(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220405BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/30 330
G09F9/00 366Z
(21)【出願番号】P 2018232079
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2018-12-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】10-2017-0174824
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】李 哲 煥
(72)【発明者】
【氏名】洪 淳 煥
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】中塚 直樹
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-98726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0031323(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294502(US,A1)
【文献】特開2005-157300(JP,A)
【文献】特開2002-40961(JP,A)
【文献】特開2003-177680(JP,A)
【文献】特開2005-227762(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072342(WO,A1)
【文献】特開2005-183006(JP,A)
【文献】特開2005-227688(JP,A)
【文献】特開2015-88457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G09F 13/00-13/46
G02F 1/13-1/1334
G02F 1/1339-1/135
G02F 1/137-1/141
G09G 3/00-3/08
G09G 3/12
G09G 3/16
G09G 3/19-3/26
G09G 3/30
G09G 3/34
G09G 3/38
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモジュール領域を含むアクティブ領域と、前記アクティブ領域の外側に配置されるベゼル領域を含む表示パネルと、
前記アクティブ領域で基板上に配置される画素アレイと、
前記基板の1つの平面に積層される発光ダイオードとを含み、
前記少なくとも1つのモジュール領域は、前記表示パネルの前記基板を含み、前記少なくとも1つのモジュール領域を除外したアクティブ領域より薄く、
前記表示パネルとは別体の素子が、前記基板において、前記少なくとも1つのモジュール領域に対応する位置の別の平面に配置され
、
前記少なくとも1つのモジュール領域のそれぞれは、光透過領域と、前記光透過領域を囲むように配置される第1ダムと、前記第1ダムと離隔して前記第1ダムを囲むように配置される第2ダムを含み、
前記表示パネルの前記基板上に配置される保護層は、前記光透過領域の全体、前記第1ダムの全体、及び前記第2ダムの全体と接する、表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのモジュール領域は、前記モジュール領域を囲む前後左右の4方向の領域のうち、少なくとも2つの領域に情報が表示されるように前記アクティブ領域内に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ベゼル領域には前記アクティブ領域の画素アレイに第1電位を供給するための第1電位供給電極と、前記第1電位より低い第2電位を供給するための第2電位供給電極が配置され、
前記第1電位供給電極に連結されて前記アクティブ領域に延びる第1電位供給ラインは前記モジュール領域を回避して配置される、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記アクティブ領域には前記画素アレイにゲート信号とデータ信号とを供給するためのゲートライン及びデータラインが配置され、前記ゲートライン及び前記データラインは前記モジュール領域を回避して配置される、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電位供給電極が配置されたベゼル領域の反対側ベゼル領域には前記画素アレイに前記第1電位を供給する他の第1電位供給電極が配置される、請求項
3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1電位供給電極と前記他の第1電位供給電極は、前記アクティブ領域左右側ベゼル領域に配置されるリンクラインにより両端部が互いに連結される、請求項
5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記アクティブ領域の両側に位置するベゼル領域には、前記画素アレイに供給されるゲート信号を生成するためのゲート駆動部のシフトレジスタが各々配置される、請求項1
または2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報化社会が発展するにつれて、画像を表示するための表示装置に対する要求が様々な形で高まっている。例えば、体積の大きい陰極線管(Cathode Ray Tube:CRT)に代替する、薄くて軽くて、大面積が可能な平板表示装置(Flat Panel Display Device:FPD)が急速に開発されている。このような平板表示装置として、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、電界発光表示装置(Electroluminescent Display:EL)、電界放出表示装置(Field Emission Display:FED)、及び電気泳動表示装置(Electrophoretic Display:ED)のような多様な平板表示装置が開発されて活用されている。
【0003】
このような表示装置には情報を表示するための表示素子を含む表示パネル、表示パネルを駆動するための駆動部、及び表示パネル及び駆動部に供給する電源を生成する電源供給部などが含まれる。
【0004】
これら表示装置は使用環境や用途によって多様なデザインで設計することができ、これに対応して映像を表示する表示パネルも従来の単一の四角形態から部分的な曲面部やノッチ部(notch)のような異形部を有する表示パネルが、消費者に美感を起こすという理由により広く使われている。
【0005】
最近の表示装置はマルチメディア機能を具現するためのカメラ、スピーカー、センサーなどの多様な要素をモジュール形態で導入されており、これらは表示パネルのノッチ部が形成された領域、即ち、表示パネルの縁の一部が除去されることにより形成された領域に配置されることが一般的である。
【0006】
しかしながら、ノッチ部を確保するためには、表示パネルの一部を断面で完全に切り出さなければならず、これを具現するために追加のマスクを用いねばならないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術に関する上述の1つまたは複数の問題を解消したディスプレイ装置を対象とする。
【0009】
本発明は、表示パネルのアクティブ領域に光を透過することができるモジュール領域を形成し、モジュール領域に配置されるカメラ、スピーカー、センサーなどの多様なモジュールが表示装置の光や表示装置の外部の光による影響を受けないようにすることができる表示装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の特徴に従う表示装置は、少なくとも1つのモジュール領域を含むアクティブ領域と、アクティブ領域の外側に配置するベゼル領域を含む表示パネルと、アクティブ領域で基板上に配置される画素アレイを含み、少なくとも1つのモジュール領域は表示パネルの基板を含み、少なくとも1つのモジュール領域を除くアクティブ領域より薄く形成される。
【0011】
モジュール領域は、光透過領域と、光透過領域を囲むように配置される少なくとも1つのダムを含むことができる。
【0012】
少なくとも1つのダムは、光透過領域を囲むように配置される第1ダムと、第1ダムと離隔して第1ダムを囲むように配置される第2ダムとを含むことができる。
【0013】
少なくとも1つのモジュール領域は、モジュール領域を囲む前後左右の4方向の領域のうち、少なくとも2つの領域に情報が表示されるようにアクティブ領域内に配置できる。
【0014】
モジュール領域の光透過領域は、表示パネルの基板上に配置される保護層を含み得る。
【0015】
モジュール領域の光透過領域を除外した領域は、基板上に配置する少なくとも1つのダムと、少なくとも1つのダムをカバーする保護層を含み得る。
【0016】
ベゼル領域にはアクティブ領域の画素アレイに第1電位を供給するための第1電位供給電極と、第1電位より低い第2電位を供給するための第2電位供給電極が配置され、第1電位供給電極に連結されてアクティブ領域に延びる第1電位供給ラインは、モジュール領域を回避して配置できる。
【0017】
アクティブ領域には画素アレイにゲート信号とデータ信号とを供給するためのゲートライン及びデータラインが配置され、ゲートライン及びデータラインはモジュール領域を回避して配置できる。
【0018】
第1電位供給電極が配置されたベゼル領域の反対側ベゼル領域には画素アレイに第1電位を供給する他の第1電位供給電極が配置できる。
【0019】
第1電位供給電極と他の第1電位供給電極は、アクティブ領域の左右側ベゼル領域に配置されるリンクラインにより両端部が互いに連結できる。
【0020】
アクティブ領域の両側に位置するベゼル領域には画素アレイに供給されるゲート信号を生成するためのゲート駆動部のシフトレジスタが各々配置できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従う表示装置によれば、別途のマスクを利用しなくても表示パネル製造工程を通じて表示パネルのアクティブ領域に光が透過できるモジュール領域を形成することができるので、製造工程が複雑になることを避けることができるだけでなく、製造時間と費用を減らすことができる。
【0022】
また、光透過領域を囲むようにモジュール領域に少なくとも1つのダムを配置することによって、モジュール領域に配置されたモジュールが表示装置の光や外部の光により影響を受けないようになるので、モジュール自体の機能を向上できる。
【0023】
また、モジュール領域の光透過領域は、基板、バッファ層、及び第2保護膜の3層構造のみ残るようになり、バッファ層を省略する場合、基板と第2保護膜の2層構造のみ残るようになるので、光の透過効率を高められる。
【0024】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部に含まれる添付図面は、本発明に対する実施形態を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を概略的に図示したブロック図である。
【
図2】
図1に図示された表示パネルの一部領域R1をより具体的に図示した平面図である。
【
図3】
図2に図示されたI-I’ラインに沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になる。本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現され、単に本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義される。
【0027】
本発明の実施形態を説明するための図面に開示された形状、サイズ、比率、角度、個数などは、例示的なものであるので、本発明が図示された事項に限定されるものではない。明細書の全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を称する。本発明を説明するに当たって、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書上で言及された‘含む’、‘有する’、‘なされる’などが使われる場合、‘~のみ’が使われない以上、他の部分が追加できる。構成要素を単数で表現した場合に、特別に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0028】
構成要素を解釈するに当たって、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものとして解釈する。
【0029】
位置関係に対する説明の場合、例えば、‘~上に’、‘~上部に’、‘~下部に’、‘~側に’などで2部分の位置関係が説明される場合、‘直ぐ’または‘直接’が使われない以上、2部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0030】
第1、第2などが多様な構成要素を叙述するために使用できるが、これら構成要素はこれら用語により制限されない。これら用語は単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下に言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素でありうる。
【0031】
本明細書で、表示パネルの基板上に形成されるピクセル回路とゲートドライバは、pタイプMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)構造のTFTで具現できるが、本発明の技術的思想はこれに限定されない。TFTは、ゲート(gate)、ソース(source)、及びドレイン(drain)を含んだ3電極素子である。ソースはキャリア(carrier)をトランジスタに供給する電極である。TFT内でキャリアはソースから流れ始める。ドレインは、TFTでキャリアが外部に出る電極である。即ち、MOSFETでのキャリアの流れはソースからドレインに流れる。pタイプTFT(PMOS)の場合、キャリアが正孔(hole)であるので、ソースからドレインに正孔が流れることができるように、ソース電圧がドレイン電圧より高い。pタイプTFTで正孔がソースからドレイン側に流れるので、電流がソースからドレイン側に流れる。MOSFETのソースとドレインは固定されたものでないことに注意すべきである。例えば、MOSFETのソースとドレインは印加電圧によって変更できる。したがって、本明細書の実施形態に対する説明では必要によってソースとドレインのうちのいずれか1つを第1電極、ソースとドレインのうちの他の1つを第2電極と記述できる。
【0032】
本発明の種々の実施形態の各々の特徴が部分的に、または全体的に互いに結合または組合せ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施形態が互いに対して独立的に実施可能であることもあり、関連関係により共に実施可能であることもある。
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係る表示装置に対して説明する。明細書の全体にわたって同一な参照符号は実質的に同一な構成要素を意味する。以下の説明で、本発明と関連した公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合、その詳細な説明を省略するか、または簡略に説明する。
【0034】
以下、
図1から
図3を参照して本発明の実施形態に係る表示装置に対して説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置を図示したブロック図である。
図2は
図1に図示された表示パネルの一部領域R1を概略的に図示した平面図であって、モジュール領域が拡大された図面を含んだ平面図であり、
図3は
図2に図示されたI-I’ラインに沿って取った断面図である。
【0036】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施形態に係る表示装置は、表示パネル10、データ駆動部、ゲート駆動部、電源供給部PS、及びタイミングコントローラTCなどを含むことができる。
【0037】
表示パネル10は,情報を表示するアクティブ領域AAと、情報が表示されないベゼル領域BAを含む。
【0038】
アクティブ領域AAは入力映像が表示される領域であって、複数の画素Pがマトリックス状に配列された画素アレイが配置される領域である。
【0039】
ベゼル領域BAはゲート駆動回路のシフトレジスタSRa、SRb、及び各種リンク信号配線(例えば、DL1~DLm)とリンク電源供給ライン(例えば、VDL1、VDL2)、 電源ライン(例えば、VSL1、VSL2)、及び電源供給電極VDLa、VDLbなどが配置される領域である。アクティブ領域AAに配置された画素アレイは互いに交差するように配置される多数のデータラインD1~Dm、及び多数のゲートラインG1~Gnと、これら交差領域毎にマトリックス状に配置される画素Pを含む。
【0040】
各々の画素Pは、発光ダイオードLED、発光ダイオードLEDに流れる電流量を制御する駆動薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、駆動TFTという)DT、駆動TFT(DT)のゲート-ソース間電圧をセッティングするためのプログラミング部SCを含む。画素アレイの画素Pは電源供給部PSから第1電源ラインVD1~VDmを通じて高電位電圧である第1電源Vddの供給を受けて、第2電源ラインVSL1~VSL2を通じて低電位電圧である第2電源Vssの供給を受ける。
【0041】
第1電源ラインVD1~VDmはチップオンフィルム30が付着された側のベゼル領域BAに配置された下側電源供給電極VDLaと、その反対側ベゼル領域に配置された上側電源供給電極VDLbを通じて両側で電源供給部PSから第1電源Vddの供給を受ける。下側電源供給電極VDLaと上側電源供給電極VDLbはリンク電源供給ラインVDL1、VDL2により両端部が互いに連結される。したがって、アクティブ領域AAに配置された画素の位置に従うRC(Resistance Capacitance)増加による表示品質の低下を最小化できる。
【0042】
プログラミング部SCは少なくとも1つのスイッチTFTと、少なくとも1つのストレージキャパシタを含むことができる。スイッチTFTは、ゲートラインGLからのスキャン信号に応答してターンオンされることによって、データラインD1~Dmからのデータ電圧をストレージキャパシタの一側電極に印加する。駆動TFT(DT)はストレージキャパシタに充電された電圧の大きさによって発光ダイオードLEDに供給する電流量を制御して発光ダイオードLEDの発光量を調節する。発光ダイオードLEDの発光量は駆動TFT(DT)から供給される電流量に比例する。
【0043】
画素を構成するTFTはpタイプで具現されるか、またはnタイプで具現できる。また、画素を構成するTFTの半導体層は、非晶質シリコンまたはポリシリコンまたは酸化物を含むことができる。発光ダイオードLEDは、アノード電極、カソード電極、及びアノード電極とカソード電極との間に介された発光構造物を含む。アノード電極は、駆動TFT(DT)に接続される。発光構造物は、発光層(Emission Layer、EML)を含み、発光層を挟んでその一側には正孔注入層(Hole injection Layer、HIL)及び正孔輸送層(Hole transport Layer、HTL)が、その他側には電子輸送層(Electron transport Layer、ETL)及び電子注入層(Electron injection Layer、EIL)が各々配置できる。
【0044】
データ駆動部は、データIC(SD)が実装され、一側はソース印刷回路基板20の一端部に接続され、他側は表示パネル10のベゼル領域BAに付着されるチップオンフィルム30を含む。
【0045】
データIC(SD)は、タイミングコントローラTCから入力されるデジタルビデオデータをアナログガンマ補償電圧に変換してデータ電圧を発生する。データIC(SD)から出力されたデータ電圧は、リンク信号配線 DL1~DLmを通じてデータラインD1~Dmに供給される。
【0046】
ゲート駆動部は、ゲートICが実装されたチップオンフィルムが表示パネルの一側に配置されるタイプや表示パネルにゲートICを形成したGIPタイプが利用できる。本発明ではGIPタイプのゲート駆動部を例として説明する。
【0047】
GIPタイプのゲート駆動部は、ソース印刷回路基板20上に実装されたレベルシフタLSa、LSbと、表示パネル10のベゼル領域BAに形成されて、レベルシフタLSa、LSbから供給される信号を受信するシフトレジスタSRa、SRbを含む。
【0048】
レベルシフタLSa、LSbは,タイミングコントローラTCからスタートパルスST、ゲートシフトクロックGCLK、及びフリッカー信号FLKなどの信号の入力を受けて、またゲートハイ電圧VGH、ゲートロー電圧VGLなどの駆動電圧の供給を受ける。スタートパルスST、ゲートシフトクロックGCLK、及びフリッカー信号FLKは、0Vと3.3Vの間でスイングする信号である。ゲートシフトクロック(GCLK1~n)は所定の位相差を有するn相クロック信号である。ゲートハイ電圧VGHは、表示パネル10の薄膜トランジスタアレイに形成された薄膜トランジスタのしきい電圧以上の電圧であって、略28Vの電圧であり、ゲートロー電圧VGLは表示パネル10の薄膜トランジスタアレイに形成された薄膜トランジスタのしきい電圧より低い電圧であって、略-5Vの電圧である。
【0049】
レベルシフタLSa、LSbは、タイミングコントローラTCから入力されるスタートパルスSTと、ゲートシフトクロックGCLKの各々をゲートハイ電圧VGHとゲートロー電圧VGLにレベルシフトしたシフトクロック信号CLKを出力する。したがって、レベルシフタLSa、LSbから出力されるスタートパルスVSTとシフトクロック信号CLKの各々はゲートハイ電圧VGHとゲートロー電圧VGLとの間でスイングする。レベルシフタLSa、LSbは、フリッカー信号FLKによってゲートハイ電圧を低下させ、液晶セルのキックバック電圧(ΔVp)を低下させてフリッカーを減らすことができる。
【0050】
レベルシフタLSa、LSbの出力信号は、データIC(SD)が配置されたチップオンフィルム30に形成された配線と、表示パネル10の基板に形成されたLOG(Line On Glass)配線を通じてシフトレジスタSRa、SRbに供給できる。シフトレジスタSRは、GIP工程により表示パネル10のベゼル領域BA上に直接形成できる。
【0051】
シフトレジスタSRa、SRbは、レベルシフタLSa、LSbから入力されるスタートパルスVSTをゲートシフトクロック信号CLK1~CLKnによってシフトさせることによって、ゲートハイ電圧VGHとゲートロー電圧VGLとの間でスイングするゲートパルスを順次にシフトさせる。シフトレジスタSRa、SRbから出力されるゲートパルスは、ゲートラインG1~Gnに順次供給される。
【0052】
タイミングコントローラTCは、ホストシステム(図示せず)から入力される垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号、メインクロックなどのタイミング信号の入力を受けてデータIC(SD)、及びLSa、LSb、SRa、SRbを含むゲート駆動部の動作タイミングを同期させる。データIC(SD)を制御するためのデータタイミング制御信号は、ソースサンプリングクロック(Source Sampling Clock、SSC)、ソース出力イネーブル信号(Source Output Enable、SOE)などを含むことができる。ゲート駆動部(LSa、LSb;SRa、SRb)を制御するためのゲートタイミング制御信号は、ゲートスタートパルス(Gate Start Pulse、GSP)、ゲートシフトクロック(Gate Shift Clock、GSC)、ゲート出力イネーブル信号(Gate Output Enable、GOE)などを含むことができる。
【0053】
図1では、シフトレジスタSRa、SRbがアクティブ領域AAの外側の両側に配置されてアクティブ領域AAの両端部でゲートラインG1~Gnにゲートパルスを供給する構成を図示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シフトレジスタがアクティブ領域AAの一側のみに配置されてアクティブ領域AAの一側でゲートラインG1~Gnにゲートパルスを供給することもできる。シフトレジスタSRa、SRbがアクティブ領域AAの外側の両側に配置される場合、画素アレイの同一水平ラインに配置されたゲートラインには、同一位相、同一振幅のゲートパルスが供給される。
【0054】
図2を参照すると、本発明の表示パネル10は、アクティブ領域AAとアクティブ領域AAの外側のベゼル領域BAを含む。
【0055】
アクティブ領域AAは、文字、図形、絵、写真、映像などの情報を表示するための画素アレイが配置される領域である。アクティブ領域AAは、アクティブ領域AAの隅部または一側辺に隣接した領域に配置される少なくとも1つのモジュール領域MAを含むことができる。
【0056】
モジュール領域MAは,カメラ、スピーカー、センサーなどが配置される領域であって、光透過領域TAと光透過領域TAを囲むように配置される少なくとも1つのダム(
図2の例では2つのダム、DAM1、DAM2)を含むことができる。
【0057】
モジュール領域MAには、画素アレイに信号を供給するゲートラインG1~Gn、データラインD1~Dmを含む信号配線、及び第1電源ラインVD1~VDmなどは配置されない。
【0058】
モジュール領域MAは、アクティブ領域AAのどこに配置されてもよく、その配置位置によって平面図上でモジュール領域MAの上側、左側、右側、及び下側の少なくとも一側に情報が表示できる。
【0059】
ベゼル領域BAは、アクティブ領域AAの外側でアクティブ領域AAを囲む領域であって、アクティブ領域AAの画素アレイに供給するゲートパルスを生成するためのシフトレジスタSRa、SRbと、各種の信号を供給するための信号配線と、各種の電源を供給するための電源供給配線が配置される領域である。
【0060】
次に、
図3を参照して本発明に係る表示装置の断面構造に対して説明する。
図3は、モジュール領域MAの周辺領域に、即ち平面図上でモジュール領域MAの上側、下側、左側、右側に、情報が表示される場合の例を示したものであって、これは単純に本発明の理解を助けるためのものである。したがって、
図3及びこれと関連した説明に本発明が限定解釈されてはならない。
【0061】
図3を参照すると、基板SUB上には単層または多層構造のバッファ層BUFが配置できる。基板SUBはフレキシブルな反透明物質で形成できる。バッファ層BUFは基板SUBがポリイミドのような物質で形成される場合、後続工程で基板SUBから流出されるアルカリ金属イオンなどの不純物により発光素子が損傷することを防止するために、無機物質及び有機物質のうち、いずれか1つで形成できる。無機物質は、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiNx)のうちのいずれか1つを含み、有機物質はフォトアクリルを含むことができる。
【0062】
バッファ層BUF上にはアクティブ領域AAの各画素毎に半導体層Aが配置される。半導体層Aは、チャンネル領域CAを挟んで離隔配置されるソース領域SAとドレイン領域DAを含む。ソース領域SAとドレイン領域DAは導体化された領域である。半導体層Aは非晶質シリコンを用いるか、または非晶質シリコンを結晶化した多結晶シリコンを用いて形成できる。これとは異なり、半導体層Aは亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)、または亜鉛スズ酸化物(ZnSnO)のうち、いずれか1つからなることができる。また、半導体層Aは、メロシアニン、フタロシアニン、ペンタセン、チオフェンポリマーなどの低分子系または高分子系有機物からなることもできる。
【0063】
半導体層Aが配置されたバッファ層BUF上には半導体層Aをカバーするようにゲート絶縁膜GIが配置される。モジュール領域(MA)にはゲート絶縁膜GIは配置されない。ゲート絶縁膜GIは、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはこれらの二重層からなることができる。
【0064】
ゲート絶縁膜GI上にはアクティブ領域AAに半導体層Aのチャンネル領域CAと少なくとも一部領域が重畳するように薄膜トランジスタのゲート電極GEと、ゲート電極GEに連結されるゲートライン(図示せず)とが配置される。ゲート電極GE及びゲートラインは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)からなる群から選択されたいずれか1つ、またはこれらの合金であって、単一層または多重層からなることができる。
【0065】
ゲート電極GE及びゲートラインが配置されたゲート絶縁膜GI上には、これらをカバーするように第1及び第2層間絶縁膜INT1、INT2が順次に配置される。モジュール領域MAには第1及び第2層間絶縁膜INT1、INT2は配置されない。第1及び第2層間絶縁膜INT1、INT2は、シリコン酸化膜(SiOx)またはシリコン窒化膜(SiNx)で形成できる。第1及び第2層間絶縁膜INT1、INT2のうちの1つは省略できる。
【0066】
第2層間絶縁膜INT2上にはアクティブ領域AAに薄膜トランジスタのソース電極SE及びドレイン電極DEと、ソース電極SEに連結されるデータライン(図示せず)が配置される。ソース電極SEとドレイン電極DEはゲート絶縁膜GI、第1及び第2層間絶縁膜INT1、INT2を貫通するコンタクトホールを通じて露出した半導体層のソース領域SAと、ドレイン領域DAに各々接続される。モジュール領域MAには薄膜トランジスタのソース電極SE、ドレイン電極DE、及びデータラインは配置されない。データラインはモジュール領域MAの左側または右側に迂回するように配置される。
【0067】
ソース電極SE及びドレイン電極DEをカバーするパッシベーション膜上には平坦化膜PLNが配置できる。モジュール領域MAにはパッシベーション膜と平坦化膜PLNは配置されない。平坦化膜PLNは下部構造の段差を緩和して下部構造を保護するためのものであって、シリコン酸化膜(SiOx)またはシリコン窒化膜(SiNx)で形成できる。
【0068】
平坦化膜PLN上には画素毎にアノード電極ANOが配置される。アノード電極ANOは平坦化膜PLNを貫通するコンタクトホールを通じて露出した薄膜トランジスタのドレイン電極DEに接続される。モジュール領域MAにはアノード電極ANOは配置されない。アノード電極ANOはITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、またはZnO(Zinc Oxide)のような透明導電性物質で形成できる。
【0069】
平坦化膜PLN上にはアノード電極ANOを露出させる開口部を有するバンク層BNが形成される。バンク層BNの開口部は発光領域を定義する領域である。モジュール領域MAのバッファ層BUF上には
図2に図示したように、バンク層BNと同一物質で形成される少なくとも1つのダムDAM1、DAM2が光透過領域(TA)を定義するように配置される。
【0070】
バンク層BLの発光領域を通じて露出したアノード電極ANO上には発光スタックLESとカソード電極CATとが順次配置される。発光スタックLESはバンク層BNの開口部内のアノード電極ANO上に正孔関連層、有機発光層、電子関連層の順に、または逆順に積層して形成できる。カソード電極CATは、アクティブ領域AAの全領域でバンク層BNと発光スタックLESをカバーするように平坦化膜PLN上に配置できる。但し、カソード電極CATはモジュール領域MAには配置されないことが好ましい。カソード電極CATは仕事関数が低いマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、またはこれらの合金からなることができる。
【0071】
平坦化膜PLN上にはアクティブ領域AA及びベゼル領域BAにおけるカソード電極CATとバンク層BLとをカバーするように第1保護膜PAS1が配置できる。モジュール領域MAには第1保護膜PAS1は配置されない。
【0072】
第1保護膜PAS1上には封止層ENCが配置できる。モジュール領域MAには封止層ENCは配置されない。封止層ENCは外部からの水分や酸素が封止層ENCの内部に位置した発光スタックLESに侵入することを最小化するためのものであって、無機物層と有機物層が交互に配置される多層構造で形成できる。
【0073】
封止層ENCと、モジュール領域MAの少なくとも1つのダムDAM1、DAM2上には封止層ENCとダムDAM1、DAM2を保護するための第2保護膜PAS2が配置される。
【0074】
第2保護膜PAS2上には外部光が表示パネルの表面で反射する表面反射、表示パネル内部に進行した外部光が表示パネル内部の電極で反射する電極反射のような外部光の要因を減らすために偏光フィルム(図示せず)が配置できる。しかしながら、モジュール領域MAには偏光フィルムは配置されない。
【0075】
アクティブ領域AAのモジュール領域MAに対応する基板SUBの下面にはカメラモジュール、スピーカーモジュール、センサーモジュールのように、表示パネルに一体化し難い素子が配置できる。
【0076】
モジュール領域MAは、光が透過できる透過領域TAを含む領域であって、ゲートライン及びデータラインを含む信号配線、電源配線、電極などの不透明物質または光透過性がよくない絶縁物質などが除去された領域である。
図3の例では説明を簡単にするために
図2に図示したモジュール領域MAの両側の画素に配置された薄膜トランジスタTFT及び発光ダイオードLEDのみを図示した。
【0077】
前述したように、本発明の実施形態に係る表示装置によれば、別途のマスクを利用しなくても表示パネル製造工程を通じて表示パネルのアクティブ領域AAに光が透過できるモジュール領域MAを形成することができるので、製造工程が複雑になることを避けることができるだけでなく、製造時間と費用を減らすことができる効果が得られる。
【0078】
また、光透過領域TAを囲むようにモジュール領域MAに少なくとも1つのダムDAM1、DAM2を配置することによって、モジュール領域に配置されたモジュールからの信号が光による影響を受けないようになるので、モジュール自体の機能を向上させることができる。
【0079】
また、モジュール領域MAの光透過領域TAは、基板SUB、バッファ層BUF、及び第2保護膜PAS2の3層構造のみ残るようになり、バッファ層BUFを省略する場合、基板SUBと第2保護膜PAS2の2層構造のみ残るようになるので、光の透過効率を高めることができる。
【0080】
また、アクティブ領域AA内の所望の位置どこでもモジュール領域MAを配置することができ、モジュール領域MAを除外した残りの全体アクティブ領域を表示領域に活用できるので、デザイン自由度が高まる。
【0081】
以上、説明した内容を通じて当業者であれば、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かる。本発明に図示された例では電界発光表示装置を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device:LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、電界放出表示装置(Field Emission Display Device:FED)、及び電気永動表示装置(Electrophoretic Display Device:ED)のような多様な平板表示装置に適用できる。したがって、本発明の技術的範囲は発明の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求範囲により定まるべきである。