(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を加熱するための加熱組立品、エアロゾル発生装置および方法
(51)【国際特許分類】
A24F 42/10 20200101AFI20220405BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20220405BHJP
【FI】
A24F42/10
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2019520697
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2017079535
(87)【国際公開番号】W WO2018091627
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-16
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベール ジャック
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ベッサン ミシェル
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-500274(JP,A)
【文献】特表2016-521977(JP,A)
【文献】特表2015-509709(JP,A)
【文献】特開2008-043290(JP,A)
【文献】特表2016-508744(JP,A)
【文献】特表2008-535530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置の加熱組立品であって、前記加熱組立品が、
発熱化学反応によって一次熱を発生するように、および前記基体を加熱するために前記一次熱をエアロゾル形成基体に供給するように構成された化学的加熱装置と、
前記基体を加熱するために二次熱を電気的に発生して前記エアロゾル形成基体に供給するように構成された電気加熱装置と、
前記エアロゾル形成基体の温度を制御するために少なくとも前記電気加熱装置に動作可能に接続されたコントローラとを備える、加熱組立品。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱組立品であって、前記加熱組立品が、
前記化学的加熱装置および前記電気加熱装置を組み合わせて使用することによって、前記エアロゾル形成基体を並列的に加熱することと、
前記エアロゾル形成基体を逐次的に加熱することと、
前記化学的加熱装置および前記電気加熱装置を逐次的に使用することとのうち少なくとも一つのために構成されている、加熱組立品。
【請求項3】
前記化学的加熱装置が前記基体を事前設定目標温度に加熱するように構成されていて、前記電気加熱装置が、前記化学的加熱装置に加えて、前記基体を前記事前設定目標温度より高い目標温度にさらに加熱するように構成されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項4】
前記化学的加熱装置が、前記発熱化学反応を実行するための反応チャンバーと、前記反応チャンバーからの一次熱を伝達するための熱伝達要素とを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項5】
前記加熱組立品が、少なくとも一つの反応物質を発熱化学反応に供給するための、および一次熱の発生を制御するための制御可能な供給システムを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項6】
前記電気加熱装置が抵抗加熱要素を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項7】
前記化学的加熱装置によって発生された熱を電力に変換するためのエネルギー変換装置をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項8】
前記エネルギー変換装置が、変換された電力を前記電気加熱装置に供給するために、前記電気加熱装置に動作可能に接続されている、請求項7に記載の加熱組立品。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項10】
エアロゾル形成基体を加熱することによってエアロゾルを発生するための方法であって、前記方法が、
発熱化学反応によって一次熱を発生し、前記基
体を加熱するために前記一次熱を前記エアロゾル形成基体に供給する工程と、
二次熱を電気的に発生し、前記基体を加熱するために前記二次熱を前記エアロゾル形成基体に供給する工程と、
少なくとも二次熱の発生を制御することによって、前記エアロゾル形成基体の温度を目標温度に調整する工程とを逐次的に実施すること、または並列的に実施することのうちの少なくとも一方を含む方法。
【請求項11】
前記一次熱および前記二次熱が、エアロゾル発生の異なる段階中に前記エアロゾル形成基体を加熱するために使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一次熱が、前記エアロゾル形成基体を事前設定目標温度に加熱するために使用され、前記二次熱が、前記一次熱に加えて、前記エアロゾル形成基体を前記事前設定目標温度より高い前記目標温度までさらに加熱するために使用される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記発熱化学反応からの熱を電力に変換して、二次熱を電気的に発生するために変換された電力を提供する工程をさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱することによってエアロゾルを発生するための加熱組立品、エアロゾル発生装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体が装置内の加熱組立品によって加熱されて、加熱に伴い基体から蒸発した物質の吸入可能なエアロゾルを形成するエアロゾル発生装置がある。多くのエアロゾル発生装置は、基体を加熱するための熱エネルギーを発生させる抵抗電気ヒーターを備える。しかしながら、抵抗加熱には大きいエネルギー消費が伴う場合があり、従って電池駆動型ヒーターを使用する装置の動作時間を制限しかねない。その他のエアロゾル発生装置は、基体を加熱するために発熱化学反応の放熱を利用する化学ヒーターを備える。例えば、こうした化学ヒーターは、固体燃料ヒーターまたは触媒ヒーターであってもよい。化学反応は典型的に高エネルギー密度を提供するが、そのため化学ヒーターの放熱は制御が困難である場合がある。
【0003】
従って、先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらにおける制限事項がない、加熱組立品、エアロゾル発生装置、および対応する方法を有することが望ましいであろう。特に、制御可能かつエネルギー効率の良い、エアロゾル形成基体の加熱を提供するような製品および方法を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル形成基体を加熱するためのエアロゾル発生装置の加熱組立品が提供されている。加熱組立品は、発熱化学反応によって一次熱を発生するように、および基体を加熱するためにその一次熱をエアロゾル形成基体に供給するように構成された化学的加熱装置を備える。加熱組立品は、基体を加熱するための二次熱を電気的に発生して供給するように構成された電気加熱装置をさらに備える。
【0005】
二つの異なる加熱装置を含むことから、本発明による加熱組立品は、両方の加熱装置の利点を生かして、エアロゾル形成基体を加熱するための混成的な解決策を提供するハイブリッド型加熱装置であると理解される場合がある。化学的加熱装置は、高エネルギー密度の熱源を提供し、従って一次熱の効率的な発生を可能にし、これは例えば、エアロゾル形成基体の初期加熱または大まかな加熱に使用されうる。電気加熱装置は、適切に制御可能な方法で二次熱を提供し、特にエアロゾル形成基体を目標温度に正確に加熱することを可能にする。目標温度は、エアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体の望ましい温度に対応することが好ましい。
【0006】
一般に、加熱組立品は、エアロゾル形成基体を並列または組み合わせで加熱するために化学的加熱装置および電気加熱装置を並列使用するように構成されうる。化学的加熱装置は、基体を事前設定目標温度に加熱するために、一次熱を発生してエアロゾル形成基体に供給するように構成されてもよく、また電気加熱装置は、エアロゾル形成基体を事前設定目標温度を超える目標温度にさらに加熱するために、一次熱に加えて二次熱を発生して供給するように構成されうることが好ましい。従って、加熱組立品は、目標温度に達するために化学的加熱装置および電気加熱装置を組み合わせて使用するように構成されうる。特に、電気加熱装置の制御性が高いため、化学的加熱装置および電気加熱装置を並列使用することは、一次熱に加えて二次熱の供給が制御されることによってエアロゾル形成基体の温度を精密に制御することを可能にする。
【0007】
別の方法として、または追加的に、加熱組立品は、エアロゾル形成基体を逐次的に加熱するために、特にエアロゾルを発生する異なる段階中に、化学的加熱装置および電気加熱装置を逐次的に使用するように構成されうる。これによると、加熱組立品は、エアロゾルを発生する一つの段階中にエアロゾル形成基体を加熱するために化学的加熱装置を使用するように構成されてもよく、またエアロゾルを発生する別の段階中にエアロゾル形成基体を加熱するために電気加熱装置を使用するように構成されてもよい。特に、加熱組立品は、異なる段階中に化学的加熱装置および電気加熱装置のどちらかを使用してエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよく、これは経時的にエアロゾルの発生を制御することを可能にする。一例として、加熱組立品は、エアロゾル発生の第一の段階中に化学的加熱装置を使用する第一の温度プロファイルに従いエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよく、またエアロゾル発生の第二の段階中に電気加熱装置を使用する第二の温度プロファイルに従いエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよい。第一および第二の温度プロファイルは、第一の段階中に温度が初期温度から第一の温度まで上昇し、第二の段階中に第一の温度よりも低い温度に降下してから再び上昇するようにしうる。
【0008】
一般に、加熱組立品は、化学的加熱装置および電気加熱装置を任意の順序で逐次的に使用するように構成されうる。例えば、加熱組立品は、化学的加熱装置を最初に使用し、その後で電気加熱装置を使用するように構成されてもよく、またはその逆で構成されてもよい。
【0009】
本明細書で使用される「一次熱」および「二次熱」という用語は、化学的加熱装置を起源とする熱と、電気加熱装置を起源とする熱との間の差別化を可能にする名目的用語であることを意味する。これらの用語は定量的関係を具体化する必要はない。一次熱および二次熱は、それぞれ組み合わせてまたは逐次的に使用されうる熱エネルギーの第一の量および第二の量を構成する。
【0010】
化学的加熱装置および電気加熱装置を組み合わせて使用する場合、化学的加熱装置によって提供されるかまたは提供可能な一次熱は、電気加熱装置によって提供されるかまたは提供可能な二次熱よりも大きくしうることが好ましい。
【0011】
従って、化学的加熱装置は、エアロゾル形成基体を加熱するために基本量または主要量の熱を発生するように構成されてもよく、一方で電気加熱装置は、化学的加熱装置によって提供されるかまたは提供可能な基本的/主な/大量の熱に加えて、ただしその熱の量よりも小さい補助的または少量の熱を発生するように構成されてもよい。
【0012】
化学的加熱装置は、エアロゾル形成基体の大まかな加熱のために、またはエアロゾル形成基体の温度の粗調節のために構成されていることが好ましく、一方で電気加熱装置は、エアロゾル形成基体の微細な加熱のために、またはエアロゾル形成基体の温度の微調整のために構成されうる。
【0013】
事前設定目標温度と目標温度との間の温度差は、事前設定目標温度と加熱前のエアロゾル形成基体の初期温度との間の温度差よりも小さくてもよい。エアロゾル形成基体の初期温度は、例えば室温であってもよい。有利なことに、事前設定目標温度は200℃~280℃の任意の温度、特に240℃~260℃の任意の温度、好ましくは約250℃としうる。目標温度は典型的に、300℃~350℃の任意の温度としうる。
【0014】
二次熱を完全に遮断すれば、過熱があった場合に実際の温度を適正な温度に簡単に下げられるように、第一の熱の発生は目標温度よりもかなり低い事前設定目標温度に制限されてもよい。化学的加熱装置は、一次熱の発生を事前設定すること、特に一次熱の発生を事前設定された限度に制限することを可能にするように構成されうる。
【0015】
もちろん、化学的加熱装置によって提供されるかまたは提供可能な一次熱はまた、電気加熱装置によって提供されるかまたは提供可能な二次熱よりも小さいか等しくてもよい。従って、事前設定目標温度と目標温度との間の温度差は、事前設定目標温度とエアロゾル形成基体の初期温度との間の温度差よりも大きいか等しくてもよい。
【0016】
加熱組立品は、エアロゾル形成基体の温度を制御するために少なくとも電気加熱装置に動作可能に接続されたコントローラを備えうる。電気加熱装置は、その高い制御性のため、エアロゾル形成基体の温度を制御するために使用される好ましい作動要素である。特に、電気加熱装置は、エアロゾル形成基体の温度を目標温度に調節するために使用されうる。
【0017】
化学的加熱装置はまた、エアロゾル形成基体の温度を制御するために使用されうる。このために、コントローラはまた、化学的加熱装置に動作可能に接続されてもよい。ところが、化学的加熱装置は典型的に、電気加熱装置よりも制御性が低いため、化学的加熱装置は、エアロゾル形成基体の温度の大まかな制御、もしくはゆっくりとした制御のために、またはエアロゾル形成基体の温度の大まかでゆっくりとした制御のためにのみ使用されることが好ましい。ゆっくりとした制御は、比較的長い時間尺度、例えば10秒より長い時間にわたる制御を含みうる。これとは対照的に、電気加熱装置は、エアロゾル形成基体の温度の微細な制御、もしくはエアロゾル形成基体の温度の急速な制御のために、またはエアロゾル形成基体の温度の微細で急速な制御のために、特に短い時間尺度で、使用されることが好ましい。
【0018】
少なくとも二次熱の制御に関しては、コントローラは、エアロゾル形成基体の実際の温度を示す温度測定値に依存する閉ループコントローラであることが好ましい。このために、加熱組立品は、コントローラに動作可能に接続された少なくとも一つの温度センサーを備えうる。温度センサーは、エアロゾル発生装置での加熱組立品の使用において、エアロゾル形成基体と熱的に近接するかまたは熱的に接触するように配置されていることが好ましい別個の温度センサーとしうる。別の方法として、または追加的に、電気加熱装置自体はまた、温度センサーとして機能するように構成されてもよい。これについては、より詳細に後述する。
【0019】
エアロゾル形成基体の温度を制御するために、コントローラは電気加熱装置の電力供給を制御しうる。同様に、コントローラはまた、例えば少なくとも一つの反応物質を発熱化学物質に供給するための制御可能な供給システムなど、一次熱の発生を制御するための手段を制御しうるか、もしくはそれに作用しうる。こうした手段についてもまた、より詳細に後述する。一次熱の発生を制御することは、開ループもしくは連続的であるか、または開ループかつ連続的であることが好ましい。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成可能な揮発性化合物を放出する能力のある基体に関する。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体または液体エアロゾル形成基体としうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。特に、液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたルースたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、その後でプラグへと圧縮または成形される。
【0021】
本明細書で使用される「化学的加熱装置は、発熱化学反応によって熱を発生するように構成されている」という表現は、発熱化学反応による熱の直接的な発生および提供、すなわちエアロゾル形成基体を加熱するために発熱化学反応によって直接放出される熱の使用または提供を含むことが好ましい。従って、化学的加熱装置は、化学エネルギーを熱エネルギーに直接変換するように構成されている。
【0022】
特に、化学的加熱装置は、燃料と酸化体(例えば酸素)との間での発熱酸化還元化学反応において燃料を燃焼するための燃料ヒーターであってもよい。燃焼は触媒されうることが好ましい。従って、化学的加熱装置は燃料または触媒ヒーターであってもよい。
【0023】
一次熱を発生するための発熱化学反応は、以下の反応の少なくとも一つを含みうることが好ましい。
(a)貴金属触媒が関与する燃料の酸化、
(b)貴金属触媒および遷移酸化物触媒が関与する燃料の酸化、
(c)活性炭触媒が関与する鉄または鉄化合物の酸化還元反応、
(d)金属還元剤および金属含有酸化剤が関与する金属酸化還元反応、
(e)水で開始される発熱反応、
(f)過飽和溶液の発熱結晶化。
【0024】
タイプ(a)の反応については、貴金属触媒が典型的に燃料の無炎酸化を引き起す。触媒材料は一般的に、触媒材料が接触することで燃料を触媒する多孔性物品上に分散または被覆されうる。特に燃料を完全燃焼させるために、および一酸化炭素を著しく減少させるために、燃焼温度を上昇させる目的で、燃料酸化では遷移酸化物と、貴金属触媒などの従来の燃焼触媒が関与しうる(タイプ(b)の反応を参照)。
【0025】
タイプ(c)の反応については、活性炭の触媒効果は、鉄または鉄化合物の酸化還元反応を開始するために使用されうる。
【0026】
タイプ(d)による金属酸化還元反応に関しては、反応物質は、金属還元剤および酸化剤(金属含有酸化剤など)を含んでもよい。発熱反応中に、分子状酸素は酸化された化合物によって還元される。金属還元剤はモリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アルミニウムのうちの一つを含みうる。
【0027】
水で開始される発熱反応において、水は化学反応物質の反応開始剤として使用され、後者は酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、酢酸ナトリウム三水和物、水酸化バリウム八水和物、硝酸マグネシウム六水和物、塩化マグネシウム六水和物、無水無機塩、またはこれらに類するもののうちの一つを含みうる。
【0028】
過飽和溶液の発熱結晶化については、過飽和溶液を結晶化開始剤と反応させて、急速な結晶化を起こさせる。結晶化中に熱が放出される。使用される化合物は、酢酸ナトリウム三水和物、硫酸ナトリウム、グラウバー塩または硝酸マグネシウム六水和物などの化合物から選択されうる。
【0029】
化学的加熱装置は、中で起こる発熱化学反応プロセスのために、反応チャンバーを備えうる。有利なことに、発熱化学反応の反応の位置または体積は、反応においてはエアロゾル形成基体から絶縁されている。従って、化学的加熱装置は、反応チャンバーの外にあるエアロゾル形成基体に熱が供給されうるように、反応チャンバー内で発生した一次熱を反応チャンバーの外へと伝達するための熱伝達要素をさらに備えうる。
【0030】
熱伝達要素は、反応チャンバー内に少なくとも部分的に配置されているか、または反応チャンバーの内部に露出されている第一の部分を含みうる。第一の部分は、発熱化学反応が第一の部分で、もしくは第一の部分上で直接発生するように、または発熱化学反応が第一の部分に直接作用するように、反応チャンバー内に少なくとも部分的に配置されていることが好ましい。
【0031】
熱伝達要素は、第一の部分に熱的に接続され、かつ反応チャンバーの少なくとも部分的に外側に配置または提供されている第二の部分をさらに備えうる。第二の部分は、エアロゾル形成基体と少なくとも部分的に熱的に近接もしくは熱的に接触する状態になるように、またはその状態がもたらされるように配置されていることが好ましい。このために、第二の部分は、エアロゾル形成基体にできるだけ多くの熱を伝達するために、できれば大きな表面を有するように最適化されうる。
【0032】
第二の部分は、エアロゾル形成基体を受けて、好ましくは保持するように構成されうる。このために、第二の部分はくぼみまたは歪みのある部材のいずれかを備えてもよく、またはくぼみおよび歪みのある部材の両方を備えてもよい。一例として、第二の部分は、ブレード、串、突起、歯、ロッド、チューブ、くぼみ、ポット、カップまたは中空円筒のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0033】
第二の部分は、毛細管活性のメッシュまたは芯部材など、液体コンベヤーと少なくとも部分的に熱的に近接もしくは熱的に接触する状態になるように、またはその状態がもたらされるように配置されうる。液体コンベヤーは、液体エアロゾル形成基体と接触する状態がもたらされうるか、または接触している。一般に、液体コンベヤーは、加熱組立品の一部というよりは、全体的なエアロゾル発生装置の一部である。もちろん、液体コンベヤーは加熱組立品の一部であることも可能である。熱伝達要素、好ましくは第二の部分は、液体エアロゾル形成基体と接触するように構成された少なくとも一つの液体コンベヤーを備えうる。
【0034】
熱伝達要素は、熱伝導性材料を含む熱伝導体であることが好ましい。熱伝達要素は熱を貯蔵する能力を有しうる。熱伝達要素は、高い比熱容量を有する材料を含み、また好ましくは良好な熱伝導性も備えていることが好ましい。例えば、熱伝達要素は金属、特に銅、ステンレス鋼、またはアルミニウム、または金属の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
熱伝達要素は、第一の部分が少なくとも部分的に反応チャンバー内に配置されるか、または反応チャンバーの内部に露出されるように、かつ第二の部分が少なくとも部分的に反応チャンバーの外側に配置または提供されるように、反応チャンバーの壁を通して供給されてもよい。
【0036】
熱伝達要素は、反応チャンバーの壁の少なくとも一部分を含み、反応チャンバーの内部に露出された内表面を有するようにしうる。外表面は、上述の第二の部分に対応して、エアロゾル形成基体と少なくとも部分的に熱的近接または熱的接触するように構成されうる。熱伝達要素の第一の部分および第二の部分は一体的に成形されることが好ましい。別の方法として、外表面は、エアロゾル形成基体に少なくとも部分的に熱的近接または熱的接触するように構成された熱伝達要素の別個の部分に熱的に接続されてもよい。この他の部分は、上述の第二の部分に対応しうる。
【0037】
熱伝達要素、第一の部分、および第二の部分はそれぞれ、幾つかの構成、形状および材料を含みうる。特に、熱伝達要素、第一の部分、および第二の部分はそれぞれ、例えば円形、三角形、長方形、四角形、または多面体などの任意の断面形状を有しうる。熱伝達要素、第一の部分、および第二の部分のうちの少なくとも一つは、少なくとも部分的に中空であってもよく、または少なくとも部分的に大きくてもよい。第一の部分および第二の部分は、構成、形状、および材料のうちの少なくとも一つの特徴において互いに異なってもよい。
【0038】
一例として、熱伝達要素はブレード形状でもよく、または特に金属製のブレードを含んでもよい。ブレードの第一の部分は、反応チャンバー内に少なくとも部分的に配置されるか、または反応チャンバーの内部に露出されてもよく、一方でブレードの第二の部分は、少なくとも部分的に反応チャンバーの外部に配置または提供されてもよい。特に、ブレードは反応チャンバーの壁を通して供給されるか、または貫通してもよい。ブレードの第二の部分は、エアロゾル形成基体を受けて、好ましくは保持するように構成されていることが好ましい。このために、ブレードの第二の部分の自由端は、特に固体エアロゾル形成基体の場合において先細りであってもよい。
【0039】
別の例として、熱伝達要素は、例えば金属製の中空円筒を備えうる。特に、円筒の第一の軸方向部分は、少なくとも部分的に反応チャンバー内に配置されてもよく、または反応チャンバーの内部に露出されてもよい。円筒の第一の軸方向部分は、反応チャンバーの壁の少なくとも一部分を含んでもよい。円筒の第二の軸方向部分は、少なくとも部分的に反応チャンバーの外側に配置または提供されてもよい。さらに、仕切り部材が、第一の部分によって囲まれた内部を第二の部分によって囲まれた内部から分離するために提供されてもよい。仕切り部材は、反応チャンバーの一部、または熱伝達要素の一部、または反応チャンバーと熱伝達要素の両方の一部としうる。円筒の第二の軸方向部分の内部は、エアロゾル形成基体を受けて、好ましくは保持するように構成されうる。このために、円筒の第二の軸方向部分の前方端は開いていてもよい。
【0040】
熱伝達要素は、反応チャンバーと熱的に接触するポットを備えうる。特に、ポットの底部は反応チャンバーの壁の一部分であってもよく、ここでその底部の外表面は反応チャンバーの内部に露出されている。ポットの内部は、エアロゾル形成基体を受けて、好ましくは保持するように構成されうる。
【0041】
化学的加熱装置は、発熱化学反応の少なくとも一つの反応物質を貯蔵するための、またその少なくとも一つの反応物質を反応チャンバーに供給するための反応物質貯蔵部を備えてもよい。反応物質貯蔵部は、例えば充填ノズルまたは入口を介して充填可能であってもよい。反応物質貯蔵部は、少なくとも一つの供給管、チューブまたは通路を介して反応チャンバーに接続されてもよい。
【0042】
化学的加熱装置は、反応物質貯蔵部内の反応物質を加圧して、反応チャンバーへの反応物質の供給を容易にする加圧手段を備えうる。こうした加圧手段は、マイクロポンプまたは加圧ガスまたは反応物質貯蔵部内の反応物質に圧力を加える荷重のかかったばねを含みうる。
【0043】
供給管、チューブまたは通路は、複数の毛管路または一列に並んだ毛管路を備えて、反応物質が毛管力によって自動的に分配されるようにしうる。毛管路の数は、流量を制御または予め決定するために使用されうる。有利なことに、毛管路は、反応チャンバーへの反応物質の供給を容易にするための加圧手段を必要としない。これは化学的加熱装置を単純化する。
【0044】
反応チャンバーは入口、オリフィス、または開口部のうち少なくとも一つを含んでもよい。例えば、反応チャンバーは、発熱化学反応の少なくとも一つの反応物質を受けるために、反応物質貯蔵部に接続された入口を含んでもよい。特に、反応物質貯蔵部を反応チャンバーに接続する供給管、チューブまたは通路は、反応チャンバーの入口に連結されてもよい。
【0045】
反応チャンバーは空気(特に酸素)供給用の入口を含みうる。さらに、反応チャンバーは、少なくとも一つの出口、特に発熱化学反応の反応生成物を反応チャンバーから放出するための少なくとも一つの出口を含みうる。一例として、反応チャンバーは少なくとも一つの排気口を含みうる。
【0046】
化学的加熱装置は、反応チャンバーと反応物質貯蔵部との間に熱遮蔽のための熱バリアを備えてもよい。特に、反応物質貯蔵部を反応チャンバーに接続する供給管、チューブまたは通路は、熱バリアを通して供給されてもよい。
【0047】
例えば、液体またはガス状の燃料ヒーターの場合、ヒーターは、反応チャンバーに燃料を分配するための燃料貯蔵部を備えてもよい。このため、反応チャンバーは、供給管を介して燃料貯蔵部と流体連通してもよい。貯蔵部内の燃料は、充填ノズルを介して再充填可能であってもよい。さらに、化学的加熱装置は、例えば燃料貯蔵部と反応チャンバーとの間の流体連通を制御するための燃料弁を開けた時点で、燃料が反応チャンバー内に容易に分配されるように、燃料貯蔵部内の燃料を加圧する加圧手段を提供してもよい。
【0048】
加熱組立品は、一次熱の発生を制御するための手段、特に一次熱の発生を調整または制限するための手段をさらに含みうる。これらの手段は、少なくとも一つの反応物質を発熱化学反応に供給するための、および一次熱の発生を制御するための制御可能な供給システムを含みうる。供給システムの制御性は、一次熱の発生を事前設定すること、特に一次熱の発生を事前設定された限度に制限することを可能にしうる。別の方法として、または追加的に、制御可能な供給システムは、加熱組立品またはエアロゾル発生装置それぞれの使用中に、一次熱の発生を調整することを可能にしうる。制御可能な供給システムは、少なくとも一つの入口または出口を通る流量をそれぞれ制御するための入口弁および出口弁のうちの少なくとも一つを備えてもよい。特に、制御可能な供給システムは、反応物質貯蔵部から反応チャンバーへの反応物質の供給を制御するための少なくとも一つの入口弁、または反応チャンバーへの空気の供給を制御するための空気吸込み口弁を備えてもよい。反応物質貯蔵部内の反応物質を加圧するための加圧手段は、一次熱の発生、または制御可能な供給システムをそれぞれ制御するための手段の一部であってもよく、またはその手段によって作用されてもよい。
【0049】
加熱組立品は、エアロゾル形成基体への一次熱の供給を制御するための手段をさらに備えうる。こうした手段は、例えば熱伝達要素を可逆的に変位させて、エアロゾル形成基体と熱的近接または熱的接触の状態にしたり、離したりするための変位装置または変位機構を備えうる。こうした手段はまた、エアロゾル形成基体を可逆的に変位させて、熱伝達要素と熱的近接または熱的接触の状態にしたり、離したりするための変位装置または変位機構を備えうる。こうした手段はまた、熱伝達要素、特に熱伝達要素の第一の部分を可逆的に変位させて、反応チャンバーと熱的近接または熱的接触の状態にしたり、離したりするための変位装置または変位機構を備えうる。
【0050】
一般に、本発明による電気加熱装置は、電気エネルギーを熱に変換するように構成された任意の装置としうる。
【0051】
例えば、電気加熱装置は、交番磁界を生成するための発生器と、交番磁界によって誘導的に加熱可能で、交番磁界によって加熱可能なように発生器と相対的に位置付けられたサセプタ材料とを備える誘導ヒーターでもよい。加熱するために、エアロゾル形成基体は、サセプタ材料と熱的に近接した状態がもたらされる。従って、本発明の加熱組立品は、エアロゾル発生装置内での加熱組立品の使用時に、サセプタ材料が有利なことに、エアロゾル形成基体と熱的に近接または熱的に接触するように構成されうる。別の方法として、誘導ヒーターは、交番磁界を生成するための発生器のみを含んでもよく、一方でサセプタ材料は加熱されるエアロゾル形成基体内に組み込まれる。
【0052】
電気加熱装置は、抵抗加熱要素を含む抵抗加熱装置であることが好ましい。抵抗加熱要素は、内在するその電気抵抗または抵抗負荷に起因して電流が通過する時に加熱する。このため、抵抗加熱要素は電力供給源に接続されうる。電源は直流電圧源、例えば電池、好ましくはリチウムイオン電池などの再充電可能電池としうる。
【0053】
電力供給源は、電気加熱装置の一部であってもよく、また一般に加熱組立品の一部であってもよい。別の方法として、電気加熱装置は、本発明の加熱組立品が提供されているエアロゾル発生装置の一部であってもよい。電力供給源がエアロゾル発生装置の一部であるかまたは加熱組立品の一部であるかにかかわらず、電力供給源はまた、例えば加熱組立品のコントローラまたはエアロゾル発生装置の総合的なコントローラを運転する目的など、その他の目的でも使用されうる。
【0054】
抵抗加熱要素は、抵抗加熱ワイヤー、抵抗加熱トラック、抵抗加熱グリッドまたは抵抗加熱メッシュのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0055】
抵抗加熱要素は、エアロゾル形成基体と少なくとも部分的に熱的に近接するか、またはそれと熱的に接触する状態になるように、またはその状態がもたらされるように構成されてもよい。抵抗加熱要素は、液体コンベヤーと少なくとも部分的に熱的に近接または熱的に接触する状態になるように、またはその状態がもたらされるように構成されてもよく、そうすることで液体エアロゾル形成基体と接触した状態がもたらされうるか、または接触した状態となる。
【0056】
化学的加熱装置に類似して、電気加熱装置は熱伝達要素を備えうる。同様に、熱伝達要素は、抵抗加熱要素と熱的に接触するか、または抵抗加熱要素が配置されている、第一の部分を含んでもよい。熱伝達要素はまた、エアロゾル形成基体に少なくとも部分的に熱的に近接または熱的に接触する状態になるように、またはその状態がもたらされるように構成された第二の部分を含んでもよい。熱伝達要素のさらなる特徴および利点は、化学的加熱装置の熱伝達要素に関して説明されており、繰り返さない。
【0057】
一般に、化学的加熱装置および電気加熱装置は、特にそれぞれの加熱装置からエアロゾル形成基体への熱の供給に関して、別個かつ独立のものでありうる。一例として、加熱組立品は、化学的加熱装置および電気加熱装置が、異なる場所で、または異なる方向から、エアロゾル形成基体に熱を供給しうるように構成されうる。
【0058】
そうでありながらも、加熱組立品は、化学的加熱装置および電気加熱装置が、ほぼ同じ場所でエアロゾル形成基体に熱を供給しうるように構成されていることが好ましい。従って、加熱組立品は、化学的加熱装置および電気加熱装置が結合または合併または融合された熱入力をエアロゾル形成基体に提供するように構成されていることが好ましい。これは、エアロゾル形成基体のより均一な加熱を提供する。さらには、エアロゾル形成基体の温度は、組み合わせで使用される時の一次熱および二次熱の蓄積に依存するため、結合または合併または融合された熱入力は、エアロゾル形成基体の温度を制御するのに役立ち、特にエアロゾル形成基体の温度を目標温度に調節するのに役立つ。
【0059】
有利なことに、抵抗加熱要素は、少なくとも部分的に化学的加熱装置の熱伝達要素内に、またはその上に配置されてもよい。抵抗加熱要素は、熱伝達要素の第二の部分内に、またはその上に配置されうることが好ましい。短絡を回避するために、熱伝達要素は、抵抗加熱要素を受けるかまたは担持する電気的に絶縁する被覆または基体を備えうる。別の方法として、または追加的に、抵抗加熱要素自体は、電気的に絶縁する被覆または基体を備えうる。両方の場合において、被覆または基体はセラミック材料を含むことが好ましい。一例として、化学ヒーターの熱伝達要素は、第一および第二の部分に沿って延びる金属性コア部材を有するブレードを備えうる。第二の部分に沿って、金属性コア部材は二つのセラミックカバー部材の間に追加的に挟まれうる。少なくとも一つのカバー部材の外表面は、抵抗加熱要素として、例えばプラチナ製の金属トラックで被覆されてもよい。加熱容量を最大化するために、金属トラックは蛇行状または渦巻状であってもよい。
【0060】
有利なことに、抵抗加熱要素は温度センサーとして機能するように構成されうる。この可能性は、抵抗加熱要素を形成するために使用される抵抗材料の温度依存抵抗特性に依存する。加熱装置は、抵抗加熱要素の抵抗を測定するための読み取り装置をさらに備えうる。読み取り装置は、加熱組立品のコントローラまたはエアロゾル発生装置のコントローラの一部としうる。測定された温度は発熱体の実際の温度に直接対応する。測定された温度はまた、加熱されるエアロゾル形成基体に対する発熱体の位置、および電気加熱装置からエアロゾル形成基体への熱供給の所定の特性に応じて、エアロゾル形成基体の実際の温度を示すものでありうる。従って、抵抗加熱要素は、エアロゾル形成基体の温度を制御するための温度センサーとして、特にエアロゾル形成基体の実際の温度を目標温度に調節するために使用されうる。
【0061】
加熱組立品は、化学的加熱装置によって発生された熱を電力に変換するためのエネルギー変換装置を備えうる。有利なことに、こうした装置は熱回収のために使用されうる。特に、エネルギー変換装置は、化学的加熱装置によって発生されたもののエアロゾル形成基体に提供できない過剰な熱または廃熱を変換するように構成されてもよい。エネルギー変換装置は、少なくとも一つの熱電発電機を含むことが好ましい。熱電発電機は典型的に、ゼーベック(Seebeck)の原理に基づいている。熱機関と比較すると、熱電発電機は可動部品を持たず、かさばらない。
【0062】
エネルギー変換装置は、変換された電力を電気加熱装置に供給するために、電気加熱装置に動作可能に接続されていることが好ましい。特に、変換された電力は、電気加熱装置を実行するために使用される電源に供給されてもよい。一例として、エネルギー変換装置は再充電の目的で、変換された電力を供給するために、電池に動作可能に接続されてもよい。もちろん、エネルギー変換装置はまた、加熱組立品またはエアロゾル発生装置の別の電気的構成要素に動作可能に接続されてもよい。例えば、こうした構成要素は、グローバル電池などの、エアロゾル発生装置のグローバル電源、または加熱組立品のコントローラ、またはエアロゾル発生装置のコントローラでもよい。
【0063】
エネルギー変換装置は、エアロゾル発生装置に、または加熱組立品自体に割り当てられてもよい。
【0064】
エネルギー変換装置は有利なことに、反応チャンバーと熱的に近接または熱的に接触して配置されうる。熱伝達要素の第一の部分に類似して、エネルギー変換装置は、少なくとも部分的に反応チャンバー内に配置されてもよく、または反応チャンバーの内部に露出されてもよい。例えば、エネルギー変換装置は、反応チャンバーの壁の少なくとも一部分であってもよい。エネルギー変換装置、および化学的加熱装置の熱伝達要素は、異なる位置または領域で反応チャンバーに軽く当たってもよい。
【0065】
本発明によると、エアロゾル形成基体を加熱することによってエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置も提供されている。エアロゾル形成基体を加熱するために、エアロゾル発生装置は、本発明による、また本明細書に記載の加熱組立品を備える。
【0066】
本発明によるエアロゾル発生装置のさらなる特徴および利点については、加熱組立品に関連して既に説明されており、繰り返さない。
【0067】
エアロゾル発生装置は、総合的なコントローラでありうるコントローラを備えうる。コントローラは、エアロゾル形成基体の温度を制御するために、特にエアロゾル形成基体の温度を目標温度に調節するために使用されうる。エアロゾル発生装置のコントローラは、加熱組立品のコントローラを含むか、または加熱組立品のコントローラでありうる。エアロゾル発生装置のコントローラはまた、一次熱の発生を制御する手段を制御するか、またはそれに作用するために、特に、制御可能な供給システムを制御するか、またはそれに作用するために、使用されうる。エアロゾル発生装置のコントローラはまた、一次熱の供給を制御する手段を制御するか、またはそれに作用するために使用されうる。
【0068】
エアロゾル発生装置は、加熱組立品に、特に電気加熱装置に電力を供給するためにも使用されることが好ましいグローバル電源を備えうる。
【0069】
さらに、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を受ける、収容する、および好ましくは保持するための構成要素を備えうる。一例として、エアロゾル発生装置は、固体エアロゾル形成基体を受けるためのくぼみを含みうる。同様に、エアロゾル発生装置は、液体エアロゾル形成基体用の貯蔵部を備えうる。その場合、エアロゾル発生装置はまた、液体エアロゾル形成基体を運ぶための液体コンベヤー(例えば、毛細管活性のメッシュまたは芯部材)を備えうる。液体コンベヤーは、一次熱および二次熱が供給される加熱組立品と接触した状態がもたらされうるか、または接触状態にあることが好ましい。
【0070】
本発明によると、エアロゾル形成基体を加熱することによって、特に本発明による、また本明細書で説明されている加熱組立品またはエアロゾル発生装置を使用することによって、エアロゾルを発生するための方法も提供されている。本方法は、
【0071】
発熱化学反応によって一次熱を発生し、エアロゾル形成基体を加熱するために一次熱をエアロゾル形成基体に供給する工程と、
【0072】
二次熱を電気的に発生し、エアロゾル形成基体を加熱するために二次熱をエアロゾル形成基体に供給する工程とを、逐次的に実施すること、または並列的に実施することのうちの少なくとも一方を含む。
【0073】
特に、本発明による方法は、上記の工程の逐次的実施および並列的実施の組み合わせ、すなわち一次熱および二次熱の逐次的使用および並列使用の組み合わせを含みうる。
【0074】
本発明による方法の利点は、本発明による加熱組立品およびエアロゾル発生装置に関連して説明されており、繰り返さない。
【0075】
加熱組立品に関して既に説明した通り、一次熱および二次熱は、エアロゾル形成基体を逐次的に加熱するために、逐次的に使用されうる。特に、一次熱および二次熱は、エアロゾルを発生する異なる段階中に、それぞれエアロゾル形成基体を加熱するために使用されうる。一次熱は、二次熱を使用する前に使用されてもよく、またはその逆でもよい。一般に、方法は、一次熱および二次熱を使用する任意の順序を、例えば一次熱および二次熱の交互の使用を含む順序を含みうる。一次熱および二次熱はそれぞれ、異なる段階中にエアロゾル形成基体を異なる温度に加熱するために使用されてもよく、これは経時的にエアロゾルの発生を制御することを可能にする。一例として、一次熱は、エアロゾル発生の第一の段階中に第一の温度プロファイルに従い、エアロゾル形成基体を加熱するように使用されてもよく、また二次熱は、エアロゾル発生の第二の段階中に第二の温度プロファイルに従い、エアロゾル形成基体を加熱するように使用されてもよい。第一および第二の温度プロファイルは、第一の段階中に温度が初期温度から第一の温度まで上昇し、第二の段階中に第一の温度よりも低い温度に降下してから再び上昇するようにしうる。
【0076】
別の方法として、一次熱および二次熱は、エアロゾル形成基体の組み合わせ加熱のために並列して使用されてもよい。特に、一次熱はエアロゾル形成基体を事前設定目標温度に加熱するために使用されてもよく、また二次熱は、エアロゾル形成基体を事前設定目標温度より高い目標温度にさらに加熱するための一次熱に加えて使用されてもよい。
【0077】
加熱組立品に類似して、方法は、少なくとも二次熱の発生を制御することによって、エアロゾル形成基体の温度を目標温度に調節する工程をさらに含みうる。同様に、方法は、発熱化学反応からの熱を電力に変換して、二次熱を電気的に発生するために変換された電力を提供または使用する工程をさらに含んでもよい。
【0078】
方法は、一次熱の発生または供給のうちの少なくとも一方を制御する工程をさらに含みうる。この一次熱の発生は、例えば発熱化学反応の少なくとも一つの反応物質の供給を制御することによって制御されてもよい。一次熱の供給は、加熱組立品に関して上述した手段を使用して制御されうる。
【0079】
方法は、エアロゾル形成基体への、一次熱および二次熱のうちの少なくとも一つの供給を制御する工程をさらに含みうる。
【0080】
本発明は、単なる例証として、添付図面を参照しながら、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるハイブリッド加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態によるハイブリッド加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2によるハイブリッド加熱組立品の一部分を通した断面を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第三の実施形態によるハイブリッド加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の概略図である。
【
図5】
図5は、
図4によるハイブリッド加熱組立品の細部を示す。
【
図6】
図6は、
図4によるハイブリッド加熱組立品の細部を示す。
【
図7】
図7は、
図4によるハイブリッド加熱組立品の細部を示す。
【
図8】
図8は、
図4によるハイブリッド加熱組立品の細部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、本発明の第一の実施形態による加熱組立品10を備えるエアロゾル発生装置1を概略的に示す。加熱組立品10は、エアロゾル形成基体の組み合わせ加熱のための二つの加熱装置、すなわち化学的加熱装置200と電気加熱装置100を備える。化学的加熱装置200は、エアロゾルを形成するためのエアロゾル形成基体の希望目標温度より低い事前設定目標温度にエアロゾル形成基体を予熱するために、発熱化学反応によって一次熱を提供する。目標温度に達するために、電気加熱装置100は、一次熱に加えて二次熱を提供する。発熱化学反応の高エネルギー密度のため、化学的加熱装置は、温度の粗調整のために主要量の熱を提供することが好ましく、一方で電気加熱装置は、温度の微調整に使用される少量の熱を提供することが好ましい。
【0083】
図1による実施形態に関して、化学的加熱装置200は、反応チャンバー201内での触媒された燃料燃焼によって一次熱を発生するように構成された触媒ヒーターである。このために、燃料は、分配チューブ204を介して反応チャンバー201と流体連通する、反応物質貯蔵部または燃料貯蔵部202内に提供されている。燃料貯蔵部202は、充填口(図示せず)を介して再充填可能であってもよい。化学的加熱装置200はまた、燃料貯蔵部202内の燃料を加圧して、燃料貯蔵部202内の圧力を反応チャンバー201内の圧力(これは一般に大気圧である)より高くするための加圧手段208を備える。このため、燃料は、貯蔵部202から反応チャンバー201への燃料流を制御するように構成された弁203を開けると、分配チューブ204を経由して反応チャンバー201内に自動的に分配される。
【0084】
分配チューブ204の入口とは別に、反応チャンバー201は、触媒反応のために酸素を提供するための空気吸込み口207を備える。さらに、反応チャンバー201は、触媒反応による水や排出ガスを環境に放出するための出口206を備える。
【0085】
熱バリア205を超える燃料貯蔵部および他の構成要素が合理的な温度に留まるように、熱バリア205は、反応チャンバー201と燃料貯蔵部202との間に提供されている。
【0086】
反応チャンバー201内で、燃料は触媒発熱反応によって燃焼され、それによってエアロゾル形成基体を加熱するための一次熱を発生する。
【0087】
燃料は、その酸化を通してエネルギーを供給する能力を有する任意の有機化合物としうる。例えば、燃料は、簡単に酸化される短鎖アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールおよびブタノールおよび異性体)、ケトン、アルデヒド、またはカルボン酸のうちの一つを含みうる。触媒的に可燃性のガスは、例えば水素、メタン、プロパン、ペンタン、エーテル、エタン、またはブタンおよびそれらの異性体のうちの一つを含みうる。
【0088】
燃料燃焼を触媒するために使用される触媒は、高い酸素還元反応性を有する触媒でありうる。触媒は、例えばFe、Co、Ni、Rh、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cdを含む群から選択される一つ以上の金属または一つ以上の金属の合金を含みうる。特に、触媒は少なくとも一つの貴金属、または少なくとも一つの遷移金属、または少なくとも一つの金属と少なくとも一つの遷移金属の組み合わせ、例えばPt、Pd、Rh、Ir、Ru、Ni、Os、Re、Co、Fe、Mn、Ag、Cuを含みうる。触媒は、例えば反応チャンバー201内の基体物品の表面上に担持されてもよい。
【0089】
燃料と酸素の混合物の触媒発熱反応によって発生する一次熱は、反応チャンバー201からエアロゾル発生装置1のハウジング3内に画定されたくぼみ2へ熱伝達要素210を介して伝達される。くぼみ2は、加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受けるためのエアロゾル発生装置1の近位端で開いている。例えば、エアロゾル形成基体は圧縮されてもよく、またはエアロゾル発生物品(図示せず)を形成するプラグに成形されてもよい。
【0090】
図3は、
図1および
図2に示す実施形態内で使用される熱伝達要素210のさらなる詳細を示す。熱伝達要素210は、くぼみ2の隣の反応チャンバー201の壁を通して供給された金属製ブレード214を含む。熱伝達要素210は、反応チャンバー201内に配置された第一の部分212を含み、その上で触媒発熱反応が、熱伝達を最適化するために直接実施されることが好ましい。熱伝達要素210の第二の部分211は、反応チャンバー201から分離されたくぼみ2内に配置されている。第二の部分211の近位端は先細りであり、従ってハウジング3のくぼみ2の中に押し込まれた時に、エアロゾル発生物品を塞いで保持することを容易にする。これによって、エアロゾル形成基体は、触媒発熱反応と直接的に熱的に接触する状態がもたらされうるが、反応自体に直接接触しない。
【0091】
さらに
図1および3を参照すると、熱伝達要素210は、第二の部分211に沿ってブレード214の金属コアを挟むセラミックカバー部材213を含む。セラミックカバー部材214は、抵抗加熱装置100の一部である導電性発熱体103を担持するための非導電性の基体を提供する。本実施形態において、発熱体は、ブレード様の熱伝達要素210の両側で金属トラック103を備える。エアロゾル形成基体への熱伝達を最適化するために、金属トラック103は蛇行する構成で配置されている。別の方法として、トラックは、らせん構成で配置されてもよい。熱を電気的に発生するために、発熱体103は抵抗材料から成る。金属トラックはプラチナ製であることが好ましい。
【0092】
トラックは、電流を通すことによって希望目標温度に加熱されうる。このために、熱伝達要素210の両側のトラックは、電気的接続102を介して電源104に並列に接続されている。本実施形態において、電源は再充電可能電池、例えばリチウムイオン電池である。
【0093】
有利なことに、加熱トラック103は熱伝達要素210の表面温度を測定するために同時に使用されることができ、これは熱伝達要素210に取り付けられたエアロゾル形成基体の実際の温度を示す。発熱体103の材料が抵抗特性の適切な温度係数を有すると仮定すると、発熱体103の抵抗を測定することによって、例えば導電性発熱体103の電圧およびそれを通る電流を測定することによって、温度を決定しうる。発熱体を温度センサーとして使用することは、別個の温度センサーが不要になるため、加熱組立品10内の構成要素の数を減らすのに役立ちうる。しかしながら、加えて、または別の方法として、加熱組立品10はまた、当然ながら別個の温度センサーを備えてもよい。
【0094】
電子回路基板上に実装されたマイクロコントローラユニットなどのコントローラ101が、エアロゾル形成基体の温度を制御するために使用されてもよい。本発明によると、これは、化学的加熱装置200によって提供される一次熱に加えて、少なくとも電気加熱装置100によって提供される二次熱を制御することによって実現される。従って、コントローラ101は、少なくとも電気加熱装置100に動作可能に接続されている。特に、コントローラ101は、上述の通り、発熱体103の温度依存性抵抗を決定することによって、熱伝達要素210の表面の実際の温度を決定するように構成されうる。熱伝達要素210の表面温度は、エアロゾル形成基体の実際の温度を示す。実際の温度と、エアロゾル形成基体の希望目標温度との比較、または熱伝達要素上の対応する温度との比較のそれぞれに基づき、コントローラ101は電源104から電気発熱体103への電力を制御するようにさらに構成されている。熱電力は、発熱体103に断続的に供給されることが好ましい。有利なことに、エアロゾル形成基体の温度を微調整するための二次熱の制御は閉ループである。
【0095】
コントローラ101はまた、電源104の再充電、例えば外部電源からの電池の再充電を制御するために使用されうる。コントローラはまた、例えば燃料弁203を制御することによって、一次熱の発生を制御するために、従って燃料貯蔵部202から反応チャンバー201に分配される燃料の量を制御するために使用されてもよい。このために、コントローラ101は、事前に較正された燃料流量と反応チャンバー201内で発生した一次熱の対比を含むテーブル(例えば、コントローラ101のストレージユニット内に格納されたテーブル)にアクセスしてもよい。追加的に、または別の方法として、コントローラ101はまた、空気吸込み口207に作用して、反応チャンバー201への酸素供給を調節しうる。二次熱を完全に遮断すれば、過熱があった場合に実際の温度を適正な温度に簡単に下げられるように、第一の熱の発生は実際の目標温度よりもかなり低い事前設定目標温度に制限されている。事前設定目標温度は約250℃であることが好ましく、一方で目標温度は典型的に、300℃~350℃である。
【0096】
一般に、コントローラ101および/または電源104は、加熱組立品10の一部または全体的なエアロゾル発生装置1の一部のいずれかであってもよい。
【0097】
図2は、本発明の第二の実施形態による加熱組立品10を備えるエアロゾル発生装置1を概略的に示す。第一および二次熱を発生してエアロゾル形成基体に供給する基本概念は、
図1による第一の実施形態に類似している。従って、別途明示的に示されていない限り、同一の特徴は同一の参照符号で示される。
【0098】
図1による第一の実施形態とは対照的に、第二の実施形態による加熱組立品は、化学的加熱装置200によって生成された熱を電力に変換するためのエネルギー変換装置107を備える。本実施形態において、エネルギー変換装置107は、ゼーベックの原理に基づいて温度勾配から電気を発生する能力を有する少なくとも一つの熱電発電機を備えてもよい。こうした熱電発電機は一般的に、従来技術から知られている。このために、熱電発電機は、
図1による第一の実施形態における熱バリア205の代わりに、燃料貯蔵部と反応チャンバーの間に配置されてもよい。別の方法として、または追加的に、熱電発電機は、反応チャンバーに横方向に取り付けられてもよく、反応チャンバー201から外側に面する「低温」側を有する。
【0099】
エネルギー変換装置107によって発生された電力は、全体的なエアロゾル発生装置1の加熱組立品10の電源104に供給されることが好ましい。本実施形態において、加熱組立品10は、エネルギー変換装置107によって提供された電力を使用して、電池104を少なくとも部分的に再充電するための電池充電器105を備える。このために、電池充電器105は、電気的接続106を介してエネルギー変換装置107および電源104に動作可能に接続されている。
【0100】
図4、5、6、7および8は、本発明の第三の実施形態による加熱組立品10を備えるエアロゾル発生装置1を示す。第一および二次熱を発生してエアロゾル形成基体に供給する基本概念は、
図1および
図2による第一および第二の実施形態に類似している。従って、別途明示的に示されていない限り、同一の特徴は同一の参照符号で示される。
【0101】
図1および
図2による実施形態とは対照的に、この第三の実施形態による加熱組立品10は、カップ様の熱伝達要素210を備える。
【0102】
熱伝達要素210は、プレート様の第一の部分212(
図6の上面図および
図8の斜視図では表示せず)および中空円筒形状の第二の部分211を含む。第一の部分212は、第二の部分211の底部に取り付けられてもよく、または第二の部分211の底部を形成してもよい(
図5の断面図を参照)。
【0103】
第一の部分212は、第一の部分212の露出した表面上で直接、発熱化学反応が発生するように、反応チャンバー201内に少なくとも部分的に配置されるか、またはそれに露出されている。第一の部分212は、中空円筒形状の第二の部分211の中に受けられうるエアロゾル形成基体に一次熱を効率的に伝達することを可能にする金属製である。
【0104】
第二の部分211はまた、一次熱の伝達に関与する。このために、中空円筒形状の第二の部分211は、セラミック材料製であり、良好な熱伝導性および高い熱抵抗を提供する。
【0105】
特に
図7の側面図および
図8の斜視図で分かる通り、非導電性の第二の部分211の外表面は、抵抗加熱装置100の一部である導電性発熱体103を担持する。本実施形態において、発熱体は、第二の部分211の外表面上に円周方向に蛇行する構成で配置された金属トラック103(
図4および
図5の一点鎖線)を備える。この蛇行構成は有利なことに、第二の部分211を介して発熱体103からエアロゾル形成基体へ熱伝達を最適化する。
図1および
図2に示す加熱組立品と同様に、トラック103は電流を通すことによって加熱されうる。このために、トラックは電気的接続102を介して電源104に接続されている。
【0106】
装置のユーザーが接触火傷を負うのを回避するために、第二の部分211の外表面と、エアロゾル発生装置1のハウジング3の遠位端に画定されたくぼみ2の内表面との間の隙間内に熱バリア108が配置されている。