(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】クリーナ、クリーナ付きセンサおよび当該クリーナまたは当該クリーナ付きセンサを備える車両
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
B60S1/62 110A
(21)【出願番号】P 2018537588
(86)(22)【出願日】2017-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2017031809
(87)【国際公開番号】W WO2018043743
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】P 2016172534
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016172535
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016172536
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016172537
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016202472
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016226095
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017165445
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖洋
(72)【発明者】
【氏名】馬場 淳治
(72)【発明者】
【氏名】河村 和貴
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224032(JP,A)
【文献】特開2015-137070(JP,A)
【文献】特開2016-009099(JP,A)
【文献】特開2014-037239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/60
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記洗浄対象物の洗浄面に向けて噴射するノズルと、
を備え
、
前記生成部は、空気を圧縮して前記高圧空気を前記ノズル側へ排出するための圧縮室を有し、
前記圧縮室を
形成する筐体の少なくとも一部が、前記
洗浄対象物を支持するブラケットと一体形成され、
前記筐体の前記ブラケットと一体形成される部分に、前記高圧空気を前記圧縮室から前記ノズルへ排気する排気口が形成されている、クリーナ。
【請求項2】
前記洗浄面は、
前記ブラケットに取り付けられる車載センサ
のレンズの表面を含み、
前記ブラケットは
、車両の車体パネルに形成された開口部に取り付けられる、請求項
1に記載のクリーナ。
【請求項3】
前記レンズは前記車体パネルの外側に向けて露出
している、請求項
2に記載のクリーナ。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記洗浄対象物とは別体で構成され、
前記洗浄対象物は、前記ブラケットに組み付けられている、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項5】
前記洗浄面は、
前記ブラケットに取り付けられる車載センサのレンズの表面を含み、
前記車載センサの筐体の、前記
レンズが搭載された側の面とは反対側の面が、前記ブラケットの前面に取り付けられ、
前記生成部は、前記ブラケットの前記前面とは反対側の後面に設けられている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項6】
車載センサを洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記車載センサの洗浄面に向けて噴射するノズルと、
前記車載センサの筐体の一部と一体形成されているブラケットと、
を備え、
前記生成部は、空気を圧縮して前記高圧空気を前記ノズル側へ排出するための圧縮室を有し、
前記圧縮室を形成する筐体の少なくとも一部が、前記ブラケットと一体形成され、
前記筐体の前記ブラケットと一体形成される部分に、前記高圧空気を前記圧縮室から前記ノズルへ排気する排気口が形成されている、クリーナ。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載のクリーナを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物を洗浄するクリーナ、クリーナ付きセンサおよび当該クリーナまたは当該クリーナ付きセンサを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両周囲の状況を撮影する車載カメラが搭載された車両が増えてきている。車載カメラは、撮像面であるレンズが雨や泥等で汚れてしまう場合がある。このため、従来、レンズ上に付着した水滴等の異物を除去するために、車載カメラのレンズに洗浄液や圧縮空気等を吹き付けて異物を除去する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車載カメラの近傍に圧縮空気発生ユニットを設置し、圧縮空気発生ユニットの圧縮空気をノズルから噴射して車載カメラの前面ガラスに高圧の空気を吹き付けるようにすることで前面ガラスに付着した水滴を取り除く構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、車載カメラとは別体として圧縮空気発生ユニットやノズルが構成されており、これらを車両に取り付ける際の作業性や省スペース化に改善の余地がある。
【0006】
特許文献1の構成では、車載カメラとは別体として圧縮空気発生ユニットやノズルが構成されており、更なる省スペース化のためにはこれらの部品のレイアウトに工夫の余地がある。
【0007】
特許文献1の構成では、車載カメラとは別体として圧縮空気発生ユニットやノズルが構成されており、部品点数が多い。
【0008】
ノズルから噴射される高圧空気によりカメラレンズ上の異物を除去する性能を向上させるために、カメラレンズに対するノズル位置やノズル形状には改善の余地がある。一方で、特に画角の広いカメラレンズに対してノズルを配置する際には、カメラの撮像画像にノズルが映り込まないようにノズルの配置を工夫する必要がある。
【0009】
冬季などに、車載カメラの前面ガラスに氷や雪が付着した場合、すなわち前面ガラスが凍結した場合には、前面ガラスに高圧の空気を常時吹き付けて解氷させることが考えられる。しかしながら、圧縮空気発生ユニットを常時作動させると各部材の消耗等により寿命低下につながってしまう。
【0010】
特許文献1の圧縮空気発生ユニットは空気を高圧で吹き付ける動作を断続的に複数回繰り返すものであるが、カメラの前面ガラスあるいはレンズに氷や泥等が付着している場合には、特許文献1の圧縮空気発生ユニットでは前面ガラスに付着した氷や泥を除去するのには不十分な可能性がある。
【0011】
本発明は、取付け作業性の向上や省スペース化が可能なクリーナおよび当該クリーナを備える車両を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、効率的な部品のレイアウトにより省スペース化を実現可能なクリーナおよび当該クリーナを備える車両を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、部品点数が削減可能なクリーナ付きセンサおよび当該クリーナ付きセンサを備える車両を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、カメラの撮像画像に映り込まない位置にノズルを配置可能であって、カメラレンズ上の異物を除去する性能を向上可能なクリーナおよび当該クリーナを備えた車両を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、洗浄対象物の洗浄面への異物の付着を防止可能であって、かつ長寿命なクリーナ、および当該クリーナを備えた車両を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、洗浄対象物に付着した異物を効果的に除去可能なクリーナおよび当該クリーナを備える車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナは、
洗浄対象物を洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記洗浄対象物の洗浄面に向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記生成部は、前記洗浄対象物を支持するブラケットと一体的に構成されている。
【0018】
この構成によれば、取付け作業性の向上や省スペース化が可能となる。
【0019】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記生成部は、空気を圧縮して前記高圧空気を前記ノズル側へ排出するための圧縮室を有し、
前記ブラケットは、一端に前記ノズルが連結される管路を有し、
前記管路の他端には、前記圧縮室に設けられる排気口が連結されていても良い。
【0020】
この構成によれば、簡便な構成で、生成部やノズルをブラケットに一体化させることができる。
【0021】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記生成部は、空気を圧縮して前記高圧空気を前記ノズル側へ排出するための圧縮室を有し、
前記圧縮室を画成する筐体の少なくとも一部が、前記ブラケットと一体形成されていても良い。
【0022】
この構成によれば、簡便な構成で、生成部をブラケットに一体化させることができる。
【0023】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記筐体の前記ブラケットと一体形成される部分に、前記高圧空気を前記ノズルへ排気する排気口が形成されていても良い。
【0024】
この構成によれば、生成部とブラケットとの間の防水性を担保しつつ、圧縮室で生成された高圧空気をノズルへ適切に送ることができる。
【0025】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄面は、車両に取り付けられる車載センサと当該車載センサの測定対象との間に介在する隔壁を含み、
前記ブラケットは、前記車両の車体パネルに形成された開口部に取り付けられても良い。
【0026】
この構成によれば、車載センサを洗浄するためのクリーナを車載センサとともに車体パネルへ効率的に取り付けることができる。
【0027】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記隔壁は、車載カメラのレンズを含み、
前記レンズは前記車体パネルの外側に向けて露出した状態となるように取り付けられていても良い。
【0028】
本構成は、特に、車体外側に露出した車載カメラのレンズを洗浄するクリーナへ適用することが好ましい。
【0029】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記ブラケットは、前記洗浄対象物と一体形成されていても良い。
【0030】
この構成によれば、洗浄対象物と生成部とが一体的に構成されるため、部品点数の削減や更なる取り付け作業性の向上を実現することができる。
【0031】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記ブラケットは、前記洗浄対象物とは別体で構成され、
前記洗浄対象物は、前記ブラケットに組み付けられていても良い。
【0032】
この構成によれば、異なる種類の洗浄対象物に対してクリーナを適用することができる。
【0033】
また、本発明の車両は、
上記いずれかの構成を有するクリーナを備えている。
【0034】
この構成によれば、クリーナの取付け作業性の向上や省スペース化が可能となる。
【0035】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナは、
洗浄対象物を洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記洗浄対象物の洗浄面に向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記生成部は、駆動部と、前記駆動部の動作に基づいて空気を圧縮して前記高圧空気を生成する圧縮室とを含み、
前記圧縮室は、前記駆動部と前記洗浄対象物との間に配置されている。
【0036】
この構成によれば、生成部を構成する駆動部や圧縮室を洗浄対象物に対して効率的にレイアウトすることで省スペース化を実現することができる。
【0037】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記駆動部、前記圧縮室、および前記ノズルは、この順で一直線上に配置されていても良い。
【0038】
この構成によれば、より効率的なレイアウトを実現することができる。
【0039】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記生成部は、前記駆動部を動作させるための制御部を含み、
前記制御部は、前記駆動部に対して前記圧縮室が近接する側とは異なる側に配置されていても良い。
【0040】
この構成によれば、制御部を含めたクリーナのより効率的なレイアウトを実現することができる。
【0041】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄対象物は、車両に取り付けられる車載センサと当該車両センサの測定対象との間に介在する隔壁を含み、
前記生成部および前記ノズルは、前記車載センサを支持するブラケットと一体的に構成され、
前記ブラケットは、前記車両の車体パネルに形成された開口に取り付けられても良い。
【0042】
この構成によれば、車載センサおよびクリーナを、車体パネルに形成された比較的小さな開口に対して取付け可能なサイズに収めることができる。これにより、これらの部材を車体パネルへ容易に取り付けることができ、作業効率が向上する。
【0043】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記隔壁は、車載カメラのレンズを含み、
前記レンズは、前記車体パネルの外側に向けて露出した状態となるように取り付けられ、
前記生成部は、前記ブラケットの前記車載カメラが配置される側とは反対側に配置されても良い。
【0044】
この構成によれば、特に、車体外側に露出した車載カメラのレンズを洗浄するクリーナへ適用することが好ましい。また、生成部を例えば車室内に収容することができるため、生成部の防水性を担保することができる。
【0045】
また、本発明の車両は、
上記いずれかの構成を有するクリーナを備えている。
【0046】
この構成によれば、クリーナの効率的な部品のレイアウトによりクリーナの省スペース化を実現可能である。
【0047】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナ付きセンサは、
センサ部と、クリーナとを備えたクリーナ付きセンサであって、
前記クリーナは、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を、前記センサ部と前記センサ部の測定対象との間に介在する隔壁に向けて噴射するノズルと、を備え、
前記センサ部のハウジングの少なくとも一部と、前記生成部のハウジングの少なくとも一部とが、一体構造物として構成されている。
【0048】
この構成によれば、部品点数が削減可能なクリーナ付きセンサを提供することができる。
【0049】
また、本発明のクリーナ付きセンサにおいて、
前記一体構造物と、前記ノズルとが一体形成されていても良い。
【0050】
この構成によれば、部品点数を更に削減することができる。
【0051】
また、本発明のクリーナ付きセンサにおいて、
前記生成部は、空気を圧縮して前記高圧空気を前記ノズル側へ排出するための圧縮室を有し、
前記一体構造物は、前記圧縮室を画成する筐体の少なくとも一部を含んでも良い。
【0052】
この構成によれば、高圧空気の生成部をセンサに対して効率的にレイアウトすることができる。
【0053】
また、本発明のクリーナ付きセンサにおいて、
前記一体構造物は、前記クリーナ付きセンサを車両の車体パネルの開口へ取り付けるための取付部を含んでも良い。
【0054】
この構成によれば、部品点数を増加させることなく、クリーナ付きセンサを車両へ簡便に取り付けることができる。
【0055】
また、本発明のクリーナ付きセンサにおいて、
前記センサ部および前記ノズルのそれぞれの少なくとも一部は、前記車体パネルの外側に露出した状態となるように配置され、
前記生成部は、前記車体パネルに対して、前記センサ部の前記少なくとも一部とは反対側に配置されても良い。
【0056】
この構成によれば、生成部を例えば外気環境の影響を受けにくい車室内に収容することで、防水性を担保しつつ、比較的温度の高い高圧空気を生成することができるため、センサ部に付着した氷等の異物を効果的に除去することができる。
【0057】
また、本発明のクリーナ付きセンサにおいて、
前記センサ部は、車載カメラを含み、
前記車載カメラのレンズは前記車体パネルの外側に向けて露出していても良い。
【0058】
本構成は、特に、車体外側に露出した車載カメラのレンズを洗浄するクリーナへ適用することが好ましい。
【0059】
また、本発明のクリーナ付きセンサは、
センサ部と、クリーナとを備えたクリーナ付きセンサであって、
前記クリーナは、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を、前記センサ部と前記センサ部の測定対象との間に介在する隔壁に向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記センサ部のハウジングの少なくとも一部と、前記ノズルとが、一体構造物として構成されている。
【0060】
この構成によれば、部品点数が削減可能なクリーナ付きセンサを提供することができる。
【0061】
また、本発明の車両は、
上記いずれかの構成を有するクリーナ付きセンサを備えている。
【0062】
この構成によれば、クリーナ付きセンサの部品点数を削減することができる。
【0063】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナは、
カメラのレンズを洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記レンズに向けて噴射するノズルと、
を備え、
前記ノズルの先端側には、前記カメラの前面と対向する第一の壁部が形成され、
前記レンズの中心点を通る中心軸を第一の軸とし、前記第一の軸と直交して前記カメラの上下方向に延びる軸であって前記レンズの表面を通る軸あるいは前記レンズの接線を第二の軸としたときに、下記の条件式(1)を満たす。
h-1(mm)≦H≦h+6(mm)、かつ、0(mm)≦T≦H×tanθ+0.5(mm)・・・(式1)
ただし、
h(mm):前記レンズの中心点から前記レンズの外端部までの前記第二の軸に沿った距離、
H(mm):前記第一の軸と前記第一の壁部の先端との間の最短距離、
T(mm):前記第二の軸と前記第一の壁部の前記先端との間の最短距離、
θ(度):前記第二の軸と前記第一の壁部の内面とがなす角度、
である。
【0064】
この構成によれば、カメラの撮像画像に映り込まない位置にノズルを配置可能であって、カメラレンズ上の異物を除去する性能を向上可能なクリーナを提供することができる。
【0065】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記最短距離Hが3mm以上31mm以下であり、かつ、前記最短距離Tが0mm以上5.5mm以下であっても良い。
【0066】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記距離hが4mm以上6mm以下である場合に、前記最短距離Hが3mm以上12mm以下であっても良い。
【0067】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記角度θは、0度以上45度以下であっても良い。
【0068】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記角度θは、0度以上10度以下であっても良い。
【0069】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記第一の壁部は、前記第二の軸方向に沿ったフラット形状を有し、
下記の条件式(2)を満たしても良い。
0.5(mm)≦L≦d-h+2.5(mm)・・・(式2)
ただし、
L(mm):前記フラット形状の部分の長さ、
d(mm):前記レンズの中心点から前記カメラのハウジングの外縁部までの前記第二の軸に沿った距離、
である。
【0070】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記距離hが4mm以上6mm以下であるとともに前記距離dが4mm以上13.5mm以下である場合に、前記長さLが、0.5mm以上10.0mm以下であっても良い。
【0071】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記ノズルは、前記第一の壁部と前記生成部との間に形成されるジョイント管路をさらに備え、
前記第一の壁部の内面と前記ジョイント管路の内面とからなる角度γが90度以上170度以下であり、かつ、前記第一の壁部と前記ジョイント管路とがR1(mm)以上の内接円を有する湾曲部で連結されていても良い。
【0072】
また、本発明のクリーナにおいて、
角度γが90度以上120度以下であっても良い。
【0073】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記第一の軸および前記第二の軸に直交して前記カメラの左右方向に延びる軸を第三の軸としたときに、下記の条件式(3)を満たしても良い。
Wh-2(mm)≦W≦Wh・・・(式3)
ただし、
Wh(mm):前記第三の軸に沿った前記レンズの幅、
W(mm):前記第三の軸に沿った前記第一の壁部の幅、
である。
【0074】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記幅Wは、2mm以上12mm以下であっても良い。
【0075】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記ノズルは、前記第一の壁部の両側面から前記レンズに向けて延出される一対の第二の壁部を備え、
前記第一の軸および前記第二の軸に直交して前記カメラの左右方向に延びる軸を第三の軸としたときに、下記の条件式(4)を満たしても良い。
【数1】
・・・(式4)
ただし、
W(mm):前記第三の軸に沿った前記第一の壁部の幅、
ω(度):前記一対の第二の壁部同士がなす角度、
である。
【0076】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記角度ωは、0度以上70度以下であっても良い。
【0077】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記レンズは、凸レンズであって、
前記第一の軸および前記第二の軸に直交して前記カメラの左右方向に延びる軸を第三の軸としたときに、下記の条件式(5)を満たしても良い。
r≦R≦r+50mm・・・(式5)
ただし、
R(mm):前記第三の軸に沿った前記第一の壁部の曲率半径、
r(mm):前記第三の軸に沿った前記レンズの表面の曲率半径、
である。
【0078】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記第一の壁部と、前記一対の第二の壁部と、前記一対の第二の壁部の前記第一の壁部とは反対の端部同士を繋ぐ直線とから画成される前記高圧空気の噴射開口部の開口面積をS(mm2)としたときに、下記の条件式(6)を満たしても良い。
7.5(mm2)≦S≦W×(T+2)・・・(式6)
【0079】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記開口面積Sが7.5mm2以上90mm2以下であっても良い。
【0080】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記ノズルは、前記カメラの正面視において前記第一の壁部の中心軸と前記第二の軸とのなす角度αが-60度以上+60度以下となるように配置されていても良い。
【0081】
また、本発明のクリーナにおいて、
角度αが-20度以上+20度以下であっても良い。
【0082】
具体的に、カメラレンズに対してノズルがこれらの構成を備えることにより、カメラの撮像画像に映り込まない位置にノズルを配置可能であって、カメラレンズ上の異物を除去する性能を向上可能である。
【0083】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記カメラは、前記レンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように車両に取り付けられた車載カメラであっても良い。
【0084】
本構成は、特に、車載カメラのレンズを洗浄するクリーナとして用いられることが好ましい。
【0085】
また、本発明のクリーナを備える車両は、
上記いずれかの構成を有するクリーナを備えている。
【0086】
この構成によれば、カメラの撮像画像に映り込まない位置にノズルを配置可能であって、カメラレンズ上の異物を除去する性能を向上可能である。
【0087】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナは、
洗浄対象物を洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する生成部と、
前記高圧空気を前記洗浄対象物の洗浄面に向けて噴射するノズルと、
前記高圧空気の噴射を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記洗浄面に異物が付着していない場合でも、所定の条件を満たすときには前記高圧空気を生成して噴射させる作動モードを実行する。
【0088】
この構成によれば、洗浄対象物の洗浄面への異物の付着、特に着氷または凍結を防止可能であって、かつ長寿命なクリーナを提供することができる。
【0089】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄対象物は、車両に搭載される車両用灯具および車載センサのうち少なくとも一つを含み、
前記所定の条件は、前記車両の外気温度が所定温度以下であることが検出されたことを含んでも良い。
【0090】
この構成によれば、洗浄対象物の洗浄面の凍結が予想される場合に効率的に高圧空気を洗浄面へ噴射させて、洗浄面への着氷や凍結を防止することができる。
【0091】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記作動モードは、前記高圧空気を常時噴射させる常時作動モードと、前記高圧空気を所定の周期で間欠的に噴射させる第一間欠作動モードと、前記第一間欠作動モードよりも短い周期で前記高圧空気を噴射させる第二間欠作動モードと、を含んでも良い。
【0092】
この構成によれば、洗浄面への異物の付着状況に応じて作動モードを切り替えることで、クリーナの寿命低下を防止しつつ、効率的に高圧空気を洗浄面へ噴射させることができる。
【0093】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記所定の条件として前記外気温度が前記所定温度以下であることが検出された場合には、前記制御部は、前記常時作動モードを実行しても良い。
【0094】
この構成によれば、洗浄対象物の洗浄面の凍結が予想される状況においては、高圧空気を洗浄面へ常時噴射させることで、洗浄面の凍結を防止したり、洗浄面の解氷を行うことができる。
【0095】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記所定の条件として前記外気温度が前記所定温度より高いと検出された場合において、
前記車両の走行速度が所定速度以下であることが検出された場合には、前記制御部は、前記第一間欠作動モードを実行し、
前記走行速度が前記所定速度より速いことが検出された場合には、前記制御部は、前記第二間欠作動モードを実行しても良い。
【0096】
この構成によれば、外気温度が一定温度より高い場合であっても、車速に応じて作動モードを切り替えつつ、高圧空気を洗浄面へ間欠的に噴射させることで、洗浄面へ付着する雨滴等の異物を効率的に除去することができる。
【0097】
また、本発明のクリーナにおいて、前記所定温度は3℃であっても良い。
【0098】
また、本発明のクリーナにおいて、前記所定速度は50km/hであっても良い。
【0099】
車両の外気温度や車速の閾値として、これらの数値を採用することが好ましい。
【0100】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄対象物は、レンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように前記車両の後方に取り付けられたバックカメラであり、
前記車両の変速機のシフトポジションがリバースレンジへと切り替えられたことが検出された場合には、前記制御部は、前記常時作動モードを実行しても良い。
【0101】
この構成によれば、車両がバック走行を開始することが予想される状況において、常時作動モードを実行することで、バックカメラのレンズへ付着した雨滴等の異物を確実に除去することができる。
【0102】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記作動モードは、前記洗浄面に異物が付着したことが検知された場合に当該異物を除去する異物除去モードと、前記洗浄面に異物が付着したことが検知されない場合に当該異物が付着することを防止する異物付着防止モードと、を含んでも良い。
【0103】
この構成によれば、洗浄面への異物の付着の有無に応じて作動モードを切り替えることで、クリーナの寿命低下を防止しつつ、効率的に高圧空気を洗浄面へ噴射させることができる。
【0104】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄対象物は、レンズが車両のボディパネルの外側に向けて露出した状態となるように前記車両に取り付けられた車載カメラであっても良い。
【0105】
本発明は、特に車載カメラのレンズを洗浄するクリーナとして用いられることが好ましい。
【0106】
また、本発明のクリーナを備える車両は、
上記いずれかの構成を有するクリーナを備えている。
【0107】
この構成によれば、洗浄対象物の洗浄面への異物の付着を防止可能であって、かつ長寿命なクリーナを備えた車両を提供することができる。
【0108】
上記目的を達成するために、本発明のクリーナは、
洗浄対象物を洗浄するためのクリーナであって、
高圧空気を生成する回転容積式ポンプと、
前記高圧空気を前記洗浄対象物の洗浄面に向けて噴射するノズルと、
を備えている。
【0109】
この構成によれば、従来型のポンプよりも高圧空気を連続的に噴射可能な回転容積式ポンプを用いることで、洗浄対象物に付着した異物、例えば氷や泥等を効果的に除去することができる。
【0110】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記回転容積式ポンプは、
圧縮室を形成するシリンダと、
前記シリンダ内に収容され、互いに平行で反対方向へ同期回転する一対の回転軸と、
前記シリンダ内で前記一対の回転軸にそれぞれ固定され、互いに非接触状態で噛合する鉤形の爪部が形成された一対のロータと、
前記シリンダに形成され、前記圧縮室にそれぞれ連通する吸気口および排気口と、を備え、
前記排気口は前記ノズルと連通し、
前記一対の回転軸の各軸方向は、前記ノズルの延出方向と一致していても良い。
【0111】
この構成によれば、省スペース化を実現しつつ、回転ポンプで生成された高圧空気をノズルから連続的に噴出させることができる。
【0112】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記シリンダは、2つの円の一部を重ね合わせた断面形状を有する筒部と、前記筒部の両端面に形成された一対の側壁とから構成され、
前記排気口は、前記一対の側壁の一方に形成され、
前記吸気口は、前記筒部または前記一対の側壁の他方に形成されていても良い。
【0113】
この構成によれば、高圧空気を適切に生成しながら、省スペース化を実現させることができる。
【0114】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記吸気口は、前記筒部において前記2つの円の一部を重ね合わせた部分に形成されていても良い。
【0115】
この構成によれば、圧縮室に空気を効率的に送り込むことができる。
【0116】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記吸気口は、前記筒部において前記2つの円のそれぞれに形成されていても良い。
【0117】
この構成によれば、圧縮室に空気を効率的に送り込むことができる。
【0118】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記回転容積式ポンプは、前記一対のロータを前記一対の回転軸を介して回転駆動させる回転駆動装置を、さらに備え、
前記回転駆動装置の駆動軸の方向は、前記軸方向および前記延出方向と一致していても良い。
【0119】
この構成によれば、回転容積式ポンプの各部材をノズルに対して直線的に配置することで、省スペース化をさらに実現させることができる。
【0120】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記洗浄対象物は、車両に取り付けられる車載センサを含み、
前記回転容積式ポンプおよび前記ノズルは、前記車載センサとともに前記車両の車体パネルの開口に取り付けられるブラケットに装着され、
前記吸気口は、前記ブラケットの前記ノズルが取り付けられる側とは反対側に配置されていても良い。
【0121】
この構成によれば、吸気口が例えば車室内に設けられているため、前記圧縮室内に比較的温かい空気を送り込める。これにより、洗浄対象物に付着した異物、特に氷を効果的に除去することができる。
【0122】
また、本発明のクリーナにおいて、
前記車載センサは、車載カメラを含み、
前記車載カメラのレンズは前記車体パネルの外側に向けて露出した状態となるように取り付けられていても良い。
【0123】
本構成は、特に、車体外側に露出した車載カメラのレンズを洗浄するクリーナへ適用することが好ましい。
【0124】
また、本発明の車両は、上記いずれかの構成を有するクリーナを備えている。
【0125】
この構成によれば、クリーナの洗浄対象物に付着した異物を効果的に除去することができる。
【発明の効果】
【0126】
本発明のクリーナによれば、取付け作業性の向上や省スペース化が可能である。また、本発明のクリーナを備える車両によれば、クリーナの取付け作業性の向上や省スペース化が可能である。
【0127】
本発明のクリーナによれば、効率的な部品のレイアウトにより省スペース化を実現可能である。また、本発明のクリーナを備える車両によれば、クリーナの効率的な部品のレイアウトによりクリーナの省スペース化を実現可能である。
【0128】
本発明のクリーナ付きセンサによれば、部品点数を削減することができる。また、本発明のクリーナ付きセンサを備える車両によれば、クリーナ付きセンサの部品点数を削減することができる。
【0129】
本発明によれば、カメラの撮像画像に映り込まない位置にノズルを配置可能であって、カメラレンズ上の異物を除去する性能を向上可能なクリーナおよび当該クリーナを備えた車両を提供することができる。
【0130】
本発明によれば、洗浄対象物の洗浄面への異物の付着を防止可能であって、かつ長寿命なクリーナ、および当該クリーナを備えた車両を提供することができる。
【0131】
本発明のクリーナによれば、洗浄対象物に付着した異物を効果的に除去することができる。また、本発明のクリーナを備える車両によれば、クリーナの洗浄対象物に付着した異物を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】車両の後部の側面図(車載カメラおよびクリーナは透視で図示)である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る車載カメラおよびクリーナの前面斜視図である。
【
図3】
図2の車載カメラおよびクリーナの後面斜視図である。
【
図7】クリーナを構成するポンプの分解斜視図である。
【
図9】第二実施形態に係る車載カメラおよびクリーナの断面図である。
【
図10】
図9と異なる位置における車載カメラおよびクリーナの断面図である。
【
図11】
図9に示すブラケットの後面斜視図である。
【
図13】第三実施形態に係るクリーナ付きカメラの断面図である。
【
図14】
図13と異なる位置におけるクリーナ付きカメラの断面図である。
【
図15】第四実施形態に係るクリーナ付きカメラの断面図である。
【
図16】第五実施形態に係るクリーナ付きカメラの断面図である。
【
図17A】
図16のカメラハウジングおよびノズルの一体構造物を示す前面斜視図である。
【
図18】第六実施形態に係るカメラ内蔵サイドターンシグナルランプを示す図である。
【
図19】第七実施形態に係るカメラおよびクリーナの前面斜視図である。
【
図23】
図22のA-A線における断面図(カメラに対するノズルの位置を説明する図)である。
【
図24】側面視におけるノズルの向きを説明する図である。
【
図28】ノズルの前壁の曲率半径を説明する図である。
【
図30】正面視におけるノズルの向きを説明する図である。
【
図31】車両の後部の側面図(クリーナは透視で図示)である。
【
図32】第八実施形態に係るクリーナの前面斜視図である。
【
図34】
図32のクリーナの動作例1を説明するフローチャートである。
【
図35】
図32のクリーナの動作例2を説明するフローチャートである。
【
図36】
図32のクリーナの動作例3を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0133】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
本明細書に記載のクリーナは、洗浄対象物の一例である車載センサ(例えば、車載カメラを含む)のレンズに付着する水滴や泥や塵埃等の異物を高圧空気で洗浄する装置(異物除去装置)として適用される。
【0134】
図1に示すように、クリーナ1は、例えば車両Vのバックドア200の車体パネル200aに取り付けられる。車体パネル200aにはボディパネルや、ボディパネルの外側に設けられたガーニッシュ等が含まれる。クリーナ1は、後述の制御部25を備えており、制御部25の電源端子が車両Vの電源ラインに接続されている。
なお、クリーナ1は、例えば車両Vのリアバンパー等に取り付けられても良い。
【0135】
車載カメラ100(洗浄対象物、車載センサの一例)は、車両Vの例えば後方を確認するためのカメラである。車載カメラ100は、
図2に示すように、車載カメラ100のレンズ101(洗浄面となる隔壁の一例)が車体パネル200aの外側に向けて露出した状態となるように車体パネル200aに取り付けられている。車載カメラ100は、撮像部(図示省略)を有し、レンズ101は撮像部を覆っている。
【0136】
なお、車載カメラ100は、例えば車室内に取り付けられても良い。この場合、車載カメラ100は、例えばリアガラス(洗浄面となる隔壁の一例)に近い場所に設置され、リアガラスを間に介して車外後方の測定対象を確認する。また、車載カメラ100は、例えばリアランプ内に取り付けられても良い。この場合、車載カメラ100は、リアランプのアウターカバー(洗浄面となる隔壁の一例)を間に介して車外後方の測定対象を確認する。また、車載カメラ100は、洗浄対象物である(洗浄対象物を備えた)他の車載部品の内部に取り付けられても良く、例えば、サイドターンシグナルランプ(STSL)内に取り付けられても良い。
【0137】
(第一実施形態)
図2および
図3に示すように、第一実施形態に係るクリーナ1は、洗浄用の高圧空気を生成するポンプ2(生成部の一例)と、高圧空気を車載カメラ100のレンズ101に向けて噴射するノズル5とを備えている。以下では、ポンプ2により高圧空気を送り出す方向(ノズル側)を前方とし、送出方向とは反対方向を後方とする。また、クリーナ1において、ノズル5側を上方とし、車載カメラ100側を下方とする。
【0138】
ポンプ2とノズル5とは、車載カメラ100を支持するブラケット6を介して一体的に構成されている。ノズル5は、車体パネル200aの外側に向けて露出し、その先端の噴射口がレンズ101に対して所定位置となるように設けられている。ブラケット6は、車体パネル200aに取り付けるための一対の取付腕部61を有している。ブラケット6は、各取付腕部61に設けられた爪部61aを、車体パネル200aに形成された開口部201に係合することにより車体パネル200aに取り付けられる。
【0139】
なお、本明細書において、上記「一体的に構成されている」とは、各部材が一体成形により一体化されていることと、機械的締結あるいは接着により一体化されていることを含む。例えば、同一材料で同一金型で成形しても良いし、別々の材料でそれぞれ成形した後に互いに組み合わせて一体的に形成しても良い。なお、各部材は、例えば樹脂、金属等から形成され得る。また、本例では、洗浄対象物の洗浄面に対して高圧空気を噴射することにより洗浄を行う。洗浄のために水は必須としない。
【0140】
【0141】
図5および
図6に示すように、ブラケット6は、後方に開く角形の括弧状に形成されている。ブラケット6の前面には、車載カメラ100が設けられている。車載カメラ100は、基台ハウジング102と、周囲ハウジング103とを備えている。基台ハウジング102には、撮像素子104が搭載された回路基板105が取り付けられている。回路基板105には、ブラケット6の前壁に形成された開口部62を介して、後方に向けて配線されるケーブル106が接続されている。ケーブル106の後端側は、カメラ制御部(図示省略)に接続されている。周囲ハウジング103の撮像素子104と対向する面には、レンズ101が設けられている。
【0142】
車載カメラ100は、ブラケット6とは別体で構成され、基台ハウジング102を介してブラケット6に対して機械的に取り付けられている。なお、ブラケット6は、車載カメラ100(洗浄対象物)およびクリーナ1を被固定部材である車体パネル200aに取り付ける際に、車載カメラ100およびクリーナ1と車体パネル200aとの間に介在される部材である。
【0143】
ポンプ2は、ポンプ2を動作させる駆動部21と、空気を圧縮するための圧縮室22とを備えている。駆動部21は、例えばモータからなる。圧縮室22内には、外部から吸気口23を介して空気が取り入れられ、その空気が圧縮され、圧縮された高圧空気が排気口24を介してノズル5に向けて排出される。
ポンプ2は、さらに、駆動部21の動作を制御する制御ECU25(electronic control unit、制御部の一例)を備えている。制御ECU25は、ケーブル26を介して駆動部21に接続されている。
【0144】
ブラケット6の前壁において開口部62の上側には、当該前壁を貫通する管路63が設けられている。管路63の前端(一端)にはノズル5が接着により(あるいは機械的に)連結されている。また、管路63の後端(他端)には圧縮室22の排気口24が機械的に連結されている。すなわち、ノズル5は、ブラケット6の管路63を介して圧縮室22の排気口24と連通され、ブラケット6の前面から前方に延びるように設けられている。ポンプ2は、圧縮室22を含む前端部がブラケット6の後側からブラケット6内に収納されるように設けられている。ポンプ2は、ブラケット6に対して、車載カメラ100とは反対側に配置されている。すなわち、車載カメラ100がブラケット6の外側(前側)に配置されているのに対して、ポンプ2は、ブラケット6の内側(後側)に配置されている。
【0145】
ポンプ2の圧縮室22は、クリーナ1の前後方向において、車載カメラ100と駆動部21との間に配置されている。また、制御ECU25は、駆動部21に対して圧縮室22が近接する側とは異なる側に配置されている。本例では、駆動部21の前側に圧縮室22が配置され、駆動部21の後側に制御ECU25が配置されている。また、ノズル5、圧縮室22、および駆動部21は、この順でクリーナ1の前後方向へ一直線上に配置されている。
また、ポンプ2の吸気口23は、ブラケット6に対して、ノズル5とは反対側に配置されている。すなわち、ノズル5がブラケット6の外側(前側)に配置されているのに対して、吸気口23は、ブラケット6の内側(後側)に配置されている。
【0146】
次に、
図7および
図8を参照して、ポンプ2の具体的構成について詳述する。
図7に示すように、本実施形態では、ポンプ2として、高圧空気を連続的に(高周期で)噴射可能なクローポンプ2a(回転容積式ポンプの一例)が用いられている。
ポンプ2は、圧縮室22を形成するシリンダ30と、一対の回転軸34と、一対のロータ35と、吸気口23と、排気口24と、回転駆動装置36とを備えている。
【0147】
シリンダ30は、2つの円の一部を重ね合わせた断面形状を有する筒部31と、筒部31の前端面に取り付けられる前側壁32と、筒部31の後端面に取り付けられる後側壁33とから構成されている。前側壁32と筒部31の前端面との間にはパッキン39が配置されている。
一対の回転軸34は、シリンダ30内に配置されて、互いに平行で反対方向へ同期回転するように構成されている。一対の回転軸34の各軸方向は、ブラケット6の前面側に設けられているノズル5の延出方向と略一致している。
【0148】
一対のロータ35は、シリンダ30内に収容され、上記一対の回転軸34にそれぞれ固定されている。各回転軸34は、固定されたロータ35の前側が軸受け38aで支持され、ロータ35の後側が軸受け38bで支持されている。各々のロータ35には、互いに非接触状態で噛合う鉤形の爪部が形成されている。一対のロータ35は、固定されている回転軸34の回転に伴ってシリンダ30内で爪部を噛合わせることにより、吸気口23から取り入れた空気を圧縮し、圧縮した圧縮空気を排気口24から排気する。
【0149】
吸気口23および排気口24は、圧縮室22にそれぞれ連通するように形成されている。吸気口23は、筒部31に形成されている。排気口24は、ノズル5に近い側壁である前側壁32に形成されている。吸気口23は、筒部31の周壁において2つの円の一部が重ね合わされた部分に形成されている。本例では、吸気口23は、筒部31の周壁における下側の重ね合わされた部分に形成されている。なお、吸気口23(23a,23b)は、筒部31において2つの円のそれぞれの周壁に形成されていても良い。また、吸気口23は、排気口24が形成されていない側の側壁、本例では後側壁33に形成されていても良い。
【0150】
回転駆動装置36は、回転軸34を回転させる駆動部21と、一対の回転軸34に取り付けられている一対の動力伝達ギヤ37とから構成されている。駆動部21は、駆動軸21aを有している。駆動軸21aの軸方向は、回転軸34の軸方向およびノズル5の延出方向と略一致している。一対の動力伝達ギヤ37は、互いに噛合うように形成されている。駆動軸21aによって一方の回転軸34が回転されることにより、一対の回転軸34は動力伝達ギヤ37を介して互いに反対方向に回転するように構成されている。回転駆動装置36は、一対の回転軸34を介して、一対のロータ35を回転駆動させる。
上述した各部材は、組み合わされてポンプハウジング40内に収納される。
【0151】
図8は、前側壁32とパッキン39とが取り除かれた状態のポンプ2を示す正面図である。
図8に示すように、一対のロータ35が回転軸34に固定された状態でシリンダ30の筒部31内に収納されている。筒部31の下部には、空気を取り入れる吸気口23が筒部31の周壁から下方に突出して形成されている。吸気口23から取り込まれた空気は、筒部31および前側壁32、後側壁33および一対のロータ35により形成された圧縮ポケットで一対のロータ35の同期回転により圧縮され、この圧縮された高圧空気が排気口24からノズル5側へ排気される。このように、ポンプ2は、潤滑油や封液を使わずに連続して吸引、圧縮、および排気を行うことで、高圧空気を生成することができる。
なお、回転容積式のポンプとしては、クローポンプに限定されず、例えばベーン型のポンプを用いても良い。
【0152】
以上説明したように、第一実施形態に係るクリーナ1は、高圧空気を生成するポンプ2と、高圧空気を車載カメラ100のレンズ101に向けて噴射するノズル5と、を備え、ポンプ2が車載カメラ100を支持するブラケット6と一体的に構成されている。そのため、車両Vに対するクリーナ1の取付け作業性が向上するとともに、車両Vにおけるクリーナ1の省スペース化が可能となる。
【0153】
また、ブラケット6の管路63を介して、ノズル5と圧縮室22の排気口24とを連通させることが可能であるため、簡便な構成で、ポンプ2やノズル5をブラケット6に一体化させることができる。
【0154】
また、車体パネル200aの開口部201に対してブラケット6を取り付けるという簡便な構成により、ブラケット6と一体的に構成されているクリーナ1を洗浄対象物である車載カメラ100とともに車体パネル200aへ効率的に取り付けることができる。
【0155】
また、ブラケット6の前面にノズル5と車載カメラ100とが並ぶように設けられているので、本実施形態に係るクリーナ1は、特に、車体外側に露出した車載カメラ100のレンズ101を洗浄するためのクリーナとして好適である。
【0156】
また、それぞれ別体に形成されたポンプ2とノズル5とブラケット6と車載カメラ100とが組み付けられているので、洗浄対象物の種類が異なる場合でも、適する形状の部材を組み合わせることで各洗浄対象物に適したクリーナ1を用いることができる。
【0157】
また、本実施形態に係るクリーナ1のポンプ2は、駆動部21と、駆動部21の動作に基づいて空気を圧縮して高圧空気を生成する圧縮室22とを含み、圧縮室22は、駆動部21と車載カメラ100との間に配置されている。また、ポンプ2は、駆動部21を動作させるための制御ECU25をさらに含み、制御ECU25は、駆動部21に対して圧縮室22が近接する側とは異なる側に配置されている。このように、ポンプ2を構成する駆動部21、圧縮室22、および制御ECU25を車載カメラ100に対して効率的にレイアウトすることで省スペース化を実現することができる。特に、駆動部21、圧縮室22、ノズル5をクリーナ1の前後方向において一直線上に配置することで、より効率的なレイアウトを実現することができるとともに、車体パネル200aの開口部201に対する取付けが容易である。
【0158】
また、ポンプ2およびノズル5が車載カメラ100を支持するブラケット6と一体的に構成されているので、車載カメラ100とクリーナ1とブラケット6を含む全体の大きさを、車体パネル200aに形成された比較的小さな開口部201に対して取付け可能なサイズに収めることができる。これにより、これらの部材を車体パネル200aへ容易に取り付けることができ、作業効率が向上する。
【0159】
また、本実施形態では、ブラケット6を間にして、車載カメラ100が配置されている側とは反対側にポンプ2を配置している。これにより、ポンプ2を例えば外気環境の影響を受けにくい車室内に収容することができ、防水性を担保しつつ、比較的温度の高い高圧空気を生成することができる。このため、車載カメラ100に付着した異物、特に氷を効果的に除去することができる。
【0160】
また、本実施形態では、高圧空気を生成するポンプ2として、従来型のポンプよりも高圧空気を連続的に(高周期で)噴射可能な例えばクローポンプ2aを用いている。そのため、車載カメラ100に付着した水滴などの異物、特に氷や泥等を効果的に除去することができる。
【0161】
また、ポンプ2の回転軸34の軸方向をノズル5の延出方向と一致させているので、省スペース化を実現しつつ、ポンプ2で生成された高圧空気をノズル5から連続的に噴出させることができる。また、ポンプ2の各部材をノズル5に対して直線的に配置することで、省スペース化をさらに実現させることができる。
【0162】
また、圧縮室22における吸気口23を適正な位置(例えば、筒部31において2つの円の一部を重ね合わせた部分)に設けることにより、圧縮室22に空気を効率的に送り込むことができる。また、排気口24および吸気口23を圧縮室22の適正な位置に設けることにより、高圧空気を適切に生成することができる。また、吸気口23が例えば車室内に設けられているため、上記同様に、防水性を担保しつつ、圧縮室22内に比較的温かい空気を送り込める。これにより、車載カメラ100に付着した異物、特に氷を効果的に除去することができる。
【0163】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係るクリーナについて、
図9~
図13を参照して説明する。なお、上述した第一実施形態と同一番号を付した部分については、同じ機能であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
図9および
図10は、第二実施形態に係るクリーナおよび車載カメラの断面図である。
図9は、第一実施形態のクリーナ1について示した
図5に相当し、
図10は、同じく
図6に相当する。
【0164】
上述したように第一実施形態に係るクリーナ1は、別体のものとして形成されているポンプ2とノズル5と車載カメラ100とをブラケット6を介して機械的に組み付けることで一体化させている。
これに対して、第二実施形態のクリーナ10Aは、
図9および
図10に示すように、ポンプ2の圧縮室22を画成する筐体の少なくとも一部が、ブラケット6Aの一体部71Aとしてブラケット6Aに一体形成されている。
【0165】
図11は、ブラケット6Aの背面斜視図である。
図12Aは、
図11のC-C線における断面図であり、
図12Bは、
図11のD-D線における断面図である。
図11および
図12A,12Bに示すように、ブラケット6Aは、上記クリーナ1のポンプ2における前側壁32に相当する部分が、ブラケット6Aの一体部71Aとして、一体成形により一体化されている。一体部71Aには、高圧空気をノズル5へ排気するための排気口24Aが形成されている。排気口24Aは、上述したクリーナ1におけるブラケット6の管路63の機能とポンプ2の排気口24の機能とを兼ね備える。排気口24Aの前端にはノズル5が、排気口24Aの後端にはポンプ2の圧縮室22(筒部31)が機械的に連結されている(
図9および
図10参照)。
【0166】
以上説明したように、第二実施形態に係るクリーナ10Aは、空気を圧縮して高圧空気をノズル5側へ排出するための圧縮室22を有するポンプ2を備え、圧縮室22を画成する筐体の少なくとも一部(一体部71A)が、車載カメラ100を支持するブラケット6と一体形成されている。このような構成のクリーナ10Aによれば、簡便な構成で、ポンプ2をブラケット6Aに一体化させることができる。また、ブラケット6Aの一体部71Aに高圧空気の排気口24Aが形成されているので、ポンプ2とブラケット6Aとの間の防水性を担保しつつ、圧縮室22で生成された高圧空気をノズル5へ適切に送ることができる。
【0167】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係るクリーナ付きカメラについて、
図13および
図14を参照して説明する。なお、上述した第一実施形態と同一番号を付した部分については、同じ機能であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
図13および
図14は、第三実施形態に係るクリーナ付きカメラ80(クリーナ付きセンサの一例)の断面図である。
図13は、第一実施形態のクリーナ1について示した
図5に相当し、
図14は、同じく
図6に相当する。
【0168】
クリーナ付きカメラ80は、
図13および
図14に示すように、車載カメラ100B(センサ部の一例)とクリーナ10Bとを備えている。クリーナ付きカメラ80は、車載カメラ100Bのハウジングの少なくとも一部と、クリーナ10Bにおけるポンプ2のハウジングの少なくとも一部とが、ブラケット6B(取付部の一例)を介して一体構造物として構成されている。
本例において、「一体構造物」とは、一体成形により一体化された構造物を意味し、機械的締結あるいは接着により一体化された構造物を除く。
【0169】
具体的には、車載カメラ100Bの基台ハウジング(
図5における車載カメラ100の基台ハウジング102参照)に相当する部分と、ポンプ2の圧縮室22を画成する筐体の少なくとも一部(前側壁32に相当する部分)とが、ブラケット6Bの一体部71Bとしてブラケット6Bに一体形成されている。すなわち、ブラケット6Bは、車載カメラ100(の基台ハウジングに相当する部分)と一体形成されている。一体部71Bには、高圧空気をノズル5へ排気するための排気口24Bが形成されている。排気口24Bは、上述したクリーナ1におけるブラケット6の管路63の機能とポンプ2の排気口24の機能とを兼ね備える。排気口24Bの前端にはノズル5が機械的に連結されている。また、排気口24Bの後端にはポンプ2の圧縮室22を構成する筒部31が機械的に連結されている。クリーナ付きカメラ80は、ブラケット6Bを介して、車体パネル200aに形成された開口部201に取り付けられている。
【0170】
以上説明したように、第三実施形態に係るクリーナ付きカメラ80は、車載カメラ100Bと、クリーナ10Bとを備え、車載カメラ100Bのハウジングの少なくとも一部と、クリーナ10Bのポンプ2のハウジングの少なくとも一部とが、一体構造物(一体部71B)として構成されている。このような構成のクリーナ付きカメラ80によれば、部品点数を削減することができるとともに、取り付け作業性をさらに向上させることができる。
【0171】
また、ポンプ2の圧縮室22を画成する筐体(シリンダ30)の一部が車載カメラ100Bのハウジングの一部と一体構造物として構成されているので、高圧空気を生成するポンプ2を車載カメラ100Bに対して効率的にレイアウトすることができる。
また、車載カメラ100およびポンプ2のハウジングに対して、ブラケット6Bが一体構造物として構成されているので、部品点数を増加させることなく、クリーナ付きカメラ80を車体パネル200aの開口部201へ簡便に取り付けることができる。
【0172】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態に係るクリーナ付きカメラについて、
図15を参照して説明する。なお、上述した第一実施形態と同一番号を付した部分については、同じ機能であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
図15は、第四実施形態に係るクリーナ付きカメラ85の断面図である。
【0173】
図15に示すように、クリーナ付きカメラ85(クリーナ付きセンサの一例)は、車載カメラ100C(センサ部の一例)とクリーナ10Cとを備えている。クリーナ付きカメラ85は、第三実施形態のクリーナ付きカメラ80の構成に加えて、さらにノズル5がブラケット6C(取付部の一例)を介して一体構造物として構成されている。なお、「一体構造物」とは、第三実施形態と同様、一体成形により一体化された構造物を意味する。
【0174】
具体的には、車載カメラ100Cの基台ハウジングに相当する部分と、ポンプ2の圧縮室22を画成する筐体(シリンダ30)の少なくとも一部(前側壁32に相当する部分)と、ノズル5とが、ブラケット6Cの一体部71Cとしてブラケット6Cに一体形成されている。一体部71Cには、高圧空気を排気するための排気口24Cが形成されている。排気口24Cと、ノズル5内の通路とは、共に一体部71C内の連通路として連通している。排気口24Cの後端にはポンプ2の圧縮室22(筒部31)が機械的に連結されている。
【0175】
このような構成のクリーナ付きカメラ85によれば、車載カメラ100Cおよびポンプ2のハウジングとともにノズル5が一体構造物として構成されているので、部品点数を更に削減することができる。
【0176】
(第五実施形態)
次に、第五実施形態に係るクリーナ付きカメラについて、
図16および
図17A,17Bを参照して説明する。なお、上述した第一実施形態と同一番号を付した部分については、同じ機能であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
図16は、第五実施形態に係るクリーナ付きカメラ90の断面図である。
【0177】
図16に示すように、クリーナ付きカメラ90(クリーナ付きセンサの一例)は、車載カメラ100D(センサ部の一例)とクリーナ10Dとを備えている。クリーナ付きカメラ90は、車載カメラ100Dのハウジングの少なくとも一部と、クリーナ10Dにおけるノズル5とが一体構造物として構成されている。本例では、
図17A,17Bに示すように、車載カメラ100Dの基台ハウジング102と、ノズル5とが一体構造物71Dとして構成されている。なお、「一体構造物」とは、第三実施形態と同様、一体成形により一体化された構造物を意味する。
【0178】
ブラケット6の前壁には管路63が設けられている。管路63の前端には、一体構造物71Dを構成するノズル5が機械的に連結されている。また、管路63の後端には、ポンプ2の圧縮室22の排気口24が機械的に連結されている。ノズル5は、管路63を介して排気口24と連通され、ブラケット6の前面から前方に延びるように設けられている。ノズル5とともに一体構造物71Dを構成する基台ハウジング102は、開口部62を介してブラケット6に取り付けられている。基台ハウジング102上には、撮像素子104を備える回路基板105が取り付けられている。また、基台ハウジング102の周縁部には、撮像素子104と対向する位置にレンズ101が取り付けられた周囲ハウジング103が取り付けられている。
【0179】
このような構成のクリーナ付きカメラ90によれば、車載カメラ100Dの基台ハウジング102と、ノズル5とが一体構造物71Dとして構成されているので、部品点数を削減することができる。
【0180】
(第六実施形態)
次に、第六実施形態に係るカメラ内蔵サイドターンシグナルランプ(以下、カメラ内蔵STSLと称する)について、
図18を参照して説明する。なお、上述した第一実施形態と同一番号を付した部分については、同じ機能であるため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0181】
以下に示した第六実施形態は、本発明をカメラ内蔵STSLに適用したものである。なお、本発明の適用範囲は、STSLに限られることはなく、内部にカメラモジュールが配置されている構成であれば、ヘッドランプ、クリアランスランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ、ハイマウントストップランプ、フットランプ等またはこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車両用灯具に広く適用することができる。
【0182】
図18に示すように、カメラ内蔵STSL300(クリーナ付きセンサの一例)は、ランプボディ301(ブラケットの一例)と、アウターカバー302(洗浄対象物の一例)とを備えている。ランプボディ301は、車体パネル200aに取り付けられている。ランプボディ301とアウターカバー302とから構成される灯室内には、基板109が配置されている。基板109には、制御部(図示省略)に向けて配線されるケーブル106が接続されている。基板109上には車載カメラ100Eが搭載されている。車載カメラ100Eは、基台ハウジング102と、周囲ハウジング103とを備えている。基台ハウジング102には、撮像素子104が搭載された回路基板105が取り付けられている。周囲ハウジング103の撮像素子104と対向する面には、レンズ101が設けられている。
【0183】
基板109上には、車載カメラ100Eと並列して、例えば発光ダイオード(LED)から構成される発光素子107が搭載された回路基板108が取り付けられている。発光素子107は、基板109の長手方向において、ケーブル106が配置された側の端部と反対側の端部に配置されている。
【0184】
アウターカバー302は、車載カメラ100Eのレンズ101と対向する位置に配置された透過窓303を備えている。透過窓303は、ステップの形成されていない平板面から構成されている。また、アウターカバー302の内面には、発光素子107に対向する位置において、光拡散用のレンズステップ304が形成されている。
【0185】
ランプボディ301の、アウターカバー302が取り付けられた面とは反対側の面には、クリーナ1のポンプ2が取り付けられている。すなわち、ポンプ2がランプボディ301と一体的に構成されている。ポンプ2は、駆動部21と、駆動部21の動作に基づいて空気を圧縮して高圧空気を生成する圧縮室22とを備えている。本実施形態においては、圧縮室22(を構成する筐体)がランプボディ301に当接しており、圧縮室22で生成された高圧空気を噴射するノズル5が、ランプボディ301と、例えば一体に形成されている。ノズル5の開口は、アウターカバー302の透過窓303の近傍に位置しており、ノズル5から噴射される高圧空気は透過窓303に向けて吹き付けられる。これにより、アウターカバー302、特に透過窓303に付着した異物を適切に除去することができる。
【0186】
このような構成のカメラ内蔵STSL300によれば、ポンプ2がカメラ内蔵STSL300のランプボディ301と一体的に構成され、ポンプ2により生成された高圧空気がノズル5の開口から洗浄対象物であるアウターカバー302の透過窓303に吹き付けられる。これにより、カメラ内蔵STSL300に一体構成されるクリーナ1の省スペース化が可能となるとともに、部品点数を削減することができる。
【0187】
(第七実施形態)
以下、第七実施形態について、
図19~
図30を参照して説明する。なお、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
カメラ100は、
図19に示すように、例えば立方体形状に形成されており、カメラ100のレンズ101が車体パネル200a(
図1参照)の外側に向けて露出した状態となるように車体パネル200aに取り付けられている。カメラ100内には撮像部(図示省略)が設けられており、当該撮像部を覆うように形成されたハウジング102の前面にレンズ101が設けられている。レンズ101には画角の広い(例えば、170度以上の)凸レンズが用いられている。なお、レンズ101には、この他に例えば表面が平面的(フラット)なレンズが用いられても良い。
なお、カメラ100は、バックカメラに限られず、例えば、車両Vの前方あるいは側方を確認するためのカメラであって、クリーナ1と共に車両Vの前方側あるいは側方側の車体パネル200aに取り付けられても良い。
【0188】
クリーナ1001は、洗浄用の高圧空気を生成するポンプ2(生成部の一例)と、高圧空気をカメラ100のレンズ101に向けて噴射するノズル1003とを備えている。以下では、ポンプ2により高圧空気を送り出す方向(ノズル側)を前方とし、高圧空気の送出方向とは反対方向を後方とする。また、クリーナ1001において、ノズル1003側を上方とし、カメラ100側を下方とする。
【0189】
ノズル1003は、カメラ100の上面に沿って前方へ延びるジョイント管路部1031と、ジョイント管路部1031の前端に連続して形成され下方へ延びる噴出部1032とを有している。
ジョイント管路部1031は、後端に高圧空気が流入する流入口が設けられており、この流入口がポンプ2の排気口に接続されている。
噴出部1032は、高圧空気を噴出するノズル1003の先端側の部分であり、噴出部1032の先端には横長(例えば、長方形、楕円形等)に開口する噴射開口部1033が設けられている。ジョイント管路部1031の流入口に流入した高圧空気は、ジョイント管路部1031および噴出部1032内に形成されている連通路1034を通り、噴出部1032の噴射開口部1033からレンズ101に向けて噴射される。
【0190】
ノズル1003は、例えば樹脂材で形成されている。なお、ノズル1003の材質としては、樹脂よりも剛性が低いゴム材料、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)等を用いても良い。ゴム材料の場合、ノズル1003の組み付け(引き回し)の容易さ、組み付け時の干渉・破損防止等に適している。また、本例ではノズル1003とポンプ2とが近い位置に配置されているが、例えば両者が離れた遠い位置に配置され、ゴム材料からなるホースを間に介して連結されるような場合、ノズル1003をゴム材料で形成することでノズル1003とホースとを一体化することが可能となる。EPDMは、レンズ面の汚染防止のために架橋剤の含有量が少ないものが好ましい。また、EPDMは、硫黄加硫あるいはパーオキサイド加硫によって熱硬化されるが、レンズ面の汚染防止のためにはパーオキサイド加硫(過酸化物加硫)を行うことが好ましい。さらに、EPDMから架橋剤等を除去するために、パーオキサイド加硫の後に二次加硫(再加熱)することが好ましい。
【0191】
図20は、カメラ100を示す側面図であり、
図21は、カメラ100を示す正面図である。
図20において、カメラ100のレンズ101の中心点101Aを通りカメラ100の前後方向へ延びるレンズ101の中心軸を第一の軸111とする。また、第一の軸111に直交してカメラ100の上下方向に延び、レンズ(凸レンズ)101に接する接線を第二の軸112とする。なお、レンズ101がフラットなレンズである場合には、第一の軸111に直交してカメラ100の上下方向に延び、レンズ101の表面を通る軸を第二の軸112とする。また、
図21において、第二の軸112と直交してカメラ100の左右方向に延びる軸を第三の軸113とする。
【0192】
このようなカメラ100において、レンズ101の中心点101Aからレンズ101の外端部までの第二の軸112に沿った距離をh(mm)とする。さらに、レンズ101の中心点101Aからカメラ100のハウジング102の外縁部102Aまでの第二の軸112に沿った距離をd(mm)とする。カメラ100のレンズ101としては、例えば、カメラ100の上下方向(すなわち第二の軸112)に沿った縦幅Wdが8mm以上12mm以下、およびカメラ100の左右方向(すなわち第三の軸113)に沿った横幅Whが8mm以上12mm以下のものが用いられる。すなわち、レンズ101の距離hは、例えば、4mm以上6mm以下である。また、ハウジング102としては、例えば、レンズ中心点101Aからハウジング102の外縁部102Aまでの距離dが4mm以上13.5mm以下のものが用いられる。
【0193】
図22は、クリーナ1のカメラ100とノズル1003とを示す正面図である。
図23、
図24は、それぞれ
図22のA-A線における断面図である(カメラ100の内部構造は省略している)。なお、
図24のノズルは、
図23のノズルとは異なる形態を図示したものである。
図23に示すように、ノズル1003の噴出部1032は、カメラ100の前面と対向するように配置されている前壁1041(第一の壁部の一例)と、前壁1041の後側に当該前壁1041と対向するように配置されている後壁1042とを有している。
ノズル1003は、前壁1041の先端(
図23において下端)とレンズ101の第一の軸111との間の最短距離がH(mm)となるように配置されている。また、ノズル1003は、前壁1041の内面1041a(
図23において右面)の先端aとレンズ101の第二の軸112との間の最短距離がT(mm)となるように配置されている。
また、ノズル1003は、
図24に示すように、前壁1041の内面1041aと第二の軸112とのなす角度がθとなるように配置されている。
【0194】
この場合、例えば、最短距離Hおよび最短距離Tは、下記の式1のような条件を満たす範囲に配置される。
h-1(mm)≦H≦h+6(mm)、かつ、0(mm)≦T≦H×tanθ+0.5(mm)・・・(式1)
ただし、
h(mm):レンズ101の中心点101Aからレンズ101の外端部までの距離、
である。
【0195】
この条件式(1)に基づいて算出すると、前壁1041は、最短距離Hが3mm以上31mm以下であり、かつ、最短距離Tが0mm以上5.5mm以下となる範囲に配置されることが好ましい。最短距離Hが3mmよりも短いと、ノズル1003がカメラ100の撮像画像に映り込んでしまう可能性がある。最短距離Hが31mmよりも長いと、レンズ101に付着した異物を除去する性能が不十分となる可能性が高い。また、最短距離Tが0mmよりも短い(すなわち、前壁1041の内面1041aの先端aが第二の軸112よりも後方に位置する)と、異物除去性能が不十分となる可能性が高い。最短距離Tが5.5mmよりも長いと、ノズル1003がカメラ100の撮像画像に映り込んでしまう可能性がある。
なお、レンズ101として、縦幅Wdが8mm以上12mm以下のものを用いる場合には、最短距離Hは3mm以上12mm以下であることがより好ましい。
【0196】
また、前壁1041の内面1041aと第二の軸112とのなす角度θは、0度以上45度以下、より好ましくは0度以上10度以下であることが好ましい。角度θが0度よりマイナス側に配置されると、異物除去性能が不十分となる可能性が高い。また、角度θが45度以上であると、ノズル1003がカメラ100の撮像画像に映り込んでしまう可能性がある。なお、角度θ=0度とは、例えば
図23に示されるノズル3のように、前壁1041が第二の軸112に対して平行に配置されている場合を意味する。
【0197】
図25は、ノズル1003の噴出部1032の構成を説明する図であり、
図22のA-A線における断面図である(カメラ100の内部構造は省略している)。
図25に示すように、噴出部1032の前壁1041における所定長の先端部1041b(
図25において前壁1041の下端部分)は、第二の軸112に沿ったフラット形状に形成されている。
この先端部1041bの長さをL(mm)としたとき、長さLは、下記の式2のような条件を満たす。
0.5(mm)≦L≦d-h+2.5(mm)・・・(式2)
ただし、
d(mm):レンズ101の中心点101Aからハウジング102の外縁部102Aまでの第二の軸112に沿った距離、
である。
【0198】
この条件式(2)に基づいて算出すると、長さLは、例えば0.5mm以上10.0mm以下であることが好ましい。
このように、噴出部1032の先端部1041bをフラット形状とすることにより、噴射開口部1033からレンズ101の表面に向けて噴射される高圧空気の洗浄効率が高まる。特に、以下で詳述する前壁1041とジョイント管路部1031との連結部分(
図26の湾曲部1035)を通過してきた高圧空気がフラット形状の先端部1041bを流れることで洗浄効率がさらに高まる。なお、長さLが10.0mmより長いとノズル1003を含むクリーナ1001全体のサイズがカメラ100に対して必要以上に大きくなってしまうため、フラット形状の先端部1041bの長さLは一定範囲内に収めることが好ましい。
【0199】
図26は、ノズル1003内に形成されている連通路1034の構成を説明する図であり、
図22のA-A線における断面図である(カメラ100の内部構造は省略している)。
図26に示すノズル1003において、噴出部1032の前壁1041の内面1041aとジョイント管路部1031の内面1031aとのなす角度γ、すなわち、ノズル1003内の連通路1034が屈曲している角度γは、例えば90度以上170度以下、より好ましくは90度以上120度以下となるように形成されている。また、噴出部1032とジョイント管路部1031との連結部分は、湾曲部1035として形成されている。湾曲部1035は、連通路1034の内側(
図26において後側)における曲げ半径がR1(mm)以上となるように形成されていることが好ましい。すなわち、噴出部1032とジョイント管路部1031とがR1(mm)以上の内接円を有する湾曲部1035で連結されていることが好ましい。
角度γを上記範囲となるよう設定することにより、連通路1034内を高圧空気がスムーズに流れやすくなる。また、湾曲部1035の曲げ半径をR1(mm)とすることにより、さらに高圧空気の流れが良くなる。
【0200】
図27は、カメラ100と、クリーナ1001のノズル1003とを示す正面図である。
図27に示すノズル1003において、第三の軸113に沿った前壁1041の幅W(mm)、すなわち、噴射開口部1033の左右方向における開口幅W(mm)は、下記の式3のような条件を満たすように規定される。
Wh-2(mm)≦W≦Wh・・・(式3)
ただし、
Wh(mm):第三の軸113に沿ったレンズ101の横幅、
である。
【0201】
この条件式(3)に基づいて算出すると、レンズ101として横幅Whが8mm以上12mm以下のものを用いる場合には、開口幅Wは、2mm以上12mm以下であることが好ましい。
【0202】
また、
図27に示すように、ノズル1003には前壁1041の左右の側面からレンズ101に向けて(
図27において紙面の奥行き方向に向けて)延出される一対の側壁1043a,1043b(第二の壁部の一例)が形成されている。なお、側壁については、例えば後述する
図29の側壁1043a,1043bを参照されたい。
この一対の側壁1043a,1043b同士のなす角度をωとしたとき、角度ωは、下記の式4のような条件を満たす。
【数2】
・・・(式4)
【0203】
この条件式(4)に基づいて算出すると、ノズル1003は、0度以上70度以下の角度ωをなして、レンズ101に向けて(
図27において上から下に向かって)開くように形成されていることが好ましい。なお、角度ω=0度とは、例えば
図22に示されるノズル1003のように、前壁1041の幅(左右方向の長さ)が変化せず、側壁同士が平行に配置されている場合を意味する。
側壁1043a,1043b同士に所定の角度ωを持たせ、ノズル1003の連通路1034を噴射開口部1033に向けて広がるように形成することで、レンズ101の表面に向けて噴射される高圧空気の洗浄効率が高まる。
【0204】
図28、
図29は、それぞれ
図22のB-B線における断面図である(カメラ100の内部構造は省略している)。
図29においては、カメラ100によって隠れているノズル1003の一部分(後述の後壁1042)を想像線にて図示している。
図28に示すカメラ100において、第三の軸113に沿ったレンズ101(例えば、凸レンズ)の表面の曲率半径をr(mm)とする。また、ノズル1003において、第三の軸113に沿った前壁1041の曲率半径をR(mm)とする。
このとき、レンズ101表面の曲率半径rとノズル1003の前壁1041の曲率半径Rとは、下記の式5のような条件を満たす。
r≦R≦r+50(mm)・・・(式5)
【0205】
曲率半径Rが曲率半径rに対してこのような関係を満たすことにより、高圧空気がノズル1003の噴射開口部1033からレンズ101の表面に向けてムラなく噴射されて洗浄効率が高まる。
【0206】
また、
図29に示すノズル1003において、噴射開口部1033は、前壁1041と、一対の側壁1043a,1043bと、後壁1042(すなわち、一対の側壁1043a,1043bの前壁1041とは反対の端部同士を繋ぐ直線)とで画成されている。
この噴射開口部1033の開口面積をS(mm
2)としたとき、開口面積Sは、下記の式6のような条件を満たすように規定される。
7.5(mm
2)≦S≦W×(T+2)・・・(式6)
ただし、
W(mm):噴射開口部1033の左右方向における開口幅、
T(mm)=前壁1041の内面1041aの先端aとレンズ101の第二の軸112との間の最短距離、
である。
【0207】
この条件式(6)に基づいて算出すると、最短距離Tが0mm以上5.5mm以下であり、Wが2mm以上12mm以下である場合に、開口面積Sは、7.5mm2以上90mm2以下であることが好ましい。
噴射開口部1033の開口面積Sを上記所定範囲の大きさとすることにより、レンズ101の表面に対して高圧空気が効率よく噴射され洗浄効率が高まる。
【0208】
図30は、クリーナ1001のカメラ100とノズル1003とを示す正面図である。
図30に示すように、カメラ100の正面視において、ノズル1003の前壁1041の中心軸1036が第二の軸112に対して時計回りの方向に回転する角度を+α、反時計回りの方向に回転する角度を-αとする。
この場合、ノズル1003は、その中心軸1036と第二の軸112とのなす角度αが、-60度以上+60度以下となるように、より好ましくは、角度αが-20度以上+20度以下となるように、カメラ100に対して配置され得る。
角度αを上記所定範囲とすることにより、例えば、カメラ100の周辺に他の部材が配置されているような場合にも、ノズル1003の洗浄効率を低下させることなく上記他の部材を回避した位置にノズル1003を配置可能である。
【0209】
以上のような構成のクリーナ1001によれば、上記の式(1)の条件を満たすことにより、カメラ100の撮像画像に映り込まない位置にノズル1003を配置させることができるとともに、カメラ100のレンズ101上の異物を除去する性能を向上させることができる。
また、上述した具体的な各構成条件を満たすことにより、カメラレンズ上の異物を除去する性能をさらに向上させることができる。
【0210】
(第八実施形態)
以下、第八実施形態の一例について、
図31~
図36を参照して説明する。なお、第一実施形態等と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図31に示すように、クリーナ2001は、例えば車両Vのバックドア200の車体パネル200aに取り付けられる。車体パネル200aには、例えばボディパネル,ガーニッシュ等が含まれる。クリーナ2001は、駆動部を備えており、駆動部は車両Vの電源ラインに接続されている。クリーナ2001は、駆動部の動作を制御するクリーナECU2025(Electronic Control Unit、制御部の一例)を備えており、クリーナECU2025によって例えば電源ラインから駆動部への電力の供給が制御される。
【0211】
クリーナECU2025には、車両の動作を制御する車両ECU210が接続されている。車両ECU210には、汚れセンサ211、温度センサ212、レインセンサ213、車速センサ214、シフトレンジセンサ215等が接続されている。汚れセンサ211は、洗浄対象物の洗浄面に異物が付着しているか否かを検出する。汚れセンサ211は、図示は省略するが例えばLED(発光ダイオード)から光を出射して対象物(ここでは、例えば車載カメラのレンズ)に投射し、当該レンズで反射された光をPD(フォトダイオード)で受光し、その受光量の変化からレンズ表面の汚れを検出するように構成されている。温度センサ212は、車両Vの周囲の外気温度を検出する。レインセンサ213は、降雨の有無を検出する。車速センサ214は、車両Vの走行速度(車速)を検出する。シフトレンジセンサ215は、車両Vの変速機のシフトレンジ(シフトポジション)を検出する。すなわち、シフトレンジセンサ215は、シフトレバーがパーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジのいずれにシフトされたかを検出する。
【0212】
クリーナ2001は、洗浄対象物の洗浄面に付着する異物を高圧空気で洗浄(除去)する装置(異物除去装置)、あるいは洗浄対象物の洗浄面に異物が付着するのを高圧空気で防止する装置(異物付着防止装置)として適用される。
【0213】
洗浄対象物としては、車両に搭載される各種の車載センサの他に、例えば車両用灯具やフロント/リアウィンドウ等が含まれても良い。車載センサには、
図31に示すような車両Vの後方を確認するための車載カメラ100が含まれる。車載カメラ100は、クリーナ2001と共に車両Vの車体パネル200aに取り付けられ得る。車載カメラ100には、例えば、シフトポジションがリバースレンジに切り替えられたとき(シフトレバーがリバースレンジにシフトされたとき)に車両の後方映像を撮像してナビゲーション装置などのモニタ画面に当該後方映像を表示することで後方視界を確認することができるバックカメラや、走行中に車両の後方映像を撮像してバックミラー(あるいはサイドミラー)型モニタに当該映像を表示するためのバックミラー(あるいはサイドミラー)用カメラ等が含まれる。車両用灯具には、例えばヘッドランプ、リアランプ等が含まれる。洗浄対象物の洗浄面としては、カメラのレンズ、ランプのアウターカバー等が含まれる。付着する異物には、水滴、泥、塵埃、凍結などによる着氷等が含まれる。
なお、車載カメラ100は、バックカメラに限られず、例えば、車両Vの前方あるいは側方を確認するためのカメラであって、クリーナ2001と共に車両Vの前方側あるいは側方側の車体パネル200aに取り付けられても良い。
【0214】
図32および
図33に示すように、クリーナ2001は、洗浄用の高圧空気を生成するポンプ2002(生成部の一例)と、高圧空気を車載カメラ100のレンズ101に向けて噴射するノズル2004と、高圧空気の噴射を制御するクリーナECU2025とを備えている。以下では、ポンプ2002により高圧空気を送り出す方向(ノズル側)を前方とし、高圧空気の送出方向とは反対方向を後方とする。また、クリーナ2001において、ノズル2004側を上方とし、車載カメラ100側を下方とする。
【0215】
ポンプ2002とノズル2004とは、車載カメラ100を支持するブラケット2006を介して一体的に構成されている。ブラケット2006は、例えば矩形の蓋状に形成されており、開口側である後方には車両Vに取り付けられる取付腕部2061が設けられている。ブラケット2006は、取付腕部2061に設けられた例えば爪部2061aを、車体パネル200aに形成された開口部201に係合することにより車体パネル200aに取り付けられる。
【0216】
ポンプ2002は、ブラケット2006の後側に取り付けられ、ブラケット2006が車体パネル200aに取り付けられた際には車体パネル200aの内側に配置される。ポンプ2002は、ポンプ2002を動作させる駆動部2021と、空気を圧縮する圧縮室2022とを備えている。駆動部2021は、例えばモータからなる。圧縮室2022は、外部の空気を取り入れる吸気口(図示省略)と、圧縮した高圧空気をノズル2004に向け排出する排気口2024とを有している。ポンプ2002にはクリーナECU2025がケーブル2026を介して接続されている。このような構成によれば、ポンプ2002を例えば外気環境の影響を受けにくい車室内に収容することができ、防水性を担保しつつ、比較的温度の高い高圧空気を生成することができる。
【0217】
ノズル2004は、ブラケット2006の前面から延出するように取り付けられ、車体パネル200aの外側に向けて露出した状態となるように設けられている。ノズル2004の前端の噴射口2041は、車載カメラ100のレンズ101に向くように形成されている。ノズル2004の後端の流入口2042は、ブラケット2006に形成された管路2062を介して、高圧空気が排出されるポンプ2002の排気口2024と連通している。
【0218】
車載カメラ100は、ブラケット2006の前面において、ノズル2004と並ぶようにしてノズル2004の下側に配置されている。車載カメラ100は、レンズ101が車体パネル200aの外側に向けて露出した状態となるように車体パネル200aに取り付けられている。車載カメラ100内には撮像部102が設けられており、当該撮像部102を覆うようにして車載カメラ100の前面にレンズ101が設けられている。
ポンプ2002から排出された高圧空気は、ノズル2004内に形成されている連通路を通り、ノズル2004の噴射口2041から車載カメラ100のレンズ101に向けて噴射される。
【0219】
次に、クリーナ2001の動作例を
図34~
図36のフローチャートを参照しつつ説明する。
車両VがイグニッションONにされ(イグニッションスイッチがオン操作され)電源ラインを通じて各部に電圧が供給されると、車両ECU210に接続されている汚れセンサ211、温度センサ212、レインセンサ213、車速センサ214、シフトレンジセンサ215等が各検出動作を開始する。これらの検出情報は、信号ラインを介して車両ECU210からクリーナECU2025へ送信される。
【0220】
(動作例1)
図34に示すように、例えば車両Vの走行中において、クリーナ2001のクリーナECU2025は、車両ECU210から送信されてきた汚れセンサ211の検出情報に基づいて、車載カメラ100のレンズ101に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS101)。汚れセンサ211によりレンズ101の異物の有無を検出する方法に代えて、モニタ画面に表示される後方映像を画像認識することで異物の付着を検出しても良い。
【0221】
異物が付着していると判定された場合(ステップS101のYes)、クリーナECU2025は、ポンプ2002を作動させて高圧空気を生成し、レンズ101に付着している異物を除去するための異物除去モードを実行する(ステップS102)。異物除去モードでは、ポンプ2002で生成された高圧空気をノズル2004からレンズ101に向けて、例えば所定の時間、連続的に噴射させる。この高圧空気の噴射は、ステップS101の判定において、異物が付着していないと判定されるまで繰り返される。
【0222】
これに対して、異物が付着していると判定されなかった場合(ステップS101のNo)、クリーナECU2025は、レンズ101に異物が付着することを防止するための異物付着防止モードを実行する。具体的には、例えば、クリーナECU2025は、温度センサ212の検出情報に基づいて、車両Vの外気温度が所定温度(例えば3℃)以下であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0223】
外気温度が3℃以下であると判定された場合(ステップS103のYes)、クリーナECU2025は、ポンプ2002を作動させて高圧空気を生成し、レンズ101に異物が付着することを防止するための例えば常時作動モードを実行する(ステップS104)。異物付着防止モードには複数の作動モード、例えば上記「常時作動モード」の他に、「第一間欠作動モード」、「第二間欠作動モード」等が設けられている。常時作動モードは、高圧空気をレンズ101に向けて常時噴射させるモードである。第一間欠作動モードは、高圧空気を所定の周期(例えば、10秒間隔)で間欠的にレンズ101に向けて噴射させるモードである。第二間欠作動モードは、上記第一間欠作動モードよりも短い周期(例えば、5秒間隔あるいは2秒間隔)で高圧空気をレンズ101に向けて噴射させるモードである。
【0224】
これに対して、外気温度が3℃以下ではないと判定された場合(ステップS103のNo)、クリーナECU2025は、クリーナ2001を作動させない(高圧空気の噴射を行わない)(ステップS105)。その後、クリーナECU2025は、ステップS101に戻り、上述した各ステップの処理を繰り返す。
【0225】
このようなクリーナ2001によれば、車載カメラ100のレンズ101に異物が付着しているかどうかに応じて作動モードを切り替えることで、クリーナ2001の寿命低下を防止しつつ、効率的に高圧空気をレンズ101へ噴射させることができる。また、外気温度が3℃以下である場合、すなわち、レンズ101の凍結が予想される状況の場合には、常時作動モードを実行して、車体パネル200a内部に配置されるポンプ2002で生成される比較的温度の高い高圧空気をレンズ101へ常時噴射させることで、レンズ101への着氷や凍結を確実に防止することができる。
【0226】
なお、クリーナECU2025は、汚れセンサ211による異物付着の判定に関わらず、温度センサ212の検出情報に基づいて、車両Vの外気温度が3℃以下である場合には常に、常時作動モードを実行しても良い。すなわち、
図34において、ステップS101およびステップS102を省略しても良い。このように、レンズ101に異物が付着していない場合でも、所定の条件を満たすとき(例えば外気温度が3℃以下である場合)には高圧空気を生成して常時噴射させる常時作動モードを実行することで、レンズ101への異物の付着、特に着氷または凍結を防止可能である。また、外気温度が3℃よりも高く、レンズ101の凍結が予想されない場合には、クリーナ2001を作動させないため、クリーナ2001の各部品の消耗を抑制し、長寿命なクリーナ2001を提供することができる。
【0227】
(動作例2)
図35に示すように、例えば車両Vの走行中において、クリーナ2001のクリーナECU2025は、車両ECU210から送信されてきたレインセンサ213の検出情報に基づいて、雨が降っているか否かを判定する(ステップS111)。なお、レインセンサ213の検出情報に替えて、ワイパースイッチがオンされているか否かに基づいて雨が降っているか否かを判定しても良い。また、この他に例えば、雪が降っているか否かあるいは凍結が生じているか否かを判定するようにしても良い。
【0228】
雨が降っていると判定された場合(ステップS111のYes)、クリーナECU2025は、温度センサ212の検出情報に基づいて、車両Vの外気温度が3℃以下であるか否かを判定する(ステップS112)。
外気温度が3℃以下であると判定された場合(ステップS112のYes)、クリーナECU2025は、ポンプ2002を作動させて高圧空気を生成し、レンズ101に異物(特に、氷)が付着することを防止するための常時作動モード(上記動作例1参照)を実行する(ステップS113)。その後、クリーナECU2025は、ステップS111に戻り、上述した各ステップの処理を繰り返す。
【0229】
これに対して、外気温度が3℃以下ではないと判定された場合(ステップS112のNo)、クリーナECU2025は、車速センサ214の検出情報に基づいて、車両Vの走行速度が所定速度(例えば、50km/h)以下であるか否かを判定する(ステップS114)。
走行速度が50km/h以下であると判定された場合(ステップS114のYes)、クリーナECU2025は、ポンプ2002を作動させて高圧空気を生成し、レンズ101に異物(特に、雨滴)が付着することを防止するために第一間欠作動モードを実行する(ステップS115)。その後、クリーナECU2025は、ステップS111に戻り、上述した各ステップの処理を繰り返す。
【0230】
これに対して、走行速度が50km/hより速いと判定された場合(ステップS114のNo)、クリーナECU2025は、レンズ101に異物(特に、雨滴および周囲の車により巻き上げられた水滴)が付着することを防止するために第一間欠作動モードよりも噴射間隔の短い第二間欠作動モードを実行する(ステップS116)。その後、クリーナECU2025は、ステップS111に戻り、上述した各ステップの処理を繰り返す。
【0231】
また、ステップS111において、雨が降っていないと判定された場合には(ステップS111のNo)、クリーナECU2025は、クリーナ2001を作動させない(ステップS117)。
【0232】
そして、クリーナECU2025は、クリーナ2001の作動スイッチがオンされているか否か、すなわち、車両Vを運転しているユーザがクリーナ2001の作動スイッチをオン操作しているか否かを判定する(ステップS118)。ユーザは、例えば、シフトレバーをリバースレンジにシフトしたときにバックカメラである車載カメラ100により撮像されナビゲーション装置などのモニタ画面に表示される車両Vの後方映像が水滴等の異物の付着により見難いと判断した場合に、クリーナ2001の作動スイッチをオン操作し得る。あるいは、ユーザは、バックミラー(サイドミラー)用カメラである車載カメラ100により撮像されバックミラー(サイドミラー)型モニタに表示される後方映像が異物の付着により見難いと判断した場合にも、クリーナ2001の作動スイッチをオン操作し得る。
【0233】
クリーナ2001の作動スイッチがオンされていると判定された場合(ステップS118のYes)、クリーナECU2025は、ユーザが選択した任意の作動モード、例えば、常時作動モード、第一間欠作動モード、第二間欠作動モードのいずれかを実行する(ステップS119)。その後、クリーナECU2025は、ステップS111に戻り、上述した各ステップの処理を繰り返す。
【0234】
これに対して、クリーナ2001の作動スイッチがオンされていないと判定された場合には(ステップS118のNo)、クリーナECU2025は、クリーナ2001を作動させることなく、ステップS111に戻る。
【0235】
このようなクリーナ2001によれば、車載カメラ100のレンズ101の凍結が高確率で予想される状況(例えば雨が降っていて外気温度が3℃以下である場合)においては、高圧空気をレンズ101へ常時噴射させることで、レンズ101への着氷または凍結を防止したり、レンズ101の解氷を行うことができる。
また、外気温度が3℃より高い場合であっても、車両Vの走行速度が一定速度より速い場合(高速走行の場合)には、周囲の車両による雨滴の巻き上げ等により、低速走行の場合よりもレンズ101に雨滴が付着しやすくなる。そのため、車両Vの走行速度に応じて、作動モードを第一間欠作動モードと第二間欠作動モードとの間で切り替えつつ、高圧空気をレンズ101へ間欠的に噴射させることで、レンズ101へ付着した雨滴等の異物を効率的に除去することができる。
このように、レンズ101への異物の予想される付着状況に応じて作動モードを適切に切り替えることで、クリーナの寿命低下を抑制しつつ、効率的に高圧空気をレンズ101へ噴射させることができる。
【0236】
(動作例3)
次に、
図36を参照して、車載カメラ100がバック走行時にモニタ画面により後方視界を確認するためのバックカメラである場合の、クリーナ2001の動作を説明する。
図36において、ステップS121からステップS127の各動作は、上記
図35の動作例2におけるステップS111からステップS117までの各動作と同様である。
【0237】
本例において、ステップS123,S125,S126の各作動モードの実行が終了すると、クリーナECU2025は、車両ECU210から送信されてきたシフトレンジセンサ215の検出情報に基づいて、シフトレバーがリバースレンジにシフトされているか否かを判定する(ステップS128)。
【0238】
リバースレンジにシフトされていると判定された場合(ステップS128のYes)、クリーナECU2025は、ポンプ2002を作動させて高圧空気を生成し、レンズ101に異物が付着することを防止するために常時作動モードを実行する(ステップS129)。クリーナECU2025は、ステップS129で常時作動モードを実行した後、車両ECU210に常時作動モードを実行したことを示す信号を送信する。その後、車両ECU210は、車両Vのバック走行動作を行う。
【0239】
これに対して、リバースレンジにシフトされていないと判定された場合には(ステップS128のNo)、クリーナECU2025は、ステップS128の前に実行されていたステップS123,S125,S126の各作動モードの実行を維持する(ステップS130)。例えば、ステップS128の前にステップS125として第一間欠作動モードが実行されていた場合には、ステップS130においても第一間欠作動モードを実行する。
【0240】
また、ステップS121において雨が降っていないと判定され、クリーナ2001の不作動である場合にも(ステップS127)、クリーナECU2025は、車両ECU210から送信されてきたシフトレンジセンサ215の検出情報に基づいて、シフトレバーがリバースレンジにシフトされているか否か判定する(ステップS131)。
【0241】
リバースレンジにシフトされていると判定された場合(ステップS131のYes)、クリーナECU2025は、常時作動モードを実行する(ステップS129)。これに対して、リバースレンジにシフトされていないと判定された場合には(ステップS131のNo)、クリーナECU2025は、リバースレンジにシフトされていると判定されるまでステップS131の判定を繰り返す。
【0242】
このようなクリーナ2001によれば、上記動作例2と同様の作用効果を奏する。また、車両Vがバック走行を開始することが予想される状況において、常時作動モードを実行することで、バックカメラである車載カメラ100のレンズ101へ付着した雨滴や氷等の異物を確実に除去することができ、視認性の良好な後方映像をモニタ画面に表示させることができる。
【0243】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0244】
上述の例ではクローポンプについて記載したが、本発明に係る回転容積式ポンプは、これに限られない。例えば、ベーン型のポンプやルーツポンプを用いても良い。
【0245】
図37、
図38および
図39を参照して、ルーツポンプ2bの具体的構成について詳述する。
ルーツポンプ2bは、圧縮室122を形成するシリンダ130と、一対の回転軸134、134aと、一対のロータ135と、吸気口123、123a~123dと、排気口124と、回転駆動装置136とを備えている。
【0246】
シリンダ130は、2つの円の一部を重ね合わせた断面形状を有する筒部131と、筒部131の前端面に取り付けられる前側壁132と、筒部131の後端面に取り付けられる後側壁133とから構成されている。
【0247】
回転駆動装置136は、駆動部121と一対の動力伝達ギヤ137とから構成されている。駆動部121は、駆動軸121aを有している。駆動軸121aは、動力伝達ギヤ137の駆動軸として機能すると共に、ロータ135の回転軸としての機能も兼ねている。一対の動力伝達ギヤ137は、互いに噛合うように形成されている。一方の動力伝達ギヤ137は、その中心に孔137aを有し、その孔137aに挿入された駆動軸121aに回転軸134aを介して固定され、駆動軸121aと共に回転する。他方の動力伝達ギヤ137は、回転軸134に取り付けられている。回転軸134および駆動軸121aの軸方向はそれぞれ、ブラケット6の前面側に設けられているノズル5の延出方向と略一致している。回転軸134は、駆動軸121aに平行で反対方向へ同期回転するように構成されている。駆動軸121aによって一方の動力伝達ギヤ137が回転されることにより、駆動軸121aに固定された回転軸134aおよび回転軸134は動力伝達ギヤ137を介して互いに反対方向に回転するように構成されている。回転駆動装置136は、駆動軸121aに固定された回転軸134aおよび回転軸134を介して、一対のロータ135を回転駆動させる。
【0248】
一対のロータ135は、シリンダ130内に収容され、回転軸134および駆動軸121aにそれぞれ固定されている。回転軸134および駆動軸121aはそれぞれ、固定されたロータ135の後側がプレート139で支持されている。各々のロータ135には、その外周に螺旋状に延びた複数の突条部が形成されている。一対のロータ135の突条部は、互いに反対の方向に螺旋状に延びており、互いに接触状態で噛合うように形成されている。また、複数の突条部とシリンダ130により、シリンダ130内には複数の螺旋状の空間が形成される。一対のロータ135は、回転軸134、134aの反対方向の回転に伴ってシリンダ130内で突条部を噛合わせることにより、吸気口123から取り入れた空気を圧縮しつつロータ135の回転とともにその螺旋状の空間に沿って送り、圧縮した圧縮空気を排気口124から排気する。
【0249】
吸気口123、123a~123dおよび排気口124は、圧縮室122にそれぞれ連通するように形成されている。前側壁132の前面の下側には、前方に突出した突出部132aが形成されている。この突出部132aの側壁に吸気口123が形成され、突出部132aの後側壁に吸気口123a~123dが形成されている。
図39の矢印で示すように、吸気口123から取り入れた空気は、吸気口123a~123dを介して圧縮室122に取り入れられる。排気口124は、ノズル5に近い側壁である前側壁132に形成されている。吸気口123は、筒部131の周壁において2つの円の一部が重ね合わされた部分や筒部131において2つの円のそれぞれの周壁に、また排気口124が形成されていない側の側壁に形成されていても良い。
【0250】
上述した各部材は、組み合わされてポンプハウジング140内に収納される。
【0251】
図38は、シリンダ130を破線で記載したルーツポンプ2bを示す斜視図である。
図38に示すように、一対のロータ135が回転軸134および駆動軸121aに固定された状態でシリンダ130の筒部131内に収納されている。吸気口123から取り込まれた空気は、筒部131および前側壁132、後側壁133および一対のロータ135により形成された圧縮ポケットで一対のロータ135の同期回転により圧縮され、この圧縮された高圧空気が排気口124からノズル5側へ排気される。このように、ルーツポンプ2bは、潤滑油や封液を使わずに連続して吸引、圧縮、および排気を行うことで、高圧空気を生成することができる。
【0252】
また、上述の例では車載カメラ(可視光に限られない)へのクリーナの適用について記載したが、本発明に係るクリーナを適用するセンサは、これに限られない。LiDAR(レーザーレーダ)、ミリ波レーダ、超音波センサなど、車両に取り付け可能なあらゆるセンサに対して本発明は適用可能である。
【0253】
また、クリーナの洗浄対象部位は、車載カメラのレンズに限られない。例えば、センサ素子の光学レンズ、光学レンズの前面を覆うカバー、センサの通信窓として機能する部位を有する灯具、ミラー、バンパー、グリル、ドアノブ等の車両表装部品のカバー、車両室内にセンサが搭載された場合の車両窓等、を包括する概念として規定される「隔壁」上に付着した異物を除去するクリーナに対して、本発明を適用することは可能である。なお、この隔壁は、透明部材(透光性)に限らず、超音波センサやミリ波レーダ等においては透明でなくても良い。
【0254】
なお、上記の実施形態においては、車載カメラへのクリーナの適用について記載したが、本発明を適用する洗浄対象物は、屋外で使用されるカメラであれば種類を問わない。例えば、航空機、鉄道、船舶、ロボット、屋外設置物、建築物等の外部に向けて露出した状態になるように取り付けられたカメラを含むことができる。
【0255】
本出願は、2016年9月5日出願の日本特許出願2016-172534号と、2016年9月5日出願の日本特許出願2016-172535号と、2016年9月5日出願の日本特許出願2016-172536号と、2016年9月5日出願の日本特許出願2016-172537号と、2016年10月14日出願の日本特許出願2016-202472号と、2016年11月21日出願の日本特許出願2016-226095号と、2017年8月30日出願の日本特許出願2017-165445号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。