(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】熱処理設備のリニアガイド装置および熱処理設備
(51)【国際特許分類】
F27D 1/16 20060101AFI20220405BHJP
F16C 29/08 20060101ALI20220405BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20220405BHJP
F27B 5/12 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
F27D1/16 A
F16C29/08
F16C33/78 Z
F27B5/12
(21)【出願番号】P 2018156023
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】306039120
【氏名又は名称】DOWAサーモテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】池山 正芳
(72)【発明者】
【氏名】古賀 光絵
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-286013(JP,A)
【文献】特開2008-069870(JP,A)
【文献】特開平09-054178(JP,A)
【文献】特開平06-207783(JP,A)
【文献】特開2009-242817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/16
F16C 29/08
F16C 33/78
F27B 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの熱処理を行う熱処理設備のリニアガイド装置であって、
リニアガイドと、
前記リニアガイドのレールを覆う、シート素材で作製されたジャバラとを備え、
前記シート素材は、
一対のシリカクロスと、
前記一対のシリカクロスの内側表面に形成された一対のアルミ層と、
前記一対のアルミ層の間に位置する、前記シリカクロスよりも引張強度が大きい、ガラスクロスと、を有している、熱処理設備のリニアガイド装置。
【請求項2】
前記ガラスクロスと、前記一対のアルミ層と、前記一対のシリカクロスとが、金属繊維糸で縫い合わされている、請求項1に記載のリニアガイド装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリニアガイド装置を備えた、ワークの熱処理を行う熱処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理設備のリニアガイド装置および熱処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
浸炭設備のような熱処理設備においては、自動車部品や機械部品等のワークが昇温室や浸炭室等の処理室に搬送されて所定の熱処理が施される。ワークの搬送装置には、ワークが載る搬送台を水平方向に移動させるスライド機構を備えた、搬送台を水平に維持するための部品としてリニアガイドが設けられることがある。リニアガイドは、レールと、レール上を移動するスライダを有しているが、スライダとレールとの間にゴミ等の異物が挟まると、リニアガイドの性能が低下してしまう。このため、使用環境が悪い場所でリニアガイドを使用する場合には、レールを覆うカバーとしてジャバラが設けられることがある。
【0003】
特許文献1には、リニアガイド装置の案内レールを上方から覆う、軸方向に伸縮自在な防塵用ジャバラが開示されている。特許文献2には、ガラス繊維を主材とする芯材と、その芯材の表裏面に貼付されたフッ素樹脂フィルムからなる素材で形成されたジャバラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-83328号公報
【文献】特開平9-54178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
500~1000℃の熱処理が行われる環境下でジャバラを使用する場合、ジャバラの素材は高い耐熱性を有していることが求められる。そのような素材として、耐熱性、コストおよび入手容易性の観点からシリカクロスが考えられる。しかしながら、シリカクロスは、繊維を織って作られているため、繰り返しの伸縮動作を行うリニアガイドのジャバラ素材として使用すると、繊維のほつれが生じ、ジャバラが破損してジャバラの性能が低下してしまう。このため、リニアガイドの性能を維持するためには、ジャバラが破損する前に、熱処理設備の運転を停止し、補修や交換等のメンテナンスを行う必要がある。すなわち、高温環境下のリニアガイドで使用されるジャバラの耐久性が低いと、ジャバラのメンテナンス頻度が多くなり、生産性が低下することになる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱処理設備のリニアガイドに使用されるジャバラの耐久性を向上させ、生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一態様は、ワークの熱処理を行う熱処理設備のリニアガイド装置であって、リニアガイドと、前記リニアガイドのレールを覆う、シート素材で作製されたジャバラとを備え、前記シート素材は、一対のシリカクロスと、前記一対のシリカクロスの内側表面に形成された一対のアルミ層と、前記一対のアルミ層の間に位置する、前記シリカクロスよりも引張強度が大きい、ガラスクロスと、を有していることを特徴としている。
【0008】
別の観点による本発明の一態様は、上記のリニアガイド装置を備えた、ワークの熱処理を行う熱処理設備である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱処理設備のリニアガイドに使用されるジャバラの耐久性を向上させ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置が設けられる熱処理設備の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るリニアガイド装置の概略構成を示す図である。
【
図4】
図3のジャバラを裏から見た場合の斜視図である。
【
図6】ジャバラのシート素材の構造を示す図である。
【
図7】ジャバラを裏から見た場合のシート素材同士の縫い合わせ部分を示す拡大図である。
【
図9】ジャバラの伸縮方向における一端部を示す図である。
【
図10】ジャバラの伸縮方向における他端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態のリニアガイド装置1が設けられる熱処理設備50の一例を示す図である。熱処理設備50は、500~1000℃でワークの熱処理が行われる設備であり、
図1に示す例における熱処理設備50は、浸炭焼入れ設備である。本実施形態における熱処理設備50は、例えば昇温室51、浸炭室52(第1浸炭室52a、第2浸炭室52b、第3浸炭室52c)、および焼入れ室53等の複数の処理室51~53と、ワークを搬送する搬送装置54とを備えている。搬送装置54は、各処理室51~53が並ぶ方向に沿って延びる搬送路55と、搬送路55上を移動可能に構成された、リニアガイド装置1を備えたワーク搬送部56とを有している。ワークは、1つの処理室内に搬入されて所定の熱処理が施された後に当該処理室から搬出され、次の処理室へと搬送される。なお、熱処理設備50の構成(処理室の配置や搬送装置の構造等)は本実施形態で説明するものに限定されない。また、熱処理設備50は、例えば窒化処理設備や焼き戻し設備等であってもよい。熱処理設備50が窒化処理設備である場合は、処理室内においてワークの窒化処理が行われ、熱処理設備50が焼き戻し設備である場合は、処理室内においてワークの焼き戻しが行われる。
【0013】
図2は、本実施形態における熱処理設備50に設けられたリニアガイド装置1の概略構成を示す図である。リニアガイド装置1は、リニアガイド2と、リニアガイド2のレール3を覆うジャバラ10(
図2の斜線部)を備えている。本実施形態のリニアガイド装置1においては、一対のリニアガイド2が互いに対向するように設けられ、当該一対のリニアガイド2の間に、ワークWを搬送するための搬送フォーク57が配置されている。搬送フォーク57は、レール3に沿って移動可能なようにリニアガイド2のスライダ(不図示)に取り付けられたフォーク基部57aと、フォーク基部57aからレール3の延伸方向に延びる、ワークWを支持する部分であるワーク支持部57bとを備えている。なお、ワークWは、例えば自動車用ギア等の自動車部品やその他の機械部品等である。また、ワークWは、例えばトレイ状またはバスケット状の治具に複数載せられた状態で搬送フォーク57のワーク支持部57bに支持される。なお、リニアガイド2とジャバラ10とを有するリニアガイド装置1の具体的な構成は、特に限定されることはなく、熱処理設備50の設置箇所や処理室の配置等に応じて適宜変更される。
【0014】
ジャバラ10は、複数の山部と谷部を有した伸縮自在な部材であり、
図3および
図4に示すように本実施形態のジャバラ10は、リニアガイド2のレール3に嵌合する形状の凹部10aを有している。ジャバラ10は、
図5に示すように、適切なサイズに裁断された複数枚のシート素材20が互いに縫い合わされることで作製されている。縫い糸21の繊維は、850~980℃の温度条件下での使用に耐えうる耐熱性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば金属繊維糸であることが好ましい。金属繊維糸としては例えばステンレス鋼繊維からなる縫い糸が採用され得る。
【0015】
本実施形態のジャバラ10のシート素材20は、
図6のような5層構造となっている。詳述すると、シート素材20は、一対のシリカクロス22と、一対のシリカクロス22の内側表面にアルミニウムが蒸着することで形成された一対のアルミ層23と、一対のアルミ層23の間に位置するガラスクロス24とを有している。ガラスクロス24は、シート素材20の芯材に相当するものであり、本明細書における一対のシリカクロス22の“内側”とは、シリカクロス22を基準とした、芯材となるガラスクロス24が存在する側と、存在しない側のうち、存在する側を意味する。ガラスクロス24と、アルミ層23が蒸着したシリカクロス22とは、前述の金属繊維糸で縫い合わされることで固定されている。シリカクロス22は、二酸化珪素(SiO
2)を95%含有するシリカ繊維で作製されている。また、ガラスクロス24の引張強度は、シリカクロス22の引張強度よりも大きくなっており、ジャバラ10の伸縮動作に伴う繊維のほつれが生じにくくなっている。ガラスクロス24の引張強度は例えば150~300kg/25mmであり、シリカクロス22の引張強度は例えば15~50kg/25mmである。なお、ガラスクロス24と、シリカクロス22との固定方法は、特に限定されず、搬送フォーク57の移動に合わせてジャバラ10が伸縮することができる固定方法であればよい。
【0016】
図7は、
図5のようにジャバラ10を裏から見た場合の、
図6に示す構造のシート素材20同士の縫い合わせ部分を示す拡大図である。
図7においては隣り合う4枚のシート素材20が示されている。ここで、それらの4枚のシート素材20を
図7中の左から順に第1のシート素材20a、第2のシート素材20b、第3のシート素材20c、第4のシート素材20dと称したとすると、ジャバラ10においては、第1のシート素材20aの上端部と第2のシート素材20bの上端部とが縫い糸21で縫い合わされている。また、ジャバラ10においては、第2のシート素材20bの下端部と第3のシート素材20cの下端部が縫い糸21で縫い合わされ、第3のシート素材20cの上端部と第4のシート素材20dの上端部とが縫い糸21で縫い合わされている。本実施形態のジャバラ10は、伸縮方向に連なって配置される複数のシート素材20が
図7のように縫い合わされることで作製されている。
【0017】
図8に示すように、本実施形態のシリカクロス22は、シリカ繊維布22Aが裁断されることで作製されたものであるが、シリカクロス22の繊維方向は、シリカ繊維布22Aの裁断方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、シリカクロス22の裁断面からのほつれを生じにくくすることができる。また、本実施形態のガラスクロス24は、ガラス繊維布が裁断されることで作製されたものであるが、
図8に示すシリカクロス22と同様に、ガラスクロス24の繊維方向は、ガラス繊維布の裁断方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、ガラスクロス24の裁断面からのほつれを抑えることができる。繊維方向と裁断方向とのなす角は45°に近づくほど好ましい。
【0018】
本実施形態のシート素材20は以上のように構成されている。
図9は、ジャバラ10の伸縮方向(すなわち、レール3の延伸方向)の両端部のうちの一方の端部を示す図である。本実施形態のジャバラ10は、
図9のように伸縮方向における一方の端部に一対のプレート11a、11bが設けられている。プレート11a、11b間には、伸縮方向の最も端に位置する1枚のシート素材20が挟み込まれた状態にあり、一対のプレート11a、11bは、その状態のままリベット12によって互いに固定されている。また、一対のプレート11a、11bは、ボルト穴13を有しており、リニアガイド2のレール3やスライダ等の相手部材に対してボルト固定される。ジャバラ10の伸縮方向の端部において、一対のプレート11a、11bが設けられていることで、ジャバラ10と、リニアガイド2のレール3やスライダ等の相手部材との固定をより強固にすることができる。
【0019】
図10は、ジャバラ10の伸縮方向の両端部のうちの他方の端部(
図9に示す端部と反対側の端部)を示す図である。当該端部においても、
図9に示す端部と同様に一対のプレート14a、14bが設けられている。プレート14a、14b間には、伸縮方向の最も端に位置する1枚のシート素材20が挟み込まれた状態にあり、一対のプレート14a、14bは、その状態のままリベット15によって互いに固定されている。また、一対のプレート14a、14bは、ボルト穴16を有しており、リニアガイド2のレール3やスライダ等の相手部材に対してボルト固定される。ジャバラ10の伸縮方向の端部において、一対のプレート14a、14bが設けられていることで、ジャバラ10と、リニアガイド2のレール3やスライダ等の相手部材との固定をより強固にすることができる。
【0020】
このように、ジャバラ10と、リニアガイド2のレール3やスライダ等の相手部材との固定をより強固にするという観点では、ジャバラ10の伸縮方向における両端部のうち、少なくともいずれか一方の端部に一対のプレートが設けられ、一対のプレートは、プレート間にシート素材20が挟まれた状態で互いに固定されていることが好ましい。なお、一対のプレート同士の固定方法は、リベットを用いた固定方法のような機械的な接合方法に限定されない。
【0021】
また、ジャバラ10と、リニアガイド2のレール3等の相手部材との固定をより強固にするという観点からは、
図3~
図5に示すように、ジャバラ10の伸縮方向における中途部に、リニアガイド2のレール形状に嵌合する形状を有した複数のプレート(以下、“中間ガイドプレート17”)が設けられていることが好ましい。本実施形態において、シート素材20と中間ガイドプレート17とはリベット等の機械的な接合方法で固定されているが、シート素材20と中間ガイドプレート17の接合方法は、機械的な接合方法に限定されない。接着剤を用いてシート素材20と中間ガイドプレート17とが固定される場合と比較すると、機械的接合方法の方が、ジャバラ10が繰り返し伸縮してもシート素材20が中間ガイドプレート17から外れにくくなり、耐久性をさらに向上させることができる。
【0022】
本実施形態の熱処理設備50のリニアガイド装置1は以上のように構成されている。リニアガイド装置1は、ジャバラ10が一対のシリカクロス22と、一対のアルミ層23と、ガラスクロス24とを有しているために、次のような作用が生じる。シリカクロス22は、一般に耐熱温度が1000℃程度であり、例えば850~980℃の熱処理が行われる環境下で使用されても、シリカクロス22が本来有する特性が失われず、ジャバラ10としての機能を維持することができる。一対のシリカクロス22の内側表面に位置するアルミ層23は、シリカクロス22に対して蒸着されているため、シリカクロス22の繊維をほつれにくくすることができる。これにより、ジャバラ10の伸縮動作が繰り返されても、シリカクロス22が破損しにくくなる。さらに、一対のアルミ層23が一対のシリカクロス22の内側に位置していることにより、アルミ層23が850~980℃といった高温に直接曝されにくくなり、アルミニウムの溶解によるアルミ層23の剥がれが生じにくくなる。また、一対のアルミ層23は、シリカクロス22の外側から到達する熱輻射による電磁波を反射することができ、断熱材として機能する。これにより、一対のアルミ層23の内側に位置するガラスクロス24が高温に曝されにくくなる。
【0023】
本実施形態のガラスクロス24は、シリカクロス22よりも高い引張強度を有しており、ジャバラ10の伸縮動作が繰り返されても、シリカクロス22よりもほつれにくくなっている。このため、例えばジャバラ10の伸縮動作に伴いシリカクロス22がほつれ始めたとしても、ガラスクロス24がシリカクロス22よりもほつれにくいために、ガラスクロス24は破損せずにジャバラ10としての機能を維持しやすくなる。また、前述のようにガラスクロス24の外側に一対のアルミ層23があることで、ガラスクロス24は、シリカクロス22ほどの耐熱性を必要としない。すなわち、一対のアルミ層23の間にガラスクロス24が位置する本実施形態のジャバラ10においては、シリカクロス22よりも耐熱性が劣っていたとしても引張強度の高い繊維をガラスクロス24の繊維として採用することができる。耐熱性と引張強度が共に高い繊維は高価であるが、本実施形態のジャバラ10のシート素材20の構造によれば、より安価で、シリカクロス22よりもほつれにくい、引張強度の大きいガラスクロス24を用いてジャバラ10を作製することができる。
【0024】
このように、本実施形態のリニアガイド装置1においては、ガラスクロス24と、一対のアルミ層23と、一対のシリカクロス22とを有する構造のシート素材20でジャバラ10が作製されていることにより、ジャバラ10の耐久性を向上させることができる。このため、ジャバラ10が熱処理設備50のリニアガイド2に装着されて使用された際にも破損しにくくなり、ジャバラ10の補修や交換等のメンテナンス作業の頻度を少なくすることができる。その結果、熱処理設備50の運転時間を増やすことができ、生産性を向上させることができる。なお、ガラスクロス24と、一対のアルミ層23と、一対のシリカクロス22とを有する構造のシート素材20からなるジャバラ10を備えたリニアガイド装置1は、500~1000℃の熱処理(例えば浸炭、窒化、高温焼き戻し等)を行う熱処理設備50に適用され得るが、850~980といった高温域の熱処理を行う浸炭焼入れ設備に適用されることで、従来構造のジャバラに対する耐久性の向上度合いが大きくなる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0026】
本発明に係るリニアガイド装置を備えた真空浸炭設備において、ワークの浸炭処理を実施し、ジャバラの耐久試験を実施した。ジャバラのシート素材は、
図6に示すものと同様であり、一対のシリカクロスと、一対のシリカクロスの内側表面に蒸着した一対のアルミ蒸着層と、一対のアルミ蒸着層の間に位置するガラスクロスで構成されている。ガラスクロスと一対のシリカクロスとはステンレス鋼繊維からなる繊維糸で縫い合わされている。熱処理中の条件は、処理室内の圧力が真空状態、処理室内温度が950~970℃である。本発明に係るリニアガイド装置においては、上記の条件でワークの搬送を940回繰り返し実施しても、ジャバラが破損しなかった。
【0027】
また、比較例として、シリカクロスと、シリカクロスの片面にアルミニウムが蒸着することで形成されたアルミ蒸着層とを有した2層構造のシート素材を用いてジャバラを作製し、上記の熱処理条件と同一条件で耐久性試験を実施した。比較例のジャバラは、アルミ蒸着層が剥がれ落ち、ワークの搬送を500回繰り返した段階で、シリカクロスがほつれ始め、ジャバラのメンテナンス作業が必要な状態となった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、ワークの熱処理設備に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 リニアガイド装置
2 リニアガイド
3 レール
10 ジャバラ
10a ジャバラの凹部
11a プレート
11b プレート
12 リベット
13 ボルト穴
14a プレート
14b プレート
15 リベット
16 ボルト穴
17 中間ガイドプレート
20 シート素材
21 縫い糸
22 シリカクロス
22A シリカ繊維布
23 アルミ層
24 ガラスクロス
50 熱処理設備
51 昇温室
52 浸炭室
53 焼入れ室
54 搬送装置
55 搬送路
56 ワーク搬送部
57 搬送フォーク
57a フォーク基部
57b ワーク支持部
W ワーク