(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】バイオインピーダンス信号取得のための電子システム、バイオ信号取得のためのウェアラブル装置、バイオインピーダンス信号取得のための電子システムの作動方法、及びコンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 5/053 20210101AFI20220405BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B5/053 ZDM
A61B5/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018169465
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-07-30
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508223789
【氏名又は名称】スティヒティング・イメック・ネーデルラント
【氏名又は名称原語表記】Stichting IMEC Nederland
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ウィレメイン・フルーネンダール
(72)【発明者】
【氏名】イ・スルギ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン・デ・フランシスコ・マルティン
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05063937(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074674(US,A1)
【文献】特表2008-536650(JP,A)
【文献】特表2003-510105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0312166(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0113501(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257119(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282868(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2541947(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に印加される電流信号(S1)を生成するように構成された電流信号注入モジュール(10)と、
上記被験者に印加された電流信号(S1)によって生成された電圧に基づいてバイオインピーダンス信号(S2)を測定するように構成されたバイオインピーダンス信号測定モジュール(20)と、
上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルを検出するように構成され、かつ、上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成されたデータ品質検出モジュール(30)と、
上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルがそれぞれ
上記AC基準値範囲及び
上記DC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかについての上記検出に基づいて、上記電流信号注入モジュール(10)及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュール(20)の少なくとも1つのパラメータを変更するように構成された信号適応モジュール(40)とを備え、
上記少なくとも1つのパラメータは、上記生成された電流信号(S1)の周波数、上記測定されたバイオインピーダンス信号の利得、及び/又は、上記バイオインピーダンス信号を測定する電極ペアに含まれる電極を
含む、
バイオインピーダンス信号取得のための電子システム(100)。
【請求項2】
上記AC基準値範囲及び上記DC基準値範囲は、予め定義された値範囲であるか、システム較正を実行することで定義された値範囲であるか、又は上記信号適応モジュール(40)によってパラメータ変更を実行することで定義された値範囲である、
請求項1記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項3】
上記AC基準値範囲は、呼吸に起因するバイオインピーダンスの変化に関連し、上記DC基準値範囲は、上記バイオインピーダンス信号測定モジュール(20)のDCレベルの変化に関連する、
請求項1又は2記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項4】
上記データ品質検出モジュール(30)は、上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のAC及び/又はDCレベルが、上記
AC基準値範囲及び/又は上記DC基準値範囲の内部又は外部にある場合、上記信号適応モジュール(40)に制御信号(CS)を送信するように構成される、
請求項1~3のうちの1つに記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項5】
上記制御信号(CS)は、上記電流信号注入モジュール(10)及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュール(20)の少なくとも1つのパラメータの変更を開始及び終了するときに、上記信号適応モジュール(40)に通知する、
請求項4記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項6】
上記データ品質検出モジュール(30)は、パラメータの変更を開始するために上記制御信号(CS)を上記信号適応モジュール(40)に送信する前に、被験者の呼吸イベントを検出するように構成される、
請求項4又は5記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項7】
上記信号適応モジュール(40)は、
上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルがそれぞれ上記AC基準値範囲及び上記DC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかについての上記検出に基づいて、上記少なくとも1つのパラメータの値を増大又は減少させるように構成される、
請求項1~6のうちのいずれか1に記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項8】
上記データ品質検出モジュール(30)は、上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルを、連続的又は予め決められた時間間隔で
検出するように構成される、
請求項1~7のうちの1つに記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項9】
被験者の姿勢を検出するための姿勢検出モジュール(50)をさらに備え、
上記データ品質検出モジュール(30)は、上記姿勢検出モジュール(50)によって姿勢変化が検出される場合、上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のAC及び/又はDCレベルを
検出するように構成される、
請求項1~8のうちの1つに記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項10】
上記信号適応モジュール(40)は、上記姿勢検出モジュール(50)からの姿勢情報にさらに基づいて、上記電流信号注入モジュール(10)及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュール(20)の少なくとも1つのパラメータを変更するように構成される、
請求項9記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項11】
上記電流信号注入モジュール(10)及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュール(20)の少なくとも1つのパラメータのための適切な設定内容は、被験者について、当該被験者の異なる姿勢ごとに決定され、上記決定された設定内容は、上記姿勢検出モジュール(50)によって姿勢変化が検出される場合、上記少なくとも1つのパラメータを初期設定として再利用するために格納される、
請求項9又は10記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)。
【請求項12】
請求項1~11のうちの1つに記載のバイオインピーダンス信号取得のための
電子システム(100)を備える、バイオ信号取得のためのウェアラブル装置。
【請求項13】
請求項1~11のうちの1つに記載の
バイオインピーダンス信号取得のための電子システム
の作動方法であって、上記方法は、
被験者に印加するための電流信号(S1)を
生成することと、
上記被験者に印加された電流信号(S1)によって生成された電圧に基づいてバイオインピーダンス信号(S2)を測定することと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルを検出し、上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)のACレベル及びDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出することと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号(S2)の上記検出されたACレベル及びDCレベルがそれぞれ
上記AC基準値範囲及び
上記DC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかに基づいて、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更することとを含み、
上記少なくとも1つのパラメータを変更することは、上記生成された電流信号(S1)の周波数、上記測定されたバイオインピーダンス信号の利得、及び/又は、上記バイオインピーダンス信号を測定する電極ペアに含まれる電極を変更することを含む、
方法。
【請求項14】
請求項1~11のうちの1つに記載の
電子システムにおいてプログラムが実行されるときに、請求項13記載の方法に係るバイオインピーダンス信号取得に適合したコンピュータプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明概念は、バイオインピーダンス信号取得のシステム及び方法に関する。特に、本発明概念は、測定されたバイオインピーダンス信号が良好なデータ品質で取得されることを保証することに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の健康状態のモニタリングに使用するために、バイオインピーダンス信号への関心が高まっている。バイオインピーダンス信号は、例えば被験者の呼吸によって変調されてもよく、従って、バイオインピーダンス信号は、被験者の呼吸のモニタリングに使用されてもよい。これは、例えば、睡眠モニタリングのアプリケーションにおいて使用されてもよい。
【0003】
バイオインピーダンス測定は、バイオインピーダンス測定を行う対象である被験者に対して、最小又は少なくとも小さな不便をもたらす、比較的に簡単な機器によって行われてもよい。従って、バイオインピーダンス測定の使用は、被験者の健康状態及び/又は状態を長期的にモニタリングする際に、及び/又は、家庭環境(病院環境の外部)においてモニタリングする際に、特に興味深いオプションである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バイオインピーダンス測定の品質は、時間にわたって変化する可能性がある。例えば、バイオインピーダンス測定中に被験者が移動するか又は姿勢を変化させる場合、バイオインピーダンス測定は影響を受ける可能性があり、それは、信号品質の低下をもたらす可能性があり、又は、取得する信号の飽和をもたらす可能性があり、これにより、バイオインピーダンスの測定が妨げられる。信号品質におけるそのような変動は、特に、睡眠モニタリングのような長期的なモニタリングのアプリケーションにおいて生じる可能性がある。
【0005】
飽和を防ぐために、バイオインピーダンス測定は、小さな振幅を有する注入電流に基づいてもよい。従って、バイオインピーダンス信号の飽和のリスクは非常に低いかもしれない。しかしながら、信号対雑音比が低い可能性があるので、検出されたバイオインピーダンス信号から情報を抽出することが困難になる可能性がある。
【0006】
本発明概念の目的は、変化する取得条件においても高品質でバイオインピーダンス信号を取得することを可能にする、バイオインピーダンス信号取得のためのシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明概念のこの目的及び他の目的は、少なくとも部分的に、独立請求項に定義される本発明によって満たされる。好ましい実施形態が従属請求項に記述される。
【0008】
第1の態様によれば、バイオインピーダンス信号取得のための電子システムが提供され、上記システムは、
被験者に印加される電流信号を生成するように構成された電流信号注入モジュールと、
上記被験者に印加された電流信号によって生成された電圧に基づいてバイオインピーダンス信号を測定するように構成されたバイオインピーダンス信号測定モジュールと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを検出するように構成され、かつ、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成されたデータ品質検出モジュールと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかについての上記検出に基づいて、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更するように構成された信号適応モジュールとを備える。
【0009】
本発明のおかげで、信号品質の劣化が識別されてもよい。さらに、そのような識別に基づいて、バイオインピーダンス信号取得の設定内容が変更されてもよく、これにより、バイオインピーダンス測定値が高いデータ品質で連続的に取得できるようになる可能性がある。従って、本システムは、高いデータ品質を保持するようにシステムを動的に変更するために、バイオインピーダンス信号取得のための適応的な設定内容を使用することを可能にする。
【0010】
バイオインピーダンス信号取得の適応的な設定内容を使用することは、測定されるバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルに影響する可能性がある。このことは、測定されたバイオインピーダンス信号の解析において、測定されたバイオインピーダンス信号に基づいて関連する結論を生成するために、AC及び/又はDCレベルの変化を補正することが必要であるかもしれないことを意味する。例えば、測定されたバイオインピーダンス信号の利得又は生成された電流信号の振幅が変更される場合、これは補正されてもよく、また、測定されたバイオインピーダンス信号の絶対値がなお使用されてもよい。しかしながら、他の変更されたパラメータ、例えば、生成された電流信号の周波数、又は、バイオインピーダンス信号を測定するための電極ペアに含まれる電極の変更については、異なる設定内容について測定されたバイオインピーダンス信号は、絶対項において比較されなくてもよい。しかしながら、多数のシナリオにおいて、測定されたバイオインピーダンス信号の絶対値は、無関係であるか、又は、有意ではない。例えば、周波数又は相対値が抽出される場合、測定されたバイオインピーダンス信号の絶対値は無関係である可能性がある。従って、バイオインピーダンス信号取得の適応的な設定内容を使用することは、例えば、呼吸速度を決定する、呼吸のモニタリングに適する可能性がある。
【0011】
一実施形態によれば、信号適応モジュールは、電流信号注入モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更するように構成されてもよい。もう1つの実施形態によれば、信号適応モジュールは、バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更するように構成されてもよい。さらにもう1つの実施形態では、信号適応モジュールは、電流信号注入モジュールの少なくとも1つのパラメータと、バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータとを変更するように構成されてもよい。
【0012】
信号適応モジュールが電流信号注入モジュール及びバイオインピーダンス信号測定モジュールの1つよりも多くのパラメータを変更するように構成される場合、信号適応モジュールは、これらのパラメータを逐次に変更するように構成されてもよい。従って、まず、第1のパラメータが変更されてもよく、第1のパラメータの1回以上の変更の後で信号品質がなお不十分であると判断される場合には、次いで、第2のパラメータが変更されてもよい。
【0013】
代替例によれば、信号適応モジュールは、バイオインピーダンス信号取得のための設定内容を調整するための2つ以上のパラメータを同時に変更するように構成されてもよい。
【0014】
ある実施形態によれば、データ品質検出モジュールは、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルを検出し、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルがAC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成される。AC基準値範囲は、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルがAC基準値範囲の外部にあることを検出することが、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることを示すように、高品質の取得のための許容できるACレベルを定義するように設定されてもよい。代替として、AC基準値範囲は、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルがAC基準値範囲の内部にあることを検出することが、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることを示すように、高品質の取得のための許容できないACレベルを定義するように設定されてもよい。
【0015】
ある実施形態によれば、データ品質検出モジュールは、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルを検出し、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルがDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成される。DC基準値範囲は、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルがDC基準値範囲の外部にあることを検出することが、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることを示すように、高品質の取得のための許容できるDCレベルを定義するように設定されてもよい。代替として、DC基準値範囲は、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルがDC基準値範囲の内部にあることを検出することが、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることを示すように、高品質の取得のための許容できないDCレベルを定義するように設定されてもよい。
【0016】
ある実施形態によれば、データ品質検出モジュールは、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルと、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルとの両方を検出するように構成される。データ品質検出モジュールは、測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルがAC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出し、測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルがDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するようにさらに構成されてもよい。従って、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることをACレベル及びDCレベルのいずれかが示していることをデータ品質検出モジュールが検出する場合、そのような変更は信号適応モジュールによって実行されてもよい。しかしながら、代替として、電流注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更する必要があることをACレベル及びDCレベルの両方が示す場合のみ、信号適応モジュールによる変更が実行されてもよい。
【0017】
ある実施形態によれば、上記AC基準値範囲及び上記DC基準値範囲は、予め定義された値範囲であるか、システム較正を実行することで定義された値範囲であるか、又は上記信号適応モジュールによってパラメータ変更を実行することで定義された値範囲である。
【0018】
予め定義された値範囲であるAC基準値範囲及びDC基準値範囲によって、本システムを非常に迅速に使用可能にすることができ、また、本システムが使用される前にいかなる較正又は適応化を必要としなくてもよい。用いられる予め定義された値範囲は、本システムのセットアップの入力に基づいて、及び/又は、本システムが使用される被験者に基づいて決定されてもよい。従って、いくつかの予め定義された値範囲は、被験者の体格指数(body mass index :BMI)、被験者のジェンダー、及び/又は、被験者の身体に対する電流注入及びバイオインピーダンス測定電極の位置決めのような、複数の特性に基づいて設定されてもよい。適切な予め定義された値範囲を選択するために何らかの入力が与えられてもよいが、AC基準値範囲及びDC基準値範囲のために予め定義された値範囲を設定するためのバイオインピーダンス測定を必要としなくてもよい。
【0019】
システム較正を実行することで定義されているAC基準値範囲及びDC基準値範囲によって、本システムは、当該システムが使用されることになっている被験者に合わせてセットアップされてもよい。従って、本システムは、特定の被験者に適応化される個人化を可能にしてもよい。このことは、本システムが使用される各被験者に対して本システムが高いデータ品質を提供することを容易にする可能性がある。システム較正を実行することで定義されているAC基準値範囲及びDC基準値範囲は、本システムのメモリに格納されてもよく、これにより、較正された値範囲を、被験者に対するバイオインピーダンス測定の異なるセッションの間で再利用することを可能にする。
【0020】
AC基準値範囲及びDC基準値範囲は、パラメータ変更と関連付けて変更されてもよい。例えば、パラメータ変更処理を行っても、最良の可能な信号品質が所望の範囲内にない状態になる場合、AC基準値範囲及びDC基準値範囲は、データ品質検出モジュールがパラメータ変更を常にトリガすることがないように変更されてもよい。このことは、比較的の高品質のバイオインピーダンス信号を得られるようにする可能性がある。より高品質の信号を再び取得しうることが検出される場合、本システムを制御して所望の範囲内の信号品質を達成するように、AC基準値範囲及びDC基準値範囲が再び変更されてもよい。
【0021】
本システムは、上記AC基準値範囲及び上記DC基準値範囲が、予め定義された値範囲と、システム較正を実行することで定義された値範囲と、上記信号適応モジュールによってパラメータ変更を実行することで定義された値範囲とのうちの1つ以上の方法で定義されうるように構成されてもよい。従って、状況に依存して、AC基準値範囲及びDC基準値範囲は異なる方法で定義されてもよい。
【0022】
上記AC基準値範囲は、呼吸に起因するバイオインピーダンスの変化に関連してもよく、上記DC基準値範囲は、上記バイオインピーダンス信号測定モジュールのDCレベルの変化に関連してもよい。
【0023】
従って、許容できるACレベルを定義するAC基準値範囲は、所定の高い信号対雑音比で呼吸情報を得ることを可能にする、所望の最低レベルのバイオインピーダンス信号に基づいて設定されてもよい。許容できるDCレベルを定義するDC基準値範囲は、バイオインピーダンス測定が妨げられないように、飽和しないことに基づいて設定されてもよい。
【0024】
ある実施形態によれば、上記データ品質検出モジュールは、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルが、上記基準値範囲の内部又は外部にある場合、上記信号適応モジュールに制御信号を送信するように構成される。
【0025】
ある実施形態によれば、上記データ品質検出モジュールは、上記測定されたバイオインピーダンス信号のACレベルが、上記基準値範囲の内部又は外部にある場合、上記信号適応モジュールに制御信号を送信するように構成される。もう1つの実施形態によれば、上記データ品質検出モジュールは、上記測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルが、上記基準値範囲の内部又は外部にある場合、上記信号適応モジュールに制御信号を送信するように構成される。さらにもう1つの実施形態では、上記データ品質検出モジュールは、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及びDCレベルが、上記基準値範囲の内部又は外部にある場合、上記信号適応モジュールに制御信号を送信するように構成される。
【0026】
データ品質検出モジュールから制御信号を送信することは、信号適応モジュールのためのトリガとして使用されてもよい。このことは、制御信号が送信されない限り、信号適応モジュールがアクティブになる必要がないことを意味する。
【0027】
ある実施形態によれば、上記制御信号は、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータの変更を開始及び終了するときに、上記信号適応モジュールに通知する。
【0028】
制御信号は、電流信号注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータの変更を開始するように信号適応モジュールがトリガされてもよいように、パラメータ変更が必要とされてもよいことを信号適応モジュールに通知してもよい。
【0029】
パラメータの変更中に、バイオインピーダンス信号測定モジュールは、バイオインピーダンス信号を連続的に測定してもよく、データ品質検出モジュールは、AC及び/又はDCレベルを連続的に検出し、AC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出してもよい。ACレベル及び/又はDCレベルが再び許容できる範囲内にある(又は、許容できない範囲の外部になる)ことをデータ品質検出モジュールが発見した場合、データ品質検出モジュールは、パラメータの変更を停止する制御信号を信号適応モジュールに送ってもよい。
【0030】
パラメータの変更は、許容できる信号品質に基づいて停止されてもよい。代替又は追加として、パラメータ変更処理のための最大時間が定義されてもよい。従って、パラメータの変更中に、最大時間が経過したか否かの制御が実行されてもよく、経過したとき、信号品質が許容できるレベルに達していなくても、パラメータの変更が停止されてもよい。最大時間の経過に基づいてパラメータの変更が停止されたとき、最良のデータ品質をもたらす少なくとも1つのパラメータの値が使用されてもよい。
【0031】
信号適応モジュールは、パラメータの変更を停止するために、最大時間の経過に基づく制御信号を受信するように構成されてもよい。しかしながら、代替例によれば、信号適応モジュールは、パラメータの変更を停止するために、最大時間が経過したか否かをそれ自体でチェックしてもよい。
【0032】
パラメータの変更中に、バイオインピーダンス信号は、使用不可能又はより低いデータ品質になる可能性がある。従って、最大時間の使用は、パラメータを変更してもバイオインピーダンス信号が非常に長時間にわたって使用不可能又は低品質にならないことを保証してもよい。従って、最大時間が経過した後でパラメータの変更を停止することによって、最良のデータ品質を与える少なくとも1つのパラメータの値に基づいて比較的に高い品質が達成される可能性がある。このことは、バイオインピーダンス信号の解析が妨げられてもよい期間が長すぎてはならないということを意味する。これらの値を用いるデータ品質が所望のレベル未満にとどまる場合、連続したパラメータ変更の間の時間間隔においてデータ分析が少なくとも可能にされるように、所定の時間期間の後に新たなパラメータ変更が開始されてもよい。
【0033】
ある実施形態によれば、上記データ品質検出モジュールは、パラメータの変更を開始するために上記制御信号を上記信号適応モジュールに送信する前に、被験者の呼吸イベントを検出するように構成される。
【0034】
呼吸低下、浅呼吸、及び無呼吸のような呼吸イベントは、例えば、バイオインピーダンス信号のACレベルの振幅を減少させる可能性がある。しかしながら、呼吸イベントに起因してパラメータの変更が実行されることは、呼吸が再び正常に戻ったときに短期間に新たなパラメータの変更を必要とする可能性があるので望ましくない。呼吸イベントが生じたか生じていると決定することによって、パラメータの変更は妨げられてもよい。呼吸イベントは別個のセンサからの入力に基づいて決定されてもよく、このセンサは、例えば、無呼吸を検出するために何らかの胸の動きが生じいているか否かを測定してもよい。
【0035】
もう1つの実施形態によれば、測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれ、AC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部又は外部にあることを検出したとき、データ品質検出モジュールは、所定期間にわたってデータ品質をモニタリングしてもよく、信号適応モジュールは、測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれ所定期間にわたってAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部又は外部にあることを検出することに基づいて、電流信号注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更するように構成される。
【0036】
従って、パラメータの変更を開始する前に所定期間にわたって待機することによって、一時的な呼吸イベントに起因した適応化は回避されてもよい。データ品質がモニタリングされる時間期間の長さは、パラメータの変更が実際に必要とされる場合、パラメータの変更が開始される前の継続時間を最小化するように、呼吸イベントの継続時間をカバーするために十分に長く、ただし長すぎないように設定されてもよい。一実施形態によれば、時間期間は50~180秒の範囲内に設定されてもよい。ある実施形態では、時間期間は60秒に設定されてもよい。結局、パラメータの変更を開始すると決定する場合、この決定は、所定の時間期間における測定されたバイオインピーダンス信号を考慮してもよい。
【0037】
ある実施形態によれば、上記信号適応モジュールは、上記生成された電流信号の振幅、上記生成された電流信号の周波数、上記測定されたバイオインピーダンス信号の利得、及び/又は、上記バイオインピーダンス信号を測定する電極ペアに含まれる電極を変更するように構成される。
【0038】
これらのパラメータのうちの1つ又は複数は、有利なことには、バイオインピーダンス信号取得の適応化に使用されてもよい。
【0039】
バイオインピーダンス信号は、2つの位置の間の電圧であって、これら2つの位置の間の注入電流及びインピーダンスに基づく電圧として測定されてもよい。従って、バイオインピーダンス信号は、注入電流及びバイオインピーダンスに線形従属であってもよい。
【0040】
生成された電流信号の振幅は、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅に直接的に影響する可能性がある。従って、生成された電流信号の振幅を増大させることによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が増大されてもよい。同様に、生成された電流信号の振幅を減少させることによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が減少されてもよい。
【0041】
組織のインピーダンスは、電流信号の周波数に依存する可能性がある。従って、電流信号の周波数を変更することによって、バイオインピーダンスは変更されてもよく、それは、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅を変化させる可能性がある。測定されたバイオインピーダンス信号の大きさと、電流信号の周波数との関係は、コール・コール(Cole-Cole)プロットによって表されてもよい。コール・コールプロットでは、異なる複数の周波数における、測定されたバイオインピーダンス信号の抵抗部及びリアクタンス部の半円形状の関係が形成される。典型的には、バイオインピーダンスの抵抗値は、周波数の増大に応じて減少する可能性がある。一方、バイオインピーダンスのリアクタンス値は、組織の特性に依存して、周波数の増大に応じて減少又は増大する可能性がある。従って、電流信号の周波数を変化させることは、測定されるバイオインピーダンス信号に影響する可能性があり、周波数の変化の影響は、初期周波数及び新たな周波数における、コール・コールプロットでの位置に依存する可能性がある。
【0042】
バイオインピーダンス信号測定モジュールによって使用される、測定されるバイオインピーダンス信号の利得は、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅に直接的に影響する可能性がある。従って、利得を増大させることによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が増大されてもよい。同様に、利得を減少させることによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が減少されてもよい。
【0043】
システムは、多数の電極から選択された1つ又は複数の電極ペアからバイオインピーダンス信号が受信されうるようにセットアップされてもよい。従って、バイオインピーダンス信号は、どの電極がアクティブであるかに依存して変化する可能性がある。信号適応モジュールは、バイオインピーダンス信号を測定するための1つ又は複数の電極ペアにどの電極が含まれるかを変更するように構成されてもよい。2つの位置の間のバイオインピーダンスは、2つ位置の関係に依存して異なってもよく、これにより、電極ペアに含まれる電極を変更することが、測定されるバイオインピーダンス信号に影響する可能性がある。
【0044】
例えば、電極の間の距離は異なってもよく、これにより、どの電極が選択されているかに依存して、バイオインピーダンス信号が測定される組織の距離が変化してもよい。いくつかのセットアップにおいて、2つの位置の間の距離がより大きくなると、これらの位置の間のバイオインピーダンスがより大きくなる可能性がある。従って、電極の間の距離を増大するために電極ペアに含まれる電極を変更することによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が増大されてもよい。同様に、電極の間の距離を減少させるために電極ペアに含まれる電極を変更することによって、測定されるバイオインピーダンス信号の振幅が減少されてもよい。
【0045】
ある実施形態によれば、上記信号適応モジュールは、上記検出されたACレベル及び上記AC基準値範囲の間の関係、及び/又は、上記検出されたDCレベル及び上記DC基準値範囲の間の関係に依存して、上記少なくとも1つのパラメータの値を増大又は減少させるように構成される。
【0046】
このことは、少なくとも1つのパラメータのここで使用さられている1つ又は複数の値に基づいて適応化が実行されてもよいことを意味する。従って、少なくとも1つのパラメータの値の小さな変化のみが必要である場合、許容できるデータ品質をもたらす新たな設定内容は非常に速く発見される可能性がある。さらに、ACレベル及び/又はDCレベルが増大される場合、パラメータの変更は、ACレベル及び/又はDCレベルを減少させる少なくとも1つのパラメータの変化を考慮する必要はなく、また、その逆も成り立つ。従って、バイオインピーダンス信号取得の効率的な適応化が達成されうる。
【0047】
ある実施形態によれば、上記データ品質検出モジュールは、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを、連続的又は予め決められた時間間隔でモニタリングするように構成される。
【0048】
測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを予め決められた間隔でチェックすることによって、データ品質検出モジュールは、単一時点においてデータ品質をチェックする必要はない。予め決められた間隔を用いることで、低いデータ品質での検出を比較的に高速に実行できるようにしながら、データ品質検出モジュールの処理能力はセーブされてもよい。予め決められた間隔は、少なくとも1つのパラメータの変更が必要とされうる可能性に基づいて設定されてもよい。従って、予め決められた間隔は、常に同じでなくてもよい。代替として、単一の予め決められた間隔を用いて、AC及び/又はDCレベルのモニタリングが定期的に実行されてもよい。
【0049】
測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを連続的にチェックすることによって、データ品質検出モジュールは、バイオインピーダンス信号取得が低いデータ品質を提供しているか否かを直ちに検出してもよい。
【0050】
ある実施形態によれば、上記システムは、被験者の姿勢を検出する姿勢検出モジュールをさらに備え、上記データ品質検出モジュールは、上記姿勢検出モジュールによって姿勢変化が検出される場合、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルをモニタリングするように構成される。
【0051】
姿勢を変化させることは、バイオインピーダンス信号取得のデータ品質の変化を引き起こす可能性がある。従って、姿勢検出モジュールは、被験者が姿勢を変更したことを検出できるようにしてもよい。従って、姿勢の変化は、データ品質が低下する可能性が高いことに関連付けられうるので、姿勢検出モジュールからの入力は、データ品質検出モジュールによって、AC及び/又はDCレベルをモニタリングするトリガとして使用されてもよい。姿勢検出モジュールを用いることによって、データ品質検出モジュールは、AC及び/又はDCレベルのモニタリングの間で大きな時間間隔を使用することができ、これにより、パラメータの変更を必要とする可能性が高い状況が、特に、姿勢検出モジュールによって検出されてもよく、そのような時点におけるAC及び/又はDCレベルの追加のモニタリングを実行させてもよい。
【0052】
姿勢検出は、多数の異なる方法で行われてもよい。例えば、被験者の姿勢を検出するために、被験者に配置された加速度計が使用されてもよい。代替として、睡眠のモニタリングのように、被験者が小さな空間に閉じ込められる場合、被験者をモニタリングするカメラが使用されてもよい。姿勢検出モジュールは、加速度計又はカメラのような、姿勢の決定に関連する情報を検出可能であるセンサからの入力を受信するように構成されてもよい。代替として、姿勢検出モジュールはセンサに一体化されてもよい。
【0053】
ある実施形態によれば、上記信号適応モジュールは、上記姿勢検出モジュールからの姿勢情報にさらに基づいて、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更するように構成される。
【0054】
姿勢情報は、少なくとも1つのパラメータの適切な値に関連付けられてもよい。従って、特定の姿勢が検出されたとき、そのような適切な値がパラメータの変更において使用されてもよい。
【0055】
ある実施形態によれば、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータのための適切な設定内容は、被験者について、当該被験者の異なる姿勢ごとに決定され、上記決定された設定内容は、上記姿勢検出モジュールによって姿勢変化が検出される場合、上記少なくとも1つのパラメータを初期設定として再利用するために格納される。
【0056】
例えば、システム較正は、姿勢に関連する適切な設定内容の情報を生成してもよい。このことは、本システムの個人化が可能にされ、決定された設定内容を格納することで、姿勢が変化した場合に適切な設定内容を本システムが検索できるようになることを意味する。異なる人の間でバイオインピーダンスが著しく変化する可能性があるので、そのような個人化により、異なる被験者について高品質のバイオインピーダンス信号取得を可能にしうる。
【0057】
しかしながら、測定が開始される前の較正において、異なる姿勢について適切な設定内容を決定する必要はない。代替として、姿勢の適切な設定内容は、測定の間に姿勢が最初に決められるときに決定されてもよい。次いで、姿勢の適切な設定内容は、後の再利用のために格納されてもよい。決定されて格納された設定内容は、被験者の姿勢の測定に係る使用された最新の設定内容に基づいて、連続的に更新されてもよい。
【0058】
姿勢に関する適切な設定内容を格納したおかげで、姿勢の変化が生じたとき、本システムは適切な設定内容を迅速に検索しうる。これにより、本システムは、低品質のデータが取得される継続時間を最小化するように、姿勢の変化に適応化される。
【0059】
本システムの個人化は、設定内容に異なる姿勢を関連付けることを必ずしも含まなくてもよい。ある実施形態では、初期較正は、少なくとも1つのパラメータの適切な設定内容を決定し、また、おそらくは、AC基準値範囲及びDC基準値範囲のための適切な値範囲をさらに決定するために、被験者のデフォルト姿勢で実行されてもよい。従って、適切な設定内容は、後のバイオインピーダンス信号取得で最初に使用されてもよい。そのような初期較正は、バイオインピーダンス信号取得の各セッションについて、セッションを初期化するために実行されてもよい。代替として、ある被験者についての較正内容は、当該被験者についてバイオインピーダンス信号取得の新たなセッションが開始されるとき、決定された設定内容が検索されうるように格納されてもよい。
【0060】
第2の態様によれば、先行する請求項のうちの1つに記載のバイオインピーダンス信号取得のためのシステムを備える、バイオ信号取得のためのウェアラブル装置が提供される。
【0061】
この第2の態様の効果及び特徴は、第1の態様に関して上述したものに概して同様である。第1の態様に関して言及された実施形態は、第2の態様にも概してあてはまる。
【0062】
従って、バイオインピーダンス信号取得のためのシステムは、被験者によって着用されてもよいウェアラブル装置として実装されてもよい。従って、ウェアラブル装置は、被験者によって着用するのに便利である可能性があり、装置が着用されている間には、被験者の日常生活に必ずしも影響することはない。ウェアラブル装置は、高品質の測定されたバイオインピーダンス信号が取得されることを保証することができ、それは、ウェアラブルな装置を用いた被験者の長期的なモニタリングを容易にすることができる。
【0063】
バイオインピーダンス信号は、被験者の状態のモニタリングのための入力として使用されてもよく、従って、バイオインピーダンス信号に基づく睡眠モニタリング又は健康モニタリングアプリケーションで使用されてもよい。ウェアラブル装置は、取得されたバイオインピーダンス信号に基づく情報を被験者に提供するためのディスプレイを備えてもよい。代替として、ウェアラブル装置は、取得された信号の通信のための通信装置を備えてもよく、これにより、外部装置が、測定されたバイオインピーダンス信号をさらに処理して信号から情報を抽出してもよい。取得された信号は、ウェアラブル装置において予め処理されても処理されなくてもよい。
【0064】
第3の態様によれば、第1の態様に係る電子システムにおけるバイオインピーダンス信号取得のための方法が提供され、上記方法は、
電流信号を生成して当該信号を被験者に印加することと、
上記被験者に印加された電流信号によって生成された電圧に基づいてバイオインピーダンス信号を測定することと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを検出し、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出することと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号の上記検出されたAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかに基づいて、電流信号注入モジュール及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更することとを含む。
【0065】
この第3の態様の効果及び特徴は、第1及び第2の態様に関して上述したものに概して同様である。第1及び第2の態様に関して言及された実施形態は、第3の態様にも概してあてはまる。
【0066】
従って、本方法によれば、被験者が姿勢を変更するか、バイオインピーダンス信号取得に影響する他の条件が変更されても、高品質のデータが取得されうるように、適応的なバイオインピーダンス信号取得が達成されうる。
【0067】
第4の態様によれば、第1の態様に係るシステムにおいてプログラムが実行されるときに、第3の態様に係るバイオインピーダンス信号取得に適合したコンピュータプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品又はコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0068】
この第4の態様の効果及び特徴は、第1、第2、及び第3の態様に関して上述したものに概して同様である。第1、第2、及び第3の態様に関して言及された実施形態は、第4の態様にも概してあてはまる。
【0069】
従って、コンピュータプログラム製品は、高品質のデータが取得されうるようにバイオインピーダンス信号取得のための方法を実行するように、処理装置を制御することができる。
【0070】
第5の態様によれば、睡眠のモニタリングのためのバイオインピーダンス信号取得のための電子システムが提供され、上記電子システムは、
被験者に印加される電流信号を生成するように構成された電流信号注入モジュールと、
上記被験者に印加された電流信号によって生成された電圧に基づいてバイオインピーダンス信号を測定するように構成されたバイオインピーダンス信号測定モジュールと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルを検出するように構成され、かつ、上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及びDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成されたデータ品質検出モジュールであって、上記ACレベルがAC基準値範囲の内部又は外部にあることを検出したとき、上記ACレベルが所定時間期間にわたってAC基準値範囲の内部又は外部にとどまるか否かを検出するようにさらに構成されたデータ品質検出モジュールと、
上記測定されたバイオインピーダンス信号のAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかについて、また、上記ACレベルが所定時間期間にわたってAC基準値範囲の内部又は外部にとどまるか否かについての上記検出に基づいて、上記電流信号注入モジュール及び/又は上記バイオインピーダンス信号測定モジュールの少なくとも1つのパラメータを変更し、呼吸イベントに基づいた信号適応化を回避するように構成された信号適応モジュールとを備える。
【0071】
この第5の態様の効果及び特徴は、第1、第2、第3、及び第4の態様に関して上述したものに概して同様である。
第1、第2、第3、及び第4の態様に関して言及された実施形態は、第5の態様にも概してあてはまる。
【0072】
第5の態様によれば、バイオインピーダンス信号取得は、特に、睡眠のモニタリングに適していてもよい。バイオインピーダンス信号取得の設定内容が変更されてもよく、これにより、バイオインピーダンス測定値が高いデータ品質で連続的に取得できるようになる可能性がある。さらに、ACレベル及びDCレベルの両方を検出し、ACレベルが所定時間期間にわたってAC基準値範囲の内部又は外部にとどまるか否かを検出するデータ品質検出モジュールによって、電子システムは、特に、呼吸イベントを取り扱うように適応化されてもよく、これにより、呼吸イベントに起因してバイオインピーダンス信号の品質が劣化するときにバイオインピーダンス信号取得の設定がトリガされなくなる。
【0073】
測定されたバイオインピーダンス信号のDCレベルが、測定されたバイオインピーダンス信号の飽和又はそれに近い状態を示す場合、このことは、測定されたバイオインピーダンス信号から情報が抽出できないことを意味しうるので、直ちに信号適応化がトリガされてもよい。しかしながら、ACレベルが許容できるレベルに対応しない場合、これは、ACレベルを低下させる呼吸イベントに起因する可能性がある。従って、劣化した信号品質が呼吸イベントに起因しないと決定されうるまで、信号適応化は保留されてもよい。
【0074】
従って、電子システムは、発生している呼吸イベントに起因してより低いデータ品質で、呼吸イベント中にバイオインピーダンスを検出することを可能にする。従って、取得条件が変化を必要とする場合に限り、バイオインピーダンス信号取得の設定がトリガされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図2】バイオインピーダンス信号取得方法の概略図である。
【
図4】呼吸イベントを考慮したバイオインピーダンス信号取得の方法の概略図である。
【
図5】第1の実施形態に係るバイオインピーダンス信号取得を適応化する方法の概略図である。
【
図6】第2の実施形態に係るバイオインピーダンス信号取得を適応化する方法の概略図である。
【
図7】被験者の姿勢の検出に基づくバイオインピーダンス信号取得を適応化する方法の概略図である。
【
図8】使用される電極の選択に基づくバイオインピーダンス信号取得を適応化する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明概念の上述の目的、特徴、及び優位点は、追加の目的、特徴、及び優位点とともに、添付の図面を参照して、以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって、一層よく理解されるであろう。図面において、別途言及していない限り、同じ参照符号は同様の構成要素に使用される。
【0077】
図1は、バイオインピーダンス信号取得のための電子システム100を示す。システム100は、被験者に印加される電流信号S1を生成するように、かつ、被験者のバイオインピーダンスの情報を提供するバイオインピーダンス信号S2を測定するように構成される。バイオインピーダンス信号S2は、例えば、被験者の呼吸のモニタリングのためにさらに処理されてもよい。システム100は、測定されたバイオインピーダンス信号S2の所望のデータ品質を保持するために、設定内容を適応的に変更するように構成される。
【0078】
図1に示すように、システム100は電流信号注入モジュール10を備える。電流信号注入モジュール10は、被験者に印加される電流信号S1を生成して出力するように構成されてもよい。電流信号注入モジュール10は、電流信号S1を生成するための電流源を備えてもよい。電流信号注入モジュール10は、電流注入モジュール10によって生成されて出力される電流信号S1を制御するために使用可能である設定内容をさらに備えてもよい。
【0079】
電流信号注入モジュール10は、AC電流信号を出力するように構成されてもよい。電流信号注入モジュール10の設定内容は、生成された電流信号S1の振幅及び周波数を制御してもよい。
【0080】
システム100はバイオインピーダンス信号測定モジュール20をさらに備える。バイオインピーダンス信号測定モジュール20は、被験者に印加された電流信号S1によって発生した電圧を表す電圧入力信号を受信するように構成されてもよい。バイオインピーダンス信号測定モジュール20は、受信された電圧入力信号から、測定されたバイオインピーダンス信号S2を抽出するように構成されてもよい。
【0081】
バイオインピーダンス信号測定モジュール20は、受信された電圧入力信号からのバイオインピーダンス信号S2の抽出を制御するために使用可能である設定内容をさらに備えてもよい。例えば、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得は設定内容によって制御されてもよい。
【0082】
バイオインピーダンス信号測定モジュール20は、関連情報を抽出するために、例えば入力信号をフィルタリングすることにより、受信された電圧入力信号を処理するように構成されてもよい。入力信号のフィルタリングは、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の設定内容によって制御されてもよく、又は、固定セットアップによって実行されてもよい。
【0083】
バイオインピーダンス信号測定モジュール20は、測定されたバイオインピーダンス信号S2を出力してもよく、それは、測定されたバイオインピーダンス信号S2をさらに処理することで、被験者の状態を決定するために使用されてもよい。例えば、測定されたバイオインピーダンス信号S2は、被験者の呼吸をモニタリングするために使用されてもよい。測定されたバイオインピーダンス信号S2のさらなる処理は、システム100内の解析モジュールによって実行されてもよい。しかしながら、代替例によれば、測定されたバイオインピーダンス信号S2は、さらなる処理のための外部装置に出力される。
【0084】
システム100はさらにデータ品質検出モジュール30を備え、それは測定されたバイオインピーダンス信号S2を受信するように構成される。データ品質検出モジュール30は、測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルを検出するように構成されてもよい。
【0085】
データ品質検出モジュール30は、AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲をさらに格納してもよい。AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、高品質のデータ収集のために、許容できるACレベル及びDCレベルをそれぞれ定義するように設定されてもよい。代替として、AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、高品質の取得のために、許容できないACレベル及びDCレベルをそれぞれ定義するように設定されてもよい。
【0086】
データ品質検出モジュール30は、測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかを検出するように構成されてもよい。例えば、データ品質検出モジュール30は、検出されたACレベル及び/又は検出されたDCレベルをAC基準値範囲及びDC基準値範囲にそれぞれ比較してもよい。
【0087】
このように、データ品質検出モジュール30は、AC基準値範囲及びDC基準値範囲に対するACレベル及び/又はDCレベルの各関係に基づいて、データ品質が許容できる範囲内にないか否かを決定するように構成されてもよい。
【0088】
測定されたバイオインピーダンス信号S2が許容できないデータ品質であるとデータ品質検出モジュール30が検出したとき、データ品質検出モジュール30によって制御信号CSが出力されてもよい。
【0089】
システム100は、電流信号注入モジュール10及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュール20の少なくとも1つのパラメータを変更するように構成された信号適応モジュール40をさらに備える。従って、信号適応モジュール40は、システム100を適応的に変化させるようにシステム100の設定内容を変更するように構成されてもよい。設定内容の変更は、バイオインピーダンス信号S2が取得される条件が変更されても、高品質のバイオインピーダンス信号S2が取得されることを保証してもよい。
【0090】
信号適応モジュール40は、測定されたバイオインピーダンス信号S2のAC及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にあるか、それとも外部にあるかについての検出に基づいて、電流信号注入モジュール10及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュール20の少なくとも1つのパラメータを変更するように構成されてもよい。このことは、測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルが、バイオインピーダンス信号取得の1つ又は複数の品質尺度として使用されてもよく、信号適応モジュール40が、1つ又は複数の品質尺度に基づいてパラメータの変更を実行するように構成されてもよいことを意味する。
【0091】
信号適応モジュール40は、電流信号注入モジュール10及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュール20にパラメータ変更信号を送信するように構成されてもよい。パラメータ変更信号は、パラメータが変更されるべきであるという情報を備えてもよく、パラメータの新たな値を備えてもよい。代替として、パラメータ変更信号は、パラメータの値が増大されるべきか、それとも減少されるべきかを示してもよい。
【0092】
信号適応モジュール40は、生成された電流信号S1の振幅と、生成された電流信号S1の周波数と、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得との少なくとも1つを変更するように構成されてもよい。
【0093】
システム100は電極70をさらに備えてもよく、電極70は、システム100に一体化されてもよく、電流信号注入モジュール10及びバイオインピーダンス信号測定モジュール20に接続されてもよい。代替として、電極70はシステム100に接続されるように構成されてもよい。
【0094】
電極70は、被験者に電流信号S1を印加するために、また、被験者の組織を流れる電流S1によって発生した電圧を検出するために、被験者に取り付けられるように構成されてもよい。2つ以上の電極70が使用されてもよく、電極70は、電流信号S1を注入して同じ電極又は異なる電極70によって電圧を検出するように構成されてもよい。2つよりも多くの電極70を有することは、電流信号S1を注入して電流信号S1によって発生した電圧を検出するため使用されるペアの一部になるべき電極70がどれであるかを選択的に選択できるようにしうる。
【0095】
信号適応モジュール40は、バイオインピーダンス信号を測定するための電極ペアにどの電極70が含まれるかを選択するようにさらに構成されてもよい。この点に関して、信号適応モジュール40は、バイオインピーダンス信号測定モジュール20によってどの入力信号が選択されるかを制御するためのパラメータ変更信号を、バイオインピーダンス信号測定モジュール20に送ってもよい。
【0096】
パラメータ変更の処理中に、信号適応モジュール40は、電流信号注入モジュール10及び/又はバイオインピーダンス信号測定モジュール20にパラメータ変更信号を送ってもよい。次いで、データ品質検出モジュール30において、変更されたパラメータに基づく測定されたバイオインピーダンス信号S2の品質が検出されてもよい。品質が許容できない限り、少なくとも1つのパラメータは、信号適応モジュール40からのさらなるパラメータ変更信号によって連続的に変更されてもよい。データ品質検出モジュール30によって許容できるデータ品質が検出されたとき、パラメータ変更の処理を終了する新たな制御信号CSが信号適応モジュール40に送られてもよい。
【0097】
AC基準値範囲及びDC基準値範囲は、パラメータ変更と関連付けて変更されてもよい。例えば、パラメータ変更処理を行っても、最良の可能な信号品質が所望の範囲内にない状態になる場合、AC基準値範囲及びDC基準値範囲は、データ品質検出モジュールがパラメータ変更を常にトリガすることがないように変更されてもよい。このことは、比較的の高品質のバイオインピーダンス信号を得られるようにする可能性がある。より高品質の信号を再び取得しうることが検出される場合、本システムを制御して所望の範囲内の信号品質を達成するように、AC基準値範囲及びDC基準値範囲が再び変更されてもよい。
【0098】
データ品質検出モジュール30は、測定されたバイオインピーダンス信号S2の品質を連続的に検出するように構成されてもよい。従って、信号品質が劣化するとすぐに、このことはデータ品質検出モジュール30に検出されてもよい。
【0099】
代替として、データ品質検出モジュール30は、予め決められた間隔で品質を検出するように構成されてもよい。これは、定期的な間隔であってもよく、又は、データ品質の劣化の可能性を示しうる入力に依存する間隔であってもよい。所定間隔で品質を検出するデータ品質検出モジュール30によって、許容できないデータ品質をかなり迅速に検出できるようにしながら、データ処理パワーはセーブされうる。例えば、データ品質検出モジュール30は10秒ごとに品質を検出してもよい。
【0100】
被験者が姿勢を変更するとき、バイオインピーダンス信号取得のためのシステム100の適応化が必要とされる可能性がある。姿勢の変更は、例えば、電極70の間の関係、及び/又は、電極70及び被験者の間の関係に影響する可能性がある。従って、姿勢の変更は、しばしば、システム100を適応化する必要性に関連付けられてもよい。
【0101】
システム100は姿勢検出モジュール50をさらに備える。姿勢検出モジュール50は、被験者に取り付けられた加速度計及び/又は被験者が位置する場面をモニタリングするカメラなどのセンサから、被験者の姿勢に関連する情報を受信するように構成されてもよい。姿勢検出モジュール50は、被験者の姿勢を決定するために情報を処理するように構成されてもよい。
【0102】
姿勢検出モジュール50は、必ずしも、被験者の絶対的な姿勢を決定する必要はない。代替例によれば、姿勢検出モジュール50は、姿勢の変化が生じたと決定するように構成されてもよい。
【0103】
姿勢検出モジュール50が変更された姿勢を決定したか又は姿勢の変化を決定したとき、姿勢検出モジュール50は、パラメータの変更をトリガするための信号を信号適応モジュール40に供給してもよい。代替又は追加として、姿勢検出モジュール50は、測定されたバイオインピーダンス信号S2の品質のチェックをトリガするための信号をデータ品質検出モジュール30に供給してもよく、データ品質検出モジュール30は次いでパラメータの変更をトリガしてもよい。
【0104】
システム100は、被験者に対してシステム100を適応化するように較正されてもよい。従って、システム100は個人化されてもよく、被験者について高品質のバイオインピーダンス信号を取得するのに適切なパラメータが決定されてもよい。例えば、バイオインピーダンスが異なる被験者の間で変化する可能性があるので、適切なパラメータは、異なる被験者の間で実質的に異なる可能性がある。さらに、適切なパラメータは被験者における電極の配置に依存して異なる可能性があり、従って、同じ被験者の場合であっても、バイオインピーダンス信号取得の各セッションの前に較正が必要とされる可能性がある。
【0105】
較正の結果はシステム100内のメモリに格納されてもよい。従って、適切なパラメータはメモリから検索されてもよい。較正は異なる姿勢に基づいて実行されてもよく、これにより、姿勢検出モジュール50によって特定の姿勢への変化が検出されたとき、特定の姿勢のための適切なパラメータがメモリから検索されてもよい。従って、システム100は、適切なパラメータを用いるように直ちに設定されてもよく、これにより、システム100は、変更された姿勢について測定されたバイオインピーダンス信号S2を高品質で取得できるようになるはずである。このことは、電流信号S1の振幅と、信号S1の周波数と、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得と、バイオインピーダンス信号を測定するための電極ペアに含まれる電極との少なくとも1つを設定することを含んでもよい。さらに、適切なパラメータを設定することは、データ品質検出モジュール30によって使用されるAC基準値範囲及びDC基準値範囲を設定することを含んでもよい。
【0106】
以下でさらに詳細に説明するように、較正は、異なる姿勢について適切な設定内容を事前に決定する必要はない。代替として、まず姿勢が検出されたときに適切な設定内容が決定されてもよく、次いで、その姿勢のための適切な設定内容は、再利用できるようにするために格納されてもよい。
【0107】
データ品質検出モジュール30は、適切なパラメータへ変更することが、高品質の測定されたバイオインピーダンス信号S2の出力をもたらすか否かを検出するように構成されてもよい。そうでなければ、さらなるパラメータの変更がトリガされてもよい。
【0108】
システム100は、較正データを格納してもよいメモリを備えてもよい。メモリは、各モジュールのための適切な設定内容を検索するために、電流信号注入モジュール10、バイオインピーダンス信号測定モジュール20、データ品質検出モジュール30のそれぞれからアクセス可能であってもよい。代替又は追加として、メモリは信号適応モジュール40によってアクセス可能であってもよく、信号適応モジュール40は、次いで、適切な設定内容の情報を他のモジュールに送ってもよい。システム100は、各モジュールによってアクセス可能な単一のメモリを備えてもよい。代替として、各モジュールは、当該モジュールに関連する較正データを格納する内部メモリを備えてもよい。
【0109】
モジュール10、20、30、40、50のそれぞれは、ハードウェアとして実装されてもよく、又は、ソフトウェア及びハードウェアの任意の組み合わせとして実装されてもよい。モジュール10、20、30、40、50の少なくとも一部は、例えば、汎用のコンピュータにおいて実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。従って、システム100は、中央処理装置(CPU)のような、1つ又は複数の処理装置を備えてもよく、それは、各モジュールの機能を実装するために1つ又は複数のコンピュータプログラムの命令を実行してもよい。従って、システム100は単一の処理装置を備えてもよく、それは、モジュール10、20、30、40、50のそれぞれの機能を、例えば処理装置内の別個のスレッドとして提供してもよい。
【0110】
モジュール10、20、30、40、50は、代替として、例えば埋め込みシステムに構成されたファームウェアとして実装されてもよく、又は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、特別に設計された処理装置として実装されてもよい。
【0111】
電流信号注入モジュール10は、ソフトウェア及び/又はハードウェアとして実装されてもよい制御命令を、実際の電流信号S1に変換する回路を備えてもよく、実際の電流信号S1は、被験者に印加するために電極70に出力されてもよい。
【0112】
バイオインピーダンス信号測定信号20は、ソフトウェア及び/又はハードウェアとして実装されてもよい制御命令を、受信された入力電圧信号に基づいてバイオインピーダンス信号を形成するように変換する回路を備えてもよい。
【0113】
システム100はハウジングを備えてもよく、このハウジングにモジュール10、20、30、40、50が配置されてもよい。従って、システム100は、単一のパッケージとして提供されてもよく、システム100を使用できるようにするための簡単なインターフェースを備えてもよい。
【0114】
ハウジングは例えばポートを備えてもよく、電流信号S1を受信してバイオインピーダンスを表す電圧信号を提供するように、当該ポートに対して電極70が接続されてもよい。代替として、電極70は、システム100を提供するハウジングに予め取り付けられてもよい。
【0115】
ハウジングは、外部装置へ接続するための出力ポートをさらに備えてもよい。外部装置は、測定されたバイオインピーダンス信号S2を受信して当該信号をさらに処理してもよい。代替又は追加として、ハウジングは、バイオインピーダンス信号S2を外部装置に無線通信するための通信装置を備えてもよい。
【0116】
ハウジングは、被験者の姿勢を検出するための1つ又は複数のセンサなど、さらなる装置をシステム100に接続するために、追加のポートをさらに備えてもよい。
【0117】
ハウジングは被験者によって着用されるように構成されてもよく、これにより、測定されたバイオインピーダンス信号S2の高品質での取得を可能にするシステム100が着用されて被験者の長期モニタリングに使用されてもよい。ハウジングは、ハウジングを被験者の身体部分に取り付けたり、又は、被験者の身体部分のまわりに取り付けたりするためのストラップを備えてもよく、又は、ハウジングが被験者によって着用されうるような形状を有してもよい。
【0118】
ここで
図2~
図8を参照して、バイオインピーダンス信号取得におけるシステム100の使用についてさらに説明する。
【0119】
図2は、バイオインピーダンス信号取得のための概要を示す。
図2に示すように、2つ以上の電極70が被験者に取り付けられてもよい。オプションでさらなる電極72が使用されてもよく、それはバイアス電圧を提供してもよい。
【0120】
システム100は、電流信号S1の振幅及び周波数を設定することと、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得を設定することと、バイオインピーダンス信号測定モジュール20への入力としての電極ペアを設定することとを用いて、バイオインピーダンス信号を測定200する。
【0121】
測定されたバイオインピーダンス信号S2は、ディジタル又はアナログ信号として提供されてもよい。データ品質検出モジュール30によって、ACレベル及び/又はDCレベルがモニタリング202されてもよい。ACレベル及び/又はDCレベルがそれぞれAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部又は外部にあることが決定されたとき、バイオインピーダンス信号取得のパラメータの適応化204が実行されてもよい。次いで、システム200は、1つ又は複数の新たなパラメータを用いて、再びバイオインピーダンス信号を測定200してもよい。
【0122】
図2にさらに示すように、センサ、例えば加速度計が、被験者の姿勢を表す信号を取得206してもよい。取得される信号は、絶対的な姿勢を決定するため、及び/又は、姿勢の変化を決定するためにモニタリング208されてもよい。姿勢モニタリングにより、姿勢が変化したことがわかったとき、測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルのモニタリング202をトリガする信号が送られてもよい。
【0123】
オプションで、姿勢に依存する設定内容が格納されている場合、(格納されたパラメータ設定内容を用いた)バイオインピーダンス信号取得のためのパラメータの適応化204のトリガとなる信号が送られてもよい。
【0124】
ここで
図3を参照して、較正手順について説明する。較正は、バイオインピーダンス信号取得の各セッションの前に実行されてもよい。較正は、ある被験者について、また、当該被験者における電極70の配置について、適切な設定内容を決定してもよい。較正データは、ある被験者に対する異なるセッションの間で再利用するために、システム100によって格納されてもよく、これにより、各セッションの前に較正が必ずしも実行される必要はない。
【0125】
較正は複数の異なる姿勢について実行されてもよく、これにより、各姿勢に適用される較正データが格納されてもよい。これにより、特定の姿勢の検出に基づいて、適切な設定内容を検索することが可能になる。
【0126】
代替例によれば、較正は、バイオインピーダンス測定を初期化するために1つの姿勢についてのみ実行される。これにより、バイオインピーダンス測定を迅速に開始することが可能になるが、システム100は新たな姿勢に対して迅速に適応化されない可能性がある。
【0127】
ある実施形態によれば、
図3に示すように、較正は、できるだけ大きな信号を生成するように、電流信号S1の周波数及び測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得の設定内容を提供することで開始してもよい。電流信号S1の振幅は、すべての可能な電流振幅にわたって掃引300される。
【0128】
電流信号S1の振幅の掃引中に、振幅の各設定内容について、測定されたバイオインピーダンス信号S2が取得される。測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルがモニタリング302される。AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、AC及び/又はDCレベルのモニタリングへの入力として提供304されてもよい。AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、システム100に固定値として設定されてもよく、又は、被験者の特性に基づいてもよい。被験者の特性は手動で入力されてもよい。被験者の特性は、被験者の体格指数(BMI)、被験者のジェンダー、及び被験者における電極70の位置を含んでもよい。
【0129】
ACレベル及び/又はDCレベルのモニタリングは、ACレベル及び/又はDCレベルがAC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲によって設定されるような許容できる範囲内にあるか否かを決定するために、AC及び/又はDCレベルをAC基準値範囲及びDC基準値範囲にそれぞれ比較してもよい。
【0130】
AC基準値範囲は、測定されたバイオインピーダンス信号から呼吸情報が抽出されうるか否かを示してもよい。AC基準値範囲は、実施形態では、基準値ACref0の90%を超過するように設定されてもよい。基準値は、所望の信号対雑音比(SNR)に基づいてもよく、また、上述のように、固定の予め設定された値又は被験者特性に依存する値に基づいてもよい。基準値は検出された信号のレベルに関連してもよく、これにより、ACレベルが基準値の少なくとも90%である場合にはSNRが許容可能になる。しかしながら、AC基準値が任意の値に設定されてもよく、次いで、AC基準値範囲は、どのAC基準値が選択されるかに依存して、AC基準値の割合に基づいて対応して設定されてもよい、ということは理解されるべきである。従って、AC基準値範囲は、代わりに、基準値の少なくとも80%又は基準値の100%に対応してもよい。
【0131】
一実施形態では、AC基準値は、最初に、良好な測定結果をもたらすことが知られているデフォルト値に設定されてもよい。次いで、AC基準値は、以下でさらに説明する較正処理の間に、最高の信号品質をもたらすACレベルに対応するように更新されてもよい。
【0132】
DC基準値範囲は、信号の飽和が生じるか否かを示してもよい。従って、DC基準値範囲は、一実施形態では、システム100の動作範囲DCref0の5~95%として定義されてもよい。従って、DC基準値範囲の内部にあるDCレベルによって、測定されたバイオインピーダンス信号S2は飽和せず、信号から情報が抽出されうる。
【0133】
AC基準値範囲及びDC基準値範囲は、各基準値に関して定義されてもよい。従って、AC及び/又はDCレベルをモニタリングするとき、単一の値の入力に基づいてAC基準値範囲及びDC基準値範囲が形成されうるように、単一の基準値が提供されてもよい。
【0134】
ACレベルは、最大値を表すピークと、最小値を表す後続のピークとの間の電圧差として測定されてもよい。DCレベルは、発振するACレベルの中心にある平均電圧として測定されてもよい。
【0135】
1つ又は複数の基準が満たされる場合、較正は終了されてもよく、電流信号S1の振幅の設定内容が選択306されてもよい。最良の信号品質をもたらす電流信号S1の周波数及び測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得の設定内容も選択される。
【0136】
DCレベルのみがモニタリングされる場合、DC基準値範囲によって設定された飽和基準を超過せずに最高のDCレベル信号を生成する電流振幅が選択されてもよい。
【0137】
ACレベルのみがモニタリングされる場合、最高のACレベルを生成する電流振幅が選択されてもよい。
【0138】
ACレベル及びDCレベルの両方がモニタリングされる場合、DC基準値範囲の内部のDCレベル信号と、最高のACレベルとを生成する電流振幅が選択されてもよい。
【0139】
注入電流信号S1の振幅設定内容のうちのいずれによっても、1つ又は複数の基準が満たされない場合、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得は次のレベルに変更され、新たな電流振幅掃引が行われる。これは、測定されたバイオインピーダンス信号S2の最高の信号レベルをもたらす利得から最低の信号レベルをもたらす利得まで利得を段階的に変更して、異なる利得設定内容について繰り返される308。利得レベル及び電流振幅掃引を変更しながら、上述のステップ304で説明したように、AC及び/又はDCレベルがモニタリングされる。
【0140】
再び、1つ又は複数の基準が満たされる場合、較正は終了されてもよく、パラメータの設定内容が選択310されてもよい。最良の信号品質をもたらす電流信号S1の周波数の設定内容は、次いで、掃引に基づく利得及び電流振幅とともに選択されてもよい。1つ又は複数の基準が満たされる場合、すべての可能な利得をチェックするように利得を変更する必要はなく、むしろ、1つ又は複数の基準を満たす利得レベルが選択されてもよい。さらに、電流振幅は、前述したように最高のAC又はDCレベルに基づいて選択されてもよい。
【0141】
注入電流信号S1の振幅設定内容及びバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得のいかなる組み合わせによっても、1つ又は複数の基準がなお満たされない場合、電流信号S1の周波数が次のレベルに変更される。次いで、308において行ったようなバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得及び注入電流信号S1の振幅の新たな掃引が繰り返される。これは、測定されたバイオインピーダンス信号S2の最高の信号レベルをもたらす周波数から最低の信号レベルをもたらす周波数まで周波数を段階的に変更して、異なる周波数設定内容について繰り返される312。周波数レベル、利得レベル、及び電流振幅掃引を変更しながら、上述の304で説明したように、AC及び/又はDCレベルがモニタリングされる。
【0142】
再び、1つ又は複数の基準が満たされる場合、較正は終了されてもよく、パラメータの設定内容が選択314されてもよい。電流信号S1の振幅及び周波数、及び利得の設定内容は、次いで、前述したように、最高のAC又はDCレベルに基づいて選択されてもよい。すべてのレベルの周波数が掃引される必要はなく、むしろ、1つ又は複数の基準を満たす周波数レベルが選択されてもよい。
【0143】
較正中にパラメータが変更される順序が、必ずしも、上述した順序になっている必要がないことも理解されるべきである。むしろ、適切な設定内容を決定するために、パラメータは任意の順序で変更されてもよい。
【0144】
一実施形態では、電流信号S1の振幅は、10μAのステップサイズを用いて、10μA及び1mAの間で変更されてもよい。バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得は、10V/Vのステップサイズを用いて、50V/V及び500V/Vの間で変更されてもよい。電流信号S1の周波数は、10kHzのステップサイズを用いて、1kHz及び1MHzの間で変更されてもよい。他の範囲及びステップサイズが用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0145】
ここで
図4を参照して、測定されたバイオインピーダンス信号のAC及びDCレベルの両方に関してデータ品質をモニタリングすることについて説明する。従って、適応的なバイオインピーダンス信号取得は、この実施形態では、信号のAC及びDCレベルの両方に基づく。呼吸イベントに起因するデータ品質の喪失を考慮するように適応化が構成されるので、この適応的なバイオインピーダンス信号取得は、睡眠のモニタリングにおいて、又は、呼吸イベントが予期されうる他の任意の状況において、特に適する可能性がある。
【0146】
AC及びDCレベルがモニタリング400される。AC及びDCレベルは、測定されたバイオインピーダンス信号S2から定期的な時間間隔で抽出されてもよい。例えば、AC及びDCレベルは10秒ごとに抽出されてもよく、これにより、AC及びDCレベルを常に決定することを必要とせずに、速く低いデータ品質を迅速に検出することが可能になる。
【0147】
AC及びDCレベルは、姿勢のモニタリング402が実行される場合、姿勢のモニタリング402によって得られた姿勢変化の入力に基づいて抽出されてもよい。姿勢変化の検出は、バイオインピーダンス信号取得が適応化を必要とし、従って、AC及びDCレベルの追加のモニタリングをトリガしうる可能性を示してもよい。
【0148】
AC及びDCレベルがモニタリングされて、モニタリングされたAC及びDCレベルは、較正中に設定されたAC基準値範囲及びDC基準値範囲に比較されてもよい。少なくともAC基準値範囲は、較正中に選択された設定内容に依存して設定されてもよいことに注意すべきである。
【0149】
ACレベル及びDCレベルの両方がAC基準値範囲及びDC基準値範囲の内部にある場合、すなわち、データ品質が許容できることを示す場合、バイオインピーダンスの測定が進行中404である可能性があり、信号の適応化は不要である。
【0150】
DCレベルが範囲外である場合、測定されたバイオインピーダンス信号S2は飽和し、これは、情報を抽出できないことを意味する。従って、DCレベルが範囲外であることが検出された場合、後述の適応化406が開始されてもよい。
【0151】
ACレベルが範囲外である場合、すなわち、AC信号レベルは低い場合、これは、無呼吸、浅呼吸、又は呼吸低下のような呼吸イベントに起因する可能性がある。従って、適応化は、バイオインピーダンス情報の変化に基づくのではなく、バイオインピーダンス信号を取得する条件の変化に基づいて実行されるべきであるので、バイオインピーダンス信号取得の適応化は必ずしも必要でない可能性があり、実行されるべきでさえない。
【0152】
従って、ACレベルが範囲外であるが、DCレベルがなおDC基準値範囲の範囲内にあることが検出された場合、データ品質は、所定時間期間にわたって連続的にモニタリング408されてもよい。例えば、データ品質は60秒間にわたってモニタリングされてもよい。従って、ACレベルが範囲外になった原因が呼吸イベントに起因するものであった場合には、通常の呼吸が再開されうるように、長い時間期間にわたってデータ品質はモニタリングされてもよい。
【0153】
DCレベルは、範囲外であるACレベルの検出が、(姿勢の変化などに起因する)信号適応化を必要とする変化に関連するか、それとも、呼吸イベントに関連するかを決定するために使用されてもよい。ACレベルが範囲外であることが検出され、それと同時に、DCレベルが変化したことが検出された場合、変化は、おそらくは、呼吸イベントに起因するのではなく、姿勢変化に起因する可能性がある。次いで、適応化406が開始されてもよい。しかしながら、DCレベルが変化していない場合、範囲外であるACレベルの検出は、呼吸イベントに起因する可能性が高く、この場合、データ品質は所定時間期間にわたって連続的にモニタリング408されてもよい。
【0154】
ACレベルがAC基準値範囲の内部に戻る場合、バイオインピーダンス信号の進行中の測定404が再開されてもよく、信号適応化は不要である。
【0155】
一方、ACレベルがAC基準値範囲の外部にとどまる場合、ACレベルの変化は呼吸イベントに起因したものではなかったと決定されてもよい。従って、後述するように、適応化406が開始されてもよい。
【0156】
所定時間期間にわたるACレベル及びDCレベルのモニタリングの代替又は追加として、システム100は、呼吸イベントを検出するように構成されてもよい1つ又は複数の追加のセンサを備えてもよい。そのようなセンサは、例えば、無呼吸の検出のために、何らかの胸の動きが生じたか否かを測定してもよい。さらに、バイオインピーダンス測定は、呼吸イベントの検出のために使用されてもよい。従って、呼吸イベントが検出された場合、進行中の測定406が継続されてもよく、また、AC及びDCレベルのモニタリング400が定期的な時間間隔で実行されてもよい。
【0157】
ここで
図5を参照して、第1の実施形態に係る、バイオインピーダンス信号取得の適応化のパラメータ変更について説明する。第1の実施形態に係るパラメータ変更は、
図3を参照して前述した較正処理に似ている。
【0158】
第1の実施形態に係る適応化は、高品質のバイオインピーダンス信号を提供する設定内容を確立することを目的とする。設定内容は、以前に使用した所定の設定内容による先入観をもたずに確立される。
【0159】
従って、
図3を参照して説明した較正と同様に、適応化は、最良の信号品質をもたらすように、電流信号S1の周波数及び測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得の設定内容を提供することで開始してもよい。電流信号S1の振幅は、すべての可能な電流振幅にわたって掃引500される。
【0160】
電流信号S1の振幅の掃引中に、振幅の各設定内容について、測定されたバイオインピーダンス信号S2が取得される。測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルがモニタリング502される。AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、AC及び/又はDCレベルのモニタリングへの入力として提供504されてもよく、又は、AC基準値範囲及びDC基準値範囲の形成を可能にする入力として、単一の値が提供されてもよい。少なくともAC基準値範囲は、適応化されたAC基準値ACrefに基づいてもよい。適応化されたAC基準値ACrefは、システム100の使用中に設定され、較正中に使用されるAC基準値ACref0には必ずしも対応しない。DC基準値範囲は、較正中に使用されるものと同じDC基準値DCref0に基づいてもよい。
【0161】
ACレベル及び/又はDCレベルのモニタリングは、ACレベル及び/又はDCレベルがAC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲によって設定されるような許容できる範囲内にあるか否かを決定するために、AC及び/又はDCレベルをAC基準値範囲及びDC基準値範囲にそれぞれ比較してもよい。
【0162】
較正について先に説明したように、1つ又は複数の基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、電流信号S1の振幅の設定内容が選択506されてもよい。最良の信号品質をもたらす電流信号S1の周波数及び測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得の設定内容も選択される。
【0163】
さらに、較正について先に説明したように、注入電流信号S1の振幅設定内容のうちのいずれによっても、1つ又は複数の基準が満たされない場合、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得は変更508され、また、AC及び/又はDCレベルをモニタリングしながら、異なる利得設定内容について電流振幅掃引が行われる。
【0164】
再び、1つ又は複数の基準が満たされる場合、較正は終了されてもよく、信号の最高のAC又はDCレベルに基づいてパラメータの設定内容が選択510されてもよい。
【0165】
注入電流信号S1の振幅設定内容及びバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得のいかなる組み合わせによっても、1つ又は複数の基準がなお満たされない場合、電流信号S1の周波数が次のレベルに変更される。次いで、508において行ったようなバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得及び注入電流信号S1の振幅の新たな掃引が繰り返される。AC及び/又はDCレベルがモニタリングされる間、これは異なる周波数設定内容について繰り返される512。
【0166】
再び、1つ又は複数の基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、パラメータの設定内容が選択514されてもよい。電流信号S1の振幅及び周波数、及び利得の設定内容は、次いで、信号の最高のACレベルに基づいて選択されてもよい。
【0167】
基準がなお満たされない場合、基準を満たすことができないと決定されてもよく、最良の結果をもたらす設定内容が使用されてもよい。従って、適応化は、最良の結果が取得される場合の値で更新されている振幅、利得、及び周波数の設定内容で終わってもよい。
【0168】
ここで
図6を参照して、第2の実施形態に係る、バイオインピーダンス信号取得の適応化のパラメータ変更について説明する。第2の実施形態に係るパラメータ変更は、高品質データをもたらす適応化されたバイオインピーダンス信号取得に迅速に到達するために、以前の設定内容を利用し、以前の設定内容に基づいて設定内容を変更しようとする。
【0169】
適応化は、AC及び/又はDCレベルのモニタリングへの入力として、AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲を受信602し、又は、AC基準値範囲及びDC基準値範囲の形成を可能にする入力として、単一の値が受信されてもよい。少なくともAC基準値範囲は、適応化されたAC基準値ACrefに基づいてもよい。適応化されたAC基準値ACrefは、システム100の使用中に設定され、較正中に使用されるAC基準値ACref0には必ずしも対応しない。DC基準値範囲は、較正中に使用されるものと同じDC基準値DCref0に基づいてもよい。
【0170】
適応化が開始604され、AC基準値範囲ACref及びDC基準値範囲DCref0に対してACレベル及び/又はDCレベルをモニタリングする。さらに、電流信号注入モジュール10及びバイオインピーダンス信号測定モジュール20の少なくとも1つのパラメータの現在のパラメータ値が初期値として使用される。
【0171】
ACレベルがAC基準値範囲の外部にあること、例えば0.9×ACref未満であることが発見された場合、測定されたバイオインピーダンス信号S2の振幅の増大が必要であると決定されてもよい。従って、適応化は、パラメータ値の現在の設定内容を用いて、現在の設定内容に関してバイオインピーダンス信号取得を適応化してもよい。
【0172】
まず、現在の設定内容に係るバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得及び電流信号S1の周波数の値は保持されてもよい。電流信号S1の振幅は逐次的ステップで増大606されてもよい。電流信号S1の振幅の増大中に、振幅の各設定内容について、測定されたバイオインピーダンス信号S2が取得される。測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及びDCレベルは、モニタリングされ、AC基準値範囲及びDC基準値範囲にそれぞれ比較される。従って、基準が満たされるか否かが決定され、基準が満たされるまで、又は、最大振幅に到達するまで、電流信号S1の振幅の増大が継続される。
【0173】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新608される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0174】
注入電流信号S1の振幅設定内容のうちのいずれによっても基準が満たされない場合、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得は次のレベルに増大され、電流振幅掃引が行われる。このことは、異なる利得設定内容について繰り返され610、最大利得まで利得を段階的に変更する。利得レベル及び電流振幅掃引を増大させながら、AC及びDCのレベルがモニタリングされる。
【0175】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅及び利得の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新612される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0176】
振幅及び利得の設定内容のいかなる組み合わせによっても基準が満たされない場合、電流信号S1の周波数が変更される。測定されたバイオインピーダンス信号S2の抵抗部及びリアクタンス部についてのコール・コールプロットの半円形状の関係における位置に依存して、周波数は、次のレベルに減少又は増大されてもよく、電流振幅及び利得の設定内容の掃引が行われる。このことは、異なる周波数設定内容について繰り返され614、最小又は最大周波数まで周波数を段階的に変更する。周波数レベル、利得、及び電流振幅掃引を減少又は増大させながら、AC及びDCのレベルがモニタリングされる。
【0177】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅、利得、及び周波数の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新616される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0178】
いずれの周波数でも基準が満たされない場合、基準を満たすことができないと決定されてもよく、最良の結果をもたらす設定内容が使用されてもよい。従って、適応化は、最良の結果が取得される場合の値で更新618されている振幅、利得、及び周波数の設定内容で終わってもよい。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0179】
ACレベルを増大するためにバイオインピーダンス信号取得を適応化する処理は、最大時間に関して実行されてもよい。従って、最大時間を超過する時間期間にわたってパラメータの変更が継続しなくてもよいように、最大時間が設定されてもよい。このことは、パラメータ変更中のバイオインピーダンス信号が、信頼できるデータを提供するものとしては使用できない場合(例えば、バイオインピーダンス信号は測定される条件が常に変更されるので)、バイオインピーダンス信号データを解析できない時間期間が限定されることを意味する。
【0180】
従って、適応化処理が最大時間内に終了されない場合、最良の結果をもたらす設定内容が使用されてもよい。従って、適応化は、最大時間に到達したとき、最良の結果が取得される場合の値で更新されている振幅、利得、及び周波数の設定内容で終わってもよい。
さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0181】
ある実施形態によれば、最大時間は、少なくとも30秒に設定されてもよく、これは、適応化の実行を可能にするために妥当な時間をもたらしうる。
【0182】
適応化が604で開始され、DCレベルがDC基準値範囲の外部にあることが発見された場合、例えば、DC飽和が生じているか、又は0.95×DCref0より高いDCレベルに起因して生じようとしている場合、測定されたバイオインピーダンス信号S2の振幅の減少が必要であることが決定されてもよい。従って、適応化は、パラメータ値の現在の設定内容を用いて、現在の設定内容に関してバイオインピーダンス信号取得を適応化してもよい。
【0183】
まず、現在の設定内容に係るバイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得及び電流信号S1の周波数の値は保持されてもよい。電流信号S1の振幅は逐次的ステップで減少620されてもよい。電流信号S1の振幅の減少中に、振幅の各設定内容について、測定されたバイオインピーダンス信号S2が取得される。測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及びDCレベルは、モニタリングされ、AC基準値範囲及びDC基準値範囲にそれぞれ比較される。従って、基準が満たされるか否かが決定され、基準が満たされるまで、又は、最小振幅に到達するまで、電流信号S1の振幅の増大が継続される。
【0184】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新622される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0185】
注入電流信号S1の振幅設定内容のうちのいずれによっても基準が満たされない場合、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得は次のレベルに減少され、電流振幅掃引が行われる。このことは、異なる利得設定内容について繰り返され624、最小利得まで利得を段階的に変更する。利得レベル及び電流振幅掃引を減少させながら、AC及びDCのレベルがモニタリングされる。
【0186】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅及び利得の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新626される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0187】
振幅及び利得の設定内容のいかなる組み合わせによっても基準が満たされない場合、電流信号S1の周波数が変更される。測定されたバイオインピーダンス信号S2の抵抗部及びリアクタンス部についてのコール・コールプロットの半円形状の関係における位置と、電流信号S1の周波数とに依存して、周波数は、次のレベルに増大又は減少されてもよく、電流振幅及び利得の設定内容の掃引が行われる。このことは、異なる周波数設定内容について繰り返され628、最大又は最小周波数まで周波数を段階的に変更する。周波数レベル、利得、及び電流振幅掃引を増大又は減少させながら、AC及びDCのレベルがモニタリングされる。
【0188】
基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、振幅、利得、及び周波数の設定内容は、基準が満たされた場合の値で更新630される。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。
【0189】
いずれの周波数でも基準が満たされない場合、基準を満たすことができないと決定されてもよく、最良の結果をもたらす設定内容が使用されてもよい。従って、適応化は、最良の結果が取得される場合の値で更新632されている振幅、利得、及び周波数の設定内容で終わってもよい。さらに、AC基準値ACrefは、電流信号S1の振幅の新たな設定内容に基づいて更新される。しかしながら、DCレベルがなお飽和しているか、飽和しようとしている場合、測定されたバイオインピーダンス信号S2から意味のある情報を抽出できない可能性があり、新たな適応化が直ちにトリガされてもよい。
【0190】
図5を参照して議論した第1の実施形態に係るバイオインピーダンス信号取得の適応化は、姿勢変化が生じた場合にシステム100を適応化するのに有用となりうる。姿勢変化は、バイオインピーダンス信号が取得される条件を著しく変化させる可能性があり、現在の設定内容を適応化の出発点として用いることは不適切になりうる。
図6を参照して議論した第2の実施形態に係るバイオインピーダンス信号取得の適応化は、信号が許容できる範囲からドリフトする場合にシステム100を適応化するのに有用となりうる。この場合、パラメータ値における小さな変化のみが必要とされる可能性があり、第2の実施形態に係る適応化は、更新される設定内容により非常に迅速に終了しうる。
【0191】
従って、システム100は、両方の実施形態を利用し、別の入力に基づいて、どちらの適応化処理が使用されるかを選択してもよい。別の入力は、姿勢変化が生じたことを示してもよく、又は、AC及び/又はDCレベルにおいて突然の大きな変化が発生したと決定してもよい。
【0192】
しかしながら、バイオインピーダンス信号取得の適応化の第1及び第2の実施形態のどちらを使用すべきかを決定することは、他の条件に基づいてもよいことが理解されるべきである。さらに、システム100は、これらの実施形態のうちの一方のみを使用するようにセットアップされてもよい。
【0193】
ここで
図7を参照して、姿勢変化に関してのバイオインピーダンス信号取得の適応化の実施形態について説明する。
【0194】
適応化は、被験者の姿勢の入力に基づく。従って、前述したように、被験者の姿勢を決定するために姿勢検出モジュール50が使用される。
【0195】
姿勢検出モジュールによって新たな姿勢が検出702されたとき、適応化が開始されてもよい。まず、姿勢が決定されてもよい。ここで、姿勢をiにより示す。
【0196】
次いで、姿勢iについて、較正中又は以前の測定中に、バイオインピーダンス信号の以前の測定が行われたか否かが決定される。以前の測定が行われていない場合、姿勢iについての較正データが格納されていない可能性がある。従って、
図5に関して議論したような第1の実施形態に従って、又は、
図6に関して議論したような第2の実施形態に従って、適応化704は行われる。
【0197】
適応化が終了したとき、決定された設定内容を用いて、バイオインピーダンス信号取得が継続706されてもよい。さらに、電流信号の振幅及び周波数と、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得との設定内容が、姿勢iに関して格納されてもよい。従って、被験者が再び同じ姿勢iになる場合、設定内容は後で検索されてもよい。
【0198】
新たな姿勢iが検出702されたとき、姿勢iについて以前の測定が行われていることが発見された場合、姿勢iにあてはまる格納されたデータが検索されてもよい。次いで、電流振幅及び周波数及び利得は、検索された値を用いて設定708されてもよい。格納されたデータは、システム100の較正中に生成された較正データであってもよい。しかしながら、姿勢iについて測定が行われたとき、較正データは、ある姿勢を有する被験者によって使用されている最新の設定内容で更新されてもよい。
【0199】
いったん検索された設定内容が設定されると、データ品質が許容できるか否かを決定するために、AC及び/又はDCレベルがモニタリングされてもよい。この点で、ACレベルは、姿勢iについての姿勢設定内容のためのAC基準値ACref,iに基づくAC基準値範囲と比較されてもよい。
【0200】
基準が満たされる場合、バイオインピーダンス信号は、許容できるデータ品質で取得され、パラメータの設定内容を用いてバイオインピーダンス信号の測定が継続710されてもよい。
【0201】
基準が満たされない場合、
図5に関して議論したような第1の実施形態に従って、又は、
図6に関して議論したような第2の実施形態に従って、適応化712が行われる。
【0202】
適応化が終了したとき、決定された設定内容を用いて、バイオインピーダンス信号取得が継続714されてもよい。さらに、電流信号の振幅及び周波数と、バイオインピーダンス信号測定モジュール20の利得との設定内容が、姿勢iに関して格納されてもよい。従って、被験者が再び同じ姿勢iになる場合、更新された設定内容は後で検索されてもよい。
【0203】
上記において、バイオインピーダンス信号取得の適応化は、主として、電流信号S1の振幅と、電流信号S1の周波数と、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得とを用いて議論された。しかしながら、バイオインピーダンス信号取得の適応化は、代替又は追加として、バイオインピーダンス信号を測定するためにどの電極70が含まれるべきかの選択を使用してもよい。
【0204】
一実施形態によれば、電極70の選択は、システム100のセットアップ中に実行されてもよい。従って、使用される電極70は、ジェンダー及びBMIのような被験者の特性に基づいて、また、胸における位置又は向きのような被験者における電極70の位置に基づいて選択されてもよい。従って、使用される電極70は予め選択されてもよく、また、バイオインピーダンス信号取得のセッションの間にわたって1組又は複数組の同じ電極ペアが使用されてもよい。
【0205】
第2の実施形態によれば、電極70の選択は、システム100のセットアップ中に実行される較正に基づいてもよい。従って、1組又は複数組の電極ペアは、測定されたバイオインピーダンス信号S2の最高のACレベルをどの電極70がもたらすかについての測定に基づいて選択されてもよい。次いで、選択された電極70は、バイオインピーダンス信号取得のセッションの間にわたって使用されてもよい。
【0206】
第3の実施形態によれば、電極70の選択は、較正処理及び適応化処理の両方に含まれてもよい。従って、電流信号S1の振幅及び周波数と、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得とのパラメータ値が変更された後、最後のステップとして、電極70の選択は含まれてもよい。従って、基準が満たされない場合、電極70の異なる構成について電極70の選択が変更されてもよく、また、振幅、利得、及び周波数の設定内容は、適切な設定内容を発見するために掃引されてもよい。
【0207】
図8を参照して、第2又は第3の実施形態において使用されてもよい電極70の選択について、さらに詳細に議論する。
【0208】
電極構成が掃引800される。2つの電極の測定が使用される場合、すなわち、電流信号S1の注入と、電流信号S1によって生成された電圧の検出との両方のために同じ電極70が使用される場合、使用される電極70のペアは、互いに最も遠隔した電極70から開始して、互いに最も近接した電極70まで変更されてもよい。
【0209】
各電極ペアについて、電流信号S1の振幅と、測定されたバイオインピーダンス信号S2の利得と、電流信号S1の周波数とは、掃引されてもよい。電流信号S1の振幅の掃引中に、各設定内容について、測定されたバイオインピーダンス信号S2が取得される。測定されたバイオインピーダンス信号S2のACレベル及び/又はDCレベルがモニタリング802される。AC基準値範囲及び/又はDC基準値範囲は、AC及び/又はDCレベルのモニタリングへの入力として提供804されてもよく、又は、AC基準値範囲及びDC基準値範囲の形成を可能にする入力として、単一の値ACref0及びDCref0が提供されてもよい。
【0210】
1つ又は複数の基準が満たされる場合、適応化は終了されてもよく、また、パラメータの設定内容は、最高のACレベルの信号に基づいて選択806されてもよい。ここで、パラメータの設定内容は、電極ペアに含まれる電極70を含む。1つ又は複数の基準が満たされる場合、すべての可能な電極ペアをチェックする必要はなく、むしろ、1つ又は複数の基準を満たす電極70が選択されてもよい。
【0211】
電極70を選択する処理は、最大時間に関して実行されてもよい。従って、最大時間を超過する時間期間にわたってパラメータの変更が継続しなくてもよいように、最大時間が設定されてもよい。従って、適応化処理が最大時間内に終了されない場合、最良の結果をもたらす設定内容が使用されてもよい。
【0212】
4つの電極の測定が使用される場合、すなわち、電流信号S1の注入のために2つの電極70が使用され、電流信号S1によって生成された電圧を検出するために2つの他の電極70が使用される場合、電極の掃引は、被験者へ電流信号S1を印加するための、互いに最も遠隔した2つの外側電極70と、生成された電圧を検出するための、2つの外側電極70の間に配置されて互いに最も遠隔した2つの内側電極70とを組み合わせて開始してもよい。
【0213】
例えば、1行に配列された6つの電極70が提供され、行に沿って各電極に番号1~6が付与される場合、電極の掃引は、電流信号の注入のために電極1及び6を用いて、電圧検出のために電極2及び5を用いて開始してもよい。次いで、電流信号の注入のための電極1及び6と、電圧検出のための電極3及び4との組み合わせがテストされてもよい。最後に、電流信号の注入のための電極2及び5と、電圧検出のための電極3及び4との組み合わせがテストされてもよい。これらのセットアップのどれも許容できる品質のバイオインピーダンス信号を提供しない場合、電流信号の注入のための電極3及び6と、電圧検出のための電極4及び5との組み合わせをテストし、続いて、電流信号の注入のための電極1及び4と、電圧検出のための電極2及び3との組み合わせをテストしてもよい。
【0214】
上記において、本発明概念は、主として、限られた個数の実施例を参照して説明した。しかしながら、当業者によって容易に認識されるように、上に開示したもの以外の実施例もまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明概念の範囲内において同様に可能である。
【0215】
例えば、バイオインピーダンス信号取得を高品質で行うことを可能にする設定内容を発見するためのパラメータ変更中に、パラメータが所定の順序で変更されることを説明したが、もう1つの順序が使用されてもよいこと、及び/又は、より少ない又はより多いパラメータが使用されてもよいことが理解されるべきである。