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特許7053404マグネシウム合金、その製造方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】マグネシウム合金、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C22C 23/02 20060101AFI20220405BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20220405BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20220405BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20220405BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20220405BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20220405BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20220405BHJP
   C22F 1/06 20060101ALI20220405BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
C22C23/02
A61L27/04
A61L27/50
A61L27/58
A61L31/02
A61L31/14
A61L31/16
C22F1/06
C22F1/00 602
C22F1/00 604
C22F1/00 612
C22F1/00 624
C22F1/00 626
C22F1/00 630A
C22F1/00 640A
C22F1/00 670
C22F1/00 675
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684C
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 694B
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018152228
(22)【出願日】2018-08-13
(62)【分割の表示】P 2015519016の分割
【原出願日】2013-06-24
(65)【公開番号】P2019019412
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2018-09-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】61/664,224
(32)【優先日】2012-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512238276
【氏名又は名称】バイオトロニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ウッゴヴィツァル、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レフラー、ヨルグ
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】井上 猛
【審判官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101658691(CN,A)
【文献】特開2010-163635(JP,A)
【文献】特開2010-133005(JP,A)
【文献】特許第6768295(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 23/00-23/06
C22F 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金を含む生分解性インプラントであって、
4.0重量%以下のZn、
2.0重量%~10.0重量%のAl
を含み、重量%による合金のAl含有量は重量%による合金のZn含有量以上であり、
残部は不純物を含むマグネシウムであり、該不純物は、
合計0.0063重量%以下のFe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Zr、Y、原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアース、Be、Cd、In、Snおよび/またはPb並びにPであり、
合金マトリックスはAlおよび存在する場合はZnにより固溶硬化され、MgとAlからなる金属間化合物相により粒子硬化されており、
前記生分解性インプラントは、275MPa超の引張強さ、200MPa超の降伏点、0.8未満の降伏比を有し、引張強さと降伏点の差は50MPa超、機械的非対称性は1.25未満であり、ここで機械的非対称性は引張荷重の耐力と圧縮荷重の耐力との比により表される、生分解性インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載の生分解性インプラントにおいて、
Znの含有量は2.0重量%以下、および/または
Alの含有量は2.0重量%~8.0重量%であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生分解性インプラントにおいて、
Znの含有量は1.0重量%以下、および/または
Alの含有量は3.0重量%~8.0重量%であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項4】
請求項1に記載の生分解性インプラントにおいて、不純物の全量のうち個々の不純物が重量%で、
Fe、Si、Mn、Ni、Co、Cuが各0.0005未満、
Zr、Yが各0.0003未満および
Pが0.0002未満であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項5】
請求項1に記載の生分解性インプラントにおいて、不純物元素であるFe、Si、Mn、Co、NiおよびCuを組み合わせると、これらの不純物の合計が0.003重量%以下であることを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の生分解性インプラントにおいて、7.5μm以下の粒度を有する微細のミクロ組織を有することを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項7】
請求項6に記載の生分解性インプラントにおいて、5μm以下の粒度を有する微細のミクロ組織を有することを特徴とする、生分解性インプラント。
【請求項8】
改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金を含む生分解性インプラントを製造する方法であって、前記生分解性インプラントは、275MPa超の引張強さ、200MPa超の降伏点、0.8未満の降伏比を有し、引張強さと降伏点の差は50MPa超、機械的非対称性は1.25未満であり、ここで機械的非対称性は引張荷重の耐力と圧縮荷重の耐力との比により表される、前記生分解性インプラントを製造する方法において
a)真空蒸留による高純度マグネシウムの製造工程と、
b)工程a)によるマグネシウムと4.0重量%以下のZn、2.0重量%~10.0重量%のAlとの合成による合金ビレットの製造工程であって、重量%による合金のAl含有量は重量%による合金のZn含有量以上であり、残部は不純物を含むマグネシウムであり、合計0.0063重量%以下のFe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Zr、Y、原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアース、Be、Cd、In、Snおよび/またはPb並びにPであり、合金マトリックスはAlおよび存在する場合はZnにより固溶硬化され、MgとAlからなる金属間化合物相により粒子硬化された、合金ビレットの製造工程と、
c)150℃~450℃の温度で4時間~40時間の保持時間による焼きなましによる前記合金の均質化工程と、
d)200℃~400℃の範囲の温度において、均質化された前記合金少なくとも一回の形成を行う工程であって、前記形成は押し出し、剪断押し出しおよび/または鍛造である、形成を行う工程と、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、
前記製造されたビレットにおけるZnの含有量は2.0重量%以下、および/または
Alの含有量は2.0重量%~8.0重量%であることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、
前記製造されたビレットにおけるZnの含有量は1.0重量%以下、および/または
Alの含有量は3.0重量%~8.0重量%であることを特徴とする、方法
【請求項11】
請求項に記載の方法において、不純物の全量のうち個々の不純物が重量%で、Fe、Si、Mn、Ni、Co、Cuが各0.0005未満、Zr、Yが各0.0003未満およびPが0.0002未満であることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法において、不純物元素であるFe、Si、Mn、Co、NiおよびCuを組み合わせると、これらの不純物の合計が0.003重量%以下であることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法において、工程c)と工程d)が少なくとも一回繰り返されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項または13に記載の方法において、工程c)が250℃~450℃の温度で実施され、および/または工程d)が225℃~400℃の温度で実施されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の生分解性インプラントにおいて、前記生分解性インプラントが、ステントなどの血管内インプラント、組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのインプラント、補綴および歯科インプラント並びに神経インプラントの群から選択される、生分解性インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願の対象は、マグネシウム合金、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金の性質は、合金元素の種類および量、不純物並びに製造条件によって決定的に規定されることが知られている。マグネシウム合金の性質に及ぼす合金元素および不純物の影響は当業者にはかなり以前から周知であり、インプラント素材として使用される二元または三元マグネシウム合金の性質を決定するのが複雑であることを、それは示している。
【0003】
マグネシウムに最も頻繁に使用される合金元素はアルミニウムであり、固溶硬化、析出硬化および微粒形成により引張強さが向上するだけでなく、微細孔性も生じる。更に、溶融状態で、アルミニウムは鉄量が極めて低い方向に鉄析出境界をシフトさせ、その場合、鉄粒子が他の元素との金属間粒子を析出または形成する。
カルシウムは顕著な微粒化効果を示し、可鋳性および耐食性を悪化させる。
マグネシウム合金にとって好ましくない付随元素としては、鉄、ニッケル、コバルトおよび銅が挙げられ、それらは電気的陽性の故にかなり腐食性を増大させる。
マンガンはあらゆるマグネシウム鋳造合金に見出され、AlMnFeの形で鉄と結合し、それにより局部電池の形成を減少させる。一方、マンガンは全ての鉄と結合することはできないので、残りの鉄と残りのマンガンはいつも溶解物中に残留する。
【0004】
珪素は可鋳性および粘性を低下させ、珪素量が上昇すると、腐食的挙動の悪化が予想される。鉄、マンガンおよび珪素は、金属間相を形成する傾向が極めて高い。
【0005】
この相の電気化学ポテンシャルはとても高いので、合金マトリックスの腐食をコントロールするカソードとして機能する。
固溶硬化の結果として、亜鉛は機械的性質を改善し微粒化をもたらすが、微細孔性ももたらし、高温割れの傾向が二元のMg-Zn合金および三元のMg-Al-Zn合金において1.5%から2%で開始する。
ジルコニウムからなる合金添加物は膨張を低下させることなく引張強さを増大させ微粒化をもたらすが、動的再結晶をひどく損なう。それは再結晶温度の上昇で現れるので、膨大なエネルギー消費が要求される。更に、微粒化効果が失われるので、ジルコニウムはアルミニウムおよび珪素を含む溶解物には添加できない。
Lu,Er,Ho,Th,Sc,Inなどのレアアースは全て類似の化学的挙動を示し、二元状態図のうちマグネシウムの豊富な側で部分溶解度を有する共晶系を形成するので、析出硬化が可能である。
不純物と共に合金元素を更に添加すれば、二元マグネシウム相において異なる金属間相が形成されることが知られている。例えば、結晶粒界に形成される金属間相であるMg17Al12は脆弱であり、延性を制限する。この金属間相はマグネシウムマトリックスと比較すると貴であり、局所元素を形成し得るので、腐食的挙動が悪化する。
【0006】
かかる影響要因に加えて、マグネシウム合金の性質は、冶金学的生産条件にも決定的に依存している。従来の鋳造方法では、合金元素を合金化により添加すると、自動的に不純物が導入される。従って、従来の技術(特許文献1)は、マグネシウム鋳造合金の不純物の許容限界を定義しており、例えば、約8重量%~9.5重量%のAlと0.45重量%~0.9重量%のZnを含むMg‐Al‐Zn合金の場合、0.0015重量%~0.0024重量%のFe、0.0010重量%のNi、0.0010重量%~0.0024重量%のCuおよび0.15重量%以上~0.5重量%のMnを許容限界と呼ぶ。
【0007】
マグネシウムおよびその合金の不純物の許容限界並びに製造条件は多くの既知の文献に記述されており、以下のように重量%で列挙されている。
【表1】
【0008】
電気化学的にマグネシウムマトリックスよりも貴電位である腐食促進金属間相の形成を確実に除外するには、かかる許容定義は十分でないことが見出されている。
【0009】
生分解性インプラントには、生理学的に必要なサポート期間中、耐荷重性すなわち強度が、充分な拡張性と共に必要である。しかし、特にこの点に関して、既知のマグネシウム素材は、チタン、CoCr合金、チタン合金などの永久性インプラントが達成する性質からはほど遠い。永久性インプラントの最大引張強さRは約500MPaから1000MPa超であるが、マグネシウム素材の最大引張強さは今のところ275MPa未満、ほとんどが250MPa未満である。
【0010】
多くのマグネシウム技術素材の他の欠点は、最大引張強さRと耐力Rの差が小さいことである。塑性変形を許容するインプラント例えば心血管ステントの場合、これは、素材の初期変形後、変形に対する抵抗がもはや存在しないこと、および既に変形している領域は荷重が増大しなくても更に変形することを意味しており、構成要素の部分が過度に引き伸ばされ破壊が生じる可能性がある。
【0011】
更に、多くのマグネシウム素材が明白な機械的非対称性を示しており、機械的性質、特に引張荷重と圧縮荷重の耐力Rの差として現れる。かかる非対称性は、例えば、適切な半完成品を製造するのに使用される押し出し、圧延、引き延ばしなどの成形過程中に生じる。引張中の耐力Rと圧縮中の耐力Rの差が大きすぎる場合、それは心血管ステントなどの構成要素の不均質変形となり、後に多軸変形ひいてはひび割れおよび破壊を引き起こす場合がある。
【0012】
マグネシウム合金は結晶学的すべり系の数が少ないので、適切な半完成品を製造するのに使用される押し出し、圧延、引き延ばしなどの成形過程中に結晶粒を配向させることにより、一般的にテクスチャを形成できる。特に、これは、半完成品が空間的に異なる方向に異なる性質を有することを意味する。例えば、成形後、空間的な一方向に高変形能または高破断伸びを生じ、空間的な別の方向に低変形能または低破断伸びを生じる。ステントは高い塑性変形を受けやすく、低い破断伸びはインプラントの故障リスクを高めるので、かかるテクスチャの形成は同様に回避すべきである。成形中のかかるテクスチャを実質的に回避する一つの方法は、成形前に粒子のきめを可能な限り細かく調整することである。マグネシウム素材の六角形格子構造の故に、室温におけるかかる素材の変形能は低く、これは基底平面における滑りによって特徴付けられる。もし素材が追加的に粗いミクロ組織いわゆる粗大粒を有しているならば、更なる変形によって双晶化が強制的に生じ、それが剪断力をもたらし、結晶領域を出発点の鏡面対称の位置に変える。
その結果生じる双晶粒界は素材の脆弱点を構成し、特に塑性変形において、その点から初期のひび割れが生じ、最終的にはかかる構成要素の破壊に至る。
インプラント素材の粒子のきめが十分に細ければ、かかるインプラントの故障が生じるリスクは大幅に減少する。従って、好ましくない剪断力を避けるため、インプラント素材は可能な限りきめの細かい粒子を含むべきである。
【0013】
入手可能なインプラント用の工業用マグネシウム素材は全て、生理学的媒体中で極めて腐食を受けやすい。従来の技術において、例えばポリマー素材からなる耐腐食コーティング(特許文献2、特許文献3)、水性またはアルコール性転換溶液(特許文献4)、または酸化物(特許文献5、特許文献6)をインプラントに提供することにより腐食傾向を抑制しようとする試みがなされてきた。
ほとんど全ての適切なポリマーが組織内で強烈な炎症を時々引き起こすので、パッシベーションポリマー層の使用には異論がある。かかる保護手段のない薄肉構造体は必要なサポート期間にまで達しない。外傷治療用の薄肉インプラントの腐食は引張強さの過度に急速な喪失を頻繁に伴い、時間当たり過剰な量の水素を形成することにより追加の負担を課すことになる。その結果、好ましくないガス含有物が骨および組織に生じる。
大きい断面積を有する外傷治療用インプラントの場合、その構造により水素問題およびインプラントの腐食速度を慎重にコントロールできる必要がある。
【0014】
特に生分解性インプラントの場合、含有される全ての化学元素が分解後体に吸収されるので、かかる元素の生物的適合性は最大であることが望ましい。いずれにせよ、Be、Cd、Pb、Crなど、極めて毒性の高い元素は避けるべきである。
【0015】
分解性のマグネシウム合金は、現代の医療技術において、様々な形態で利用されているインプラントを実施するのに特に適している。インプラントは、例えば、血管、中空臓器および血管系(ステントなどの血管内インプラント)をサポートし、組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするのに使用されるが、爪、プレートまたはスクリューなどの補綴目的にも使用される。特に頻繁に使用される形態のインプラントはステントである。
【0016】
ステント移植は、血管疾患の治療にとって最も効果的な手段の一つとして確立されている。ステントの目的は、患者の中空臓器でサポート機能を発揮することである。この目的のため、従来の設計を特徴とするステントは、金属支柱を含む金属線細工支持構造体を有しており、最初は圧縮形態で体内に導入され、適用部位で拡張される。かかるステントの適応分野の一つは、血管狭窄、特に冠動脈血管の狭窄(狭窄症)を永久的または一時的に広げ、開いた状態に保つことである。更に、主に動脈瘤を塞ぐのに使用される動脈瘤ステントが知られている。サポート機能が追加的に提供される。
【0017】
インプラント(特にステント)はインプラント素材からなる基体を有している。インプラント素材は、医療分野で使用され生体系と相互作用を行う無生物素材である。素材を使用目的のために体環境に接触させるインプラント素材として使用する場合、その基本的必要条件は体に優しいこと(生物的適合性)である。本適用目的において、生物的適合性とは、特定の応用において、適切な組織反応を引き起こす素材能力を意味するものであることは理解されるべきである。この中には、臨床的に好ましい相互作用を目的として、インプラントの化学的性質、物理的性質、生物学的性質並びに生態学的な表面的性質が受容者の組織に適合することも含まれる。インプラント素材の生物的適合性は、移植される生物系の反応の時間的過程にも依存している。例えば、刺激および炎症は比較的短時間で生じ、それが組織を変化させる場合がある。従って、インプラント素材の性質に応じて生物系も様々に反応する。生物系の反応に従って、インプラント素材は生物活性、生物不活性および分解性または吸収性に分けられる。
【0018】
インプラント素材は、ポリマー、金属素材およびセラミック素材(例えばコーティングとして)を含む。永久的インプラント用の生物適合金属および金属合金は、例えば、ステンレス鋼(316Lなど)、コバルト基合金(CoCrMo鋳造合金、CoCrMo鍛造合金、CoCrWNi鍛造合金、CoCrNiMo鍛造合金など)、工業用純チタンおよびチタン合金(cpチタン、TiAl6V4またはTiAl6Nb7など)並びに金合金を含む。生体腐食性ステントの分野では、マグネシウムまたは工業用純鉄並びにマグネシウム、鉄、亜鉛、モリブデンおよびタングステン元素の生体腐食性ベース合金が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許出願公開第5,055,254号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2085100号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2384725号明細書
【文献】独国特許出願公開第102006060501号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010027532号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0295397号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
金属線細工構造体を有する一時的インプラント用の生体腐食性マグネシウム合金の使用は、特にインプラントの分解が生体内で急激に進行するという意味で困難である。腐食速度すなわち分解速度を減らすため、別のアプローチが議論されている。その一つが、適切な合金を開発することによりインプラント素材側の分解を遅らせる試みである。加えて、コーティングは分解の一時的阻害をもたらすはずである。既存のアプローチには将来性があるが、商業用製品は今まで一つも生まれていない。今まで多大な努力が払われているが、生体内でマグネシウム合金の腐食を少なくとも一時的に減少させ、同時にその機械的性質を最適化し得る解決策が今も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本特許出願の目的は、前記従来の技術を考慮し生分解性マグネシウム合金を提供すること、その製造方法およびインプラントの使用であるが、ここでインプラントは、そのマグネシウムマトリックスが微細粒子および優れた耐食性を有し、保護層なしに必要なサポート期間、電気化学的に安定状態を維持でき、電気化学的にマグネシウムマトリックスよりも貴である金属間相の形成を活用でき、しかも引張強さや耐力などの機械的性質が改善され並びにインプラントの分解速度を調整するために機械的非対称性を減らすことができるものである。
【0022】
かかる目的は、請求項1の特徴を有するマグネシウム合金、請求項6の特徴を有する方法および請求項10および12の特徴に従う使用により達成される。
【0023】
従属項に列挙された特徴は、マグネシウム合金、その製造方法およびその使用の有利な改良を可能にする。
【0024】
この解決方法は、インプラントが破壊またはひび割れなしに多軸永久荷重を吸収することができ、また生理学的液体により引き起こされる分解のための手段としてマグネシウムマトリックスが利用できるためには、インプラントのマグネシウムマトリックスの耐食性および変形能がサポート期間中ずっと保証されなければならないという理解に基づいている。
【0025】
これは、以下を含むマグネシウム合金により達成される。
4.0重量%以下のZn、
2.0重量%~10.0重量%のAlを含み、ここで重量%による合金のAl含有量は重量%による合金のZn含有量に等しいかまたはそれより多く、
残部は不純物を含むマグネシウムであり、不純物は、電気化学的電位差および/または析出および/または金属間相の形成を促進し、合計0.0063重量%以下のFe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Zr、Y、原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアース、Be、Cd、In、Snおよび/またはPb並びにPであり、
合金マトリックスは、AlとZnにより固溶硬化され、MgとAlからなる金属間相により粒子硬化されている。
【0026】
好ましくは、本適用のマグネシウム合金において、
Znの含有量は2.0重量%以下、特に好ましくは1.0重量%以下および/または
Alの含有量は2.0重量%~8.0重量%、好ましくは3.0重量%~8.0重量%、更に好ましくは3.0重量%~6.0重量%である
【0027】
本特許出願の対象であるマグネシウム合金は耐食性が極めて高いが、それはマグネシウムマトリックス内の不純物の含有量およびそれらの組み合わせを大幅に減らし、およびこのマトリックスの電気化学的ポテンシャルを上げることによりこの合金の耐食性を大幅に増大させ得る合金元素だけを存在させることにより達成される。
【0028】
不純物に関して以前に知られていた許容限界は、製造されたマグネシウム合金がしばしば熱機械処理に付されること、より具体的には準平衡構造体を形成する長期の焼きなましプロセスに付されることを考慮に入れていない。金属元素は拡散により結合し、金属間相として知られるものを形成し、かかる金属間相はマグネシウムマトリックスとは異なる電気化学ポテンシャル、しかも明らかにかなり高いポテンシャルを有しており、従ってカソードとして行動し、電解腐食プロセスを引き起こし得る。
【0029】
出願人は、個々の不純物の許容限界が重量%で以下の場合、すなわちFe、Si、Mn、Ni、Co、Cuが各0.0005未満、Zr、Yが各0.0003未満およびPが0.0002未満の場合に、腐食安定な合金マトリックスが達成できることを見出した。本実施形態の更に好ましい例では、合金は個々の追加不純物を以下の許容限界(重量%)、すなわち原子番号21、57~71および89~103のSrまたはレアアースを合計で0.001未満、Be、Cd、In、Snおよび/またはPbを各0.0003未満含む。
【0030】
腐食安定合金マトリックスは、不純物を合計で0.0053重量%以下含むことが好ましく、それは個々の不純物の許容限界が重量%で以下の場合、すなわちFe、Si、Mnが各0.0005未満、Co、Ni、Cuが各0.0002未満、Zr、Yが各0.0003未満、原子番号21、57~71および89~103のSrまたはレアアースが合計で0.001未満、Be、Cd、In、Snおよび/またはPbが各0.0003未満、およびPが0.0001未満の場合に達成できる。
【0031】
特に好ましい腐食安定合金マトリックスは、不純物を合計で0.0022重量%以下含み、それは個々の不純物の許容限界が重量%で以下の場合、すなわちFe、Si、Mnが各0.0002未満、Co、Ni、Cu、Zr、Yが各0.0001未満、原子番号21、57~71および89~103のSrまたはレアアースが合計で0.005未満、Be、Cd、In、Snおよび/またはPbが各0.0001未満、およびPが0.0001未満の場合に達成できる。
【0032】
驚くべきことに、従来の技術では通例である合金元素としてのマンガンの添加は、上記許容限界に従うなら、不要である。三元金属間相であるFeMnSiの形成は抑えられ、それにより合金の耐食性は改善する。
【0033】
不純物元素を組み合わせる場合、不純物Fe、Si、Mn、Co、NiおよびCuの合計の許容限界は0.003重量%以下、好ましくは0.0021重量%以下、特に好ましくは0.0009重量%以下である。
【0034】
本特許出願の対象であるマグネシウム合金は、275MPa超、好ましくは300MPa超の引張強さ、200MPa超、好ましくは225MPa超の降伏点、0.8未満、好ましくは0.75未満の降伏比を達成し、その場合、引張強さと降伏点の差は50MPa超、好ましくは100MPa超、機械的非対称性は1.25未満である。
かかる大幅に改善された機械的性質は、合金マトリックスのアルミニウムと亜鉛の間の固溶体形成並びにマトリックス内で生じるマグネシウムとアルミニウムの金属間相に帰することができる。増大した引張強さの基礎は転位と粒子との相互作用であり、それにより転位運動は不利に影響を受け、正常なマトリックスと同じ塑性変形を生じるには追加の引張りが要求される。新規のマグネシウム合金の改善された機械的性質は、インプラント例えば心血管ステントが、腐食によりマグネシウムマトリックスの分解が始まっているにも拘らず、全サポート期間に亘って移植状態の多軸永久荷重に耐えられることを、保証するものである。
【0035】
機械的対称性に関して、マグネシウム合金が7.5μm以下の粒度、好ましくは5μm未満の粒度、更に好ましくは2.5μm未満の粒度を有するとりわけ微粒のミクロ組織を有することが特に重要である。
【0036】
更に、この目的は、改善された機械的性質および電気化学的性質を有するマグネシウム合金の製造方法により達成される。かかる方法は以下の工程、
a)真空蒸留による高純度マグネシウムの製造工程と、
b)工程a)によるマグネシウムと4.0重量%以下のZn、2.0重量%~10.0重量%のAlとの合成による合金ビレットの製造工程であって、ここで重量%による合金のAl含有量は重量%による合金のZn含有量に等しいかまたはそれより多く、残部は不純物を含むマグネシウムであり、不純物は、電気化学的電位差および/または析出および/または金属間相の形成を促進し、合計0.0063重量%以下のFe、Si、Mn、Co、Ni、Cu、Zr、Y、原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアース、Be、Cd、In、Snおよび/またはPb並びにPであり、合金マトリックスはAlとZnにより固溶体硬化され、MgとAlからなる金属間相により粒子硬化されている、合金ビレットの製造工程と、
c)150℃~450℃の温度で保持時間が4時間~40時間の焼きなましによる合金の均質化工程と、
d)200℃~400℃の範囲の温度による均質化合金の、少なくとも一回の形成工程と
を含む。
【0037】
工程c)とd)は、少なくとも一回繰り返されることが好ましい。
工程c)の後、工程d)の前に、時効処理を行ってもよい。合金の組成および/または結晶粒の量および/または種類および/または粒度に依存するが、時効処理工程は、20℃~300℃の温度、1時間~168時間の保持時間により実施できる。好ましくは、時効処理は、20℃~275℃の温度、更に好ましくは150℃の温度で、保持時間120時間によって実施できる。
【0038】
好ましい値範囲では、工程c)は250℃~450℃の温度で実施され、および/または工程d)は225℃~400℃の温度で実施される。
【0039】
好ましくは、工程a)で生じるマグネシウム合金のZnの含有量は2.0重量%以下、特に好ましくは1.0重量%以下および/またはAlの含有量は2.0重量%~8.0重量%、好ましくは3.0重量%~8.0重量%、更に好ましくは3.0重量%~6.0重量%である
【0040】
必要な閾値を有する高純度のマグネシウム/アルミニウム/亜鉛合金の出発原料を製造するのに、真空蒸留を使用することが好ましい。
不純物の合計は選択的に調整でき、重量%で以下の通りである。
a)個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuは各0.0005未満、
Zr、Yは各0.0003未満、および
Pは0.0002未満である。
本実施形態において、個々の追加の不純物は以下の許容限界(重量%)であるのが好ましい。
原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアースは合計0.001未満であり、Be、Cd、In、Snおよび/またはPbは各0.0003未満である。
aa)不純物の好ましい合計量である0.0053重量%における個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mnは各0.0005未満、
Co、Ni、Cuは各0.0002未満、
Zr、Yは各0.0003未満、
原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアースは合計0.001未満、
Be、Cd、In、Snおよび/またはPbは各0.0003未満、および
Pは0.0001未満である。
ab)不純物の特に好ましい合計量である0.0022重量%における個々の不純物に関して、
Fe、Si、Mnは各0.0002未満、
Co、Ni、Cu、Zr、Yは各0.0001未満、
原子番号21、57~71および89~103のScまたはレアアースは合計0.0005未満、
Be、Cd、In、Snおよび/またはPbは各0.0001未満、および
Pは0.0001未満である。
b)個々の不純物の組み合わせの合計に関して、
Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuは0.003以下、好ましくは0.0021重量%以下、特に好ましくは0.0009重量%以下である。
【0041】
本特許出願による方法が少数の形成工程しか要求しないのは、特に有利なことである。従って、押し出し法、剪断押し出し法および/または複数鍛造が好ましく活用でき、それにより実質的に均質な10μm未満の微細粒の達成が保証される。
【0042】
本特許出願の第三の概念は、医療技術において本方法に従って製造される、前述の有利な組成と構造を有するマグネシウム合金の使用であって、特に組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのインプラント、例えばステントなどの血管内インプラント、補綴および歯科インプラント並びに神経インプラントを製造するための使用に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本特許出願に関するインプラントは全て、心血管分野、骨接合分野または他の領域である。
【0044】
本特許出願に関する心血管分野とは、以下の内容を意味する。
‐心血管系すなわち心臓と血管系のあらゆる疾病の診断、予防および治療分野、
‐血管および血管系をサポートするために使用されるアクティブインプラントおよび非アクティブインプラントによるもの、
‐ステント、バルブ、閉鎖装置、オクルダー、クリップ、コイル、ステープル、植え込み型局所薬物送達装置などの冠状血管インプラント、脳血管インプラント、末梢血管インプラントを含む、
‐植え込み型電気刺激装置(ペースメーカー、除細動器など)、植え込み型監視システム、植え込み型電極、
‐組織インプラントおよび組織移植片を固定および仮付けするためのシステム、
‐当該分野には、骨、椎間板などの中空臓器(または中空体?)をサポートするための機械的固定または一時的骨組など、あらゆる種類のステントが含まれる。
【0045】
本特許出願に関する骨接合分野とは、以下の内容を意味する。
‐金属板、ピン、ロッド、ワイヤ、スクリュー、クリップ、ネイル、ステープルなどの機械的装置による内部固定および安定化のための骨折治療分野であり、ステント技術を除く。
【0046】
骨接合分野または心血管分野以外の領域の例は、以下の通りである。
‐腱、関節、筋肉、軟骨の病気の治療装置、
‐口腔(歯科を含む)および顎顔面インプラント(骨接合手段を除く)、
‐審美的インプラント、
‐体外の支持具(例?)
‐再生医学、
‐軟組織インプラント、
‐創傷ケア用の装置、
‐縫合素材およびクランプ、
‐神経外科、
‐局所薬物送達(心血管すなわち肝臓を除く)
‐腎臓。
【実施例
【0047】
(実施例1)
製造されるマグネシウム合金は、2.0重量%のZnおよび6.0重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0048】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度AlおよびZnと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、300℃の温度で、複数押し出しプロセスに付される。
ミクロ組織の粒度は5.5μm未満であり、合金マトリックス中に分散された金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが310MPa~320MPa、耐力が約250MPa(ママ)に達した。降伏比は0.79で、機械的対称性は1.2であった。
【0049】
(実施例2)
製造されるマグネシウム合金は、0.25重量%のZnおよび2.50重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0050】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度AlおよびZnと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、300℃の温度で、複数押し出しプロセスに付される。
ミクロ組織の粒度は5.5μm未満であり、合金マトリックス中に分散された金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが310MPa~320MPa、耐力が約250MPa(ママ)に達した。降伏比は0.79で、機械的対称性は1.2であった。
【0051】
(実施例3)
生成されるマグネシウム合金は、5.0重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0052】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度Alと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、300℃の温度で、複数押し出しプロセスに付される。
ミクロ組織の粒度は5.5μm未満であり、合金マトリックス中に分散された金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが310MPa~320MPa、耐力が約250MPa(ママ)に達した。降伏比は0.79で、機械的対称性は1.2であった。
【0053】
(実施例4)
製造されるマグネシウム合金は、3.0重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0054】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度Alと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、300℃の温度で、複数押し出しプロセスに付される。
ミクロ組織の粒度は5.5μm未満であり、合金マトリックス中に分散された金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが310MPa~320MPa、耐力が約250MPa(ママ)に達した。降伏比は0.79で、機械的対称性は1.2であった。
【0055】
(実施例5)
製造されるマグネシウム合金は、0.25重量%のZnおよび2.0重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0056】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度AlおよびZnと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、125℃で120時間、時効処理に付す。
その後、心血管ステント用の精密チューブを製造するため、当該素材を200℃の温度で、複数押し出しプロセスに付す。
最後の押し出し工程の前に、150℃で3時間、別の焼きなましプロセスを実施する。
ミクロ組織の粒度は5.5μm未満であり、合金マトリックス中に分散された金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが320MPa~350MPa、耐力が約235MPa(ママ)に達した。降伏比は0.70で、機械的対称性は1.2であった。
【0057】
(実施例6)
製造されるマグネシウム合金は、1.5重量%のZnおよび3.0重量%のAlからなり、残部はMgであり、以下のような個々の不純物を重量%で含有する。
鉄は0.0005未満、Siは0.0005未満、Mnは0.0005未満、Coは0.0002未満、Niは0.0002未満、Cuは0.0002未満であり、不純物Fe、Si、Mn、Co、Ni、Cuの合計は0.0021重量%以下であり、不純物Zrは0.0003重量%以下である。
【0058】
真空蒸留により製造されたマグネシウムは高純度AlおよびZnと一緒に黒鉛坩堝で溶融され、この合金は360℃の温度で24時間、均質化焼きなましに付され、その後、150℃で120時間、時効処理に付した。
その後、直径8mmのロッドを製造することにより頭蓋顔面固定用のスクリューを製造するため、当該素材を200℃の温度で、押し出しプロセスに付す。
ミクロ組織の粒度は3.0μm未満であり、合金マトリックス中に分散金属間相の粒径は0.5μmであった。
マグネシウム合金は、引張強さが340MPa~360MPa、耐力が約250MPa(ママ)に達した。降伏比は0.71で、機械的対称性は1.2であった。