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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】神経の位置判定及びマッピング
(51)【国際特許分類】
   A61B 7/04 20060101AFI20220405BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B7/04 Y
A61B5/11
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019519237
(86)(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2017056372
(87)【国際公開番号】W WO2018065971
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】15/286,317
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/286,323
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/286,328
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/286,333
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519122426
【氏名又は名称】イノベーティブ・サージカル・ソリューションズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Innovative Surgical Solutions, LLC
【住所又は居所原語表記】50461 W. Pontiac Trail, Wixom, Michigan 48393, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィボ・クリストファー
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0088029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 7/04
A61B 5/00
A61B 5/389
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経マッピングシステムであって、
対象者の体内治療領域を探索するように構成された遠位端部を含む細長い医療装置であって、前記遠位端部が電極を含む、細長い医療装置と、
神経に支配された筋肉の監視された機械的反応に対応する筋音図出力信号を提供するように構成された非侵襲機械センサと、
前記電極及び前記非侵襲機械センサと通信するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
複数の電気刺激を前記電極に提供することであって、前記複数の電気刺激のそれぞれが、それぞれの大きさを有し、前記電極が前記対象者の前記体内治療領域内部の異なるそれぞれの位置に位置すると前記複数の電気刺激のそれぞれが提供される、ことと、
前記筋音図出力信号を介して、前記複数の電気刺激のそれぞれに対する前記筋肉の反応を検出することと、
前記複数の電気刺激それぞれの前記それぞれの大きさ、及び前記複数の電気刺激のそれぞれに対する前記筋肉の検出された前記反応を用いて、前記体内治療領域内部の特定の地点に神経が存在する可能性を判定することと、を行うように構成されており
前記複数の電気刺激は、
前記電極が前記体内治療領域内の第1の位置にあるときに提供される第1の電気刺激であって、前記第1の電気刺激が、前記筋肉の閾値機械的反応を誘発しない第1の電流の大きさを有する、第1の電気刺激と、
前記電極が前記体内治療領域内の第2の位置にあるときに提供される第2の電気刺激であって、前記第2の電気刺激が、前記第1の電流の大きさを有する、第2の電気刺激と、
前記電極が前記第2の位置にあるときに提供される1つ以上の追加の電気刺激であって、前記1つ以上の追加の電気刺激がそれぞれ、前記第1の電流の大きさよりも小さい電流の大きさを有する、1つ以上の追加の電気刺激と、を含む、神経マッピングシステム。
【請求項2】
前記体内治療領域内部の前記電極の位置を検出するように動作可能な位置判定装置を更に備え、
前記プロセッサは、前記位置判定装置と通信しており、前記複数の電気刺激のそれぞれが提供されたときに前記電極の検出された前記位置を更に用いて、前記体内治療領域内部の特定の地点に神経が存在する可能性を判定するように動作可能である、請求項1に記載の神経マッピングシステム。
【請求項3】
前記位置判定装置が、3次元空間内の前記電極の位置を判定するために超音波、電界、磁場、又は蛍光透視法を利用する非接触位置決め装置、又は多軸の空間入力装置のうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の神経マッピングシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、複数の3次元ボクセルを含む仮想ワークスペースを維持するように構成され、前記仮想ワークスペースは、前記対象者の前記体内治療領域を表し、
前記プロセッサは、
前記複数の電気刺激それぞれが提供されたときに前記仮想ワークスペース内に前記電極の前記位置を位置合わせすることと、
その位置で提供された前記電気刺激の大きさ、及びその位置で提供された前記電気刺激に対する前記筋肉の前記検出された反応を用いて、それぞれの位置で前記電極と前記神経との間の距離を判定することと、
位置合わせされた前記位置から判定された前記距離である各ボクセルと関連付けられたカウンタを増分させることと、
前記位置合わせされた位置から前記判定された距離未満である各ボクセルと関連付けられた前記カウンタをリセットすることと、
神経モデルを生成するために所定の閾値を下回るカウンタの全ボクセルをフィルタリングすることと、
によって、前記体内治療領域内部の特定の地点に神経が存在する可能性を判定するように構成されている、請求項1に記載の神経マッピングシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、CT、MRI、蛍光透視、又は超音波画像と前記神経モデルをマージするように更に構成されている、請求項4に記載の神経マッピングシステム。
【請求項6】
前記細長い医療装置の前記遠位端部の位置を監視するように動作可能な位置判定装置を更に備え、
前記プロセッサは、
予め取得した解剖学的モデルを用いて、監視された前記位置と前記神経との間の推定距離を推定することと、
前記推定距離を用いて前記第1の電流の大きさを選択することと、
前記1つ以上の追加の電気刺激から、前記第2の位置における前記筋肉の前記閾値機械的反応を誘発するために必要な最小の電流の大きさを判定することと、
判定された前記最小の電流の大きさを用いて、前記第2の位置から前記神経までの距離を判定することと、
を行うように更に構成されている、請求項に記載の神経マッピングシステム。
【請求項7】
前記第1の電流の大きさが、有界電流範囲から選択され、前記神経からの前記推定距離において印加されたときに前記筋肉の前記機械的反応を誘発しないと予想される前記有界電流範囲内の最大電流である、請求項に記載の神経マッピングシステム。
【請求項8】
前記電極に提供される前記電気刺激それぞれが、全方向的に前記体内治療領域に伝送される、請求項1に記載の神経マッピングシステム。
【請求項9】
前記細長い医療装置が、前記遠位端部に交差し、かつ前記細長い医療装置の中心を通って延びる、中心軸を含み、
前記電極が、前記細長い医療装置の端部の第1の位置で前記中心軸上に配設された第1の電極であり、
前記第1の電極から離れ、第2の位置において前記中心軸から半径方向にオフセットされた、少なくとも1つの第2の電極を更に備え、
前記複数の電気刺激のうちの少なくとも1つの電気刺激が、前記第1の電極に提供され、前記複数の電気刺激のうちの少なくとも1つの電気刺激が、前記少なくとも1つの第2の電極に提供される、請求項1に記載の神経マッピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年10月5日に出願され、米国特許出願公開第2017/0020611号として公開された「Method of Mapping a Nerve」と題する米国特許出願第15/286,317号、2016年10月5日に出願され、米国特許出願公開第2017/0020450号として公開された「Nerve Mapping System」と題する米国特許出願第15/286,323号、2016年10月5日に出願され、米国特許出願公開第2017/0020451号として公開された「Neural Locating Method」と題する米国特許出願第15/286,328号、2016年10月5日に出願された「Neural Locating Method」と題する米国特許出願第15/286,333号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、1つ以上の神経の存在を検出するための外科用診断システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の外科的慣行は、神経の位置を認識又は検証して、神経の損傷を回避することを重要視している。外科的技術の進歩には、低侵襲性外科手術や、更に複雑な医療装置の挿入など、露出がずっと小さい技術の開発を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした外科技術の進歩により、それに応じて手術中に神経を検出及び/又は回避する方法の改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、対象者の体内治療領域における神経の位置判定方法は、体内治療領域内の第1の位置において第1の「探索」電気刺激を提供することから開始される。第1の電気刺激は、神経に支配される筋肉の閾値反応を誘発しない第1の電流の大きさを有する。刺激プローブが前進すると、第2の探索電気刺激が、体内治療領域内の第2の位置に提供される。第2の電気刺激は、第1の刺激と同じ電流の大きさを有し、閾値よりも大きい筋肉の反応を誘発する。
【0006】
第2の誘発刺激の印加後、1つ以上の追加の「位置判定」電気刺激が、第2の位置に提供され、各刺激は第1の刺激よりも小さい電流の大きさを有する。これらの1つ以上の追加の電気刺激から、第2の位置における筋肉の閾値反応を誘発するのに必要な最小の電流の大きさが判定される。次いで、この最小の電流の大きさを使用して、第2の位置から神経までの距離を判定する。
【0007】
別の実施形態では、第1の探索電気刺激は、体内治療領域内の第1の位置に印加されてもよい。第1の位置は、神経からの閾値距離よりも大きく、閾値距離は、第1の電気刺激が神経に支配される筋肉の閾値反応を誘発することができる最大距離である。
【0008】
次いで、第2の位置判定電気刺激を、体内治療領域内の第2の位置に印加することができる。第2の位置判定刺激の電流の大きさは、第1の探索刺激の電流の大きさよりも小さく、第2の位置は、第1の位置よりも神経に近い。位置判定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさを監視してもよく、この反応の大きさは、位置判定刺激の大きさと共に、第2の位置から神経までの距離を判定するために使用されてもよい。
【0009】
第1の位置及び第2の位置のそれぞれは、仮想ワークスペース内に位置合わせされてもよく、第1の位置を囲んでいる仮想ワークスペースの部分は、神経を含まないものとして示され、仮想ワークスペース内の神経の存在は、第2の位置からの判定された距離において示されてもよい。
【0010】
一実施形態では、患者の体内治療領域内に位置する神経のモデリング方法は、仮想ワークスペース内の複数の位置に電極を配置することを含み、複数の位置のそれぞれは、体内治療領域内の異なる位置に対応する。電気刺激が、電極から体内治療領域内の異なる位置のそれぞれにおいて体内組織に提供され、提供された電気刺激のそれぞれに対する筋肉の反応は、筋肉と通信するセンサによって監視される。異なる位置のそれぞれから神経までの距離は、それぞれの位置に提供される電気刺激の大きさと、提供された刺激に対する筋肉の監視された反応とを使用して判定される。仮想ワークスペース内のこれらの距離及び既知の/位置合わせされた電極位置から、神経の仮想モデルが仮想ワークスペース内に構築される。次いで、この仮想モデルは、ディスプレイに提供されてもよく、仮想モデルは、他の解剖学的画像と共に表示及び/又はマージされてもよく、又は体内治療領域内に配設されたツール及び/又はエンドエフェクタを制御する目的でロボットコントローラに提供されてもよい。
【0011】
別の実施形態では、神経の存在に関して患者の体内治療領域をモデリングする方法は、体内治療領域内の1つ以上の電極の位置を監視することと、1つ以上の電極を介して複数の電気刺激を体内治療領域に提供することと、を含む。複数の電気刺激のそれぞれは、体内治療領域内の異なる各位置に提供され、神経に支配される筋肉は、複数の電気刺激のそれぞれに対する反応に関して監視される。
【0012】
この方法は続いて、異なる位置のうちの少なくとも1つに提供された電気刺激の大きさと、提供された電気刺激に対する筋肉の監視された反応とから、神経と異なる位置のうちの少なくとも1つとの間の距離を判定する。次に、体内治療領域の仮想モデルは、異なる位置のうちの少なくとも1つから判定された距離にある神経を表す第1の部分と、神経を含まない体内治療領域内の空間を表す第2の部分とを含むように構築され得る。上記の実施形態と同様に、この仮想モデルは、ディスプレイに提供されてもよく、仮想モデルは、他の解剖学的画像と共に表示及び/又はマージされてもよく、又は、体内治療領域内に配設されたツール及び/又はエンドエフェクタを制御する目的でロボットコントローラに提供されてもよい。
【0013】
別の実施形態では、神経のモデリング方法は、1つ以上の電極から患者の体内治療領域に複数の電気刺激を提供することと、非侵襲性機械センサを使用して、複数の電気刺激のそれぞれに対する筋肉の機械的反応を監視することと、を含む。複数の電気刺激のそれぞれは、電流の大きさを有し、体内治療領域内の異なる各位置に提供される。提供された複数の電気刺激のそれぞれの電流の大きさと、筋肉の監視された機械的反応とを用いて、神経と異なる各位置のそれぞれとの間の距離が判定される。最後に、神経の仮想モデルは、神経と異なる各位置のそれぞれとの間の判定された距離を使用して、仮想ワークスペース内に構築される。
【0014】
一実施形態では、神経マッピングシステムは、複数の電極と、センサと、複数の電極のそれぞれ及びセンサと通信するプロセッサと、を含む。複数の電極のそれぞれは、対象者の体内治療領域内に延びるように構成された1つ以上の細長い医療装置の遠位端部に配設され、センサは、筋肉の監視された反応に対応する出力信号を提供するように構成されている。
【0015】
プロセッサは、体内治療領域内の複数の電極のそれぞれの位置の示度を受信し、刺激が複数の位置のそれぞれにおいて体内組織に伝達され得るように、各電極に電気刺激を提供するように構成される。次いで、プロセッサは、センサからの筋肉の監視された反応の大きさの示度を受信することができ、筋肉の反応は、提供された電気刺激によって誘発されている。次いで、プロセッサは、提供された電気刺激の大きさと、提供された刺激に対する筋肉の監視された反応とを用いて、複数の電極のそれぞれの位置から神経までの距離を判定してもよい。プロセッサは、複数の位置のそれぞれにおいて神経までの判定された距離を使用して、神経の仮想モデルを構築することができ、この仮想モデルは、ディスプレイに出力されてもよく、又は体内治療領域内のツール及び/又はエンドエフェクタを制御する目的でロボットコントローラに提供されてもよい。
【0016】
別の実施形態では、神経マッピングシステムは、1つ以上の電極と、センサと、1つ以上の電極のそれぞれ及びセンサと通信するプロセッサと、を含む。1つ以上の電極のそれぞれは、対象者の体内治療領域内に延びるように構成された細長い医療装置の遠位端部に配設され、センサは、筋肉の監視された反応に対応する出力信号を提供するように構成されている。
【0017】
プロセッサは、刺激が体内治療領域内の複数の位置のそれぞれで体内組織に伝達され得るように、1つ以上の電極のそれぞれに電気刺激を提供するように構成されている。プロセッサは、センサから出力信号を受信することができ、出力信号は、複数の位置のそれぞれにおいて提供された電気刺激に対する筋肉の反応の示度を提供する。プロセッサは、複数の位置のそれぞれにおいて提供された電気刺激の大きさと、受信された出力信号とを用いて、第1の部分及び第2の部分を含む体内治療領域の仮想モデルを構築することができる。第1の部分は、筋肉を支配する神経を表し、神経を含まない体内治療領域内の空間を表す第2の部分。第1の実施形態と同様に、この仮想モデルは、ディスプレイに出力されてもよく、又は体内治療領域内のツール及び/又はエンドエフェクタを制御する目的でロボットコントローラに提供されてもよい。
【0018】
一実施形態では、体内空間内の神経の位置判定方法は、刺激装置の遠位端部を体内空間内の解剖学的ターゲットに向かって前進させることと、刺激装置が解剖学的ターゲットに向かって前進している間に、刺激装置の中心軸上に配設された第1の電極から第1の電気刺激を周期的に印加することと、を含む。第1の電気刺激に対する体内空間内の神経に支配された筋肉の反応が検出された場合、位置判定電気刺激は、刺激装置の中心軸からオフセットされた複数の位置から印加することができる。この方法は続いて、複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさを監視し、神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定することができる。判定された距離を使用して、複数の位置のそれぞれにおける判定された距離から神経の位置を判定する。
【0019】
本発明の上記の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の態様に関する以下の詳細な説明から容易に明らかである。
【0020】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、項目のうちの少なくとも1つが存在することを示すために互換的に使用される。そのような項目は、別途明瞭に記載のない限り、複数存在してもよい。添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメータの全数値(例えば、数量又は条件)は、実際に数値の前に「約」があるか否かに関わらず、全ての例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「約」は、記載された数値がわずかな不正確さ(正確な値に近い、概ねこの値であるか又は値に十分に近い、おおよそ)を許容することを示す。「約」によって提供される不正確さが本技術分野において異なる意味で理解されない場合、本明細書で使用されるときの「約」は、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る変動を少なくとも示す。更に、範囲の開示は、全ての値及び全範囲内で更に分割された範囲の開示を含む。これにより、範囲内の各値及び範囲の端点は全て、別個の実施形態として開示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】人工的に誘発された機械的筋肉反応を検出するための神経監視システムの概略図である。
図2】MMG出力信号振幅、刺激装置電流、及び刺激装置電極と神経との間の距離の関係を示す概略グラフである。
図3】対象者の脚への複数の機械センサの配設を示す概略正面図である。
図4】腰椎の一部を含む体内治療領域の概略側面図である。
図5】仮想神経確率モデルの概略等角図である。
図6】3D神経モデルを作成及び利用するための概略データフロー図である。
図7】神経確率モデルを構築する方法を示す概略フローチャートである。
図8】3次元空間内に刺激装置を位置合わせすることができる位置判定装置の概略側面図である。
図9A】刺激装置の長手方向軸を横断する概略2D側面図であり、モデルに基づく三角測量法を使用した神経確率モデルの作成を示す。
図9B】刺激装置の長手方向軸を横断する概略2D側面図であり、モデルに基づく三角測量法を使用した神経確率モデルの作成を示す。
図9C】刺激装置の長手方向軸を横断する概略2D側面図であり、モデルに基づく三角測量法を使用した神経確率モデルの作成を示す。
図9D】刺激装置の長手方向軸を横断する概略2D側面図であり、モデルに基づく三角測量法を使用した神経確率モデルの作成を示す。
図10A】複数神経のモデルに基づく三角測量法を示す、刺激装置の長手方向軸に沿った概略2D図である。
図10B】複数神経のモデルに基づく三角測量法を示す、刺激装置の長手方向軸に沿った概略2D図である。
図11】証拠に基づく適応刺激方法の第1の実施形態を示す概略フローチャートである。
図12】証拠に基づく適応刺激方法の第2の実施形態を示す概略フローチャートである。
図13】モデルに基づく適応刺激方法を示す概略フローチャートである。
図14A】複数の刺激装置プローブが体内ターゲット領域に向かって前進させられている概略横断面図である。
図14B】複数の刺激装置プローブが体内ターゲット領域に向かって前進させられている概略横断面図である。
図15A】先端電極及び単一オフセット電極を有する刺激装置の概略斜視図である。
図15B図15Aの刺激装置の概略端面図である。
図16A】先端電極及び複数のオフセット電極を有する刺激装置の概略斜視図である。
図16B図16Aの刺激装置の概略端面図である。
図17】神経に対する外科用ツールの位置を検出するための神経監視システムを含むロボット制御外科用システムの概略図である。
図18】ロボットコントローラの概略図である。
図19】対象者の神経に対して移動する細長い外科用器具の遠位端部の概略断面図である。
図20】仮想バリアが神経の周囲に直立している、図19の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照すると、同様の参照番号は様々な図における同様又は同一の構成要素を指すために使用され、図1は、対象者14の体内治療領域12内の1つ以上の神経の存在を特定するために使用され得る神経監視システム10を概略的に示す。以下により詳細に記載されるように、1つの構成では、システム10は、機械的運動に関して対象者14の1つ以上の筋肉を監視して、機械的運動が、提供された刺激に対して人工的に誘発された筋肉の機械的反応(「人工的に誘発された機械的筋肉反応」とも称される)であるか、又は別の因子(例えば、対象者が意図する筋収縮/弛緩及び/又は環境に起因する運動)によって引き起こされる運動であるかを判定することができる。処置中に人工的に誘発された機械的筋肉反応が検出された場合、システム10は、ディスプレイを介してなどユーザに表示する、又は別の適切な動作を実行することができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、人工的に誘発された機械的筋肉反応は、天然の知覚手段(例えば、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、及び触覚)を通じて知覚されない刺激に反応した筋肉の収縮又は弛緩を指す。むしろ、筋肉を支配する神経に刺激を直接加えることによって誘発されるのが筋肉の収縮/弛緩である。「人工的に誘発された」筋肉反応を引き起こし得る刺激の例としては、神経又は神経を直接囲む体内組織若しくは流体に直接印加される電流を挙げることができる。本例では、印加された電流が十分に強い及び/又は神経に十分に近い場合、神経を人工的に脱分極させる(その結果、これに応じて神経によって支配される筋肉を収縮させる)ことができる。このような「人工的刺激」の他の例は、機械的に誘発された脱分極(例えば、組織レトラクタなどを用いて神経を物理的に伸張又は圧縮させる)、熱誘発性脱分極(例えば、超音波焼灼を通じて)、又は化学的に誘発された脱分極(例えば、神経を囲む組織への化学薬品の適用を通じて)を含むことができる。
【0024】
人工的に誘発された機械的筋肉反応中、人工的に脱分極された神経に支配される筋肉は、物理的に収縮又は弛緩し得る(すなわち、機械的反応)。このような機械的反応は、主に筋肉の長手方向(すなわち、筋肉の構成繊維と並んだ方向)に沿って生じ得るが、横方向(ほとんどの骨格筋の場合、皮膚に対して実質的に垂直であり得る)の筋肉の膨張/弛緩をそれぞれ更にもたらすこともある。人工的に誘発された機械的筋肉反応中の筋肉の局所的運動は、非刺激状態での筋肉の位置に対して測定することができ、筋肉の他の全体的な並進運動と区別される。
【0025】
神経監視システム10は、少なくとも1つの機械センサ22と通信するプロセッサ20を含んでもよい。機械センサ22は、例えば、歪みゲージ、力変換器、位置エンコーダ、加速度計、圧電材料、又は物理的運動を可変電気信号に変換し得る任意の他のトランスデューサ若しくはトランスデューサの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
各機械センサ22は、対象者14の筋肉の局所機械的運動を監視するように特別に構成されてもよい。例えば、各センサ22は、センサ22を対象者14の皮膚に接着する、包帯する、又はその他の方法で貼付することができる(すなわち、皮膚外面上に固着する)接着剤/パッチなどの固定手段を含んでもよい。好適な固定手段の他の例としては、包帯、スリーブ、又は対象者14と物理的に接触してセンサ22を保持し得る他の弾性固定手段を含むことができる。あるいは、機械センサ22(及び/又は結合装置)は、その物理的設計によって筋肉の局所機械的運動を監視するように構成されてもよい。例えば、センサ/結合装置は、対象者の内腔若しくは天然の開口内に配設して、内腔若しくは開口の反応、又は内腔若しくは開口に直接隣接する及び/又は接続される筋肉の反応を監視し得るカテーテル、バルーン、咬合ガード、開口プラグ、又は気管内チューブを含んでもよい。好ましい実施形態では、機械センサは非侵襲装置であり、「非侵襲」という用語は、センサが対象者の体内に外科的に(すなわち、その配設を達成するため組織切開を介して)配設されていないことを意味すると意図される。本開示の目的のために、非侵襲センサは、切開を必要とせずにアクセス可能な、天然の内腔内に配設されるセンサを含んでもよい。
【0027】
一構成では、センサ22は、センサ22が対象者14の皮膚と物理的に接触している場合、それを表示することができる接触検出デバイスを含んでもよい。接触検出デバイスは、例えば、センサ22が適切に位置付けられたときに対象者14の皮膚に接触するように構成された一対の電極を含んでもよい。次いで、センサ22及び/又は接触検出デバイスは、電極間のインピーダンスを監視して、電極が皮膚と接触しているか否かを判定してもよい。好適な接触検出デバイスの他の例としては、センサの表面をわずかに越えて突出する容量性タッチセンサ又はボタンを含むことができる。
【0028】
システム10は、対象者14の体内治療領域12内に刺激を選択的に提供することができる1つ以上の細長い医療機器30(すなわち、刺激装置30とも称される)を更に含んでもよい。例えば、一構成では、細長医療機器30は、遠位端部36に配設された1つ以上の電極34を有するプローブ32(例えば、ボール形先端プローブ、k-ワイヤ、又は針)を含んでもよい。電極34は、ユーザ/医師の要求、又はプロセッサ20のコマンドのいずれかに応じて選択的に通電されて、対象者14の体内組織に電気刺激38を加えてもよい。いくつかの処置では、細長医療機器30は、拡張器、レトラクタ、クリップ、焼灼プローブ、椎弓根スクリュー、又は侵襲性医療処置で使用され得る任意の他の医療機器を含んでもよい。機器にかかわらず、意図された人工刺激が電流である場合、機器30は、処置中に体内治療領域12内の組織に接触することを意図した器具の一部に配設された1つ以上の選択的に通電可能な電極34を含んでもよい。
【0029】
外科的処置中、ユーザ/外科医は、治療領域12内の体内組織に刺激を選択的に加えて、1つ以上の神経束又は繊維の存在を特定することができる。電気刺激38の場合、ユーザ/外科医は、例えば、システム10と通信する、より具体的には刺激装置30と通信するボタン又はフットペダルを押すと、刺激を提供することができる。電気刺激38は、例えば、約30μs~約500μsの範囲内のパルス幅を有する離散的パルス(例えば、ステップパルス)であってもよい。他の実施例では、離散的パルスは、約50μs~約200μsの範囲内、又は約75μs~約125μsの範囲内のパルス幅を有してもよい。離散的パルスは、例えば、約1Hz~約10Hzの周波数で周期的に印加されてもよい。
【0030】
神経が電極34の所定の距離内に延びている場合、電気刺激38が神経を脱分極させることで、神経に支配される筋肉の機械的攣縮(すなわち、人工的に誘発された機械的筋肉反応)をもたらすことができる。一般に、反応/攣縮の大きさは、電極と神経との間の距離、及び刺激電流の大きさに直接相関し得る。図2は、これらの関係を示すグラフ50であり、感知された反応の大きさ52が、刺激装置と神経との間の距離54と印加された電流刺激の大きさ56との関数として示される。一構成では、図2に示す関係(又はその変形)は、プロセッサ20に関連付けられたルックアップ表に記憶されてもよい。次いで、ルックアップ表がプロセッサ20によって用いられて、既知の刺激の大きさ56と測定された機械的筋肉反応の大きさ52が与えられた場合、電極34と神経との間の近似距離54を提供することができる。
【0031】
再び図1を参照すると、外科的処置を開始する前に、1つ以上の機械センサ22は、対象者14の1つ以上の筋肉と機械的に連通して配設されてもよい。本文脈では、センサ22は、筋肉との直接接触、又は1つ以上の中間材料及び/又は組織(例えば、皮膚及び/又は皮下組織)を通じた機械的関係のいずれかを介して、筋肉の運動、速度、加速度、歪み、又はその他の物理的反応を物理的に検出することができる場合、筋肉と機械的に通信することができる。
【0032】
図3は、腰椎(図4に概略的に示す)のL2、L3、及び/又はL4椎骨に近接して行う場合がある外科的処置用の複数の機械センサ22の配設例を示す。したがって、L2、L3及びL4の孔66、68、70を出る神経60、62、及び64は、治療領域12内(すなわち、L2、L3、及び/又はL4の椎骨を囲む領域)にあるか、又はこの領域に直接隣接するかのいずれかであってよい。一般的な解剖学的知識により、外科医は、これらの神経60、62、64の損傷が、脛側広筋及び前脛骨筋の機能に影響を及ぼし得ると理解することができる。したがって、外科医は、処置中に神経を不注意に操作するのを防ぐために、脛側広筋及び前脛骨筋の上又はその近傍に機械センサ22a~22dを配設してもよい。例えば、機械センサ22a及び22bは、L2及びL3の孔66、68を出る神経60、62に支配される脛側広筋上に配設され、センサ22c及び22dは、L4の孔70を出る神経64に支配される脛骨前脛骨筋上に配設される。
【0033】
一般に、各機械センサ22は、隣接する筋肉の感知された機械的運動/反応に対応する筋音図(MMG)出力信号(図1に72として概略的に示す)を生成することができる。MMG出力信号72は、デジタル又はアナログ信号のいずれであってもよく、典型的には、有線又は無線通信手段のいずれかを介して(例えば、物理的ワイヤにより、又はIEEE 802.11によるものなどの無線周波数通信プロトコル若しくはBluetoothなどの別のプロトコルを使用して)プロセッサ20に提供することができる。特定の信号として、MMG出力信号72は、筋肉又は皮膚の任意の電位(筋電図(EMG)信号と称される場合が多い)と別個であり区別されると意図される。電気的(EMG)筋肉反応と機械的(MMG)筋肉反応は関連し得るが、それらの関係は複雑であり、説明が難しい(例えば、電位は非常に位置特異的であり、対象となる筋肉の体積全体にわたって電位が潜在的に変動し得る)。
【0034】
再び図1を参照すると、プロセッサ20は、刺激装置30及び機械センサ22と通信してもよく、機械センサ22からMMG出力信号72を受信するように構成されてもよい。プロセッサ20は、1つ又は複数のデジタルコンピュータ、データ処理装置、及び/又は1つ以上のマイクロコントローラ又は中央処理装置(CPU)を有するデジタル信号処理装置(DSP)、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、高速クロック、アナログ-デジタル(A/D)回路、デジタル-アナログ(D/A)回路、入出力(I/O)回路、及び/又は信号調整及びバッファリング電子機器のうちの1つとして具体化することができる。
【0035】
プロセッサ20は、1つ以上の信号処理アルゴリズム80又は方法を自動的に実行して、感知された機械的運動(すなわち、MMG出力信号72を介して)が、人工的に誘発された機械的筋肉反応を表すものか、又は単に対象者が意図する筋肉運動及び/又は環境に起因する運動を表すものかを判定するように構成することができる。これらの処理アルゴリズム80は、ソフトウェア又はファームウェアとして具体化されてもよく、プロセッサ20にローカルに記憶されてもよく、又はプロセッサ20によって容易に割当可能のいずれかであってもよい。
【0036】
上記のように、侵襲性処置中、プロセッサ20は、既知の又は測定可能な電流の大きさで電極34に電気刺激38を提供し、機械的筋反応の大きさを測定することによって、電気刺激電極34と神経との間の距離を判定することができる。一構成では、外科医は、刺激装置30をディザリングし、反応の大きさの変化を監視することによって、神経の相対位置を推測することができる(すなわち、刺激装置30を神経に近づけるほど、反応が大きくなる)。別の実施形態では、システム10は、機械的ディザリングを必要とせずに、刺激装置30に対する神経の位置を自動的に判定するように構成されてもよい。例えば、刺激装置30は、神経の位置を三角測量するために集合的に使用され得る複数の電極を備えてもよい。
【0037】
刺激装置30に配設された任意の電極は、プローブが長手方向に前進している間、体内組織と最初に接触するように構成されていることが好ましい。これにより、各電極が組織との接触を維持する可能性が最大化される。先端面上に電極を配設する設計の例としては、電極をプローブの先端上に配置すること、傾斜又は円錐前進面上に電極を配置すること、及び/又は電極を周面から半径方向外方に延在/突出させることが挙げられる。
【0038】
上述の技術は、ユーザにリアルタイム方向基準を提供するのに有用であるが、更なる拡張において、プロセッサ20は、図5に示すような3次元神経モデル100を作成及び維持するように構成されてもよい。
【0039】
図6は、3D神経モデルを作成及び利用するためのデータフロー図を概略的に示す。図示するように、プロセッサ20は、電極34の既知の位置104と共に、位置センサ、位置判定装置、又は運動学的アルゴリズム(概して106で示す)によって判定される刺激装置電極34と神経との間の判定距離54を利用して、108で3D神経確率モデルを構築することができる。上述のように、判定距離54は、刺激強度56とMMG反応52の振幅の関数であってもよく、図2に示すような確立された関係を使用して110で判定されてもよい。一構成では、プロセッサ20は、可変刺激電流56及び可変MMG反応52を与えられて、これらの関係を用いて距離54を直接解くことができる。別の構成では、プロセッサ20は、「反応」を示す閾値MMG反応レベルを確定し、次いで、この閾値反応を誘発するために必要な最小刺激電流56を判定してもよい。この最小電流から、距離は容易に計算及び/又は推測され得る。
【0040】
いったん作成されると、神経モデル100は、112でディスプレイを介して出力されてもよく、114でロボットコントローラに提供されてもよく、又は進入経路計画モジュール116に送られてもよい(次に、ディスプレイ112及び/又はロボットコントローラ114に出力されてもよい)。表示されたモデルは、例えば、独立モデルとして見られるか、他の画像とマージされることのいずれかであってよい。ロボットコントローラ114に直接送られる場合、モデル100は、例えば、フィードフォーワードロボット制御技術を利用して、神経の近傍でより正確かつ動的なツール制御を提供することができる。進入経路計画モジュール116は、ソフトウェアで実装され、神経モデル100を別個の解剖学的モデルとマージして、解剖学的ターゲットに向かう理想的なツール経路/外科的進入経路を最適化することができる。最後に、いくつかの構成では、判定された神経距離54も、112で情報メトリックとしてユーザに表示されてもよい。
【0041】
一構成では、プロセッサ20は、体内空間内の異なる位置でサンプリングして/刺激を加えて、神経位置を三角測量し、神経モデル100を漸進的に構築及び/又は精緻化することによって、3次元神経モデル100を構築することができる(108)。一構成では、この三角測量は、幾何方程式を用いて実施してもよい(すなわち、神経と2つの既知の刺激位置との間に三角形を構築することができ、神経の位置は、三角形の3つの全頂点間の距離を知ることによって解明することができる)。別の実施形態では、図7図9A図9D、及び図10A及び図10Bに概略的に示すように、モデルベースの三角測量法を実施してもよい。このモデルベースの三角測量法は、幾何方程式に基づく代替例ほど、モデル構築に関して計算集約的ではないと立証することができる。
【0042】
図7に概略的に示す方法120は、一般に、刺激装置電極34が周囲組織に略均一に全方向的に電流を伝送するという仮定の下で動作する。このように、神経が刺激され、(上記の方法で)距離が判定される場合、神経は、判定された距離において電極を囲むシェル上のいくつかの位置に存在し得る。逆に、閾値の筋肉反応が検出されない場合、刺激の大きさによって定義される電極の半径内に神経が存在しないと仮定することができる。複数の電極位置から構築されたシェルを集約することによって、このシステムは、記録されたシェルの密度に基づき、神経を表している可能性が高い領域を画定することができる。実際には、これはモデルベースの三角測量法である。
【0043】
方法120は、仮想3Dワークスペース150(図5に示す)を複数のボクセルにセグメント化することから開始することができる(122)。コンピュータグラフィックス及びモデリングにおいて十分理解されているように、「ボクセル」は、大きい体積の画定された下位区分である3次元体素である(すなわち大きい2D領域又は画像の定義された下位区分である2D画素と同様)。各ボクセルは、周囲ボクセルに対する空間的位置を有し、割り当てられた値を保持することができる。仮想3Dワークスペース150は、体内部位12を含む対応する物理的3Dワークスペース152(図1に示す)と位置合わせされてもよい。位置合わせは一般的に、直接対応するように2つのワークスペースの座標空間同士の関係を確立することを含む。ロボット外科的処置の場合、仮想ワークスペース150は、例えば、ロボットによってアクセス可能な物理ワークスペース152と一致させてもよい。
【0044】
いったん仮想ワークスペース150が作成され、物理ワークスペース152に位置合わせされると、物理ワークスペース内の1つ以上の刺激電極34を仮想ワークスペース150内に位置合わせ/位置決定することができる(124)。一構成では、物理3Dワークスペース152内の電極位置は、位置判定デバイス106及び/又は運動学的アルゴリズムによって判定されてもよい。
【0045】
一実施形態では、物理ワークスペース152内の1つ以上の電極34の位置を検出するために使用される位置判定デバイス106は、刺激装置30に固定され得る、及びモデリング手順全体を通じて刺激装置の位置を監視し得る多軸の空間入力装置154を含んでもよい。空間入力装置154の一実施形態を、図8に概略的に示す。この設計では、空間入力装置154は、3つの空間寸法(x、y、及びz)及び3つの配向(ロール、ピッチ、及びヨー)で刺激装置30の物理的位置を監視し得る複数の器具付き回転可能継手156を含んでもよい。このようにして、遠位端部の位置を調整し、プロセッサ20に提供することができる。このような性質の空間入力装置の市販品の例としては、いずれもGeomagic Solutions社製のTouch Haptic Input Device又はPhantom Haptic Input Deviceが挙げられる。同様に、1つ以上の電極34の位置は、処置全体を通じて刺激装置30の位置及び姿勢を能動的に制御する外科用ロボットの関節運動/運動学によって判定されてもよい。
【0046】
更に他の実施形態では、1つ以上の電極34は、非接触位置決め装置を使用して刺激装置30の遠位端部の位置を監視することによって、物理的3Dワークスペース152内に位置決めされてもよい。非接触位置決め装置の例は、3次元空間内の刺激装置(すなわち、刺激装置の遠位端部)を配置するために、超音波、電界、磁場、蛍光透視法、又は光学的認識を利用することができる。
【0047】
再び図7を参照すると、いったん1つ以上の電極34の相対位置が仮想ワークスペース内に位置合わせされると(124)、刺激装置30の遠位端が体内位置まで前進していると仮定して、電流38は、電極34を介して周囲の体内組織に印加することができる(126)。閾値MMG反応が検出される場合(128)、プロセッサ20は、電極34と神経との間の距離を判定し(130)、神経モデルを更新してもよい(132)。あるいは、閾値MMG反応が検出されない場合(128)、プロセッサ20は直接、神経モデルの更新に進んでもよい(132)。上述のように、一構成では、距離を判定すること(130)は、可変の刺激の大きさ及び可変のMMG反応の大きさから、距離を直接判定することを含んでもよい。別の構成では、距離を判定すること(130)は、刺激位置における閾値反応を誘発するために必要な最小の刺激電流を判定することと、その最小誘発電流を使用して距離を判定することと、を含んでもよい。上記実施形態では、最小刺激電流を判定することは、閾値反応がもはや誘発されなくなるまで、漸進的に強度が減少する1つ以上の追加の「位置判定」電気刺激を提供することを含んでもよい。
【0048】
概して、モデルを更新するプロセス(132)は、ボクセルモデルを漸進的に精緻化して、「安全な」領域と神経であり得る領域とを区別することを含む。図9A図9Dは、このプロセスを概略的に示す。図示するように、ワークスペース100内の各ボクセル160は、情報なし、神経なし(すなわち、「安全」)、及び神経、の3つの状態のうちの1つを有することができる。一構成では、情報なしは空又は「ヌル」値によって表されてもよく、神経なしはゼロで表されてもよく、「神経」は1以上の整数値によって表されてもよい。
【0049】
最初に、全ボクセル160は、「情報なし」に初期化されてもよい。刺激が送達され(126)、閾値の筋肉反応が測定/検出されない場合(128)、プロセッサ20は、電極の所定の半径内に神経が存在しないと結論づけることができる。したがって、プロセッサは、この領域162内の全ボクセルを、図9Aに示し、図7の134に表すように「神経なし」に変更することができる。いったんボクセル160が「安全」(すなわち、神経なし)として塗装されると、このボクセルはその状態に無期限に留まるべきである。刺激が送達され、神経164が図9Bに示すような特定の距離で検出される場合、シェル166は、判定された距離に等しい半径で構築されてもよく、シェル166と一致する全てのボクセル160は、「1」(図7の136で表される)に変更される(すなわち、既に安全と特定されたボクセルを除く)。更に、判定された距離は概ね、神経164までの最小距離を表すので、シェルの内側の全ボクセル160は「安全」と見なされ、「神経なし」に変更してもよい(図7の138で表される)。
【0050】
図7を参照すると、各試験後、更なるモデルの細分化が必要とされる場合(140)、電極34は、物理的3Dワークスペース/体内領域内に再配置されてもよく(142)、MMG刺激ルーチンを介して別の位置が試験されてもよい。図9Cに示すような多くの異なる位置でサンプリングを行うことによって、後続のシェル166を構築することができ、2つ以上のシェルを有するボクセルは、その点におけるシェルの数を反映する値に増分させることができる。いったん十分な数の点が試験されると、特定の閾値を上回る値を有するボクセルのみが残る(概ね図9Dに表される)ように、ボクセルモデルを平滑化及びフィルタリングすることができる(144)。この残りの構造168は、実際の神経構造を表す3D確率神経モデル100を提供する。
【0051】
一構成では、この同じ技術を使用して、複数の異なる神経を同時にマッピングすることができる。この複数神経モデルという概念は、図3に概略的に示されるような各種筋肉群と通信する、身体の周囲に分散させた複数の機械センサに頼る。各センサは、それぞれの群を主に支配する神経までの距離を判定するのに使用可能な独自のチャネルと見なすことができる。神経は、プロセッサ20によって特定及び位置判定されると、モデル100の異なる各「層」に記憶させてもよい。マッピングが完了すると、様々な別個の層を一緒にマージして、最終的な神経マップ100を形成してもよい。
【0052】
図10A及び図10Bは、2つの異なる神経束170、172を特定するために使用される多神経技術を概略的に示す。図示されるように、本システムは、第1の神経束170(図10Aに示す)の刺激に対する筋肉の機械的反応を特定することによって、第1の複数のシェル174を構築することができる。第1の複数のシェル174の作成に続き、又は作成と同時に、システムは、第2の神経束176の刺激に対する筋肉の機械的反応を特定することによって、第2の複数のシェル176を構築してもよい。一構成では、これらの神経はそれぞれ、第1の神経束170の読取り値が第2の神経束172の読取り値に誤って影響を及ぼすこと(又は逆も同様に)を回避するため、モデル内で別々に維持されてもよい。
【0053】
再び図6を参照すると、いったん3次元神経モデル100が作成されると、独立したモデルとして、又は他の画像/解剖学的モデルのいずれかとマージして、112でディスプレイ装置に出力することができる。例えば、一構成では、神経モデル100は、解剖学的目標/基準点、既知の座標変換、又は異なる解剖学的撮像様式をマージするその他の手法を使用して、3次元CT又はMRIモデルと整合させてマージすることができる。別の構成では、モデルの2D図は、例えば、2D蛍光画像又は超音波画像に重ね合わされてもよい。明瞭さ/可視性を強化するため、神経モデル100のグラフィカルな重ね合わせは色で提供されてもよく、これは従来の白黒2D画像と全く異なる。
【0054】
別の実施形態では、神経モデル100は、リアルタイム誘導目的でロボットコントローラ114に出力されてもよい。より具体的には、神経モデル100は、ロボットコントローラ114に体内環境を通知してもよく、及び/又はエンドエフェクタの運動を拘束する1つ以上の境界又は制約領域を画定してもよい。この意味で、モデル100は、任意のフィードフォワード制御を支援することができる(一方、任意のリアルタイムMMG検知はフィードバック制御として機能し得る)。
【0055】
更に別の実施形態では、神経モデル100を解剖学的モデルと共に使用して、解剖学的ターゲットに向かう最適な外科的進入経路を計算することができる。より具体的には、神経モデル100は、体内治療領域を表す解剖学的モデルとマージされてもよく、解剖学的モデルの一部が「解剖学的ターゲット」として特定されてもよい。このターゲットは、外科用器具及び/又は処置の最終目的地であってもよく、一般的には椎間板などの構造を特定してもよいか、又は処置の特定部位のいずれかをより狭く特定してもよい。
【0056】
いったん解剖学的ターゲットが特定されると、プロセッサ20は、1つ以上の最適化ルーチンを使用して、解剖学的モデルの外面から解剖学的ターゲットまでの最適な進入経路を判定し、神経モデル100内に表された神経と接触する可能性を最小限にすることができる。加えて、最適化は、モデルの外面と解剖学的ターゲットとの間に位置する少なくとも1つの拘束/遮断解剖学的構造との接触を考慮し、最小限に抑えることができる。遮断構造の例としては、腸、腎臓、肝臓などの臓器、又は肋骨若しくは骨盤/腸骨稜などの骨を含むことができる。具体的な意味では、「最適な」進入経路は、神経又は他の拘束物理的構造との接触の可能性を最小限に抑えながら、解剖学的ターゲットに到達する最も短い線形(又は非線形)の進入経路であってもよい。このような経路計画能力は、腰筋内など、不明確及び/又は複雑に画定された神経路を有する領域を通過しようと試みるとき、Kambin三角形(神経根によって部分的に画定された椎間板への小さなアクセス窓)への連結など、重要な神経に隣接する非常に特異的な位置にアクセスしようと試みるとき、又はL5-S1椎関節など、遮断解剖学のために従来はアクセスが困難であった位置に接近するとき、特に有用であり得る。
【0057】
いったん最適な経路が画定されると、単独で表示されるか、又は解剖学的モデルと重ね合わされる/マージされるかのいずれかであってよく、アクセス手順を実行する外科医を誘導することができる。例えば、プローブの画像(例えば、蛍光画像又はコンピュータ画像)は、プローブが最適経路上にある場合には第1の様式(例えば、緑色)で表すことができ、プローブが最適経路から外れている場合には第2の様式(例えば、赤色)で表すことができる。加えて(又は代わりに)、最適経路は、ロボットコントローラに送られて、経路の所定の許容誤差内でロボット制御されたツール及び/又はエンドエフェクタの運動を拘束してもよく、又は経路に沿って完全に自動化された手法を提供してもよい。一構成では、ロボットコントローラ114は、外科医の主要な(手動)制御下にあるツールの運動を単純に拘束するように動作することができる。
【0058】
一般的に、本モデリングルーチンの目的は、従来の手順で可能であるものよりも迅速かつ安全な外科的アクセスを円滑にすることである。この目的を更に進めるため、一構成では、システムは、可能な限り迅速に体内組織を分類するため、低解像度の「探索電流」と高解像度の「位置判定電流」とを交互に入れ替えることができる適応刺激技術を利用することができる。概して、探索電流刺激が、大きな領域をより迅速に特徴付けることができる高電流である一方、位置判定電流は、神経の特定の位置により正確に集中させることができる低電流刺激であってもよい。これらの適応刺激技術は、様々な異なるサイズのブラシで壁を塗装するようなものである。制御を確実にするために最も小さく最も細かいブラシで壁全体を塗装することは確かに可能だが、大きいブラシ(又はローラ)で大きな領域の中心を塗装し、制御性と精度が更に要求される場合にのみ細かいブラシに切り換える方が効率的であろう。
【0059】
図11図13は、大きい刺激電流によって提供される検出速度と、小さい刺激電流によって可能となる精度とのバランスをとるように試みる適応刺激技術の3つの実施形態を概略的に示す。具体的には、図11は、根拠ベースの適応刺激方法180の第1の実施形態を示し、図12は、根拠ベースの適応刺激方法181の第2の実施形態を示し、図13は、モデルベースの適応刺激方法182を示す。
【0060】
図11を参照すると、証拠ベースの適応刺激方法180の第1の実施形態は通常、MMG反応が検出されるまで、手技中に大きな探索電流で刺激するごとに動作する。このようにして、プロセッサ20は、最小数の刺激/サンプルを用いて、可能な限り最大の領域を「安全」として塗装することができる。いったん反応が検出されると、プロセッサ20は、より小さい位置判定電流にシフトダウンして、神経の位置をより正確に(すなわち、速度を犠牲にして)判定することができる。
【0061】
図11に示すように、方法180は、体内治療領域12に入る際に探索刺激電流を印加することによって184から開始される。MMG反応が検出されない場合(186)、プロセッサ20は、図7に関して上述したようにモデルを更新してもよい(132)。電極は再配置されてもよく(142)、プロセッサ20は検索刺激を再度印加してもよい(184)。いくつかの点で、印加された検索刺激に応じてMMG反応が検出された場合、プロセッサ20は次に、神経までの距離をより正確に判定するため(130)、小さい位置判定刺激電流を印加してもよい(188)。いったん位置判定刺激に反応して距離が判定されると、プロセッサは、モデルを更新し(132)、電極を再配置し(142)、次いで、小さい位置判定電流のみを使用して再度刺激することができる(188)。
【0062】
図12に示す実施形態では、「探索刺激」の目的は安全な領域を特定することであり、「位置判定刺激」の目的は神経の位置を特定することである。概して、この技術では、神経が刺激装置に近接している場合にのみ神経の正確な位置を見極めるものであり、そうでなければ、神経が位置していない場所を知ることがより重要である。方法181は、検索刺激の印加後にMMG反応が検出された場合(186)、刺激レベルが低減され(190)、次いで閾値と比較される(192)ことを除いては、図11に示す方法180と同様である。低減された探索電流レベルが閾値よりも未だに大きい場合(すなわち、依然として十分に大きい)場合、低減された探索電流は、神経反応が残っているか否かを確認するために再度印加されてもよい(184)。低減された探索電流レベルが閾値を下回る場合(192)、方法181は位置判定モードにダウンシフトし、神経の位置を判定するために高分解能の位置判定刺激を印加することができる。概して、閾値(192)は、2つのモード間と、「探索刺激」と「位置判定刺激」との間の差を定義する電流レベルである。一構成では、閾値は、処置で知覚される快適性に基づきユーザによって設定されてもよい。別の構成では、閾値は、約6mA~約12mAの範囲内であってもよい。刺激を低減すること(190)と、閾値と比較する(192)ことの順序はさほど重要ではなく、逆であってもよいこともまた理解すべきである。
【0063】
図13に示すモデルベースの適応刺激方法182は、プロセッサ20が、近接神経の可能性を考慮して検索刺激又は位置判定刺激を印加するか否かを選択するため、ヒト解剖学の一般的な理解と共に、電極34の位置の示度を用いることを除いて、図12の方法181とよく似ている。例えば、神経が予測されない領域では、プロセッサ20は、より大きい探索電流を使用して安全な領域を特定するように試みることができる。逆に、刺激装置/電極が(解剖学的モデルに基づいて)神経が予想される領域に近づくにつれて、プロセッサ20は電流を低減して、より精細な分解能で領域の塗装を開始する、及び/又はより正確に神経の位置を判定することができる。
【0064】
図13に示すように、方法182は、電極位置104を神経構造194のモデルと比較して電極34と神経との間の距離を推定する(196)ことから開始される。本実施形態では、神経構造194のモデルは、実際の患者の事前に取得されたモデル(例えば、CT又はMRIから)であってもよく、又は「平均的な」人のより一般的モデルであってもよい。
【0065】
いったん神経距離が推定されると(196)、推定値は閾値と比較され(198)、探索電流を印加するか(200)又は位置判定電流を印加するか(202)を判定する。閾値は、例えば、図12の192で使用されるものと同様の閾値(及び/又は図12の刺激閾値に対応する距離閾値)であってもよい。
【0066】
推定距離が閾値よりも大きく(198)、探索電流が印加される場合(200)、プロセッサ20は次に、MMG反応が刺激によって誘発されたかどうかを検査する(204)。MMG反応が検出されない場合、方法182は、神経が検索半径内にないため、モデルを更新するように進む(132)。しかしながら、反応が検出された場合、プロセッサ20は、予想外に存在する神経までの距離を判定するために位置判定刺激を印加してもよい(198)。
【0067】
推定距離が閾値未満であり(198)、位置判定電流が印加される場合(202)、プロセッサ20は次に、位置判定刺激によってMMG反応が誘発されたかどうかを検査する(206)。反応が検出されない場合、プロセッサ20は、領域を更に探索するために検索刺激を印加することを選択してもよい(200)。しかしながら、位置判定刺激に対する反応が検出される場合、プロセッサ20は、神経までの距離を判定し(130)、モデルを更新してもよい(132)。モデルの更新に続いて、電極を再配置することができ(142)、プロセスを繰り返すことができる。プロセッサ20が、204又は206において予想されるMMG反応を感知できない場合、プロセッサ20は、解剖学的モデル194を調節して、新たに取得された神経反応情報を考慮する(208)ように試みることができる。例えば、プロセッサ20は、神経モデル100とより良好に一致するように、解剖学的モデルの部分を伸張、歪曲、縮小拡大、又は回転させるように試みることができる。
【0068】
図11図13(又はその変形)に関連して説明される適応刺激技術のいずれかは、上述の神経モデリング技術において使用され得ると理解すべきである。具体的には、神経モデル100は、1つ以上の神経の存在を動作可能にモデリングしてもよく、及び/又は任意の神経の不在をモデリングしてもよい。
【0069】
図9C図10A、及び図10Bに概略的に示すように、神経モデルを適切に構築するため、電極は、体内治療領域12全体にわたって複数の位置で刺激することができなければならない。単一挿入軸に沿った刺激だけでは、神経位置を正確に三角測量する能力を提供できない場合がある。したがって、図14A及び図14Bに示すように、第1の実施形態では、各プローブがその遠位端に電極を有する複数の薄い刺激装置プローブ210(例えば、K-ワイヤ型プローブ)を用いて、体内治療領域12全体にわたる刺激を行うことができる。
【0070】
図14Aに示すように、第1の構成では、各プローブは、異なる各位置で患者の皮膚212に挿入されてもよい。様々な挿入にもかかわらず、プローブ210はそれぞれ、ターゲット位置/領域214に向かって収束する各自の軌道に沿って延びてもよい。この概念に関するわずかな変形として、図14Bは、近接して離して配設されたプローブアレイ216内に延びる複数の薄い刺激装置プローブ210を示し、各プローブ210は、他のプローブに対して平行である。このプローブアレイ216は、総アクセス点を最小限にするため、皮膚の単一の切開部を通じてまとめて挿入されてもよい。
【0071】
図14A又は図14Bに示す構成では、各プローブ210は、独立した運動及び独立した刺激を可能にすることができる。このようにして、1つのプローブの軌跡が神経と交差し得ることが分かる場合、残りのプローブを前進させることができる一方で、このプローブの長手方向の進行が停止され得る。
【0072】
別の実施形態では、1つ以上の多電極刺激装置を使用してマッピングを実行してもよい。図15A及び図15B図16A及び図16Bは、本マッピングプロセスで使用することができる多電極刺激装置220、222の2つの実施形態を示す。各実施形態220、222は、概して、刺激装置の長手方向軸230からオフセットされた1つ以上の電極228と共に遠位先端部226上に配設された先端電極224を示す。より具体的には、図15A及び図15Bに示す刺激装置220は単一のオフセット電極228を有して描かれ、図16A及び図16Bに示す刺激装置222は複数のオフセット電極228を備えて描かれている。
【0073】
いずれの実施形態でも、各電極224、228は、プロセッサ20の方向に選択的かつ独立的に通電されてもよく、対象者14の組織に電気刺激38を提供するように構成されてもよい。同様に、電極224、228は、プローブが長手方向に前進しているときに体内組織と最初に接触するように、刺激装置上に配設されることが好ましい。これにより、各電極が組織との接触を維持する可能性が最大化される。
【0074】
マッピング手順の間、一構成では、図15A及び図15Bに示す刺激装置220は、刺激装置が長手方向に前進している間に回転させることによって、3D刺激アレイを生成することができる。このようにして、先端電極224及びオフセット電極228は、螺旋パターンを横断してもよい。状況によってより高速のマッピング手順を提供し得る別の実施形態では、先端電極224は神経「探索電極」と見なされてもよく、オフセット電極228は「三角電極」であってもよい。この実施形態では、先端/探索電極224は、刺激装置を前進させている間に使用される唯一の電極(すなわち、探索電流を提供する唯一の電極)であってもよい。しかしながら、いったん神経が検出されると、刺激装置220は、オフセット/三角測量電極228と共に回転されて、回転全体にわたって複数の点に位置判定刺激を提供してもよい。オフセット/三角測量電極のこのような使用を、図10A及び図10Bに概略的に示す(すなわち、複数の刺激部位が中央電極の周囲の弧を横断する)。
【0075】
別の実施形態では、刺激装置を回転させる必要性は、図16A及び図16Bに示すような複数のオフセット電極228を含むことによって低減又は排除され得る。
【0076】
図15A及び図15B図16A及び図16Bの刺激装置を利用する方法の一実施形態は、刺激装置32の遠位端部36を、体内空間内の解剖学的ターゲットに向かって前進させることを含む。刺激装置32が解剖学的ターゲットに向かって前進している間に、刺激装置32の中心軸230上に配設された先端電極224から第1の(探索)電気刺激を印加することができる。プロセッサ20が、検索電気刺激に対する体内空間内の神経に支配される筋肉の反応を検出する場合、刺激装置32の中心軸230からオフセットされた複数位置から位置判定電気刺激を印加してもよい。次いで、プロセッサ20は、複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさを監視し、反応の大きさと、複数の位置のそれぞれに提供される位置判定電気刺激の大きさとを用いて、神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定し、複数位置のそれぞれにおける判定された距離から神経の位置を三角測量することができる。図15A及び図15Bに示す刺激装置220が本方法で使用される場合、プロセッサ20は、刺激装置220の連続的な回転間で刺激を与えることによって、単一のオフセット電極228を使用して複数のオフセット位置で刺激を印加することができる。
【0077】
図17は、本神経検出/モデリング技術を使用し得るロボット外科用システム250の実施形態を概略的に示す。そのようなシステムは、2012年3月23日に出願され「ROBOTIC SURGICAL SYSTEM WITH MECHANOMYOGRAPHY FEEDBACK」と題された米国特許出願第13/428,693号に更に記載されており、参照することによりその開示の全文を本明細書に組み込む。
【0078】
図示されるように、ロボット外科用システム250の例示の実施形態は、神経検出プロセッサ20及びロボットコントローラ114を含む。ロボットコントローラ114は、近位端部254及び遠位端部256を含む細長い外科用器具252の運動を制御するように構成されている。
【0079】
外科的処置中、外科用器具252は、対象者14の体内の開口部258を通って延びてもよく、遠位端部256は体内治療領域12内に配設され、近位端部254は対象者14の外側に配設されてもよい。一構成では、外科用器具252は通常、器具252の近位端部254の移動が遠位端部256の予測可能な運動をもたらし得るように、剛性の細長本体260によって画定されてもよい。別の構成では、外科用器具252は、内視鏡などの制御可能な可撓性本体によって画定されてもよい。
【0080】
外科用器具252は、遠位端部256に配設されたエンドエフェクタ262を更に含んでもよい。エンドエフェクタ262は、1つ以上の切断、把持、焼灼、又は切除機能を実行することに関与してもよく、少なくとも1つの自由度(すなわち、回転などの可動自由度、又は切除エネルギーの選択的送達などの電気自由度)で選択的に作動可能であってもよい。加えて、エンドエフェクタ262は、外科用器具252の遠位端部256の周りを選択的に回転及び/又は関節運動し、処置中のより広い可動域/敏捷性を可能にするように構成されてもよい。器具252のエンドエフェクタ262及び/又は遠位端部256は、複数の電極を含んでもよい(概ね上述したように、各電極は治療領域12内の組織にそれぞれの電気刺激38を提供するように構成され得る)。
【0081】
図17に概略的に示すような一実施形態では、エンドエフェクタ262は鉗子に類似するように構成されてもよく、ヒンジ付き継手を中心に関節運動するように適合された1つ以上の制御可能な可動ジョーを有してもよい。1つ以上のジョーの選択的な関節運動は、例えば、器具252の剛性の細長本体260を通ってロボットコントローラに延びるケーブル又はプルワイヤによって可能にされてもよい。
【0082】
ロボットコントローラ114は、遠位端部256の制御運動をもたらすように、外科用器具252の近位端254を制御可能に操作することによって、対象者14の身体内で低侵襲外科的処置を制御可能に実行する役割を担うことができる。図18に概略的に示すように、一構成では、ロボットコントローラ114は、運動コントローラ270、位置検出モジュール272、及び監視プロセッサ274を含んでもよい。運動コントローラ270は、複数のモータ、リニアアクチュエータ、又は、外科用器具252の近位端254を6以上の自由度(例えば、自由度3の並進、自由度3度の回転、及び/又は自由度1度以上の始動)で操作するのに必要な他の構成要素を含んでもよい。加えて、運動コントローラ270は、受信された動作コマンドをモータ又はアクチュエータの物理的始動に変換するために必要な1つ以上のプロセッサ又はデジタルコンピュータ及び/又は電力電子機器を含んでもよい。
【0083】
位置検出モジュール272は、例えば、1つ以上の外部基準フレームに対して、外科用器具252の遠位端部256の位置/運動を判定するように構成され得る1つ以上のデジタルコンピュータ又は処理装置を含んでもよい。一構成では、位置検出モジュール272は、外科用器具252の運動学的関係を使用して遠位端部256の運動を判定するために、運動コントローラ270の挙動を監視してもよい。別の構成では、位置検出モジュール272は、例えば、符号化継手/連結装置、超音波エネルギー、磁気エネルギー、又は対象者14を通って伝播され得る電磁エネルギーを利用して、外科用器具252の遠位端部256の位置を解明し得る位置信号276を外部位置判定装置106から受信してもよい。
【0084】
監視プロセッサ274は、1つ以上のデジタルコンピュータ又はデータ処理装置として具現化されてもよく、それぞれが1つ以上のマイクロプロセッサ又は中央処理装置(CPU)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、高速クロック、アナログデジタル(A/D)回路、デジタル-アナログ(D/A)回路、入出力(I/O)回路、パワーエレクトロニクス/変圧器、及び/又は信号調整及びバッファリング電子機器を有する。監視プロセッサ274に常駐する、又は容易にアクセス可能な個々の制御ルーチン/システムは、ROM又は他の好適な有形メモリ位置及び/又はメモリデバイスに記憶され、プロセッサ274の関連するハードウェア構成要素によって自動的に実行されて、それぞれの制御機能を提供することができる。一実施形態では、監視プロセッサ274は、位置検出モジュール272によって提供される位置フィードバックを用いて、閉鎖ループ方式で始動コマンドを運動コントローラ270に提供してもよい。監視プロセッサ274は、外科用器具252の遠位端部256の運動及び/又は始動を正確に制御するため、フィードフォワード、フィードバック、及び/又は予測制御スキームの任意の組み合わせを実行してもよい。
【0085】
加えて、ロボットコントローラ114は、ユーザ入力装置282と、ディスプレイ284などのユーザフィードバック装置(例えば、図6に提供されるディスプレイ112と同様であり得る)とを含むマスターステーション280と通信してもよい。ユーザ入力装置282は、外科用器具252の遠位端部256の意図された移動に対応する入力286をユーザから受信してもよい。次に、マスターステーション280は、受信された入力286に対応するロボットコントローラ114に動作コマンドを提供してもよい。同様に、マスターステーション280は、ロボットコントローラから視覚情報288を受信し、この視覚情報を、ディスプレイ284を介してユーザに伝えることができる。
【0086】
図18は、ロボットコントローラ114の一実施形態を提供するが、他の実施形態、構成、及び又は制御スキームを同様に使用して、遠位端部256の制御及び意図された運動を生じるように外科用器具252を操作することができる。上述したロボットコントローラ114及び外科用器具12は、一般にロボット腹腔鏡検査に使用される種類のものであるが、このような説明は例示目的であり、限定的であるべきではない。細長い外科用器具の遠位端の運動を制御するためにロボットコントローラ114を使用する他の低侵襲外科用システムは、例えば、ロボットカテーテルシステム及び/又はロボット内視鏡システムを含んでもよい。
【0087】
再び図17を参照すると、ロボット外科用システム250は、ロボットコントローラ114とデジタル的に通信し得る神経監視システム10を含む(及び/又は神経監視システムと通信してもよい)。上述したように、神経監視システム10は、少なくとも1つの機械センサ22と、機械センサ22と通信する神経モニタリングプロセッサ20を含むことができる。神経監視システム10は、外科用器具252の遠位端部256に隣接し得る神経の認識状態をロボットコントローラ114に提供してもよい。このように、ロボットシステム250は、(エンドエフェクタ262の並進運動又は作動のいずれかを介した)神経の完全性を危うくする恐れのある組織の操作を回避することができる。
【0088】
神経監視プロセッサ20が、(機械センサ22を介して)細長器具252に近接する神経の存在を検出する場合(すなわち、機械センサ22を介して)、制御信号290をロボットコントローラ114に提供してもよい。制御信号290は、神経の相対位置/方向の示度を含んでもよく、外科用器具252の遠位端部256と神経との近接性の示度を更に含んでもよい。
【0089】
制御信号290を受信すると、ロボットコントローラ114は、近位神経との不注意な接触を回避するため、外科用器具252の遠位端部256の運動を人為的に拘束してもよい。例えば、一構成では、ロボットコントローラ114は、受信された制御信号290に反応して外科用器具252の遠位端部256の全ての運動を防止するように構成されてもよい。したがって、遠位端部256が動作している場合、受信された制御信号290は、コントローラ114に上記動作を停止させ、ユーザからの更なるコマンドを待つことができる。加えて、ロボットコントローラ114は、制御信号290の受信時にエンドエフェクタ262の作動を制限又は防止するように構成されてもよい。反対に、特定の治療処置では、ロボットコントローラ114は、制御信号290の受信時に(例えば、神経に近接する組織に切除エネルギーを選択的に送達する際に)エンドエフェクタ262を作動させるように構成されてもよい。
【0090】
図19に概略的に示すような別の構成では、制御信号290を受信すると、ロボットコントローラは、神経292に向かう方向に移動する器具の能力を制限することができる。更に別の構成では、ロボットコントローラ114は、神経292の周囲に仮想バリア294を構築し、器具252が神経292の所定の距離内で移動するのを防止することができる。仮想バリア294は、ロボットコントローラ114の関連するメモリ内に保持されてもよく、及び/又は神経監視プロセッサ20によって保持され得る3D神経モデル100と関連付けられてもよい。概して、仮想バリア294は、外科用器具252が仮想バリア294を横断するのを人為的に制限するように、外科用器具252の許容運動範囲を制限することができる。図20に概略的に示すように、外科用器具252が移動し、追加の神経方向情報を取得すると、仮想バリア294を緻密化することができる。
【0091】
更に別の構成では、いったん神経が検出されると、ロボットコントローラ114は、器具252のリアルタイム位置と神経の推定相対位置との間の示された近接度の関数として、外科用器具252の遠位端部256の許容速度を変化させるように構成されてもよい。したがって、器具252は、神経から遠いとき、より迅速かつ/又はより速い速度で移動することが可能となり得る。このようにして、1つ以上の神経が近接するにつれて、運動の精度を向上させることができる。
【0092】
近接神経の存在が検出される場合、及び/又はロボットコントローラ114が外科用器具252の許容運動を調節又は制限する動作を実行する場合、ロボットコントローラ114は同様に、マスターステーション280を介してユーザにアラート(すなわち、視覚アラート又は聴覚アラート)を送信してもよい。
【0093】
上述の技術は、主に刺激装置30に対する神経の位置を判定し、神経確率モデルを作成することに重点を置いているが、神経監視プロセッサ20は、システム10が、患者の意図した反応から人工的に誘発された機械的筋肉反応、及び/又は患者の一部の全体的な並進を区別し得る1つ以上のフィルタリングアルゴリズムを更に含んでもよい。好適なフィルタリングアルゴリズムは、参照により全文が本明細書に組み込まれる米国特許第8,343,079号に記載されるようなアナログフィルタリングアルゴリズム、及び/又は参照により全文が本明細書に組み込まれる、2013年8月13日に出願された米国特許出願公開第2015/0051506号「Neural Event Detection」に記載されるようなデジタルフィルタリングアルゴリズムを含んでもよい。これらのフィルタリングアルゴリズムは、印加された刺激と検出された反応との間の時間相関、監視された反応の立ち上がり時間/勾配、及び/又は検出された機械的筋肉運動が提供された刺激に起因するか否かを識別する監視された反応に関する周波数特性に着目することができる。一構成では、このようなフィルタリングは、任意の近接検出及び/又は位置三角測量に先行してもよい。
【0094】
本発明を実施するための最良の態様を詳細に説明したが、本発明が関連する技術の当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で本発明を実施するための様々な代替的な設計及び実施形態を認識するであろう。上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される全ての事項は、単に例示であり限定的ではないと解釈されるべきであると意図される。
【0095】
上記の技術の様々な特徴、使用方法、及び利点を、以下の条項に更に記載する。
第1項:患者の体内治療領域内に位置する神経をモデリングする方法であって、仮想ワークスペース内の複数位置に電極の位置を位置合わせすることであって、複数位置のそれぞれが体内治療領域内の異なる位置に対応する、ことと、体内治療領域内の異なる位置のそれぞれにおいて、電極から体内組織に電気刺激を提供することと、提供された電気刺激のそれぞれに対する、神経に支配される筋肉の反応を監視することと、それぞれの位置に提供された電気刺激の大きさと、提供された刺激に対する筋肉の監視された反応とを用いて、異なる位置のそれぞれから神経までの距離を判定することと、異なる位置のそれぞれから神経までの判定された距離と、仮想ワークスペース内の複数位置とを用いて、仮想ワークスペース内の神経の仮想モデルを構築することと、を含む、方法。
【0096】
第2項:神経までの距離を判定することが、筋肉の反応を誘発するために必要な電気刺激の最小の大きさを判定することと、判定された最小の大きさから神経までの距離を判定することと、を含む、第1項に記載の方法。
【0097】
第3項:神経モデルを、体内治療領域を表す解剖学的画像とマージすることと、マージされた神経モデル及び解剖学的画像をディスプレイ上に表示することと、を更に含む、第1項に記載の方法。
【0098】
第4項:解剖学的画像が3D解剖学的モデルを含む、第3項に記載の方法。
【0099】
第5項:解剖学的画像がリアルタイム2D画像を含む、第3項に記載の方法。
【0100】
第6項:神経モデルを、体内治療領域を表す解剖学的モデルとマージすることと、解剖学的モデル内の解剖学的ターゲットを特定することであって、解剖学的モデルが、解剖学的モデルの外面と解剖学的ターゲットとの間に少なくとも1つの遮断構造を含む、ことと、神経及び遮断構造との接触を回避する外面から解剖学的ターゲットまでの最短経路を判定することと、判定された経路をディスプレイ又はロボットコントローラに提供することと、を更に含む、第1項に記載の方法。
【0101】
第7項:最短経路が非線形である、第6項に記載の方法。
【0102】
第8項:ロボットコントローラに神経の仮想モデルを提供することであって、ロボットコントローラが、体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能である、ことと、提供された仮想モデルに従って、ロボットコントローラを介してエンドエフェクタの運動を拘束することと、を更に含む、第1項に記載の方法。
【0103】
第9項:筋肉の反応を監視することが、非侵襲機械センサを使用して筋肉の機械的反応を感知することを含む、第1項に記載の方法。
【0104】
第10項:神経の仮想モデルを構築することが、複数位置のうちの少なくとも2つの空間的配置と、少なくとも2つの位置のそれぞれについての体内治療領域内の対応位置から神経までの判定された距離とを用いて、神経の位置を三角測量することを含む、第1項に記載の方法。
【0105】
第11項:神経の仮想モデルを構築することが、体内処理領域内の対応位置から神経までの判定された距離に等しい距離で、仮想ワークスペース内の複数位置のそれぞれの周囲に3Dシェルを作成することと、仮想ワークスペースをフィルタリングして、所定の閾値を超えるシェル密度を有する領域を特定することとによって、神経の位置を三角測量することを含む、第1項に記載の方法。
【0106】
第12項:複数の電気刺激のうちの1つ以上に対する筋肉の反応が存在しない場合に、仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定することを更に含む、第1項に記載の方法。
【0107】
第13項:複数の位置のそれぞれからの判定された距離よりも小さい仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定することを更に含む、第12項に記載の方法。
【0108】
第14項:電極が複数の電極である、第1項に記載の方法。
【0109】
第15項:神経の存在に関して患者の体内治療領域をモデリングする方法であって、体内治療領域内の1つ以上の電極の位置を監視することと、1つ以上の電極を介して体内治療領域に複数の電気刺激を提供することであって、複数の電気刺激のそれぞれが、体内治療領域内の異なる各位置に提供される、ことと、複数の電気刺激のそれぞれに対する反応について、神経に支配されている筋肉を監視することと、異なる場所のうちの少なくとも1つにおいて提供された電気刺激の大きさと、提供された電気刺激に対する筋肉の監視された反応とから、神経と異なる位置のうちの少なくとも1つとの間の距離を判定することと、異なる場所のうちの少なくとも1つから判定された距離で神経を表す第1の部分と、神経を含まない体内治療領域内の空間を表す第2の部分とを含む、体内治療領域の仮想モデルを構築することと、を含む、方法。
【0110】
第16項:神経と異なる位置のうちの少なくとも1つとの間の距離を判定することが、異なる場所のうちの少なくとも1つで提供されるときに筋肉の反応を誘発するために必要な最小の電気刺激の大きさを判定することと、判定された最小の大きさから、神経と異なる場所のうちの少なくとも1つとの間の距離を判定することと、を含む、第15項に記載の方法。
【0111】
第17項:仮想モデルを、体内治療領域を表す解剖学的画像とマージすることであって、解剖学的画像が3D解剖学的モデル又は2D画像を含む、ことと、マージされた仮想モデル及び解剖学的画像をディスプレイ上に表示することと、を更に含む、第15項に記載の方法。
【0112】
第18項:仮想モデルを、体内治療領域を表す解剖学的モデルとマージすることと、解剖学的モデル内の解剖学的ターゲットを特定することであって、解剖学的モデルが、解剖学的モデルの外面と解剖学的ターゲットとの間に少なくとも1つの遮断構造を含む、ことと、神経を表す仮想モデルの部分と遮断構造とを回避する、外面から解剖学的ターゲットまでの最短経路を判定することと、判定された経路をディスプレイ又はロボットコントローラに提供することと、を更に含む、第15項に記載の方法。
【0113】
第19項:体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能なロボットコントローラに仮想モデルを提供することと、提供された仮想モデルを使用してエンドエフェクタの運動を拘束することと、を更に含む、第15項に記載の方法。
【0114】
第20項:筋肉の反応を監視することが、非侵襲機械センサを使用して筋肉の機械的反応を感知することを含む、第15項に記載の方法。
【0115】
第21項:神経のモデリング方法であって、1つ以上の電極から患者の体内治療領域に複数の電気刺激を提供することであって、複数の電気刺激のそれぞれが電流の大きさを有し、体内治療領域内の異なる各位置に提供される、ことと、非侵襲機械センサを使用して、複数の電気刺激のそれぞれに対する筋肉の機械的反応を監視することと、複数の提供された電気刺激のそれぞれの電流の大きさと、監視された筋肉の機械的反応とを使用して、神経と異なる各位置のそれぞれとの間の距離を判定することと、神経と異なる各位置のそれぞれとの間の判定された距離を使用して仮想ワークスペース内に神経の仮想モデルを構築することと、を含む方法。
【0116】
第22項:神経と異なる各位置のそれぞれとの間の距離を判定することが、異なる各位置のそれぞれに提供されたときに筋肉の反応を誘発するために必要な最小の電流の大きさを判定することと、判定された最小の大きさから、神経と異なる位置のうちの少なくとも1つとの間の距離を判定することと、を含む、第21項に記載の方法。
【0117】
第23項:複数の電気刺激のうちの少なくとも1つに対する監視された反応が非反応であること、又は、仮想ワークスペースの部分が、異なる各位置のうちの1つ以上からの判定された距離よりも小さいことと、のうちの少なくとも一方に基づき、仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定することを更に含む、第21項に記載の方法。
【0118】
第24項:神経の仮想モデルを構築することが、仮想ワークスペース内に異なる各位置のそれぞれを位置合わせすることと、仮想ワークスペース内の異なる各位置のそれぞれの周囲に、異なる各位置のそれぞれから神経までの判定された距離に等しい距離で3Dシェルを作成することと、仮想ワークスペースをフィルタリングして、所定の閾値を超えるシェル密度を有する領域を特定することと、によって、神経の位置を三角測量することを含む、第21項に記載の方法。
【0119】
第25項:体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能なロボットコントローラに仮想モデルを提供することと、提供された仮想モデルを用いてエンドエフェクタの運動を拘束することと、を更に含む、第21項に記載の方法。
【0120】
第26項:神経マッピングシステムであって、それぞれが対象者の体内治療領域内に延びるように構成された1つ以上の細長い医療用装置の遠位端部に配設された複数の電極と、監視された筋肉の反応に対応する出力信号を提供するように構成されたセンサと、複数の電極のそれぞれ及びセンサと通信するプロセッサと、を備え、プロセッサが、体内治療領域内の複数の電極のそれぞれの位置の示度を受信し、複数の位置のそれぞれで刺激が体内組織に伝達され得るように、各電極に電気刺激を提供し、センサから監視された筋肉の反応の大きさの示度を受信し、筋肉の反応が、提供された電気刺激によって誘発され、提供された電気刺激の大きさと、提供された刺激に対する筋肉の監視された反応と用いて、複数の電極のそれぞれの位置から神経までの距離を判定し、複数の位置のそれぞれで神経までの判定された距離を用いて神経の仮想モデルを構築する、ように構成されている、神経マッピングシステム。
【0121】
第27項:プロセッサが、筋肉の反応を誘発するために必要な最小の電気刺激の大きさを判定し、判定された最小の大きさから神経までの距離を判定することによって、神経までの距離を判定するように構成されている、第26項に記載のシステム。
【0122】
第28項:プロセッサが、神経モデルを、体内治療領域を表す解剖学的画像とマージし、マージされた神経モデル及び解剖学的画像をディスプレイに表示するように更に構成されている、第26項に記載のシステム。
【0123】
第29項:解剖学的画像が3D解剖学的モデルを含む、第28項に記載のシステム。
【0124】
第30項:解剖学的画像がリアルタイム2D画像を含む、第28項に記載のシステム。
【0125】
第31項:体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能なロボットコントローラを更に備え、プロセッサが、神経の仮想モデルをロボットコントローラに提供するように更に構成され、ロボットコントローラが、提供された仮想モデルを用いてエンドエフェクタの運動を拘束するように構成されている、第26項に記載のシステム。
【0126】
第32項:センサが非侵襲機械センサであり、出力信号が筋肉の機械的反応に対応する、第26項に記載のシステム。
【0127】
第33項:プロセッサが、複数の電極のうちの少なくとも2つの位置と、複数の電極のうちの少なくとも2つから神経までの判定された距離の示度を用いて神経の位置を三角測量することによって、神経の仮想モデルを構築するように構成されている、第26項に記載のシステム。
【0128】
第34項:プロセッサが、神経の位置を三角測量することによって神経の仮想モデルを構築するように構成され、神経の位置を三角測量することが、体内治療領域内の複数の電極のそれぞれの位置の受信された示度を用いて、対応する仮想ワークスペース内に複数の電極のそれぞれの位置を位置合わせすることと、仮想ワークスペース内の複数の位置のそれぞれの周囲に、それぞれの位置について判定された神経までの距離に等しい距離で3Dシェルを作成することと、仮想ワークスペースをフィルタリングして、所定の閾値を超えるシェル密度を有する領域を特定することと、を含む、第26項に記載のシステム。
【0129】
第35項:仮想モデルが仮想ワークスペース内にプロセッサによって構築され、プロセッサが、筋肉の監視された反応の大きさが閾値の大きさ未満である場合、仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定するように更に構成されている、第26項に記載のシステム。
【0130】
第36項:プロセッサが、神経を含まない複数の電極のそれぞれからの判定された距離よりも小さい仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定するように更に構成されている、第35項に記載のシステム。
【0131】
第37項:プロセッサが、体内治療領域内の第1の位置において第1の電気刺激を提供し、第1の電気刺激が、神経に支配される筋肉の閾値反応を誘発しない第1の電流の大きさを有し、体内治療領域内の第2の位置において第2の電気刺激を提供し、第2の電気刺激が第1の電流の大きさを有し、閾値よりも大きい筋肉の反応を誘発し、第2の位置において1つ以上の追加の電気刺激を提供し、1つ以上の追加の刺激がそれぞれ、第1の電流の大きさよりも小さい電流の大きさを有し、1つ以上の追加の電気刺激から、第2の位置で筋肉の閾値反応を誘発するのに必要な最小の電流の大きさを判定するように更に構成されており、プロセッサが、判定された最小電流の大きさを用いて、第2の位置から神経までの距離を判定する、ように構成されている、第26項のシステム。
【0132】
第38項:神経の仮想モデルが仮想ワークスペース内に位置し、プロセッサが、仮想ワークスペース内の第1の位置及び第2の位置のそれぞれを位置合わせし、第1の位置を囲んでいる仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして示し、第2の位置からの判定された距離でワークスペース内に神経の仮想モデルを構築する、ように更に構成されている、第37項に記載のシステム。
【0133】
第39項:プロセッサが、体内治療領域内の解剖学的ターゲットの示度を受信し、神経モデルを用いて解剖学的ターゲットまでの進入経路を判定するように更に構成されており、この進入経路は、モデリングされた神経との接触の可能性を最小化する、第26項に記載のシステム。
【0134】
第40項:神経マッピングシステムであって、それぞれが対象者の体内治療領域内に延びるように構成された細長い医療装置の遠位端部に配設された1つ以上の電極と、監視された筋肉の反応に対応する出力信号を提供するように構成されたセンサと、1つ以上の電極のそれぞれ及びセンサと通信するプロセッサと、を備え、プロセッサが、刺激が体内治療領域内の複数の位置のそれぞれにおいて体内組織に伝達され得るように、1つ以上の電極のそれぞれに電気刺激を提供し、各刺激が電流の大きさを有し、センサから出力信号を受信し、出力信号が、複数の位置のそれぞれに提供された電気刺激に対する筋肉の反応の示度を提供し、複数の位置のそれぞれに提供された電気刺激の大きさと、受信された出力信号とから体内治療領域の仮想モデルを構築し、仮想モデルが、筋肉を支配する神経を表す第1の部分と、神経を含まない体内治療領域内の空間を表す第2の部分とを含む、ように構成されている、神経マッピングシステム。
【0135】
第41項:プロセッサが、体内治療領域内の解剖学的ターゲットの示度を受信し、モデルの第2の部分を通ってのみ延びる体内治療領域の仮想モデルを用いて解剖学的ターゲットまでの進入経路を判定するように更に構成されている、第40項に記載のシステム。
【0136】
第42項:判定された進入経路に対する体内治療領域内に延びるツールの運動を拘束するように構成されたロボットコントローラを更に備える、第41項に記載のシステム。
【0137】
第43項:プロセッサが、解剖学的モデルを、体内治療領域の仮想モデルとマージするように更に構成され、解剖学的モデルが、骨、腸、肝臓、又は腎臓の少なくとも一部を含む遮断部と、骨、腸、肝臓、又は腎臓のいずれも含まない非遮断部とを有し、進入経路が、非遮断部のみを通って延在する、第41項に記載のシステム。
【0138】
第44項:進入経路が非線形である、第41項に記載のシステム。
【0139】
第45項:プロセッサが、判定された進入経路に対するツールの位置を監視し、ツールが進入経路の所定の許容誤差内にある場合、第1のインジケータを表示し、ツールが進入経路から所定の許容誤差よりも大きい場合、第2のインジケータを表示する、ように更に構成されている、第41項に記載のシステム。
【0140】
第46項:体内空間内の神経の位置判定方法であって、刺激装置の遠位端部を、体内空間内の解剖学的ターゲットに向かって前進させることと、刺激装置が解剖学的ターゲットに向かって前進している間に、刺激装置の中心軸上に配設された第1の電極から第1の電気刺激を周期的に印加することと、第1の電気刺激に対する体内空間内の神経に支配された筋肉の反応を検出することと、第1の電気刺激に対する筋肉の反応を検出した後に、刺激装置の中心軸からオフセットされた複数の位置から位置判定電気刺激を印加することと、複数の位置のそれぞれで位置判定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさを監視することと、複数の位置のそれぞれで位置判定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさと、複数の位置のそれぞれに提供された位置判定電気刺激の大きさとから、神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定することと、複数の位置のそれぞれにおける判定された距離から位置を三角測量することによって神経の位置を判定することと、を含む方法。
【0141】
第47項:オフセット電極が複数の位置のそれぞれを通って回転するように、刺激装置を回転させることを更に含み、位置判定電気刺激を印加することが、オフセット電極から刺激を印加することを含む、第46項に記載の方法。
【0142】
第48項:神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定することが、複数の位置のそれぞれにおける筋肉の反応を誘発するために必要とされる最小の電気刺激の大きさを判定することと、複数の位置のそれぞれにおける神経までの距離を、それぞれの位置における判定された最小の大きさから判定することと、を含む、第46項に記載の方法。
【0143】
第49項:刺激装置と神経の三角測量位置との間の相対方向を表示することを更に含む、第46項に記載の方法。
【0144】
第50項:体内治療領域内の刺激装置の位置を監視することと、神経の三角測量位置及び監視された刺激装置の位置を使用して仮想ワークスペース内の神経の仮想モデルを維持することと、を更に含む、第46項に記載の方法。
【0145】
第51項:印加された第1の電気刺激に応答して、仮想ワークスペースの部分を、神経を含まないものとして特定することを更に含む、第50項に記載の方法。
【0146】
第52項:複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激の大きさが、第1の刺激の大きさよりも小さい、第46項に記載の方法。
【0147】
第53項:神経の三角測量位置に向かって刺激装置が前進することを防止することを更に含む、第46項に記載の方法。
【0148】
第54項:筋肉が第1の筋肉であり、神経が第1の神経であり、この方法が、複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激に対する第2の筋肉の反応の大きさを監視することと、複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激に対する第2の筋肉の反応の大きさと、複数の位置のそれぞれに提供される位置判定電気刺激の大きさとから、第2の神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定することと、複数の位置のそれぞれにおける判定された距離から第2の神経の位置を三角測量することによって第2の神経の位置を判定することと、を更に含む、第46項に記載の方法。
【0149】
第55項:第1の電気刺激の大きさを、第1の電気刺激に対する筋肉の検出された反応後の閾値と比較することと、第1の電気刺激の大きさが閾値を下回る場合にのみ、位置判定電気刺激を印加することと、を更に含む、第46項に記載の方法。
【0150】
第56項:第1の電気刺激の大きさが閾値を上回る場合、第1の電気刺激の大きさを低減することを更に含む、第55項に記載の方法。
【0151】
第57項:刺激装置の遠位端部の位置を監視することと、監視された位置と神経との間の距離を推定することと、推定された距離を閾値距離と比較することと、推定距離が閾値距離より大きい場合には、筋肉の反応を誘発しないように第1の電気刺激の大きさを選択することと、を更に含む、第46項に記載の方法。
【0152】
第58項:体内空間内の神経の位置判定方法であって、刺激装置の遠位端部を、体内空間内の解剖学的ターゲットに向かって前進させることと、刺激装置が解剖学的ターゲットに向かって前進している間に、刺激装置の中心軸上に配設された第1の電極から第1の電気刺激を周期的に印加することと、第1の電気刺激に対する体内空間内の神経に支配された筋肉の反応を検出することと、第1の電気刺激に対する筋肉の反応を検出した後に、刺激装置の中心軸からオフセットされた複数の位置から位置判定電気刺激を印加することと、複数の位置のそれぞれで位置決定電気刺激に対する筋肉の反応の大きさを監視することと、複数の位置のそれぞれにおける筋肉の反応を誘発するために必要な最小の電気刺激の大きさを判定することと、複数の位置のそれぞれにおける判定された最小の電気刺激の大きさから神経の位置を三角測量することによって神経の位置を判定することと、を含む方法。
【0153】
第59項:オフセット電極が複数の位置のそれぞれを通って回転するように、刺激装置を回転させることを更に含み、位置判定電気刺激を印加することが、オフセット電極から刺激を印加することを含む、第58項に記載の方法。
【0154】
第60項:刺激装置と神経の三測量位置との間の相対方向を表示することを更に含む、第58項に記載の方法。
【0155】
第61項:複数の位置のそれぞれにおける判定された最小の電気刺激の大きさから神経の位置を三角測量することが、複数の位置のそれぞれにおける判定された最小の大きさから、神経と複数の位置のそれぞれとの間の距離を判定することを含み、この方法が、体内治療領域内の刺激装置の位置を監視することと、神経の三角測量位置及び監視された刺激装置の位置を用いて、仮想ワークスペース内の神経の仮想モデルを維持することと、を更に含む、第58項に記載の方法。
【0156】
第62項:複数の位置のそれぞれにおける位置判定電気刺激の大きさが、第1の刺激の大きさよりも小さい、第58項に記載の方法。
【0157】
第63項:第1の電気刺激の大きさを、第1の電気刺激に対する筋肉の検出された反応後の閾値と比較することと、第1の電気刺激の大きさが閾値を下回る場合にのみ、位置判定電気刺激を印加することと、を更に含む、第58項に記載の方法。
【0158】
第64項:第1の電気刺激の大きさが閾値を上回る場合、第1の電気刺激の大きさを低減することを更に含む、第63項に記載の方法。
【0159】
第65項:刺激装置の遠位端部の位置を監視することと、監視された位置と神経との間の距離を推定することと、推定された距離を閾値距離と比較することと、推定距離が閾値距離より大きい場合には、筋肉の反応を誘発しないように第1の電気刺激の大きさを選択することと、を更に含む、第58項に記載の方法。
【0160】
〔実施の態様〕
(1) 対象者の体内治療領域における神経の位置判定方法であって、
前記体内治療領域内の第1の位置において第1の電気刺激を提供することであって、前記第1の電気刺激が、前記神経に支配された筋肉の閾値反応を誘発しない第1の電流の大きさを有する、ことと、
前記体内治療領域内の第2の位置において第2の電気刺激を提供することであって、前記第2の電気刺激が前記第1の電流の大きさを有し、前記閾値よりも大きい前記筋肉の反応を誘発する、ことと、
前記第2の位置において1つ以上の追加の電気刺激を提供することであって、前記1つ以上の追加の刺激がそれぞれ、前記第1の電流の大きさよりも小さい電流の大きさを有する、ことと、
前記1つ以上の追加の電気刺激から、前記第2の位置における前記筋肉の前記閾値反応を誘発するために必要な最小の電流の大きさを判定することと、
判定された前記最小の電流の大きさを用いて、前記第2の位置から前記神経までの距離を判定することと、
を含む、方法。
(2) 非侵襲機械センサを使用して、前記第1、第2、及び1つ以上の追加の電気刺激のそれぞれに対する前記筋肉の反応を監視することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1、第2、及び1つ以上の追加の電気刺激のそれぞれが、細長い刺激装置の遠位端部から提供され、
前記第1及び第2の電気刺激が、前記刺激装置の中心軸上に配設された電極から提供され、
前記1つ以上の追加の電気刺激が、前記刺激装置の前記中心軸から離れたオフセット電極から提供される、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記刺激装置の前記中心軸を中心とした複数の角度位置にわたって前記オフセット電極を回転させることを更に含み、
前記第2の位置から前記神経までの距離を判定することが、前記複数の角度位置のそれぞれから前記神経までの距離を判定することを含み、
前記複数の角度位置のそれぞれからの判定された前記距離を用いて、前記刺激装置の前記中心軸に対する前記神経の前記位置を三角測量することを更に含む、
実施態様3に記載の方法。
(5) 前記第1の電気刺激が、刺激装置の前記遠位端部に配設された電極から提供され、
前記方法が、
前記刺激装置の前記遠位端部の位置を監視することと、
予め取得した解剖学的モデルを用いて、監視された前記位置と前記神経との間の推定距離を推定することと、
前記推定距離を用いて前記第1の電流の大きさを選択することと、
を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0161】
(6) 前記第1の電流の大きさが、有界電流範囲から選択され、前記神経からの前記推定距離において印加されたときに前記筋肉の反応を誘発しないと予想される前記範囲内の最大電流である、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記選択された電流の大きさが前記筋肉の反応を誘発する場合、前記解剖学的モデルを調節することを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記解剖学的モデルが、前記対象者の取得されたモデルである、実施態様5に記載の方法。
(9) 仮想ワークスペース内に前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれを位置合わせすることと、
前記第1の位置を囲んでいる前記仮想ワークスペースの部分を、前記神経を含まないものとして示すことと、
を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記第2の位置からの前記判定された距離において、前記ワークスペース内の神経の存在を示すことを更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0162】
(11) 前記仮想ワークスペースの第2の部分を前記神経を含まないものとして示すことを更に含み、前記第2の部分が、前記判定された距離まで前記第2の位置を囲んでいる、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記仮想ワークスペースを、前記体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能なロボットコントローラに提供することと、
前記ワークスペースの前記神経を含まないものとして示された部分、及び前記ワークスペース内の示された前記神経の存在のうちの少なくとも1つに従って前記エンドエフェクタの前記運動を制限するように前記ロボットコントローラを拘束することと、
を更に含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 対象者の体内治療領域における神経の位置決定方法であって、
第1の電流の大きさを有する第1の電気刺激を、前記体内治療領域内の第1の位置において印加することであって、前記第1の位置が前記神経からの閾値距離よりも大きく、前記閾値距離は、前記第1の電気刺激が前記神経に支配される筋肉の閾値反応を誘発することができる最大距離である、ことと、
第2の電流の大きさを有する第2の電気刺激を、前記体内治療領域内の第2の位置において印加することであって、前記第2の位置が前記神経からの前記閾値距離未満であり、前記第2の電流の大きさが前記第1の電流の大きさよりも小さい、ことと、
前記第2の電気刺激に対する、前記神経に支配される筋肉の反応の大きさを監視することと、
前記第2の電流の大きさと、前記筋肉の監視された前記反応の大きさとから、前記第2の位置から前記神経までの距離を判定することと、
仮想ワークスペース内に前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれを位置合わせすることと、
前記第1の位置を囲んでいる前記仮想ワークスペースの部分を、前記神経を含まないものとして示すことと、
前記第2の位置からの前記判定された距離において、前記仮想ワークスペース内の神経の存在を示すことと、
を含む、方法。
(14) 前記第2の電流の大きさが、前記第2の位置における前記筋肉の反応を誘発するのに必要な最小の電流の大きさである、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記第1及び第2の電気刺激が、前記体内治療領域内に配設された電極によってそれぞれ印加され、
前記方法が、前記電極を前記第1の位置から前記第2の位置に前進させることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0163】
(16) 前記仮想ワークスペースの第2の部分を前記神経を含まないものとして示すことを更に含み、前記第2の部分が、前記判定された距離まで前記第2の位置を囲んでいる、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記第1の電気刺激が、刺激装置の前記遠位端部上に配設された電極から提供され、
前記方法が、
前記刺激装置の前記遠位端部の位置を監視することと、
予め取得した解剖学的モデルを用いて、監視された前記位置と前記神経との間の推定距離を推定することと、
前記推定距離を用いて前記第1の電流の大きさを選択することと、
を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記第1の電流の大きさが、有界電流範囲から選択され、前記神経からの前記推定距離において印加されたときに前記筋肉の反応を誘発しないと予想される前記範囲内の最大電流である、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記選択された電流の大きさが前記筋肉の反応を誘発する場合、前記解剖学的モデルを調節することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記仮想ワークスペースを、前記体内治療領域内に配設されたエンドエフェクタの運動を制御するように動作可能なロボットコントローラに提供することと、
前記ワークスペースの前記神経を含まないものとして示された部分、及び前記ワークスペース内の示された前記神経の存在のうちの少なくとも一方に従って前記エンドエフェクタの前記運動を制限するように前記ロボットコントローラを拘束することと、
を更に含む、実施態様13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20