(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】レール頭部表面における凹凸を取り除くための軌道走行可能な機械
(51)【国際特許分類】
E01B 31/12 20060101AFI20220405BHJP
E01B 31/13 20060101ALI20220405BHJP
B61D 15/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E01B31/12
E01B31/13
B61D15/00 B
(21)【出願番号】P 2019511984
(86)(22)【出願日】2017-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2017000967
(87)【国際公開番号】W WO2018046115
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘアベアト ヴェアゲッター
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-229102(JP,A)
【文献】特開昭56-100901(JP,A)
【文献】特表2002-541359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 31/12
E01B 31/13
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設された軌道(2)の少なくとも1つのレール(18)のレール頭部表面(3)における凹凸を取り除くための軌道走行可能なレール加工機械(1)であって、作業方向(4)で見て前方のレール走行装置(5)と後方のレール走行装置(6)とに支持された機械フレーム(7)と、少なくとも1つの工具支持体(14)を取り付けるための工具フレーム(8)とを備えたレール加工機械(1)において、
前記工具フレーム(8)が、後方の端部(9)では、前記後方のレール走行装置(6)で鉛直な回動軸線(10)上の枢着点(11)において枢動式に支承されており、前方の端部(12)では、前記前方のレール走行装置(5)と前記後方のレール走行装置(6)との間に位置する固有のレール走行装置(13)に支持されていることを特徴とする、レール加工機械(1)。
【請求項2】
前記後方のレール走行装置(6)が台車として形成されており、前記機械フレーム(7)が、前記鉛直な回動軸線(10)を中心として回動可能に前記台車に支持されていることを特徴とする、請求項1記載のレール加工機械(1)。
【請求項3】
前記後方のレール走行装置(6)が支持台車として形成されていることを特徴とする、請求項2記載のレール加工機械(1)。
【請求項4】
前記工具フレーム(8)の前記固有のレール走行装置(13)が支持台車として形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項5】
前記支持台車において、支持要素が、制御装置によって作業走行のために作動可能であることを特徴とする、請求項3または4記載のレール加工機械(1)。
【請求項6】
前記工具フレーム(7)が、各々の前記レール(18)に沿って、付加的にガイドローラ(17)によってガイドされていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項7】
前記機械フレーム(7)に、前記工具フレーム(8)の上方に位置する旋回可能な集屑器(19)が配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項8】
前記工具支持体(14)に設けられた加工工具(15)が
、支承装置(16)を有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項9】
前記工具支持体(14)に設けられた加工工具(15)が、フライス削り工具として形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項10】
前記工具支持体(14)に設けられた加工工具(15)が、削正工具として形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項11】
前記加工工具(15)が、輸送位置から作業位置に旋回可能に形成されていることを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項12】
各々の前記加工工具(15)が固有の駆動装置(38)を備えていることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載のレール加工機械(1)。
【請求項13】
前記駆動装置(38)が液圧式に形成されていることを特徴とする、請求項12記載のレール加工機械(1)。
【請求項14】
前記駆動装置(38)が電動式に形成されていることを特徴とする、請求項12記載のレール加工機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷設された軌道の少なくとも1つのレールのレール頭部表面における凹凸を取り除くための軌道走行可能なレール加工機械であって、作業方向で見て前方のレール走行装置と後方のレール走行装置とに支持された機械フレームと、少なくとも1つの工具支持体を取り付けるための工具フレームと、を備えたレール加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
レール頭部表面を加工するためのレール加工機械は、すでに種々の出願によって公知である。これらの出願では、切削式の加工工具によって、レール表面に存在する欠陥箇所が取り除かれる。
【0003】
オーストリア国特許発明第513035号明細書には、軌道のレールを削正するための装置が記載されている。この装置では、レール長手方向に相前後して配置され、それぞれ1つのレールに割り当てられた複数の砥石が設けられている。各砥石は、駆動装置によって鉛直方向でまたはレール走行面へ送り可能である。
【0004】
オーストリア国特許発明第369456号明細書に基づき、工具支持体が液圧式のピストンシリンダユニットを介して機械フレームに枢動式に結合されている加工機械が公知である。
【0005】
加工工具をレール車両に対して、特に台車または剛性車軸に対して配置することによって、まさに曲線走行時にかつ曲線における軌道カントにおいて、敷設された軌道に対して欠陥位置が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態の装置を改良して、軌道ジオメトリへの加工工具の正確な適合と、廉価で経済的なレール加工とが可能になるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、機械フレームが、作業方向で見た前方のレール走行装置と後方のレール走行装置とに支持されており、工具フレームが、後方の端部では、後方のレール走行装置で鉛直な回動軸線上の枢着点において枢動式に支承されており、前方の端部では、前方のレール走行装置と後方のレール走行装置との間に位置する固有のレール走行装置に支持されていることによって解決される。
【0008】
この構成は、軌道ジオメトリへの工具フレームひいては加工工具の、機械フレームに左右されない適合を保証している。これによって、高品質のレール表面が得られ、その結果、走行時の騒音が低減される。
【0009】
有利な改良形態は、後方のレール走行装置が台車として形成されており、機械フレームが、鉛直な回動軸線を中心として回動可能に台車に支持されていることを規定している。
【0010】
枢動式に支承される枢着点を後方の台車の鉛直な回動軸線上に前述のように配置することに基づき、簡単な構成上の手段によって、曲線半径および軌道カントへの有効な適合が可能となる。
【0011】
更なる利点は、後方のレール走行装置が支持台車(abgestuetztes Drehgestell)として形成されている場合に与えられている。この場合には、車軸に対する台車枠の振動が支持要素によって抑圧される。これによって、加工工具の作業位置において、より高い精度の材料取除きを保証することが可能となる。
【0012】
さらに、工具フレームの固有のレール走行装置が支持台車として形成されていると有利である。この場合、各支持台車において、支持要素が、制御装置によって、特に作業走行のために作動可能であると有利である。その後、レール加工機械の走行特性を改善するために、回送走行中には各支持をオフにすることが可能である。
【0013】
有利な改良形態では、機械フレームに、工具フレームの上方に位置する旋回可能な集屑器が配置されていることが規定されている。これによって、レール表面から取り除かれた屑を、閉じ込めた状態で捕集し、その後、必要に際して、軌道の側方に位置する屑用に設けられた捨て場所へまたはトラックもしくは輸送ワゴンの積載面へ、的確にかつ環境に優しい形で降ろすことが可能となる。
【0014】
本発明の別の構成は、工具支持体に設けられた加工工具が、浮動式の支承装置を有していることを規定している。これによって、後方のレール走行装置および固有のレール走行装置の支持と組み合わせて、両方のレールへの工具支持体の、互いに依存し合わない適合が実現される。
【0015】
有利な構成は、工具支持体に設けられた加工工具が、フライス削り工具として形成されていることによって実現されている。これによって、例えば溝形成時に高い材料取除きを実現することができる。
【0016】
別の構成は、工具支持体に設けられた加工工具が、削正工具として形成されていることを保証している。これによって、レール頭部の特に高い表面品質を得ることができる。
【0017】
別の利点は、加工工具が、輸送位置から作業位置に旋回可能に形成されている場合に与えられている。これによって、回送走行時の走行可能性が大幅に容易になる。
【0018】
さらに、各々の加工工具が固有の駆動装置を備えていても有利である。したがって、機械の中央の駆動装置は前提とされず、加工工具を互いに独立させて運転することができる。
【0019】
駆動装置が液圧式に形成されていると有利である。これに基づき、作業機械の出力要求が激しく変化する際に原動機を最適に使用するための単純な調整コンセプトが得られる。
【0020】
別の構成は、駆動装置が電動式に形成されていることを規定している。この構成では、利点が、明らかに、簡単な構造と固有の液圧システムの省略とにある。
【0021】
さらに、機械が、固有の動力装置を備えて動力車として形成されていると有利である。これによって、恐らく、軌道上での走行可能性のための付加的な動力車が必要なくなる。
【0022】
本発明を以下に例示の形式で添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示した、レール頭部表面3における凹凸を取り除くための、軌道2上で走行可能な機械1は、作業方向4で見て前方のレール走行装置5と、後方のレール走行装置6とに支持された機械フレーム7を有している。工具フレーム8が、後方の端部9では、後方のレール走行装置6の上方で鉛直な回動軸線10上の枢着点11において枢動式に支承されており、前方の端部12では、前方のレール走行装置5と後方のレール走行装置6との間に位置する固有のレール走行装置13に支持されている。
【0025】
後方のレール走行装置6と固有のレール走行装置13とは、支持台車として形成されている。工具フレーム8には、加工工具15を含めて輸送位置から作業位置に旋回可能な2つの工具支持体14が、浮動式の支承装置16によって配置されている。工具フレーム8の下方には、加工工具15をレール18に沿って最適に移動させるためのガイドローラ17が設けられている。
【0026】
機械フレーム7と工具フレーム8との間には、所定の軸線を中心として旋回可能な集屑器19が配置されている。この集屑器19は、排出のために、リフトアームによって持ち上げられ、軸線を中心として側方に旋回される。
【0027】
図1には、工具支持体14および加工工具15の、実線で示した作業位置と、破線で示した輸送位置とが示してある。有利には、各加工工具に固有の駆動装置38によってエネルギが供給可能である。
【0028】
機械フレーム7の下方には、加工工具15の駆動装置38にエネルギを供給するための供給装置39が設けられている。この供給装置39は、例えば、変速機を介して液圧システムの液圧ポンプまたは発電機を駆動する内燃機関である。
【0029】
図2および
図3には、支持台車の詳細図がそれぞれ示してある。各支持台車は、台車枠20と、2つの車軸21に配置されたレール車輪22とを有している。台車枠20と、各側面側で各車軸21の下方に配置されたばね受け23との間には、2つのばね24が位置決めされている。
【0030】
支持要素として、台車枠20には、車輪支持装置ごとに1つの液圧シリンダ25が配置されており、対応するばね受け23または車軸軸受には、液圧なしの第2のシリンダ26が配置されている。液圧シリンダ25のシリンダ壁27には、第1のピストン28とシリンダ底部29との間に通じる液圧管路30が設けられている。第2のシリンダ26には、第2のピストン31が配置されている。この第2のピストン31は第1のピストン28にピストンロッド32によって結合されている。
【0031】
図2では、台車が、応力が加えられていない状態にあり、したがって、台車には、液圧管路30を介して圧力は供給されない。第1のピストン28は、下降した状態にあり、したがって、ばね24に予荷重は加えられない。したがって、各台車の支持がアクティブではない。
【0032】
図3には、支持がアクティブである状態が示してある。この場合には、液圧シリンダ25に液圧管路30を介して圧力が供給され、これによって、第1のピストン28が上方に押圧される。ピストンロッド32を介して第1のピストン28に結合された第2のピストン31が、強制的に液圧シリンダ25の方向に運動させられ、ばね24に予荷重を加える。このばね24に加えられた予荷重によって、より安定した支持ひいてはレール頭部表面3の精密な加工が実現される。
【0033】
図4および
図5には、枢着点11における支承形態が示してある。工具フレーム8の後方の端部9は、鉛直な回動軸線10に位置するガイドピン34に枢動式に支承されている。このガイドピン34は機械フレーム7に固定されていて、その上側の端部35に円錐形の旋削加工部36を有している。この旋削加工部36は、工具フレーム8に対してストッパとして働く。
【0034】
ガイドピン34を取り囲んで、共通の中心点としての枢着点11を有する、球形の外面を有する支承シェル37が配置されている。工具フレーム8には、対応する球形の内面を有する支承シェル40が配置されており、これによって、枢着点11を中心とした工具フレーム8の傾動・回動運動が可能となる。
【0035】
図5には、水平な平面内での機械フレーム7に対する工具フレーム8の運動自由度が示してある。これによって、曲線半径が小さくても、加工工具15がレール18に追従することができる。