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特許7053489マットを表面に有するボード、その製造方法
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  • 特許-マットを表面に有するボード、その製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】マットを表面に有するボード、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20220405BHJP
   B28B 1/16 20060101ALI20220405BHJP
   E04C 2/04 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
B28B1/30 101
B28B1/16
E04C2/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018555719
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2017031181
(87)【国際公開番号】W WO2017196644
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】62/336,406
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/484,818
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/484,873
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・パトリック・シェイク
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・アール・ブラックバーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ドーンラン
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-507421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069070(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00-1/54
B32B 1/00-43/00
E04C 2/00-2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボードであって、
(a)硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、表側表面と裏側表面とを有する、石膏コアと、
(b)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの表側表面に面しており、第1のマットの水平面に沿って画定される前記外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第2の領域とを有し、前記第1の領域は前記第2の領域より親水性が高い、第1のマットと、
を含み、任意選択で、
(c)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの裏側表面に面しており、第2のマットの水平面に沿って画定される前記第2のマットの外側表面に隣接する第3の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第4の領域とを有し、前記第3の領域は前記第4の領域より親水性が高い、第2のマット
を含み、
コーティング材料と接触するときの前記第1の領域の接触角は、前記コーティング材料と接触するときの前記第2の領域の接触角よりも小さい、
石膏ボード。
【請求項2】
前記第1の領域が、前記第2の領域よりぬれ性が高い、請求項1に記載の石膏ボード。
【請求項3】
記第1の領域は、前記第2の領域よりぬれ性が高く、前記第3の領域は、前記第4の領域よりもぬれ性が高い、請求項1に記載の石膏ボード。
【請求項4】
前記第1の領域が、前記第2の領域より密度が低い、請求項1~3のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【請求項5】
記第3の領域は、前記第4の領域より密度が低い、請求項1~4のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【請求項6】
前記第1の領域は、第1の領域に対する親水性に寄与する第1の結合剤を含み、および/または前記第2の領域は、第2の領域に対する疎水性に寄与する第2の結合剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の石膏ボード
【請求項7】
少なくとも1つのマットが外側表面上にコーティングを有し、前記マットは総厚さを有し、乾燥したときの前記コーティングは前記総厚さの約20%~約80%に浸透している、請求項1~6のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【請求項8】
少なくとも1つのマットが二層であり、1つの層が前記第1の領域を含み、別の層が前記第2の領域を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の複合石膏ボードを製造する方法であって、方法は、
(a)少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、
(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、
(c)前記コアの裏側に裏側カバーシートを塗布し、ボード前駆体を形成することと、
(d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと
を含
方法。
【請求項10】
前記裏側カバーシートが、任意選択で、マットであり、前記方法が、さらに、前記マットのうち少なくとも1つの外側にコーティングを塗布することを含み、前記コーティングが、湿潤助剤を含まない、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
大部分の外面を表面仕上げ材料またはスクリムで補強された石膏ベースのコアを有する石膏ボードが、当技術分野で周知である。表面仕上げ材料は、典型的には乾燥環境のために、例えば室内の乾式壁製品のために紙であることが多い。しかし、用途によっては、高湿条件にさらされる可能性のある製品に、ガラスまたはポリマー系のマットが使用されている。例えば、このようなボードは、外装用シージング製品に有用である。ガラスマット面付き石膏ボードによるシージングは、その構造を強化し、家または商業用建物の外側のスタッド、梁または垂木に、耐火性およびある程度の耐水性を与えるために、適用することができる。シージングは、適用される外装材(例えば、レンガ、下見板、石など)のための基材を提供し、さらに水分および蒸気を遮断する構造が、その間に任意選択で適用される。
【0002】
ガラスマット面付き石膏ボードは、ボードが著しい水分にさらされる可能性がある屋内用途にも利用することができる。例えば、ガラスマットを表面に有するボードは、シンクまたは浴室の囲い部分、汚れ止め板などの様々な屋内の場所で使用することができる。ガラスマットを表面に有するボードは、例えば、タイルを基材に固定するためにモルタルまたはしっくいを用い、セラミックタイルなどを塗布するための基材を提供する。水が、例えば、タイルまたはグラウトの亀裂を通り、硬化したモルタルまたはしっくいを通って浸透する場合に、ガラスマットは、長期間にわたり、ある程度の耐水性と防かび性を与える。
【0003】
マットを表面に有する石膏ボードを製造する工程は、典型的には、第1のマットの表面仕上げ材料に、セメント混合スラリー(例えば、スタッコと水を含有する混合物、ここで、スタッコとは、焼成石膏を指し、典型的には、主に硫酸カルシウム二水和物および/または硫酸カルシウム無水石膏を含む)を堆積させることと、上述のウェットスラリーを、第2のマットの表面仕上げ材料(通常は同じ種類のもの)で覆うことを含み、その結果、この2つのマットの表面仕上げ材料の間に、セメント混合スラリーが挟まれる。セメント混合スラリーを硬化させ(例えば、固化した石膏と呼ばれる、硫酸カルシウム二水和物の相互に連結したマトリックスを形成する)、固体物体を製造した後、キルンでの最終的な乾燥を行う。
【0004】
したがって、マットを表面に有する石膏ボードを製造する工程は、過剰な水を乾燥工程中にセメント混合スラリーから除去することができるほど、表面仕上げ材料が十分に透過性であることを必要とすることが多い。例えば、不織ガラス繊維マットが、表面仕上げ材料として使用されることが多く、繊維間の空間が透過性を与える。繊維マットの表面仕上げ材料の透過性は、未処理の場合には、使用中に、水がマットに浸透し、セメント混合コアと接触することが可能性であるため、セメント混合物体の耐水性を減らす可能性がある。この問題を緩和するために、耐水材料の外面コーティングが適用されることがある。
【0005】
コーティングを塗布するための現行の方法は、非効率的であることがわかっている。一般に、マットは、疎水性であり、水をはじくように設計されている。欠点は、ぬれ性が悪いこのような疎水性表面にウェットコーティングを塗布することが難しいということである。マットの疎水性のために、塗布中、ウェットコーティングがマット表面を十分に濡らしたり、またはマット表面を流れたりすることが困難になり、コーティングの欠陥や不良ボードの原因となる可能性があり、その結果として処分されるボードのため生産量減少が起こり得る。ウェットコーティング材料の表面張力を下げるために、湿潤助剤が含まれている場合、マットを通り抜ける漏れによって、大量容積のコーティングが消費され、これによって顕著な無駄が生じる。
【0006】
したがって、新しい耐水性セメント混合物、およびそのような物品を調製する方法が依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様では、本開示は、ボード製品(例えば、石膏またはセメントボード)にカバーシートとして使用するための表面仕上げ用マットを提供する。ある実施形態では、マットは、外側表面と内側表面とを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域も含んでおり、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域も含んでおり、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より親水性が高い。
【0008】
別の態様では、本開示は、石膏ボードのカバーシートとして使用するための別のマットを提供し、このマットは、外側表面と内側表面とを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域も含んでおり、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域も含んでおり、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域よりもれ性が高い。
【0009】
別の態様では、本開示は、石膏ボードのカバーシートとして使用するための別のマットを提供する。マットは、外側表面と内側表面とを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域も含んでおり、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有する。マットは、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域も含んでおり、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より密度が低い。
【0010】
別の態様では、本開示は、2つのカバーシートの間に配置された石膏コアを含む石膏ボードを提供する。コアは、表側表面と裏側表面とを有する。少なくとも1つのカバーシートは、マット(例えば、ガラス繊維を含む)である。表側マットは、コアの表側表面に面しており、裏側マットは、コアの裏側表面に面している。石膏コアは、硬化石膏、例えば、硬化石膏の結晶性マトリックスを含む。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、外側表面と内側表面とを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの外側表面に隣接する第1の領域を有しており、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの内側表面に隣接する第2の領域も有しており、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より親水性が高い。
【0011】
別の態様では、本開示は、2つのカバーシートの間に配置された石膏コアを含む別の石膏ボードを提供する。石膏コアは、一般に、硬化石膏、例えば、好ましい実施形態では、硬化石膏の結晶マトリックスを含む。コアは、表側表面と裏側表面とを有する。カバーシートの一方または両方は、マットの(例えば、ガラス繊維を含む)形態である。表側マットは、コアの表側表面に面しており、任意選択で、裏側マットは、コアの裏側表面に面している。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、外側表面と内側表面とを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの外側表面に隣接する第1の領域を有しており、第1の領域は、(マットの総厚さに対し)第1の実質的な厚さを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの内側表面に隣接する第2の領域も有しており、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い。
【0012】
別の態様では、本開示は、2つのカバーシートの間に配置された石膏コアを含む別の石膏ボードを提供する。石膏コアは、一般に、硬化石膏、例えば、好ましい実施形態では、硬化石膏の結晶マトリックスを含む。コアは、表側表面と裏側表面とを有する。カバーシートの一方または両方は、マットの(例えば、ガラス繊維を含む)形態である。表側マットは、コアの表側表面に面しており、任意選択で、裏側マットは、コアの裏側表面に面している。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、外側表面と内側表面とを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの外側表面に隣接する第1の領域を有しており、第1の領域は、(マットの総厚さに対し)第1の実質的な厚さを有する。表側マットと、任意選択で、裏側マットは、マットの水平面に沿って画定されるマットの内側表面に隣接する第2の領域も有しており、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より密度が低い。
【0013】
別の態様では、本開示は、石膏ボードを製造する方法を提供する。この方法は、複合石膏ボード(すなわち、石膏コアの表側表面に隣接する表側マットと、任意選択で、石膏コアの裏側表面に隣接するカバーシートとを含む、石膏コア)を製造する形態であってもよい。この方法は、一般に、少なくとも水、スタッコと、任意選択で、1つ以上の添加剤を混合して(例えば、ピンミキサーまたはピンレスミキサーで)、スラリーを形成することを含む。表側マットに対し直接的または間接的な接着関係で、スラリーが塗布され、ボードコアを形成する。ボードコアは、表側表面と裏側表面とを有し、表側表面は、表側マットに面している。コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成する。ボード前駆体を乾燥させ、ボードを形成する。少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有し、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より親水性が高い。
【0014】
別の態様では、複合石膏ボードを製造する別の方法が提供される。この方法は、少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することを含む。表側マットに関連する直接的または間接的な接着において、上述のスラリーが塗布され、ボードコアを形成する。ボードコアは、表側表面と裏側表面とを有し、表側表面は、表側マットに面している。コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成する。ボード前駆体を乾燥させ、ボードを形成する。少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有し、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より密度が低い。
【0015】
別の態様では、本開示は、複合石膏ボードを製造する別の方法を提供する。この方法は、少なくとも水、スタッコと、任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することを含む。表側マットに関連する直接的または間接的な接着において、上述のスラリーが塗布され、ボードコアを形成する。ボードコアは、表側表面と裏側表面とを有し、表側表面は、表側マットに面している。コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成する。ボード前駆体を乾燥させ、ボードを形成する。少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の実質的な厚さを有し、第2の領域は、第2の実質的な厚さを有する。第1の領域は、第2の領域より親水性が高い。
【0016】
別の態様では、本開示は、ボード製品においてカバーシートとして使用するためのマットを製造する方法を提供する。この方法は、繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成することを含む。繊維は、例えば、ガラス、熱可塑性繊維または熱硬化性繊維の形態であってもよい。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域を有し、第1の領域が第1の厚さを有するように調製される。マットは、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域を有し、第2の領域が第2の厚さを有するように調製される。マットは、第1の領域が第2の領域より親水性が高くなるように調製される。
【0017】
別の態様では、ボードにカバーシートとして使用するためのマットを調製する別の方法が提供される。この方法は、繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成することを含む。繊維は、例えば、ガラス、熱可塑性繊維または熱硬化性繊維の形態であってもよい。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域を有し、第1の領域が第1の厚さを有するように調製される。マットは、さらに、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域を有し、第2の領域が第2の厚さを有するように調製される。第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高くなるように調製される。
【0018】
別の態様では、本開示は、ボードのカバーシートとして使用するためのマットを調製する別の方法を提供する。この方法は、繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成することを含む。繊維は、例えば、ガラス、熱可塑性繊維または熱硬化性繊維の形態であってもよい。マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域を有し、第1の領域が第1の厚さを有するように調製される。マットは、さらに、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域を有し、第2の領域が第2の厚さを有するように調製される。第1の領域は、第2の領域より密度が低くなるように調製される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、2つのマットの間に挟まれたコアを有するセメント系ボードの一実施形態の断面図を模式的に示す(縮尺通りではない)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態は、改善された表面仕上げ用マット、石膏ボードの片方または両方の大部分の面(取り付けられたときの表側および裏側)にこのような表面仕上げ用マットを含む石膏ボード、このようなボードを製造する方法、マットを製造する方法を提供する。特に、本開示の実施形態に係る表面仕上げ面は、例えば連続製造方法において、より優先的にコーティングを受ける。本開示の改善されたガラスマットは、コーティングを容易に受け入れ、より強固で効率的な製造工程をもたらす。コーティングは、良好な流動性、マットに対する被覆率を有し、良好な均一性があり、コーティング欠陥が少ない状態で塗布することができる。生産中に取り出し処分する必要のあるボードの数がより少なくなり、ボードの生産量を向上することができる。これに加え、本開示のマットの表面仕上げ面によって、マット内への浸入および/またはマット内の通過によってコーティング材料が失われるのを減らすことができる。したがって、好ましい実施形態による表面仕上げ用マットの使用は、より効率的な製造工程をもたらす。ある実施形態では、本開示は、塗布されるコーティング中の湿潤助剤の必要性を減らすか、またはなくす。
【0021】
本開示の実施形態に係るマットは、外側表面と内側表面とを有する。複合ボード製品では、2つのマットの表面仕上げ面の間に石膏コアが挟まれている。マットの表面仕上げ面の一方は、本明細書では表側マットと呼ばれ、他方の表面仕上げ面は、裏側マットと呼ばれる。
【0022】
ボードの配置の一実施形態を図1に示す。ボード10は、建築構造の外装材(任意選択で、その間に配置される水分および/または蒸気を遮断する基材を含む)にほぼ面している外側表面14を有する表側マット12を含み、一方、マット12の内側表面16は、石膏コア20の表側表面18に面しており、任意選択で、この表側表面18に直接的または間接的に貼り付けられている。ボード10の裏側では、裏側マット22が、構造のスタッド、垂木または梁にほぼ面している外側表面24を有する。スタッド、垂木または梁は、木材または金属(例えば、鋼)を含む任意の適切な材料から作ることができる。裏側マット22の内側表面26は、石膏コア20の裏側表面28に面しており、任意選択で、この裏側表面28に直接的または間接的に貼り付けられている。
【0023】
図1は、異なる特性または密度を示す異なる領域を含むマット12および22を示す。所望される場合、両マットの片方のみが上述の領域を有していてもよいことは理解されよう。図1からわかるように、表側マット12は、マット12の外側表面14に隣接する第1の領域30と、マット12の内側表面16に隣接する第2の領域32とを有している。図1からわかるように、裏側マット22は、マット24の外側表面に隣接する第3の領域34と、マット26の内側表面に隣接する第4の領域36とを有している。
【0024】
ある実施形態では、本開示の実施形態に係る石膏ボードは、ボードの表側と裏側の両方に配置されたマットを含む。他の実施形態では、本開示の実施形態によれば、表側マットのみが含まれ、一方、ボードの裏側は、従来のマットまたは紙表面仕上げ材料を有していてもよく、または裏側マットまたは紙が存在していなくてもよい(すなわち、ボードは、裏側カバーシートを有さずに調製される)。このボードは、流体(水または蒸気)への耐性があることが望ましい室内用途または室外用途、例えば、外装用被覆、または汚れ止め板、シンク、シャワーまたはバスタブの囲い部分のための基材、またはタイル(例えば、セラミック)または他の装飾表面が適用される高湿領域での他の室内表面で使用することができる。ある実施形態では、裏側マットは除外される。
【0025】
適切なコーティングをマットに塗布することができる。好ましくは、マットによって、コーティングがマットの厚さ全体を通り抜け、石膏コアに浸透しないようにしつつ、コーティングが、マットの一部、またはマットの特定のレベルの厚みまたは体積に浸透することができる。このように、ぬれ性表面に塗布されるコーティングは、実質的に均一に広がり、マットの外側表面に、使用時に所望の特性(例えば、防かび性、耐水性および耐火性のうち1つ以上)を与える薄いコーティングを形成することができる。好ましい実施形態によれば、このことは、本明細書に記載するような異なる特性または密度を示す異なる領域を有するマットを与えることによって達成することができる。
【0026】
ある実施形態では、比較ベースで、第1の領域は、第2の領域より親水性が高い。ある実施形態では、第1の領域は、第2の領域よりも相対的に密度が低い。ある実施形態では、マットの第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い。ある実施形態では、マットの第1の領域は、第2の領域より親水性が高く、ぬれ性が高く、密度が低い。この点に関し、第1の領域の親水性によって、マットの外側表面に、良好で、平らで、実質的に均一な所望なコーティングの塗布が可能になり、一方、第2の領域の疎水性によって、水性の石膏スラリーが、マットに不必要に極度に浸透するのを回避する。マット中の緩く接着した繊維は、マットの内側表面でマットにスラリーが過剰に浸透することなく、スラリーに接着する。
【0027】
ある実施形態では、第2の領域は、第1の領域より密度が高い、および/または第1の領域のり厚い。好ましい実施形態では、マット中の繊維は、緻密な配列を形成することができ、スラリーが移動するための曲がりくねった経路を生成し、それによって、所望される場合、スタッコスラリーが裏側マットと接触するコアに深く浸透しすぎる機会を減らす。これとは対照的に、第1の領域は、ある実施形態では、第2の領域よりも密度が低く、製造時または使用条件で十分な一体性を維持しつつ(例えば、第1の領域は、望ましくは、脆弱ではない)、マットの内側表面に塗布されるコーティングがマットに浸透するために、曲がりくねりがより少ない経路を可能にする。したがって、コーティングは、浸透し、流体への耐性を含め、表側に望ましい特性を与える均一な層を形成することができる。
【0028】
例えば、第1の領域は、単位面積基準で約24lb/MSF以下の坪量を有していてもよく、一方、第2の領域は、約29lb/MSF以上の坪量を有していてもよい。ある実施形態では、第2の領域は、坪量が、第1の領域よりも少なくとも10%高く、例えば、少なくとも約15%高く、少なくとも約20%高く、少なくとも約25%高く、少なくとも約30%高く、少なくとも約35%高く、少なくとも約40%高く、少なくとも約45%高く、または少なくとも約50%高く、またはさらに高い。例えば、第2の領域は、坪量が、第1の領域の坪量よりも約20%~約50%高く、例えば、約20%~約45%高く、約20%~約40%高く、約20%~約35%高く、約20%~約30%高く、約20%~約25%高く、約30%~約50%高く、約30%~約45%高く、約30%~約40%高く、約35%~約50%高く、約35%~約45%高く、または約35%~約40%高くてもよい。
【0029】
第1の領域および第2の領域は、マットの水平面に平行であり、特定の厚さを有すると定義することができる。第1の領域および第2の領域は、それぞれ、任意の適切な厚さを有していてもよい。好ましくは、第1の領域および第2の領域は、それぞれ、実質的な厚さを有する。マットは、任意の適切な総厚さを有していてもよく、例えば、約0.015インチ~約0.05インチ、例えば、約0.015インチ~約0.045インチ、約0.015インチ~約0.04インチ、約0.015インチ~約0.035インチ、約0.015インチ~約0.03インチ、約0.02インチ~約0.05インチ、約0.02インチ~約0.045インチ、約0.02インチ~約0.04インチ、約0.02インチ~約0.03インチ、約0.025インチ~約0.05インチ、約0.025インチ~約0.045インチ、約0.025インチ~約0.04インチ、約0.025インチ~約0.035インチ、約0.03インチ~約0.05インチ、約0.03インチ~約0.045インチ、約0.03インチ~約0.04インチ、または約0.03インチ~約0.035インチであってもよい。ある実施形態では、マットは、公称厚さが約0.03インチまたは約0.045インチであってもよい。ある実施形態では、第1の領域および第2の領域は、それぞれ、マットの総厚さの約50%を構成する。しかしながら、所望な場合、各領域の総厚さは変化し得る。
【0030】
例えば、ある実施形態では、第1の領域は、マットの総厚さの約80%以下、例えば、マットの総厚さの約75%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%または約20%、例えば、総厚さの約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約70%、約50%~約60%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約70%~約80%、または約70%~約75%を構成していてもよい。
【0031】
ある実施形態では、第2の領域は、マットの総厚さの約80%以下、例えば、マットの総厚さの約75%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%または約20%、例えば、総厚さの約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約70%、約50%~約60%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約70%~約80%、または約70%~約75%を構成していてもよい。
【0032】
ある実施形態では、第2の領域は、第1の領域より厚く、例えば、少なくとも約10%厚く、少なくとも約15%厚く、少なくとも約20%厚く、少なくとも約25%厚く、少なくとも約30%厚い。例えば、ある実施形態では、第2の領域は、第1の領域より約10%~約100%厚く、例えば、約10%~約80%厚く、約10%~約60%厚く、約10%~約50%厚く、約10%~約40%厚く、約10%~約30%厚く、約20%~約100%厚く、約20%~約80%厚く、約20%~約60%厚く、約20%~約40%厚く、約20%~約30%厚く、約30%~約100%厚く、約30%~約80%厚く、約30%~約60%厚く、約30%~約50%厚く、約30%~約40%厚く、約40%~約100%厚く、約40%~約80%厚く、約40%~約60%厚く、約40%~約50%厚く、約50%~約100%厚く、約50%~約80%厚く、約50%~約60%厚く、または約60%~約100%厚い。
【0033】
コーティングは、一般に、マットの外側表面に塗布される。好ましい実施形態では、乾燥したときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約80%に浸透している。例えば、乾燥したときのコーティングは、マットの厚さの約20%~約75%、例えば、マットの総厚さの約20%~約70%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、約30%~約50%、約30%~約40%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約60%、約40%~約50%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約70%、約50%~約60%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約70%~約80%、または約70%~約75%に浸透している。
【0034】
ある実施形態では、第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い。ぬれ性は、ある液体が表面上に広がる能力を示す。液体が、よりぬれ性の高い表面に効果的に広がるとき、小さな接触角が生じる。反対に、ぬれ性が低い表面の場合、第1の領域と比較して、より大きな接触角が観察される。ある実施形態では、第2の領域は、高い接触角を有し(例えば、約90°を超える)、液体が表面と接触して表面に球状物を形成するため、ぬれ性が低い。好ましくは、第1の領域は、水で濡らすと、低い接触角を有する傾向がある。ある実施形態では、第1の領域は、第2の領域よりも表面エネルギーが高い。
【0035】
例えば、ある実施形態では、第1の領域は、接触角が約90°以下、例えば、接触角が約80°以下、約70°以下、約60°以下、約50°以下、約40°以下、約30°以下、または約20°以下であってもよい。ある実施形態では、第1の領域は、約0°~約60°、例えば、約0°~約55°、約0°~約50°、約0°~約45°、約0°~約40°、約0°~約30°、約0°~約20°、約0°~約10°、約10°~約60°、約10°~約55°、約10°~約50°、約10°~約45°、約10°~約40°、約10°~約30°、約10°から約20°未満、約20°~約60°、約20°~約55°、約20°~約50°、約20°~約45°、約20°~約40°、約20°~約35°、約20°~約30°、約30°~約60°、約30°~約55°、約30°~約50°、約30°~約45°、約30°~約40°、約40°~約60°、約40°~約55°、約40°~約50°、または約50°~約60°の接触角を示してもよい。ある実施形態では、第1の領域は、親水性とぬれ性の両方を有していてもよい。
【0036】
好ましくは、第1の領域と第2の領域との間の接触角の大きさに差がある。第2の領域は、一般に、より高い接触角を示すが、第2の領域は、疎水性である必要はないが、ある実施形態では、疎水性であってもよい。ある実施形態では、第2の領域は、接触角が約60°以上であってもよい。例えば、第2の領域は、約60°~約180°、例えば、約60°~約150°、約60°~約120°、約60°~約100°、約60°~約90°、約60°~約80°、約60°~約70°、約70°~約180°、約70°~約150°、約70°~約120°、約70°~約100°、約70°~約90°、約70°~約80°、約80°~約180°、約80°~約150°、約80°~約120°、約80°~約100°、約80°~約90°の接触角を有していてもよい。ある実施形態では、第2の領域は疎水性であり、接触角が90°を超える。例えば、ある実施形態では、第2の領域は、接触角が約90°~約180°、約90°~約170°、約90°~約160°、約90°~約150°、約90°~約140°、約90°~約130°、約90°~約120°、約90°~約110°、約90°~約100°、約100°~約180°、約100°~約160°、約100°~約140°、約100°~約120°、約100°~約110°、約120°~約180°、約120°~約150°、約120°~約130°、約130°~約180°、約130°~約160°、約130°~約150°、約140°~約180°、約140°~約160°、約150°~約180°、約150°~約160°、約160°~約180°、または約160°~約170°である。ある実施形態では、第2の領域の接触角は、第1の領域の接触角よりもかなり大きい(例えば、約20%以上大きい、例えば、約30%大きい、約40%大きい、約50%大きい、またはもっと大きい)。
【0037】
異なる領域におけるこれらの特性の差は、様々な方法で達成することができる。例えば、ある実施形態では、マットは、多層構造(例えば、二層構造)の形態であってもよい。ある実施形態では、マットは、マットの2つの別個の領域を形成するための勾配を示してもよい(例えば、単一層内に)。任意選択で、ある実施形態では、第1の領域と第2の領域との間に遷移領域が存在していてもよく、例えば、遷移領域は、両方の領域からの特性を寄与する(例えば、第1の領域よりも親水性が低く、および/または第1の領域より密度が高いが、第2の領域よりも親水性が高く、および/または第2の領域よりも密度が低い)。ある実施形態では、遷移領域は、この製造工程の副生成物である。
【0038】
ある実施形態では、多孔質繊維マットは、平均直径が約5~約20ミクロン、例えば、約10~約20ミクロン、または約11~約16ミクロンであり、坪量が約20lbs/1000ft以上の切断ガラス繊維または連続ガラス繊維から作られたガラス繊維マットである。多孔質繊維マットは、直径が例えば約2~8ミクロンまたは4~6ミクロンのマイクロファイバーをさらに含んでいてもよい。繊維マットは、異なる直径を有する繊維も含んでいてもよい。例えば、ガラス繊維マットは、直径が約10~約20ミクロンの約70~約90%のガラス繊維と、直径がこれより小さな約2~約15ミクロンであり、坪量が約20lbs/1000ft以上の約10~約30%のガラス繊維を含んでいてもよい。別の実施形態では、繊維マットは、直径が約14ミクロン以上、または15ミクロン以上(例えば、約14~約16ミクロン)の約70~約90%のガラス繊維と、直径が約4~約6ミクロンであり、坪量が約20lbs/1000ft以上の約10~約30%のガラスマイクロファイバーを含んでいてもよい。繊維は、任意の適切な長さを有していてもよい。例えば、マイクロファイバーは、様々な長さを有していてもよい。他の繊維は、典型的には、長さが約1インチ以下(例えば、約3/8インチ~1インチ、または約1/2インチ~約3/4インチ)を有する。さらに説明すると、このようなガラス繊維マットの1つは、直径が約16ミクロン(長さが約1/2インチ)の繊維約80%と、直径が約11ミクロン(長さが約1/4インチ)の繊維約20%とから京成され、坪量が約22lbs/1000ftである。別の適切なガラス繊維マットは、直径が約16ミクロン(長さが約3/4インチ)の繊維約90%、及び直径が約4~約6ミクロン(様々な長さ)の繊維約10%から形成され、坪量が約22lbs/1000ftである。
【0039】
ある実施形態では、マットは、1つ以上の結合剤を含む。マットは、ガラス繊維を不織ウェブに結合するために熱硬化性樹脂を用いて形成されることが望ましい。一つの手法によれば、熱硬化性樹脂は、メラミンホルムアルデヒドと他のアクリル樹脂とのブレンドなどのアクリル樹脂であってもよい。マットは、任意の適切な量、例えば、約5~40重量%、約10~30重量%、または約20~30重量%の結合剤を含んでいてもよい。上述の繊維マットは、本明細書で使用可能な適切なマットの一例にすぎない。種々の組成を有する他の多孔質マットおよび繊維マットも、本明細書に記載の方法を用いて使用することができることが理解されよう。
【0040】
例えば、ある実施形態では、第1の領域は、第1の領域の親水性に寄与するか、または第1の領域に親水性を付与する結合剤(任意選択で添加剤を伴う)を含む。ある実施形態では、第2の領域は、第2の領域の疎水性に寄与する添加剤(例えば、ステアレート化合物)と共に結合剤を含む。疎水性の増加は、例えば、結合剤組成物の1つ以上の成分中の炭化水素鎖長を長くすることによって達成することができる。親水性の増加は、例えば、短い炭化水素鎖長を有する1つ以上の結合剤成分を選択することによって、および/または結合剤組成物の1つ以上の成分の改質を行うことによって、例えば、その化学構造にヒドロキシルを付加することによって達成することができる。ある実施形態では、第1の領域は、第1の領域の親水性に寄与するか、または第1の領域に親水性を付与する第1の結合剤を含み、第2の領域は、第2の領域の疎水性に寄与するか、または第2の領域に疎水性を付与する第2の結合剤を含む。
【0041】
マットは、任意の適切なコーティングと共に使用することができる。ある実施形態では、疎水性樹脂のコーティングをマットの表側に塗布することができる。例えば、ある実施形態では、コーティングは、弾性膜、例えば、Tremco(ビーチウッド、OH)製のExoAirコーティング(例えば、ExoAir 230または430)、または例えば、米国特許第7,347,895号または米国特許公開第2014/0272402号または米国第2014/0261954号に記載されるようなセメント/ポリマーコーティングであってもよい。
【0042】
マットは、任意の適切な方法で調製することができる。例えば、多層設計では、別個の層構成要素は、2層ウェットフェルト加工などを含む既知の技術を用いて個々に調製することができる。次いで、接着剤、機械的な加圧および/または熱による加圧などを含む既知の技術を用い、層をその水平面に沿って互いに接着させることができる。ある実施形態では、より低い密度の第1の領域が形成され、高密度の第2の領域がその上部に接着される。ある実施形態では、勾配は、真空圧またはストックデリバリーを含む処理操作を通じて、ウェットフェルトマット形成中に形成することができる。第2のステップで、マットの外側表面にコーティングを塗布する。
【0043】
本開示の実施形態に係る複合石膏ボードは、典型的な石膏ボード製造ラインで製造することができる。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許公開第2009/0029141号および第2010/0143682号に記載されている。簡単に説明すると、この工程は、典型的には、動いているコンベヤ上に表側マットを放すすることを含む。石膏ボードは、通常、「表側を下向きに」形成されるので、このマットは、このような実施形態では、「表側」マットである。
【0044】
本開示の態様によれば、スタッコスラリー(石膏スラリーとも称される)が形成される。スタッコスラリーを使用し、ボードコアを形成する。このスラリーは、水、スタッコ、及び所望される場合には、他の添加剤を含む。より低い密度を与えるために、発泡剤(または他の軽量材料)をコアスラリーに含めることができる。所望される場合には、他の添加剤、例えば、ボードの強度を高めるためのデンプン(例えば、移動しないデンプン、例えば、アルファー化デンプン、エトキシル化デンプン)、分散剤(例えば、スルホン酸ナフタレン)、ポリリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム)、促進剤(例えば、耐熱性促進剤)、遅延剤、耐水性添加剤(例えば、シロキサン)、難燃性添加剤(例えば、バーミキュライト、ATH)などが含まれてもよい。したがって、それぞれのミキサーに対するウェットおよびドライ供給ラインを、これにしたがって調整することができ、これは十分に通常の技能のレベルの範囲内である。
【0045】
スラリーは、任意の適切な方法で形成させることができる。「メイン」ミキサー(すなわち、ボードコアスラリーを形成するためのもの)は、本体と、排出導路(例えば、技術分野で公知のゲート-キャニスター-ブート配置、または米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載されるような改変された出口設計(MOD)の配置)を含む。発泡剤は、ミキサーの排出導路に(例えば、第5,683,635号および第6,494,609号に記載されているゲートに)、またはメインミキサーに添加することができる。
【0046】
ある実施形態では、高密度層は、コアと表側マットとの間に適用されてもよく、任意選択で、コアと裏側マットとの間に適用されてもよい。例えば、スタッコと水がメインミキサーに挿入され、泡が、排出導路の下流に挿入されると、これは、メインミキサーの本体に泡が挿入されないことを意味している。メインミキサーは、所望される場合は、ピンミキサーまたはピンレスミキサーであってもよい。スラリーの一部は、本質的に泡を含まず、ミキサーから、排出導路とはほぼ反対側にある出口から方向転換され、濃縮層スラリーを形成する。メインミキサーは、加圧スラリーラインを通って流れる高密度スラリーのために、泡を含まないスラリーを、より小さな排出口から押し出すためのポンプとして機能する。ウェット形態の添加剤は、注入口を介して加圧スラリーラインに注入される。ラインは、望ましくは、スラリーと添加剤の均一な混合を可能にするために、通常の技術水準内の十分な長さである。スタッコまたは水を別々に導入する必要はない。ある実施形態では、2つのミキサーを使用することができ、第2のミキサーは、例えば、泡がほとんどないか、または全くない高密度層(スキムコート)を別個に配合し、コアとマットの片方または両方との間に堆積させるために使用することができる。
【0047】
ある実施形態では、排出導路は、単一の供給入口または複数の供給入口を有するスラリー分配器、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527号(出願番号第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403号(出願番号第13/341,209号)に記載されているものを備えていてもよいことが理解されよう。これらの実施形態では、複数の供給入口を有するスラリー分配器を使用し、排出導路は、適切なフロースプリッタ、例えば、米国特許出願公開第2012/0170403号に記載されているものを備えていてもよい。
【0048】
ボードは、技術分野で理解されるように、通常は、同時にかつ連続的に、サンドイッチ構造で形成される。表側マットは、コンベヤ上を移動する。高密度層スラリー(スキムコート)は、ミキサーから排出された後、任意選択で、移動する表側カバーシートに塗布され、連続したリボンを形成することができる。また、当業者に知られているように、例えば、所望される場合には、便宜上、濃縮層を形成する同じスラリーの流れから、硬質縁部を形成することができる。
【0049】
次に、ボードコアスラリーを、濃縮層スラリーを担持する、移動する表側マットの上に塗布し、第2のマット(典型的には「裏側」マット)で覆い、最終製品に対するボード前駆体であるサンドイッチ構造の形態のウェットアセンブリを形成する。また、堆積したスラリーから大きな空隙または空気ポケットを除去するために、石膏ボードの製造において振動を使用することも一般的である。裏側の(上部の)マットは、任意選択で、高密度層(スキムコート)を有していてもよい。それによって提供されたウェットアセンブリは、成形ステーションに運ばれ、そこで、製品は所定の厚さに成形され(例えば、成形プレートを介して)、1つ以上のナイフセクションに運ばれ、所定の長さに切断される。ウェットアセンブリを硬化させ、硬化石膏の相互に接着した結晶マトリックスを生成し、乾燥工程を用いて余分な水を除去する(例えば、キルンを通ってアセンブリを運ぶことによる)。
【0050】
本発明は、以下の実施形態の例によってさらに説明される。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0051】
(1)本明細書に記載するような、石膏またはセメントボードを有するカバーシートとして使用するためのマット。
【0052】
(2)石膏ボードのためのマットであって、このマットは、(a)外側表面と内側表面と、(b)マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域より親水性が高い、マット。
【0053】
(3)石膏ボードのためのマットであって、このマットは、(a)外側表面と内側表面と、(b)マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い、マット。
【0054】
(4)石膏ボードのためのマットであって、このマットは、(a)外側表面と内側表面と、(b)マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域より密度が低い、マット。
【0055】
(5)前記マットが複数層を含む、実施形態(1)~(4)のいずれか一つのマット。
【0056】
(6)前記マットは2層であり、1つの層が第1の領域を含み、別の層が第2の領域を含む、実施形態(5)のマット。
【0057】
(7)前記マットが、第1の層中に第1の領域を含み、第2の層中に第2の領域を含み、第3の層中に遷移領域を含む3層である、実施形態(5)のマット。
【0058】
(8)前記マットが勾配を含む、実施形態(1)~(4)のいずれか一つのマット。
【0059】
(9)前記マットが、単一層を含む、実施形態(8)のマット。
【0060】
(10)前記勾配によって、第1の領域と比較して、第2の領域で密度の増加をもたらす、実施形態(8)のマット。
【0061】
(11)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域でぬれ性の増加をもたらす、実施形態(8)のマット。
【0062】
(12)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域で親水性の増加を生じる、実施形態(8)のマット。
【0063】
(13)前記第1の厚さと前記第2の厚さが同じである、実施形態(1)~(12)のいずれか一つのマット。
【0064】
(14)前記第1の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(1)~(12)のいずれか一つのマット。
【0065】
(15)前記第2の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(1)~(14)のいずれか一つのマット。
【0066】
(16)前記マットがガラス繊維を含む、実施形態(1)~(15)のいずれか一つのマット。
【0067】
(17)前記マットが、熱可塑性または熱硬化性の繊維を含む、実施形態(1)~(16)のいずれか一つのマット。
【0068】
(18)前記マットの外側表面に塗布されたコーティングをさらに含む、実施形態(1)~(17)のいずれか一つのマット。
【0069】
(19)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約80%以下まで浸透する、実施形態(18)のマット。
【0070】
(20)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約80%まで浸透する、実施形態(18)のマット。
【0071】
(21)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約50%まで浸透する、実施形態(18)のマット。
【0072】
(22)前記第1の領域は、第1の領域に対する親水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(1)~(21)のいずれか一つのマット。
【0073】
(23)前記第2の領域は、第2の領域に対する疎水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(1)~(22)のいずれか一つのマット。
【0074】
(24)前記第1の領域は、コーティングと接触したとき、同じコーティングと接触した第2の領域よりも接触角が低い、実施形態(1)~(23)のいずれか一つのマット。
【0075】
(25)前記第1の領域は、コーティング材料と接触したとき、約60°以下の接触角を示し、前記第2の領域は、同じコーティング材料と接触したとき、約60°以上の接触角を示し、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低い接触角を示す、実施形態(24)のマット。
【0076】
(26)石膏ボードであって、(a)2つのカバーシートの間に配置される石膏コアを含み、(b)この石膏コアが、硬化石膏の結晶マトリックスを含み、このコアが、表側表面と裏側表面とを有し、(c)片方または両方のカバーシートが、マットの形態であり、(d)第1マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、第1のマットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有し、コアの表側表面に面している第1のマットと、任意選択で、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの外側表面に隣接し、第3の厚さを有する第3の領域と、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの内側表面に隣接し、第4の厚さを有する第4の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有し、コアの裏側表面に面している第2のマットと、を含み、ここで、(i)第1の領域が第2の領域よりも親水性が高く、(ii)任意選択で、第3の領域が第4の領域よりも親水性が高い、石膏ボード。
【0077】
(27)石膏ボードであって、(a)2つのカバーシートの間に配置される石膏コアを含み、(b)この石膏コアが、硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、このコアが、表側表面と裏側表面とを有し、(c)片方または両方のカバーシートが、マットの形態であり、(d)第1のマットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、第1のマットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有する、第1のマットと、任意選択で、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの外側表面に隣接し、第3の厚さを有する第3の領域と、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの内側表面に隣接し、第4の厚さを有する第4の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有し、コアの裏側表面に面している第2のマットとを含み、ここで、(i)第1の領域が第2の領域よりもぬれ性が高く、(ii)任意選択で、第3の領域が第4の領域よりも親水性が高い、石膏ボード。
【0078】
(28)石膏ボードであって、(a)2つのカバーシートの間に配置される石膏コアを含み、(b)この石膏コアが、硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、このコアが、表側表面と裏側表面とを有し、(c)片方または両方のカバーシートが、マットの形態であり、(d)第1のマットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、第1のマットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有する、第1のマットと、任意選択で、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの外側表面に隣接し、第3の厚さを有する第3の領域と、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの内側表面に隣接し、第4の厚さを有する第4の領域とを含み、外側表面と内側表面とを有し、コアの裏側表面に面している第2のマットとを含み、ここで、(i)第1の領域が第2の領域よりも密度が低く、(ii)任意選択で、第3の領域が第4の領域よりも親水性が高い、石膏ボード。
【0079】
(29)両カバーシートが、マットの形態である、実施形態(26)~(28)のいずれか一つの石膏ボード。
【0080】
(30)それぞれのマットがガラス繊維を含む、実施形態(26)~(28)のいずれか一つの石膏ボード。
【0081】
(31)それぞれのマットが、熱可塑性繊維または熱硬化性繊維を含む、実施形態(26)~(28)のいずれか一つの石膏ボード。
【0082】
(32)それぞれのマットが、前記外側表面に塗布されたコーティングを含む、実施形態(26)~(29)のいずれか一つの石膏ボード。
【0083】
(33)前記マットが複数層を含む、実施形態(26)~(30)のいずれか一つの石膏ボード。
【0084】
(34)前記マットは二層であり、1つの層が第1の領域を含み、別の層が第2の領域を含む、実施形態(33)の石膏ボード。
【0085】
(35)前記マットが、第1の層中に第1の領域を含み、第2の層中に第2の領域を含み、第3の層中に遷移領域を含む3層である、実施形態(33)の石膏ボード。
【0086】
(36)前記マットが勾配を含む、実施形態(26)~(35)のいずれか一つの石膏ボード。
【0087】
(37)前記マットが、単一層を含む、実施形態(36)の石膏ボード。
【0088】
(38)前記勾配によって、第1の領域と比較して、第2の領域で密度の増加を生じる、実施形態(36)の石膏ボード。
【0089】
(39)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域でぬれ性の増加を生じる、実施形態(36)の石膏ボード。
【0090】
(40)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域で親水性の増加を生じる、実施形態(36)の石膏ボード。
【0091】
(41)前記第1の厚さと前記第2の厚さが同じである、実施形態(26)~(40)のいずれか一つの石膏ボード。
【0092】
(42)前記第1の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(26)~(41)のいずれか一つの石膏ボード。
【0093】
(43)前記第2の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(26)~(42)のいずれか一つの石膏ボード。
【0094】
(44)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約80%以下まで浸透する、実施形態(32)の石膏ボード。
【0095】
(45)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約80%まで浸透する、実施形態(32)の石膏ボード。
【0096】
(46)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約50%まで浸透する、実施形態(32)の石膏ボード。
【0097】
(47)前記第1の領域は、第1の領域に対する親水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(26)~(46)のいずれか一つの石膏ボード。
【0098】
(48)前記第2の領域は、第2の領域に対する疎水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(26)~(47)のいずれか一つの石膏ボード。
【0099】
(49)前記第1の領域は、コーティングと接触したとき、同じコーティングと接触した第2の領域よりも接触角が低い、実施形態(26)~(48)のいずれか一つの石膏ボード。
【0100】
(50)前記第1の領域は、コーティング材料と接触したとき、約60°以下の接触角を示し、前記第2の領域は、同じコーティング材料と接触したとき、約60°以上の接触角を示し、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低い接触角を示す、実施形態(49)の石膏ボード。
【0101】
(51)本明細書に記載の石膏ボードを調製する方法。
【0102】
(52)複合石膏ボードを製造する方法であって、本方法は、(a)少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、ボードコアの表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、(c)前記コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成することと、(d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと、を含み、ここで、(i)少なくとも1つのマットは、内側表面と外側表面を有し、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の厚さを有し、第2の領域は、第2の厚さを有し、(ii)第1の領域は、第2の領域より親水性が高い、方法。
【0103】
(53)複合石膏ボードを製造する方法であって、本方法は、(a)少なくとも水、スタッコと、任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、(c)前記コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成することと、(d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと、を含み、ここで、(i)少なくとも1つのマットは、内側表面と外側表面を有し、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の厚さを有し、第2の領域は、第2の厚さを有し、(ii)第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い、方法。
【0104】
(54)複合石膏ボードを製造する方法であって、本方法は、(a)少なくとも水、スタッコと、任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、(c)前記コアスラリーに裏側マットを塗布し、ボード前駆体を形成することと、(d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと、を含み、ここで、(i)少なくとも1つのマットは、内側表面と外側表面を有し、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、第1の領域は、第1の厚さを有し、第2の領域は、第2の厚さを有し、(ii)第1の領域は、第2の領域より密度が低い、方法。
【0105】
(55)前記マットが多層を含む、実施形態(51)~(54)のいずれか一つの方法。
【0106】
(56)前記マットは2層であり、1つの層が第1の領域を含み、別の層が第2の領域を含む、実施形態(55)の方法。
【0107】
(57)前記マットが、第1の層中に第1の領域を含み、第2の層中に第2の領域を含み、第3の層中に遷移領域を含む3層である、実施形態(55)の方法。
【0108】
(58)前記マットが勾配を含む、実施形態(51)~(54)のいずれか一つの方法。
【0109】
(59)前記マットが、単一層を含む、実施形態(58)の方法。
【0110】
(60)前記勾配によって、第1の領域と比較して、第2の領域で密度の増加をもたらす、実施形態(58)の方法。
【0111】
(61)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域でぬれ性の増加をもたらす、実施形態(58)の方法。
【0112】
(62)前記勾配によって、第2の領域と比較して、第1の領域で疎水性の増加をもたらす、実施形態(58)の方法。
【0113】
(63)前記第1の厚さと前記第2の厚さが同じである、実施形態(51)~(62)のいずれか一つの方法。
【0114】
(64)前記第1の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(51)~(62)のいずれか一つの方法。
【0115】
(65)前記第2の領域が、マットの総厚さの約20%~約80%を構成する、実施形態(51)~(64)のいずれか一つの方法。
【0116】
(66)前記マットがガラス繊維を含む、実施形態(51)~(65)のいずれか一つの方法。
【0117】
(67)前記マットが、熱可塑性または熱硬化性の繊維を含む、実施形態(51)~(66)のいずれか一つの方法。
【0118】
(68)前記マットの外側表面に塗布されたコーティングをさらに含む、実施形態(51)~(67)のいずれか一つの方法。
【0119】
(69)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約80%以下まで浸透する、実施形態(68)の方法。
【0120】
(70)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約80%まで浸透する、実施形態(68)の方法。
【0121】
(71)前記マットが、総厚さを有し、乾燥させたときのコーティングは、マットの総厚さの約20%~約50%まで浸透する、実施形態(68)の方法。
【0122】
(72)前記第1の領域は、第1の領域に対する親水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(51)~(71)のいずれか一つの方法。
【0123】
(73)前記第2の領域は、第2の領域に対する疎水性に寄与する結合剤を含む、実施形態(51)~(72)のいずれか一つの方法。
【0124】
(74)前記第1の領域は、コーティングと接触したとき、同じコーティングと接触した第2の領域よりも接触角が低い、実施形態(51)~(73)のいずれか一つの方法。
【0125】
(75)前記第1の領域は、コーティング材料と接触したとき、約60°以下の接触角を示し、前記第2の領域は、同じコーティング材料と接触したとき、約60°以上の接触角を示し、前記第1の領域は、前記第2の領域よりも低い接触角を示す、実施形態(74)の方法。
【0126】
(76)本明細書に記載のマットを調製する方法。
【0127】
(77)カバーシートとしてボードに使用するためのマットを調製する方法であって、本方法は、(a)繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成し、前記マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域より親水性が高い、方法。
【0128】
(78)ボード付きカバーシートとして使用するためのマットを調製する方法であって、本方法は、(a)繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成することを含み、前記マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域よりぬれ性が高い、方法。
【0129】
(79)ボード付きカバーシートとして使用するためのマットを調製する方法であって、本方法は、(a)繊維をウェットフェルト加工などに導入し、外側表面と内側表面とを有するマットを形成することを含み、前記マットは、マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接し、第1の厚さを有する第1の領域と、マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接し、第2の厚さを有する第2の領域とを含み、(i)第1の領域は、第2の領域より密度が低い、方法。
【0130】
(80)前記マットは2層であり、前記第1の領域が1つの層を形成し、前記第2の領域が、前記第2の層を形成する、実施形態(76)~(79)の方法。
【0131】
(81)その後、前記層を前記水平面に沿って互いに接着させることができる、実施形態(80)の方法。
【0132】
(82)接着が、接着剤を介する、実施形態(81)の方法。
【0133】
(83)接着が、機械的な加圧および/または熱による加圧を介する、実施形態(81)の方法。
【0134】
(84)前記第1の領域が最初に形成され、それより密度が高い第2の領域が第1の領域の上に接着する、実施形態(76)~(83)のいずれか一つの方法。
【0135】
(85)前記マットが勾配を形成する、実施形態(76)~(79)の方法。
【0136】
(86)前記勾配が、真空圧を介して作られる、実施形態(85)の方法。
【0137】
(87)前記勾配が、ストックデリバリーを介して作られる、実施形態(85)の方法。
【0138】
(88)第2の工程で、マットの外側表面にコーティングを塗布する、実施形態(76)~(88)のいずれか一つの方法。
【0139】
前述は、実施形態の単なる例であることに留意されたい。他の例示的な実施形態は、本明細書の記載全体から明らかである。これらの実施形態は、それぞれ、本明細書で提供される他の実施形態との種々の組み合わせで使用されてもよいことも、当業者には理解されるだろう。
【0140】
本明細書中に引用された刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれるように示され、その全体が本明細書に記載されているのと同様の程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
本開示を記述するという脈略での(特に、以下の特許請求の範囲という脈略での)「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「少なくとも1つ」といった用語や、同様の指示語の使用は、本明細書に特に明記されていない限り、または矛盾する内容が明確に示されていない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈すべきである。1つ以上の項目の列挙の前に付く「少なくとも1つ(at least one)」との用語の使用(例えば、AおよびBのうち少なくとも1つ(at least one of A and B))は、本明細書に特に明記されていない限り、または矛盾する内容が明確に示されていない限り、列挙した項目から選択される1つの項目(AまたはB)、または列挙した項目のうち2つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈すべきである。「~を含む/備える(comprising)」、「~を有する(having)」、「~を含む(including)」、及び「~を含有する(containing)」との用語は、特に示されていない限り、包括的な用語(すなわち、「~を含むが、これに限定されない」を意味する)と解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内のそれぞれの別個の値を個々に参照する簡略方法として役立つことを単に意図しており、それぞれの別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書に特に明記されていない限り、または矛盾する内容が明確に示されていない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または例示的な用語(例えば、「~など」)の使用は、単に開示内容をよりよく示すことを意図しており、別段の主張がない限り、開示の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言葉も、本開示の実施に必須であると請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0142】
本開示を実施するために本発明者らが知っている最良の形態を含む本開示の好ましい実施形態を、本明細書に記載している。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に用いることを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で本開示が実施されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許容される範囲で、ここに添付される特許請求で引用された内容に同等なもの及びすべての修正を含む。さらに、本明細書に特に明記されていない限り、または矛盾する内容が明確に示されていない限り、全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
[付記]
[付記1]
石膏ボードであって、
(a)硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、表側表面と裏側表面とを有する、石膏コアと、
(b)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの表側表面に面しており、第1のマットの水平面に沿って画定される前記外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第2の領域とを有する、第1のマットと、
を含み、任意選択で、
(c)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの裏側表面に面しており、第2のマットの水平面に沿って画定される前記第2のマットの外側表面に隣接する第3の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第4の領域とを有する、第2のマット
を含み、
(i)前記第1の領域は、前記第2の領域より親水性が高く、
(ii)任意選択で、前記第3の領域は、前記第4の領域より親水性が高い、
石膏ボード。
[付記2]
前記第1の領域が、前記第2の領域よりぬれ性が高い、付記1に記載の石膏ボード。
[付記3]
石膏ボードであって、
(a)硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、表側表面と裏側表面とを有する、石膏コアと、
(b)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの表側表面に面しており、第1のマットの水平面に沿って画定される前記外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第2の領域とを有する、第1のマットと、
を含み、任意選択で、
(c)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの裏側表面に面しており、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの外側表面に隣接する第3の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第4の領域とを有する、第2のマットと、を含み、
(i)前記第1の領域は、前記第2の領域よりぬれ性が高く、
(ii)任意選択で、前記第3の領域は、前記第4の領域よりもぬれ性が高い、
石膏ボード。
[付記4]
前記第1の領域が、前記第2の領域より密度が低い、付記1~3のいずれか一つに記載の石膏ボード。
[付記5]
石膏ボードであって、
(a)硬化石膏の結晶性マトリックスを含み、表側表面と裏側表面とを有する、石膏コアと、
(b)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの表側表面に面しており、第1のマットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有する、第1のマットと
を含み、任意選択で、
(c)外側表面と内側表面とを有し、前記コアの裏側表面に面しており、第2のマットの水平面に沿って画定される第2のマットの外側表面に隣接する第3の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第4の領域とを有する、第2のマット を含み、
(i)前記第1の領域は、前記第2の領域より密度が低く、
(ii)任意選択で、前記第3の領域は、前記第4の領域より密度が低い、
石膏ボード。
[付記6]
前記第1の領域は、第1の領域に対する親水性に寄与する第1の結合剤を含み、および/または前記第2の領域は、第2の領域に対する疎水性に寄与する第2の結合剤を含む、付記1~5のいずれか一つに記載の方法。
[付記7]
複合石膏ボードを製造する方法であって、方法は、
(a)少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、
(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、
(c)前記コアの裏側に裏側カバーシートを塗布し、ボード前駆体を形成することと、 (d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと
を含み、
(i)少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、
(ii)前記第1の領域は、前記第2の領域より親水性が高い、
方法。
[付記8]
複合石膏ボードを製造する方法であって、方法は、
(a)少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、
(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、
(c)前記コアの裏側に裏側カバーシートを塗布し、ボード前駆体を形成することと、 (d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと
を含み、
(i)少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される前記外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される前記内側表面に隣接する第2の領域とを有し、
(ii)前記第1の領域は、前記第2の領域よりぬれ性が高い、
方法。
[付記9]
複合石膏ボードを製造する方法であって、方法は、
(a)少なくとも水、スタッコ、及び任意選択で、1つ以上の添加剤を混合してスラリーを形成することと、
(b)前記スラリーを、表側マットに関連する接着に塗布し、表側と裏側とを有し、表側が前記表側マットに面するボードコアを形成することと、
(c)前記コアの裏側に裏側カバーシートを塗布し、ボード前駆体を形成することと、 (d)前記ボード前駆体を乾燥させ、前記ボードを形成することと
を含み、
(i)少なくとも1つのマットは、前記マットの水平面に沿って画定される外側表面に隣接する第1の領域と、前記マットの水平面に沿って画定される内側表面に隣接する第2の領域とを有し、
(ii)前記第1の領域は、前記第2の領域より密度が低い、
方法。
[付記10]
前記裏側カバーシートが、任意選択で、マットであり、前記方法が、さらに、前記マットのうち少なくとも1つの外側にコーティングを塗布することを含み、前記コーティングが、湿潤助剤を含まない、付記7~9のいずれか一つに記載の方法
図1