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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ローラケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/08 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
B65D85/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019511301
(86)(22)【出願日】2018-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2018014537
(87)【国際公開番号】W WO2018186464
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2017076218
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500004069
【氏名又は名称】アイオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】町田 ちづる
(72)【発明者】
【氏名】風間 翔太
(72)【発明者】
【氏名】川口 覚嗣
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-112485(JP,U)
【文献】特開2004-325690(JP,A)
【文献】特開2010-231165(JP,A)
【文献】実開昭51-132376(JP,U)
【文献】特開2013-100133(JP,A)
【文献】米国特許第04079835(US,A)
【文献】特開2011-016594(JP,A)
【文献】特開2001-199639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0158105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性多孔質材からなる円筒状のローラ本体の内周面が回転軸の外周面に支持されたローラを収納するためのローラケースであって、
前記回転軸の一端側及び他端側を前記回転軸の軸方向と交叉する軸交叉方向の一方側から支持可能な一側及び他側の第1支持部と、前記軸交叉方向の他方側が開放された第1収容空間を前記一側の第1支持部と前記他側の第1支持部との間に区画する第1カバー部とを有する第1ケース体と、
前記回転軸の前記一端側及び前記他端側を前記軸交叉方向の前記他方側から支持可能な一側及び他側の第2支持部と、前記軸交叉方向の前記一方側が開放された第2収容空間を前記一側の第2支持部と前記他側の第2支持部との間に区画する第2カバー部とを有し、前記第1収容空間と前記第2収容空間とがローラ本体収容空間を区画するケース閉状態で前記第1ケース体に係合して前記ケース閉状態を保持可能な第2ケース体と、を備え、
前記ローラが収納されたローラ収納状態では、前記第1ケース体と前記第2ケース体との係合によって前記ケース閉状態が保持され、前記ローラ本体が前記第1ケース体及び前記第2ケース体から離間した状態で前記ローラ本体収容空間に収容され、前記回転軸の前記一端側及び前記他端側が前記第1支持部と前記第2支持部との間で前記軸交叉方向から挟まれて保持され、前記第1ケース体及び前記第2ケース体によって前記ローラの全体が覆われ
前記回転軸の少なくとも前記一端側では、前記ローラ本体の端面から突出する前記回転軸の軸端部が前記一側の第1支持部と前記一側の第2支持部との間に挟まれて保持され、
前記一端側の前記軸端部には、板状の軸落下規制部材が着脱自在に取付けられ、
前記軸落下規制部材は、前記ローラ収納状態において、前記ローラ本体と前記一側の第1支持部及び第2支持部との間で前記ローラ本体の前記端面から離間し、
前記軸端部に取付けられた前記軸落下規制部材の外周縁部の略全域は、前記ローラ本体の外周面よりも前記ローラ本体の径方向外側へ突出し、
前記第1ケース体及び前記第2ケース体の少なくとも一方は、前記軸落下規制部材の前記外周縁部と係合して前記軸落下規制部材の前記軸方向への移動を規制する軸落下規制部材係合溝を有し、
前記軸落下規制部材は、前記ローラ収納状態において、前記一側の第1支持部及び第2支持部による前記軸端部の保持が解除された場合に、前記第1ケース体及び前記第2ケース体の少なくとも一方に支持されて前記軸端部の下降を阻止する
ことを特徴とするローラケース。
【請求項2】
弾性多孔質材からなる円筒状のローラ本体の内周面が回転軸の外周面に支持され、前記回転軸の両端の軸端部が前記ローラ本体の両側の端面から突出するローラを収納するためのローラケースであって、
前記回転軸の一端側及び他端側の前記軸端部を前記回転軸の軸方向と交叉する軸交叉方向の一方側から支持可能な一側及び他側の第1支持部と、前記軸交叉方向の他方側が開放された第1収容空間を前記一側の第1支持部と前記他側の第1支持部との間に区画する第1カバー部とを有する第1ケース体と、
前記回転軸の前記一端側及び前記他端側の前記軸端部を前記軸交叉方向の前記他方側から支持可能な一側及び他側の第2支持部と、前記軸交叉方向の前記一方側が開放された第2収容空間を前記一側の第2支持部と前記他側の第2支持部との間に区画する第2カバー部とを有し、前記第1収容空間と前記第2収容空間とがローラ本体収容空間を区画するケース閉状態で前記第1ケース体に係合して前記ケース閉状態を保持可能な第2ケース体と、を備え、
前記軸端部には、板状の軸装着部材が着脱自在に取付けられ
前記軸端部に取付けられた前記軸装着部材の外周縁部の略全域又は複数の領域は、前記ローラ本体の外周面よりも前記ローラ本体の径方向外側へ突出する最外縁部を構成し、
前記ローラが収納されたローラ収納状態では、前記第1ケース体と前記第2ケース体との係合によって前記ケース閉状態が保持され、前記ローラ本体が前記第1ケース体及び前記第2ケース体から離間した状態で前記ローラ本体収容空間に収容され、前記回転軸の前記一端側及び前記他端側の前記軸端部に取付けられた前記軸装着部材が、前記最外縁部で前記第1支持部と前記第2支持部との間に前記軸交叉方向から挟まれて保持され、前記第1ケース体及び前記第2ケース体によって前記ローラの全体が覆われ、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記軸装着部材の前記最外縁部と係合して前記軸装着部材の前記軸方向への移動を規制する軸装着部材係合溝を有し、
前記軸装着部材は、前記ローラ収納状態において前記ローラ本体の前記端面から離間し、
前記第1ケース体及び前記第2ケース体の少なくとも一方は、前記軸装着部材係合溝に係合した前記軸装着部材に前記軸方向から対向するケース側係合部を有し、
前記軸装着部材は、前記軸装着部材係合溝に係合した状態で前記ケース側係合部と係合可能な部材側係合部を有し、
前記部材側係合部が前記ケース側係合部と係合することにより、前記軸装着部材係合溝に対する前記軸装着部材の移動が規制される
ことを特徴とするローラケース。
【請求項3】
請求項1に記載のローラケースであって
記一側の第1支持部は、前記軸端部の外周面を載置可能な溝形状であり、
前記第1ケース体は、前記一側の第1支持部に対して前記第1収容空間の反対側に配置されて前記一側の第1支持部と隣接する開口溝部を有し、
前記開口溝部は、前記一側の第1支持部に載置された前記軸端部が挿通不能で、且つ前記一側の第1支持部に載置された前記軸端部の端面を外部へ臨ませる溝形状である
ことを特徴とするローラケース。
【請求項4】
請求項に記載のローラケースであって、
前記軸端部の外周面は、凹凸形状を有し、
前記一側の第1支持部及び前記一側の第2支持部の少なくとも一方は、前記軸端部の前記凹凸形状と係合して前記軸端部の移動を規制する凹凸形状を有する
ことを特徴とするローラケース。
【請求項5】
請求項に記載のローラケースであって、
前記軸装着部材は、前記回転軸から前記軸交叉方向に分かれて離脱可能な複数の分割板を組合せることにより構成される
ことを特徴とするローラケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性多孔質材からなるローラ本体が回転軸に支持されたローラを収納するためのローラケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャップを有する管状出荷用容器が記載されている。この管状出荷用容器は、ブラシを囲み保護するためのほぼ円筒状の剛性構造体を備え、空洞開口を有する内方空洞部を画定する。キャップは、空洞開口にて管状出荷用容器に結合することにより、管状出荷用容器の端部を囲む又は塞ぐように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-532246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の管状出荷用容器では、管状出荷用容器にブラシ(弾性多孔質材からなるローラ本体)を収納する場合や収納されたブラシを管状出荷用容器から取出す場合、内方空洞部と外部との間で空洞開口を介してブラシを軸方向に沿って移動させる必要がある。このため、収納や取出しの作業が煩雑である。また、収納時や取出し時にブラシが管状出荷用容器に当たり、ブラシに変形や損傷や汚れが発生する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、収納や取出しの作業が容易であり、収納時や取出し時のローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することが可能なローラケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、ローラを収納するためのローラケースであって、第1ケース体と第2ケース体とを備える。ローラは、ローラ本体と回転軸とを有する。ローラ本体は弾性多孔質材からなる円筒状であり、ローラ本体の内周面は回転軸の外周面に支持されている。
【0007】
第1ケース体は、回転軸の一端側及び他端側を回転軸の軸方向と交叉する軸交叉方向の一方側から支持可能な一側及び他側の第1支持部と、軸交叉方向の他方側が開放された第1収容空間を一側の第1支持部と他側の第1支持部との間に区画する第1カバー部とを有する。第2ケース体は、回転軸の一端側及び他端側を軸交叉方向の他方側から支持可能な一側及び他側の第2支持部と、軸交叉方向の一方側が開放された第2収容空間を一側の第2支持部と他側の第2支持部との間に区画する第2カバー部とを有する。第2ケース体は、第1収容空間と第2収容空間とがローラ本体収容空間を区画するケース閉状態で第1ケース体に係合してケース閉状態を保持可能である。
【0008】
ローラが収納されたローラ収納状態では、第1ケース体と第2ケース体との係合によってケース閉状態が保持され、ローラ本体が第1ケース体及び第2ケース体から離間した状態でローラ本体収容空間に収容され、第1支持部と第2支持部との間で回転軸の一端側及び他端側が軸交叉方向から挟まれて保持され、第1ケース体及び第2ケース体によってローラの全体が覆われる。
回転軸の少なくとも一端側では、ローラ本体の端面から突出する回転軸の軸端部が一側の第1支持部と一側の第2支持部との間に挟まれて保持される。一端側の軸端部には、板状の軸落下規制部材が着脱自在に取付けられる。軸落下規制部材は、ローラ収納状態において、ローラ本体と一側の第1支持部及び第2支持部との間でローラ本体の端面から離間する。軸端部に取付けられた軸落下規制部材の外周縁部の略全域は、ローラ本体の外周面よりもローラ本体の径方向外側へ突出する。第1ケース体及び第2ケース体の少なくとも一方は、軸落下規制部材の外周縁部と係合して軸落下規制部材の軸方向への移動を規制する軸落下規制部材係合溝を有する。軸落下規制部材は、ローラ収納状態において、一側の第1支持部及び第2支持部による軸端部の保持が解除された場合に、第1ケース体及び第2ケース体の少なくとも一方に支持されて軸端部の下降を阻止する。
【0009】
上記構成では、ローラケースにローラを収納する場合、ローラケースを、第1ケース体と第2ケース体との係合が解除されてローラ本体収容空間が開放されたケース開状態とし、例えば第1ケース体を第1収容空間が上方へ開口する姿勢に保持し、第1ケース体の上方からローラを下降させ、回転軸の一端側及び他端側を一側及び他側の第1支持部に載置する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体の下部が第1収容空間に収まり、ローラ本体の外周面の下側領域が第1カバー部に非接触状態で覆われる。次に、第1ケース体に第2ケース体を上方から被せて、第2ケース体を第1ケース体に係合する。係るローラ収納状態(ローラが収納されたケース閉状態)では、ローラ本体の上部が第2収容空間に収まり、ローラ本体の外周面の上側領域が第2カバー部に非接触状態で覆われ、ローラ本体がローラ本体収容空間に収容される。また、ローラ収納状態では、第1支持部と第2支持部との間で回転軸の一端側及び他端側が軸交叉方向から挟まれて保持され、ローラの全体が第1ケース体と第2ケース体とによって覆われる。反対に、ローラケースからローラを取出す場合、第1ケース体と第2ケース体との係合を解除してケース開状態とし、例えば回転軸の一端側と他端側とを両手の指先で支持してローラ(回転軸)を引き上げて、ローラを第1ケース体から取出す。このように、ローラをローラケースに収納する場合や収納されたローラをローラケースから取出す場合、ローラを軸方向ではなく軸交叉方向に移動させるので、収納や取出しの作業を容易に行うことできる。また、収納時や取出し時にローラ本体がローラケース(第1ケース体)に接触し難く、ローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0010】
また、ローラ収納状態のローラケースに意図しない外力が作用し、第1支持部と第2支持部とによる回転軸の一端側の保持が解除された場合であっても、ローラケースに対する回転軸の下降によるローラ本体とローラケースとの干渉を軸落下規制部材によって阻止することができ、ローラをローラケースに収納して搬送する際等に、ローラケースとの接触に起因するローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0012】
本発明の第の態様は、第1の態様のローラケースであって、一側の第1支持部は、軸端部の外周面を載置可能な溝形状である。第1ケース体は、一側の第1支持部に対して第1収容空間の反対側に配置されて一側の第1支持部と隣接する開口溝部を有する。開口溝部は、一側の第1支持部に載置された軸端部が挿通不能で、且つ一側の第1支持部に載置された軸端部の端面を外部へ臨ませる溝形状である。
【0014】
上記構成では、開口溝部を作業者の指先が挿入可能な大きさに形成することにより、作業者は、ローラの収納時や取出し時において、軸端部の端面又は軸装着部材の端面に軸方向から指先を当てた状態で回転軸(ローラ)を昇降させることができ、作業性が向上する。
【0015】
本発明の第の態様は、第1の態様のローラケースであって、軸端部の外周面は、凹凸形状を有する。一側の第1支持部及び一側の第2支持部の少なくとも一方は、軸端部の凹凸形状と係合して軸端部の移動を規制する凹凸形状を有する。
【0017】
上記構成では、一側の第1支持部及び/又は一側の第2支持部との係合によって軸端部の移動が規制されるので、ローラをローラケースに収納して搬送する際等に、ローラケースとの接触に起因するローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0020】
本発明の第の態様は、ローラを収納するためのローラケースであって、第1ケース体と第2ケース体とを備える。ローラは、ローラ本体と回転軸とを有する。ローラ本体は弾性多孔質材からなる円筒状であり、ローラ本体の内周面は回転軸の外周面に支持され、回転軸の両端の軸端部はローラ本体の両側の端面から突出する。
第1ケース体は、回転軸の一端側及び他端側の軸端部を回転軸の軸方向と交叉する軸交叉方向の一方側から支持可能な一側及び他側の第1支持部と、軸交叉方向の他方側が開放された第1収容空間を一側の第1支持部と前記他側の第1支持部との間に区画する第1カバー部とを有する。第2ケース体は、回転軸の一端側及び他端側の軸端部を軸交叉方向の他方側から支持可能な一側及び他側の第2支持部と、軸交叉方向の一方側が開放された第2収容空間を一側の第2支持部と他側の第2支持部との間に区画する第2カバー部とを有する。第2ケース体は、第1収容空間と第2収容空間とがローラ本体収容空間を区画するケース閉状態で第1ケース体に係合してケース閉状態を保持可能である。
軸端部には、板状の軸装着部材が着脱自在に取付けられる。軸端部に取付けられた軸装着部材の外周縁部の略全域又は複数の領域は、ローラ本体の外周面よりもローラ本体の径方向外側へ突出する最外縁部を構成するローラが収納されたローラ収納状態では、第1ケース体と第2ケース体との係合によってケース閉状態が保持され、ローラ本体が第1ケース体及び第2ケース体から離間した状態でローラ本体収容空間に収容され、回転軸の一端側及び他端側の軸端部に取付けられた軸装着部材最外縁部で第1支持部と第2支持部との間に軸交叉方向から挟まれて保持され、第1ケース体及び第2ケース体によってローラの全体が覆われる。
第1支持部及び第2支持部は、軸装着部材の最外縁部と係合して軸装着部材の軸方向への移動を規制する軸装着部材係合溝を有する。軸装着部材は、ローラ収納状態においてローラ本体の端面から離間する。第1ケース体及び第2ケース体の少なくとも一方は、軸装着部材係合溝に係合した軸装着部材に軸方向から対向するケース側係合部を有する。軸装着部材は、軸装着部材係合溝に係合した状態でケース側係合部と係合可能な部材側係合部を有する。部材側係合部がケース側係合部と係合することにより、軸装着部材係合溝に対する軸装着部材の移動が規制される。
【0021】
上記構成では、ローラ本体の外周面よりも突出する領域で軸装着部材が第1支持部と第2支持部との間に挟まれることによって回転軸の一端側が保持されるので、ローラ収納状態のローラケースに意図しない外力が作用した場合であっても、回転軸の一端側の保持が解除され難く、ローラをローラケースに収納して搬送する際等に、ローラケースとの接触に起因するローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0022】
本発明の第の態様は、第の態様のローラケースであって、軸装着部材は、回転軸から軸交叉方向に分かれて離脱可能な複数の分割板を組合せることにより構成される。
【0023】
上記構成では、軸装着部材を回転軸に取付ける場合には、複数の分割板を軸交叉方向から回転軸に組付ければよく、軸装着部材を回転軸から取外す場合には、複数の分割板を回転軸から軸交叉方向に分けて離脱させればよい。従って、軸装着部材に軸挿通孔を形成し、軸挿通孔に回転軸を挿通することによって軸装着部材を回転軸に取付け、軸挿通孔から回転軸を引抜くことによって軸装着部材を取外す場合に比べて、軸装着部材の着脱作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のローラケースによれば、収納時や取出し時のローラ本体の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係るローラケースのローラ収納前の斜視図である。
図2】(a)は、軸載置状態の図1の下ケースの平面図、(b)はローラ収納状態の図1のローラケースの平面図である。
図3図2(b)のIII-III矢視断面図である。
図4図2(b)のIV-IV矢視断面図である。
図5図3のV-V矢視断面図である。
図6】上ケースに下ケースを重ねた状態を示す断面図である。
図7】第2実施形態に係るアダプタ及びローラの斜視図である。
図8】第2実施形態の要部の平断面図である。
図9図8のIX-IX矢視断面図である。
図10】第3実施形態に係るフランジ及びローラの斜視図である。
図11】第3実施形態の要部の平断面図である。
図12図11のXII-XII矢視断面図である。
図13】第3実施形態の変形例の断面図である。
図14】第4実施形態の断面図である。
図15】第5実施形態に係るケース体及びフランジを斜め上方から視た斜視図である。
図16図15のケース体を斜め下方から視た斜視図である。
図17】第5実施形態に係るローラケースのローラ収納前の側面図である。
図18図17のローラ収容後の第1ケース体の後面図である。
図19】第5実施形態の一端側の側断面図である。
図20】第5実施形態の他端側の側断面図である。
図21】第5実施形態のフランジの変形例を示す正面図である。
図22】第6実施形態に係る前側フランジを示す正面図である。
図23】第6実施形態に係る後側フランジを示す正面図である。
図24図23の後側フランジを取付けた場合のローラ収容後の第1ケース体の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1実施形態に係るローラケース10について、図1図6を参照して説明する。
【0027】
図1図5に示すように、ローラケース10は、製造されたローラ1を搬送(出荷)する場合や保管する場合等において、ローラ1を保護する容器として使用される。ローラ1は、円筒状のローラ本体2の内周面が回転軸3の外周面に固定的に支持された所謂軸付きローラである。なお、以下の説明において、上下方向は略鉛直方向を意味し、前後方向は上下方向と略直交する回転軸3の軸方向を意味し、左右方向は、上下方向及び前後方向と略直交する方向を意味する。また、各方向は、ローラケース10に収納されたローラ1の回転軸3が略水平に延びる状態を想定した方向である。また、軸方向内側とは、回転軸3の軸方向の中心へ向かう方向(ローラケース10については、これに相当する方向)であり、軸方向外側とは、回転軸3の軸方向の中心から離れる方向(ローラケース10については、これに相当する方向)である。
【0028】
ローラ本体2は、弾性を有する軟質多孔質素材によって形成されている。ローラ本体2の外周面は、曲面形状であってもよく、多数の突起が曲面から突出する等の凹凸形状であってもよい。軟質多孔質素材としては、高分子化合物多孔質素材、例えば含水状態で弾性を有するポリビニルアセタール系多孔質素材(PVAt系多孔質素材)や、乾燥及び含水状態で共に弾性を有するポリウレタン系多孔質素材などが使用される。
【0029】
回転軸3は、例えば、ローラ本体2の内径以上の外径を有する略円柱状又は略円管形状であり、ローラ本体2の内径部に挿入されてローラ本体2を保持する。回転軸3は、金属やプラスチックなどの硬質な材料によって形成され、回転軸3の一端側(前端側)及び他端側(後端側)には、回転軸3の軸方向に延びてローラ本体2の両端面(前後の端面)よりも突出する軸端部4が一体的に設けられている。なお、回転軸3の外周の断面形状は、円形に限定されず、例えば多角形や凹凸を有する形状等であってもよい。ローラ本体2は、回転軸3との間の摩擦力のみによって回転軸3に保持されてもよく、接着剤等によって回転軸3に保持されてもよい。また、原料を含む液体(混合液)を型内で固化して多孔質素材(ローラ本体2)を製造する場合、回転軸3を型内にセットした状態で混合液を固化する(製造後のローラ本体2に回転軸3を挿入せずに、ローラ本体2を回転軸3と一体的に形成する)ことによって、回転軸3にローラ本体2を保持させてもよい。
【0030】
本実施形態の軸端部4は、ローラ本体2を保持する回転軸3の中央部より小径であり、中央部と軸端部4との間には段差5が形成されている。軸端部4の端面には、断面円形状の軸端面穴6が形成されている。
【0031】
ローラケース10は、下側の第1ケース体(下ケース)11と上側の第2ケース体(上ケース)12とを備える。第1ケース体11及び第2ケース体12は、その各部が真空成形等によって薄肉状に一体形成された樹脂製である。本実施形態のローラケース10は、表面を指先で押圧すると弾性変形して凹む程度の肉厚を有し、第2ケース体12及び第1ケース体11を形成する樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、PC(ポリカーボネート)、PVC(ポリ塩化ビニル)などが用いられる。なお、第1ケース体11及び/又は第2ケース体12を透明又は半透明の樹脂で形成することにより、収容物(ローラ1)が外部から視認可能となる。
【0032】
第1ケース体11は、矩形枠状(額縁状)の第1ベース面部13と、第1ベース面部13の内周縁から下方へ凹む第1カバー部14と、第1ベース面部13の外周縁から下方へ延びて第1カバー部14の外側を覆う第1外側周面部15と、第1外側周面部15の下端周縁から外側へ延びる第1縁面部16とを一体的に有する。
【0033】
第1ベース面部13は、矩形枠の長辺となる左右1対の第1ベース長面部17と、矩形枠の短辺となる前後1対の第1ベース短面部18とを有する。第1ベース長面部17は、ローラ1(回転軸3)の軸方向に沿って前後方向に延び、第1ベース短面部18は、ローラ1の軸方向と略直交する軸交叉方向(径方向)に沿って左右方向に延びる。
【0034】
第1カバー部14は、左右1対の第1カバー長面部19と、前後1対の第1カバー短面部20と、カバー底面部21とを有する。第1カバー長面部19は、第1ベース長面部17の内縁から下方へ延びる矩形状であり、第1カバー短面部20は、隣接する第1カバー長面部19の端縁から曲折した状態で第1ベース短面部18の内縁から下方へ延びる矩形状であり、カバー底面部21は、第1カバー長面部19と第1カバー短面部20とが形成する矩形筒形状の下端を塞ぐ矩形状である。カバー底面部21には、下方へ突出する補強用の第1リブ22が複数形成されている。
【0035】
第1外側周面部15は、左右1対の第1外側長面部23と、前後1対の第1外側短面部24とを有する。第1外側長面部23は、第1ベース長面部17の外縁から下方へ延びる矩形状であり、第1外側短面部24は、隣接する第1外側長面部23の端縁から曲折した状態で第1ベース短面部18の外縁から下方へ延びる矩形状である。
【0036】
前後の第1ベース短面部18の各々には、円弧状に下方へ凹む溝形状の第1軸対向溝部(第1支持部)25が形成されている。第1軸対向溝部25は、回転軸3の軸端部4の外周に沿うように形成され、各第1軸対向溝部25には、回転軸3の前後の軸端部4がそれぞれ載置される。第1カバー部14は、上方が開放された第1収容空間26を前後の第1軸対向溝部25の間に区画し、第1軸対向溝部25の軸方向内側は、第1収容空間26に開口する。なお、第1軸対向溝部25の内径は、軸端部4が進入可能な大きさであればよく、第1ケース体11の弾性変形によって軸端部4が挿入可能となる範囲であれば、軸端部4の外径よりも小さくてもよい。また、第1軸対向溝部25の形状は、円弧状に限定されず、軸端部4を支持可能な形状であればよい。
【0037】
前後の第1ベース短面部18の各々には、第1軸対向溝部25の軸方向外側(第1収容空間26の反対側)に配置されて円弧状に下方へ凹む溝形状の開口溝部27が、第1軸対向溝部25に隣接(連続)して形成されている。開口溝部27の内径は、第1軸対向溝部25の内径よりも小さく設定され、第1軸対向溝部25と開口溝部27との間には段差状の溝境界部28が形成されている。第1軸対向溝部25に載置された軸端部4は、溝境界部28によって軸方向外側への移動が規制され、第1軸対向溝部25と隣接する開口溝部27を挿通することができず、且つ軸端部4の端面は、隣接する開口溝部27を介して外部へ臨む。開口溝部27の内径は、作業者の指先が挿入可能な大きさに設定され、作業者は、第1軸対向溝部25に載置された軸端部4の端面に開口溝部27を介して指先を当てることができる。
【0038】
左右の第1外側長面部23の各々には、内側(対向する第1外側長面部23側)へ凹む係合凹部29が形成されている。
【0039】
第2ケース体12は、矩形枠状(額縁状)の第2ベース面部30と、第2ベース面部30の内周縁から上方へ突出する第2カバー部31と、第2ベース面部30の外周縁から下方へ延びる第2外側周面部32と、第2外側周面部32の下端周縁から外側へ延びる第2縁面部33とを一体的に有する。
【0040】
第2ベース面部30は、矩形枠の長辺となる左右1対の第2ベース長面部34と、矩形枠の短辺となる前後1対の第2ベース短面部35とを有する。第2ベース長面部34は、軸方向に沿って前後に延び、第2ベース短面部35は、軸交叉方向に沿って左右に延びる。
【0041】
第2カバー部31は、左右1対の第2カバー長面部36と、前後1対の第2カバー短面部37と、カバー上面部38とを有する。第2カバー長面部36は、第2ベース長面部34の内縁から上方へ延びる矩形状であり、第2カバー短面部37は、隣接する第2カバー長面部36の端縁から曲折した状態で第2ベース短面部35の内縁から上方へ延びる矩形状であり、カバー上面部38は、第2カバー長面部36と第2カバー短面部37とが形成する矩形筒形状の上端を塞ぐ矩形状である。カバー上面部38には、上方へ突出する補強用の第2リブ39が複数形成されている。
【0042】
第2外側周面部32は、左右1対の第2外側長面部40と、前後1対の第2外側短面部41とを有する。第2外側長面部40は、第2ベース長面部34の外縁から下方へ延びる矩形状であり、第2外側短面部41は、隣接する第2外側長面部40の端縁から曲折した状態で第2ベース短面部35の外縁から下方へ延びる矩形状である。
【0043】
前後の第2ベース短面部35の各々には、円弧状に上方へ凹む溝形状の第2軸対向溝部(第2支持部)42が形成され、第2カバー部31は、下方が開放された第2収容空間43を前後の第2軸対向溝部42の間に区画する。第2軸対向溝部42の軸方向内側は、第2収容空間43に開口し、第2軸対向溝部42の軸方向外側(第2収容空間43の反対側)は溝端部44によって閉止されている。第2軸対向溝部42は、回転軸3の軸端部4の外周に沿うように形成されている。なお、第2軸対向溝部42の内径は、軸端部4が進入可能な大きさであればよく、第2ケース体12の弾性変形によって軸端部4が挿入可能となる範囲であれば、軸端部4の外径よりも小さくてもよい。また、第2軸対向溝部42の形状は、円弧状に限定されず、軸端部4を支持可能な形状であればよい。
【0044】
第2外側周面部32の内側に第1カバー部14が挿入可能なように、左右の第2外側長面部40の内面間距離は、左右の第1外側長面部23の外面間距離と略同じか僅かに長く設定され、前後の第2外側短面部41の内面間距離は、前後の第1外側短面部24の外面間距離と略同じか僅かに長く設定されている。左右の第2外側長面部40の各々には、内側(対向する第2外側長面部40側)へ突出する係止突部45が形成されている。なお、第1ケース体11及び/又は第2ケース体12の弾性変形によって第2外側周面部32の内側に第1カバー部14が挿入可能となる範囲であれば、左右の第2外側長面部40の内面間距離は左右の第1外側長面部23の外面間距離より短くてもよく、前後の第2外側短面部41の内面間距離は前後の第1外側短面部24の外面間距離より短くてもよい。
【0045】
第1収容空間26が上方へ開口する姿勢(基本姿勢)で第1ケース体11を置き、第2外側周面部32の内側に第1外側周面部15を挿入するように第1ケース体11に第2ケース体12を重ねて押下げると、第2ケース体12の係止突部45が第1ケース体11の係合凹部29と係合してケース閉状態となる。ケース閉状態は、係止突部45と係合凹部29との係合によって保持される。ケース閉状態では、第1ベース面部13と第2ベース面部30とが近接又は接触して相対向し、第1収容空間26と第2収容空間43とがローラ本体収容空間46を区画する。また、開口溝部27の軸方向外側は、第2ケース体12の第2外側短面部41によって閉止される(図5参照)。
【0046】
係止突部45と係合凹部29との係合が解除され、第1ケース体11と第2ケース体12とが分離されてローラ本体収容空間46が開放されたケース開状態において、基本姿勢の第1ケース体11の前後の第1軸対向溝部25に回転軸3の前端側及び後端側の軸端部4を載置し、第1ケース体11に第2ケース体12を重ねてケース閉状態とすることにより、ローラケース10にローラ1が収納されたローラ収納状態となる。ローラ収納状態では、ローラ本体2が第1ケース体11及び第2ケース体12から離間した状態でローラ本体収容空間46に収容され、第1軸対向溝部25と第2軸対向溝部42との間で前端側及び後端側の軸端部4が軸交叉方向から挟まれて保持され、第1ケース体11及び第2ケース体12によってローラ1の全体が覆われる。回転軸3の軸交叉方向の移動は、第1軸対向溝部25と第2軸対向溝部42とによって阻止され、回転軸3の軸方向の移動は、溝境界部28と溝端部44とによって阻止される。
【0047】
また、図6に示すように、第2収容空間43が下方へ開口する姿勢で第2ケース体12を置き、第1外側周面部15の内側に第2カバー部31を挿入するように第2ケース体12に第1ケース体11を重ねると、第2ケース体12の第2リブ39に第1ケース体11の第1リブ22が上方から重なって載置されるとともに、第1ケース体11の左右の係合凹部29の内側に第2ケース体12の第2カバー部31が挿入されて係合する。係る係合により、第1ケース体11と第2ケース体12との重なり状態が安定するので、ローラ収納状態のローラケース10を多段に積み重ねておくことができる。
【0048】
ローラケース10にローラ1を収納する場合、ローラケース10をケース開状態とし、第1ケース体11を第1収容空間26が上方へ開口する基準姿勢で置き、第1ケース体11の上方からローラ1を下降させ、ローラ1の前後の軸端部4を前後の第1軸対向溝部25にそれぞれ載置する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体2の下部が第1収容空間26に収まり、ローラ本体2の外周面の下側領域が第1カバー部14に非接触状態で覆われる。次に、第1ケース体11に第2ケース体12を上方から被せて、第2ケース体12の係止突部45を第1ケース体11の係合凹部29に係合する。係るローラ収納状態(ローラ1が収納されたケース閉状態)では、ローラ本体2の上部が第2収容空間43に収まり、ローラ本体2の外周面の上側領域が第2カバー部31に非接触状態で覆われ、ローラ本体2がローラ本体収容空間46に収容される。また、ローラ収納状態では、前後の第1軸対向溝部25と前後の第2軸対向溝部42との間で前後の軸端部4が上下方向から挟まれて保持され、ローラ1の全体が第1ケース体11と第2ケース体12とによって覆われる。
【0049】
ローラケース10からローラ1を取出す場合、第2ケース体12を第1ケース体11から引き離すように持ち上げ、第1ケース体11の係合凹部29と第2ケース体12の係止突部45との係合を解除してケース開状態とし、回転軸3の前後の軸端部4を両手の指先で支持してローラ1(回転軸3)を引き上げ、ローラ1を第1ケース体11から取出す。
【0050】
このように、ローラ1をローラケース10に収納する場合や収納されたローラ1をローラケース10から取出す場合、ローラ1を軸方向(前後方向)ではなく軸交叉方向(上下方向)に移動させるので、収納や取出しの作業を容易に行うことできる。また、収納時や取出し時にローラ本体2がローラケース10(第1ケース体11)に接触し難く、ローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0051】
また、開口溝部27の内径が作業者の指先が挿入可能な大きさに形成されているので、作業者は、ローラ1の収納時や取出し時において、前後の軸端部4の端面に軸方向外側から両手の指先を当てて(軸端面穴6に指先を引っ掛けて)回転軸3を支持した状態で、ローラ1(回転軸3)を昇降させることができ、作業性が向上する。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について、図7図9を参照して説明する。第2実施形態は、回転軸3にアダプタ(軸装着部材)47を取付けたものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図7図9に示すように、アダプタ47は、軸端部4と略同じ外径を有する円柱状又は円筒状のアダプタ基部48と、アダプタ基部48の一端から突出する円柱状又は円筒状のアダプタ細径部49と、アダプタ基部48の他端に設けられた鍔状のアダプタ太径部50と一体的に有する。アダプタ細径部49はアダプタ基部48よりも小径であり、アダプタ太径部50はアダプタ基部48よりも大径で且つローラ本体2よりも小径である。アダプタ細径部49の外径は、軸端部4の軸端面穴6の内径と略同じか僅かに小さく設定され、アダプタ細径部49を軸端面穴6に挿入することにより、アダプタ47が軸端部4の端面に着脱可能に取付けられる。アダプタ47(アダプタ太径部50)の端面には、アダプタ端面穴51が形成されている。
【0054】
第1ケース体11の第1軸対向溝部25と第2ケース体12の第2軸対向溝部42とには、アダプタ基部48の外径に合わせた浅溝部52と、アダプタ太径部50の外径に合わせた深溝部53とがそれぞれ設けられている。第1軸対向溝部25の深溝部53と開口溝部27との間には段差状の溝境界部28が形成され、アダプタ太径部50の外径は、開口溝部27の内径よりも大きい。
【0055】
アダプタ47を第1軸対向溝部25に載置する場合、アダプタ基部48が浅溝部52に、アダプタ太径部50が深溝部53にそれぞれ挿入される。ケース閉状態では、上下の浅溝部52の間にアダプタ基部48が挟まれて保持され、及び/又は上下の深溝部53の間にアダプタ太径部50が挟まれて保持される。このように、アダプタ47の外周面は、凹凸形状を有し、第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42は、アダプタ47の凹凸形状と係合してアダプタ47の移動を規制する凹凸形状を有する。なお、第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42の一方にのみ、アダプタ47の凹凸形状と係合してアダプタ47の移動を規制する凹凸形状を設けてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、回転軸3の軸端部4がローラ本体2の端面から十分に突出していない場合であっても、アダプタ47を介して回転軸3の前端側及び後端側を確実に支持することができる。
【0057】
また、第1実施形態と同様に、開口溝部27の内径が作業者の指先が挿入可能な大きさに形成されているので、作業者は、ローラ1の収納時や取出し時において、前後のアダプタ47の端面に軸方向外側から両手の指先を当てて(アダプタ端面穴51に指先を引っ掛けて)回転軸3を支持した状態で、ローラ1(回転軸3)を昇降させることができ、作業性が向上する。
【0058】
また、第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42とアダプタ47とが係合してアダプタ47の移動が規制されるので、ローラ収納状態のローラケース10に意図しない外力が作用し、第1軸対向溝部25が軸方向外側へ移動するようにローラケース10が変形した場合であっても、第1軸対向溝部25からのアダプタ47の落下が防止される。従って、ローラ1をローラケース10に収納して搬送する際等に、ローラケース10との接触に起因するローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0059】
なお、アダプタ47の移動を阻止するための凹凸形状は省略可能であり、回転軸3の前端側及び後端側のアダプタ47の一方又は双方を、係る凹凸形状を有さないアダプタとしてもよい。
【0060】
また、回転軸3の前端側及び後端側の一方にのみアダプタ47を取付け、他方については軸端部4を第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42によって直接支持してもよい。
【0061】
また、第1実施形態において、第2実施形態と同様に、軸端部4に凹凸形状を設けるとともに、第1軸対向溝部25及び/又は第2軸対向溝部42に軸端部4の凹凸形状と係合して軸端部4の移動を規制する凹凸形状を設けてもよい。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態について、図10図12を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態の回転軸3の前端側及び後端側にフランジ(軸落下規制部材)54を取付けたものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図10図12に示すように、フランジ54は、ローラ本体2の外径よりも大きい外径を有する有孔円板状である。フランジ54の中心部には、軸端部4の外径と略同じか僅かに大きい内径を有する軸挿通孔55が形成され、軸挿通孔55に軸端部4を挿通することにより、フランジ54が前端側及び後端側の軸端部4に着脱可能に取付けられる。軸端部4に取付けられたフランジ54の外周縁部の全域は、ローラ本体2の外周面よりもローラ本体2の径方向外側へ突出する。フランジ54の軸方向内側への挿入限界は軸端部4の段差5によって規定され、フランジ54とローラ本体2とが非接触に維持される。
【0064】
第1ケース体11の第1カバー部14には、フランジ54の外周縁部の下側領域と係合してフランジ54の軸方向への移動を規制する第1フランジ係合溝(軸落下規制部材係合溝)56が形成され、第2ケース体12の第2カバー部31には、フランジ54の外周縁部の下側領域と係合してフランジ54の軸方向への移動を規制する第2フランジ係合溝(軸落下規制部材係合溝)57が形成されている。ローラ収納状態では、フランジ54は、ローラ本体収容空間46のうちローラ本体2が配置される中央部の軸方向両側に配置され、フランジ54の外周縁部は、第1フランジ係合溝56及び第2フランジ係合溝57に係合する。フランジ54の外周面は、第1フランジ係合溝56の溝底及び第2フランジ係合溝57の溝底に近接又は接触する。
【0065】
なお、ローラケース10に外力が作用しない通常の状態では、回転軸3の前端側及び後端側は第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42によって支持され、フランジ54によって回転軸3は支持されない。但し、本発明は、フランジ54による回転軸3の支持を除外するものではなく、第1軸対向溝部25及び第2軸対向溝部42とフランジ54との双方によって回転軸3を支持してもよい。この場合、第1軸対向溝部25と第1フランジ係合溝56とが第1支持部を構成し、第2軸対向溝部42と第2フランジ係合溝57とが第2支持部を構成する。
【0066】
本実施形態によれば、ローラ収納状態のローラケース10に意図しない外力が作用し、第1軸対向溝部25が軸方向外側へ移動するようにローラケース10が変形して、軸端部4が第1軸対向溝部25から離脱した場合であっても、ローラケース10に対するローラ1の下降がフランジ54によって阻止される。従って、ローラ1をローラケース10に収納して搬送する際等に、ローラケース10との接触に起因するローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0067】
なお、回転軸3の前端側及び後端側の双方ではなく、その一方にのみフランジ54を取付けてもよい。また、軸端部4の段差5とローラ本体2の端面とが軸方向において略同位置である場合には、例えば図13に示すように、段差5に突き当たる円筒状の突起58をフランジ54の軸方向内側に設けることによって、フランジ54とローラ本体2との非接触を維持すればよい。また、回転軸3に着脱自在に取付けられ第1支持部と第2支持部との間に挟まれて保持されるアダプタ(例えば第2実施形態のようなアダプタ47)にフランジを一体的に設けてもよい。また、フランジ54の形状は、円板状に限定されず、回転軸3に取付けられた状態でフランジの外周縁部の略全域がローラ本体2の外周面よりも径方向外側へ突出する形状であればよい。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態について、図14を参照して説明する。第4実施形態は、第1実施形態の第1ケース体11と第2ケース体12とをヒンジ部59を介して連結したものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図14に示すように、本実施形態のローラケース60では、第1ケース体11の一方(図中左側)の第1外側長面部23に、第2ケース体12の第2外側長面部40の一方(図中右側)がヒンジ部59を介して開閉自在に連結されている。このように第1ケース体11と第2ケース体12とがヒンジ部59を介して連結されているので、ローラケース60の開閉作業を比較的容易に行うことができる。
【0070】
次に、本発明の第5実施形態について、図15図20を参照して説明する。第5実施形態のローラケース100は、同一形状の2つのケース体70を第1ケース体11及び第2ケース体12として用いるとともに、前後のフランジ(前側フランジ71及び後側フランジ72)によって回転軸3の前端側及び後端側を支持したものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図17に示すように、回転軸3の前端側及び後端側の軸端部4には、軸装着部材としてのフランジ(前側フランジ71及び後側フランジ72)が着脱自在に取付けられる。前側フランジ71及び後側フランジ72は、ローラ本体2の外径よりも大きい外径を有する円板状である。図15及び図19に示すように、前側フランジ71の中心部には、軸端部4の外径と略同じか僅かに大きい内径を有する軸挿通孔73が形成され、軸挿通孔73に軸端部4を挿通することにより、前側フランジ71が前側の軸端部4に着脱可能に取付けられる。図15及び図20に示すように、後側フランジ72には、軸挿通孔73に代えて、軸端部4の外径と略同じか僅かに大きい内径を有する有底筒状部74が一体的に設けられ、有底筒状部74の内径部に軸端部4を挿入することにより、後側フランジ72が後端側の軸端部4に着脱可能に取付けられる。本実施形態の有底筒状部74には、有底筒状部74の内径部への軸端部4の挿入に応じて軸端部4の軸端面穴6に挿入される円柱棒体状の軸挿入部75が一体形成されている。各フランジ71,72を軸端部4に取付けた状態で、各フランジ71,72の外周縁部の全域は、ローラ本体2の外周面よりもローラ本体2の径方向外側へ突出する。なお、前側フランジ71を後側フランジ72のような形状としてもよく、後側フランジ72を前側フランジ71のような形状としてもよい。また、前側フランジ71及び後側フランジ72の一方のみを設け、他方側の軸端部4を直接又はアダプタを介してケース体70に支持してもよい。
【0072】
図15図20に示すように、ケース体70は、矩形枠状(額縁状)のベース面部76と、ベース面部76の内周縁から軸交叉方向の一方側へ凹むカバー部77とを一体的に有する。第1ケース体11のカバー部77は第1カバー部14を構成し、第2ケース体12のカバー部77は第2カバー部31を構成する。カバー部77は、軸交叉方向の他方側へ開口する収容空間78(第1収容空間26、第2収容空間43)を区画する。ケース体70は、第1ケース体11及び第2ケース体12の双方として機能するように軸方向に対して左右対称に概略構成されている。2つのケース体70(第1ケース体11及び第2ケース体12)は、その一方(第1ケース体11)を、第1収容空間26が上方へ開口する姿勢(基本姿勢)で置き、他方(第2ケース体12)を、第2収容空間43が下方へ開口するように基本姿勢から反転(軸方向を中心として180度回転)させた姿勢(反転姿勢)で第1ケース体11に上方から重ねることによって使用される。
【0073】
ベース面部76は、矩形枠の長辺となる左右1対のベース長面部79と、矩形枠の短辺となる前後1対のベース短面部80とを有する。ベース長面部79は、軸方向に沿って前後方向に延び、ベース短面部80は、軸交叉方向に沿って左右方向に延びる。
【0074】
カバー部77は、軸方向の中央に広範囲に形成される中央カバー部81と、中央カバー部81の軸方向の両側に形成されて中央カバー部81と連続する前後1対の端カバー部82とを有する。中央カバー部81は、左右1対のカバー側面部83と、前後1対のカバー連結面部84と、カバー頂面部85とを有し、前後の端カバー部82の各々は、円弧面部86と、カバー端面部87とを有する。カバー側面部83は、ベース長面部79の軸方向の中央部分の内縁から下方へ延びる矩形状であり、カバー頂面部85は、左右のカバー側面部83の端縁を連結する矩形状である。円弧面部86は、ベース長面部79の両端部分の内縁同士を連結する円弧面状であり、カバー端面部87は、ベース短面部80の内縁から下方へ延びる半円板状である。カバー連結面部84は、カバー側面部83及びカバー頂面部85の軸方向外側の端縁と円弧面部86の軸方向内側の端縁との間を塞ぐように、カバー側面部83及びカバー頂面部85の端縁と円弧面部86の端縁とを連結する。
【0075】
円弧面部86の軸方向外側の端縁部とカバー端面部87との間には、円弧面部86の内面から凹むフランジ係合溝(前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89)が形成されている。第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89は第1支持部を構成し、第2ケース体12の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89は第2支持部を構成する。カバー頂面部85は、ケース体70を基本姿勢とした場合にはカバー底面部となり、反転姿勢とした場合にはカバー上面部となる。
【0076】
前後のベース短面部80の各々には、円弧状に凹む溝形状の軸対向溝部90が形成されている。前側の軸対向溝部90の内径は、回転軸3の軸端部4の外径よりも僅かに大きく設定され、前側の軸対向溝部90の内面は、回転軸3の前側の軸端部4の外面と近接又は接触した状態で対向する。後側の軸対向溝部90の内径は、後側フランジ72の有底筒状部74の外径よりも僅かに大きく設定され、後側の軸対向溝部90の内面は、有底筒状部74の外面と近接又は接触した状態で対向する。
【0077】
前側フランジ係合溝88は、前側フランジ71の外周縁部の略半周分の領域と係合して、前側フランジ71を径方向外側から支持するとともに、前側フランジ71の軸方向への移動を規制する。後側フランジ係合溝89は、後側フランジ72の外周縁部の略半周分の領域と係合して、後側フランジ72を径方向外側から支持するとともに、後側フランジ72の軸方向への移動を規制する。前側及び後側のカバー端面部87には、軸方向内側へ突出する端面突出部91が形成されている。前側フランジ71には、前側フランジ係合溝88と係合した状態で前側の端面突出部91と係合する前フランジ凹部66が形成されている。前フランジ凹部66と前側の端面突出部91との係合によって、前側フランジ係合溝88内での前側フランジ71の位置が規定されるとともに、ケース体70による前側フランジ71の支持が安定する。同様に、後側フランジ72には、後側フランジ係合溝89と係合した状態で後側の端面突出部91と係合する後フランジ凹部67が形成されている。後フランジ凹部67と後側の端面突出部91との係合によって、後側フランジ係合溝89内での後側フランジ72の位置が規定されるとともに、ケース体70による後側フランジ72の支持が安定する。
【0078】
なお、ローラケース100に外力が作用しない通常の状態では、回転軸3の前端側及び後端側は前側フランジ71及び後側フランジ72によって支持され、軸対向溝部90によって回転軸3は支持されない。但し、本発明は、軸対向溝部90による回転軸3の支持を除外するものではなく、軸対向溝部90とフランジ71,72との双方によって回転軸3を支持してもよい。この場合、第1ケース体11の軸対向溝部90と前側フランジ係合溝88と後側フランジ係合溝89とが第1支持部を構成し、第2ケース体12の軸対向溝部90と前側フランジ係合溝88と後側フランジ係合溝89とが第2支持部を構成する。
【0079】
また、各フランジ71,72の形状は、円板状に限定されず、回転軸3に取付けられた状態でフランジの外周縁部の略全域又は複数の領域がローラ本体2の外周面よりもローラ本体2の径方向外側へ突出する形状であればよい。フランジの外周縁部の複数の領域がローラ本体2の外周面よりも径方向外側へ突出する形状とした場合には、フランジを係る複数の領域で第1ケース体11と第2ケース体12との間に挟んで保持すればよい。例えば、図21に示すように、三辺の各中央部分がローラ本体2の外周面よりも径方向内側に位置し、三箇所の頂点部分102がローラ本体2の外周面よりも径方向外側へ突出する三角板形状のフランジ101の場合、二箇所の頂点部分102を第1ケース体11のフランジ係合溝に係合し、一箇所の頂点部分102を第2ケース体12のフランジ係合溝に係合する等により、フランジ101を三箇所の頂点部分102で第1ケース体11と第2ケース体12との間に挟んで保持すればよい。
【0080】
前側のベース短面部80には、前側の係止突部93及び係合凹部94が形成され、後側のベース短面部80には、後側の係止突部95及び係合凹部96が形成されている。前側及び後側の係止突部93,95は、ベース短面部80から軸交叉方向の他方側へ突出し、前側及び後側の係合凹部94,96は、前側及び後側の係止突部93,95と係合可能にベース短面部80から軸交叉方向の一方側へ凹む。基本姿勢のケース体70と反転姿勢のケース体70とが係合可能となるように、前側の係止突部93と係合凹部94、及び後側の係止突部95と係合凹部96は、それぞれ軸方向に対して左右対称に配置されている。
【0081】
左右のベース長面部79には、位置決め突部97及び位置決め凹部98がそれぞれ形成されている。右側及び左側の位置決め突部97は、ベース長面部79から軸交叉方向の他方側へ突出し、右側及び左側の位置決め凹部98は、左側及び右側の位置決め突部97が挿入可能にベース長面部79から軸交叉方向の一方側へ凹む。基本姿勢のケース体70と反転姿勢のケース体70とが係合可能となるように、左側の位置決め突部97と右側の位置決め凹部98、及び左側の位置決め凹部98と右側の位置決め突部97は、それぞれ軸方向に対して左右対称に配置されている。
【0082】
収容空間78が上方へ開口する基本姿勢で一方のケース体70(第1ケース体11)を置き、収容空間78が下方へ開口する反転姿勢の他方のケース体70(第2ケース体12)を、位置決め突部97が位置決め凹部98に挿入されるように上方から重ねて押下げると、第2ケース体12の係止突部93,95が第1ケース体11の係合凹部94,96と係合してケース閉状態となる。ケース閉状態は、係止突部93,95と係合凹部94,96との係合によって保持される。ケース閉状態では、第1ケース体11のベース面部76と第2ケース体12のベース面部76とが近接又は接触して相対向し、第1収容空間26と第2収容空間43とがローラ本体収容空間46を区画する。
【0083】
係止突部93,95と係合凹部94,96との係合が解除され、第1ケース体11と第2ケース体12とが分離されてローラ本体収容空間46が開放されたケース開状態において、基本姿勢の第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89に前側フランジ71及び後側フランジ72をそれぞれ上方から係合して載置し、第1ケース体11に第2ケース体12を重ねてケース閉状態とすることにより、ローラケース100にローラ1が収納されたローラ収納状態となる。ローラ収納状態では、ローラ本体2が第1ケース体11及び第2ケース体12から離間した状態でローラ本体収容空間46に収容され、第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89と第2ケース体12の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89との間で前側フランジ71及び後側フランジ72が軸交叉方向から挟まれて保持され、第1ケース体11及び第2ケース体12によってローラ1の全体が覆われる。回転軸3の軸方向及び軸交叉方向の移動は、前側フランジ71及び後側フランジ72によって阻止される。
【0084】
また、カバー頂面部85には、外側へ突出してカバー頂面部85を補強する畝状リブ68及び環状リブ69が複数形成されている。本実施形態では、2つの畝状リブ68と2つの環状リブ69とが対角状に配置され、一方のケース体70のカバー頂面部85の外面と他方のケース体70のカバー頂面部85の外面とを対向させて重ねることにより、畝状リブ68が環状リブ69の内側に挿入されて係合する。係る係合により、第1ケース体11と第2ケース体12との重なり状態が安定するので、ローラ収納状態のローラケース100を多段に積み重ねておくことができる。
【0085】
ローラケース100にローラ1を収納する場合、回転軸3に前側フランジ71及び後側フランジ72を装着し、ローラケース100をケース開状態とし、第1ケース体11を第1収容空間26が上方へ開口する基準姿勢で置き、第1ケース体11の上方からローラ1を下降させ、第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89に前側フランジ71及び後側フランジ72をそれぞれ上方から係合して載置する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体2の下部が第1収容空間26に収まり、ローラ本体2の外周面の下側領域が第1カバー部14に非接触状態で覆われる。次に、位置決め突部97が位置決め凹部98に挿入されるように第1ケース体11に反転姿勢の第2ケース体12を上方から被せて、係止突部93,95を係合凹部94,96に係合する。係るローラ収納状態(ローラ1が収納されたケース閉状態)では、ローラ本体2の上部が第2収容空間43に収まり、ローラ本体2の外周面の上側領域が第2カバー部31に非接触状態で覆われ、ローラ本体2がローラ本体収容空間46に収容される。また、ローラ収納状態では、第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89と第2ケース体12の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89との間で前側フランジ71及び後側フランジ72が軸交叉方向から挟まれて保持され、ローラ1の全体が第1ケース体11と第2ケース体12とによって覆われる。
【0086】
ローラケース100からローラ1を取出す場合、第2ケース体12を第1ケース体11から引き離すように持ち上げ、第1ケース体11の係合凹部94,96と第2ケース体12の係止突部93,95との係合を解除してケース開状態とし、前側フランジ71及び後側フランジ72を両手で摘んでローラ1(回転軸3)を引き上げ、ローラ1を第1ケース体11から取出す。
【0087】
このように、ローラ1をローラケース100に収納する場合や収納されたローラ1をローラケース100から取出す場合、ローラ1を軸方向(前後方向)ではなく軸交叉方向(上下方向)に移動させるので、収納や取出しの作業を容易に行うことできる。また、収納時や取出し時にローラ本体2がローラケース100(第1ケース体11)に接触し難く、ローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0088】
また、作業者は、ローラ1の収納時や取出し時において、前側フランジ71と後側フランジ72とを両手で摘んだ状態で、ローラ1(回転軸3)を昇降させることができ、作業性が向上する。
【0089】
また、ローラ本体2よりも大径な円板状の前側フランジ71及び後側フランジ72が第1ケース体11(第1ケース体11の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89)と第2ケース体12(第2ケース体12の前側フランジ係合溝88及び後側フランジ係合溝89)との間に挟まれることによって回転軸3の前端側及び後端側が保持されるので、ローラ収納状態のローラケース100に意図しない外力が作用した場合であっても、回転軸3の前端側及び後端側の保持が解除され難く、ローラ1をローラケース100に収納して搬送する際等に、ローラケース100との接触に起因するローラ本体2の変形や損傷や汚れを確実に防止することができる。
【0090】
また、回転軸3の軸端部4がローラ本体2の端面から十分に突出していない場合であっても、前側フランジ71及び後側フランジ72を介して回転軸3の前端側及び後端側を確実に支持することができる。
【0091】
次に、本発明の第6実施形態について、図22図24を参照して説明する。第6実施形態は、第5実施形態の各フランジ(前側フランジ71及び後側フランジ72)を複数(本実施形態では2枚)の分割フランジ(分割板)103,104を組合せることによって構成したものであり、第5実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
前側フランジ71は、図22に示すように回転軸3から軸交叉方向に分かれて離脱可能な2枚の分割フランジ103を組合せることにより構成され、軸挿通孔73も2分割されている。後側フランジ72も同様に、図23に示すように回転軸3から軸交叉方向に分かれて離脱可能な2枚の分割フランジ104を組合せることにより構成され、有底筒状部74に代えて筒状部99が設けられ、筒状部99も2分割されている。2枚の分割フランジ103は略同一の大きさ及び形状であり、その分割面(組合面)は前側フランジ71の直径方向に沿って設定されている。同様に、2枚の分割フランジ104は略同一の大きさ及び形状であり、その分割面(組合面)は後側フランジ72の直径方向に沿って設定されている。なお、各フランジ(前側フランジ71及び後側フランジ72)を3枚以上の分割板に分割してもよい。
【0093】
回転軸3に対するフランジ71,72の取付状態(2枚の分割フランジ103,104をそれぞれ組合せた状態)は、フランジ71,72を第1ケース体11及び第2ケース体12のフランジ係合溝88,89に係合し、第1ケース体11と第2ケース体12とを閉じてローラ収納状態とすることにより保持される。
【0094】
前側フランジ71を構成する2枚の分割フランジ103は、各分割フランジ103の何れもが第1ケース体11の前側フランジ係合溝88と第2ケース体12の前側フランジ係合溝88の双方と係合する姿勢で回転軸3に取付けられ、後側フランジ72を構成する2枚の分割フランジ104は、各分割フランジ104の何れもが第1ケース体11の後側フランジ係合溝89と第2ケース体12の後側フランジ係合溝89の双方と係合する姿勢で回転軸3に取付けられる。換言すると、回転軸3からの分割フランジ103,104の離脱方向は、第1ケース体11と第2ケース体12との分離方向と相違する方向に設定されている。本実施形態では、第1ケース体11と第2ケース体12との分離方向と回転軸3からの分割フランジ103,104の離脱方向とが略直交するように、各方向が設定され、ケース体70の上下のフランジ係合溝88の各々には、2枚の分割フランジ103の各々の略半分の領域がそれぞれ係合し、ケース体70の後側の上下のフランジ係合溝89の各々には、2枚の分割フランジ104の各々の略半分の領域がそれぞれ係合する。
【0095】
ローラケース100にローラ1を収納する場合、ローラケース100をケース開状態とし、第1ケース体11を第1収容空間26が上方へ開口する基準姿勢で置き、回転軸3に前後のフランジ71,72を組付けた状態(回転軸3の前後において2枚の分割フランジ103,104をそれぞれ組合せた状態)で、第1ケース体11の上方からローラ1を下降させ、第1ケース体11の前後のフランジ係合溝88,89に前後のフランジ71,72をそれぞれ上方から挿入して係合する。係る回転軸載置状態では、ローラ本体2の下部が第1収容空間26に収まり、ローラ本体2の外周面及び両端面の下側領域が第1カバー部14に非接触状態で覆われる。図24は、回転軸載置状態の第1ケース体の後面図である。なお、以降の手順は、第5実施形態と同様である。
【0096】
また、ローラケース100からローラ1を取出す場合、第5実施形態と同様にケース開状態とした後、回転軸3の前後の軸端部4を両手の指先で支持してローラ1を引き上げ、ローラ1を第1ケース体11から取出すとともに、前後の分割フランジ103,104を回転軸3から取外す。
【0097】
本実施形態によれば、前後のフランジ71,72を回転軸3に取付ける場合には、前側の分割フランジ103及び後側の分割フランジ104を軸交叉方向から回転軸3にそれぞれ組付ければよく、フランジ71,72を回転軸3から取外す場合には、前側の分割フランジ103及び後側の分割フランジ104を回転軸3から軸交叉方向に分けてそれぞれ離脱させればよい。従って、第5実施形態のような非分割タイプのフランジ71,72に比べて、フランジ71,72の着脱作業を容易に行うことができる。
【0098】
なお、本発明は、一例として説明した上述の実施形態、及びその実施例に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、軸装着部材(アダプタ47、前側フランジ71、後側フランジ72、フランジ101)を回転軸3へ取付ける構造は、上記実施形態に限定されず、他の構造(例えば、軸装着部材及び回転軸3の一方及び他方に雄ネジ部と雌ネジ部とを形成し、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合によって取付ける構造など)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、弾性多孔質材からなるローラ本体が回転軸に支持されたローラを収納するためのローラケースとして有用である。
【符号の説明】
【0101】
1:ローラ
2:ローラ本体
3:回転軸
4:軸端部
5:段差
6:軸端面穴
10,60,100:ローラケース
11:第1ケース体(下ケース)
12:第2ケース体(上ケース)
13:第1ベース面部
14:第1カバー部
15;第1外側周面部
16:第1縁面部
17:第1ベース長面部
18:第1ベース短面部
19:第1カバー長面部
20:第1カバー短面部
21:カバー底面部
22:第1リブ
23:第1外側長面部
24:第1外側短面部
25:第1軸対向溝部(第1支持部)
26:第1収容空間
27:開口溝部
28:溝境界部
29,94,96:係合凹部
30:第2ベース面部
31:第2カバー部
32:第2外側周面部
33:第2縁面部
34:第2ベース長面部
35:第2ベース短面部
36:第2カバー長面部
37:第2カバー短面部
38:カバー上面部
39:第2リブ
40:第2外側長面部
41:第2外側短面部
42:第2軸対向溝部(第2支持部)
43:第2収容空間
44:溝端部
45,93,95:係止突部
46:ローラ本体収容空間
47:アダプタ(軸装着部材)
48:アダプタ基部
49:アダプタ細径部
50:アダプタ太径部
51:アダプタ端面穴
52:浅溝部
53:深溝部
54:フランジ(軸落下規制部材)
55,73:軸挿通孔
56:第1フランジ係合溝(軸落下規制部材係合溝)
57:第2フランジ係合溝(軸落下規制部材係合溝)
58:突起
59:ヒンジ部
66:前フランジ凹部
67:後フランジ凹部
68:畝状リブ
69:環状リブ
70:ケース体
71:前側フランジ(軸装着部材)
72:後側フランジ(軸装着部材)
74:有底筒状部
75:軸挿入部
76:ベース面部
77:カバー部
78:収容空間
79:ベース長面部
80:ベース短面部
81:中央カバー部
82:端カバー部
83:カバー側面部
84:カバー連結面部
85:カバー頂面部
86:円弧面部
87:カバー端面部
88:前側フランジ係合溝(第1支持部、第2支持部)
89:後側フランジ係合溝(第1支持部、第2支持部)
90:軸対向溝部
91:端面突出部
97:位置決め突部
98:位置決め凹部
101:フランジ(軸装着部材)
102:頂点部分
103,104:分割フランジ(分割板)
図1
図2
図3
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