(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20220405BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220405BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220405BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220405BHJP
C09B 47/00 20060101ALI20220405BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20220405BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C09B67/20 F
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/027
C09B47/00
C09B67/46 A
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2018239310
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2017250684
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 悠
(72)【発明者】
【氏名】中山 智博
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-219644(JP,A)
【文献】特開2014-130249(JP,A)
【文献】特開2011-178942(JP,A)
【文献】特開2013-203818(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131473(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131489(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 - 69/10
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
G02F 1/1335
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、式(1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化1】
[式(1)中、
R
101a~R
101d
は、それぞれ独立に、tert-ブチル基を表す。
R
102a~R
102dは、それぞれ独立に、
式(R1)で表される基を表す。
【化2】
R
601a
~R
601e
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、R
601a
、R
601c
、及びR
601e
の少なくとも1つは、フッ素原子を表し、*はテトラアザポルフィリン骨格との結合部位を表す。
X
1及びX
2は、それぞれ独立に
、置換基を有していてもよいアリール基
、又は式(X1
)で表される基を表す。
【化3】
R
201
は、
芳香族炭化水素環及び金属原子と共にサンドイッチ型の金属錯体を形成するアリール基を表す。
式(X1
)における*は酸素原子との結合部位を表す。
X
1
及びX
2
で表されるアリール
基を構成する芳香族炭化水素環は、金属原子に配位していてもよい。]
【請求項2】
請求項1記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項2記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色樹脂組成物から製造される。このような着色樹脂組成物としては、着色剤として下記式で表される化合物を含む組成物が知られている(特許文献1)。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られる上記の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、耐薬品性及びコントラストが十分に満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、式(1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【0007】
【0008】
[式(1)中、
R101a~R101d及びR102a~R102dは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は式(X1)~(X4)で表される基を表す。
【0009】
【0010】
R201及びR401は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。
R301、R302及びR501~R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
式(X1)~(X4)における*は酸素原子との結合部位を表す。
X1、X2、R201、R401で表されるアリール基、アラルキル基、及びアリールオキシ基を構成する芳香族炭化水素環は、金属原子に配位していてもよい。]
[2] [1]記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[3] [2]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色樹脂組成物は、耐薬品性に優れたカラーフィルタを形成できる。
また、本発明の着色樹脂組成物は、コントラストに優れたカラーフィルタを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)という場合がある)、樹脂(以下、樹脂(B)という場合がある)、重合性化合物(以下、重合性化合物(C)という場合がある)、及び重合開始剤(以下、重合開始剤(D)という場合がある)を含む。
本発明の着色樹脂組成物では、着色剤が式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という場合がある)を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある。)を含むことが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、レベリング剤を含んでもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0013】
<着色剤(A)>
着色剤(A)に含まれる式(1)で示される化合物は、テトラアザポルフィリン化合物であり、中心原子がケイ素原子であり、少なくとも1つの酸素原子(好ましくは2つの酸素原子)がケイ素原子に直接結合している化合物である。
【0014】
【0015】
(式(1)中、R101a~R101d及びR102a~R102dは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は式(X1)~(X4)で表される基を表す。
【0016】
【0017】
R201及びR401は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。
R301、R302及びR501~R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
式(X1)~(X4)における*は酸素原子との結合部位を表す。
X1、X2、R201、R401で表されるアリール基、アラルキル基、及びアリールオキシ基を構成する芳香族炭化水素環は、金属原子に配位していてもよい。)
【0018】
本明細書において、「アルキル基」は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の基を包含する。なお、「アルコキシ基」についても同様である。
また、本明細書において、「アリール基」は、非置換の芳香族炭化水素環のみからなる基を表す。
【0019】
上記式(1)において、R101a~R101d及びR102a~R102dはテトラアザポルフィリン骨格に結合する基である。
R101a~R101dの4つの基は同じであってもよく異なっていてもよく、同じであることが好ましく、また、R102a~R102dの4つの基は同じであってもよく異なっていてもよく、同じであることが好ましい。
R101aとR102a、R101bとR102b、R101cとR102c、R101dとR102dの組合せは同じであってもよく異なっていてもよい。
R101a及びR102aの組合せと、R101b及びR102bの組合せと、R101c及びR102cの組合せと、R101d及びR102dの組合せとが同じであることが好ましい。
そして、R101a及びR102aの組合せと、R101b及びR102bの組合せと、R101cとR102cの組合せと、R101d及びR102dの組合せとが同じである場合、各組合せにおける2つの基の位置関係は任意であり、化合物(1)には異なる4種類の異性体が存在する。
上記式(1)は、4種類の異性体を全て含むことを意味している。また、テトラアザポルフィリン化合物にはこれらの異性体のうち1つのみが含まれていてもよく、複数種類が混合物として含まれていてもよい。
【0020】
R101a~R101d及びR102a~R102dは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0021】
式(1)のR101a~R101d及びR102a~R102dとしての置換基を有していてもよいアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチルヘキシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、3,5-ジメチルヘプタデシル基、2,6-ジメチルヘプタデシル基、2,4-ジメチルヘプタデシル基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-シクロペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-シクロヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等の環状のアルキル基(シクロアルキル基);が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましく、1~5であることがさらにより好ましい。
これらの中でも、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、tert-ブチル基がさらに好ましい。
【0022】
置換基を有するアルキル基として、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲンで置換されているものが挙げられ、その例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、ペルフルオロシクロブチル基、ペルフルオロシクロペンチル基等が挙げられる。
【0023】
式(1)のR101a~R101d及びR102a~R102dとしての置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等が挙げられる。
アリール基の炭素数は、例えば6~20であり、好ましくは6~18であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~10である。
【0024】
また、式(1)において、R102a~R102dが、それぞれ独立に、式(R1)で表される基であることが好ましい。
【0025】
【0026】
(式(R1)中、R601a~R601eは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、*はテトラアザポルフィリン骨格との結合部位を表す。)
【0027】
式(R1)のR601a~R601eとしての置換基を有していてもよいアルキル基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。
式(R1)のR601a~R601eとしての置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
具体的にはフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等が挙げられる。
【0028】
式(R1)のR601a~R601eとしての置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0029】
アルコキシ基の水素原子の一部又は全部がハロゲンで置換されているものとして、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエトキシ基、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ基、1,1,2-トリフルオロエトキシ基、1,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2-ジフルオロエトキシ基、1,2-ジフルオロエトキシ基、1,1-ジフルオロエトキシ基、2-フルオロエトキシ基、1-フルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロポキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロポキシ基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブトキシ基、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブトキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンチルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキシルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,7-ノナフルオロ-1-ヘプチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1-ヘプチルオキシ基、7,7,8,8,8-ペンタフルオロ-1-オクチルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ-1-オクチルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9-ヘキサデカフルオロ-1-ノニルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロ-1-ノニルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,10-ノナフルオロ-1-デシルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロ-1-デシルオキシ基、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ペンタデカフルオロ-1-デシルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-トリデカフルオロ-1-ドデシルオキシ基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ヘニコサフルオロ-1-ドデシルオキシ基、7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,14-ヘプタデカフルオロ-1-テトラデシルオキシ基、1H,1H,2,5-ビス(トリフルオロメチル)-3,6-ジオキサウンデカフルオロ-1-ノニルオキシ基、6-(ペルフルオロ-1-メチルエチル)-1-ヘキシルオキシ基、2-(ペルフルオロ-1-メチルブチル)-1-エトキシ基、2-(ペルフルオロ-3-メチルブチル)エトキシ基、2-(ペルフルオロ-7-メチルオクチル)エトキシ基、2H-ヘキサフルオロ-2-プロポキシ基、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1-プロポキシ基等が挙げられる。
【0030】
式(R1)のR601a~R601eとしての置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、例えば、炭素数6~20のアリールオキシ基が挙げられる。
具体的には、フェノキシ基、1-ナフトキシ基、2-ナフトキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-tert-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-イソプロピルフェノキシ基等が挙げられる。
【0031】
置換基を有していてもよいアリールオキシ基における置換基は特に限定されず、例えば、炭素数1~8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、炭素数1~8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基、アミノ基、モノ-又はジ-アルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~8)、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0032】
式(R1)で表される基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
【0033】
また、式(R1)のR601a~R601eのうち少なくとも1つは、水素原子以外の基であることが好ましい。
【0034】
また、式(R1)で表される基としては、R601a、R601c及びR601eのうちの少なくとも1つが、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であるものが好ましい。
【0035】
具体的な例としては、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基等のフッ素原子が結合したフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,3-ジクロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、3,4-ジクロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,4,6-トリクロロフェニル基、2,3,5,6-テトラクロロフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニル基等の塩素原子が結合したフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2,3-ジブロモフェニル基、2,4-ジブロモフェニル基、2,5-ジブロモフェニル基、2,6-ジブロモフェニル基、3,4-ジブロモフェニル基、3,5-ジブロモフェニル基、2,4,6-トリブロモフェニル基、2,3,5,6-テトラブロモフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタブロモフェニル基等の臭素原子が結合したフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,3,5,6-テトラメチルフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタメチルフェニル基等のアルキル基が結合したフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、2,3-ジトリフルオロメチルフェニル基、2,4-ジトリフルオロメチルフェニル基、2,5-ジトリフルオロメチルフェニル基、2,6-ジトリフルオロメチルフェニル基、3,4-ジトリフルオロメチルフェニル基、3,5-ジトリフルオロメチルフェニル基、2,4,6-トリトリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6-テトラトリフルオロメチルフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロメチルフェニル基等のフッ化アルキル基が結合したフェニル基等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基等のフッ素原子が結合したフェニル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基等の塩素原子が結合したフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基、2,4-ジブロモフェニル基、2,6-ジブロモフェニル基等の臭素原子が結合したフェニル基、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基等のアルキル基が結合したフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、2,4-ジトリフルオロメチルフェニル基、2,6-ジトリフルオロメチルフェニル基等のフッ化アルキル基が結合したフェニル基が好ましい。
【0037】
また、上記式(R1)で表される基以外に挙げられる、置換基を有していてもよいアリール基としては、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等が挙げられる。
【0038】
テトラアザポルフィリン骨格に結合する基のうち、R101a~R101dが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。とくに、R101a~R101dがいずれもtert-ブチル基であることが好ましい。
【0039】
テトラアザポルフィリン骨格に結合する基のうち、R102a~R102dが、それぞれ独立に、上記式(R1)で表される基であることが好ましい。また、R102a~R102dが、上記式(R1)で表される基である場合に、式(R1)のR601a~R601eのうち少なくとも1つは、水素原子以外の基であることが好ましく、R601a、R601c及びR601eのうちの少なくとも1つが、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であるものがより好ましく、フッ素原子が結合したフェニル基であることがさらに好ましく、とくに、R102a~R102dがいずれも2-フルオロフェニル基であることが好ましい。
【0040】
上記式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物において、中心原子はSiであり、軸配位子としてSiにO(酸素原子)が2つ結合しており、それぞれのOにX1又はX2が結合した構造を備えている。
以下、軸配位子の構造の一部であるX1とX2の好ましい構造の例について説明する。
X1とX2は同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0041】
X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は下記式(X1)~(X4)で表される基を表す。
式(X1)~(X4)における*は酸素原子との結合部位である。
【0042】
【0043】
R201及びR401は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
R301、R302及びR501~R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0044】
X1又はX2としての置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
X1又はX2としての置換基を有していてもよいアラルキル基としては、上記アリール基として説明した基にメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1~5のアルカンジイル基が結合した基等が挙げられる。
【0045】
式(X1)におけるR201は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。R201を表すアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは5~20であり、さらに好ましくは5~15である。R201を表すアリール基の炭素数は、例えば6~20であり、好ましくは6~18であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~10である。
【0046】
置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、式(R1)のR601a~R601eとして挙げた置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
【0047】
式(X1)におけるR201としては、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいシクロペンタジエニルアニオンがより好ましく、1-エチルペンチル基、フェニル基、3-ニトロフェニル基、4-カルボキシフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、フェロセン等がさらに好ましい。
【0048】
式(X2)におけるR301及びR302は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
【0049】
式(X3)におけるR401は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。
置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、式(R1)のR601a~R601eとして挙げた置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
【0050】
式(X4)におけるR501~R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
中でも、式(X4)におけるR501~R503は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、炭素数1~5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることがさらに好ましい。
【0051】
X1及びX2における置換基を有していてもよいアリール基は、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
【0052】
【0053】
式(2)におけるR701は、CO2R701a、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、置換基(例えばハロゲン原子)を有していてもよいアルキル基、又は窒素原子含有複素環基を表し、nは、0~5の整数を表し、R701aは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、*は酸素原子との結合部位を表す。nが2以上の整数である場合、複数のR701はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0054】
また、テトラアザポルフィリン化合物では、式(1)において、X1とX2とのどちらか一方が式(2)で表される基であり、もう一方が他の基であってもよい。
【0055】
式(2)におけるnは0~5の整数である。nが0の場合、式(2)はフェニル基を表す。
nが2以上の整数の場合、複数のR701は同じであってもよく、異なっていてもよい。
nが1である場合、R701の位置は、酸素原子との結合部位*に対してp-位であることが好ましい。
【0056】
R701が置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基である場合、置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基としては、式(R1)のR601a~R601eとして挙げた置換基を有していてもよいアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基が挙げられる。
【0057】
R701が置換基を有していてもよいアルキル基である場合、置換基を有していてもよいアルキル基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。
【0058】
窒素原子含有複素環基は、ピペラジニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基等であることが好ましく、中でもピペラジニル基がより好ましい。
【0059】
R701がCO2R701aである場合、R701aが水素原子であるとCO2R701aはカルボキシル基を表し、R701aが置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基であるとCO2R701aはアシルオキシカルボニル基を表す。
R701aが置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基である場合、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基としては、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
【0060】
これらの基の中から、式(2)で表される基としては、4-カルボキシフェニル基、フェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、3,5-ジヒドロキシフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、4-ピペラジニルフェニル基、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル基、3,5,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、3-ニトロフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-シアノフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基がより好ましく、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3,5,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-シアノフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基がとくに好ましい。
【0061】
X1、X2、R201、R401で表されるアリール基、アラルキル基、及びアリールオキシ基を構成する芳香族炭化水素環は、金属原子に配位していてもよい。
芳香族炭化水素環は、例えばベンゼン環、ナフタレン環、シクロペンタジエニルアニオン環等であり、シクロペンタジエニルアニオン環であることが好ましい。
金属原子は、Fe、Cu、Cr、Co等であればよく、Feが好ましい。
金属原子に配位してもよいとは、芳香族炭化水素環と共に、サンドイッチ型の金属錯体を形成してもよいことを表す。
【0062】
式(1)において、X1及びX2は、少なくともいずれか一方が水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、式(X1)で表される基(好ましくはR201が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基)、式(X4)で表される基(好ましくはR501~R503が置換基を有していてもよいアルキル基)であることが好ましく、両者ともがそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、式(X1)で表される基(好ましくはR201が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基)、又は式(X4)で表される基(好ましくはR501~R503が置換基を有していてもよいアルキル基)であることがより好ましい。
【0063】
また、式(1)において、X1及びX2の置換基を有していてもよいアリール基は、少なくともいずれか一方が式(2)で表される基であることが好ましく、両者ともそれぞれ独立に、式(2)で表される基であることがより好ましい。
【0064】
式(1)において、X1及びX2は、両者とも水素原子、非置換のアリール基、カルボキシル基を有するアリール基、水酸基を有するアリール基、ハロゲン原子を有するアリール基、窒素原子含有複素環を有するアリール基、アルキル基を有するアリール基、ニトロ基を有するアリール基、シアノ基を有するアリール基、アルキル基及び水酸基を有するアリール基、CF3-、CF3CF2-、又はCF3CF2CF2-を有するアリール基、芳香族炭化水素環及び金属原子と共にサンドイッチ型の金属錯体を形成するアラルキル基、R201が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である式(X1)で表される基、R201がカルボキシル基又はニトロ基を有するアリール基である式(X1)で表される基、R201が非置換のアリール基である式(X1)で表される基、R201が芳香族炭化水素環及び金属原子と共にサンドイッチ型の金属錯体を形成するアリール基である式(X1)で表される基、R501~R503が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である式(X4)で表される基であることがさらに好ましく、
4-カルボキシフェニルカルボニル基、トリメチルシリル基、4-カルボキシフェニル基、1-エチルペンチルカルボニル基、フェニル基、フェニルカルボニル基、3-ニトロフェニルカルボニル基、3-カルボキシフェニルカルボニル基、3-ヒドロキシフェニル基、3,5-ジヒドロキシフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、4-ピペラジニルフェニル基、3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル基、3,5,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル基、フェロセンメチル基、フェロセンカルボニル基、4-t-ブチルフェニル基、3-ニトロフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-シアノフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基であることがとりわけ好ましく、
4-カルボキシフェニルカルボニル基、トリメチルシリル基、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3,5,6-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-シアノフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基又はフェニル基であることが特に好ましい。
X1及びX2が上記の基であると、形成されたカラーフィルタは、耐薬品性に優れるだけでなく、高いコントラストも示す。
高コントラストを呈するX1及びX2として、置換基を有していてもよいアリール基、R201が芳香族炭化水素環及び金属原子と共にサンドイッチ型の金属錯体を形成するアリール基である式(X1)で表される基が好ましく、フェニル基、4-カルボキシフェニル基、3-カルボキシフェニル基、4-シアノフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、フェロセンカルボニル基がより好ましい。
【0065】
式(1)で表される化合物は、通常、590nm付近のオレンジ色を示す光を吸収する化合物であるが、その吸収極大波長(λmax)が570~620nmであることが好ましい。
式(1)で表される化合物の吸収極大波長は、式(1)で表される化合物のテトラアザポルフィリン骨格に結合する置換基を変更することによって変化させることができる。また、吸収極大波長の好ましい上限値は620nmであって、より好ましい上限値は615nmである。また、吸収極大波長の好ましい下限値は570nmであり、より好ましい下限値は575nmである。吸収極大波長は分光光度計により測定することができる。
【0066】
式(1)で表される化合物は、裾野部分も含めて特にシャープな吸収スペクトルを有するものであるが、裾野部分も含めて特にシャープな吸収スペクトルを有するということの指標として、吸収スペクトルにおいて吸収極大波長の長波長側でのベースラインの立ち上がり波長から吸収極大波長までの波長幅が40nm以下であり、吸収極大波長における半値幅が20nm以下であることが好ましい。
ベースラインの立ち上がり波長は、吸収極大波長における吸光度を1としたときに、長波長側からみて吸光度が0.01以上となる波長として定める。
そして、立ち上がり波長から吸収極大波長までの距離(波長幅)を求める。
本明細書において、半値幅とは半値全幅のことであり、吸収スペクトルにおいて吸収極大波長における吸光係数値の1/2の値にて引いた横軸に平行な直線と当該ピークとにより形成される2つの交点の間の距離(nm)で表される。
【0067】
また、式(1)で表される化合物が、式(1)において、X1及びX2の少なくとも一方が式(2)で表される基であることが好ましい。
X1及びX2の少なくとも一方が式(2)で表される基であると、式(1)で表される化合物からの蛍光発光を抑制することができるため、色調に影響を与える余計な光が生じることが防止される。
蛍光強度は、蛍光分光光度計を用いて、吸収極大波長を励起波長として蛍光スペクトルを測定することにより評価することができ、蛍光強度が弱い方が好ましい。
【0068】
式(1)で表される化合物は以下の手順により得られる。
まず、下記式(4)で示される1,2-ジシアノエチレン化合物のシス体から、下記式(5)で示されるジイミノイソピロール誘導体を得る。
式(4)で示される1,2-ジシアノエチレン化合物のシス体を得る方法は特開平11-043619号に記載の方法を使用することができ、式(5)で示されるジイミノイソピロール誘導体を得る方法は特開平02-000665号に記載の方法を使用することができる。
【0069】
【0070】
【0071】
(式(4)及び式(5)中、R101及びR102は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。具体的には、R101a~R101d及びR102a~R102dの例として挙げた置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。)
【0072】
続いて、式(5)で示されるジイミノイソピロール誘導体をSi源(例えばSiCl4)と混合して加熱することにより環化反応させ、加水分解することにより、中心原子がSiであり、Siの軸配位子がOH基である化合物(式(1)におけるX1とX2とがいずれもHである化合物)を得る。
【0073】
上記で得られた化合物に対して、軸配位子を置換したい構造を有する化合物を加えて還流する等の方法により、X1とX2とを水素原子から他の置換基に置換することができる。
例えば、カルボン酸やフェノール類を加えることによりカルボキシ基又はフェノール性ヒドロキシ基とSiの軸配位子のOH基との間で脱水縮合を生じさせて、X1とX2とを水素原子から他の置換基に置換することができる。
他に、シリル化剤を加えることにより、X1とX2を水素原子からシリル基に置換してもよい。
【0074】
上記置換に用いるカルボン酸、フェノール類としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、フェノール類、ヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
具体的には、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトロ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フェノール、エチルヘキサン酸等が挙げられる。
シリル化剤としては、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルクロロシラン等が挙げられる。
【0075】
式(1)で表される化合物の含有率は、着色剤(A)全量に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
【0076】
式(1)で表される化合物の含有率は、固形分全量に対して、0.2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上12質量%以下であることがさらに好ましい。
着色剤(A)の含有率は、固形分全量に対して、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、8質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで、本明細書における「固形分全量」とは、着色樹脂組成物全量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分全量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0077】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、式(1)で表される化合物及び化合物(1)以外の着色剤(以下、着色剤(A1)という場合がある)を含んでいてもよい。着色剤(A1)には、1種又は2種以上の着色剤が含まれていてもよい。
【0078】
着色剤(A1)は、染料であっても顔料であってもよい。染料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists 出版)及び染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料及びフタロシアニン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。これらの染料は、2種以上を併用してもよい。
【0079】
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。C.I.ソルベントイエロー14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、162;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、99;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ソルベントレッド24、49、90、91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.アシッドレッド73、80、91、92、97、138、151、211、274、289;
C.I.アシッドバイオレット34、102;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー14、18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.アシッドブルー25、27、40、45、78、80、112;
C.I.ダイレクトブルー40;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60;
C.I.ソルベントグリーン1、3、5、28、29、32、33;
C.I.アシッドグリーン3、5、9、25、27、28、41;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0080】
顔料としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists 出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。2種以上を組合せてもよい。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、179、180、192、202、208、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273、臭素化ジケトピロロピロール等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59の緑色顔料が挙げられる。
【0081】
着色剤(A1)としては、赤色顔料、黄色顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド、177、179、202、208、242、254、269、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、臭素化ジケトピロロピロールがより好ましい。
【0082】
着色剤(A1)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料等表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。顔料等の粒径は、それぞれ略均一であることが好ましい。着色剤(A1)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、分散液の中で均一に分散された状態となる。
【0083】
分散剤としては、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。他の分散剤として、後述する樹脂(B)を使用してもよい。これらの分散剤は、単独で又は二種以上を組合せて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(ビックケミー社製)、BYK(登録商標)(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0084】
分散剤を用いる場合、分散剤の使用量は、着色剤(A1)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色剤(A1)含有液が得られる傾向がある。
【0085】
着色樹脂組成物中、着色剤(A1)の含有量は、固形分の総量中、通常0質量%以上50質量%以下であり、好ましくは0質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上30質量%以下である。
【0086】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有することが好ましい。
【0087】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0088】
(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0089】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレートベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0090】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位を有する樹脂は、(a)と(c)との共重合体に(b)を付加させるか、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させることにより製造することができる。該樹脂は、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂であってもよい。
【0091】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0092】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは50~170mg-KOH/gであり、より好ましくは60~150mg-KOH/g、さらに好ましくは70~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0093】
樹脂(B)の含有率は、固形分全量に対して、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは15~65質量%であり、さらに好ましくは20~60質量%である。
【0094】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0095】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0096】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0097】
重合性化合物(C)の含有率は、固形分全量に対して、3~60質量%であることが好ましく、より好ましくは5~50質量%であり、さらに好ましくは11~40質量%である。
【0098】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0099】
重合開始剤は、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、アルキルフェノン化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0100】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0101】
O-アシルオキシム化合物の含有率は、重合開始剤(D)の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。O-アシルオキシム化合物の含有率が前記の範囲内であると、着色パターンを形成する際の感度や現像性、着色剤含有率が高い場合でも高明度なカラーフィルタを作製できる傾向がある。
【0102】
本発明の着色樹脂組成物は、重合開始助剤を含んでいてもよい。
【0103】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントンN-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0104】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0105】
本発明の着色樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
【0106】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0107】
溶剤としては、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等のエステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤);エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、等のエーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤);
3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤);
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤);ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤);などが挙げられる。トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶剤が挙げられる。
【0108】
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、シクロヘキサノン及び3-エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0109】
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む混合溶剤が好ましい。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと組み合わせる溶剤としては、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール及び3-エトキシプロピオン酸エチルがより好ましく、乳酸エチル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。
【0110】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと組み合わせる溶剤の含有率は、溶剤全量に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
【0111】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の着色樹脂組成物全量に対して、好ましくは20~80質量%であり、より好ましくは25~75質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分全量は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0112】
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0113】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、必要に応じて溶剤(E)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0114】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色樹脂組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
【0115】
着色樹脂組成物は、耐薬品性及びコントラストに優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0116】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能で有り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0117】
〔合成例1〕
(ジイミノイソピロール誘導体の合成)
特許第3961078号公報に記載される合成法で、式(x)で表される化合物を得た。また、式(x)で表される化合物から、特開平02-000665号公報に記載される合成法と同様にして、式(y)で表される化合物を得た。
【0118】
【0119】
〔合成例2〕
冷却管、温度計及び攪拌機を取り付けた反応器に、キノリン(20ml)、SiCl4(2.38g)を仕込み、120℃にて式(y)で表される化合物2.45gを加え、150℃で3時間反応させた。反応液を80℃で希塩酸に投入して析出物を濾別し、メタノールで洗浄して、式(a-1)で表される化合物を0.8g得た。
【0120】
【0121】
〔合成例3〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(2.0g)、ジメチルアセトアミド(10ml)、テレフタル酸(1.5g)を仕込み、2時間還流させた。放冷して反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(a-2)で表される化合物を0.6g得た。
【0122】
【0123】
〔合成例4〕
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、式(a-1)で表される化合物(1g)、ピリジン(3ml)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(1g)を仕込み、90℃で1時間撹拌した。反応液を水に放出し、析出固体を濾別してろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して式(a-3)で表される化合物を0.5g得た。
【0124】
【0125】
〔合成例5〕
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた25ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(2.0g)、メシチレン(10ml)、4-ヒドロキシ安息香酸(1.5g)を仕込み、2時間還流させた。放冷して反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(a-4)で表される化合物を1.2g得た。
【0126】
【0127】
〔合成例6〕
合成例5における4-ヒドロキシ安息香酸を、2-エチルヘキサン酸に変更した以外は同様にして、式(a-5)で表される化合物を1.6g得た。
【0128】
【0129】
〔合成例7〕
合成例5における4-ヒドロキシ安息香酸を、フェノールに変更した以外は同様にして、式(a-6)で表される化合物を1.0g得た。
【0130】
【0131】
〔合成例8〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(2.0g)、メシチレン(10ml)、安息香酸(1.5g)を仕込み、2時間還流させた。放冷して反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(a-7)で表される化合物を1.2g得た。
【0132】
【0133】
〔合成例9〕
合成例8における安息香酸を、3-ニトロ安息香酸(1.5g)に変更した以外は同様にして、式(a-8)で表される化合物を1.4g得た。
【0134】
【0135】
〔合成例10〕
合成例8における安息香酸を、イソフタル酸に変更し、メシチレンをジメチルアセトアミドに変更した以外は同様にして、式(a-9)で表される化合物を0.5g得た。
【0136】
【0137】
〔合成例11〕
式(x)で表される化合物から、特許第3961078号公報に記載される合成法で、式(b-1)で表される化合物を得た。
【0138】
【0139】
〔合成例12〕
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、乳酸エチル141部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート178部を入れ、攪拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-9-イルアクリレートの混合物(含有率は1:1)25部、シクロヘキシルマレイミド137部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート338部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビスイソブチロニトリル5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、B型粘度(23℃)23mPa・s、固形分25.6%の共重合体(樹脂(B-1))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは8000、固形分酸価111mg-KOH/g、分散度2.1であった。樹脂(B-1)は下記構造単位を有する。
【0140】
【0141】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500 (東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0142】
〔合成例13〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(0.20g)、ジグリム(5.5g)、レゾルシノール(0.23g)を仕込み、150℃で2時間攪拌させた。放冷して反応液を20%食塩水30gに滴下し、析出した固体をろ取し、水でかけ洗いした。固体を水で分散洗浄したのち、40℃の減圧オーブンで乾燥させ、式(a-10)で表される化合物を0.23g得た。
【0143】
【0144】
〔合成例14〕
合成例13におけるレゾルシノールを、フロログルシノールに変更した以外は同様にして、式(a-11)で表される化合物を0.24g得た。
【0145】
【0146】
〔合成例15〕
合成例13におけるレゾルシノールを、3,5-ジフルオロフェノールに変更した以外は同様にして、式(a-12)で表される化合物を0.20g得た。
【0147】
【0148】
〔合成例16〕
合成例13におけるレゾルシノールを、1-(4-ヒドロキシフェニル)ピペラジンに変更した以外は同様にして、式(a-13)で表される化合物を0.23g得た。
【0149】
【0150】
〔合成例17〕
合成例13におけるレゾルシノールを、2,6-ジメチルヒドロキノンに変更した以外は同様にして、式(a-14)で表される化合物を0.20g得た。
【0151】
【0152】
〔合成例18〕
合成例13におけるレゾルシノールを、トリメチルヒドロキノンに変更した以外は同様にして、式(a-15)で表される化合物を0.21g得た。
【0153】
【0154】
〔合成例19〕
合成例13におけるレゾルシノールを、ヒドロキシメチルフェロセンに変更した以外は同様にして、式(a-16)で表される化合物を0.20g得た。
【0155】
【0156】
〔合成例20〕
合成例13におけるレゾルシノールを、フェロセンカルボン酸に変更した以外は同様にして、式(a-17)で表される化合物を0.29g得た。
【0157】
【0158】
〔合成例21〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた50ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(9.0g)、トルエン(20ml)、4-t-ブチルフェノール(8.1g)を仕込み、100℃で3時間攪拌させた。シリカゲルカラムで精製して、式(a-18)で表される化合物を6.3g得た。
【0159】
【0160】
〔合成例22〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた50ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(1.5g)、トルエン(20ml)、3-ニトロフェノール(2.8g)を仕込み、100℃で0.5時間攪拌させた。シリカゲルカラムで精製して、式(a-19)で表される化合物を1.0g得た。
【0161】
【0162】
〔合成例23〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた25ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(1.9g)、トルエン(10ml)、3-ヒドロキシ安息香酸(3.3g)を仕込み、還流下で0.5時間攪拌させた。水/酢酸エチルに放出し、析出物をろ過して取り出し後、N,N-ジメチルホルムアミドに溶解して白土、シリカゲルを加え処理して、式(a-20)で表される化合物を1.5g得た。
【0163】
【0164】
〔合成例24〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた50ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(1.5g)、トルエン(15ml)、4-シアノフェノール(3.0g)を仕込み、100℃で20分攪拌させた。室温まで冷ました後、不溶物をろ過で取り除き、シリカゲルカラムで精製して、式(a-21)で表される化合物を0.7g得た。
【0165】
【0166】
〔合成例25〕
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けた50ml反応器に、式(a-1)で表される化合物(1.5g)、トルエン(15ml)、4-トリフルオロメチルフェノール(3.0g)を仕込み、100℃で20分攪拌させた。室温まで冷ました後、不溶物をろ過で取り除き、シリカゲルカラムで精製して、式(a-22)で表される化合物を1.6g得た。
【0167】
【0168】
〔合成例26〕
特開2016-27075号公報に記載の合成法で、式(c-1)で表される化合物を得た。
【0169】
【0170】
<着色樹脂組成物の作製>
〔実施例1〕
下記の成分を混合することにより、着色樹脂組成物を得た。
化合物(1):式(a-1)で表される化合物 3部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 65部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 501部
乳酸エチル 38部
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0171】
〔実施例2〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-2)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0172】
〔実施例3〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-3)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0173】
〔実施例4〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-4)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0174】
〔実施例5〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-5)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0175】
〔実施例6〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-6)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0176】
〔実施例7〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-7)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得る。
【0177】
〔実施例8〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-8)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得る。
【0178】
〔実施例9〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-9)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得る。
【0179】
〔分散液1の作製〕
C.I.ピグメントレッド254(顔料)14部、アクリル系顔料分散剤4.9部、樹脂(B-1)(固形分換算)4.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート74部及び乳酸エチル2.5部を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ分散液1を作製した。
【0180】
〔実施例10〕
下記の成分を混合することにより、着色樹脂組成物を得た。
化合物(1):式(a-1)で表される化合物 5部
着色剤(A1):分散液1 422部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 40部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 553部
乳酸エチル 22部
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0181】
〔実施例11〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-3)で表される化合物を用いること以外は実施例10と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0182】
〔比較例1〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(b-1)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0183】
<カラーフィルタ(着色塗膜)の作製1>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色樹脂組成物層を形成した。放冷後、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、60mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、カラーフィルタを得た。
【0184】
〔実施例12〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-10)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0185】
〔実施例13〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-11)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0186】
〔実施例14〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-12)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0187】
〔実施例15〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-13)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0188】
〔実施例16〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-14)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0189】
〔実施例17〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-15)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0190】
〔実施例18〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-16)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0191】
〔実施例19〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-17)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0192】
〔実施例20〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-18)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0193】
〔実施例21〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-19)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0194】
〔実施例22〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-20)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0195】
〔実施例23〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-21)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0196】
〔実施例24〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-22)で表される化合物を用いること以外は実施例1と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0197】
〔実施例25〕
下記の成分を混合することにより、着色樹脂組成物を得た。
化合物(1):式(a-1)で表される化合物 5部
着色剤(A1):式(c-1)で表される化合物 24部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 40部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 553部
乳酸エチル 22部
レベリング剤(H):ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0198】
〔実施例26〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-3)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0199】
〔実施例27〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-5)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0200】
〔実施例28〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-7)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0201】
〔実施例29〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-16)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0202】
〔実施例30〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(a-17)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0203】
〔比較例2〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに式(b-1)で表される化合物を用いること以外は実施例25と同様にして着色樹脂組成物を得た。
【0204】
<耐薬品性試験>
カラーフィルタの作製1の方法で得られたカラーフィルタを40℃に調温したN-メチルピロリドンに30分間浸漬させた。浸漬前後のカラーフィルタについて、波長400~780nmでの分光スペクトルを測色器(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて測定し、最大吸収波長λmaxにおける吸光度変化率(浸漬後の吸光度/浸漬前の吸光度)を算出した。吸光度変化率が低いほど耐薬品性に優れることを表す。結果を表1及び2に示す。
【0205】
【0206】
【0207】
<カラーフィルタ(着色塗膜)の作製2>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、減圧乾燥機(VCDマイクロテック(株)製)を使用し、到達圧力66Paになるまで減圧乾燥して着色樹脂組成物層を形成した。放冷後、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、60mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後オーブン中、100℃で3分間ポストベークを行い、カラーフィルタを得た。
【0208】
<コントラスト測定>
カラーフィルタの作製2の方法で得られたカラーフィルタについて、コントラスト計(CT-1;壺坂電機社製、色彩色差計BM-5A;トプコン社製、光源;F-10、偏光フィルム;壺坂電機社製)を用いて、ブランク値を30000としてコントラストを測定した。結果を表3及び4に示す。カラーフィルタのコントラストは蛍光強度に依存する傾向があり、蛍光強度が低いほどコントラストは高くなる。
【0209】
【0210】