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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】同期電動機の回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20220405BHJP
【FI】
H02K1/276
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018132900
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020014268
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志津 達哉
(72)【発明者】
【氏名】横地 孝典
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056065(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107591911(CN,A)
【文献】特開2017-108626(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045999(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0035677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、
前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、
前記複数のスリットは、調整スリットと、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成された複数の磁路形成スリットとを含み、
複数の前記磁路形成スリットの少なくとも1つが被調整スリットであり、
前記各磁路形成スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記磁路形成スリットの外側部分に磁路が形成されており、
隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記被調整スリットと前記永久磁石との間に前記調整スリットが形成されており、
複数の前記磁路形成スリットの少なくとも1つは、前記永久磁石との間に前記調整スリットが形成されない未被調整スリットであり、
前記被調整スリットと前記未被調整スリットは、前記交差する方向で隣り合っており、
前記被調整スリットと前記未被調整スリットの間の前記永久磁石側の磁路であって、前記調整スリットに前記交差する方向で隣接する磁路は、磁束制限磁路であり、
前記磁束制限磁路の前記交差する方向の幅(W4)は、前記交差する方向における最も外側の前記磁路形成スリットの外側部分の磁路の幅(W2)よりも狭くなっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項2】
請求項1に記載の同期電動機の回転子であって、
前記調整スリットの前記交差する方向の最大幅が、前記被調整スリットの前記交差する方向の最大幅よりも広い、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の同期電動機の回転子であって、
前記調整スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の同期電動機の回転子であって、
前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項5】
請求項4に記載の同期電動機の回転子であって、
前記交差する方向は、前記永久磁石の辺に沿った第1方向であり、
前記永久磁石の前記第1方向の一端側における、前記回転子コアの外周端と前記磁石挿入穴の縁との最短距離であるW1、
前記第1方向の距離であって、前記永久磁石の前記一端から、前記一端に最も近い前記磁路形成スリットの前記一端側の縁までの距離であるW2、
前記第1方向の距離であって、前記被調整スリットの前記一端側の縁から、当該被調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該被調整スリット側の縁までの距離であるW3、および、
前記第1方向の距離であって、前記調整スリットの前記一端側の縁から、当該調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該調整スリット側の縁までの距離であるW4は、下記(1)式の関係を満たす、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
(W2-W1)/W2=W4/W3 ・・・(1)
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の同期電動機の回転子であって、
前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットの両側にある前記磁路形成スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項7】
珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、
前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、
前記複数のスリットは、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成されており、
前記各スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記スリットの外側部分に磁路が形成されており、
隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記交差する方向の最大幅が異なる2種類以上の前記スリットが形成されており、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、前記永久磁石側から前記回転子コアの外周側に向かって延びて、前記永久磁石側の端部の前記交差する方向の幅が、前記回転子コアの外周側の端部の前記交差する方向の幅よりも広い変形スリットであり、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、前記交差する方向の幅が略一定で、前記永久磁石側から前記回転子コアの外周側に向かって延びる未変形スリットであり、
前記変形スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記未変形スリットの両側に隣り合って形成されており、
前記変形スリットと前記未変形スリットの間の磁路であって、前記変形スリットの前記交差する方向の幅が最大幅となる前記永久磁石側の端部に前記交差する方向で隣接する磁路は、磁束制限磁路であり、
前記磁束制限磁路の前記交差する方向の幅(W6)は、前記交差する方向における最も外側の前記スリットの外側部分の磁路の幅(W2)よりも狭くなっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【請求項8】
請求項に記載の同期電動機の回転子であって、
前記変形スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期電動機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石同期電動機には様々な構造が存在し、永久磁石を回転子の外周面に貼り付けた表面磁石同期電動機(以下、「SPM」と言う)と、永久磁石を回転子鉄心に埋め込んだ埋込磁石同期電動機(以下、「IPM」、または、単に「同期電動機」と言う)がよく知られている。
【0003】
IPMは、永久磁石を回転子内に埋め込んだ構造であるため、回転子の表面に永久磁石を貼り付けたSPMと比較し、回転子が高速回転した際に永久磁石が飛散するリスクが小さい。また、IPMは、SPMのように回転子の表面に永久磁石を貼り付けるための曲面を永久磁石に設ける必要がなく、平板の永久磁石を採用できるため、コストを抑えることができる。
【0004】
従って、例えばIPMを工作機械の送り軸を駆動するためのサーボモータに採用することができれば高信頼性と低コストを実現することができる。ただし、一般的にIPMはSPMと比較してインダクタンスが大きく、電流の追従遅れが生じるため、制御性が悪い。よって、高速高精度な位置決め動作を要求されるサーボモータには不向きである。
【0005】
これに関して、IPMのインダクタンスを低減するための回転子構造として、例えば特許文献1に開示された回転子が知られている。以下に、その回転子の構造について、図5を用いて説明する。図5は、従来のIPMにおける回転子の断面の一例を示す図である。回転子50は、珪素鋼板等を積層して構成された回転子コア51と、複数の永久磁石53とを備える。回転子コア51は、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴57と、磁石挿入穴57のそれぞれの外周側に形成された複数のスリット52とを含む。各永久磁石53は、各磁石挿入穴57に埋設され、磁極の向きが回転子コア51の径方向である。回転子50は、その中心において回転軸(不図示)と接続されている。磁石挿入穴57およびスリット52は、回転軸の軸方向(紙面を突き抜ける方向)にあいた穴(空隙)である。隣り合うスリット52の間、および、スリット52と回転子コア51の外周端との間に、磁路54が形成される。
【0006】
なお、回転子50の径方向外側には、図示しない固定子が配置される。固定子は略円筒形状を有し、円筒形の内周面に周方向に沿って複数の極歯が配列される。極歯の間の空間はスロットと呼ばれ、巻線がスロットを通過しつつ極歯に巻回されて磁極が形成される。
【0007】
図6は、図5の回転子50の一部を拡大し、永久磁石53から発生する磁束55と、固定子巻線に電流を通電することによって発生する磁束56を示した図である。図6から、スリット52は固定子巻線に電流を通電することによって発生する磁束56の通過を妨げるように配置されていることが分かる。このようにスリット52を配置し、固定子巻線に電流を通電することによって発生する磁束56を低減することでIPMのインダクタンスを低減している。一方、永久磁石53は径方向外側の向きに着磁されており、永久磁石53から発生する磁束55は磁路54を通過して、固定子に流れる。
【0008】
ここで、磁極中心から遠い磁路54aと磁極中心に近い磁路54bのそれぞれを通過する磁束量に着目する。図6において磁束55の本数は磁束の相対的な量を示している。また、説明を簡単にするため、磁路54aと磁路54bの幅(永久磁石53の磁極の向きと交差する方向の幅、図6では永久磁石53の辺に沿った方向である左右方向の幅)は等しく設定されている。このため、磁路54aと磁路54bには永久磁石53から同量(3本)の磁束が流入する。磁路54bでは流入した3本がそのまま固定子に3本流出している。これに対し、磁路54aでは磁極間のつなぎ部分に磁束が1本漏れるため、流入した3本の内2本だけが固定子に流出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平8-182267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来のIPMの回転子では、永久磁石53から発生する磁束が、磁極中心から遠い磁路54aよりも磁極中心に近い磁路54bを多く通過して、固定子に流れ込む。ここで、磁束の通過量と磁気吸引力はほぼ比例関係にあるため、磁束の通過量の多い磁路では大きい磁気吸引力が発生し、磁束の通過量の少ない磁路では小さい磁気吸引力しか発生しない。このように磁路によって磁束の通過量が異なると、回転子50の回転位置によって磁気吸引力に差が生じる。すなわち、固定子の極歯に磁束通過量の多い磁路が近づいた場合は磁気吸引力が大きくなり、逆に固定子の極歯に磁束通過量の少ない磁路が近づいた場合は磁気吸引力が小さくなる。このように回転子50の回転位置によって磁気吸引力が変動すると、回転子50が回転した際にコギングトルクと呼ばれるトルクの脈動が発生してしまう。
【0011】
コギングトルクの大きいサーボモータを、例えば工作機械の送り軸に使用した場合、切削面に筋目が現れる等の不具合を生じる。本発明の目的は、コギングトルクを低減することができる同期電動機の回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の同期電動機の回転子は、上記の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0013】
本発明の同期電動機の回転子は、珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、前記複数のスリットは、調整スリットと、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成された複数の磁路形成スリットとを含み、複数の前記磁路形成スリットの少なくとも1つが被調整スリットであり、前記各磁路形成スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記磁路形成スリットの外側部分に磁路が形成されており、隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記被調整スリットと前記永久磁石との間に前記調整スリットが形成されており、複数の前記磁路形成スリットの少なくとも1つは、前記永久磁石との間に前記調整スリットが形成されない未被調整スリットであり、前記被調整スリットと前記未被調整スリットは、前記交差する方向で隣り合っており、前記被調整スリットと前記未被調整スリットの間の前記永久磁石側の磁路であって、前記調整スリットに前記交差する方向で隣接する磁路は、磁束制限磁路であり、前記磁束制限磁路の前記交差する方向の幅(W4)は、前記交差する方向における最も外側の前記磁路形成スリットの外側部分の磁路の幅(W2)よりも狭くなっている、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の同期電動機の回転子において、前記調整スリットの前記交差する方向の最大幅が、前記被調整スリットの前記交差する方向の最大幅よりも広い、としても好適である。
【0015】
本発明の同期電動機の回転子において、前記調整スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、としても好適である。
【0016】
本発明の同期電動機の回転子において、前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットである、としても好適である。
【0017】
本発明の同期電動機の回転子において、前記交差する方向は、前記永久磁石の辺に沿った第1方向であり、前記永久磁石の前記第1方向の一端側における、前記回転子コアの外周端と前記磁石挿入穴の縁との最短距離であるW1、前記第1方向の距離であって、前記永久磁石の前記一端から、前記一端に最も近い前記磁路形成スリットの前記一端側の縁までの距離であるW2、前記第1方向の距離であって、前記被調整スリットの前記一端側の縁から、当該被調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該被調整スリット側の縁までの距離であるW3、および、前記第1方向の距離であって、前記調整スリットの前記一端側の縁から、当該調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該調整スリット側の縁までの距離であるW4は、下記(1)式の関係を満たす、としても好適である。
(W2-W1)/W2=W4/W3 ・・・(1)
【0018】
本発明の同期電動機の回転子において、前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットの両側にある前記磁路形成スリットである、としても好適である。
【0019】
本発明の同期電動機の回転子は、珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、前記複数のスリットは、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成されており、前記各スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記スリットの外側部分に磁路が形成されており、隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記交差する方向の最大幅が異なる2種類以上の前記スリットが形成されており、前記複数のスリットの少なくとも1つは、前記永久磁石側から前記回転子コアの外周側に向かって延びて、前記永久磁石側の端部の前記交差する方向の幅が、前記回転子コアの外周側の端部の前記交差する方向の幅よりも広い変形スリットであり、前記複数のスリットの少なくとも1つは、前記交差する方向の幅が略一定で、前記永久磁石側から前記回転子コアの外周側に向かって延びる未変形スリットであり、前記変形スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記未変形スリットの両側に隣り合って形成されており、前記変形スリットと前記未変形スリットの間の磁路であって、前記変形スリットの前記交差する方向の幅が最大幅となる前記永久磁石側の端部に前記交差する方向で隣接する磁路は、磁束制限磁路であり、前記磁束制限磁路の前記交差する方向の幅(W6)は、前記交差する方向における最も外側の前記スリットの外側部分の磁路の幅(W2)よりも狭くなっている、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の同期電動機の回転子において、前記変形スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、としても好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、同期電動機のコギングトルクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1の実施形態における回転子の断面の一部を拡大した図である。
図2】第2の実施形態における回転子の断面の一部を拡大した図である。
図3】第2の実施形態の変形例における回転子の断面の一部を拡大した図である。
図4】第2の実施形態の別の変形例における回転子の断面の一部を拡大した図である。
図5】従来のIPMにおける回転子の断面の一例を示す図である。
図6図5の回転子の一部を拡大し、永久磁石から発生する磁束を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した同期電動機の回転子の実施形態を図面に従って説明する。
【0029】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における同期電動機の回転子10の断面の一部を拡大した図である。本実施形態の同期電動機の回転子10は、スリットの形態以外は、図5に示す同期電動機の回転子50と同様の構成である。すなわち、図1図5を合わせて参照するとき、回転子10は、珪素鋼板等を積層して構成された回転子コア11(図5の51に相当)と、複数の永久磁石13(図5の53に相当)とを備える。回転子コア11は、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴17(図5の57に相当)を含む。各永久磁石13は、各磁石挿入穴17に埋設され、磁極の向きが回転子コア11の径方向である。回転子10は、その中心において回転軸(不図示)と接続されている。磁石挿入穴17と後述するスリット12は、回転軸の軸方向(紙面を突き抜ける方向)にあいた穴(空隙)である。
【0030】
なお、第1の実施形態および図5では、磁石挿入穴17(図5の57に相当)および永久磁石13(図5の53に相当)はそれぞれ4つであるが、磁極数に応じて、それ以外の数であり得る。
【0031】
なお、本明細書において、回転子10または回転子コア11の周方向とは、厳密な円周方向でない場合がある点に留意すべきである。例えば、図5のように互いに90度を成して隣り合っている各磁石挿入穴57(各永久磁石53)や、例えば、磁石挿入穴57(永久磁石53)の数が2つの場合にそれらが図5の上下、または、左右に対向して配置される場合も、磁石挿入穴57(永久磁石53)が周方向に間隔をあけて配置(形成)されている、と表現する。
【0032】
以下、図1を参照しながら、第1の実施形態の同期電動機の回転子10について詳しく説明する。一般的に、回転子10は、回転軸線直交断面が回転軸線方向において一様であるので、磁路、スリット、永久磁石、および磁石挿入穴の形状については、回転軸線直交断面における形状に関して説明する。
【0033】
回転子10の回転子コア11は、珪素鋼板などの軟磁性材料で構成される板材を回転軸線方向に積層して形成される。回転子コア11は、磁石挿入穴17の外周側に形成された複数のスリット12を備える。複数のスリット12は、調整スリット12cと、永久磁石13の磁極の向き(径方向)と交差する方向に間隔をあけて形成された磁路形成スリット12a,12bとを含む。なお、図1では、交差する方向は、永久磁石13の辺に沿った方向(図1の左右方向)であり、以下、適宜、永久磁石13の辺に沿った方向を「第1方向」と言う。磁路形成スリット12a,12bの少なくとも1つが被調整スリットであり、図1では、永久磁石13の磁極中心側にある磁路形成スリット12bが被調整スリットである。各磁路形成スリット12a,12bの間、および、第1方向における最も外側の磁路形成スリット12aの外側部分に磁路14が形成されている。
【0034】
なお、回転子10の径方向外側には、図示しない固定子が配置される。固定子は略円筒形状を有し、円筒形の内周面に周方向に沿って複数の極歯が配列される。極歯の間の空間はスロットと呼ばれ、巻線がスロットを通過しつつ極歯に巻回されて磁極が形成される。
【0035】
図1に示すように、被調整スリット12bと調整スリット12cは、スリット群16を構成している。調整スリット12cの第1方向の最大幅は、被調整スリット12bの第1方向の最大幅よりも広い。第1の実施形態の同期電動機の回転子10は、隣り合う磁路14a,14bの第1方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、被調整スリット12bと永久磁石13との間に調整スリット12cが形成されている特徴を有する。
【0036】
図1においては、説明を簡単にするため磁路14aと磁路14bの幅(第1方向の幅)は等しく設定されている。図1では、磁路14aを通過して固定子へ流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子へ流れ込む磁束量が等しくなるように、被調整スリット12bと調整スリット12cのそれぞれの幅が、式(1)に示す関係で決定されている。
【0037】
(W2-W1)/W2=W4/W3 ・・・(1)
【0038】
図1には、上記式(1)におけるW1,W2,W3およびW4が示されている。上記式(1)において、W1は、永久磁石13の第1方向の一端側(図1の右側)における、回転子コア11の外周端と磁石挿入穴17の縁との最短距離である。W2は、第1方向の距離であって、永久磁石13の上記一端(図1の右端)から、当該一端に最も近い磁路形成スリット12aの当該一端側の縁までの距離である。W3は、第1方向の距離であって、被調整スリット12bの上記一端側(図1の右側)の縁から、被調整スリット12bの当該一端側に隣り合う磁路形成スリット12aの被調整スリット12b側の縁までの距離である。W4は、第1方向の距離であって、調整スリット12cの一端側(図1の右側)の縁から、調整スリット12cの当該一端側に隣り合う磁路形成スリット12aの調整スリット12c側の縁までの距離である。
【0039】
図1を用いて、この構造における永久磁石13から発生する磁束の流れ方について説明する。図1において、永久磁石13は径方向外側の向きに着磁されており、磁束15は、永久磁石13から発生する磁束の経路を示している。また、磁束の経路を示す磁束15の本数は磁束の相対的な量を示す。前述した通り、磁路14aと磁路14bの幅は等しいので、基本的には全磁路に永久磁石13から同じ本数の磁束線が流入することになる。しかし、第1方向の幅が広い調整スリット12cが配置されていることにより磁路14bに流入する磁束が制限され、磁路14aには3本、磁路14bには2本磁束が流入している。永久磁石13から磁路14を通過して固定子に流れ込む磁束量に着目すると、磁路14bでは流入した2本がそのまま固定子に流出し、磁路14aでは磁極間のつなぎ部分に磁束が1本漏れるため、流入した3本の内2本が固定子に流出している。
【0040】
このように調整スリット12cの効果によって、従来のIPMの回転子における磁束の流れ方を示す図6とは異なり、磁路14を通過して固定子に流れ込む磁束量は、磁路14aと磁路14bとで等しくなる。これによって、すべての磁路で発生する磁気吸引力が等しくなり、回転子10が回転した際に磁気吸引力の変動が発生しないため、コギングトルクを小さくできる。
【0041】
なお、以上説明した第1の実施形態では、1極当たり磁路形成スリット12a,12bを3本配置しているが、1極当たりの磁路形成スリット12a,12bの本数は3本に限定されるものではない。また、磁路形成スリット12a,12bは、磁極の向き(図1の上下方向)に沿って、複数分離して存在してもよい。また、調整スリット12cも、磁極の向き(図1の上下方向)に沿って、複数分離して存在してもよい。
【0042】
また、以上説明した第1の実施形態では、磁路14aと磁路14bの幅が等しい場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0043】
また、以上説明した第1の実施形態では、磁路14aを通過して固定子に流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子に流れ込む磁束量が等しくなるように、式(1)によって磁路形成スリット12a,12bおよび調整スリット12cの幅を決定した。しかし、この例に限定されるものではない。式(1)の関係になくとも、第1方向の幅が広い調整スリット12cが存在すれば、磁路14aを通過して固定子へ流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子へ流れ込む磁束量の差を小さくすることができ、コギングトルクを低減することができる。
【0044】
また、調整スリット12cは、磁石挿入穴17に繋がっている構造であってもよい。その場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、以上説明した第1の本実施形態では、スリット群16(被調整スリット12bと調整スリット12c)は、永久磁石13の磁極中心側に存在した。しかし、隣り合う磁路14a,14bの磁束変化を小さくすることができる限り、スリット群16の位置は限定されない。例えば、永久磁石13の磁極中心側にある磁路形成スリット12bの両側にある2つの磁路形成スリット12aを被調整スリットとして、これらの磁路形成スリット12a(被調整スリット)のそれぞれと永久磁石13との間に、調整スリット12cを配置してもよい。これは、後で説明する図4(第2の実施形態の変形例)における2つの変形スリット18のそれぞれを上下に分離して、被調整スリットおよび調整スリットとした場合の構成である。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態における同期電動機の回転子10について説明する。図2は、第2の実施形態における同期電動機の回転子10の断面の一部を拡大した図である。第2の実施形態では、第1の実施形態における被調整スリット12bと調整スリット12cが一体化されて、変形スリット18が形成されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、共通する構成については適宜説明を省略する。
【0047】
図2に示すように、複数のスリット12,18は、永久磁石13の磁極の向き(径方向)と交差する方向に間隔をあけて形成されている。なお、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、交差する方向は、永久磁石13の辺に沿った方向(左右方向、第1方向)である。各スリット12,18の間、および、第1方向における最も外側のスリット12の外側部分に磁路14が形成されている。第2の実施形態の同期電動機の回転子10は、隣り合う磁路14の第1方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、第1方向の最大幅が異なる2種類以上のスリット12,18が形成されている特徴を有する。
【0048】
スリット12,18の少なくとも1つが、永久磁石13側から回転子コア11の外周側に向かって延びて、途中で第1方向の幅が変化する形状を有する変形スリット18である。図2においては、変形スリット18の永久磁石13側の端部の第1方向の幅が、当該変形スリット18の回転子コアの外周側の端部の第1方向の幅よりも広くなっている。
【0049】
図2においては、磁路14aと磁路14bの幅(第1方向の幅)は等しく設定されている。図2では、磁路14aを通過して固定子へ流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子へ流れ込む磁束量が等しくなるように、スリット12,18の幅が、式(2)に示す関係で決定されている。
【0050】
(W2-W1)/W2=W6/W5 ・・・(2)
【0051】
図2には、上記式(2)におけるW1,W2,W5およびW6が示されている。ここで、変形スリット18の永久磁石13側の端部を「拡張部」と言い、変形スリット18の永久磁石13側の端部と回転子コア11の外周側の端部との間の部分を「中間部」と言う。上記式(2)において、W1は、永久磁石13の第1方向の一端側(図2の右側)における、回転子コア11の外周端と磁石挿入穴17の縁との最短距離である。W2は、第1方向の距離であって、永久磁石13の上記一端(図2の右端)から、当該一端に最も近いスリット12の当該一端側の縁までの距離である。W5は、第1方向の距離であって、変形スリット18の中間部の上記一端側(図1の右側)の縁から、変形スリット18の当該一端側に隣り合うスリット12の変形スリット18側の縁までの距離である。W6は、第1方向の距離であって、変形スリット18の拡張部の一端側(図1の右側)の縁から、変形スリット18の当該一端側に隣り合うスリット12の変形スリット18側の縁までの距離である。
【0052】
図2を用いて、この構造における永久磁石13から発生する磁束の流れ方について説明する。図2において、永久磁石13は径方向外側の向きに着磁されており、磁束15は、永久磁石13から発生する磁束の経路を示している。また、磁束の経路を示す磁束15の本数は磁束の相対的な量を示す。前述した通り、磁路14aと磁路14bの幅は等しいので、基本的には全磁路に永久磁石13から同じ本数の磁束線が流入することになる。しかし、磁極中心側に配置された変形スリット18の第1方向(図2の左右方向)の最大幅が、他のスリット12の第1方向の最大幅よりも広いことにより、磁路14bに流入する磁束が制限され、磁路14aには3本、磁路14bには2本の磁束が流入している。ここで、永久磁石13から磁路14を通過して固定子に流れ込む磁束量に着目すると、磁路14bでは流入した2本がそのまま固定子に流入し、磁路14aでは磁極間のつなぎ部分に磁束が1本漏れるため、流入した3本の内2本が固定子に流出している。
【0053】
このように変形スリット18の効果によって、従来のIPMの回転子における磁束の流れ方を示す図6とは異なり、各磁路14を通過する磁束量が等しくなる。よって、第1の実施形態と同様に、すべての磁路14で発生する磁気吸引力が等しくなり、回転子10が回転した際に磁気吸引力の変動が発生しないため、コギングトルクを小さくできる。
【0054】
なお、第1の実施形態と同様に、以上説明した第2の実施形態では、1極当たりスリット12,18を3本配置しているが、1極当たりのスリット12,18の本数は3本に限定されるものではない。また、スリット12,18は、磁極の向き(図2の上下方向)に沿って、複数分離して存在してもよい。
【0055】
また、第1の実施形態と同様に、以上説明した第2の実施形態では、磁路14aと磁路14bの幅が等しい場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0056】
また、以上説明した第2の実施形態では、磁路14aを通過して固定子へ流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子へ流れ込む磁束量が等しくなるように、式(2)によってスリット12,18の幅を決定した。しかし、この例に限定されるものではない。式(2)の関係になくとも、最大幅が異なる2種類以上のスリット12,18が形成されていれば、磁路14aを通過して固定子へ流れ込む磁束量と、磁路14bを通過して固定子へ流れ込む磁束量の差を小さくすることができ、コギングトルクを低減することができる。
【0057】
また、変形スリット18は、磁石挿入穴17と繋がっている構造であってもよい。その場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、以上説明した第2の実施形態では、変形スリット18の第1方向の幅が最も大きくなる箇所(最大幅となる箇所)は、永久磁石13側の端部であった。しかし、最大幅となる箇所は、変形スリット18のそれ以外の部分であってもよい。図3は、第2の実施形態の変形例における回転子の断面の一部を拡大した図である。図3に示すように、変形スリット18において、磁極の向きに沿った方向(図2の上下方向)の略中間付近に最大幅となる箇所があってもよい。この場合であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、以上説明した第2の実施形態では、変形スリット18が、永久磁石13の磁極中心側に存在した。しかし、隣り合う磁路14a,14bの第1方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなることができる限り、変形スリット18の位置は限定されない。図4は、第2の実施形態の別の変形例における回転子の断面の一部を拡大した図である。図4に示すように、永久磁石13の磁極中心側にあるスリット12の両側にある2つのスリットを、変形スリット18としてもよい。この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
<付記>
[1]
珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、
前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、
前記複数のスリットは、調整スリットと、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成された磁路形成スリットとを含み、
前記磁路形成スリットの少なくとも1つが被調整スリットであり、
前記各磁路形成スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記磁路形成スリットの外側部分に磁路が形成されており、
隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記被調整スリットと前記永久磁石との間に前記調整スリットが形成されている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[2]
上記[1]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記調整スリットの前記交差する方向の最大幅が、前記被調整スリットの前記交差する方向の最大幅よりも広い、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[3]
上記[1]または[2]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記調整スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[4]
上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の同期電動機の回転子であって、
前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[5]
上記[4]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記交差する方向は、前記永久磁石の辺に沿った第1方向であり、
前記永久磁石の前記第1方向の一端側における、前記回転子コアの外周端と前記磁石挿入穴の縁との最短距離であるW1、
前記第1方向の距離であって、前記永久磁石の前記一端から、前記一端に最も近い前記磁路形成スリットの前記一端側の縁までの距離であるW2、
前記第1方向の距離であって、前記被調整スリットの前記一端側の縁から、当該被調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該被調整スリット側の縁までの距離であるW3、および、
前記第1方向の距離であって、前記調整スリットの前記一端側の縁から、当該調整スリットの前記一端側に隣り合う前記磁路形成スリットの当該調整スリット側の縁までの距離であるW4は、下記(1)式の関係を満たす、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
(W2-W1)/W2=W4/W3 ・・・(1)
[6]
上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の同期電動機の回転子であって、
前記被調整スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記磁路形成スリットの両側にある前記磁路形成スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[7]
珪素鋼板または軟磁性材料で構成された回転子コアであって、周方向に間隔をあけて形成された複数の磁石挿入穴と、前記磁石挿入穴のそれぞれの外周側に形成された複数のスリットとを含む回転子コアと、
前記各磁石挿入穴に埋設され、磁極の向きが前記回転子コアの径方向である複数の永久磁石と、を備え、
前記複数のスリットは、前記各永久磁石の磁極の向きと交差する方向に間隔をあけて形成されており、
前記各スリットの間、および、前記交差する方向における最も外側の前記スリットの外側部分に磁路が形成されており、
隣り合う前記磁路の前記交差する方向の幅当たりの通過する磁束量の差が小さくなるように、前記交差する方向の最大幅が異なる2種類以上の前記スリットが形成されている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[8]
上記[7]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記スリットの少なくとも1つは、前記永久磁石側から前記回転子コアの外周側に向かって延びて、途中で前記交差する方向の幅が変化する形状を有する変形スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[9]
上記[8]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記変形スリットの前記永久磁石側の端部の前記交差する方向の幅は、当該変形スリットの前記回転子コアの外周側の端部のそれよりも広い、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[10]
上記[8]または[9]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記変形スリットは、前記磁石挿入穴に繋がっている、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[11]
上記[8]から[10]のいずれか1つに記載の同期電動機の回転子であって、
前記変形スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
[12]
上記[11]に記載の同期電動機の回転子であって、
前記交差する方向は、前記永久磁石の辺に沿った第1方向であり、
前記変形スリットの前記永久磁石側の端部は、拡張部であり、
前記変形スリットの前記永久磁石側の端部と前記回転子コアの外周側の端部との間の部分は、中間部であり、
前記永久磁石の前記第1方向の一端側における、前記回転子コアの外周端と前記磁石挿入穴の縁との最短距離であるW1、
前記第1方向の距離であって、前記永久磁石の前記一端から、前記一端に最も近い前記スリットの前記一端側の縁までの距離であるW2、
前記第1方向の距離であって、前記変形スリットの前記中間部の前記一端側の縁から、当該変形スリットの前記一端側に隣り合う前記スリットの当該変形スリット側の縁までの距離であるW5、および、
前記第1方向の距離であって、前記変形スリットの前記拡張部の前記一端側の縁から、当該変形スリットの前記一端側に隣り合う前記スリットの当該変形スリット側の縁までの距離であるW6は、下記(2)式の関係を満たす、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
(W2-W1)/W2=W6/W5 ・・・(2)
[13]
上記[8]から[10]のいずれか1つに記載の同期電動機の回転子であって、
前記変形スリットは、前記永久磁石の磁極中心側にある前記スリットの両側にある前記スリットである、
ことを特徴とする同期電動機の回転子。
【符号の説明】
【0060】
10 回転子、11 回転子コア、12 スリット、12a 磁路形成スリット、12b 被調整スリット(磁路形成スリット)、12c 調整スリット、13 永久磁石、14,14a,14b 磁路、15 磁束、16 スリット群、17 磁石挿入穴、18 変形スリット(スリット)、50 回転子、51 回転子コア、52 スリット、53 永久磁石、54,54a,54b 磁路、55,56 磁束、57 磁石挿入穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6