前記LCフィルタは、前記配線基板の前記第2面上に配置されたキャパシタを有し、
前記キャパシタは、前記巻線部品に隣接して配置されていてもよい。
【0018】
前記電力変換装置において、
前記巻線部品は、
前記LCフィルタが出力した電圧をフィルタリングして出力してもよい。
【0019】
前記電力変換装置において、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2の電子部品の入力側に接続され、前記入力電圧が供給される第1入力端子と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記入力電圧よりも低い第2入力電圧が供給される第2入力端子と、
前記配線基板の前記第2面上に配置され、前記第2入力電圧を電力変換した補助電源電圧を前記制御部に供給する補助電源と、を更に備えてもよい。
【0020】
前記電力変換装置において、
前記第1入力端子と前記第2入力端子とは、互いに隣接して配置されていてもよい。
【0021】
前記電力変換装置において、
使用状態において、前記制御部は、前記巻線部品よりも鉛直上方に位置してもよい。
【0022】
前記電力変換装置において、
使用状態において、前記第2入力端子は、前記第1入力端子よりも鉛直上方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、電子部品配置面を有する収納ケースと、電子部品配置面に対向する第1面および第1面と反対側の第2面を有し、収納ケース内に収納された配線基板と、電子部品配置面上に配置された状態で収納ケース内に収納され、配線基板の配線に接続され、絶縁体で覆われた電子部品と、露出した状態で配線基板の第2面上に配置された巻線部品と、を備え、巻線部品は、第1面および第2面に交差する方向において配線基板に対して電子部品の反対側に配置されている。
本発明によれば、収納ケースと巻線部品との間に絶縁体で覆われた電子部品と配線基板とを介在させることができるので、巻線部品と収納ケースとの絶縁性を確保し、且つ、巻線部品を含む電子部品の配置面積を抑えることができる。さらに、巻線部品と収納ケースとの絶縁性が確保されているので、巻線部品の絶縁距離を確保するための煩雑な作業を行うことを要しない。
したがって、本発明によれば、巻線部品と収納ケースとの絶縁性を確保し且つ巻線部品を含む電子部品の配置面積を抑えながら、巻線部品の配置の容易性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態に係る電力変換装置100が適用される発電システム1000のブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る電力変換装置100を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す平面図である。
図4】第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す図3のIV-IV断面図である。
図5】第1の実施形態に係る電力変換装置100において、配線基板10に搭載された入出力端子TIN1、TIN2、TOUT、電子部品Cf、W、Cfxおよび補助電源Pを示す斜視図である。
図6】第1の実施形態に係る電力変換装置100において、収納ケースHを示す斜視図である。
図7】第1の実施形態に係る電力変換装置100において、収納ケースHおよび収納ケースH上の電子部品Y、M、Rを示す斜視図である。
図8】第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す分解斜視図である。
図9】第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す側面図である。
図10】第2の実施形態に係る電力変換装置100の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置100が適用される発電システム1000のブロック図である。図2は、第1の実施形態に係る電力変換装置100を示すブロック図である。図3は、第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す平面図である。図4は、第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す図3のIV-IV断面図である。図5は、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、配線基板10に搭載された入出力端子TIN1、TIN2、TOUT、電子部品Cf、W、Cfxおよび補助電源Pを示す斜視図である。図6は、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、収納ケースHを示す斜視図である。図7は、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、収納ケースHおよび収納ケースH上の電子部品Y、M、Rを示す斜視図である。図8は、第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す分解斜視図である。図9は、第1の実施形態に係る電力変換装置100を示す側面図である。
【0027】
発電システム1000は、例えば、図1に示すように、エンジンEと、エンジンEに接続された図示しないオルタネータ(主電源)によって駆動されるファンXと、エンジンEに接続され、オルタネータから供給された電圧を電力変換して出力する電力変換装置100とを備える。発電システム1000は、例えば、携帯発電機などに適用することができる。
【0028】
この発電システム1000において、ファンXが駆動することにより、外部から気流Aが発電システム1000の内部に流れ込み、電力変換装置100及びエンジンEの周囲に誘導される。これにより、電力変換装置100及びエンジンEが気流Aにより冷却され、電力変換装置100及びエンジンEが発した熱が気流Bとともに外部に放出されることなる。
【0029】
このような電力変換装置100は、例えば、図2図4に示すように、収納ケースHと、配線基板10と、封止樹脂11と、第1入力端子TIN1と、第2入力端子TIN2と、整流回路Yと、平滑化キャパシタCと、モジュールMと、LCフィルタFX(リアクタR、キャパシタCfx)と、ノイズフィルタFと、出力端子TOUTと、制御部CONと、補助電源Pと、放熱フィンZと、封止樹脂11とを備える。
【0030】
LCフィルタFXのリアクタRは、電子部品の一例である。整流回路YおよびモジュールMは、第2の電子部品の一例である。なお、図3において、電子部品C、Y、M、Rは、破線または実線で模式的に表現されている。
【0031】
ノイズフィルタFは、巻線部品Wと、キャパシタCfとを備える。巻線部品Wは、例えば、コモンモードのチョークコイルであってもよい。キャパシタCfは、複数のキャパシタを含んでいてもよい。
【0032】
以下、これらの電力変換装置100の各構成部の詳細について順に説明する。
【0033】
(収納ケースH)
収納ケースHは、電力変換装置100の各構成部を収納するケースである。収納ケースHは、例えば、アルミニウムなどの金属で構成されている。図4に示すように、収納ケースHは、電子部品配置面A1と、電子部品配置面A1の反対側の裏面A2とを有する。電子部品配置面A1は、上面または内面ということもでき、裏面A2は、下面または外面ということもできる。
【0034】
図6に示すように、収納ケースHの電子部品配置面A1上には、各電子部品Y、C、M、Rのそれぞれを配置するための具体的な領域が設けられている。具体的には、電子部品配置面A1上には、整流回路Yを配置するための第1領域と、モジュールMを配置するための第2領域と、リアクタRを配置するための第3領域とが設けられている。より具体的には、電子部品配置面A1上には、裏面A2側に向かって凹むように、第1領域の一例である第1凹部S1bと、第2領域の一例である第2凹部S2bと、第3領域の一例である第3凹部S3bとが設けられている。第2凹部S2bは、第1凹部S1bに隣接して設けられている。また、第3凹部S3bは、第2凹部S2bに隣接して設けられている。なお、図4および図6に示すように、各凹部S1b、S2b、S3bの反対側の裏面A2上の領域は、凹部S1b、S2b、S3bが設けられていない電子部品配置面A1上の領域の反対側に位置する裏面A2上の領域よりも突出した凸部S1a、S2a、S3aとなっている。
【0035】
また、収納ケースHには、裏面A2から突出するように放熱フィンZが設けられている。放熱フィンZは、外部から供給された気流Aにより冷却されることで、発熱源である電子部品(例えば、整流回路YおよびモジュールM)が発する熱を外部に放出する。放熱フィンZは、例えば、アルミニウム等の金属材料を用いたダイカスト法などの金型鋳造法によって、収納ケースHと一体成型されていてもよい。
【0036】
(配線基板10)
配線基板10は、電子部品配置面A1に対向する第1面S1および第1面S1と反対側の第2面S2を有し、収納ケースH内に収納されている。
【0037】
配線基板10には、電力変換装置100の端子と電子部品あるいは電子部品同士を電気的に接続するための複数の配線10Ya、10Ca、10Cb、10Ra、10Rb、10Fa、10a、10bおよび複数の電極10Y、10M、10Rが設けられている。
【0038】
また、配線基板10の第2面S2には、接地電極GNDおよび接地電極GNDに接続された接地線GLが設けられている。
【0039】
なお、図3では、配線基板10に設けられた配線および電極を簡略化して表現している。
【0040】
(第1入力端子TIN1)
第1入力端子TIN1は、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、第1入力端子TIN1は、配線基板10の第2面S2のうちの配線基板10の第1側端部101側の第1配線領域WA1上に配置されている。
【0041】
第1入力端子TIN1は、配線基板10の配線10Yaを介して整流回路Yの入力に接続されている。
【0042】
このような第1入力端子TIN1には、主電源であるオルタネータから第1入力電圧VIN1が供給される。
【0043】
(第2入力端子TIN2)
第2入力端子TIN2は、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、第2入力端子TIN2は、配線基板10の第2面S2のうちの第1配線領域WA1上に配置されている。より詳しくは、第2入力端子TIN2は、第1入力端子TIN1よりも配線基板10の第1側端部101側に配置されている。より詳しくは、第2入力端子TIN2は、第1入力端子TIN1と隣接して配置されている。
【0044】
第2入力端子TIN2は、配線基板10の配線10Paを介して補助電源Pの入力側に接続されている。
【0045】
このような第2入力端子TIN2には、図示しない外部電源から、第1入力電圧VIN1よりも低い第2入力電圧VIN2が供給される。
【0046】
(電子部品)
整流回路Yは、配線基板10の第2面S2のうちの配線基板10の第1側端部101側の第1配線領域WA1において、配線基板10の配線10Ya、10Ca、10aに接続されている。
【0047】
より詳しくは、整流回路Yは、収納ケースHの電子部品配置面A1上の第1凹部S1bに配置された状態で、収納ケースHに収納されている。整流回路Yは、第1入力端子TIN1の出力側かつモジュールMの入力側において、配線10Ya、10Ca、10aに接続されている。より詳しくは、整流回路Yは、配線10Yaを介して第1入力端子TIN1の出力に接続されている。また、整流回路Yは、配線10Caを介して平滑化キャパシタCの入力に接続されている。また、整流回路Yは、配線10aを介して制御部CONに接続されている。
【0048】
より詳しくは、整流回路Yは、第1入力電圧VIN1、整流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子YTを有する。これらの端子YTは、配線基板10の電極10Yにはんだ材等によって電気的に接続されている。整流回路Yは、封止樹脂11とは異なる封止樹脂によってモールドされている。
【0049】
このような整流回路Yは、制御部CONにより制御され、第1入力電圧VIN1を整流して出力する。
【0050】
平滑化キャパシタCは、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、平滑化キャパシタCは、配線基板10の第2面S2のうちの第2側端部102側の第2配線領域WA2上に配置されている。なお、第1配線領域WA1は、第1側端部101に沿った方向において第2配線領域WA2よりも大きくてもよい。
【0051】
平滑化キャパシタCは、整流回路Yの出力側かつモジュールMの入力側に接続されている。より詳しくは、平滑化キャパシタCは、配線10Caおよび電極10Yを介して整流回路Yの出力に接続され、また、配線10Cbおよび電極10Mを介してモジュールMの入力に接続されている。
【0052】
このような平滑化キャパシタCは、整流回路Yが出力した電圧を平滑化し、平滑化した電圧を出力する。
【0053】
モジュールMは、電子部品配置面A1上に配置された状態で収納ケースH内に収納されている。より詳しくは、モジュールMは、収納ケースHの電子部品配置面A1上の第2凹部S2bに、整流回路Yに隣接して配置されている。
【0054】
モジュールMは、第1入力端子TIN1の出力側かつリアクタRの入力側において配線基板10の配線10Cb、10b、10Raに接続されている。より詳しくは、モジュールMは、第2面S2のうちの第2配線領域WA2において、配線10Cb、10b、10Raに接続されている。より詳しくは、モジュールMは、整流電圧、交流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子MTを有する。これらの端子MTは、配線基板10の電極10Mにはんだ材等によって電気的に接続されている。そして、モジュールMは、配線10Cbおよび電極10Mを介して平滑化キャパシタCの出力に接続されている。また、モジュールMは、配線10Raおよび電極10Mを介してリアクタRの入力に接続されている。また、モジュールMは、配線10bおよび電極Mを介して制御部CONに接続されている。
【0055】
また、モジュールMは、封止樹脂11とは異なる封止樹脂によってモールドされている。
【0056】
このようなモジュールMは、制御部CONにより制御され、平滑化キャパシタCが平滑化した電圧(すなわち、整流回路Yが整流した電圧)を変換して出力する。
【0057】
リアクタRは、電子部品配置面A1上の第3凹部S3bにモジュールMに隣接して配置された状態で収納ケースH内に収納されている。リアクタRは、モジュールMが出力した電圧が入力され、調整した電圧を出力するための複数の端子RTを有する。これらの端子RTは、配線基板10の電極10Rにはんだ材等によって電気的に接続されている。
【0058】
リアクタRは、配線基板10の配線10Raおよび電極10Mを介してモジュールMの出力に接続されている。また、リアクタRは、配線基板10の配線10Rbおよび電極10Rを介してノイズフィルタFの入力に接続されている。
【0059】
また、リアクタRは、樹脂等の絶縁体Iで覆われている。
【0060】
このようなリアクタRは、モジュールMが出力した電圧を調整して出力する。
【0061】
ノイズフィルタFは、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、ノイズフィルタFは、第2面S2のうちの第2配線領域WA2上に配置されている。ノイズフィルタFは、モジュールMの出力側かつ出力端子TOUTの入力側に配置されている。
【0062】
ノイズフィルタFの巻線部品Wは、円環状のコアW1と、コアW1に巻き付けられたワイヤW2とを有する。巻線部品Wは、露出した状態で配線基板10の第2面S2上に配置されている。巻線部品Wは、第1面S1および第2面S2に直交する方向において配線基板10に対してリアクタRの反対側に配置されている。
【0063】
また、巻線部品Wは、絶縁性を有する台座PEを介して配線基板10の第2面S2上に配置されている
【0064】
また、巻線部品Wは、配線基板10の第2面S2に対する巻線部品Wの投影面積が最小となる姿勢で配置されている。図5の例において、巻線部品Wは、コアW1の中心軸CAが第2面S2に平行になるように立てた状態で第2面S2上に配置されている。
【0065】
ノイズフィルタFは、リアクタRおよびキャパシタCfxで構成されるLCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリングする過程でキャパシタCfx、Cfとの間で電圧を入出力するための図示しない複数の端子を有する。これらの端子は、配線基板10の電極にはんだ材等によって電気的に接続されている。ノイズフィルタFは、配線10Rbを介してリアクタRの出力に接続され、また、配線10Faを介して出力端子TOUTの入力に接続されている。
【0066】
このようなノイズフィルタFは、LCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリング(すなわち、調整)して出力する。
【0067】
ここで、露出した巻線部品Wは、制御部CONにとってノイズ源となり得る。このような巻線部品Wによるノイズの影響を緩和するため、接地電極GNDは、巻線部品Wと制御部CONとの間に配置されている。同様に、接地線GLも、巻線部品Wと制御部CONとの間に配置されている。
【0068】
(出力端子TOUT)
出力端子TOUTは、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、出力端子TOUTは、第2面S2のうちの第1配線領域WA1上に配置されている。
【0069】
出力端子TOUTは、配線基板10の配線10Faを介してノイズフィルタFの出力に接続されている。
【0070】
このような出力端子TOUTは、ノイズフィルタFから供給された電圧を出力電圧VOUTとして出力する。
【0071】
(制御部CON)
制御部CONは、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、制御部CONは、配線基板10の第2面S2のうちの第1配線領域WA1上に配置されている。より詳しくは、制御部CONは、出力端子TOUTよりも第1側端部101側に配置されている。既述したように、制御部CONは、配線10aおよび電極Yを介して整流回路Yに接続され、また、配線10bおよび電極10Mを介してモジュールMに接続されている。
【0072】
このような制御部CONは、電子部品Y、Mの動作を制御する。より詳しくは、制御部CONは、配線10aおよび電極10Yを介して整流回路Yに制御信号を入出力することで、整流回路Yの動作を制御する。また、制御部CONは、配線10bおよび電極10Mを介してモジュールMに制御信号を入出力することで、モジュールMの動作を制御する。
【0073】
また、制御部CONは、例えば、電子部品M、Yへの制御信号が適切に入力されたか否か等に基づいて、電子部品M、Y等で構成されるパワーラインの異常を検知する。制御部CONは発電システム1000の表示部にアラームを表示することで、検知したパワーラインの異常をユーザに通知してもよい。また、制御部CONは、検知したパワーラインの異常を発電システム1000の制御部に通知してもよい。発電システム1000の制御部は、制御部CONから異常が通知された場合に、エンジンEの停止等のシステム1000の異常停止を実行してもよい。
【0074】
(補助電源P)
補助電源Pは、配線基板10の第2面S2上に配置されている。より詳しくは、補助電源Pは、配線基板10の第2面S2のうちの第1配線領域WA1上に配置されている。
【0075】
補助電源Pは、第2入力電圧VIN2を補助電源電圧に変換するトランスTを備える。補助電源Pは、トランスT以外にも、キャパシタ等の素子を更に備えてもよい。
【0076】
補助電源Pは、配線10Paを介して第2入力端子TIN2の出力に接続されている。また、補助電源Pは、配線10cを介して制御部CONに接続されている。
【0077】
このような補助電源Pは、第2入力電圧VIN2を電力変換した補助電源電圧を制御部CONに供給する。
【0078】
(封止樹脂11)
封止樹脂11は、収納ケースHの電子部品配置面A1上で、整流回路Y、モジュールM、およびリアクタRを封止する。また、封止樹脂11は、配線基板10および配線基板10の第2面S2上の制御部CONを封止する。
【0079】
また、封止樹脂11は、第1入力端子TIN1、第2入力端子TIN2、平滑化キャパシタC、ノイズフィルタFおよび出力端子TOUTのそれぞれと配線基板10との接続部分を封止する。
【0080】
以下、第1の実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0081】
第1の実施形態に係る電力変換装置100は、第1入力電圧VIN1を電力変換した出力電圧VOUTを出力する。電力変換装置1は、電子部品配置面A1を有する収納ケースHと、電子部品配置面A1に対向する第1面S1および第1面S1と反対側の第2面S2を有し、収納ケースH内に収納された配線基板10と、電子部品配置面A1上に配置された状態で収納ケースH内に収納され、配線基板10の配線に接続され、絶縁体Iで覆われたリアクタRと、露出した状態で配線基板10の第2面S2上に配置された巻線部品Wとを備える。巻線部品Wは、第1面S1および第2面S2に交差する方向において配線基板10に対してリアクタRの反対側に配置されている。
【0082】
このような構成によれば、収納ケースHと巻線部品Wとの間に絶縁体Iで覆われたリアクタRと配線基板10とを介在させることができるので、巻線部品Wと収納ケースHとの絶縁性を確保し、且つ、巻線部品Wを含む電子部品の配置面積を抑えることができる。さらに、巻線部品Wと収納ケースHとの絶縁性が確保されているので、例えば、コアW1と第2面S2との距離を調整するような巻線部品Wの絶縁距離を確保するための煩雑な作業を行うことを要しない。
【0083】
したがって、第1の実施形態によれば、巻線部品Wと収納ケースHとの絶縁性を確保し且つ巻線部品Wを含む電子部品の配置面積を抑えながら、巻線部品Wの配置の容易性を向上させることができる。
【0084】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100は、電子部品配置面A1上に配置された状態で収納ケースHに収納され、リアクタRの入力側において配線基板の配線に接続された整流回路YおよびモジュールMと、配線基板10の第2面S2上に配置され、整流回路YおよびモジュールMの動作を制御する制御部CONと、配線基板10の第2面S2上に配置された接地電極GNDとを更に備える。接地電極GNDは、巻線部品Wと制御部CONとの間に配置されている。
【0085】
このような構成によれば、制御部CONにとってノイズ源となり得る巻線部品Wと制御部CONとの間に接地電極GNDが配置されていることで、ノイズを有効に緩和することができる。
【0086】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100は、配線基板10の第2面S2上に配置され、接地電極GNDに接続された接地線GLを備え、接地線GLは、巻線部品Wと制御部CONとの間に配置されている。
【0087】
このような構成によれば、制御部CONにとってノイズ源となり得る巻線部品Wと制御部CONとの間に接地線GLが配置されていることで、ノイズを更に有効に緩和することができる。
【0088】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、巻線部品Wは、絶縁性を有する台座PEを介して配線基板10の第2面S2上に配置されている。
【0089】
このような構成によれば、台座PEによって巻線部品Wと収納ケースHとの絶縁性を更に有効に確保することができるので、巻線部品Wを更に容易に配置することが可能となる。
【0090】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、巻線部品Wは、配線基板10の第2面S2に対する巻線部品Wの投影面積が最小となる姿勢で配置されている。
【0091】
このような構成によれば、巻線部品Wの配置面積を更に抑えることができる。
【0092】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、第1入力端子TIN1と第2入力端子TIN2とは、互いに隣接して配置されている。
【0093】
このような構成によれば、第2入力端子TIN2を第1入力端子TIN1とまとめて配置することで、第1入力端子TIN1および第2入力端子TIN2への電源ケーブルの接続状態を一目で容易に確認することができる。
【0094】
また、第1の実施形態に係る電力変換装置100において、LCフィルタFXのキャパシタCfxは、第2面S2上において巻線部品Wに隣接して配置されている。
【0095】
このような構成によれば、電子部品の配置面積を更に抑えることが可能となる。
【0096】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る電力変換装置100の使用状態を示す図である。
【0097】
既述したように、第1入力端子TIN1、第2入力端子TIN2、補助電源Pおよび制御部CONは、配線基板10の第2面S2のうちの第1配線領域WA1上に配置されている。そして、電力変換装置100の使用状態において、図10に示すように、制御部CONは、第2配線領域WA2上に配置された巻線部品Wよりも鉛直上方dに位置する。また、第2入力端子TIN2は、第1入力端子TIN1よりも鉛直上方dに位置する。
【0098】
このような構成によれば、第1配線領域WA1側を上に向けて電力変換装置100を使用する場合に、モジュールM等から構成されるパワーラインが水wに浸漬した場合であっても、制御部CON等から構成される制御ラインの浸水を回避できる可能性を高めることができる。制御ラインの浸水を回避する可能性を高めることで、制御ラインの動作の確実性を向上させることができる。
【0099】
上述した実施形態は、あくまで一例であって、発明の範囲を限定するものではない。発明の要旨を逸脱しない限度において、上述した実施形態に対して種々の変更を行うことができる。変更された実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
100 電力変換装置
10 配線基板
A1 電子部品配置面
H 収納ケース
S1 第1面
S2 第2面
R リアクタ
W 巻線部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10