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特許7053418組み合わせ中間弁装置およびタービン発電設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】組み合わせ中間弁装置およびタービン発電設備
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/10 20060101AFI20220405BHJP
   F01D 21/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
F01D17/10 F
F01D17/10 G
F01D21/00 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018171684
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020041531
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆弘
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-293705(JP,A)
【文献】特開平05-231104(JP,A)
【文献】特開2017-015027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0000656(US,A1)
【文献】中国実用新案第202646801(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/10
F01D 21/00
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体が取り付けられた弁棒を油圧シリンダ内の作動油量を調整して回転駆動させ、蒸気流路からこの弁体を通過して蒸気タービンに供給される蒸気量を制御する組み合わせ中間弁装置であって、
前記油圧シリンダを具備し、前記油圧シリンダへ供給される前記作動油量を調整し前記弁棒を介して前記弁体に駆動力を伝達する第一および第二の駆動装置と、
前記第一の駆動装置と前記弁棒との間、および前記第二の駆動装置と前記弁棒との間に設けられ、前記弁棒と前記第一および第二の駆動装置のいずれか一方とを連結させるクラッチ機構と、
前記クラッチ機構による前記連結を調整する制御指令を出力する制御装置と、
を備え、
前記蒸気タービンの通常運転時には、前記弁棒が前記クラッチ機構を介して前記第一の駆動装置に連結され、前記第一の駆動装置の油圧シリンダ内の前記作動油量により前記弁体の開きを調整し、
前記蒸気タービンの異常運転時に前記弁体を急閉する場合には、前記第一の駆動装置の油圧シリンダへの前記作動油の供給を遮断して、前記第一の駆動装置の油圧シリンダから前記作動油を排出し、
前記急閉の後に前記弁体を急開する場合には、前記制御装置からの制御指令に基づいて、前記クラッチ機構が前記第一の駆動装置と前記弁棒とを遮断すると共に、前記第二の駆動装置と前記弁棒とを連結し、前記第二の駆動装置の油圧シリンダへの前記作動油の供給を遮断して、所定量の作動油が満たされた前記第二の駆動装置の油圧シリンダから前記作動油を排出する組み合わせ中間弁装置。
【請求項2】
前記第一および第二の駆動装置の油圧シリンダのそれぞれに前記作動油を供給する第一および第二の作動油供給流路と、
前記第一および第二の駆動装置の油圧シリンダのそれぞれから前記作動油を排出する第一および第二の排出流路と、
外部からの制御指令に基づき、前記第一の排出流路および前記第一の供給流路のいずれかと前記第一の駆動装置とを連結させる第一の急速作動電磁弁と、
外部からの制御指令に基づき、前記第二の排出流路および前記第二の供給流路のいずれかと前記第二の駆動装置とを連結させる第二の急速作動電磁弁と、
を備え、
前記通常運転時には、前記第一の急速作動電磁弁を介して前記第一の作動油供給流路と前記第一の駆動装置とを、前記第二の急速作動電磁弁を介して前記第二の作動油供給流路と前記第二の駆動装置とをそれぞれ連結し、前記第一の供給流路から前記第一の駆動装置の油圧シリンダへ、前記第二の供給流路から前記第二の駆動装置の油圧シリンダへそれぞれ所定量の作動油を供給し、
前記異常運転時に前記弁体を急閉する場合には、外部からの制御指令に基づいて前記第一の急速作動電磁弁を励磁し、前記第一の急速作動電磁弁を介して前記第一の排出流路と前記第一の駆動装置とを連結させて、前記第一の駆動装置の油圧シリンダから前記第一の排出流路へ前記作動油を排出し、
前記急閉後に前記弁体を急開する場合には、前記クラッチ機構による前記弁棒と前記第二の駆動装置との連結後に、外部からの制御指令に基づいて前記第二の急速作動電磁弁を励磁し、前記第二の急速作動電磁弁を介して前記第二の排出流路と前記第二の駆動装置とを連結させて、前記第二の駆動装置の油圧シリンダから前記第二の排出流路へ前記作動油を排出する請求項1に記載された組み合わせ中間弁装置。
【請求項3】
前記急閉後に前記弁体を急開する場合には、前記第一の急速作動電磁弁を介して前記第一の作動油供給流路と前記第一の駆動装置とを連結させて、前記第一の作動油供給流路から前記第一の駆動装置の油圧シリンダへ前記所定量の前記作動油を供給し、
前記急開後に再び前記弁体を急閉する場合には、前記制御装置からの制御指令によって前記クラッチ機構が前記第一の駆動装置と前記弁棒とを連結し、外部からの制御指令に基づいて前記第一の急速作動電磁弁を励磁し、前記第一の急速作動電磁弁を介して前記第一の排出流路と前記第一の駆動装置とを連結させて、前記第一の駆動装置の油圧シリンダが前記第一の排出流路へ前記作動油を排出する請求項2に記載された組み合わせ中間弁装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載された組み合わせ中間弁装置を備えるタービン発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組み合わせ中間弁装置およびタービン発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電設備では、高圧タービンで仕事をした後の蒸気は、湿分分離器で湿分を除去され、その後クロスアラウンド管を経て低圧タービンに導入される。クロスアラウンド管には、低圧タービンのタービントリップまたは負荷遮断時に低圧タービンへの蒸気流入によるタービンのオーバースピードを防ぐため、中間蒸気止め弁およびインターセプト弁がそれぞれ設けられている。中間蒸気止め弁およびインターセプト弁は、クロスアラウンド管を流れる蒸気の流れ方向に沿って直列に組み込まれ、組み合わせ中間弁装置として構成される。
【0003】
関連技術に係る組み合わせ中間弁装置100について、図6および図7を用いて説明する。図6は、関連技術に係る組み合わせ中間弁装置の概略構成図であり、図7は、図6をP-P方向から見た平面図である。図6に示すように、組み合わせ中間弁装置100は、両端部にフランジを有する管状の弁ケーシング11に、バタフライ型の中間蒸気止め弁12aと、バタフライ型のインターセプト弁12bとを組込んで一体化した構成とされている。この弁ケーシング11の軸方向両端が、フランジを介して図示省略のクロスアラウンド管と低圧タービン入口配管との間に連結される。
【0004】
図6および図7に示すように、中間蒸気止め弁12aは、組み合わせ中間弁装置100の弁体であり、その中心位置が弁棒13aに取り付けられる。弁棒13aは中間蒸気止め弁12aの回動軸であり、蒸気の流れ方向と直交する配置で弁ケーシング11の軸受部11aに回動可能に支持される。弁棒13aの一端は、後述する中間蒸気止め弁駆動装置20aに連結される。
【0005】
中間蒸気止め弁駆動装置20aは、油圧式の中間蒸気止め弁12aの駆動装置であり、弁ケーシング11の外側に、連結具18aを介して固定されている。中間蒸気止め弁駆動装置20aの一端側の中心位置からは上下方向に変位可能な駆動ロッド21aが突出し、この駆動ロッド21aの先端にリンク式の駆動レバー14aを介して弁棒13aが連結されている。そして、油圧供給装置(図示省略)から中間蒸気止め弁駆動装置20aの油圧シリンダ22aに作動油が供給されると、この作動油からの油圧が駆動ロッド21aに働き、油圧シリンダ22a内部の駆動ロッド21aに繋がれたばねからの復元力に抗って駆動ロッド21aを上方向に押し上げる。その結果、駆動ロッド21aは上方向に変位し、その変位量は、油圧シリンダ22aに供給される作動油量に応じて変化する。駆動レバー14aは、駆動ロッド21aの上下方向の運動を回転運動に変換して弁棒13aに駆動力を伝達する。これにより、弁棒13aに取り付けられた中間蒸気止め弁12aが、この弁棒13aと共に開閉回動する。より具体的には、中間蒸気止め弁駆動装置20aの油圧シリンダ22aに所定量の作動油が供給される場合には、中間蒸気止め弁12aが全開となり、この油圧シリンダ22aから作動油を排出しきった(油圧シリンダ22a内の作動油が空である)場合には、中間蒸気止め弁12aが全閉となる。
【0006】
一方、インターセプト弁12bは、中間蒸気止め弁12aと共に組み合わせ中間弁装置100の弁体を構成し、その中心位置が弁棒13bに取り付けられる。弁棒13bは、インターセプト弁12bの回動軸であり、中間蒸気止め弁12aよりも蒸気の流れ方向下流側の軸受部11bに回動可能に支持される。その他の構成については、中間蒸気止め弁12aと同様である。すなわち、弁ケーシング11の外側には、連結具18bを介して、インターセプト弁駆動装置20bが固定されている。弁棒13bは、駆動レバー14bを介してインターセプト弁駆動装置20bの駆動ロッド21bに連結される。
【0007】
タービントリップや負荷遮断等の際には、中間蒸気止め弁駆動装置20a、インターセプト弁駆動装置20bが緊急起動してこれらを構成する油圧シリンダ内部から作動油を排出し、中間蒸気止め弁12aおよびインターセプト弁12bを急閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-293705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
中間蒸気止め弁12aおよびインターセプト弁12bは、タービントリップや負荷遮断等が発生した場合でも、所定の時間だけ運転状態を継続できることが要求される。タービントリップや負荷遮断等が発生すると、中間蒸気止め弁12aおよびインターセプト弁12bが急閉されるため、この要求を満たすには、弁体の急閉後に再度弁体を急開して、その弁開度が制御可能かを確認する必要がある。しかしながら、弁体を開くには、中間蒸気止め弁駆動装置20a、インターセプト弁駆動装置20bそれぞれの油圧シリンダ内部に対して、駆動ロッド21a、21bに繋がれたばねからの復元力に抗うだけの作動油を再度供給する必要がある。したがって、上述の方法において弁体を開き、かつその弁開度が制御可能かを確認するためには、急閉時と比べて長い時間を要する可能性がある。
【0010】
また、一般的な原子力発電設備では、中間蒸気止め弁12a、インターセプト弁12bがそれぞれ複数設けられ、これらの弁それぞれに対応した中間蒸気止め弁駆動装置20aとインターセプト弁駆動装置20bとが、一つの油圧供給装置(図示省略)に連結される。したがって、複数の弁体を同時に急開動作させる場合、これらの駆動装置に供給すべき作動油の総流量が、油圧供給装置から供給可能な作動油の総流量を一時的に上回る可能性がある。これは、原子力発電設備に設けられる全ての蒸気弁の作動油系統の急激な圧力低下を起こし、蒸気弁の制御不能を引き起こす可能性がある。
【0011】
そこで本発明が解決しようとする課題は、作動油の排出だけで弁体の急閉とその後の急開とを実行できる組み合わせ中間弁装置およびタービン発電設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、実施形態の組み合わせ中間弁装置によれば、弁体が取り付けられた弁棒を油圧シリンダ内の作動油量を調整して回転駆動させ、蒸気流路からこの弁体を通過して蒸気タービンに供給される蒸気量を制御する組み合わせ中間弁装置であって、前記油圧シリンダを具備し、前記油圧シリンダへ供給される前記作動油量を調整し前記弁棒を介して前記弁体に駆動力を伝達する第一および第二の駆動装置と、前記第一の駆動装置と前記弁棒との間、および前記第二の駆動装置と前記弁棒との間に設けられ、前記弁棒と前記第一および第二の駆動装置のいずれか一方とを連結させるクラッチ機構と、前記クラッチ機構による前記連結を調整する制御指令を出力する制御装置と、を備え、前記蒸気タービンの通常運転時には、前記弁棒が前記クラッチ機構を介して前記第一の駆動装置に連結され、前記第一の駆動装置の油圧シリンダ内の前記作動油量により前記弁体の開きを調整し、前記蒸気タービンの異常運転時に前記弁体を急閉する場合には、前記第一の駆動装置の油圧シリンダへの前記作動油の供給を遮断して、前記第一の駆動装置の油圧シリンダから前記作動油を排出し、前記急閉の後に前記弁体を急開する場合には、前記制御装置からの制御指令に基づいて、前記クラッチ機構が前記第一の駆動装置と前記弁棒とを遮断すると共に、前記第二の駆動装置と前記弁棒とを連結し、前記第二の駆動装置の油圧シリンダへの前記作動油の供給を遮断して、所定量の作動油が満たされた前記第二の駆動装置の油圧シリンダから前記作動油を排出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、作動油の排出だけで弁体の急閉とその後の急開とを実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る組み合わせ中間弁装置を備えたタービン発電設備の概要図である。
図2】実施形態に係る実施形態に係る組み合わせ中間弁装置の概要図である。
図3】実施形態に係る組み合わせ中間弁装置のインターセプト弁近傍を拡大した図であり、(a)は弁棒13bと駆動レバー14bとが連結する場合を、(b)は弁棒13bと駆動レバー15bとが連結する場合をそれぞれ示す。
図4】実施形態に係るインターセプト弁の開閉動作を示すフローチャートであって、(a)はインターセプト弁の急閉時を、(b)は急閉後の急開時をそれぞれ示す。
図5】実施形態の変形例に係る組み合わせ中間弁装置の構成を示す図である。
図6】関連技術に係る組み合わせ中間弁装置の概略構成図である。
図7図6をP-P方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態は、インターセプト弁を駆動させるインターセプト弁駆動装置を二つ設けると共に、これらの駆動装置のいずれかとインターセプト弁の弁棒とをクラッチ機構を介して連結させる。これにより、各駆動装置からの作動油の排出を通して、インターセプト弁の急閉と、その後の急開とが実現できる。以降では、その詳細について説明する。なお、前述の関連技術に係る組み合わせ中間弁装置と同様の箇所については、同じ図番を付して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る組み合わせ中間弁装置を備えたタービン発電設備の一例を表す図である。このタービン発電設備は、例えば原子力発電用のタービン発電設備である。本実施形態では、沸騰水型原子炉発電(BWR)用のタービン発電設備を例示して説明する。
【0017】
図1に示すように、タービン発電設備1は、原子炉2と、主蒸気止め弁3aと、蒸気加減弁3bと、高圧蒸気タービン4と、湿分分離加熱器5と、低圧蒸気タービン6と、発電機7と、復水器8と、復水ポンプ9と、組み合わせ中間弁装置10と、を備える。
【0018】
原子炉2で発生した蒸気は、主蒸気管を通り、主蒸気止め弁3aと、高圧蒸気タービン4への流入速度および負荷を直接制御する蒸気加減弁3bとを順次経て高圧蒸気タービン4に流入する。高圧蒸気タービン4に流入した蒸気は、高圧蒸気タービン4内部で膨張仕事をして、高圧蒸気タービン4を回転駆動させる。高圧蒸気タービン4で仕事をした後の蒸気は、高圧蒸気タービン4の排気として高圧蒸気タービン4から排出され、アラウンド管を通って湿分分離加熱器5に流入する。湿分分離加熱器5では、排気中の湿分を除去すると共に、この排気を加熱して再熱蒸気を発生させる。再熱蒸気は、湿分分離加熱器5から排出された後に、組み合わせ中間弁装置10を構成する中間蒸気止め弁12aおよびインターセプト弁12bを順次経て、低圧蒸気タービン6に流入する。低圧蒸気タービン6に流入した再熱蒸気は、低圧蒸気タービン6で膨張仕事をして、低圧蒸気タービン6を回転駆動させる。この再熱蒸気は、低圧蒸気タービン6の排気として低圧蒸気タービン6から排出され、復水器8で復水に凝縮される。復水は、復水器8から復水ポンプ9を経て再び原子炉2に供給される。
【0019】
このように、タービン発電設備1を流れる蒸気または復水の流路は閉ループを構成している。高圧蒸気タービン4、および低圧蒸気タービン6の回転駆動により発生した回転エネルギは、発電機7において電気エネルギに変換され、送電系統に送られる。
【0020】
なお、ここでは一台の高圧蒸気タービン4と三台の低圧蒸気タービン6を備えるタービン発電設備1を例示したが、タービン発電設備1の構成はこの場合に限定されない。例えば、高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン、および低圧蒸気タービンを備えた構成や、これらの蒸気タービンの少なくともいずれかが複数台設置された構成などでもよい。
【0021】
次に、図1において説明した組み合わせ中間弁装置10について説明する。なお、関連技術に係る組み合わせ中間弁装置と同様の構成については同じ図番を付けて説明する。
【0022】
組み合わせ中間弁装置10は、弁ケーシング11と、中間蒸気止め弁12aと、インターセプト弁12bと、弁棒13aおよび13bと、駆動レバー14a、14b、および15bと、クラッチ機構16bと、中間蒸気止め弁駆動装置20aと、インターセプト弁駆動装置20b(第一の駆動装置)および30b(第二の駆動装置)と、油圧回路40とを備える。すなわち、組み合わせ中間弁装置10は、インターセプト弁12bの駆動装置として、インターセプト弁駆動装置20b(第一の駆動装置)および30b(第二の駆動装置)の二つの駆動装置を備える。
【0023】
中間蒸気止め弁12aは、組み合わせ中間弁装置10の弁体であり、その中心位置が弁棒13aに取り付けられる。弁棒13aは中間蒸気止め弁12aの回動軸であり、弁ケーシング11の軸受部11aを介して、この弁ケーシング11と直交する軸心まわりに回動可能に支持される。すなわち、中間蒸気止め弁12aと弁棒13aとは一体となって、弁ケーシング11と直交する軸心まわりに回動する。弁棒13aの一端は、後述する駆動レバー14aを介して、後述する中間蒸気止め弁駆動装置20aに連結される。
【0024】
インターセプト弁12bは、中間蒸気止め弁12aと共に組み合わせ中間弁装置10の弁体を構成し、その中心位置が弁棒13bに取り付けられる。弁棒13bはインターセプト弁12bの回動軸であり、弁ケーシング11の軸受部11bを介して、この弁ケーシング11と直交する軸心まわりに回動可能に支持される。すなわち、中間蒸気止め弁12bと弁棒13bとは一体となって、弁ケーシング11と直交する軸心まわりに回動する。弁棒13bの一端側には、駆動レバー14bおよびインターセプト弁駆動装置20bが、その他端側には、駆動レバー15bおよびインターセプト弁駆動装置30bがそれぞれ設けられている。弁棒13bと、駆動レバー14bおよび15bとの間にはクラッチ機構16bが設けられ、後述するように、これら駆動レバーのいずれかと弁棒13bとが、このクラッチ機構16bを介して連結する。
【0025】
中間蒸気止め弁駆動装置20aは、駆動ロッド21aと、油圧シリンダ22aと、ダンプ弁室(図示省略)と、ディスクダンプ弁(図示省略)とを備える。中間蒸気止め弁駆動装置20aは、弁ケーシング11の外側で、かつ弁ケーシング11の中心から一側方に離間した位置に側面視で直交する姿勢で配置される。このとき、弁ケーシング11と中間蒸気止め弁駆動装置20aとは、連結具18aを介して一体に固定されている。中間蒸気止め弁駆動装置20a一端側の中心位置からは、上下方向に変位可能な駆動ロッド21aが突出し、この駆動ロッド21aの先端と弁棒13aとが、リンク式の駆動レバー14aを介して連結される。中間蒸気止め弁駆動装置20aは、油圧シリンダ22a内部に供給される作動油量を調整することで駆動ロッド21aを上下に変位させ、この変位を駆動レバー14aで回転運動に変換して弁棒13aを回動させる。これにより、中間蒸気止め弁12aが、弁棒13aと共に弁ケーシング11内で開閉回動する。なお、ダンプ弁室およびディスクダンプ弁(共に図示省略)の構成やその動作方法については、後述するインターセプト弁駆動装置20bのダンプ弁室23bおよびディスクダンプ弁24bと同様である。
【0026】
なお、中間蒸気止め弁12aは、油圧シリンダ22aに作動油が満たされていない場合には全閉状態に、油圧シリンダ22aに所定量の作動油が満たされる場合には全開状態になるように設定されている。
【0027】
次に、インターセプト弁駆動装置20bおよび30bについて、図2を用いて説明する。図2は、実施形態に係る組合せバタフライ弁装置の概要図である。インターセプト弁駆動装置20bは、駆動ロッド21bと、油圧シリンダ22bと、ダンプ弁室23bと、ディスクダンプ弁24bとを備える。
【0028】
中間蒸気止め弁駆動装置20bは、弁ケーシング11の外側で、かつ弁ケーシング11の中心から一側方に離間した位置に側面視で直交する姿勢で配置される。このとき、弁ケーシング11と中間蒸気止め弁駆動装置20bとは、連結具18bを介して一体に固定されている。インターセプト弁駆動装置20b一端側の中心位置からは、上下方向に変位可能な駆動ロッド21bが突出し、その先端がリンク式の駆動レバー14bに接続される。この駆動ロッド21bは油圧シリンダ22bと一体で構成され、油圧シリンダ22b内部に作動油を供給し、この作動油からの油圧により上下方向に可動する。
【0029】
油圧シリンダ22bの下方にはダンプ弁室23bが設けられる。ダンプ弁室23bは、ディスクダンプ弁24bとばねとを、互いに連結させた状態で収容している。また、ダンプ弁室23bには、後述する油圧回路40の第一の排出流路45と連結する接続口が設けられている。ディスクダンプ弁24bが開いている場合には、後述する油圧回路40の第一の排出流路45につながる接続口が開いている。ディスクダンプ弁24が閉じている場合には、後述する油圧回路40の第一の排出流路45につながる接続口を塞ぐ。ディスクダンプ弁24bの開閉動作の詳細については後述する。
【0030】
一方、インターセプト弁駆動装置30bは、駆動ロッド31bと、油圧シリンダ32bと、ダンプ弁室33bと、ディスクダンプ弁34bとを備える。中間蒸気止め弁駆動装置30bは、弁ケーシング11の外側かつインターセプト弁駆動装置20bと対向する側に、弁ケーシング11の中心から一側方に離間した位置に側面視で直交する姿勢で配置される。このとき、弁ケーシング11と中間蒸気止め弁駆動装置30bとは、連結具19bを介して一体に固定されている。インターセプト弁駆動装置30b一端側の中心位置からは、上下方向に変位可能な駆動ロッド31bが突出し、その先端がリンク式の駆動レバー15bに接続される。ダンプ弁室33b、ディスクダンプ弁34bの構成については、インターセプト弁駆動装置20bと同様である。
【0031】
ここで、弁棒13bと駆動レバー14bおよび15bとの接続関係について、図3を用いてより詳細に説明する。図3は、実施形態に係る組み合わせ中間弁装置のインターセプト弁近傍を拡大した図であり、(a)は弁棒13bと駆動レバー14bとが連結する場合を、(b)は弁棒13bと駆動レバー15bとが連結する場合をそれぞれ示す。なお、図3に示す制御装置17bからクラッチ機構16bへ延びる一点鎖線の矢印は、制御装置17bからクラッチ機構16bへの制御指令を示している。また、この図においてはインターセプト弁12bの周囲に制御装置17bが配置されているが、これは、制御装置17bがクラッチ機構16bに対して制御指令が送信されることを例示したものであり、この制御装置17bの設置位置がこの位置にあることを示すものではない。
【0032】
図3(a)および(b)に示すように、駆動レバー14bおよび15bと、弁棒13bとの間には、クラッチ機構16bが設けられる。クラッチ機構16bは、例えば油圧シリンダを備える油圧式のクラッチ機構であり、この油圧シリンダに作動油を供給するクラッチ機構油圧回路(図示省略)と、制御装置17bからの制御指令に基づき、油圧回路から作動油を供給または遮断する電磁弁(図示省略)を備える。すなわち、クラッチ機構16bには、制御装置17bからの制御指令に基づいてクラッチ機構油圧回路(図示省略)から作動油が供給される。この作動油からの油圧によってクラッチ機構16bが変位すると、弁棒13bと駆動レバー14bとが連結する(図3(a)に示す状態)か、または弁棒15bと駆動レバー15bとが連結する(図3(b)に示す状態)。弁棒13bと、駆動レバー14bまたは15bとの連結に関する詳細な説明は後述する。
【0033】
次に、図2を用いて、インターセプト弁駆動装置20bおよび30bに作動油を供給する油圧回路40について説明する。油圧回路40は、第一の作動油供給流路41(第一の供給流路)と、遮断弁42および52と、サーボ弁43および53と、第一の非常油供給流路44と、第一の排出流路45と、第一の急速作動電磁弁46と、第二の作動油供給流路51(第二の供給流路)と、第二の非常油供給流路54と、第二の排出流路55と、第二の急速作動電磁弁56とを備える。また、油圧回路40はこの他に、サーボ弁43および53と、第一の急速作動電磁弁46と、第二の急速作動電磁弁56のそれぞれに対して制御指令を出力する指令部(図示省略)を備える。図2に示す油圧回路40の種々の構成については、その図番が4から始まるもの(油圧回路40を除く)はインターセプト弁駆動装置20bに関連し、その図番が5から始まるものはインターセプト弁駆動装置30bに関連する。
【0034】
第一の作動油供給流路41は、油圧供給装置(図示省略)からインターセプト弁駆動装置20bの油圧シリンダ22bに供給される作動油の流路、第二の作動油供給流路51は、油圧供給装置(図示省略)からインターセプト弁駆動装置30bの油圧シリンダ32bに供給される作動油の流路である。
【0035】
遮断弁42は、第一の作動油供給流路41の上流側に設けられる。遮断弁42は、その内部にピストンを収容し、このピストン上部には、後述する第一の非常油供給流路44を流れる非常油の一部が供給される。遮断弁42に非常油が供給されていない場合は、このピストンが第一の作動油供給流路41からサーボ弁43までの流路が閉鎖されている。遮断弁42に非常油が供給された場合は、この非常油がピストンを押し下げて、第一の作動油供給流路41からサーボ弁43までの流路を開通させる。遮断弁52は第二の作動油供給流路51の上流側に設けられ、その構成や動作は遮断弁42と同様である。
【0036】
サーボ弁43は、指令部からの制御指令に基づき、油圧発生装置(図示省略)から第一の作動油供給流路41を経て油圧シリンダ22bに作動油を供給する流れと、油圧シリンダ22b内部の作動油を、後述する第一の排出流路45を経て排出する流れとを制御する。サーボ弁53は、指令部からの制御指令に基づき、油圧発生装置(図示省略)から第二の作動油供給流路51を経て油圧シリンダ32bに作動油を供給する流れと、油圧シリンダ32b内部の作動油を、後述する第二の排出流路55を経て排出する流れとを制御する。
【0037】
第一の非常油供給流路44は、油圧供給装置(図示省略)からインターセプト弁駆動装置20bのダンプ弁室23bに供給される非常油の流路、第二の非常油供給流路54は、油圧供給装置(図示省略)からインターセプト弁駆動装置30bのダンプ弁室33bに供給される非常油の流路である。本実施形態においては、作動油および非常油とは同じ油圧供給装置(図示省略)から供給され、この油圧供給装置(図示省略)からの油のうち、油圧シリンダ22b、32bに供給されて駆動ロッド21b、31bに油圧を付加する油を作動油、ダンプ弁室23b、33bに供給されてディスクダンプ弁24b、34bに対して油圧を付加する油を非常油という。
【0038】
第一の排出流路45は、油圧シリンダ22b内部の作動油およびダンプ弁室23b内部の非常油を油圧供給装置(図示省略)に排出する流路、第二の排出流路55は、油圧シリンダ32b内部の作動油およびダンプ弁室33b内部の非常油を油圧供給装置(図示省略)に排出する流路である。
【0039】
第一の急速作動電磁弁46は、通常時(通常運転時)は無励磁状態であり、非常油供給流路44とダンプ弁室23bとを連結する。一方、異常時(タービントリップまたは負荷遮断が発生した場合)は、指令部(図示省略)からの制御指令に基づいて励磁状態となり、第一の非常油供給流路44とダンプ弁室23bとを遮断すると共に、ダンプ弁室23bと第一の排出流路45とを連結させ、油圧シリンダ22b内部の作動油を急ぎ排出する。第二の急速作動電磁弁56についても同様に、通常時は第二の非常油供給流路54とダンプ弁室33bとを連結し、異常時はダンプ弁室33bと第二の排出流路55とを連結させる。これらの急速作動電磁弁は、油圧シリンダに作動油を供給する場合や、タービン発電設備1の通常運転時(油圧シリンダ内部の作動油量を所定の範囲内に調整する場合)は、インターセプト弁駆動装置と排出流路とを遮断(無励磁状態)する。第一および第二の急速作動電磁弁46、56の詳細な説明は後述する。
【0040】
次に、本実施形態のインターセプト弁12bの作用について説明する。比較のため、タービン発電設備1の通常時(通常運転時)におけるインターセプト弁12bの作用を説明した後に、タービン発電設備1の異常時(タービントリップまたは負荷遮断が発生した場合)のインターセプト弁12bの作用を説明する。
【0041】
(通常時)
図2を用いて、通常時のインターセプト弁12bの作用を説明する。通常時は、クラッチ機構16bを介して、弁棒13bと駆動レバー14bとが連結される。すなわち、インターセプト弁駆動装置20bにより、インターセプト弁12bを回動させる。この際、インターセプト弁駆動装置30bには、所定量の作動油が満たされている。また、指令部(図示省略)からの制御指令に基づき、サーボ弁43が第一の作動油供給流路41と油圧シリンダ22bとを、サーボ弁53が第二の作動油供給流路51と油圧シリンダ32bとをそれぞれ連結する。
【0042】
インターセプト弁駆動装置20bに作動油を供給する場合(インターセプト弁12bを開く場合)には、作動油を供給する前に、油圧供給装置(図示省略)から第一の非常油供給流路44、第一の急速作動電磁弁46を通過してダンプ弁室23bに非常油を供給する。ダンプ弁室23bに非常油が供給されると、ディスクダンプ弁24bは非常油から上方向の油圧を受ける。この油圧がディスクダンプ弁24b弁に接続されたばねの復元力に打ち勝つと、ディスクダンプ弁24が上方向に変位して、油圧シリンダ22bと第一の排出流路45との接続口を塞ぐ。また、第一の非常油供給流路44を流れる非常油の一部は遮断弁42に供給され、遮断弁42を構成するピストンを押し下げる。これにより、第一の作動油供給流路41からサーボ弁43までの流路が開通する。
【0043】
この状態で、指令部(図示省略)からの制御指令に基づき、サーボ弁43が第一の作動油供給流路41と油圧シリンダ22bとを連結すると、油圧供給装置(図示省略)からの作動油が、第一の作動油供給流路41、遮断弁42、サーボ弁43を順次経て、油圧シリンダ22bに供給される。油圧シリンダ22bに作動油が供給されると、この作動油からの油圧によって駆動ロッド21aが上方向に変位する。駆動レバー14bは、駆動ロッド21aの変位を回転運動に変換し、弁棒13bおよびインターセプト弁12bを回動させる。これにより、インターセプト弁12bが開く。
【0044】
なお、インターセプト弁駆動装置30bに作動油を供給する場合も、インターセプト弁駆動装置20bと同様である。すなわち、作動油を供給する前に、油圧供給装置(図示省略)から第二の非常油供給流路54、第二の急速作動電磁弁56を経てダンプ弁室33bに非常油を供給し、ディスクダンプ弁34bを上方向に変位させて、油圧シリンダ32bと第二の排出流路55との接続口を塞ぐ。また、第二の非常油供給流路54を流れる非常油の一部は遮断弁52に供給され、この非常油がピストンを押し下げて第二の作動油供給流路51からサーボ弁53までの流路を開通させる。この状態で、指令部(図示省略)からの制御指令に基づいてサーボ弁53を制御し、第二の作動油供給流路51と油圧シリンダ32bとを連結させる。すると、油圧供給装置(図示省略)から第二の作動油供給流路51を経て油圧シリンダ32bに作動油が供給される。通常時は、上述の手順により油圧シリンダ32bに作動油を供給し、その内部に所定量の作動油が満たされている。また、油圧シリンダ32bに所定量の作動油が満たされるため、駆動ロッド31bは上方に変位している。
【0045】
一方、インターセプト弁12bの開きを調整すべく、インターセプト弁駆動装置20bから作動油を排出する場合には、指令部(図示省略)からの制御指令に基づき、サーボ弁43が第一の作動油供給流路41と油圧シリンダ22bとを遮断すると共に、油圧シリンダ22bと第一の排出流路45とを連結させる。これにより、油圧シリンダ22b内部の作動油は、第一の排出流路45を経て油圧供給装置(図示省略)に排出され、インターセプト弁12bおよび弁棒13bが閉じる方向に回動する。インターセプト弁12bが所定の開きに達した場合には、指令部(図示省略)からの制御指令に基づいて、サーボ弁43を中立位置に調整し、油圧シリンダ22bが、第一の作動油供給流路41にも第一の排出流路45にも連結されない状態とする。
【0046】
このように通常時においては、クラッチ機構16bを介して弁棒13bと駆動レバー14bとを連結し、インターセプト弁駆動装置20bからの駆動力(油圧)によってインターセプト弁12bの開きを調整する。この開きの調整は、サーボ弁43を介して油圧シリンダ22bと第一の作動油供給流路41または第一の排出流路45との連結を調整し、油圧シリンダ22b内部の作動油量の制御することで実現される。
【0047】
(異常時)
次に、図2および図4を用いて、通常時からインターセプト弁12bを急閉および急開する場合(異常時)の作用を説明する。図4は、実施形態に係るインターセプト弁の開閉動作を示すフローチャートであって、(a)はインターセプト弁の急閉時を、(b)は急閉後の急開時をそれぞれ示す。なお、本実施形態においては、異常時としてタービントリップが発生した場合や、落雷等の系統事故に伴い負荷遮断された場合を例示して説明する。また、ここでいうインターセプト弁12bの急閉または急開とは、通常の開閉動作よりも早い時間、例えば1秒未満の時間でインターセプト弁12bを回動させて、インターセプト弁12bを急ぎ開閉させることをいう。
【0048】
さらに、以降の説明では、通常時を初期状態として説明する。すなわち、初期状態においては、遮断弁42および52と、サーボ弁43および53とが開き、第一の作動油供給流路41または第二の作動油供給流路51を経て、油圧シリンダ22bおよび32bのそれぞれに所定量の作動油が満たされている。また、弁棒13bはクラッチ機構16bを介して駆動レバー14bに連結され、インターセプト弁12bと弁棒13bとが全開位置まで回動している。さらに、油圧シリンダ32bに所定量の作動油が満たされているため、駆動ロッド31bは上方に位置している。
【0049】
(急閉させる場合)
図4(a)に示すように、タービントリップや負荷遮断が発生した場合、指令部(図示省略)は、第一の急速作動電磁弁46を励磁する(図2記載の第一の急速作動電磁弁46の弁体を下方向に変位させる)制御指令を出力する(S1)。この制御指令に基づいて第一の急速作動電磁弁46が励磁されると、ダンプ弁室23bが第一の非常油供給流路44から遮断され、第一の排出流路45に連結される(S2)。ダンプ弁室23b内部から非常油が排出されると、ディスクダンプ弁24bはばねからの復元力により下方に変位し、ダンプ弁室23bから第一の排出流路45への接続口が開通する(S3)。これにより、油圧シリンダ22b内部の作動油が、接続口から第一の排出流路45を経て、油圧供給装置(図示省略)に排出され(S4)、駆動ロッド21bが下方に変位する。駆動ロッド21bが下方に変位すると、駆動レバー14bがこの変位を回転運動に変換し、弁棒13bおよびインターセプト弁12bを閉方向に回動させる(S5)。これにより、インターセプト弁12bが急閉(急ぎ全閉)する(S6)。
【0050】
なお、第一の急速作動電磁弁46が励磁された場合(すなわちステップS2の場合)、遮断弁42への非常油の流路も第一の急速作動電磁弁46を介して第一の排出流路45に連結され、ダンプ弁室23b内部の非常油と共に、遮断弁42内部の非常油も第一の排出流路45に排出される。これにより、第一の作動油供給流路41からサーボ弁43への流路が閉鎖され、油圧シリンダ22bへの作動油の供給が遮断される。
【0051】
(急閉後に急開させる場合)
図4(b)に示すように、インターセプト弁12bを急閉させた後、低圧蒸気タービン6を継続運転させるために再度急開(急ぎ全開)する場合、制御装置17bは、クラッチ機構16bに対して、弁棒13bと駆動レバー14bとの連結を遮断し、弁棒13bと駆動レバー15bとを連結させる制御指令を出力する(S7)。クラッチ機構16bは、この制御指令に基づいて弁棒13bと駆動レバー15bとを連結させる(S8)。この後に、指令部(図示省略)が、第二の急速作動電磁弁56を励磁する(図2記載の第二の急速作動電磁弁56の弁体を下方向に変位させる)制御指令を出力する(S9)。この制御指令に基づいて第二の急速作動電磁弁56が励磁されると、ダンプ弁室33bが第二の非常油供給流路54から遮断され、第二の排出流路55に連結される(S10)。ダンプ弁室33b内部から非常油が排出されると、ディスクダンプ弁34bはばねからの復元力により下方に変位し、ダンプ弁室33bから第二の排出流路55への接続口が開通する(S11)。これにより、油圧シリンダ32b内部の作動油が、接続口から第二の排出流路55を経て油圧供給装置(図示省略)に排出され(S12)、駆動ロッド31bが下方に変位する。駆動ロッド21bが下方に変位すると、駆動レバー15bがこの変位を回転運動に変換し、弁棒13bおよびインターセプト弁12bを急閉時と同じ回転方向に、全閉位置からさらに回動させる(S13)。これにより、インターセプト弁12bが急開(急ぎ全開)する(S14)。
【0052】
なお、第二の急速作動電磁弁56が励磁された場合(すなわちステップS10の場合)、遮断弁52への非常油の流路も第二の急速作動電磁弁56を介して第二の排出流路55に連結され、ダンプ弁室33b内部の非常油と共に、遮断弁52内部の非常油も第二の排出流路55に排出される。これにより、第二の作動油供給流路51からサーボ弁53への流路が閉鎖され、油圧シリンダ32bへの作動油の供給が遮断される。
【0053】
つまり、インターセプト弁12bの急閉とその後の急開それぞれの動作に応じて、クラッチ機構16bを介して、弁棒13bと、このインターセプト弁の駆動装置であるインターセプト弁駆動装置20bまたは30bとの連結を切り替える。そして、インターセプト弁12bは、弁棒13bに連結された駆動装置からの順次作動油の排出を通して、弁体の急閉とその後の急開とを実行できる。
【0054】
上述した実施形態によれば、インターセプト弁12bの駆動装置としてインターセプト弁駆動装置20bおよび30bという二つの駆動装置を備え、インターセプト弁12bの急閉とその後の急開に応じてクラッチ機構16bを動作させて、インターセプト弁駆動装置20bまたは30bと弁棒13bとの連結を調整する。そして、インターセプト弁12bを急閉させる場合にはインターセプト弁駆動装置20bの油圧シリンダ22bから、インターセプト弁12bを急閉後に急開させる場合にはインターセプト弁駆動装置30bの油圧シリンダ32bからそれぞれ作動油を排出することにより、インターセプト弁12bの急閉と、その後の急開とを作動油の排出だけで実現できる。したがって、インターセプト弁12bを急閉後に再度急開する場合、一度作動油を排出した油圧シリンダに再度作動油を供給する必要がなく、インターセプト弁12bが従来よりも短い時間で急開できる。また、油圧シリンダに作動油を供給せずにインターセプト弁の急開を実現できるため、一度に複数のインターセプト弁を急開する場合でも、多量の作動油を供給する必要がない。
【0055】
さらに、本実施形態においては、例えば急閉後に急開する間に、並行してインターセプト弁駆動装置20bの油圧シリンダ22bに再度作動油を供給し、油圧シリンダ22b内部に所定量の作動油を満たすことができる。すなわち、インターセプト弁12bの開閉動作と並行して、弁棒13bに連結されていない側の駆動装置に作動油を供給することができる。したがって、急閉または急開動作の一方を実行中に、並行して他方の動作の準備を行うことができるため、急閉や急開動作が再び必要になった場合でも、クラッチ機構16bによる切り替え操作を行えば、すぐに急閉や急開動作を実行できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、インターセプト弁12bにのみ二つの駆動装置を設ける場合を例示して説明したが、中間蒸気止め弁12aにも二つの駆動装置を設ける構成としてもよいし、中間蒸気止め弁12aにのみ二つの駆動装置を設け、インターセプト弁12bには従来と同様に一つの駆動装置を設ける構成としてもよい。ただし、二つの駆動装置を設ける場合には、クラッチ機構を介してこれらの駆動装置と弁棒とを連結する。
【0057】
また、本実施形態の変形例として、例えば図5に示すように、油圧回路40が新たに第三の排出流路57および第三の急速作動電磁弁58を設けると共に、油圧シリンダ32bの上下方向の中間位置に、第三の排出流路57と繋がる接続口を設けてもよい。この構成の場合には、駆動レバー15bの回転運動への変換能力を調整し、例えば駆動レバー14bの二倍の変換能力を有することが好ましい。すなわち、駆動ロッドを同じ変位量だけ変位させた場合に、駆動レバー15bが、駆動レバー14bの二倍の回転角だけ弁棒13bおよびインターセプト弁12bを回動させるように設計することが好ましい。このような構成とすることで、変形例のインターセプト弁駆動装置30bからの作動油の排出を通して、インターセプト弁12bを半周回動させることができる。
【0058】
つまり、急閉後の急開時には、指令部(図示省略)からの制御指令に基づき、ダンプ弁室23bの作動油を排出せずに第三の急速作動電磁弁58を励磁させ、油圧シリンダ32b内部に満たされた所定量の半分の作動油を、第三の急速作動電磁弁58、第三の排出流路57、第二の排出流路55を順次経て油圧供給装置(図示省略)に排出させる。このとき、駆動レバー15bの変換能力が駆動レバー14bの二倍であることから、所定の半分の量の作動油を排出させるだけでインターセプト弁12bを急開できる。所定の半分の量の作動油を排出またはインターセプト弁12bの弁開度をセンサ(図示省略)等で検出し、インターセプト弁12bが急開したことを確認した場合には、指令部(図示省略)からの制御指令により第三の急速作動電磁弁58を無励磁に戻す。このような構成とすることで、例えば急開後に再度タービントリップや負荷遮断が発生した場合でも、油圧シリンダ32b内部の残りの作動油を第一の実施形態と同様の手法で排出させてインターセプト弁12bを再度急閉することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1.タービン発電設備、2.原子炉、3a.主蒸気止め弁、3b.蒸気加減弁、4.高圧蒸気タービン、5.湿分分離加熱器、6.低圧蒸気タービン、7.発電機、8.復水器、9.復水ポンプ、10.組み合わせ中間弁装置、11.弁ケーシング、11a、11b.軸受部、12a.中間蒸気止め弁、12b.インターセプト弁、13a、13b.弁棒、14a、14b、15b.駆動レバー、16b.クラッチ機構、17b.制御装置、18a、18b、19b.連結具、20a.中間蒸気止め弁駆動装置、20b、30b.インターセプト弁駆動装置、21a、21b、31b.駆動ロッド、22a、22b、32b.油圧シリンダ、23b、33b.ディスクダンプ弁、40.油圧回路、41.第一の作動油供給流路、42、52.遮断弁、43、53.サーボ弁、44.第一の非常油供給流路、45.第一の排出流路、46.第一の急速作動電磁弁、51.第二の作動油供給流路、54.第二の非常油供給流路、55.第二の排出流路、56.第二の急速作動電磁弁、57.第三の排出流路、58.第三の急速作動電磁弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7